説明

ガス供給システム

【課題】 配管部等の取り付け・取り外し操作に伴う不純物の混入を排除するとともに、簡易な構成によって、高純度ガスの充填容器を迅速な操作で安全に保守管理を行うことができるガス供給システムを提供すること。
【解決手段】 パージガス流路Lsと配管部Lの接続部Sを有し、該配管部Lの一部として、容器バルブ1aとの接合部Soと、接合部Soと容器バルブ1aの中間に設けられた第1バイパス流路B1と、接続部Sとプロセス装置2の中間に設けられた第2バイパス流路B2を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給システムに関するもので、例えば、高圧容器に充填された各種気体や液化ガスの純度の測定等に用いるガス供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体製造プロセスをはじめ各種製造プロセスにおいて、各種気体あるいは液体の高純度ガスが充填された高圧容器が多く用いられ(以下「高純度ガス」という)、高純度ガスの消費設備である半導体製造装置や各種のプロセス装置では、これらの高純度ガスを気体状態あるいは液体状態で受け入れて使用される。このとき、高純度ガスを充填した容器は、供給設備に収納され、供給配管を介してプロセス装置に送り出され、消費によって所定量以下の残量となったときに交換される。一方、こうした高純度ガスを供給するメーカにおいては、その出荷前に高純度ガスの純度を確認するために、充填された高純度ガスを分析装置に導入して分析される。また、半導体製造装置などで使用される高純度ガスは、毒性あるいは腐蝕性の強いガスであることが多く、稼動時の漏洩防止とともに、準備された充填容器に交換する場合において外部へのガスの放散を防止する必要がある。さらに、SiH等の特殊材料ガスについては、空気中の水分等と反応して変質し固化等をすることから、外気との接触を遮断する必要がある。従って、容器バルブと減圧弁上流側に設置されている開閉弁との配管中の特殊材料ガスを例えば窒素でパージし、新しい充填容器を取り付け後に当該配管を容器からの特殊材料ガスにより再度パージする作業が必要である。パージされた特殊材料ガスは、次工程の排ガス処理装置で無害化処理される。こうした放散を防止するために、充填容器からの配管系の残留ガスのパージ方法や供給システム全体の配管内の残留ガスのパージ方法について工夫されてきた。
【0003】
具体的には、図8に示すような、1次側配管内に残留するガスを高い効率でパージし、加圧放置パージ及び直前パージの際、1次側配管内を加圧中、真空発生器を停止させる方法が提案されている。ガス122を収容するシリンダ101は、シリンダ元バルブ123を備え、充填管102、1次側配管114、エアオペレートバルブ106、減圧弁107、2次側配管119及びエアオペレートバルブ110を介して供給側に接続する。不活性ガス115が、エアオペレートバルブ103を介して1次側配管114に流入する。1次側配管は、エアオペレートバルブ105と配管120を介して真空発生器111に接続する。1次側配管内に、2〜10分の不活性ガスによる加圧放置及び120秒の真空引きを繰り返す加圧放置パージを自動的に行うことにより、1次側配管内の残留ガスを排気ガス118としてパージする。ここで、104,108は圧力計、109,110,112はエアオペレートバルブ、113はマスフローメータ、116は供給側、117は窒素等不活性ガス、118は排気ガスを示す(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−14193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような高純度ガス供給装置では、以下の課題が生じることがあった。
(i)上記のような配管内の残留ガスのパージ方法では、シリンダ101の交換時において、シリンダ元バルブ123からエアオペレートバルブ110までの1次側配管114および配管120の配管内を全てパージし、新しいシリンダ101に収容されたガス122で置換する必要があり、充填容器や配管の設置場所などの条件について制約されることが多い製造プロセスにおいては配管内の置換すべき容量が大きくなることがあり、貴重な高純度ガスが製造プロセスに使用されずに排気されるという課題があった。
(ii)また、残留するガスを高い効率でパージするために真空発生器を用いることから、ガス供給システムが大掛かりとなるとともに、ガスの供給流路の圧力が大きく変動し、高純度ガスの供給においては、その供給精度を維持することが難しく、ガス分析システムにおいては、分析精度を維持することが難しい。
(iii)一方、出荷前の分析操作において、分析の対象となる高純度ガスの給送中に不純物が混入すると、結果的に充填ガスの純度自体に影響することとなることから、充填容器から分析装置への導入流路には、不純物の存在は許されない。特に、充填容器との接続部には、常に清浄ガスによるパージが不可欠であるとともに、分析時においては、かかるパージガスの混入も許されない。
(iv)さらに、上記のように半導体製造プロセスに用いられる高純度ガスは、毒性や腐食性あるいは反応性の高いガスが多く、排ガス処理が不可欠であり、特殊な排ガス処理を必要とする場合も多い。従って、次工程の排ガス処理装置の負荷低減のため、パージされた特殊材料ガス量の一層の低減が求められていた。
(v)また、半導体製造プロセスなどにおいては、複数種あるいは複数量の高純度ガスの充填容器からのガスの供給や分析を行うことから、現場でのガス供給システム全体としての各流路の操作状況を把握する必要があり、こうした管理システムが求められていた。
【0006】
本発明の目的は、充填容器の交換時や充填された高純度ガスの分析操作時あるいは配管部の保守点検時など(以下「容器操作等」という)において、取り付け・取り外し操作に伴う不純物の混入を排除するとともに、簡易な構成によって、高純度ガスの充填容器を迅速な操作で安全に保守管理を行うことができるガス供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示すガス供給システムによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明に係るガス供給システムは、容器バルブが配設された高純度ガスの充填容器と、該充填容器から高純度ガスの供給を受けるプロセス装置と、該プロセス装置と容器バルブを接続する配管部と、該配管部に設けられた圧力調整部および圧力検出部と、前記配管部にパージガスを供給するパージガス供給装置と、該パージガス供給装置からの流路および配管部との接続部を有するパージガス配管部と、前記各部の動作を制御管理するプロセス制御部と、を有するとともに、
前記配管部の一部として、前記容器バルブとの接合部と、該接合部と容器バルブの中間に設けられた第1バイパス流路と、前記接続部とプロセス装置の中間に設けられた第2バイパス流路を有することを特徴とする。
【0009】
既述のように、容器操作等において必要とされるパージ処理では、パージガスによるパージ後の充填容器に充填された高純度ガスによるパージが不可欠であるとともに、容器操作等中に外気等の混入および流路内部での滞留による純度の低下を如何に排除するかが大きな課題となる。こうした課題に対する検証の結果、パージの対象となる充填容器からプロセス装置までの流路を構成する配管部において、パージガス流路との接続部を基点として、少なくとも充填容器側とプロセス装置側の各々の流路にバイパス流路を配設し、該接続部を操作の切替えの基点とするとともに、パージガスおよび高純度ガスが常時配管部内を流動し、澱む状態を形成しないことによって優れたガス供給システムを構成することができることが判った。また、配管部における圧力変動は、高純度ガスの供給流量や供給圧力の変動のみならず、該配管部のミクロレベルで存在するデッドスペース内の不純物の流出を促すことになり、供給される純度に影響を与える可能性がある。従って、少なくとも2つのバイパス流路によって、パージガスおよび高純度ガス給送時の外部からの不純物の混入防止とともに、これらのガスの給送開始やガスの切替に伴う圧力変動を緩和することによって、厳格な不純物の流出や混入を防止することが可能となった。従って、容器操作等において、取り付け・取り外し操作に伴う不純物の混入を排除するとともに、簡易な構成によって、高純度ガスの充填容器を迅速な操作で安全に保守管理を行うことができるガス供給システムを提供することが可能となった。
【0010】
なお、ここでいう「ガス供給システム」は、容器バルブ以降の流路および付随する部品や操作部によって充填容器内の高純度ガスをプロセス装置(分析装置を含む装置を含む)に供給するシステムをいい、充填容器内において気体または液体あるいは混同体を形態とする物質を、気体状態でプロセス装置に供給するものが含まれる。また、「配管部」は、充填容器からプロセス装置までの配管およびこれらに配設される開閉弁や圧力計等を含む。
【0011】
本発明は、上記ガス供給システムであって、前記プロセス装置が分析装置を含む装置であり、前記パージガスおよび高純度ガスについて、その純度およびその経時変化を分析することを特徴とする。
【0012】
精度の高い高純度ガスの供給においては、充填容器内のガスの純度の管理とともに、当該ガスの純度を分析する操作における不純物の混入を防止することが不可欠である。特に分析操作では、容器バルブと接合部との取付け、接合および取外しの操作において、不純物の混入の危険性が非常に高いことから、こうした課題に対して本発明に係るガス供給システムの適用は、非常に効果的となる。
【0013】
本発明は、上記ガス供給システムであって、前記配管部のパージ操作において、少なくとも、
(1)前記容器バルブへの配管部の取付け準備操作として、
前記パージガス供給装置から配管部にパージガスを供給し、前記第1バイパス流路にパージガスを給送するとともに、前記接合部から排出されるパージガス流量を設定する
(2)前記容器バルブへの配管部の取付け操作として、
前記操作(1)を維持し、前記接合部からパージガスが排出される状態で、前記接合部を容器バルブに取付け、所定時間容器バルブをパージした後に接合する
プロセス装置への高純度ガスの供給操作として、少なくとも、
(3)プロセス装置への高純度ガスの供給準備操作として、
前記容器バルブを開とし、前記第1バイパス流路のみに高純度ガスを給送した後、第1バイパス流路および前記第2バイパス流路に高純度ガスを給送する。その後、第1バイパス流路のみへの給送に切替えた後、再度第1バイパス流路および第2バイパス流路に給送する。これを、予め設定された回数繰り返し行う
(4)プロセス装置への高純度ガスの供給操作として、
前記操作(4)を維持した状態で、前記第2バイパス流路から切替えて前記プロセス装置に高純度ガスを給送する
ことを特徴とする。
【0014】
容器操作等におけるパージ操作においては、これを多く繰返すことによってパージ効果を確実に高めることができる一方、(a)容器バルブと接合部との接続時の不純物の混入の排除が重要となるとともに、(b)パージガスから高純度ガスへの切替え時のプロセス装置へのパージガスの混入の排除が重要となる。本発明では、(a)に対し、こうした不純物の混入の排除を確実に行うために、パージガスの接合部からの流出を確実に行う手法および手順を確立するとともに、(b)に対し、パージガスの混入の排除を確実に行うために、接続部とプロセス装置の間に第2バイパス流路を設け、パージガスを確実に流出させることを可能にした。特に(a)処理中においては、接続部とプロセス装置の間の流路へのパージガスの給送を停止し、そこに滞留した高純度ガスとの混入を回避するとともに、(b)への切替え時に、滞留した高純度ガスとともに、第2バイパス流路から排出することによって、パージガスの混入防止の確実を図ることができる。
【0015】
なお、「パージ操作」とは、容器操作等における清浄化のために行う操作だけではなく、実際にプロセス装置にガスを供給することができる状態とするために、本ガス供給システムに対して行うあらゆる操作をいう。
【0016】
本発明は、上記ガス供給システムであって、前記接続部のパージガス流路側に開閉弁を設けるとともに、該開閉弁の開閉を、前記圧力検出部の出力あるいは前記配管部とパージガス流路の圧力差によって設定し、設定圧力よりの変化によって自動的に閉状態とすることを特徴とする。
【0017】
後述するように、本ガス供給システムにおいては、パージ操作時のパージガスから高純度ガスへの切替えは、必ずしも開閉弁を使用する必要はなく、各ガスの供給圧力の差異を利用することが可能である。また、システム異常の発生や、多数の充填容器の取扱いを行うガス供給システムにおいては種々の圧力のガスが充填された容器を対象とすることがあり、高純度ガスのパージガス流路への逆流を防止する観点からも、切替え時の混入防止をさらに確実とするためことが好ましい。本発明では、配管部に設けられた圧力検出部の圧力あるいは配管部とパージガス流路の圧力差をモニタし、その変動に伴い、開閉弁を作動(閉状態)とすることによって、常に一定の条件で、パージガスと高純度ガスを絶縁しながら安定的に供給することができる。
【0018】
本発明は、上記ガス供給システムであって、前記プロセス制御部が、前記配管部およびパージガス配管部の各流路に存在するガス種・圧力・流量を表示・操作する機能を有することを特徴とする。
【0019】
本ガス供給システムに係る技術思想は、1つの充填容器あるいは1つのプロセス装置のみを有するシステムだけではなく、複数の充填容器あるいはプロセス装置を有するシステムにも適用可能であり、実機ではそうしたシステムが多く要求される。このとき、パージガス供給装置は複数設ける必要もない反面、複数の配管部に供給されるパージガスと高純度ガスの条件は時々刻々変化するためこれらを正確に把握することが要求される。本発明は、プロセス制御部が、こうした輻輳する配管部およびパージガス配管部の各流路に存在するガス種・圧力・流量を表示・操作する機能を有することによって、可視的に把握することができ、かつ確実に操作を行い、ミスを低減することができる。従って、簡易な構成によって、高純度ガスの充填容器を迅速な操作で安全に保守管理を行うことができるガス供給システムを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、容器操作等において、パージガス流路と高純度ガス流路を、両者の接続部を基点に互いに混合・混入しないような流路を形成することによって、取り付け・取り外し操作に伴う不純物の混入を排除するとともに、簡易な構成によって、高純度ガスの充填容器を迅速な操作で安全に保守管理を行うことができるガス供給システムを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ここでは、容器バルブが配設された高純度ガスの充填容器と、該充填容器から高純度ガスの供給を受けるプロセス装置と、前記プロセス装置と容器バルブを接続する配管部と、該配管部に設けられた圧力調整部および圧力検出部と、前記配管部にパージガスを供給するパージガス供給装置と、該パージガス供給装置からのパージガス流路および配管部との接続部を有するパージガス配管部と、前記各部の動作を制御管理するプロセス制御部とを有し、配管部の一部として、容器バルブとの接合部と、容器バルブと接続部の中間に設けられた第1バイパス流路と、接続部とプロセス装置の中間に設けられた第2バイパス流路を有するガス供給システムを基本とする。
【0022】
<本発明に係るガス供給システムの基本構成例>
図1は、本発明に係るガス供給システム(以下「本システム」という)の基本構成を例示する概略図である。以下、本システムが、高純度ガスが充填された充填容器1が設置され、充填容器1内の高純度ガスの純度を分析するシステムに適用された場合を想定する。充填容器1は、その上部に設けられた容器バルブ1aから内部の高純度ガスを供出する。容器バルブ1aには配管Loが接合部Soを介して接続され、さらに、配管La,配管Lb,配管Lc,配管Ld,配管Lpと連なる配管部Lを構成し、高純度ガスの供給を受ける分析装置2(「プロセス装置」に相当する)と接続される。配管Laには、流量調整弁Faが設けられる。配管LaとLbの間には第1バイパス流路B1が接続され、これに繋がる圧力調整弁R1(「圧力調整部」に相当)によって、配管LaとLbに流れるガスの一部を排出しながら所定の供給圧力に調整される。調整された圧力は、圧力計P1(「圧力検出部」に相当)によってモニタされる。配管LbとLcの間には分岐可能な接続部Sが設けられ、開閉弁Vsを介してパージガス流路Lsと接続される。配管Lcは開閉弁Vcを介して配管Ldと接続され、配管Ldは三方切替弁Vpを介して配管Lpと接続され、配管Lpは分析装置2と接続される。三方切替弁Vpの他の一方は、逆止弁F2が設けられた第2バイパス流路B2が接続される。逆止弁F2は、外部からのガスの混入を防止するとともに、絞り弁の機能を果たし、第2バイパス流路B2の圧力を安定化し、排出量を制限することができる。
【0023】
一方、パージガス配管部は、パージガス流路Lsと接続部Sから構成され、パージガス流路Lsは、パージガス供給部3a,圧力調整弁R3,流量調整弁F3および開閉弁V3を有するパージガス供給装置3と接続するとともに、パージガス供給装置3と開閉弁Vsの間に、流量調整弁Fsおよび第3バイパス流路B3が接続される。第3バイパス流路B3には圧力計P3および流量計M3が設けられる。
【0024】
本システムでは、流量計M4を有するパージガスモニタ部4が設けられ、充填容器1へのパージガスの接続前にパージガス流量を確認することができることを特徴とする。パージガス流量が過剰となった場合、充填容器1と配管Loを接続する際に噴出しが多くなり接続が困難となり、また、さらに過剰な場合は、作業環境に対して、不活性ガスをパージガスに用いた場合には酸素不足状態、酸素ガスなどを用いた場合には酸素過剰状態による危険が生じる可能性がある。逆に、待機中あるいは接続操作時におけるパージガスの流通を点検・確認することも可能である。なお、流量計M4の後段に、逆止弁(図示せず)を設け、モニタ中の外部からのガスの混入を防止するとともに、絞り弁の機能を生かし、モニタの安定化を図ることが可能である。
【0025】
分析装置2は、高純度ガスの純度の分析、つまり不純物が所定の濃度以下であることを確認するために、一般に、複数の分析計2a,2b・・を用いて複数成分の濃度を測定する。例えば、高純度の窒素ガスや酸素ガスなどの充填容器1の場合、水分測定用の露点計や微量の二酸化炭素などを測定する赤外線式ガス分析計あるいは炭化水素などを測定するガスクロマトグラフィ式ガス分析計などが用いられる。また、アルゴンガスや窒素ガスなど酸素を含まない高純度ガスの充填容器1の場合には、さらに微量の酸素を測定する電気化学式酸素分析計などが用いられる。なお、図1では、各分析計2a,2bの校正用としてパージガスを用いる場合を例示する。つまり、パージガス流路Lsを分岐して校正用ガス流路Ltが設けられ、開閉弁Vtおよび三方切替弁Vuを介して配管Lpと接続されている。三方切替弁Vuの他の一方は、逆止弁Fuが設けられた第4バイパス流路B4が接続される。逆止弁Fuは、外部からのガスの混入を防止するとともに、絞り弁の機能を果たし、第4バイパス流路B4の圧力を安定化し、排出量を制限することができる。
【0026】
ここで、本システムの対象となる高純度ガスとしては、充填容器1の内部においてガス状の各種気体や液化ガスあるいはこれらの混合体を形態とするものを含む。具体的には、酸素や窒素や水素あるいはアルゴンなどの圧縮ガス、半導体製造プロセスなどで使用される特殊材料ガス(NH,BCL,CL,SiHCL,Si、HF、C、WF等に代表される蒸気圧の低い液化ガス)、二酸化炭素などの液化ガスなどを挙げることができる。また、パージガスとしては、入手が容易で、比較的安価で、上記高純度ガスに対応して反応性あるいは不純物とならず、かつ不純物の非常に少ないガスが好ましく、一般に窒素ガスなどの不活性ガスあるいは高純度空気を対象とする場合などには精製された空気を用いることができる。
【0027】
充填容器1から供出された高純度ガスは、配管Loから送気され、第1バイパス流路B1に設けられた圧力調整弁R1によって供給圧力が調整されるとともに、第2バイパス流路B2にその一部を排出しながら、分析装置2へ供給される。高純度ガスの供給のON/OFFは、容器バルブ1aの開閉とともに、開閉弁Vcおよび三方切替弁Vpによって制御される。
【0028】
ここで、第1バイパス流路B1に設けられた圧力調整弁R1による配管部Lを流通するガスの一部の排出および圧力調整は、本システムにおいて重要な役割を果たす。つまり、配管部Lにおける圧力変動は、高純度ガスの供給流量や供給圧力の変動のみならず、配管部Lのミクロレベルで存在するデッドスペース内の不純ガス(その時点において充填容器あるいはパージガス供給装置から供給されているガスと異なるガス)が流出し混入する可能性がある。また、配管部Lの高純度ガスの供給流路に圧力調整弁R1を設けた場合にも同様に、圧力調整弁R1内の流路にパージガスあるいは高純度ガス以外の不純ガスが残留する可能性がある。従って、第1バイパス流路B1の配設は、こうした可能性を排除し、パージガスあるいは高純度ガス以外の成分を配管部Lから排除するためにも有効である。
【0029】
また、第2バイパス流路B2の配設は、パージガスから高純度ガスの供給切替時における配管部Lに滞留するパージガスの排出に有効である。つまり、開閉弁Vcを開状態にして高純度ガスを給送すると、配管部L内のパージガスが順に押し出されるように、第2バイパス流路B2から排出される。このとき、開閉弁Vcが閉状態では、配管Lcには拡散以外でパージガスはほとんど移送されることはなく、配管Ld〜Lp〜分析装置2の流路は、閉状態が維持されていることから、いずれも不純物の混入のおそれはない。従って、この状態で開閉弁Vcを開状態にし、第2バイパス流路B2に高純度ガスを給送すると、不純物のない配管Lc,Ldのガスが順に第2バイパス流路B2に押し出され、不純物の混入を排除しながら、パージガスから高純度ガスの供給を切替えることができる。さらに第2バイパス流路B2によって、パージガスおよび高純度ガスへの切替に伴う圧力変動を緩和することによって、厳格な不純物の流出や混入を防止することができる。
【0030】
パージガス供給部3aから供出され、圧力調整弁R3で圧力を調整され、流量調整弁F3で流量調整されたパージガスは、第3バイパス流路B3にその一部を排出しながらパージガス流路Lsから送気され、接続部Sを介して配管部Lに給送される。給送されたパージガスは、第1バイパス流路B1に設けられた圧力調整弁R1によって供給圧力が調整され、流量調整弁FsおよびFa(流量調整弁Faは微調整用として使用することができる)によって所定の流量に調整されるとともに、まず、接合部Soによってパージガスモニタ部4に接続された配管Loを介して流量計M4に給送され、流量をモニタされる。このとき開閉弁Vcを閉とすることによって、配管Lcには拡散以外でパージガスはほとんど移送されることはない。次に、接合部Soをパージガスモニタ部4から取外して、容器バルブ1aに接続され、容器バルブ1aを清浄化する。パージガスの供給のON/OFFは、開閉弁V3,Vsによって制御される。
【0031】
ここで、開閉弁Vsの開閉を圧力計P1の出力あるいは前記配管部とパージガス流路の圧力差によって設定し、設定圧力に対する所定範囲を超える変化が生じた場合に自動的に閉状態とすることが好ましい。つまり、システム異常の発生など何らかの不具合の発生し、いずれかの給送圧力が低下した場合、以下のような問題が生じる可能性がある。
(i)圧力計P3の圧力値が、圧力計P1の圧力値よりも大きい場合、配管Lcにパージガスが混入し分析装置2に給送される高純度ガスの純度を低下されるおそれがある。
(ii)圧力計P3の圧力値が、圧力計P1の圧力値よりも小さい場合、パージガス流路Lsに高純度ガスが混入するおそれがある。ただし、その差が所定の範囲内であれば、混合したガスは第3バイパス流路B3から排出されることによって、パージガス供給装置3まで影響を及ぼすことはない。所定の範囲を超えた場合には、混入した高純度ガスによってパージガス流路Lsが汚染されるおそれがある。
従って、接続部Sのパージガス流路側に開閉弁Vsを設け、圧力計P3と力計P1の圧力差が所定値を超えた場合には、開閉弁Vsを閉状態とすることによって、常に一定の条件で、パージガスと高純度ガスを絶縁しながら安定的に供給することができる。
【0032】
<本システムを用いたガス供給方法>
本システムを用いたガス供給方法は、図2に例示するように、パージ操作を第1ステップとして高純度ガスを充填容器から供給することが可能な状態を形成し、高純度ガス供給操作を第2ステップによって実際にプロセス装置(分析装置)にガス供給する状態を形成する。また、本システムに対するパージ操作は、(1)配管部の取付け準備操作および(2)配管部の取付け操作から形成され、高純度ガス供給操作は、(3)供給準備操作および(4)供給操作から形成される。以下、充填容器1内の高純度ガスの純度を分析する場合を概括的に説明する。
【0033】
〔配管部のパージ操作〕
本システムを用いたガス供給方法の第1ステップとして、容器操作等における配管部のパージ操作は、図3A(A)〜図3B(E)に例示するような流路にパージガスを給送することによって行うことができる。以下に、その具体的な手順を詳述する。
【0034】
(1)容器バルブへの配管部の取付け準備操作として、
(1−1)容器バルブ1a、開閉弁Vc,VsおよびV3、三方切替弁Vpを閉とする。
(1−2)配管Loをパージガスモニタ部4に接続する。具体的には、図3A(A)に示すように、接合部Soをパーパージガスモニタ部4の取合部に接続する。
(1−3)パージガス供給装置の作動開始:パージガス供給装置3を作動し、パージガス供給部3aからのパージガスの給送を開始する。具体的には、開閉弁V3を開とし、圧力調整弁R3による圧力調整、流量調整弁F3による流量調整を行い、第3バイパス流路B3からパージガスを少量排出させることによって、パージガスの配管部Lへの供給準備を行うことができる。安定状態になったことは、圧力計P3および流量計M3によって確認することができる。例えば、高純度ガスの純度の分析用の本システムにおいては、供給圧力0.1〜0.2MPa,流量1〜2L/min程度に設定することによって、以下の操作に伴う条件変化に対応することが可能であり好適である。
(1−4)配管部へのパージガスの供給:接続部Sを介して配管部Lにパージガスを供給する。具体的には、開閉弁Vsを開とし流量調整弁Fsを調整することによって、第3バイパス流路B3からパージガスを少量排出させながら、配管Lb,La,Loを介してパージガスモニタ部4へパージガスを給送すると同時に、第1バイパス流路B1へのパージガスの給送を行うことができる。このときのパージガスの状態を、図3A(B)ドット部の流路に示す。容器バルブ1aの一端は、大気に晒された状態にあり、分析装置2(図示せず)に繋がる配管Lpは、パージガスの流路と、開閉弁Vc,配管Ldおよび三方切替弁Vpを介して完全に絶縁される。
(1−5)パージガスの圧力調整:配管部Lに給送されるパージガスの圧力調整を行う。具体的には、第1バイパス流路に設けられた圧力計P1をモニタとして、圧力調整弁R1によって調整する。例えば、本システムにおいては、0.02〜0.1MPa程度に設定することによって、以下の操作に伴う条件変化に対応することが可能であり好適である。
(1−6)パージガス流量の設定:配管Loに供給されるパージガス流量を設定する。具体的には、パージガスモニタ部4に設けられた流量計M4をモニタとして、流量調整弁Fsによって調整し配管Laに設けられた流量調整弁Faによって微調整を行う。例えば、本システムにおいては、0.5〜1L/min程度に設定することによって、以下の操作に伴う条件変化に対応することが可能であり好適である。
【0035】
(2)前記容器バルブへの配管部の取付け操作として、
(2−1)上記(1−6)の状態を維持し、配管Loからパージガスが排出される状態で、接合部Soをパージガスモニタ部4から取外す。
(2−2)図3B(C)に示すように、容器バルブ1aに、接合部Soとの間からパージガスが排出される状態で、接合部Soを取り付ける。
(2−3)上記(2−2)の状態を所定時間(例えば1〜10sec)維持し、容器バルブ1aのパージを行う。このときのパージガスの状態を、図3B(D)ドット部の流路に示す。大気に晒された状態にあった容器バルブ1aの一端は、パージガスが流れた状態で接続されることによって清浄化される。
(2−4)所定時間(例えば1〜10sec)経過後、容器バルブ1aに接合部Soを接合し、配管Loが充填容器1に接続された状態を形成する。このときのパージガスの状態を、図3B(E)ドット部の流路に示す。「圧力計P1の測定値<圧力計P3(図示せず)の測定値」となるので、自動的に配管Lおよび第1バイパス流路B1のパージが開始される。第1バイパス流路B1の圧力は徐々に上昇するので、滞留部から不純物が持ち出されることなく、拡散により一部が排除される。
【0036】
このとき、上記操作(2−2)〜操作(2−4)を、所定の回数(例えば、数〜10数回)繰返し行うことによって、容器バルブ1aのパージガスによる清浄化を行うことができる。なお、必要に応じて、容器バルブ1aの加温あるいはパージガスの加温(例えば配管Loの外周の加温等)を行うことによって、清浄効果を高めることができる。
【0037】
上記のようなパージ操作を行うことによって、大幅に分析装置2に給送される高純度ガスへの不純物の混入を低減することできる。つまり、接合部Soの取付け時に、容器バルブ1aの開口部に対し正面からパージガスが噴射されることによって容器バルブ1aの接ガス細部まで清浄化を行うことができるとともに、接合部Soと容器バルブ1aとの僅かな隙間からの排出であることから、確実なパージ操作を少量のパージガスによって効率的に行うことができる。
【0038】
〔分析装置への高純度ガスの供給操作〕
本システムを用いたガス供給方法の第2ステップとして、容器操作等における分析装置への高純度ガスの供給操作は、図4A(A)〜図4B(E)太線部に例示するような流路に高純度ガスを給送することによって行うことができる。以下に、その具体的な手順を詳述する。
【0039】
(3)プロセス装置への高純度ガスの供給準備操作として、
(3−1)開閉弁Vsを閉とした後、図4A(A)に示すように、容器バルブ1aを開状態とする。
(3−2)上記(3−1)の状態を所定時間(例えば1〜10sec)維持し、配管LoおよびLaを介して、第1バイパス流路B1に高純度ガスを給送する。これによって、配管LoおよびLa内のパージガスは、第1バイパス流路B1から排出される。このときの配管部Lにおける圧力および第1バイパス流路B1への排出流量は、上記(1−5)および(1−6)と同様の条件となる。また、このときの高純度ガスの状態を、図4A(B)ドット部の流路に示す。配管Laおよび第1バイパス流路B1のパージガスが、高純度ガスに置換され、排出される。容器バルブ1a内の残留ガスも、同様に排出される。
(3−3)上記(3−2)の状態を所定時間(例えば1〜10sec)維持した後、開閉弁Vcを開状態とする。
(3−4)上記(3−3)の状態を所定時間(例えば1〜10sec)維持し、配管LbおよびLcを介して、第2バイパス流路B2に高純度ガスを給送する。つまり、第1バイパス流路B1および第2バイパス流路B2に高純度ガスが給送される。これによって、配管Lb内に残留していたパージガスは、第2バイパス流路B2から排出される。このときの配管部Lにおける圧力は、上記(1−5)と同様の条件となり、第2バイパス流路B2への排出流量は、容器バルブ1aおよび逆止弁F2の絞り機能によって調整される。例えば、本システムにおいては、上記(1−6)と同様0.5〜1L/min程度に設定することが好適である。このときの高純度ガスの状態を、図4A(C)ドット部の流路に示す。配管Lb〜Ldおよび第2バイパス流路B2に残留するガスが、高純度ガスに置換され、排出される。
(3−5)上記操作(3−2)〜(3−4)を、予め設定された回数(例えば、数〜10数回)繰返し行う。これによって、容器バルブ1aから配管Lo〜Lcまでの配管部Lおよび第1バイパス流路B1,B2の圧力上昇と下降が繰り返され、高純度ガスによるパージを行うことができる。
【0040】
(4)分析装置への高純度ガスの供給操作として、
(4−1)前記操作(3−5)を維持した状態で、三方切替弁Vpを作動させる。
(4−2)第2バイパス流路B2に給送されていた高純度ガスが、配管Lpを介して分析装置2(図示せず)に給送されることによって、高純度ガス中の不純物の濃度を測定し、その純度を分析することができる。このときの高純度ガスの状態を、図4B(D)ドット部の流路に示す。三方切替弁Vpから高純度ガスが導入され、不純物をほとんど含まない高純度ガスが配管Lpから分析計2a及び2b(図示せず)に給送される。
【0041】
(5)分析装置へのパージガスの供給操作として、
上記操作の間、分析装置2に対して校正用ガス流路Ltを介して、校正用ガスとしてパージガスを供給することができる。具体的には、図4B(E)に示すように、三方切替弁VuをOFFとして第4バイパス流路B4に接続した状態で、開閉弁Vtを開/閉させることによって校正用ガス流路Ltをパージした後、開閉弁Vtを開とし、三方切替弁Vuを作動させることによって、配管Lpを介して分析装置2にパージガスを供給することができる。これによって、分析計2aおよび2bの校正を行い、精度の高い高純度ガスの分析に備えることができる。
【0042】
上記のような高純度ガスの供給操作によって、清浄化された配管部L内パージガスを残留することなく放出した状態で、充填容器1内の高純度ガスを、不純物の混入なく分析装置2へ供給することできる。図5(A)は、上記の操作における開閉弁Vc,Vtおよび三方切替弁Vp,Vuの動作を例示する。高純度ガスによる配管部Lの繰り返しパージとその間のパージガスによる分析装置2の校正、その後の分析装置2による高純度ガスの分析工程を示している。
【0043】
図5(B)は、例えば、下表1に示すように、高純度窒素ガス中の不純物である酸素や水分等を分析した場合を示す。酸素分析計のフルスケール(Fs)0−0.5ppmに対し、分析値の10sec内での変動が0.5Fs%以内となったときの値を分析値として採用した(0.1ppm以下)。
【表1】

【0044】
このように、分析装置2を含むシステムにおいては、パージガスおよび高純度ガスについて、その経時変化を分析することが好適である。つまり、精度の高い高純度ガスの供給においては、充填容器内のガスの純度の管理とともに、当該ガスの純度を分析する操作における不純物の混入(特にパージ操作時の混入)の防止が重要な課題となる。また、流路の切替え等に伴う測定条件の変化があっても、こうした影響は、徐々に安定化する。従って、上記検証結果に示すように、パージガスの分析および分析値の経時変化を追跡し安定な分析値をもって最終的な分析値とすることは、正確な純度を分析する上において非常に有用である。
【0045】
<本システムの他の構成例>
図6は、本発明に係るガス供給システムの他の構成例(第2構成例)を示す概略図である。第2構成例は、基本は本システムと同様の構成であるが、配管部が複数配設され(L1,L2,・・)、1つの分析装置2に接続される構成によって、複数の充填容器(11,12,・・、図6では1つの充填容器11)を接続して分析することができるとともに、パージ操作と高純度ガスの供給操作を並行して行うことができることから、操作効率の高いガス供給システムを構成することができる点において優れている。
【0046】
具体的には、配管部L1,L2を有するガス供給系において、配管部L1のパージ操作を行い(上記操作(1)「配管部の取付け準備操作」に相当)、配管部L2を有するガス供給系において、分析装置2への高純度ガスの供給操作を行っている(上記操作(4)に相当)状態を、図6に示す。
【0047】
<本システムを適用したガス供給制御システム>
図7(A)および(B)は、本システムを構成するプロセス制御部(以下「本制御部」という)の機能を例示する。本制御部は、1つに、配管部およびパージガス配管部の各流路に存在するガス種・圧力・流量を表示・操作する機能を有する。図7(A)に示すように、複数(6つ)のガス供給系を有するガス供給システムにおいて、複数の配管部に供給されるパージガスと高純度ガスの条件は時々刻々変化するため、これらを正確に把握することが要求される。本制御部は、こうした輻輳する配管部およびパージガス配管部の各流路に存在するガス種等を表示・操作することによって、可視的に把握することができ、確実に操作を行い、ミスを低減することができる。具体的には、本システムを全自動で動作させ、特定の充填容器の高純度ガスの分析に際しては、配管Loの接続、容器バルブ1aの開動作および分析操作のための情報を入力すれば、上記操作(1)〜(4)および分析結果の記録や保存まで完全に自動で行われる。
【0048】
さらに、圧力調整弁あるいは流量調整弁を制御し、各流路の圧力や流量を操作する機能を有する本制御部を用いることによって、本システムにおける各種の危険性を正確に把握し処理することができる。例えば、上記のように開閉弁Vsを用いない場合におけるパージガスと高純度ガスとの混合の可能性についても、開閉弁Vsの位置の両側のガスの圧力と流量から両側に存在するガス種を特定することによって、正確な判断をすることができる。また、その状態の変化があった場合には、変化率や変化の方向(圧力上昇か低下か)などから、自動的に関係する圧力調整部あるいは流量調整部を調整し、適正な状態に戻すこともできる。
【0049】
また、本制御部において、こうした各流路に存在するガス種・圧力・流量の表示・操作する機能に加え、異常の発生あるいは制御不能な状態の発生を検知し警報を出力する機能することが好ましい。こうした機能によって、常に高純度ガスの純度の分析値が正確であることを確認することが可能となる。具体的には、図7(B)に例示するように、「圧力異常」あるいは「差圧異常」などの表示部が点燈し、アラーム表示される。ここで、「圧力異常」は、例えば配管部あるいはパージガス配管部の圧力が、高過ぎたり低すぎたりした場合に表示される。また、「差圧異常」は、例えば配管Lbの圧力とパージガス流路Lsの圧力との差が異常である場合に表示され、分析値の異常や充填容器1あるいはパージガス供給装置3の汚染の可能性があるため、同時にインターロックが働く。
【0050】
このように、センサや検出部からの出力から、各流路や配管部あるいは特定の部位の異常を表示することによって、可視的に把握することができ、保守や修理を確実に行い、システムの機能の回復を図るとともに、他の操作による二次的な瑕疵を回避することができる。さらに、予め圧力や流量などの許容範囲を設定し、現状異常はなくても、劣化の傾向の有無あるいは保守が必要な時期・必要な部品等を表示することによって、予防的な保守を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上記においては、主として半導体あるいは各種製造プロセスに用いる高圧ガスや高純度ガスなどの充填ガスについて、その純度や不純物などの分析システムについて述べたが、本発明は、こうした産業用のみならず病院のガス供給設備などの民生用の高純度ガス供給システムにも適用することができる。また、分析機器に代え、充填ガスの利用設備あるいは他の充填容器を配設することによって、充填ガスの供給システムや分配充填システムを構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るガス供給システムの基本構成例を示す概略図
【図2】本発明に係るガス供給システムを用いたガス供給方法の操作手順を例示する説明図
【図3A】本発明に係るガス供給システムにおけるパージガスの給送流路を例示する概略図
【図3B】本発明に係るガス供給システムにおけるパージガスの給送流路を例示する概略図
【図4A】本発明に係るガス供給システムにおける高純度ガスの給送流路を例示する概略図
【図4B】本発明に係るガス供給システムにおける高純度ガスの給送流路を例示する概略図
【図5】本発明に係るガス供給システムにおける開閉弁あるいは三方切替弁の動作を例示する概略図
【図6】本発明に係るガス供給システムの他の構成例を示す概略図
【図7】本発明に係るガス供給システムを構成するプロセス制御部の機能を例示する説明図
【図8】従来技術に係る高純度ガス供給装置を例示する概略図
【符号の説明】
【0053】
1 充填容器
1a 容器バルブ
2 分析装置(プロセス装置)
2a,2b 分析計
3 パージガス供給装置
3a パージガス供給部
4 パージガスモニタ部
B1〜B4 バイパス流路
Fa、Fu,F3 流量調整弁(流量調整部)
L,L1,L2 配管部
La〜Ld,Lo,Lp 配管
Ls パージガス流路
Lt 校正用ガス流路
M3 流量計
P1,P3 圧力計(圧力検出部)
R1,R3 圧力調整弁(圧力調整部)
S 接続部
So 接合部
Va,Vc,Vs,Vt,V3 開閉弁
Vp,Vu 三方切替弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器バルブが配設された高純度ガスの充填容器と、該充填容器から高純度ガスの供給を受けるプロセス装置と、該プロセス装置と容器バルブを接続する配管部と、該配管部に設けられた圧力調整部および圧力検出部と、前記配管部にパージガスを供給するパージガス供給装置と、該パージガス供給装置からのパージガス流路および配管部との接続部を有するパージガス配管部と、前記各部の動作を制御管理するプロセス制御部と、を有するとともに、
前記配管部の一部として、前記容器バルブとの接合部と、該接合部と容器バルブの中間に設けられた第1バイパス流路と、前記接続部とプロセス装置の中間に設けられた第2バイパス流路を有することを特徴とするガス供給システム。
【請求項2】
前記プロセス装置が分析装置を含む装置であり、前記パージガスおよび高純度ガスについて、その純度およびその経時変化を分析することを特徴とする請求項1記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記配管部のパージ操作において、少なくとも、
(1)前記容器バルブへの配管部の取付け準備操作として、
前記パージガス供給装置から配管部にパージガスを供給し、前記第1バイパス流路にパージガスを給送するとともに、前記接合部から排出されるパージガス流量を設定する
(2)前記容器バルブへの配管部の取付け操作として、
前記操作(1)を維持し、前記接合部からパージガスが排出される状態で、前記接合部を容器バルブに取付け、所定時間容器バルブをパージした後に接合する
とともに、プロセス装置への高純度ガスの供給操作として、少なくとも、
(3)プロセス装置への高純度ガスの供給準備操作として、
前記容器バルブを開とし、前記第1バイパス流路のみに高純度ガスを給送した後、第1バイパス流路および前記第2バイパス流路に高純度ガスを給送する。その後、第1バイパス流路のみへの給送に切替えた後、再度第1バイパス流路および第2バイパス流路に給送する。これを、予め設定された回数繰り返し行う
(4)プロセス装置への高純度ガスの供給操作として、
前記操作(4)を維持した状態で、前記第2バイパス流路から切替えて前記プロセス装置に高純度ガスを給送する
ことを特徴とする請求項1または2記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記接続部のパージガス流路側に開閉弁を設けるとともに、該開閉弁の開閉を前記圧力検出部の出力あるいは前記配管部とパージガス流路の圧力差によって設定し、設定圧力に対する所定範囲を超える変化が生じた場合に自動的に閉状態とすることを特徴とする請求項3記載のガス供給システム。
【請求項5】
前記プロセス制御部が、前記配管部およびパージガス配管部の各流路に存在するガス種・圧力・流量を表示・操作する機能を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−228887(P2009−228887A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78595(P2008−78595)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000109428)日本エア・リキード株式会社 (53)
【Fターム(参考)】