説明

ガラス基板収納用トレイ

【課題】ガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態でも、トレイの各々にガラス基板20が収納されているか否かを、トレイの外部から容易に判定できるガラス基板収納用トレイ30を提供する。
【解決手段】基板サポート部3上にガラス基板20が積載されているか否かの表示機構で、a)支持部2上のバネ6により上昇し、その上部が基板サポート部3上面より突出し、また、積載したガラス基板の重量により、その上部が基板サポート部3上面と同一面まで下降する昇降部材13と、b)フレーム部に設けた確認窓7とで構成される機構が設けられ、表示機構は、a)ガラス基板が積載されている時は確認窓に昇降部材側面13Cを表示し、b)ガラス基板が積載されてない時は該側面を表示しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板を水平に積載して収納する基板搬送用トレイに関するものであり、特に、ガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態で、各ガラス基板収納用トレイにガラス基板が収納されているか否かを、外部から容易に判定できるガラス基板収納用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置やカラープラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)の生産においては、ガラス基板を収納、工程搬送、輸送、保管するために、ガラス基板収納用トレイが用いられている。このガラス基板収納用トレイは、工程途中のガラス基板にも適用されるなど多岐にわたる使われ方がされている。
【0003】
近年、ディスプレイサイズの大型化に伴い、用いられるガラス基板の大型化が進んでいる。この大型ガラス基板を限られたスペースで、各ガラス基板が相互に接触することなく、安定して効率よく収納、工程搬送、輸送、保管することが可能なガラス基板収納用トレイが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに提案されている。
【0004】
図1は、ガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。また、図2(a)は、図1のX−X線での断面図、図2(b)は、図1のY−Y線での断面図である。図1は、ガラス基板(20)が載置されていない状態が、また、図2は、ガラス基板(20)が載置されている状態が示されている。
【0005】
図1、図2に示すように、ガラス基板収納用トレイ(10)は、平面視で矩形状のフレーム部(1)と、フレーム部(1)内側の下部に梁状に設けられた支持部(2)と、支持部(2)上に平面視で市松模様の板状に設けられた基板サポート部(3)と、ガラス基板収納用トレイを上下に積重する際に、ガラス基板収納用トレイの着脱に用いる縁部(4)と、支持部(2)の下面端部に設けられた止め部(5)とで構成されている。
【0006】
この止め部(5)は、ガラス基板収納用トレイ(10)を上下に積重した際に、フレーム部(1)上部と止め部(5)が係わり合って、ガラス基板収納用トレイ(10)が横ズレしないように係止する部位である。フレーム部(1)及び支持部(2)には、例えば、SUS材などが用いられ、また、基板サポート部(3)には、例えば、メフ材などが用いられる。基板サポート部(3)は、凹部(3A)とその周囲の凸部(3B)とで構成されている。
【0007】
フレーム部(1)内側には、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)を水平に載置できる空間を有しており、基板サポート部(3)の凹部(3A)上にガラス基板(20)が載置されるようになっている。
図2は、基板サポート部(3)の凹部(3A)上にガラス基板(20)を載置し、収納している状態である。
【0008】
ガラス基板収納用トレイ(10)にガラス基板(20)を載置し収納した状態で、或いは、ガラス基板収納用トレイ(10)を空の状態で、工程搬送、輸送、保管を行う際は、複数のガラス基板収納用トレイ(10)を上下に積重する。図3は、複数のガラス基板収納用トレイ(10)を上下に積重した状態の一例の概略を示す側面図である。
【0009】
図3に示すように、パレット(11)上に、複数のガラス基板収納用トレイ(10)が
積重され、最上部のガラス基板収納用トレイ(10)上に防塵用蓋(12)が設けられた状態となる。積重するガラス基板収納用トレイ(10)の段数は、例えば、30個程度である。パレット(11)の側面部には、RFIDなどのデータキャリア(14)が取付けられており、ガラス基板収納用トレイ(10)に収納されたガラス基板の枚数やIDデータなどが保存される。
【0010】
この保存されたデータは、主にガラス基板収納用トレイ(10)へガラス基板(20)を収納する際、或いは、ガラス基板収納用トレイ(10)からガラス基板(20)を取り出す際のトレイ移載装置で更新され、また、トレイ移載装置や自動倉庫などで参照される。
ガラス基板収納用トレイ(10)に収納されたガラス基板の枚数や段数などの情報は、パレット(11)に取付けられたデータキャリア(14)に保存されるが、例えば、トレイ移載装置のトラブルなどの何らかの原因で、実際に収納されているガラス基板(20)の枚数と、データキャリア(14)に保存されているデータとが一致しないことがある。
【0011】
トレイ移載装置や自動倉庫は、データキャリア(14)に保存された情報をもとに、ガラス基板の収納/取り出しの枚数決定や、パレットの搬送先決定などの動作制御を行っている。そのため、このデータキャリア(14)の情報に誤りがあると、製造ラインの停止などのロスを生じることになる。
【0012】
発生するロスとしては、例えば、データキャリア(14)に空(収納枚数0枚)と情報が保存されたパレット(11)をトレイ移載装置内に受け入れ、ガラス基板収納用トレイ(10)にガラス基板(20)を収納しようとした際、既に別なガラス基板がガラス基板収納用トレイ内に収納されており、ガラス基板同士が衝突して破損することがある。このような破損が発生した場合には、破損したガラス基板の除去、復旧作業に相応の時間を費やすことになる。
【0013】
或いは、例えば、データキャリア(14)に収納枚数20枚と情報が保存されたパレット(11)上のガラス基板収納用トレイ(10)からガラス基板(20)を製造ラインへ投入した際、実際には21枚のガラス基板(20)が収納されていて、パレット(11)上にはガラス基板を収納されたガラス基板収納用トレイ(10)が1個残されてしまうことがある。
【0014】
このようなトラブルによるロスを防止するためには、トレイ移載装置や自動倉庫へパレット(11)を搬入する前に、例えば、パレット(11)上に積重されたガラス基板収納用トレイ(10)の各々にガラス基板(20)が実際に収納されているが否かを、データキャリア(14)に保存された情報と照合することが考えられる。しかし、ガラス基板収納用トレイ(10)が積重された状態は、防塵のために密閉されているので、ガラス基板収納用トレイ(10)の各々にガラス基板(20)が収納されているが否かを外観から目視で判定することは困難である。
【0015】
或いは、例えば、積重されたガラス基板収納用トレイ(10)の各々を1枚毎に人手や装置を用いて持ち上げ、ガラス基板(20)が収納されているが否かを確認しデータキャリア(14)に保存された情報と照合することが考えられる。しかし、この作業も相応する多大な労力と時間を費やすことになる。また、ガラス基板収納用トレイ(10)の内部の防塵性が損なわれるので、好ましい方法とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−359343号公報
【特許文献2】特開2007−314215号公報
【特許文献3】特開2006−319005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から容易に判定することができるガラス基板収納用トレイを提供することを課題とするものである。
これにより、この判定と、該ガラス基板収納用トレイを積重しているパレットのデータキャリアに保存された情報との照合を容易に行うことを可能とする。
従って、例えば、トレイ移載装置や自動倉庫へパレットを搬入する前に、各ガラス基板収納用トレイにガラス基板が収納されているか否かの実際の状況と、データキャリアに保存された情報の整合性の確認を容易なものとし、実状と情報の不一致によるトレイ移載装置や自動倉庫でのトラブル、これによるロスを未然に防止する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ガラス基板を水平に積載したトレイを積重して搬送、保管するガラス基板収納用トレイにおいて、
1)前記ガラス基板収納用トレイは、少なくとも、平面視で矩形状のフレーム部と、該フレーム部内側の下部に設けた梁状の支持部と、該支持部上に設けた、ガラス基板を積載する板状の基板サポート部とで構成され、
2)前記基板サポート部上にガラス基板が積載されているか否かを表示する表示機構として、a)前記フレーム部内側の一隅近傍の基板サポート部に設けた、支持部上に備えたバネによって上昇して、その上部が基板サポート部上面より突出し、また、基板サポート部上に積載したガラス基板の重量によって、その上部が基板サポート部上面と同一面まで下降する昇降部材と、
b)該昇降部材の下降時に、昇降部材側面が対向するフレーム部の側面部位に、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓とで構成される表示機構が設けられており、
3)該表示機構は、a)基板サポート部上にガラス基板が積載されている際には、確認窓に昇降部材側面を表示し、
b)基板サポート部上にガラス基板が積載されていない際には、確認窓に昇降部材側面を表示しないことからして、
4)上記表示機構の確認窓を観視することによって、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から判定できることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。
【0019】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板収納用トレイにおいて、前記表示機構を構成する昇降部材が、フレーム部内側の一隅近傍の基板サポート部の一部分を切り離した、基板サポート部の厚さより薄い厚さの可動片であり、前記支持部上に備えたバネがコイルバネであり、また、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓には透明樹脂が充填されていることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。
【0020】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板収納用トレイにおいて、前記表示機構を構成する昇降部材が可動ピンであり、前記支持部上に備えたバネが板バネであり、該可動ピンと該板バネを設ける、フレーム部内側の一隅近傍の基板サポート部の一部分の厚さは他
の部分の厚さより薄い厚さであり、この一部分には可動ピン用の貫通口を備え、また、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓には透明樹脂が充填されていることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。
【0021】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板収納用トレイにおいて、前記表示機構が、平面視で矩形状のフレーム部内側の対向する二隅近傍の基板サポート部の各々に、フレーム部中心をとうる垂線を対称線とする線対称の位置関係を保って設けられていることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。
【0022】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板収納用トレイにおいて、前記表示機構を構成する昇降部材側面の色が、確認し易い色であることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。
【0023】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板収納用トレイにおいて、前記昇降部材側面の色が、該側面の上半部と下半部とで色が異なることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、基板サポート部上にガラス基板が積載されているか否かを表示する表示機構として、昇降部材と確認窓とで構成される表示機構が設けらたガラス基板収納用トレイであり、表示機構は、a)基板サポート部上にガラス基板が積載されている際には、確認窓に昇降部材側面を表示し、b)基板サポート部上にガラス基板が積載されていない際には、確認窓に昇降部材側面を表示しないことからして、表示機構の確認窓を観視することによって、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から判定できるガラス基板収納用トレイとなる。
【0025】
また、本発明は、昇降部材が可動ピンであり、支持部上に備えたバネが板バネであり、また、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓には透明樹脂が充填されているので、例えば、トレイ内部への異物混入などによるガラス基板に汚れ、傷などが発生するリスクを回避したガラス基板収納用トレイとなる。
【0026】
また、本発明は、表示機構が、平面視で矩形状のフレーム部内側の対向する二隅近傍の基板サポート部の各々に、フレーム部中心を通る垂線を対称線とする線対称の位置関係を保って設けられているので、仮に、何らかの原因によって、ガラス基板収納用トレイが手前側を逆側に向けて積重されても、常に、手前側と逆側の両側に確認窓が向い、ガラス基板収納用トレイにガラス基板が収納されているか否かを手前側(一方側)から常に判定することが可能となる。
【0027】
また、本発明は、表示機構を構成する昇降部材側面の色が、確認し易い色であるので、ガラス基板が収納されているか否かの外部からの判定が、より容易に正確なものとなる。また、本発明は、昇降部材側面の色が、該側面の上半部と下半部とで色が異なるので、ガラス基板が収納されているか否かの外部からの判定が、更により容易に且つ正確なものとなる。
【0028】
本発明は、ガラス基板が収納されているか否かの外部からの判定と、ガラス基板収納用トレイを積重しているパレットのデータキャリアに保存された情報との照合を容易に行うことが可能となる。従って、例えば、トレイ移載装置や自動倉庫へパレットを搬入する前に、各ガラス基板収納用トレイにガラス基板が収納されているか否かの実際の状況と、データキャリアに保存された情報の整合性の確認を容易なものとし、実状と情報の不一致によるトレイ移載装置や自動倉庫でのトラブル、これによるロスを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。
【図2】(a)は図1のX−X線での断面図、(b)はY−Y線での断面図である。
【図3】複数のガラス基板収納用トレイを上下に積重した状態の一例の側面図である。
【図4】本発明によるガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。
【図5】図4のY−Y線での断面図である。
【図6】外部から確認窓を観視した際に表示される可動片の側面の状態である。
【図7】本発明によるガラス基板収納用トレイの複数を上下に積載した状態の一例を示す側面図である。
【図8】請求項3に係わるガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。
【図9】図8のY−Y線での断面図である。
【図10】外部から確認窓を観視した際に表示される可動ピンの側面の状態である。
【図11】図4、5に示すガラス基板収納用トレイを積重した際の部分側面図である。
【図12】本発明によるガラス基板収納用トレイの複数を上下に積重した状態の一例を示す側面図である。
【図13】本発明によるガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。
【図14】2組の表示機構が設けられたガラス基板収納用トレイの複数を上下に積重した状態の側面図である。
【図15】本発明によるガラス基板収納用トレイの一例の部分断面図である。
【図16】外部から確認窓を観視した際に表示される可動片の側面の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
図4は、本発明によるガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。図4はガラス基板(20)が積載されていない状態が示されている。また、図5は、図4のY−Y線での断面図である。
【0031】
図4及び図5に示すように、この一例に示すガラス基板収納用トレイ(30)は、平面視で矩形状のフレーム部(1)と、フレーム部(1)内側の下部に梁状に設けられた支持部(2)と、支持部(2)上に平面視で市松模様の板状に設けられた基板サポート部(3)と、ガラス基板収納用トレイを上下に積重する際に、ガラス基板収納用トレイの着脱に用いる縁部(4)と、支持部(2)の下面端部に設けられた止め部(5)とで構成されている。フレーム部(1)内側には、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)を水平に載置できる空間を有しており、基板サポート部(3)の凹部(3A)上にガラス基板(20)が積載されるようになっている。
【0032】
本発明によるガラス基板収納用トレイ(30)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されているか否かを表示する表示機構が設けられていることを特徴としている。この表示機構は、昇降部材と確認窓とで構成されている。
図4及び図5に示すガラス基板収納用トレイ(30)は、昇降部材がフレーム部(1)内側の一隅近傍の基板サポート部(3)の一部分を切り離した可動片(13)であり、また、確認窓(7)がフレーム(1)部を水平に貫通して設けた窓である。
【0033】
図4は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない状態であり、また、図5(a)は、ガラス基板(20)が積載されてい図4のY−Y線での断面図である。図4及び図5(a)に示すように、可動片(13)は、基板サポート部(3)の構成と同様に、凹部(13A)と凸部(13B)とで構成されており、その可動片の凹部(13A)の厚さ(T2)は、基板サポート部(3)の凹部(3A)の厚さ(T1)より薄い厚さのものである(T2<T1)。
【0034】
基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない状態では、この可動片(13)は支持部(2)上に備えたコイルバネ(6)によって上昇し、可動片(13)の凹部(13A)の上面は基板サポート部(3)上面より突出している(H2>H1)。また、図5(b)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている状態では、基板サポート部(3)上に積載したガラス基板(20)の重量によって、可動片(13)の凹部(13A)の上面は基板サポート部(3)上面と同一面まで下降する。
【0035】
つまり、昇降部材としての可動片(13)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されているか否かによって降昇するようになっている。
【0036】
また、表示機構を構成する確認窓(7)は、図5(b)に示すように、可動片(13)の下降時に、可動片の側面(13C)が対向するフレーム部(1)の側面部位に、フレーム部(1)を水平に貫通して設けた、可動片の側面(13C)を確認するための窓である。この確認窓(7)には、ガラス基板収納用トレイ(30)内の防塵性が損なわれないように、例えば、透明樹脂が充填されている。
【0037】
この確認窓(7)の支持部(2)上面からの高さ(H3)、及び大きさ(a)×(b)は、可動片(13)の下降時には、確認窓(7)に可動片の側面(13C)が表示され、また、可動片(13)の上降時には、確認窓(7)に可動片の側面(13C)が表示されないように適宜に設定される。
【0038】
上記のように、昇降部材としての可動片(13)と確認窓(7)とで構成される、本発明における表示機構は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている際には、確認窓(7)に可動片の側面(13C)を表示し、また、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない際には、確認窓(7)に可動片の側面(13C)を表示しない機能を有したものである。
【0039】
図6は、図4に示すガラス基板収納用トレイ(30)の外部の白太矢印方向、図5に示すガラス基板収納用トレイ(30)の外部の矢印方向から確認窓(7)を観視した際の、確認窓(7)に表示される可動片の側面(13C)の状態を表したガラス基板収納用トレ
イ(30)の側面図である。図6(a)は図5(a)に対応し、図6(b)は図5(b)に対応している。
【0040】
図6(a)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない際には、確認窓(7)に可動片の側面(13C)は表示されていない。確認窓(7)内は2重斜線で示すように、薄暗い様相を呈している。
一方、図6(b)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている際には、確認窓(7)に1重斜線で示すように、可動片の側面(13C)は表示される。
【0041】
このように、本発明によるガラス基板収納用トレイ(30)によれば、表示機構の確認窓(7)を観視することによって、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板(20)が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から容易に判定することができる。
【0042】
図7は、本発明によるガラス基板収納用トレイ(30)の複数を上下に積載した状態の一例を示す側面図である。図7に示すように、パレット(11)上に、複数のガラス基板収納用トレイが積重され、最上部のガラス基板収納用トレイ上に防塵用蓋(12)が設けられている。図7中、符号(30b)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されているガラス基板収納用トレイを表し、また、符号(30a)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていないガラス基板収納用トレイを表している。
【0043】
図7に示すように、ガラス基板収納用トレイ(30b)の確認窓(7)には可動片の側面(13C)が表示されており、また、上段に積載されているガラス基板収納用トレイ(30a)の確認窓(7)には可動片の側面(13C)が表示されておらず、薄暗い様相を呈している。すなわち、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板(20)が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から容易に判定することが可能である。
【0044】
図8は、請求項3に係わる発明によるガラス基板収納用トレイの一例の概略を示す平面図である。図8はガラス基板(20)が積載されていない状態が示されている。また、図9は、図8のY−Y線での断面図である。
【0045】
図8及び図9に示すように、この一例に示すガラス基板収納用トレイ(50)は、平面視で矩形状のフレーム部(1)と、フレーム部(1)内側の下部に梁状に設けられた支持部(2)と、支持部(2)上に平面視で市松模様の板状に設けられた基板サポート部(3)と、ガラス基板収納用トレイを上下に積重する際に、ガラス基板収納用トレイの着脱に用いる縁部(4)と、支持部(2)の下面端部に設けられた止め部(5)とで構成されている。フレーム部(1)内側には、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)を水平に載置できる空間を有しており、基板サポート部(3)の凹部(3A)上にガラス基板(20)が積載されるようになっている。
【0046】
本発明によるガラス基板収納用トレイ(50)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されているか否かを表示する表示機構が設けられていることを特徴としている。この表示機構は、昇降部材と確認窓とで構成されている。
図8及び図9に示すガラス基板収納用トレイ(50)は、昇降部材が可動ピン(23)である。また、確認窓(7)がフレーム(1)部を水平に貫通して設けた窓である。
【0047】
図8は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない状態であり
、また、図9(a)は、ガラス基板(20)が積載されてい図8のY−Y線での断面図である。図8及び図9(a)に示すように、フレーム部(1)内側の一隅近傍の基板サポート部(3)の一部分(3D)に可動ピン(23)が設けられている。この一部分(3D)の厚さ(T4)は、基板サポート部(3)の凹部(3A)の厚さ(T3)より薄い厚さのものである(T4<T3)。この厚さの薄い一部分(3D)に、可動ピン(23)が昇降するための上下に貫通する貫通口(8)が設けられている。
【0048】
基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない状態では、この可動ピン(23)は支持部(2)上に備えた板バネ(16)によって上昇し、可動ピン(23)の上部は基板サポート部(3)上面より突出している(H5>H4)。
また、図9(b)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている状態では、基板サポート部(3)上に積載したガラス基板(20)の重量によって、可動ピン(23)の上部は基板サポート部(3)上面と同一面まで下降する。
【0049】
つまり、昇降部材としての可動ピン(23)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されているか否かによって降昇するようになっている。
【0050】
また、表示機構を構成する確認窓(7)は、図9(b)に示すように、可動ピン(23)の下降時に、可動ピンの側面(23C)が対向するフレーム部(1)の側面部位に、フレーム部(1)を水平に貫通して設けた、可動ピンの側面(23C)を確認するための窓である。この確認窓(7)には、ガラス基板収納用トレイ(30)内の防塵性が損なわれないように、例えば、透明樹脂が充填されている。
【0051】
この確認窓(7)の支持部(2)上面からの高さ(H6)、及び大きさ(c)×(d)は、可動ピン(23)の下降時には、確認窓(7)に可動ピンの側面(23C)が表示され、また、可動ピン(23)の上降時には、確認窓(7)に可動ピンの側面(23C)が表示されないように適宜に設定される。
【0052】
上記のように、昇降部材としての可動ピン(23)と確認窓(7)とで構成される、本発明における表示機構は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている際には、確認窓(7)に可動ピンの側面(23C)を表示し、また、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない際には、確認窓(7)に可動ピンの側面(23C)を表示しない機能を有したものである。
【0053】
図10は、図8に示すガラス基板収納用トレイ(50)の外部の白太矢印方向、図9に示すガラス基板収納用トレイ(50)の外部の矢印方向から確認窓(7)を観視した際の、確認窓(7)に表示される可動ピンの側面(23C)の状態を表したガラス基板収納用トレイ(50)の側面図である。図10(a)は図9(a)に対応し、図10(b)は図9(b)に対応している。
【0054】
図10(a)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない際には、確認窓(7)に可動ピンの側面(23C)は表示されていない。確認窓(7)内は2重斜線で示すように、薄暗い様相を呈している。
一方、図10(b)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている際には、確認窓(7)に1重斜線で示すように、可動ピンの側面(23C)は表示される。
【0055】
このように、本発明によるガラス基板収納用トレイ(50)によれば、表示機構の確認窓(7)を観視することによって、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板(20)が収納されているか
否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から容易に判定することができる。
【0056】
なお、図11は、前記図4、5に示すガラス基板収納用トレイ(30)を積重した際の部分側面図である。図11に示すように、ガラス基板収納用トレイ(30)の可動片(13)は相応の大きさを有するために、例えば、積重した状態での輸送中に振動などによって、ガラス基板(20)が浮き上がり、ガラス基板(20)の上面と、上方のガラス基板収納用トレイ(30)の下面とが接触(S)し、ガラス基板(20)の上面に汚れ、傷などが発生するリスクが考えられる。
【0057】
図8、9に示す、請求項3に係わるガラス基板収納用トレイ(50)は、昇降部材として、可動片(13)よりも軽小な可動ピン(23)を用いたことにより、このような、例えば、積重した状態での輸送中に振動などによって汚れ、傷などが発生するリスクを回避したガラス基板収納用トレイである。
【0058】
上記のように、本発明によるガラス基板収納用トレイ(30、50)は、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から容易に判定することができるので、実際の作業において、この判定とガラス基板収納用トレイを積重しているパレットのデータキャリアに保存された情報との照合を容易に行うことが可能となる。従って、本発明のガラス基板収納用トレイ(30、50)を用いることにより、例えば、トレイ移載装置や自動倉庫へパレットを搬入する前に、各ガラス基板収納用トレイにガラス基板が収納されているか否かの実際の状況と、データキャリアに保存された情報の整合性の確認を容易なものとし、実状と情報の不一致によるトレイ移載装置や自動倉庫でのトラブル、これによるロスを未然に防止することができる。
【0059】
さて、図12は、本発明によるガラス基板収納用トレイ(50)の複数を上下に積重した状態の一例を示す側面図である。図12に示すように、パレット(11)上に、複数のガラス基板収納用トレイが積重され、最上部のガラス基板収納用トレイ上に防塵用蓋(12)が設けられている。本来、この積重した状態のガラス基板収納用トレイは、符号(50d)で表すガラス基板収納用トレイのように、ガラス基板収納用トレイに設けられた確認窓(7)を全て手前側に向けて積重することになっている。
【0060】
しかし、図12に示す一例は、上段の3個、符号(50c)で表すガラス基板収納用トレイが、何らかの原因によって、確認窓(7)を手前側に向けておらず、逆側に向けて積重されてしまったものである。
確認窓(7)を逆側に向けて積重されたガラス基板収納用トレイ(50c)の確認窓(7)は、手前側からは観視できず、ガラス基板収納用トレイ(50c)にガラス基板が収納されているか否かを手前側から判定することはできない。
【0061】
図13は、このような問題を解決するためになされたガラス基板収納用トレイ(70)の一例の概略を示す平面図である。図13に示すように、可動ピン(23)と確認窓(7)で構成される表示機構は、フレーム部(1)内側の対向する二隅近傍の基板サポート部(3)の各々に、フレーム部中心(O)を通る垂線を対称線とする線対称の位置関係を保って設けられている。この2組の表示機構は同一の構造であることが好ましい。
【0062】
図14は、このような2組の表示機構が設けられたガラス基板収納用トレイ(70)の複数を上下に積重した状態の側面図である。ガラス基板収納用トレイ(70)に設けられている2組の表示機構は、フレーム部中心(O)をとうる垂線を対称線とする線対称の位置関係を保って設けられているので、仮に、何らかの原因によって、手前側を逆側に向けて積重されても、図14に示すように、常に、手前側と逆側の両側に確認窓(7)が向いている。
【0063】
従って、前記のような不具合は解消され、ガラス基板収納用トレイ(70)にガラス基板が収納されているか否かを手前側(一方側)から常に判定することが可能となる。
【0064】
また、請求項5に係わる発明は、表示機構を構成する、可動片(13)、可動ピン(23)などの昇降部材の側面の色が、確認し易い色であることを特徴とするガラス基板収納用トレイである。昇降部材の側面の色は、作業者が確認し易い色であること好まし。例えば、対比色としてのフレーム部(1)外側の色が白の場合、昇降部材の側面の色は、一般に標識に用いられる赤、黄赤、黄、緑などが好適である。
これにより、ガラス基板が収納されているか否かの外部からの判定が、より容易に正確なものとなる。
【0065】
また、図15は、請求項6に係わるガラス基板収納用トレイの部分断面図である。このガラス基板収納用トレイ(90)は、表示機構の可動片の側面(13C)の色が、上半部(13C−1)と下半部(13C−2)とで色が異なることを特徴としている。
図15(a)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない状態では、この可動片(13)は支持部(2)上に備えたコイルバネ(6)によって上昇し、可動片(13)の凹部(13A)の上面は基板サポート部(3)上面より突出している。
【0066】
また、図15(b)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている状態では、基板サポート部(3)上に積載したガラス基板(20)の重量によって、可動片(13)の凹部(13A)の上面は基板サポート部(3)上面と同一面まで下降する。つまり、昇降部材としての可動片(13)は、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されているか否かによって降昇するようになっている。
【0067】
基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない際には、確認窓(7)に可動片の側面の下半部(13C−2)を表示し、また、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている際には、確認窓(7)に可動片の側面の上半部(13C−1)を表示する。
図16は、図15に示すガラス基板収納用トレイ(90)の外部の矢印方向から確認窓(7)を観視した際の、確認窓(7)に表示される可動片の側面の状態を表した側面図である。図16(a)は図15(a)に対応し、図16(b)は図15(b)に対応している。
【0068】
図16(a)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されていない際には、確認窓(7)に可動片の側面の下半部(13C−2)が表示されている。一方、図16(b)に示すように、基板サポート部(3)上にガラス基板(20)が積載されている際には、可動片の側面の上半部(13C−1)が表示される。
可動片の側面の上半部(13C−1)の色と、下半部(13C−2)の色の組み合わせは、例えば、対比色としてのフレーム部(1)外側の色が白の場合、黄赤と青緑、或いは、マゼンタと緑、など補色関係にある2色の組み合わせが好適である。
【0069】
請求項6に係わるガラス基板収納用トレイ(90)により、ガラス基板が収納されているか否かの外部からの判定が、更により容易に且つ正確なものとなる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・フレーム部
2・・・支持部
3・・・基板サポート部
4・・・縁部
5・・・止め部
6・・・コイルバネ
7・・・確認窓
8・・・貫通口
10・・・ガラス基板収納用トレイ
11・・・パレット
12・・・防塵用蓋
13・・・可動片
13C・・・可動片の側面
14・・・データキャリア
16・・・板バネ
20・・・ガラス基板
23・・・可動ピン
23C・・・可動ピンの側面
30、50、70、90・・・本発明のガラス基板収納用トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を水平に積載したトレイを積重して搬送、保管するガラス基板収納用トレイにおいて、
1)前記ガラス基板収納用トレイは、少なくとも、平面視で矩形状のフレーム部と、該フレーム部内側の下部に設けた梁状の支持部と、該支持部上に設けた、ガラス基板を積載する板状の基板サポート部とで構成され、
2)前記基板サポート部上にガラス基板が積載されているか否かを表示する表示機構として、a)前記フレーム部内側の一隅近傍の基板サポート部に設けた、支持部上に備えたバネによって上昇して、その上部が基板サポート部上面より突出し、また、基板サポート部上に積載したガラス基板の重量によって、その上部が基板サポート部上面と同一面まで下降する昇降部材と、
b)該昇降部材の下降時に、昇降部材側面が対向するフレーム部の側面部位に、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓とで構成される表示機構が設けられており、
3)該表示機構は、a)基板サポート部上にガラス基板が積載されている際には、確認窓に昇降部材側面を表示し、
b)基板サポート部上にガラス基板が積載されていない際には、確認窓に昇降部材側面を表示しないことからして、
4)上記表示機構の確認窓を観視することによって、複数のガラス基板収納用トレイが上下に積重された状態であっても、ガラス基板収納用トレイの各々にガラス基板が収納されているか否かを、ガラス基板収納用トレイの外部から判定できることを特徴とするガラス基板収納用トレイ。
【請求項2】
前記表示機構を構成する昇降部材が、フレーム部内側の一隅近傍の基板サポート部の一部分を切り離した、基板サポート部の厚さより薄い厚さの可動片であり、前記支持部上に備えたバネがコイルバネであり、また、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓には透明樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1記載のガラス基板収納用トレイ。
【請求項3】
前記表示機構を構成する昇降部材が可動ピンであり、前記支持部上に備えたバネが板バネであり、該可動ピンと該板バネを設ける、フレーム部内側の一隅近傍の基板サポート部の一部分の厚さは他の部分の厚さより薄い厚さであり、この一部分には可動ピン用の貫通口を備え、また、フレーム部を水平に貫通して設けた確認窓には透明樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1記載のガラス基板収納用トレイ。
【請求項4】
前記表示機構が、平面視で矩形状のフレーム部内側の対向する二隅近傍の基板サポート部の各々に、フレーム部中心を通る垂線を対称線とする線対称の位置関係を保って設けられていることを特徴とする請求項1、2、又は3記載のガラス基板収納用トレイ。
【請求項5】
前記表示機構を構成する昇降部材側面の色が、確認し易い色であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載のガラス基板収納用トレイ。
【請求項6】
前記昇降部材側面の色が、該側面の上半部と下半部とで色が異なることを特徴とする請求項5記載のガラス基板収納用トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−73688(P2011−73688A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224498(P2009−224498)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】