説明

ガラスまたはガラスセラミックス

【課題】希土類イオンで高水準のドープを行うのに根本的に適しているガラスまたはガラスセラミックスを開示する。
【解決手段】少なくとも構成成分SiO2、Al23およびY23を含んでおり、好ましくは希土類イオンでドープされているガラスおよびガラスセラミックスを開示する。Y23の重量と、SiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率は、少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.4以上である。希土類イオンが、前記ガラスから析出される高濃度のイットリウム含有量で、結晶相に取り込まれることができることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスまたはガラスセラミックス、およびその好適な使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光源は、通常放電ランプおよび固体ランプに分類される。汎用照明および車載照明用途すなわち、ハロゲンランプ等の絶対輝度が必要とされる用途では、固体ランプの中で、熱発光体が主として使用される。さらに、たとえば無機LED等の発光放射体の形態を有する固体発光源がこれまで知られている。
一般にLEDは多くの特性を兼ね備えているため非常に有利である。その特性とは以下のようなものである。電気エネルギーを光エネルギーに直接変換する結果、高性能であること。小型形状であること(点状の放射体であり照明系に対して設計選択範囲が広くなる。)。異なる発色が可能であること(色混合の考え方を使用して、動的に光を調和させることができ、ユーザ指向の照明が可能となる。)。
【0003】
しかしながら、数年前までは、LEDは低強度発光の用途として特にディスプレイ用にのみ使用されていた。ところが、最近、より高度な光を必要とする用途のためにLEDの有する重要な可能性が認識され、LEDへのエネルギー導入を向上させるため、およびLEDにおける熱管理を向上させるために多くの努力がなされた。しかし一般の照明目的、または車載照明用途でLEDをより徹底的に利用するために以下のことを視野に入れて、設計と使用材料との一層の調整がさらに必要とされる。すなわち、
−効率をさらに高めること(蛍光灯の範囲まで、すなわちおよそ100 lm/W)、
−さらに明るさを増すために絶対的なエネルギーの導入を高めること(50から2000 lm)、
−光の放出を向上させること、
−できるだけ理想的な白い色感覚を作り出すために、青色領域または紫外線領域における発光を行う強力なLEDの変換を向上させること、
−LED中で使用する材料の熱的およびUVに対する長期間の安定性を向上させること。
【0004】
LEDは、非常に狭いスペクトル領域の光を生成するが、照明目的では一般に白色光が要求される。市販の白色LEDはIII−V族半導体発光体を使用して、より低い波長領域の二次的な波長を発光する発光材料を励起する(ダウンコンバージョン)。これまで知られている1つの選択肢では、広帯域黄色蛍光体(YAG:Ce)を励起するために青色InGaN/GaNのLEDを使用する。この蛍光体変換LEDを使用すると、青い発光のある部分は、LEDチップを覆う蛍光体層を通過するので、結果として得られる全体的なスペクトルが白色光に非常に近い色を有するようになる。しかしながらこの場合は、青色/緑色領域および赤色波長領域のスペクトル成分が欠如しているために、ほとんどの場合、発色が不十分である。
【0005】
さらなる手法は、紫外または近紫外領域で発光を行い、フルカラー蛍光体システムに結合している半導体発光体を使用することである。これによって、満足な発色の白色光源を得ることができることが認められている(下記非特許文献1参照)。
この場合、蛍光体粒子は、エポキシ樹脂に埋め込まれており、発光層として半導体発光体に塗布されている。
【0006】
望ましいスペクトル領域でLEDによって発光された光を変換するため、かつ特に白色光を発生するために使用される前述の蛍光体層には、使用される蛍光体がエポキシ樹脂に埋め込まれているという事実に起因するある欠点がある。
使用される粒状体が散乱損失を引き起こすからである。半導体発光体上で粒状物質が不均一な分布状態にあると、角度に依存して異なる色彩感覚を与えることになる。さらに、エポキシ樹脂は、多くの点で、特に光学的および機械的性質の面で長期間の安定性を欠いている。また、一般に高輝度を生み出すのにその熱安定性が不十分である。さらに、この型の変換層の製造は複雑であり高価になる。
【0007】
さらに、オキシナイトライドガラスマトリックスを有する蛍光体を使用することが、下記特許文献1で知られており、このものは、
20〜50mol%のCaO、
0〜30mol%のAl23
25〜60mol%のSiO2
5〜50mol%のAlN、
0.1〜20mol%の希土類酸化物、および
遷移金属酸化物を含み、
青色の領域で発光するLEDを使用して白色光を生成する。
【0008】
下記特許文献2では、ハイブリッドLEDを開示しており、そのハイブリッドLEDは、あるLEDによって放射された主として紫外線領域における光スペクトルを、より長い波長の光スペクトルへ発光ガラス体によって変換する。
しかし、下記特許文献2は、発光ガラス体の構造に関して詳細を示していない。
基本的には希土類でドープされており、特に眼科分野でレーザー使用中のフィルターとしてアップワードコンバージョンおよび発光用途に使用される発光ガラスは知られているが、前記先行技術では、十分に高品質であり強度を有する白色光を生成して、たとえば屋内の照明目的に使用できるような発光ガラスは開示されていない。
【0009】
たとえば、下記特許文献3では、発光状態を生成するために希土類陽イオンを含んでいるケイ酸塩ガラスおよびガラスセラミックスが開示されている。これらのガラスおよびガラスセラミックスは、
30〜70mol%のSiO2
最大10mol%までのGeO2
5〜40mol%のMgO、
10〜55mol%のMOを含んでおり、ここで、
Mは、Ca、SrおよびBaから選択される。
【0010】
下記特許文献4では、酸化物の蛍光ガラスが開示されており、これは、
2〜60mol%のSiO2
5〜70mol%のB23
5〜30mol%ROを含んでおり、ここで、
RはMg、Ca、Sr、およびBaから選択される。また、2〜15mol%のTb23またはEu23が発光目的で添加される。
【0011】
下記特許文献5では、アルミノケイ酸塩ガラスが開示されており、これは、
30〜60モル%のSiO2
20〜35モル%のAl23
主としてY23を含む10〜30モル%のイットリウム濃縮物、
希土類酸化物および、
ZrO2を含んでいる。
【0012】
このガラスは生産するには非常に複雑な方法を必要とする。また、このガラスは必要な発光特性を有していない。
【特許文献1】特開2001−214162号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第101 37 641号明細書
【特許文献3】特開2000-281382号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開 0 847 964号明細書
【特許文献5】米国特許第4,530,909号明細書
【非特許文献1】Phys. Stat. Sol.(a)192、第2号、237〜245(2002)、M.R.Krames等:「固体照明のための高性能III族窒化物発光体("High-Power III-Nitride Emitters for Solid-State Lighting")」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような事実を考慮して、本発明の目的は、希土類イオンで高水準のドープを行うのに根本的に適しているガラスまたはガラスセラミックスを開示することであり、これによって低温光源(LEDまたは放電ランプ)からの光を変換するのに可能な限り有利な発光特性を達成できる。さらに、このガラスまたはガラスセラミックスのさらに好適な用途を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、本発明の目的は、少なくとも構成成分SiO2、Al23、およびY23を含み、Y23の重量と、SiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率が、少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.3、特に好ましくは少なくとも0.4であるガラスまたはガラスセラミックスによって達成される。
本発明の目的はこのようにして完全に達成される。
【0015】
本発明は、非常に高濃度なY23を含有するガラスまたはガラスセラミックスを提供する。これによって、一方では、特に好適な発光特性をもたらすために希土類イオンによるドーピングを有効に達成できる。他方では、希土類イオンでのドーピングなしで、種々の好適な用途への展開が可能となるが、その例としては、TFTディスプレイの用途に使用するアルカリ金属を含まない基板、電球用の非常に、熱的に安定したチューブ、ハードディスク用途の高強度の基板材料、または酸化物もしくは金属基板をコーティングするためのターゲット材があげられる。本発明では、また高屈折率を有し、非常に高融点であり、非常に熱的に安定しており、光学目的に使用することができるガラスが製造できる。
【0016】
本発明による材料のさらなる用途としては、いかなる種類の放射をも、異なるエネルギーまたは波長領域を有する異なる放射に変換するための変換物質として使用する用途がある。したがって、本発明による材料は、たとえばX線放射または中性子放射を、可視光線へ変換するために用いてもよい。この点では、特に、シンチレーション用途が興味深い。また、レーザー用途に本発明の材料を使用することは可能であり、ミラーを用いる従来のレーザー用途と対照的に、本発明の材料の発光および分散によって、より広範囲の波長にわたって放射される幅の広い光線を生成するために使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好適な改良例では、本発明のガラスまたはガラスセラミックスは、少なくとも1つの希土類イオンでドーピングされている。これにより、ガラスマトリックスまたは結晶質相の中に希土類イオンが取り込まれるために、イットリウム含有量が多くなるという有利な特性を利用することができる。イットリウムイオンおよび希土類イオンが化学的に非常に類似しているので、これが可能になる。ガラスネットワーク、および結晶相におけるイットリウムの位置(サイト)は、部分的に希土類と置換することができる。この方法で特に有利な発光特性を生み出すことができる。
【0018】
本発明のさらなる形態によれば、SiO2の重量と、SiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率は、高々0.5である。
さらに、Al23の重量と、SiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率は、高々0.6、特に高々0.55が好適である。
これらの限界値を守れば、三相系SiO2−Al23−Y23の特性は希土類イオンを取り込むためのホスト相を生成するために有利に利用できる。
【0019】
ベースガラスの性質に関係なく、本発明はまた、少なくとも部分的に希土類イオンが含まれている結晶質相を含むガラスセラミックスを生成する方法を提案する。
これらの相は、特に相Y3Al512、Y2SiO5、Y2Si27の少なくとも1つであってもよく、アルカリ土類金属および他の酸化物が対応する濃度で存在する場合には、SrAl24、BaMgAl1017、Sr227、Sr4Al1425またはYBO3の少なくとも1つであってもよく、これらは、少なくとも部分的に希土類イオンを取り込むためのホスト相として働く。
【0020】
本発明の好適な改良例においては、本発明のガラスまたはガラスセラミックスの希土類イオンでのドーピングの量は、少なくとも0.1重量%(酸化物基準)、好ましくは少なくとも1重量%、特に好ましくは少なくとも2重量%とする。
このようにすることによって、発光用途で高度な効率を達成することができるようになる。ドーピングに使用する希土類イオンは、たとえば、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Tm、Yb、DyまたはLaを含んでもよい。この場合、これらの希土類中で、単独のものを選択できるし、または混合物をも選択できる。
【0021】
本発明のガラスまたはガラスセラミックスは、さらにたとえばB23,P25、SrO、BaO、CaO、MgO、Ga23、Na2O、K2O、Li2O、TiO2、ZrO2、Ta25等の添加物を含んでいてもよい。
しかしながら、ここで、ZrO2の含有量は、好ましくは5重量%未満まで、好ましくは最大4重量%まで、より好ましくは最大3重量%まで、より好ましくは最大1重量%まで、またはより好ましくは最大0.1重量%までに限定するものとする。または、本発明のガラスまたはガラスセラミックスは、好ましくない汚染がないようにZrO2を全く含まないものとする。
【0022】
本発明によるガラスまたはガラスセラミックスの第1のグループは、少なくとも以下の構成成分を含むものとする。すなわち、酸化物基準の重量%で、
SiO2 5〜50
Al23 5〜50
23 10〜80
23 0〜20
希土類 0.1〜30。
【0023】
この実施形態の好ましい改良例においては、以下の構成成分を含むものとする。すなわち、酸化物基準の重量%で、
SiO2 10〜40
Al23 10〜40
23 20〜70
23 1〜15
希土類 0.5〜15。
【0024】
さらなる好ましい実施形態においては、以下の構成成分を含むものとする。すなわち、酸化物基準の重量%で、
SiO2 15〜35
Al23 15〜35
23 25〜60
23 1〜60
希土類 1〜15。
【0025】
本発明によるガラスセラミックスにおいて、結晶相と残部のガラス含有物との比率は、青色または紫外線スペクトル領域からのLED光の変換によってほぼ白色の色彩感覚が得られるように有利に設定することができる。この場合、残部のガラス相は、著しく多量の希土類イオンを含んでおり、これによって、発光波長前後で、またはその間で広いバックグラウンドを形成するようになる。したがって、前記比率を対応させて設定することによって向上した白色色彩感覚を達成することができる。全体として、本発明によるガラスまたはガラスセラミックスでは、>3600Kである好適な色温度を達成することができ、その場合>85、好ましくは>90、特に好ましくは>95の演色評価数CRIを達成することができる。
【0026】
微結晶の寸法は、出発物質であるガラスをガラスセラミックスに転換するのに使用する熱処理によって、目的にかなうように制御することができる。この場合の微結晶の寸法は、20nmおよび2000nmの間の範囲中にあるものとする。発光された光が、微結晶と散乱相互作用を及ぼさないか、または高々無視できる散乱相互作用を及ぼすように、目的にかなうように微結晶の寸法を設定することが好ましい。この目的のためには、微結晶の寸法は、50〜1000nmの間が好ましく、特に50〜500nmの間に設定するのが好ましい。
【0027】
微結晶の寸法分布、および微結晶間の平均間隔の設定は、セラミック化中の温度管理によって制御することができる。微結晶の狭い寸法分布のための指針値として、第99番目の百分位数に対する微結晶寸法に対する、第99番目の百分位数に対応する微結晶寸法と第50番目の百分位数に対応する微結晶寸法との差の比率[(d99−d50)/d99]が≦10%であることが好ましい。
【0028】
微結晶の狭い寸法分布および非常に均一な微結晶間隔によって、微結晶の寸法より短い波長の光の干渉性(コヒーレントな)散乱が顕著に生じる。励起するUV光の波長以下に微結晶寸法が設定されている場合に、蛍光励起の量子収率を高めるためにこの干渉性散乱を利用する目的が達成される。
本出願においては、「ガラスセラミックス」という用語は、ベースガラス(一般に非晶質である)から始めて、ガラス転移温度Tgを超える管理された熱処理によって結晶化したガラスセラミックスであると解釈するものとする。その際、結晶を析出させ、結晶の寸法および組成を、温度、加熱勾配および加熱時間によって目標に向けて制御する。一般に、ガラスセラミックの開発では避けているような自発結晶によってガラスから生成するセラミックスは、本出願ではガラスセラミックスと見なさないものとする。ガラスセラミックスに関しては、少なくともガラス転移温度まではガラス状態を維持し、目標とする管理された(主として部分的な)結晶化を行なうことが望ましい。
【0029】
LEDとの組み合わせでは、本発明の好ましい改良例において、熱膨張率は、3・10-6-1と7.5・10-6-1との間、好ましくは4.5・10-6-1と7.5・10-6-1との間に設定する。このようにすることによって、本発明によるガラスまたはガラスセラミックスが、LED本体と直接接触することができるようになる。InGaPまたはInGaNの一群からSiまたはIII−V族半導体へ熱膨張率を合わせるために、本発明のガラスまたはガラスセラミックスを直接LED半導体の上に、たとえばPVD(プラズマ蒸着)を使用して直接析出させることもまた可能である。
【0030】
上述の本発明の特徴、および以下に記述する本発明の特徴は、本発明の範囲を外れることなしに、各実例中に記した組み合わせのみならず、他の組み合わせにおいても、または独立した特徴としても使用できることは理解されよう。
さらなる特徴および利点は、例示的な実施形態を図面を参照しつつ示す以下の記述から理解されよう。
【実施例】
【0031】
以下の構成成分(酸化物基準、重量%)を含む第1のガラス(表1、実施例1参照)を溶融した。
SiO2 23.64
23 6.36
Al23 20.91
23 46.36
Eu23 2.73。
【0032】
このガラスを、およそ1550〜1600℃の温度でプラチナルツボ中で溶融し、均質化した。
室温まで冷却し透明なガラスを得た。
本発明によるこの材料は、UV光(λ=250〜400nm)で励起した場合、ガラス状態、およびセラミックス化した状態の双方で明るいオレンジに発光した。
【0033】
図1に、示差熱分析(DTA)の結果を示す。
この材料のガラス転移温度Tgは非常に高く、830℃であった。
さらに加熱すると、様々な結晶相の結晶化温度が得られた。ホウ酸塩相(YBO3)が、「KB」で示す範囲中で生成した。Y2Si27が、K1で示す範囲中で生成した。K2/K3は、Y2Si27相が、様々なアイソタイプ(アイソタイプ:同組成で異なる結晶対称性を有するもの)およびY2SiO5へ転移/再結晶することを示している。ホウ酸塩相はK3とKNとの間の範囲内で溶融した。範囲KNは、結晶化に関係するものであるが詳細に検討されておらず、イットリウムシリケートの形成であろう。
【0034】
図2は、図1に示した例示的な実施形態のガラスセラミックスの熱処理(850℃で3時間、1050℃で1時間)の後の試験片のSEM像を示す。研磨した検鏡用薄切片では、部分的なY−Eu置換を有する六角形のY2Si27結晶、および明るいドットとしてのホウ酸塩結晶(YBO3)が現れている。残りのガラス相は画像上でダークグレーに見える。同様に検知されたY2SiO5相は、この図において認識することができない。
【0035】
図3に示す微小分析によれば、検討した六角形結晶(スペクトル2)はイットリウムと同様にユウロピウムも含んでおり、これは、部分的なY−Eu置換が起こったことを示している。
上記の実施例は、高いイットリウム含有量の高いガラスが広い用途の可能性を有することを示しており、そのガラスから結晶相を析出させて、希土類イオンが取り込まれるホスト相として作用させることができる。
【0036】
さらなる実施例を、表1(実施例2〜7参照)に要約して示す。
本発明によるイットリウム含有量の高いガラスまたはガラスセラミックスは、青色または紫外線領域におけるLEDの放射する光を90より大きいか、またはさらに95を超えるある演色評価数CRIを有する白色光へ変換するのに好適である。CRIは、発光源の演色性能の定量的な値である。CRIは、R1〜R8までの8つの個別の特別な演色指数の数の平均から算出されるが、R1〜R8は、CIEの基準として「発光源の演色性を測定し特定する方法」(CIE 13.3−1995)によって定義されている。
CRI=(1/8)ΣRi(i=1〜8)。
【0037】
完全なCRI値は100であり、また、機能性を発揮するCRI値は80超である。
【0038】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるガラスの示差熱分析を示す図である。
【図2】結晶化のための熱処理の後の図1に示す例示的な実施形態のガラスセラミックスの試験片の走査電子顕微鏡画像を示す図である。
【図3】図2に示す結晶の微小分析の結果を示す図である。
【図4】本発明による光変換材料を有するLED光源の概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも構成成分SiO2、Al23およびY23を含むガラスまたはガラスセラミックスであって、Y23の重量とSiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率が、少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.3、特に好ましくは少なくとも0.4であるガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項2】
少なくとも1種の希土類イオンがドーピングされている請求項1に記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項3】
SiO2の重量とSiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率が高々0.5である請求項1または2に記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項4】
Al23の重量とSiO2、Al23およびY23の全重量との重量比率が高々0.6、好ましくは高々0.55である請求項1、2または3に記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項5】
酸化物基準で、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、特に好ましくは少なくとも2重量%の希土類イオンがドーピングされている請求項1ないし4のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項6】
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Tm、Yb、DyおよびLaからからなる群から選択される少なくとも1つの希土類イオンがドーピングされている請求項2ないし5のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項7】
23が添加されている請求項1ないし6のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項8】
酸化物基準の重量%で、
SiO2 5〜50
Al23 5〜50
23 10〜80
23 0〜20
希土類 0.1〜30
の構成成分を含んでいる請求項1ないし7のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項9】
酸化物基準の重量%で、
SiO2 10〜40
Al23 10〜40
23 20〜70
23 1〜15
希土類 0.5〜15
の構成成分を含んでいる請求項1ないし8のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項10】
酸化物基準の重量%で、
SiO2 15〜35
Al23 15〜35
23 25〜60
23 1〜10
希土類 1〜15
の構成成分を含んでいる請求項1ないし9のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項11】
SrO、BaO、CaO、MgO、P25、Ga23、Na2O、K2O、Li2O、TiO2、ZrO2およびTa25からなる群から選択される少なくとも1つの成分の添加物を含んでいる請求項1ないし10のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項12】
5重量%未満、好ましくは高々4重量%、より好ましくは高々3重量%、より好ましくは高々1重量%、より好ましくは高々0.1重量%のZrO2を含んでいる請求項1ないし11のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項13】
少なくとも部分的に希土類イオンが含まれている結晶質相を含む特に請求項1ないし12のいずれかに記載のガラスセラミックス。
【請求項14】
構成成分として、イットリウムイオンが含まれている結晶相を含んでおり、そのイットリウムイオンが少なくとも部分的に希土類イオンと置換されている請求項13に記載のガラスセラミックス。
【請求項15】
結晶質相として、Y3Al512、Y2SiO5、Y2Si27、SrAl24、BaMgAl1017、Sr227、Sr4Al1425およびYBO3の相の少なくとも1つを含み、これらの結晶質相が少なくとも部分的に、希土類イオンを取り込むためのホスト相として機能する請求項13または14に記載のガラスセラミックス。
【請求項16】
希土類イオンが残余のガラス中に含まれている請求項13ないし15のいずれかに記載のガラスセラミックス。
【請求項17】
青色または紫外線スペクトル領域からのLED光の変換の間にほぼ白色色彩感覚が生成されるように、結晶相と残余のガラス部分との比率が設定されている請求項16に記載のガラスセラミックス。
【請求項18】
微結晶の寸法が、20nmと2000nmとの間、好ましくは50と1000nmとの間、特に好ましくは50と500nmとの間の範囲内にある請求項13ないし17のいずれかに記載のガラスセラミックス。
【請求項19】
第99番目の百分位数に対する微結晶寸法に対する、第99番目の百分位数に対応する微結晶寸法と第50番目の百分位数に対応する微結晶寸法との差の比率[(d99−d50)/d99]が≦10%である請求項13ないし18のいずれかに記載のガラスセラミックス。
【請求項20】
熱膨張率が、3・10-6-1と7.5・10-6-1との間、好ましくは4.5・10-6-1と7.5・10-6-1との間に設定されている請求項1ないし19のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックス。
【請求項21】
高屈折率を有する光学ガラスとして、
高い耐熱性を有する光学ガラスとして、
第1の放射を異なるエネルギーまたは異なる波長スペクトルを有する異なる放射へ変換するため、好ましくは青色および紫外線スペクトル領域における励起放射をダウンコンバージョンで変換するためのガラスとして、
TFT表示用のアルカリ金属を含まない基板として、
電球用の非常に熱的に安定したチューブとして、
ハードディスク用の高強度の基板材料として、または
酸化物、金属もしくは半導体基板のコーティング用のターゲット材料としての請求項1ないし20のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックスの使用方法。
【請求項22】
LEDと、発光用の請求項1ないし20のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックスとを有する発光源であって、青色領域または紫外線領域の発光で、ほぼ白色の光を放射する発光源。
【請求項23】
演色評価数CRIが、CRI>85、好ましくは>90、特に好ましくは>95である請求項22に記載の発光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−117511(P2006−117511A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−267131(P2005−267131)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】