説明

キナゾリンおよびイソキノリンのテトラヒドロイソキノリニル誘導体

本発明は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として働く置換キナゾリンおよびイソキノリン化合物に関する。特に、本発明はPDE−10の選択的阻害剤である化合物に関する。本発明はまた、上記化合物の製造のための中間体;上記化合物を含有する医薬組成物;および特定の中枢神経系(CNS)障害または他の障害を治療する方法における上記化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として働く置換キナゾリンおよびイソキノリン化合物に関する。本発明はまた、PDE-10の選択的阻害剤である化合物に関する。本発明はさらに、上記化合物の製造のための中間体;上記化合物を含有する医薬組成物;および特定の中枢神経系(CNS)障害または他の障害を治療する方法における上記化合物の使用に関する。本発明はまた、神経変性および精神医学的障害、例えば症状として認知欠損を含んでいる精神疾患および障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、ヌクレオチド環状アデノシン一リン酸(cAMP)および環状グアノシン一リン酸(cGMP)の、それらのそれぞれのヌクレオチド一リン酸塩への加水分解に関与する細胞内酵素のクラスである。環状ヌクレオチドcAMPおよびcGMPは、それぞれ、アデニリルおよびグアニリルシクラーゼによって合成され、そして、いくつかの細胞経路の第二のメッセンジャーとして役立つ。
【0003】
環状ヌクレオチド、環状アデノシン一リン酸(cAMP)および環状グアノシン一リン酸(cGMP)は、特に中枢神経系のニューロンにおいて、細胞内プロセスの巨大なアレイを調節する細胞内の第二のメッセンジャーとして機能する。ニューロンにおいて、これは、cAMPおよびcGMP依存性のキナーゼの活性化、ならびにシナプス伝達の急性調節、加えて神経分化および生存に関与するタンパクのその後のリン酸化を含む。環状ヌクレオチドシグナリングの複雑さは、cAMPおよびcGMPの合成および分解に関係している酵素の分子の多様性によって示される。アデニリルシクラーゼの10のファミリー、グアニリルシクラーゼの2つのファミリー、およびホスホジエステラーゼの11のファミリーがある。さらに、ニューロンの異なったタイプは、これらのクラスの各々の複数のアイソザイムを発現することが公知であり、そして所定のニューロンの範囲内の異なるアイソザイムの機能の区画化(comparmentalization)および特異性のよい証拠である。
【0004】
環状ヌクレオチドシグナリングを調節する主な機構は、ホスホジエステラーゼで触媒される環状ヌクレオチド異化による。21の異なる遺伝子によってコードされるPDEの11の公知のファミリーが存在する。一般的に、各々の遺伝子は、アイソザイム多様性にさらに寄与する複数のスプライス変異体を生じる。PDEファミリーは、環状ヌクレオチド基質特異性、調節の機構、および阻害剤に対する感受性に基づいて、機能的に区別される。さらに、PDEは中枢神経系を含む有機体全体で差次的に発現される。これらの異なった酵素活性および局在の結果として、異なるPDEのアイソザイムが、異なった生理的機能に役立ち得る。さらに、選択的に異なったPDEファミリーまたはアイソザイムを阻害できる化合物は、特定の治療効果、より少ない副作用またはその両方を提供し得る。
【0005】
PDE10は、一次アミノ酸配列および異なった酵素活性に基づいて、特異なファミリーとして同定される。ESTデータベースのホモロジースクリーニングで、マウスPDE10AがPDEのPDE10ファミリーの第一のメンバーであると分かった(Fujishige他, J. Biol. Chem. 274:18438-18445, 1999;Loughney, K他, Gene 234:109-117, 1999)。マウスホモログもまたクローニングされ(Soderling, S他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:7071-7076, 1999)、そしてラットおよびヒト遺伝子両方のN末端スプライス変異体が同定された(Kotera, J他, Biochem. Biophys. Res. Comm. 261:551-557, 1999;Fujishige, K他, Eur. J. Biochem. 266:1118-1127, 1999)。種全体の高度なホモロジーが存在する。マウスPDE10A1は、cAMPおよびcGMP両方をそれぞれAMPおよびGMPに加水分解する779アミノ酸タンパク質である。cAMPのPDE10の親和性(Km=0.05μM)は、cGMP(Km=3μM)の親和性より高い。し
かし、cAMPより約5倍大きいcGMPのVmaxは、PDE10が特異なcAMP−阻害cGMPアーゼであるという示唆をもたらす(Fujishige他, J. Biol. Chem. 274:18438-18445, 1999)。
【0006】
ポリペプチドのPDE 10ファミリーは、以前に同定されたPDEファミリーと比較してより低い程度の配列相同性を示し、そして他のPDEファミリーに特異的であることが知られる特定の阻害剤に非感受性であることが示された。米国特許第6,350,603号。
【0007】
PDE10はまた、他のPDEファミリーと比較して哺乳動物において独特に局所化する。PDE10に対するmRNAは、精巣および脳だけに非常に高く発現する(Fujishige, K.他, Eur J Biochem. 266:1118-1127, 1999; Soderling, S.他, Proc. Natl. Acad. Sci. 96: 7071-7076, 1999; Loughney, K.他, Gene 234:109-117, 1999)。これらの最初の研究は、脳の範囲内でのPDE10発現が線条(尾状および被殻)、側坐核(n. accumbens)およびきゅう結節で最も高いことを示した。近年、詳細な分析により、PDE10 mRNAの齧歯動物脳の発現パターン(Seeger, T.F他, Abst. Soc. Neurosci. 26:345.10, 2000)およびPDE10タンパク質(Menniti, F.S., Stick, C.A., Seeger, T.F., 及び Ryan, A.M., Immunohistochemical localization of PDE10 in the rat brain. William Harvey Research Conference 'Phosphodiesterase in Health and Disease', Porto, Portugal, Dec. 5-7, 2001)が作成された。
【0008】
突出した肺疾患、アレルギー、高血圧、アンギナ、うつ血性心不全、うつ病および勃起不全を含む、PDE阻害剤の様々な治療用途が報告された(WO 01/41807 A2)。
虚血性心疾患状態の治療における選択されたベンゾイミダゾールおよび関連した複素環式化合物の使用が、PDEに関連するcGMP活性の阻害に基づいて開示された。米国特許第5,693,652号。
米国特許出願公開2003/0032579は、選択的なPDE10阻害剤パパベリンを用いる特定の神経病学的および精神医学的障害を治療する方法を開示する。特に、本方法は、精神病性障害、例えば統合失調症、妄想性障害および薬物誘導された精神疾患;不安障害、例えばパニック障害および強迫神経症;ならびにパーキンソン病およびハンティングトン舞踏病を含む運動障害に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一形態において、本発明は、式Iとして本明細書中で示される以下の式:
【化1】

で表される化合物、ならびにその製薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグに関し、
ここでQはNまたはCHであり;
ここでR1、R2およびR3は各々独立して、水素、ハロゲン、(C1-C9)アルキル、(C2-C9)ア
ルケニル、(C2-C9)アルキニル、(C3-C8)シクロアルキル、-O-(C1-C9)アルキル、-O-(C2-C9)アルケニル、(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR5、または-COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換され;ここでR4およびR5は独立して、H、C1-C6アルキル、または(C2-C6)アルケニル)であり、ここで上記アルキルおよびアルケニルは場合により1〜3個のハロゲン原子で置換され;そしてR1、R2およびR3が独立して、-O-アルキル、-O-アルケニル、またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニルである場合、R1およびR2、またはR1およびR3は、場合により結合され、5〜6員の環を形成してもよく;
【0010】
R6およびR7は独立して水素;
【化2】

[式中、Xは非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキル基、非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換された-O-C1-C6アルキル、非置換であるかまたは1または2個の置換基で置換された(C6-C14)アリール基、-NR8R9基または
【化3】

であり、
ここで上記(C6-C14)アリール基置換基は独立して、C1-C6アルキル、-O-C1-C6アルキル、ハロゲン、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR4、および-COOH、ならびに1〜3個のハロゲンで置換された(C1-C6)アルキルから選択され;
【0011】
Yは水素または(C1-C6)アルキルであり;
nは0または1であり;
R8およびR9は各々独立して(C1-C6)アルキルまたは水素であり;
Zは酸素またはNR10であり、ここでR10は水素または(C1-C6)アルキルである]
であり;
ここでR11およびR12は独立してH、ハロゲン、-C≡N、-COOH、-COOR4、-CONR4R5、COR4、-NR4R5、-OH、(C6-C14)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニルまたは(C3-C8)シクロアルキルであり、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは場合により独立して、1〜3個のハロゲンで置換される。
【0012】
本発明の特定の実施形態は、QがNであり、そしてR1およびR2は各々-OCH3である、式Iの化合物に関する。
本発明の別の実施形態は、QがNであり、R1およびR2が各々-OCH3であり、そして
R6およびR7の一方または両方が
【化4】

(式中、XおよびYは上記で定義されるとおりである)
である、式Iの化合物に関する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、QがNであり、R1およびR2が各々-OCH3であり、そしてR6およびR7の一方または両方が
【化5】

であり、そしてXが4−メチルピペラジンである、式Iの化合物に関する。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態は、QがNであり、R1およびR2が各々-OCH3であり、そしてR6およびR7の一方または両方が
【化6】

(式中、Xが一−もしくは二置換アリールであり、そしてYが水素である)
である、式Iの化合物に関する。好ましくは、アリールは、場合によりC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR4、および-COOHで置換された、フェニルまたはナフチルであり、ここでR4およびR5は上記で定義されるとおりである。
【0015】
本発明の別の実施形態は、QがNであり、R1およびR2が各々-OCH3であり、そしてR6およびR7の一方または両方が
【化7】

(式中、XおよびYは上記で定義されるとおりである)
である、式Iの化合物に関する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、QがCHであり、R1およびR2が各々-OCH3であり、そしてR6、R7、R11およびR12が水素である、式Iの化合物に関する。
別の実施形態において、R11およびR12は独立して、水素、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、および(C3-C8)シクロアルキルから選択される。上記実施形態において、Qは好ましくはNである。
【0017】
具体的な式Iの化合物の例は以下である:
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-4-イソプロピル-ベンゼンスルホンアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-2,2-ジメチル-プロピオンアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-アセトアミド;
4-クロロ-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンゼンスルホンアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-アセトアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-4-エチル-ベンズアミド;
4-クロロ-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンズアミド;
3-クロロ-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンズアミド;
4-tert-ブチル-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンゼンスルホンアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル]-4-エトキシベンズアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホンアミド;
N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-3,4-ジメトキシ-ベンゼンスルホンアミド;
6,7-ジメトキシ-4-[8-(モルホリン-4-スルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-キナゾリン;
6,7-ジメトキシ-4-[8-(4-メチル-ピペラジン-1-スルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-キナゾリン;
4-(7,8-ジメトキシ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-6-エトキシ-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(6,7-ジメトキシ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-6-エトキシ-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(6,7-ジメトキシ-3-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-6-エトキシ-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-6-エトキシ-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-7-メトキシ-キナゾリン;
2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イルアミン;
6,7-ジメトキシ-3',4'-ジヒドロ-1'H-[1,2']ビイソキノリニル;および
6,7-ジメトキシ-4-(3-プロピル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-キナゾリン。
【0018】
以下が、本明細書中に開示される方法により製造され得る好ましい化合物である。
6,7,8-トリメトキシ-4-[8-(4-メチル-ピペラジン-1-スルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-キナゾリン、
4-メトキシ-6-[8-(4-メチル-ピペラジン-1-スルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-1,3-ジオキサ-7,9-ジアザ-シクロペンタ[a]ナフタレン、
6,7,8-トリメトキシ-4-(8-メトキシ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-キナゾリン、
4-メトキシ-6-(8-メトキシ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-1,3-ジオキサ-7,9-ジアザ-シクロペンタ[a]ナフタレン、
2-(4-メトキシ-1,3-ジオキサ-7,9-ジアザ-シクロペンタ[a]ナフタレン-6-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-カルボン酸アミド、
2-(6,7,8-トリメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-カルボン酸アミド、
6,7,8-トリメトキシ-4-[6-(4-メトキシ-フェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-キナゾリン、
4-メトキシ-6-[6-(4-メトキシ-フェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-1,3-ジオキサ-7,9-ジアザ-シクロペンタ[a]ナフタレン。
上記リストされた化合物およびそれらの製薬上の塩、溶媒和物、およびそのプロドラッグが、本発明の好ましい実施形態である。
【0019】
本発明はまた、特定の精神病性障害および状態、例えば統合失調症、妄想性障害および薬物誘導された精神疾患; 不安障害、例えばパニック障害および強迫神経症;ならびにパーキンソン病およびハンティングトン舞踏病を含む運動障害の治療のための医薬組成物に関し、これはPDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を含有する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、精神病性障害および状態、例えば統合失調症、妄想性障害および薬物誘導された精神疾患;不安障害、例えばパニック障害および強迫神経症;ならびにパーキンソン病およびハンティングトン舞踏病を含む運動障害の治療のための医薬組成物に関し、これは上記障害または状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物を含有する。
【0021】
本発明にしたがって治療され得る精神病性障害の例としては、例えば妄想型、解体型、緊張型、分類不能型または残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば、妄想型または抑うつ型の統合失調症性感情障害;妄想性障害;物質誘導される精神病性障害、例えばアルコール、アンフェタミン、カンナビス、コカイン、幻覚剤、吸入薬、オピオイドまたはフェンシクリジンによって誘導される精神疾患;妄想型の人格障害;および統合失調症型の人格障害が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明にしたがって治療され得る運動障害の例としては、ドーパミン・アゴニスト療法と関連するハンティングトン舞踏病および運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群および本態性振戦が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明にしたがって治療され得る他の障害は、強迫性/衝動的障害、トゥレット症候群および他のチック障害である。
【0023】
別の実施形態において、本発明は哺乳動物において不安障害または状態を治療する方法に関し、上記方法は、上記哺乳動物にPDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を投与することからなる。
【0024】
本発明はまた、哺乳動物において不安障害または状態を治療する方法を提供し、上記方法は、上記哺乳動物に上記障害または状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物を投与することからなる。
【0025】
本発明にしたがって治療され得る不安障害の例としては、パニック障害;広場恐怖症;特定恐怖症;対人恐怖症;強迫神経症;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;および全般性不安障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物において薬物中毒、例えばアルコール、アンフェタミン、コカインまたはアヘン剤中毒を治療する方法を提供し、上記方法は、薬物中毒を治療するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0027】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において薬物中毒、例えばアルコール、アンフェタミン、コカインまたはアヘン剤中毒を治療する方法を提供し、上記方法は、PDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0028】
本明細書中で使用される「薬物中毒」は、薬物に対する異常な欲求を意味し、そして一般的に、動機付け障害(motivational disturbance)、例えば所望の薬物を摂取する強迫行為および強い薬物渇望のエピソードにより特徴付けられる。
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物において症状として、注意力および/または認識力の欠陥を含む障害を治療する方法を提供し、上記方法は上記障害を治療するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0029】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において症状として、注意力および/または認識力の欠陥を含む障害または状態を治療する方法を提供し、上記方法はPDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0030】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において症状として、注意力および/または認識力の欠陥を含む障害または状態を治療する方法を提供し、上記方法は上記障害または状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0031】
「症状として注意力および/または認識力の欠陥を含む障害」中、本明細書において使用される句「注意力および/または認識力の欠陥」は、同じ一般の年齢人口内の他の個体と比較した特定の個体における、1またはそれ以上の認識状況、例えば記憶、知能または学習および論理的能力における正常以下の機能を意味する。「注意力および/または認識力の欠陥」はまた、例えば加齢に関連した認識低下で生じるような、1またはそれ以上の認識状況における任意の特定の個体の機能低下を意味する。
【0032】
本発明にしたがって治療され得る注意力および/または認識力の欠陥を症状として含む障害の例は、痴呆、例えばアルツハイマー病、多発梗塞性痴呆症、アルコール性痴呆またはその他の薬物関連痴呆、頭蓋内腫瘍または脳の外傷と関連する痴呆、ハンティングトン舞踏病もしくはパーキンソン病と関連する痴呆またはAIDS関連痴呆;精神錯乱;健忘障害;心的外傷後ストレス障害;精神薄弱;学習障害、例えば読書障害、算数障害または書字表出障害;注意力欠陥/多動性障害;および加齢に伴う認識低下である。
【0033】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において気分障害または気分エピソードを治療する方法を提供し、上記方法は上記障害またはエピソードを治療するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において気分障害または気分エピソードを治療する方法を提供し、上記方法はPDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0034】
本発明にしたがって治療され得る気分障害および気分エピソードの例としては、軽度、中程度または重度のタイプの大うつ病エピソード 、躁病的または混合型の気分エピソード、軽躁病気分エピソード(hypomanic mood episode);非定型の特徴を有するうつ病エピソード;メランコリー型の特徴を有するうつ病エピソード;緊張性特徴を有するうつ病エピソード;産後に発症する気分エピソード;卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不機嫌性障害;統合失調症の精神病後うつ病性障害;妄想性障害または統合失調症のような精神病性障害に併発する大うつ病性障害;双極性障害、例えば双極I型障害、双極II型障害および気分循環性障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物において神経変性障害または状態を治療する方法を提供し、上記方法は上記障害または状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物において神経変性障害または状態を治療する方法を提供し、上記方法はPDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を上記哺乳動物に投与することからなる。
【0036】
本明細書に使用される場合、および特に明記しない限り、「神経変性障害または状態」は、中枢神経系のニューロンの機能不全および/または死により引き起こされる障害または状態を意味する。これらの障害および状態の治療は、これらの障害または状態の危険のあるニューロンの機能不全または死を予防し、そして/または危険な状態にあるニューロンの機能不全または死により引き起こされる機能損失を埋め合わせるような方法で、損傷しているかまたは健康なニューロンの機能を増強する薬剤の投与により、促進され得る。本明細書中で使用される用語「神経分化誘導物質」は、これらの特性のいくつかまたは全てを有する物質または薬剤を意味する。
【0037】
本発明にしたがって治療され得る神経変性障害および状態の例としては、パーキンソン病;ハンティングトン舞踏病;痴呆、例えばアルツハイマー病、多発梗塞性痴呆症、AIDS関連痴呆および前頭側頭型痴呆;脳の外傷と関連する神経変性;卒中と関連する神経変性、脳梗塞と関連する神経変性;低血糖症により誘導された神経変性;癲癇性発作と関連する神経変性;神経毒中毒と関連する神経変性;および多系統萎縮症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の一実施形態において、神経変性障害または状態は、ヒトを含む哺乳動物における、線条体の投射ニューロン(striatal medium spiny neuron)の神経変性を含む。
本発明のさらに別の実施形態において、神経変性障害または状態はハンティングトン舞踏病である。
本明細書中に使用される用語「アリール」は、特に明記しない限り、一価芳香族炭化水素に由来する有機基を含み、そしてこれらに限定されないが、フェニル、ナフチルおよびインデニルを含む。
本明細書中に使用される用語「アルキル」は、特に明記しない限り、直鎖または分枝鎖部分を有する飽和の一価炭化水素基を含む。アルキル基の例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt-ブチルが挙げられる。
【0039】
本明細書中に使用される用語「アルケニル」としては、特に明記しない限り、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するアルキル部分が挙げられ、ここでアルキルは上記で定義されるとおりである。アルケニルの例としては、これらに限定されないが、エテニルおよびプロペニルが挙げられる。
特に明記しない限り、本明細書中に使用される用語「アルキニル」としては、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有するアルキル部分が挙げられ、ここでアルキルは上記で定義されるとおりである。アルキニル基の例としては、これらに限定されないが、エチニルおよび2−プロピニルが挙げられる。
特に明記しない限り、本明細書中に使用される用語「シクロアルキル」としては、非芳香族飽和環状アルキル部分を含むアルキル基が挙げられ、ここでアルキルは上記で定義されるとおりである。シクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。
【0040】
本明細書中に使用される「ヘテロアリール」は、1またはそれ以上のヘテロ原子(O、S
、またはN)、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含む芳香族基を意味する。基の少なくとも1つの環が芳香族である、1またはそれ以上のヘテロ原子を含む複数環状基は「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基はまた、1またはそれ以上のオキソ部分で置換された環系を含んでよい。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、
イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルである。
【0041】
「神経毒中毒」は神経毒により引き起こされる中毒を意味する。神経毒は、神経死滅およびしたがって神経障害を引き起こし得る任意の化学物質または物質である。神経毒の例はアルコールであり、これは、妊婦により乱用される場合、新生児における胎児性アルコール症候群として知られるアルコール中毒および神経障害を生じ得る。神経毒の他の例としては、これらに限定されないが、カイニン酸、ドモイ酸、およびアクロメリン酸;特定の農薬、例えばDDT;特定の殺虫剤、例えば有機ホスフェート;揮発性有機溶媒、例えばヘキサカーボン(例えばトルエン);重金属(例えば鉛、水銀、ヒ素、およびリン);アルミニウム;兵器として使用される特定の化学物質、例えばオレンジ剤および神経ガス;ならびに神経毒抗悪性腫瘍剤が挙げられる。
【0042】
本明細書で使用される用語「選択的PDE10阻害剤」は、PDE 1-9ファミリーまたはPDE11ファミリーからの酵素より一層効果的に、PDE10ファミリーからの酵素を阻害する物質、例えば有機分子を意味する。一実施形態において、選択的PDE10阻害剤は、PDE10の阻害に対するKiが任意の他のPDE酵素の阻害に対するKiの約1/10またはそれ未満である物質、例えば有機分子である。換言すれば、この物質は、任意の他のPDE酵素に必要とされる濃度の約1/10またはそれ未満の濃度で、同じ程度までPDE10活性を阻害する。
一般的に、物質は、約10μMまたはそれ未満、好ましくは約0.1μMまたはそれ未満のKiを有する場合、PDE10活性を効果的に阻害するとみなされる。
【0043】
「選択的PDE10阻害剤」は、例えば、PDE10活性を阻害する物質の能力を、他のPDEファミリーからのPDE酵素を阻害する能力と比較することにより、同定され得る。例えば、物質を、PDE10活性、ならびにPDE1、PDE2、PDE3A、PDE4A、PDE4B、PDE4C、PDE4D、PDE5、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、およびPDE11を阻害するその能力についてアッセイし得る。
【0044】
「障害を治療する方法」のように、用語「治療する」は、上記用語が適当される障害の進行、または1もしくはそれ以上のその障害の症状を後退、緩和、または抑制することを
意味する。本明細書中に使用される場合、この用語はまた、患者の状態に依存して、障害の予防を包含し、これは、障害の発症またはその障害と関連した任意の症状の発症を予防すること、ならびに障害または発症前の症状のいずれかの重さを軽減することを含む。本明細書中で使用される「治療する」はまた、障害の再発を予防することも意味する。
【0045】
例えば、本明細書中に使用される「統合失調症、または統合失調症様障害または統合失調性感情障害を治療する」はまた、上記障害の1またはそれ以上の症状(陽性、陰性、および他の関連する特徴)を治療すること、例えば妄想および/またはそれと関連した幻覚を治療することもまた包含する。統合失調症および統合失調症様障害および統合失調性感情障害の症状の他の例としては、解体した会話、感情の鈍化、失語症、性快感消失症、不相応な情動、不安な気分(dysphoric mood)(例えばうつ、不安または怒りの形の)、および認識機能不全のいくつかの徴候が挙げられる。
本明細書中に使用される用語「哺乳動物」は、クラス「哺乳類」の任意のメンバーを意味し、これらに限定されないが、ヒト、イヌおよびネコを含む。
【0046】
本発明はまた、式Iの化合物の製造に用いられる式III
【化8】

の中間体化合物およびその誘導体に関し、
式中、R6およびR7の一方または両方は水素、
【化9】

[式中、Xは非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキル基、非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルコキシ基、非置換であるかまたは1または2個の置換基で置換された(C6-C14)アリール基、-NR8R9基または
【化10】

であり、
ここで上記(C6-C14)アリール基置換基は独立して、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR4、および-COOH、ならびに1〜3個のハロゲンで置換された(C1-C6)アルキルから選択され;
Yは水素または(C1-C6)アルキルであり;
nは0または1であり;
R8およびR9は各々独立して、(C1-C6)アルキルまたは水素であり;そして
Zは酸素またはNR10であり、ここでR10は水素または(C1-C6)アルキルある]
であり、
ここでR11およびR12は独立して、H、ハロゲン、-C≡N、-COOH、-COOR3、-CONR3R4、COR3、-NR3R4、-OH、(C6-C14)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニルまたは(C3-C8)シクロアルキルであり、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは場合により独立して、1〜3個のハロゲンで置換される。
【0047】
本発明の別の実施形態において、式I
【化11】

の化合物、ならびにその製薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグの製造方法に関し、
ここでQはNまたはCであり;
ここでR1およびR2は各々独立して、水素、ハロゲン、(C1-C9)アルキル、(C2-C9)アルケニル、(C2-C9)アルキニル、(C3-C8)シクロアルキル、-O-(C1-C9)アルキル、-O-(C2-C9)アルケニル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR5、-COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは場合によ
り1〜3個のハロゲンで置換され、ここでR4およびR5は独立して、Hまたは場合により1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1-C6アルキルであり;そして、R1およびR2が独立して-O-アルキルまたはアルキルである場合、R1およびR2は結合して、5〜6員環を形成してもよく;
【0048】
R6およびR7の一方または両方は水素;
【化12】

[式中、Xは非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキル基、非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルコキシ基、非置換であるかまたは1または2個の置換基で置換された(C6-C14)アリール基、-NR8R9基または
【化13】

であり、ここで上記(C6-C14)アリール基置換基は独立して、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR4、および-COOH、ならびに1〜3個のハロゲンで置換された(C1-C6)アルキルから選択され;
【0049】
Yは水素または(C1-C6)アルキルであり;
nは0または1であり;
R8およびR9は各々独立して、(C1-C6)アルキルまたは水素であり;
Zは酸素またはNR10であり、ここでR10は水素または(C1-C6)アルキルである]
であり;
ここでR11およびR12は独立して、H、ハロゲン、-C≡N、-COOH、-COOR4、-CONR4R5、COR4、-NR4R5、-OH、(C6-C14)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニルまたは(C3-C8)シクロアルキルであり、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは場合により独立して、1〜3個のハロゲンで置換され;
【0050】
式IIa
【化14】

[式中、R1およびR2は各々独立して、水素、ハロゲン、(C1-C9)アルキル、(C2-C9)アルケニル、(C2-C9)アルキニル、(C3-C8)シクロアルキル、-O-(C1-C9)アルキル、-O-(C2-C9)アルケニル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、-C≡N、-NO2、-COOR4、-CONR4R5、-NR4R5、-COR5、-COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換され、ここでR4およびR5は独立してHまたは場合により1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1-C6アルキルであり;そしてR1、R2およびR3が独立して-O-アルキルまたはアルキルである場合、R1およびR2またはR1およびR3は結合して、5〜6員の環を形成してもよく;
そしてLは適当な脱離基である]
の化合物を、式III
【化15】

(式中、R5、R6、R10およびR11は上記で定義される)
の化合物と、好ましくは塩基の存在下で反応させることからなる。
【0051】
脱離基の例としては、これらに限定されないが、塩素、臭素、ヨウ素、p-トルエンスルホネート、アルキルサルフェートおよびアルカンスルホネート、特にトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
好ましい実施形態において、脱離基Lは塩素である。
【0052】
本発明の式Iのテトラヒドロイソキノリニル置換キナゾリン化合物を、以下の反応スキームおよび議論に記載されるとおり製造することができる。特に示さない限り、以下の反応スキームおよび議論において、R1〜R8、X、YおよびZは上記で定義されるとおりである。
【0053】
以下のスキーム1は4-クロロ置換キナゾリンIIを、式IIIのテトラヒドロイソキノリン
の選択された誘導体とカップリングさせることにより、式Iの化合物を製造する一般方法を例示する。
【0054】
【化16】

【0055】
【化17】

【0056】
スキーム2は、式Iのジメトキシ置換化合物を生成する4-クロロ-6,7-ジメトキシキナゾリン [PC Int. Appl. 2003008388, 30 Jan 2003] とテトラヒドロイソキノリンのR3誘導体とのカップリング反応を示す。この反応は、典型的には、不活性溶媒、例えばトルエン中において、場合により炭酸塩塩基の存在下、温度約0℃〜約200℃の範囲で実施される。他の適当な溶媒としては、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、2-プロパノールおよびキシレンが挙げられる。あるいは、溶媒混合物、例えばトルエン/イソプロパノールを用いることができる。好ましくは、反応物を、トルエンおよびイソプロパノールの溶媒混合物中、約2時間〜約24時間の期間、加熱還流する。
【0057】
以下のスキーム3、4、5A、5B、6および7は、式IIIのそれぞれの中間体に対する特定の合成経路を例示する。
【0058】
【化18】

【0059】
スキーム3は、8-(アミノスルホニル)-置換テトラヒドロイソキノリンを製造する方法を例示する。スキームは、アミノ成分としてモルホリンの使用を例示するが、モルホリンは、種々の環式および非環式アミンのいずれか1つで置換され得ることが認識される。5-
ブロモイソキノリンは、文献手順にしたがって製造される(Brown, W.D.およびA.-H. Gouliaev, Synthesis, 2002.1: p.83-86.; Rey, M., T. Vergnani、およびA.S. Dreiding, Helv. Chim. Acta. 1985. 68: p.1828-1834.)。スルホン化は、発煙硫酸による処理を介して達成される。塩化チオニルニートによるかまたは不活性溶媒中の処理は、スルホニルクロリドを提供する。このスルホニルクロリドを、次の工程の前に単離することができる。好ましくは、スルホニルクロリドは、所望のアミン成分によりインサイチュで処理され、5-ブロモ-8-アミノスルホニルキナゾリンを生成する。当業者に公知の条件の多くの可能なセットの一つの下、接触水素化を用いて、臭素原子を切断し、そしてイソキノリンをテトラヒドロイソキノリンに還元する。
【0060】
【化19】

【0061】
スキーム4に示されるテトラヒドロイソキノリン-7-イル-アルカンアミドおよびテトラヒドロイソキノリン-7-イル-アルカンスルホンアミドは、7-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリンから製造される(McCoubrey, A.M.およびD.W. Mathieson, J. Chem. Soc., 1951: p.2851-2853)。ニトロ基のアニリンへの還元は、接触水素化により、または酸の存在下で亜鉛還元を介して達成され得る。好ましくは、水性HCl中の亜鉛による還元が使用される。生じたテトラヒドロイソキノリン-7-イル-アミンを、優先してテトラヒドロイソキノリン窒素原子において生じるアシル化を介して保護する。一般的に、tert-ブチルオキシカルボニル保護を用いるが、他のカルバメート保護基、例えばCbzまたはFmocも用いることができることが理解される。代替の保護スキームとしては、これらに限定されないが、アセチル化およびトリフルオロアセチル化が挙げられる。典型的には、アシル化反応を、不活性溶媒中、塩基の存在下で実施する。あるいは、塩基は、基質が内部塩基として働くアニリン基を有することから、除くことができる。保護後、基質をアシルクロリドおよびスルホニルクロリドで処理し、対応するアルカンアミドおよびスルホンアミドを生成することができる。最終的に、保護基の切断を、当業者に公知の標準的条件に従って実施し、テトラヒドロイソキノリン生成物を得る。
【0062】
【化20】

【0063】
同様の様式で、5-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン[2]を対応するアニリンに還元し、そしてスキーム4に記載される適当な基で保護する。これらの変換の順序は、保護工程が還元工程に進むように逆転してもよい。工程の両方が周知であり、かつ、標準的手順にしたがって容易に実施される。対応するテトラヒドロイソキノリン-5-イルアセトアミドおよびスルホンアミドへの変換は、適当なアシルまたはスルホニルクロリドによる処理と、引き続くスキーム4に記載されるのと同様の方法における脱保護を介した直接の方法において達成される。
【0064】
【化21】

【0065】
スキーム4Cは、テトラヒドロイソキノリン-8-イルアセトアミドおよびスルホンアミドの合成方法を示す。本方法にしたがって、5-ブロモ-8-ニトロイソキノリン[3]を、本明細書中に記載される標準条件にしたがって、イソキノリン環の連続した接触水素化およびニトロ基の亜鉛−HCl還元を介して、8-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンに還元する。対応するアミドおよびスルホンアミドへの変換は、適当なカルバメート基、例えばBoc基による保護の前に必要とされる。適当なアシル−およびスルホニルクロリドによる後の処理、ならびに通常の条件に従う脱保護により、生成物を得る。
【0066】
【化22】

【0067】
1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-カルボン酸アルカンアミドを、2-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-カルボン酸メチルエステルから製造し得る(Stoker, G.E.,. Tetrahedron Lett., 1996. 37(31): p.5453-5456.)。
Weinrebアミド化として知られ、そしてスキーム5Aに示される一つの方法において、エステルは、Basha, A., M. Lipton、およびS.M. Weinreb, Tetrahedron, 1977. 48: p.4171-4174の手順にしたがってジアルキルアルミニウムアミドにより処理される。
【0068】
スキーム5Bに示される他の方法は、カルボン酸を製造するためにエステルの加水分解を必要とする。次いで、酸は、当業者に周知の方法を利用して、アミン成分とカップリングされ得る。例えば、これは一般的に公知の条件下、カルボン酸の酸塩化物への変換を介して行われ得る。次いで、酸塩化物を、不活性溶媒、例えば塩化メチレン中の塩基の存在下、アミン成分により処理し、アミド生成物を得る。このカップリングはまた、当業者に公知の特殊なカップリング試薬、例えばDCC、HATU、BOP-Cl、PyBropおよび多くの他のものにより仲介され得る(Humphrey, J.M.およびA.R.Chamberlin, Chem. Rev., 1997. 97(6): p.2243-2266およびBodanszky, M., Principles of Peptide Synthesis. 第2版. 1993, Berlin Heidelberg: Springer-Verlag.)。酸塩化物を介するカップリングまたはカップリング剤により仲介される反応のための適当な溶媒としては、とりわけ塩化メチレン、クロロホルム、TCE、ベンゼン、トルエン、THF、DMF、ジオキサンおよびグライムが挙げられる。アミド結合形成の後、トリフルオロアセチル基を、通常の条件に従った炭酸塩塩基または水酸化物塩基による処理を介して除去し、置換されたテトラヒドロイソキノリンを生成する。
【0069】
【化23】

【0070】
スキーム6は、5-アミノスルホニルテトラヒドロイソキノリンの合成方法を示す。5-イソキノリンスルホン酸を、文献に記載されるように、発煙硫酸によるイソキノリンの処理を介して製造する(Koelsch、C.F.およびN.F. Albertson, J. Am. Chem. Soc., 1953. 75:
p.2095-2097)。
対応するスルホニルクロリドを塩化チオニルによる処理を介して製造する(Morikawa, A., T. Sone、およびT. Asano, J. Med. Chem., 1989. 32: p.42-46.)。
他の試薬、例えば五酸化リンもまた、この変換反応に用いられ得る。アミン成分によるカップリングおよび式Iのテトラヒドロイソキノリン化合物を生成する後の還元は、スキーム1のように達成される。
【0071】
【化24】

【0072】
スキーム7は、アリールスルホニルクロリドのアルキルスルホンへの変換方法を示す。上記文献の方法にしたがって、スルホニルクロリドを鉄粉と、引き続きハロゲン化アルキルで処理する。次いで、この混合物に、4時間攪拌しながら、塩化アルミニウムを添加する。適当な後処理により、アルキルスルホンを得る(Saikia, P.他, Chem. Lett., 2001. 512-513.)。スキーム1のようなイソキノリン環の還元により、式Iのテトラヒドロイソキノリンを得る。
【0073】
アリールスルホニルクロリドはまた、報告された方法にしたがって、適当なベンゼン誘導体および塩化アルミニウムによる処理によりジアリールスルホンに変換され得る(Szmant, H.H.およびG. Suld,. J. Am. Chem. Soc., 1956. 78: p.3400-3403. Weijlard, J.; E.F. Swanezy, J. Am. Chem. Soc., 1949. 71: p.4134-4135)。イソキノリンの式Iのテトラヒドロイソキノリンへの還元は、本明細書中に記載される通常の方法において達成される。
【0074】
【化25】

【0075】
スキーム8は、2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-カルボン酸メチルエステルの製造方法を示す。この方法により、置換フェネチルアミンはトリフルオロアセチル化され、そして文献に記載される酸性条件下、パラホルムアルデヒドにより処理される(Stoker, G.E.,. Tetrahedron Lett., 1996. 37(31): p.5453-5456)。
【0076】
標準条件下での塩基によるトリフルオロアセチル基の切断(Kocienski, P.J., Protecting Groups. 1994, New York: Georg Thieme Verlag Stuttgart; Greene, T.W.およびP.G.M. Wuts, Protective groups in Organic Synthesis. 1999, New York: John Wiley & Sons)および置換4-クロロキナゾリンへの付加の後、メタノール中での一酸化炭素によるパラジウムII仲介カップリングが続き、所望のエステルを得る。スキーム8Bに示される代替の手順において、事象の順序は変更され:最初のトリフルオロアセチル化の後、一酸化炭素によるカップリングが続く(Fernandez-Gacio, A., C. VitaleおよびA. Mourino, J. Org. Chem., 2000. 65: p.6978-6983)。
【0077】
次いで、環化が、パラホルムアルデヒドによる酸触媒縮合により誘導される。上記のトリフルオロアセチル基の切断および置換4-クロロキナゾリンによるカップリングにより、所望のエステルを得る。
【0078】
【化26】

【0079】
スキーム8Bは2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-6-カルボン酸メチルエステルの製造方法を示す。この方法は、2-(3-ブロモ-フェニル)-エチルアミンを出発物質として使用することを除き、スキーム8に示される順序と同様に実施される。
【0080】
【化27】

【0081】
上記スキーム9は、ジヒドロ-1'H-[1,2']ビイソキノリニル化合物の合成方法を示す。パラジウムで触媒されるアミノ化反応として知られる本方法にしたがって、1-クロロ-6,7-ジメトキシ-イソキノリンを、パラジウムアセテートおよび適当なリガンド、例えばBINAPの存在下、適当に置換されたテトラヒドロイソキノリンと加熱する。適当な溶媒としては、これらに限定されないが、ベンゼン、トルエン、およびキシレンが挙げられ、そして有効温度は室温〜160℃の範囲であり、80℃〜120℃が特に有効である。このアミノ化反応は、種々の他のカップリング方法により達成され得る(Hartwig, J.F., Palladium-Catalyzed Amination of aryl halides: mechanism and rational catalyst design. Synlett, 1996: p.329-340)。
【0082】
置換テトラヒドロイソキノリンを、いくつかの周知の方法で製造し得る。これらの方法の3つが、スキーム10、11、および12に示される。スキーム10は、対応する置換イソキノリンの接触水素化を介して、それらの生成方法を例示する。この水素化反応は、一般に当業者に公知である。
【0083】
【化28】

【0084】
スキーム11は、置換テトラヒドロイソキノリン[1]に対する別の文献の経路を例示する。本方法にしたがって、ベンジル型アルデヒドまたはケトンを、周知の還元的アミノ化反応において、α−アミノ酸エステルと合わせる。生じたベンジルアミンを、強酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸または硫酸による処理を介して環化するために誘導し、4−オキソ−置換基を有する置換テトラヒドロイソキノリン生成物を得る。このオキソ−置換基を保持してもよいし、またはパラジウム/炭素により触媒される水素化を介して、対応するヒドロキシル化合物に還元してもよい。このヒドロキシル基を、同様に保持してもよいし、またはより強力な条件を利用して、還元的切断を介して除去してもよい。4−オキソ−生成物を周知のGrignardおよび/またはWittig反応と、場合によってはそれに引き続く還元に供することにより、アルキル基を第4位に導入することができる。スキーム11に示される環化反応は基質−依存性であり、そしてこの結果はR5およびR6の性質に依存して変更し得る。
【0085】
【化29】

【0086】
置換イソキノリンを製造する代替の方法は、スキーム12に示される周知のPictet-Spengler反応を利用する。改変されたPictet-Spengler反応が報告され、そして困難な場合における生成物収率を改善し得る。
【0087】
【化30】

【0088】
式Iの化合物は光学中心を持つことができ(例えばR10およびR12に結合する環炭素原子において)、したがって、異なるエナンチオマー立体配置において存在し得る。本発明は
、式Iの化合物の全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、および他のステレオイソマーおよび光学異性体、ならびにそのラセミ混合物を包含する。
【0089】
【化31】

【0090】
スキーム13は、式Iのトリメトキシ置換化合物を生成する、4-クロロ-6,7,8-トリメトキシキナゾリン[PC Int. Appl. 2003008388, 30 Jan 2003]とテトラヒドロイソキノリンのR3誘導体との間のカップリング反応を示す。典型的には、この反応を、不活性溶媒、例えばトルエン中、場合により炭酸塩塩基の存在下、約0℃〜約200℃の温度範囲で実施する。他の適当な溶媒としては、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、2-プロパノールおよびキシレンが挙げられる。あるいは、溶媒混合物、例えばトルエン/イソプロパノールを用い得る。好ましくは、反応物を、トルエンおよびイソプロパノールの溶媒混合物中で、約2時間〜約24時間の期間、加熱還流する。
【0091】
【化32】

【0092】
スキーム14は、メチル4-ブロモ-7-メトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボキシレート(4)からの6-クロロ-4-メトキシ-[1,3]ジオキソロ[4,5-h]キナゾリン(8)の生成を示す。この中間体、4-ブロモ-7-メトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボキシレートを、先後技術に記載される方法により製造し得る。Chang, J.他, Efficient Synthesis
of g-DDB. Bioorg. Med. Chem. lett., 2004. 14: p.2131-2136を参照のこと。アリールブロミド4を、水溶液中の水酸化物塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムによる処理によりカルボン酸5に変換する。この反応を、0℃〜100℃の範囲の温度で実施する。あるいは、この反応を、水中の炭酸塩塩基、例えば炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムにより、相当温度で仲介し得る。次いで、カルボン酸を、アンモニアによる求核芳香族置換反応を介して高温で、アニリン6に変換する。本方法にしたがって、アリールブ
ロミドを、水性またはアルコール性溶液中のアンモニアにより、100〜300℃の範囲の温度で処理し得る。あるいは、銅触媒、例えば酸化銅を用いて、この反応を容易にすることができる。次いで、生じたアニリンを、100〜160℃の温度で、ホルムアミド中の処理において、キナゾリノン7に変換する。一般的に、この反応は、溶媒としても機能する過剰のホルムアミドを用いて実施する。この反応は、Niementowski反応として公知である。最終的に、必要な4-クロロキナゾリン8への変換を、100〜200℃に加熱して、溶液としてオキシ塩化リン中で行う。
【0093】
【化33】

【0094】
スキーム15は、式Iの4-メトキシ-[1,3]ジオキソロ[4,5-h]キナゾリン化合物を生成する、6-クロロ-4-メトキシ-[1,3]ジオキソロ[4,5-h]キナゾリンとテトラヒドロイソキノリンの誘導体との間のカップリング反応を示す。典型的には、この反応は、不活性溶媒、例えばトルエン中、場合により炭酸塩塩基の存在下、約0℃〜約200℃の温度範囲で実施する。他の適当な溶媒としては、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、2-プロパノールおよびキシレンが挙げられる。あるいは、溶媒混合物、例えばトルエン/イソプロパノールを用いることができる。好ましくは、反応物を、トルエンおよびイソプロパノールの溶媒混合物中、約2時間〜約24時間、加熱還流する。
【0095】
塩基性である式Iの化合物は、種々の無機酸および有機酸により、広範な種々の異なる塩を生成することができる。そのような塩は動物への投与のために製薬上許容されなければならないが、しばしば、製薬上許容されない塩として反応混合物から式Iの化合物がまず単離され、次いで、簡単に、アルカリ試薬を用いる処理によって、それを遊離塩基化合物に変換し、その後その遊離塩基を製薬上許容される酸付加塩に変換することが実際には所望される。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、実質的に当量の選択された鉱酸または有機酸を用いて、水性溶媒媒質中または適当な有機溶媒、例えばメタノールまたはエタノール中で、塩基化合物を処理することにより、容易に製造される。溶媒を慎重に蒸発させ、所望の固体塩を得た。
【0096】
本発明の塩基化合物の製薬上許容される酸付加塩を製造するために使用される酸は、非毒性酸付加塩、例えば製薬上許容されるアニオンを含む塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩または重硫酸塩、リン酸塩または酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩または酸性クエン酸塩、酒石酸塩または酒石酸水素塩、琥珀酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩およびパモエート、すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)塩を生成する酸である。
【0097】
本発明の化合物を、単独または製薬上許容される担体と組み合わせて、単回または多回投与のいずれかで、投与することができる。適当な医薬担体としては、不活性固体希釈剤または充填剤、滅菌水性溶液および種々の有機溶媒が挙げられる。それによって生成され
る医薬組成物は、種々の剤形、例えば錠剤、散剤、ロゼンジ、液体製剤、シロップ剤、注射可能溶液等において容易に投与され得る。これらの医薬組成物は、場合により、追加の成分、例えば香味料、結合剤、添加剤等を含む。したがって、本発明の化合物は、経口、口腔内、鼻腔内、非経口(例えば、静脈、筋肉内または皮下)、経皮(例えばパッチ)または直腸投与のために、または吸入法または通気法による投与に適当な形態において、製剤化され得る。
【0098】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、製薬上許容される添加剤、例えば結合剤(例えば、プレゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いる、従来の手段により製造される錠剤またはカプセル剤の形態をとり得る。錠剤は、従来技術で周知の方法によりコートされ得る。経口投与のための液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態をとってもよし、またはそれらは、使用前に水または他の適当なビークルと構成される乾燥生成物として提供してもよい。そのような液体製剤は、製薬上許容される添加剤、例えば懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ剤, メチルセルロースまたは水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア); 非水性ビークル(例えば、扁桃油、油性エステルまたはエチルアルコール);および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を用いる、従来の手段により製造し得る。
口腔投与のために、組成物は、従来の方法で製剤化される錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0099】
本発明の化合物は、例えば従来のカテーテル導入技術または輸液を使用する注入による非経口投与のために製剤化されてもよい。注入のための製剤は、防腐剤を添加して、単位剤形において、例えばアンプルにおいて、または複数用量容器において提供することができる。該製剤は、懸濁剤、液剤または油性もしくは水性ビークルの乳剤のような形態をとってもよく、そして製剤化剤(formulating agent)、例えば懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は、使用前、適当なビークル、例えば滅菌したパイロジェンフリーの水と再構成される粉末形態であってもよい。
【0100】
生成物溶液を要する場合、患者への経口または非経口投与のための必要とされる濃度の溶液を生成するのに十分な量の水(または他の水性媒質)中に、単離された包接複合体を溶解することによって製造され得る。この化合物を急速分散剤形(fddf)のために製剤化することができ、これは口腔中で活性成分を放出するために設計される。これらは、しばしば、迅速に溶解するゼラチンベースのマトリクスを用いて製剤化された。これらの剤形は周知であり、そして広範な薬物を送達するために使用され得る。最も迅速に分散する剤形は、担体または構造成形剤としてゼラチンを利用する。典型的には、ゼラチンを包装から取り出す際の破損を防ぐために十分な強度を剤形に与えるために用いるが、一旦口中に置くと、ゼラチンが剤形の迅速な溶解を可能にする。あるいは、種々のデンプンを同じ効果のために用いる。
【0101】
本発明の化合物はまた、例えば、従来の坐薬基剤、例えばカカオバターまたは他のグリセリドを含む直腸組成物、例えば坐薬または停留浣腸に製剤化されてもよい。
【0102】
鼻腔内投与または吸入による投与のために、本発明の化合物は、液剤または懸濁剤形態で、患者により圧搾もしくはポンピングされるポンプスプレー容器から、または加圧された容器もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレープレゼンテーションとして、適当な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテト
ラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適当なガスを用いて、都合よく送達され得る。加圧されたエアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達する弁を提供することによって決定されてもよい。加圧された容器またはネブライザーは、活性化合物の液剤または懸濁剤を含んでもよい。吸入器または通気器における使用のために、(例えば、ゼラチンから製造される)カプセル剤およびカートリッジは、本発明の化合物および適当な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含んで製剤化されてもよい。
【0103】
好ましくは、平均的な成人のヒトにおける上記で参照される身体状態(例えば、片頭痛)の治療のためのエアロゾル製剤は、各計量された用量またはエアロゾルの「パフ」が約20
mg〜約1000 mgの本発明の化合物を含むようにアレンジされる。エアロゾルによる全体の日用量は、約100 mg〜約10 mgまでの範囲内にある。投与は毎日数回、例えば2、3、4または8回であって、各回、例えば1、2または3用量を与えてよい。
【0104】
上記で参照される身体状態の治療のために平均的な成人のヒトに対する、経口、非経口、直腸または口腔投与のための本発明の化合物の提唱される日用量は、例えば、1日当たり1〜4回投与され得る単位用量あたり約0.01 mg〜約2000 mg、好ましくは約0.1 mg〜約200 mgの式Iの活性成分である。
【0105】
アッセイ方法は、PDE 10および他の遺伝子ファミリーからのPDEによる環状ヌクレオチド加水分解の阻害のための物質をスクリーニングするために利用可能である。このアッセイに使用されるこの環状ヌクレオチド基質濃度は、Km濃度の1/3であり、異なる酵素にわたるIC50値の比較を可能にする。PDE活性を、以前に記載されたScintillation Proximity
Assay (SPA)に基づく方法を用いて測定する(Fawcett他, 2000)。PDE阻害剤の効果を、種々の物質濃度で、そしてIC50がKiに近づくような、低い基質(1/3 Kmの濃度で、3:1比の未標識対[3H]−標識されたcGMPまたはcAMP)の存在下で、固定量の酵素(PDE 1-11)を分析することにより測定する。最終検定容量は、検定緩衝液 [20 mM Tris-HCl pH 7.4、5 mM MgCl2、1 mg/mlウシ血清アルブミン] で100μlにする。反応を、酵素で開始し、30℃で30〜60分間インキュベートし、30%未満の基質ターンオーバーを得て、そして50μlイットリウムシリケートSPAビーズ(Amersham) (PDE9および11に対するそれぞれ未標識の環状ヌクレオチド3 mMを含む)により終了した。プレートを再度密閉し、そして20分間振とうし、その後ビーズを30分間、暗所で静置し、次いでTopCountプレートリーダー(Packard, Meriden、CT.)においてカウントした。放射能単位を、阻害されないコントロール(100%)の百分率活性に変換し、阻害剤濃度に対してプロットすることができ、そして阻害剤IC50値を、‘Fit Curve' Microsoft Excel extensionを用いて得ることができる。
【0106】
以下の実施例が本発明の例示であるが、請求される本発明の範囲を制限することを意図しない。
実施例は、特定の出発物質を製造するために用いられる製造例が先行する。
【実施例】
【0107】
製造例1
【化34】

イソキノリンの臭素化
(Brown, William Dalby; Gouliaev, Alex-Haahr. Synthesis (2002), (1), p.83-86.)
【0108】
製造例2
【化35】

5-ブロモイソキノリン-8-スルホン酸
0℃の発煙硫酸に、5-ブロモイソキノリン(20.0g, 96 mmol)を添加した。生じた混合物を、4時間、200℃に温め、次いで室温に冷却し、そして氷水500 mLに注いだ。この生成物を濾過により除去し、水およびアセトンで洗浄し、そして乾燥させ、白色固体25g (90%)を得た。
【0109】
製造例3
【化36】

5-ブロモ-8-(モルフィン-4-スルホニル)-イソキノリン
ジメチルホルムアミド(310 mL)中の5-ブロモイソキノリン-8-スルホン酸 (68.0 g, 236
mmol)に、SOCl2 (270 mL)を添加した。この混合物を6時間加熱還流し、そして室温に冷却した。過剰のSOCl2を蒸発により除去した。塩化メチレン(400 mL)を添加し、そしてこの混合物を0℃に冷却した。モルホリン(62 mL)をCH2Cl2(50 mL)中の溶液としてゆっくり添加し、そして生じた混合物を室温に温め、そして1時間攪拌した。この混合物を水性アンモニアにより希釈し、そしてCH2Cl2で抽出した。抽出物をNa2SO4により乾燥させ、そして濃縮した。CH2Cl2/EtOAc/ヘキサンにより溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物27.3g(35%)を得た。酸による水相の処理および生じた沈殿物の濾過により、元に戻った出発物質29.9g(43%)を得た。
【0110】
製造例4
【化37】

8-(モルホリン-4-スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン
Par ボトルにおいて、窒素雰囲気下、温EtOH (120 mL)中の5-ブロモ-8-(モルホリン-4-スルホニル)-イソキノリン16.0g(48 mmol)に、PtO2 (2.0 g)を添加した。この混合物を、50 psiで、4時間、60℃で水素化した。この水素雰囲気を窒素で交換し、そして更に触媒2.0gを添加した。水素化を上記のように繰り返した。4時間後、触媒を濾過により慎重に除去し、そして生じた溶液を濃縮し、固体を得た。この固体を水性アンモニアで処理し、そしてCH2Cl2で抽出した。抽出物を乾燥させ、そして濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(0.1:3:97 NH4OH/MeOH/CH2Cl2)により、表題化合物6.2g(52%)を得た。
【0111】
実施例1
【化38】

6,7-ジメトキシ-4-[8-(モルホリン-4-スルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-キナゾリン
8-(モルホリン-4-スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(15.7 g, 55.6 mmol)および4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリン(12.5g, 55.6 mmol)を、2-プロパノール (400 mL)中で終夜還流した。この溶媒を真空除去し、そして生じた固体を水性アンモニアとCH2Cl2の間に分配した。この混合物をCH2Cl2で3回抽出し、そして合わせた抽出物を乾燥させ、そして濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(0.1:3:97 NH4OH/MeOH/CH2Cl2)と、引き続くEtOHからの生成物画分の再結晶化により、2回の回収で表題化合物22.2g(85%)を得た。
【0112】
実施例2
【化39】

6,7-ジメトキシ-4-[8-(4-メチル-ピペラジン-1-スルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-キナゾリン
この化合物を実施例1の手順に従って製造した。
(4-ブロモ-ベンジルアミノ)−酢酸
水(3 mL)中の(4-ブロモ-ベンジルアミノ)-酢酸 メチルエステル (100 mg, 0.342 mmol)に、水酸化リチウム(57 mg, 0.684 mmol)を添加した。4時間後、この溶液を1 M HCl (1.5 mL)で部分的にクエンチし、ca 8.5の溶液pHを得た。この溶液のpHを、1 M HClの3〜4滴の添加により、pH 5に慎重に調整した。終夜攪拌し、白色沈殿物を得た。これを濾過により単離し、少量の冷水でリンスし、所望の双性イオンを得た。
【0113】
実施例3
【化40】

2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イルアミン
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=337.5. 実験値337.2.
【0114】
実施例4
【化41】

N-[2-(6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-4-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド
クロロホルム (1 mL)中の2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ−イソキノリン-7-イルアミン(51 mg, 150 mmol)に、トリエチルアミン(76 mg, 750 mmol)と、引き続き4-メトキシ-ベンゼンスルホニルクロリド (40 mg, 165 mmol)を添加した。TLC分析による終了後、この混合物を水でクエンチし、そしてクロロホルムで抽出した。抽出物を乾燥させ、濃縮し、そしてエタノール/酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーを介して分析した。この生成物をHCl/エーテルで処理し、白色固体として塩酸塩を得た。マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=507.8. 実験値507.2.
【0115】
実施例5
【化42】

4-クロロ-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンゼンスルホンアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=512.1. 実験値512.3。この化合物を実施例1と同様に製造した。
【0116】
実施例6
【化43】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-4-イソプロピル-ベンゼンスルホンアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=519.7. 実験値519.2.
【0117】
実施例7
【化44】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イ
ル]-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=505.7. 実験値505.1.
【0118】
実施例8
【化45】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホンアミド.
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=545.7. 実験値545.6.
【0119】
実施例9
【化46】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-3,4-ジメトキシ-ベンゼンスルホンアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=537.7. 実験値537.8.
【0120】
実施例10
【化47】

4-tert-ブチル-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンゼンスルホンアミド.
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=533.8. 実験値533.7.
【0121】
実施例11
【化48】

N-[2-(6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル]-4-エトキシベンズアミド
CHCl3 (1.0 mL)中のアニリン(100 mg, 0.30 mmol)に、トリエチルアミン (91 mg, 0.90
mmol)と、引き続き酸塩化物 (0.33 mmol)を添加した。反応物を、TLC分析により完了するまで室温で攪拌し、この時点で混合物を水によりクエンチし、そしてクロロホルムで抽出した。抽出物を合わせ、乾燥させ、濃縮し、そしてクロマトグラフィーにかけ(EtOH/EtOAc)、橙色油状物として表題化合物を得た。HCl/エーテルによる処理により、白色固体として塩酸塩を得た。マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=485.4. 実験値485.3.
【0122】
実施例12
【化49】

3-クロロ-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンズアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=476.0. 実験値475.6.
【0123】
実施例13
【化50】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-2,2-ジメチル-プロピオンアミド.
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=421.6. 実験値421.2.
【0124】
実施例14
【化51】

4-クロロ-N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-ベンズアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=476.0. 実験値475.1.
【0125】
実施例15
【化52】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イル]-アセトアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=379.5. 実験値379.2.
【0126】
実施例16
【化53】

N-[2-(6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イ
ル]-4-エチル-ベンズアミド
マススペクトルm/e M+Hに対する計算値=469.7. 実験値469.3.
【0127】
実施例17
【化54】

6,7-ジメトキシ-3',4'-ジヒドロ-1'H-[1,2']ビイソキノリニル。酢酸パラジウム(25 mg
0.112 mmol)および2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(209 mg, 0.335 mmol)を、トルエン (25 mL)中で20分間、80℃に加熱した。混合物に、1-クロロ-6,7-ジメトキシ-イソキノリン500 mg (2.24 mmol)、テトラヒドロイソキノリン298 mg (2.24 mmol)、およびTHF中の1.0 M溶液のカリウムtert-ブトキシド4.47 mL (4.47 mmol)を添加した。4時間の還流での攪拌後、混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、そして濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン/EtOAc)により、黄色油状物として表題化合物625 mg (87%)を得た。この塩酸塩 (387 mg)を、イソプロパノール中の濃HClによる処理およびEtOH/MeOHからの再結晶化後に得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

で表される化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
上記式中、QはNまたはCHであり;
1、R2およびR3は各々独立して、水素、ハロゲン、(C1−C9)アルキル、(C2−C9)アルケニル、(C2−C9)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、−O−(C1−C9)アルキル、−O−(C2−C9)アルケニル、(C1−C6)アルキルO−(C1−C6)アルキル、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR45、−COR5、または−COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換され;ここでR4およびR5は独立して、H、C1−C6アルキル、または(C2−C6)アルケニルであり、ここで上記アルキルおよびアルケニルは場合により1〜3個のハロゲン原子で置換され;そして、R1、R2およびR3が独立して、−O−アルキル、−O−アルケニル、またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニルである場合、R2およびR1、またはR1およびR3は、場合により結合され、5〜6員の環を形成してもよく;
6およびR7は独立して水素;
【化2】

[式中、Xは非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1−C6アルキル基、非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換された−O−C1−C6アルキル、非置換であるかまたは1または2個の置換基で置換された(C6−C14)アリール基、−NR89基または
【化3】

であり、
ここで上記(C6−C14)アリール基置換基は独立して、C1−C6アルキル、−O−C1−C6アルキル、ハロゲン、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR45、−COR4、および−COOH、ならびに1〜3個のハロゲンで置換された(C1−C6)アルキルから選択され;
Yは水素または(C1−C6)アルキルであり;
nは0または1であり;
8およびR9は各々独立して(C1−C6)アルキルまたは水素であり;
Zは酸素またはNR10であり、ここでR10は水素または(C1−C6)アルキルである]
であり;
11およびR12は独立してH、ハロゲン、−C≡N、−COOH、−COOR4、−CONR45、COR4、−NR45、−OH、(C6−C14)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニルまたは(C3−C8)シクロアルキルであり、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは場合により独立して、1〜3個のハロゲンで置換される。
【請求項2】
QがNであり、そしてR1およびR2は各々−OCH3である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
QがNであり、そしてR1およびR2が各々−OCH3であり、そしてR6およびR7の一方または両方が
【化4】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Xが4−メチルピペラジンである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
QがNであり、R1およびR2が各々−OCH3であり、そしてR6およびR7の一方また
は両方が
【化5】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Yが水素であり、そしてXが一もしくは二置換アリールである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Yが水素であり、そしてXが場合によりC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR45、−COR4、および−COOHで置換された、フェニルまたはナフチルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
QがNであり、R1およびR2が各々−OCH3であり、そしてR6およびR7の一方または両方が
【化6】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
QがCHであり、R1およびR2が各々−OCH3であり、そしてR6、R7、R11およびR12が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
QがNであり、そしてR11およびR12が独立して、水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、および(C3−C8)シクロアルキルから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
以下:
4−クロロ−N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−ベンゼンスルホンアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−2,5−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−2,2−ジメチル−プロピオンアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−アセトアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−4−エチル−ベンズアミド;
4−クロロ−N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−ベンズアミド;
3−クロロ−N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−ベンズアミド;
4−tert−ブチル−N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−ベンゼンスルホンアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]−4−エトキシベンズアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル]−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
6,7−ジメトキシ−4−[8−(モルホリン−4−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン;
6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン;
4−(7,8−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−エトキシ−7−メトキシ−キナゾリン;
4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−エトキシ−7−メトキシ−キナゾリン;
4−(6,7−ジメトキシ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−エトキシ−7−メトキシ−キナゾリン;
4−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−エトキシ−7−メトキシ−キナゾリン;
4−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−エトキシ−7−メトキシ−キナゾリン;
4−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−7−メトキシ−キナゾリン;
2−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イ
ソキノリン−7−イルアミン;
6,7−ジメトキシ−3',4'−ジヒドロ−1'H−[1,2']ビイソキノリニル;および、
6,7−ジメトキシ−4−(3−プロピル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−キナゾリン
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
以下:
6,7,8−トリメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン
4−メトキシ−6−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−1,3−ジオキサ−7,9−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン
6,7,8−トリメトキシ−4−(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−キナゾリン
4−メトキシ−6−(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,3−ジオキサ−7,9−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン
2−(4−メトキシ−1,3−ジオキサ−7,9−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−6−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−カルボン酸アミド
2−(6,7,8−トリメトキシ−キナゾリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−カルボン酸アミド
6,7,8−トリメトキシ−4−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン
4−メトキシ−6−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−1,3−ジオキサ−7,9−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
PDE10を阻害するのに有効な量の式Iの化合物を含有する、特定の精神病性障害および状態、例えば統合失調症、妄想性障害および薬物誘導された精神疾患;不安障害、例えばパニック障害および強迫神経症;ならびにパーキンソン病およびハンティングトン舞踏病を含む運動障害の治療のための医薬組成物。
【請求項14】
精神病性障害および状態、例えば統合失調症、妄想症障害および薬物誘導された精神疾患;不安障害、例えばパニック障害および強迫神経症;ならびにパーキンソン病およびハンティングトン舞踏病を含む運動障害を治療するのに有効な量の式Iの化合物を含有する、上記障害または状態の治療のための医薬組成物。
【請求項15】
強迫神経症、ツレット症候群、およびチック障害から選択される障害を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記障害を治療する方法。
【請求項16】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において強迫神経症、ツレット症候群、またはチック障害を治療する方法。
【請求項17】
症状として注意力または認識力の欠陥を含む障害または状態を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記障害または状態を治療する方法。
【請求項18】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において症状として注意力または認識力の欠陥を含む障害または状態を治療する方法。
【請求項19】
障害または状態が痴呆、アルツハイマー病、多発梗塞性痴呆症、アルコール性痴呆またはその他の薬物関連痴呆、頭蓋内腫瘍または脳の外傷と関連する痴呆、ハンティングトン舞踏病もしくはパーキンソン病と関連する痴呆、またはAIDS関連痴呆;精神錯乱;健忘障害;心的外傷後ストレス障害;精神薄弱;学習障害、例えば読書障害、算数障害、または書字表出障害;注意力欠陥/多動性障害;および加齢に伴う認識低下から選択される、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
気分障害または気分エピソードを治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記障害またはエピソードを治療する方法。
【請求項21】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において気分障害または気分エピソードを治療する方法。
【請求項22】
気分障害または気分エピソードが、軽度、中程度または重度のタイプの大うつ病エピソード、躁病的または混合型の気分エピソード;軽躁病気分エピソード;非定型の特徴を有するうつ病エピソード;メランコリー型の特徴を有するうつ病エピソード;緊張性特徴を有するうつ病エピソード;産後に発症する気分エピソード;卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不機嫌性障害;統合失調症の精神病後うつ病性障害;妄想性障害または統合失調症を含む精神病性障害に併発する大うつ病性障害;および、双極I型障害、双極II型障害または気分循環性障害を含む双極性障害から選択される、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
神経変性障害または状態を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記障害または状態を治療する方法。
【請求項24】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において神経変性障害または状態を治療する方法。
【請求項25】
障害または状態が、パーキンソン病;ハンティングトン舞踏病;痴呆、アルツハイマー病、多発梗塞性痴呆症、AIDS関連痴呆、または前頭側頭型痴呆;脳の外傷と関連する神経変性;卒中と関連する神経変性;脳梗塞と関連する神経変性;低血糖症により誘導された神経変性;癲癇性発作と関連する神経変性;神経毒中毒と関連する神経変性;および多系統萎縮症から選択される、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において精神病性障害または状態を治療する方法。
【請求項27】
精神病性障害または状態を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記障害または状態を治療する方法。
【請求項28】
精神病性障害または状態が、妄想型、解体型、緊張型、分類不能型または残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;妄想型または抑うつ型の統合失調症性感情障害;妄想性障害;物質誘導される精神病性障害、アルコール、アンフェタミン、カンナビス、コカイン、幻覚剤、吸入薬、オピオイドまたはフェンシクリジンによって誘導される精神疾患;妄想型の人格障害;および統合失調症型の人格障害から選択される、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において不安障害または状態を治療する方法。
【請求項30】
不安障害または状態を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記障害または状態を治療する方法。
【請求項31】
不安障害または状態が、パニック障害;広場恐怖症;特定恐怖症;対人恐怖症;強迫神経症;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;および全般性不安障害から選択される、請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
PDE10を阻害するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において薬物中毒を治療する方法。
【請求項33】
薬物中毒を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物において上記薬物中毒を治療する方法。
【請求項34】
式:
【化7】

で表される化合物。
式中、R6およびR7の一方または両方は水素、
【化8】

[式中、Xは非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1−C6アルキル基、非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1−C6アルコキシ基、非置換であるかまたは1または2個の置換基で置換された(C6−C14)アリール基、−NR89基または
【化9】

であり、
ここで上記(C6−C14)アリール基置換基は独立して、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロゲン、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR45、−COR4、および−COOH、ならびに1〜3個のハロゲンで置換された(C1−C6)アルキルから選択され;
Yは水素または(C1−C6)アルキルであり;
nは0または1であり;
8およびR9は各々独立して、(C1−C6)アルキルまたは水素であり;そして
Zは酸素またはNR10であり、ここでR10は水素または(C1−C6)アルキルある]
であり、
11およびR12は独立して、H、ハロゲン、−C≡N、−COOH、−COOR4、−CONR45、COR4、−NR45、−OH、(C6−C14)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニルまたは(C3−C8)シクロアルキルであり、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは場合により独立して、1〜3個のハロゲンで置換される。
【請求項35】
式I:
【化10】

{式中、QはNまたはCであり;
1およびR2は各々独立して、水素、ハロゲン、(C1−C9)アルキル、(C2−C9)アルケニル、(C2−C9)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、−O−(C1−C9)アルキル、−O−(C2−C9)アルケニル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR45、−COR5、−COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換され、ここでR4およびR5は独立して、Hまたは場合により1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1−C6アルキルであり;そして、R1およびR2が独立して−O−アルキルまたはアルキルである場合、R1およびR2は結合して、5〜6員環を形成してもよく;
6およびR7の一方または両方は水素;
【化11】

[式中、Xは非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1−C6アルキル基、非置換であるかまたは1またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1−C6アルコキシ基、非置換であるかまたは1または2個の置換基で置換された(C6−C14)アリール基、−NR89基、または
【化12】

であり、ここで上記(C6−C14)アリール基置換基は独立して、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロゲン、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR4
5、−COR4、および−COOH、ならびに1〜3個のハロゲンで置換された(C1−C6)アルキルから選択され;
Yは水素または(C1−C6)アルキルであり;
nは0または1であり;
8およびR9は各々独立して、(C1−C6)アルキルまたは水素であり;
Zは酸素またはNR10であり、ここでR10は水素または(C1−C6)アルキルである]
であり;
11およびR12は独立して、H、ハロゲン、−C≡N、−COOH、−COOR4、−CONR45、COR4、−NR45、−OH、(C6−C14)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニルまたは(C3−C8)シクロアルキルであり、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは場合により独立して、1〜3個のハロゲンで置換される}
の化合物、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグの製造方法であって、
式IIa
【化13】

[式中、R1およびR2は各々独立して、水素、ハロゲン、(C1−C9)アルキル、(C2−C9)アルケニル、(C2−C9)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、−O−(C1−C9)アルキル、−O−(C2−C9)アルケニル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、−C≡N、−NO2、−COOR4、−CONR45、−NR45、−COR5、−COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換され、ここでR4およびR5は独立してHまたは場合により1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1−C6アルキルであり;そしてR1およびR2が独立して−O−アルキルまたはアルキルである場合、R1およびR2は結合して、5〜6員の環を形成してもよく;
そしてLは適当な脱離基である]
の化合物を、式III:
【化14】

の化合物と、塩基の存在下で反応させることからなる、上記方法。
【請求項36】
Lが塩素、臭素およびヨウ素から選択されるハロゲン原子を含む脱離基である、請求項35記載の方法。

【公表番号】特表2007−523152(P2007−523152A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553698(P2006−553698)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000307
【国際公開番号】WO2005/082883
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】