説明

ガラス基板の欠陥部修正方法およびフォトマスク

【課題】 合成石英からなるフォトマス用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおいて、ガラス基板の周辺部にひび、欠けの欠陥部が生じた場合に、該欠陥部を修正でき、且つ、フォトマスクの仕様であるフラットネスを確保できる方法を提供する。
【解決手段】 順に、(a)ガラス基板の前記欠陥部にガラス基板とは別の合成石英を溶融して欠陥部を埋める溶接をし、且つ、溶接部が盛り上がるようにする処理を行う、補修処理と、(b)ガラス基板の前記補修処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c)前記補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理と、(d)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フォトマス用の素ガラス状態のガラス基板(フォトマスククブランクスクと呼ぶこともある)においては、その周辺部にひび(クラック)、欠けの欠陥部が生じることがあった。
該ガラス基板が合成石英からなる場合には高価でもあり、このような欠陥部が生じた場合、該欠陥部を修正せずに、該欠陥部を避けて元のサイズから切り出して小さいサイズのフォトマスクブランクスとしてできるだけ再利用し、このように再利用できないものは、粉砕して再利用するか、もしくは廃棄処分されてきた。
合成石英からなるガラス基板を用いたフォトマスクについても、ガラス基板の周辺部にこのような欠陥部が生じた場合、同様に処理されてきた。
【0003】
このように処理されてきた理由は以下の通りです。
従来から、特開2002−326828号公報(特許文献1)に記載されるように、溶融や溶接の方法により石英基材の加工や修正等の処理を行うことは知られているが、この方法の場合、通常、溶融や溶接後に、処理部の残存応力を除去するために炉内にワークを入れて全体を加熱してアニール処理を行う。
しかし、フォトマスク用のガラス基板やフォトマスクにおける上記欠陥部の修正方法として、この溶融や溶接の方法を採り、溶融や溶接後に処理部の残存応力を除去するために炉内にワークを入れて全体を加熱してアニール処理を行った場合、ガラス基板やフォトマスク全体に歪が発生して、フォトマスクに求められる仕様であるフラットネス(平坦度)を満たせなくなくなる。
このため、従来、フォトマスク用ガラス基板やフォトマスクにおけるガラス基板の上記欠陥部の修正方法として、溶融や溶接の方法を採ることはできないとされてきた。
また、他に良い修正方法はなかった。
このような理由により、合成石英からなるガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部にひび、欠けの欠陥部生じた場合、上記のような処理をしていた。
尚、ここでは、フォトマスク用の素ガラス状態のガラス基板をフォトマスクブランクスクとも呼びますが、通常は、該ガラス基板の一面ないし両面にフォトマスクのパターン形成のための主々の層を1層以上積層したものも、フォトマスクブランクスと呼ぶ。
【0004】
しかしながら、合成石英からなるフォトマスク用の素ガラス状態のガラス基板は高価で、該ガラス基板を用いて作製されるフォトマスクにおいては、更に高価で、特に、近年、液晶表示装置等の表示装置の生産が盛んになり、フォトマスク用のガラス基板やフォトマスクの需要も多くなる中、表示装置用のディスプレイの製版用に用いられる大型のフォトマスク用のガラス基板やフォトマスクにおいては、ガラス基板の周辺部にひび(クラック)、欠けの欠陥部が生じた場合、生産性の面、資源節約の面、コスト面等から、欠陥部の修正方法が求められるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−326828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、近年、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおいては、ガラス基板の周辺部にひび、欠けの欠陥部が生じた場合、生産性の面、資源節約の面、コスト面等から、このような欠陥部を修正でき、且つ、フォトマスクの仕様であるフラットネスを確保できる方法が求められるようになってきた。 本発明は、これに対応するもので、合成石英からなるフォトマス用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおいて、ガラス基板の周辺部にひび、欠けの欠陥部が生じた場合に、該欠陥部を修正でき、且つ、フォトマスクの仕様であるフラットネスを確保できる方法を提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガラス基板の欠陥部修正方法は、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法であって、順に、(a)ガラス基板の前記欠陥部にガラス基板とは別の合成石英を溶融して欠陥部を埋める溶接をし、且つ、溶接部が盛り上がるようにする処理を行う、補修処理と、(b)ガラス基板の前記補修処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c)前記補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理と、(d)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有することを特徴とするものであり、前記補修処理は、ガラス基板とは別の合成石英の棒を用いて、バーナーにより溶かして溶接するものであることを特徴とするものである。
あるいは、本発明のガラス基板の欠陥部修正方法は、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法であって、順に、(a1)ガラス基板の前記欠陥部を含む領域を溶融して欠陥部を整形する溶融整形処理と、(b1)ガラス基板の前記溶融整形処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c1)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有することを特徴とするものであり、前記溶融整形処理は、欠陥部を含む領域をバーナーにより溶融するものであることを特徴とするものである。
【0008】
そして、上記いずれかのガラス基板の欠陥部修正方法であって、前記アニール処理処理は、バーナーにより加熱するものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのガラス基板の欠陥部修正方法であって、前記仕上げ研磨処理は、端面は未修正部に合わせて、鏡面、非鏡面に仕上げ、基材表裏面は、Ra=3nm以下の鏡面になるよう処理部の研磨を行うことを特徴とするものである。
【0009】
本発明のフォトマスクは、上記いずれかのガラス基板の欠陥部修正方法により欠陥部を修正されたガラス基板を用いていることを特徴とするものである。
【0010】
(作用)
本発明の板状基材の欠陥部修正方法は、このような構成にすることにより、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部が生じた場合に、該欠陥部を修正でき、且つ、全体に歪を生じさせない方法の提供を可能としている。
具体的には、順に、(a)ガラス基板の前記欠陥部にガラス基板とは別の合成石英を溶融して欠陥部を埋める溶接をし、且つ、溶接部が盛り上がるようにする処理を行う、補修処理と、(b)ガラス基板の前記補修処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c)前記補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理と、(d)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有することにより、あるいは、順に、(a1)ガラス基板の前記欠陥部を含む領域を溶融して欠陥部を整形する溶融整形処理と、(b1)ガラス基板の前記溶融整形処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c1)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有することにより、これを達成している。
特に、ガラス基板の補修処理における処理領域、あるいは、ガラス基板の溶融整形処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理を行うことにより、全体に歪を生じさせないものとしている。
詳しくは、溶接を採る方法の場合には、アニール処理後に、補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理を行い、更に、研磨処理を行うことにより、全体に歪を生じることなく欠陥部の修正をし易いものとしている。
尚、補修処理としては、ガラス基板とは別の合成石英の棒を用いて、バーナーにより溶かして溶接する態様のものが挙げられる。
【0011】
このようにすることにより、ガラス基板全体に歪が生じないため、フォトマスクの仕様であるフラットネス(平坦度)を確保できるものとしている。
また、生産性の面等で有利となります。
この場合、通常、研磨処理としては、端面は未修正部に合わせて、鏡面、非鏡面に仕上げ、基材表裏面は、Ra=3nm以下の鏡面になるよう処理部の研磨を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、このように、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部にひび、欠けの欠陥部が生じた場合に、該欠陥部を修正でき、且つ、フォトマスクの仕様であるフラットネスを確保できる方法の提供を可能とした。
従来、フォトマスク用のガラス基板は、その周辺部にひびや欠けが発生した場合、元のサイズから切り出して小さいサイズのフォトマスク用としてできるだけ再利用するか、粉砕して再利用、もしくは廃棄処分されてきたが、本発明により、ひびや欠けを修正すれば同一サイズのフォトマス用のガラス基板として再利用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第1の例の処理フローを示した図である。
【図2】本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第2の例の処理フローを示した図である。
【図3】図3(a)〜図3(f)は、第1の例における欠陥部の修正の各段階の外観形状を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第1の例の処理フローを示した図で、図2は本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第2の例の処理フローを示した図で、図3(a)〜図3(f)は図1に示す第1の例における欠陥部の修正の各段階の外観形状を示した図である。
尚、図1、図2におけるS11〜S16、S21〜S25は各処理ステップを示している。
図3中、11はガラス基板、12は端面、13は欠け欠陥部、14は(アニール処理前の)溶接部、14aは(アニール処理後の)溶接部、15は加熱領域、16は整形研磨処理後の欠陥修正部、16S1、16S2は整形面、17は(研磨後の)欠陥修正部、17S1は(研磨後の)端面、18は修正後の欠陥修正部、18S1、18S2は(研磨後の)修正面である。
【0015】
先ず、本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第1の例を、図1に基づいて説明する。
第1の例のガラス基板の欠陥部修正方法は、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板における、その周辺部の欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法です。
先ず、図3(a)に示す周辺部に欠けの欠陥部13を有するガラス基板11に対して、ガラス基板11とは別の合成石英を溶融して欠陥部13を埋める溶接をし、且つ、溶接部が盛り上がるようにする補修処理を行う。(図1のS11〜S12、図3(a)〜図3(b))
溶接は、例えば、ガラス基板11とは別の合成石英の棒を用いて、バーナーにより合成石英の棒を溶かして溶接する。
次いで、溶接後には溶接部やその周辺部に残存応力が残るが、該残存応力を除去するために、溶接部を含む領域15を部分的に加熱する、アニール処理を行う。
加熱はバーナー等により行う。
例えば、アニール処理は1000℃〜1150℃とし、これより除冷して行うが、除冷した後に急冷を組み合わせても良い。
【0016】
次いで、前記補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理を行う。(図1のS14、図3(d))
端面および表裏の面に合わせて外形を整える。
ここでは、ダイヤモンド粒子の砥石等により等により、研磨して削り外形を整える。
この段階では、溶接部と非溶接部との境が容易に確認できる。
次いで、端面および表裏の面に合わせて仕上げの研磨処理を行う。(図1のS14、図3(e)〜図3(f))
ここでは、はじめに、端面の仕上げの研磨処理を行い(図3(e))、次いで、表面部の一面の仕上げの研磨処理を行う。(図3(f))
フォトマスク用のガラス基板の場合、通常、仕上げの研磨処理は、端面は未修正部に合わせて、鏡面、非鏡面に仕上げ、ガラス基板表面は、Ra=3nm以下の鏡面になるよう処理部の研磨を行う。
この段階では、溶接部と非溶接部との境が容易に確認できない。
尚、本例では、ガラス基板の周辺部の欠けの欠陥部を対象としているが、ガラス基板の周辺部のヒビ(クラック)の欠陥部についても、第1の例と同様な処理にて欠陥修正をすることができる。
第1の例においては、特に、ガラス基板の補修処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理を行うため、ガラス基板全体に歪を生じさせないものとしている。
そして、アニール処理後に、補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理を行い、更に、仕上げの研磨を行うことにより、全体に歪を生じることなく欠陥部の修正をし易いものとしている。
【0017】
尚、残存応力の測定は、ここでは、日電理化硝子株式会社 ひずみ検査機SIM- 2にて行うが、これに限定はされない。
測定は、例えば、上記のアニール処理後の段階にて行う。
尚、上記定装置による残存応力の測定は、偏光や波長の位相差など光学特性を利用して、ゆがみの測定をおこなうものであり、ゆがみ量は、例えば、並列膜型歪み標準器(折原製作所製型番FAS200)で近似してゆがみ量を確認するものです
【0018】
次に、本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第2の例を、図2に基づいて説明する。
第2の例のガラス基板の欠陥部修正方法も、合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法であり、主にひびの欠陥を対象としている。
第2の例は、順に、ガラス基板の欠陥部を含む領域を溶融して欠陥部の外形を整える溶融整形処理(図2のS22)と、ガラス基板の前記溶融整形処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理(図2のS23)と、端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて、仕上げる研磨を行う、仕上げの研磨処理(図2のS24)とを行うものです。
例えば、ひびの欠陥部を含む周辺の基材を1600℃で溶融処理を行う。
第2の例は、第1の例のように欠陥部に溶接するものではなく、基材の欠陥部を含む領域を溶融して欠陥部の外形を整えるもので、そのため、溶融して欠陥部の外形を整えることができる程度のサイズの欠陥をその対象としている。
第2の例の場合も、ガラス基板の補修処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理を行うため、板状基材全体に歪を生じさせないものとしている。
アニール方法は、第1の例と同様にして行う。
【0019】
第1の例、第2の例の変形例としては、それぞれ、処理対象をフォトマスクとしたものが挙げられる。
それぞれ、処理内容は、第1の例、第2の例の場合と同じであるが、処理できるフォトマスクとしては、フォトマスクの遮光層等の積層膜が、欠陥部の領域から離れて、処理しても、これら積層膜に影響がでないことが必要です。
【0020】
(実施例)
更に、実施例を挙げて、本発明を説明する。
(実施例1)
本発明のガラス基板の欠陥部修正方法の実施の形態の第1の例により欠陥部を修正したもので、サイズが520mm×800mm×10mmの、合成石英からなるガラス基板について、溶接後に、処理部を部分的に1100℃で加熱して、除冷するアニール処理を行い、その後、盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理を行い、更に、仕上げの研磨処理を行ったものです。
アニール処理の前後について、それぞれ、表裏の平坦度を測定した結果は、表1に示すようになった。
実施例1では、アニール処理の前に表裏の平坦度(全面で)は、それぞれ、7μm、9μmであったが、アニール処理の後には表裏の平坦度(全面で)は、それぞれ、19μm、12μmとなった。
アニール後の変化量は小さく、アニール処理の後の平坦度で、表示装置のフォトマスク用に使用できるレベルであった。
一方、比較例として、欠陥部を溶接後に、炉内で全体を1100℃で加熱して、除冷するアニール処理をしたものについて、アニール処理の前後について、それぞれ、表裏の平坦度を測定した結果は、表1に示すようになった。
外観についても、蛍光灯下、および投光機を用い目視検査で評価したが、特に問題はなかった。
尚、通常、表示装置用のフォトマスクで縦、横のサイズが520mm×800mmの場合には、フラットネスは、全面で20μm以下が要求されているが、縦、横のサイズが700mm×800mmの場合には、フラットネスは、フラットネスは、全面で40μm以下であれば許容される。
比較例1、比較例2の場合、アニール処理の前後の変化量が大きく、いずれも、表示装置のフォトマスク用に使用できないレベルであった。

【表1】

尚、フラットネス(平坦度)の評価は、フラットネス測定機(土井精密ラップ製、TORIN1412型)を用いて行った。
また、表1中、○印は、表示装置のフォトマスク用に使用できるレベルで、×印は、表示装置のフォトマスク用に使用できないレベルであることを意味する。
【0021】
(実施例2)
また、基材を合成石英とする、サイズ520mm×610mm×10mmのフォトマスクブランクスで、実施例1例と同様に、溶接し、アニール処理して、仕上の研磨処理をしたものです。
平坦度(フラットネス)の面も問題なく、外観についても、蛍光灯下、および投光機を用い目視検査で評価したが、特に問題はなかった。
【0022】
(実施例3)
また、基材を合成石英とする、サイズ700mm×800mm×8mmのフォトマスクブランクスで、実施例1と同様に、溶接し、アニール処理して、仕上の研磨処理をしたものです。
平坦度(フラットネス)の面も問題なく、外観についても、蛍光灯下、および投光機を用い目視検査で評価したが、特に問題はなかった。
【0023】
(実施例4)
また、基材を合成石英とする、サイズ700mm×800mm×8mmのフォトマスクブランクスで、実施例1と同様に、溶接し、アニール処理して、仕上の研磨処理をしたものです。
平坦度(フラットネス)の面も問題なく、外観についても、蛍光灯下、および投光機を用い目視検査で評価したが、特に問題はなかった。
【0024】
(実施例5)
サイズが700mm×800mm×8mmの、合成石英からなるガラス基板を用いたフォトマスクについて、実施例1と同様に、欠陥部を溶接し、溶接後に、処理部を部分的に1100℃で加熱して、除冷するアニール処理を行い、その後、盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理を行い、更に、仕上げの研磨処理を行ったものです。
該フォトマスクは実使用に耐えるものであった。
【符号の説明】
【0025】
11 ガラス基板
12 端面
13 欠け欠陥部
14 (アニール処理前の)溶接部
14a (アニール処理後の)溶接部
15 加熱領域
16 整形研磨処理後の欠陥修正部
16S1、16S2 整形面
17 (研磨後の)欠陥修正部
17S1 (研磨後の)端面
18 修正後の欠陥修正部
18S1、18S2 (研磨後の)修正面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法であって、順に、(a)ガラス基板の前記欠陥部にガラス基板とは別の合成石英を溶融して欠陥部を埋める溶接をし、且つ、溶接部が盛り上がるようにする処理を行う、補修処理と、(b)ガラス基板の前記補修処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c)前記補修処理において盛り上がった溶接部を削って外形を整える整形研磨処理と、(d)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有することを特徴とするガラス基板の欠陥部修正方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス基板の欠陥部修正方法であって、前記補修処理は、ガラス基板とは別の合成石英の棒を用いて、バーナーにより溶かして溶接するものであることを特徴とするガラス基板の欠陥部修正方法。
【請求項3】
合成石英からなるフォトマスク用のガラス基板や該ガラス基板を用いたフォトマスクにおけるガラス基板の周辺部のひび、欠けの欠陥部を修正する、ガラス基板の欠陥部修正方法であって、順に、(a1)ガラス基板の前記欠陥部を含む領域を溶融して欠陥部を整形する溶融整形処理と、(b1)ガラス基板の前記溶融整形処理における処理領域を、部分的に加熱によりアニールして、該処理領域の残存応力をとるアニール処理と、(c1)端面、表裏の各面に対して、それぞれ、各面の未修正部に合わせて研磨を行う、研磨処理とを、有することを特徴とするガラス基板の欠陥部修正方法。
【請求項4】
請求項3に記載のガラス基板の欠陥部修正方法であって、前記溶融整形処理は、欠陥部を含む領域をバーナーにより溶融するものであることを特徴とするガラス基板の欠陥部修正方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガラス基板の欠陥部修正方法であって、前記アニール処理処理は、バーナーにより加熱するものであることを特徴とするガラス基板の欠陥部修正方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガラス基板の欠陥部修正方法であって、前記研磨処理は、端面は未修正部に合わせて、鏡面、非鏡面に仕上げ、基材表裏面は、Ra=3nm以下の鏡面になるよう処理部の研磨を行うことを特徴とするガラス基板の欠陥部修正方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガラス基板の欠陥部修正方法により欠陥部を修正されたガラス基板を用いていることを特徴とするフォトマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−144067(P2011−144067A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5644(P2010−5644)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】