説明

キャノピ用カバー装置

【課題】取扱いが容易で安価なキャノピ用カバー装置を提供する。
【解決手段】キャノピルーフ16に、透明なビニール製のキャノピ用カバー装置17を被嵌する。このキャノピ用カバー装置17は、作業機械11のキャノピルーフ16に装着したルーフ用シート部21と、このルーフ用シート部21から4方に突出させてキャノピ周囲に垂らした巻取可能な柔軟性を有する複数の開放面用透明シート部22,23,24,25とを備えている。これらのルーフ用シート部21および複数の開放面用透明シート部22,23,24,25は、透明なビニール樹脂により一体成形する。複数の開放面用透明シート部22,23,24,25が相互に隣接する部分は、結合手段31により結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のキャノピに装着されるキャノピ用カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の作業機械は、キャノピ装着率が高い。このキャノピは、オペレータの頭上のみを覆うキャノピルーフを支柱により支持する構造であるため、雨天での作業時や、冬季低温下での作業では、風雨に直接オペレータが晒されるため、気象条件により過酷な作業を余儀なくされる場合がある。
【0003】
これに対して、小型ショベルの防雨カバーとして、キャノピのルーフ前端面部、左右側端面部および後端面部のうち少なくとも一端面部に取付金具を介して透明カバー板を垂設し、非使用時は透明カバー板をキャノピのルーフ下側に折畳むように収納するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−184074号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明カバー板を取付金具により垂設し、非使用時はキャノピのルーフ下側に折畳む従来のキャノピ用カバー装置は、取扱いが容易でなく、また高価なものになる問題点がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、取扱いが容易で安価なキャノピ用カバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、作業機械のキャノピルーフに装着されるルーフ用シート部と、ルーフ用シート部から4方に突出されキャノピ周囲に垂らされるとともに巻取可能な柔軟性を有する複数の開放面用透明シート部とを具備したキャノピ用カバー装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャノピ用カバー装置において、複数の開放面用透明シート部が相互に隣接する部分に設けられこれらの隣接部分を結合する結合手段を具備したものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のキャノピ用カバー装置において、開放面用透明シート部の下部を作業機械に固定する固定手段を具備したものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずか記載のキャノピ用カバー装置において、開放面用透明シート部の巻取状態を保持する保持手段を具備したものである。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずか記載のキャノピ用カバー装置において、少なくとも前面側の開放面用透明シート部の一部を開口して設けられた窓部を具備したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、キャノピルーフに装着されるルーフ用シート部から複数の開放面用透明シート部を4方に突出させたので、キャノピルーフに対する着脱を容易にでき、また、開放面用透明シート部は、キャノピ周囲に垂らされるとともに巻取可能な柔軟性を有するので、取扱いが容易で安価なキャノピ用カバー装置を提供できる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、結合手段により、複数の開放面用透明シート部の隣接部分を結合するので、隣接する開放面用透明シート部間から侵入する風雨を抑えることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、固定手段により、開放面用透明シート部の下部を作業機械に固定するので、開放面用透明シート部のめくり上がりを防止できる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、保持手段により、開放面用透明シート部の巻取状態を保持するので、この保持手段の巻取保持作用を解除することで、必要に応じて開放面用透明シート部を直ぐに用いることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、少なくとも前面側の開放面用透明シート部の一部を開口して窓部を設けたので、作業機械のオペレータは、この窓部より顔を出して作業機械の足元を確認しながらの作業もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図1および図2に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に示された作業機械11は、機体12上にオペレータ13を保護するキャノピ14を備えている。このキャノピ14は、機体12に固定される支柱15と、この支柱15上に取付けられたキャノピルーフ16とを備えている。キャノピルーフ16には、透明なビニール製のキャノピ用カバー装置17が被嵌されている。
【0018】
図2に示されるように、このキャノピ用カバー装置17は、作業機械11のキャノピルーフ16に装着されるルーフ用シート部21と、このルーフ用シート部21から4方に突出され図1に示されるようにキャノピ周囲に垂らされるとともに巻取可能な柔軟性を有する複数の開放面用透明シート部22,23,24,25とを備えている。これらのルーフ用シート部21および複数の開放面用透明シート部22,23,24,25は、透明なビニール樹脂により一体成形する。
【0019】
前側の開放面用透明シート部22には、3方に凹形の切込線を入れることで、これらの切込線で囲まれた一部を開閉できるように開口して窓部26が設けられている。この窓部26の切込線部分には、ジッパなどの接合部材27が設けられ、必要に応じて窓部26を開閉可能となっている。このような窓部26は、他の開放面用透明シート部23,24,25に設置しても良い。
【0020】
複数の開放面用透明シート部22,23,24,25が相互に隣接する部分には、これらの隣接部分を結合する結合手段31が設けられている。この結合手段31としては、ジッパが図示されているが、紐、ホック、フックまたは面状ファスナなどを用いても良い。
【0021】
また、各開放面用透明シート部22,23,24,25の先端部または中央部には、各開放面用透明シート部22,23,24,25の下部を、図1に示された作業機械11のガード部材32などに固定する固定手段33が設けられている。この固定手段33としては、例えば紐33aに、ホック、フックまたは面状ファスナなどの対の止具33b,33cを取付けておくと良い。
【0022】
さらに、各開放面用透明シート部22,23,24,25のルーフ用シート部21側には、各開放面用透明シート部22,23,24,25の巻取状態をそれぞれ保持する保持手段34が設けられている。これらの保持手段34としては、例えば紐34aの先端に、ホック、フックまたは面状ファスナなどの一方の止具34bを取付け、これらと対応する他方の止具34cをルーフ用シート部21に設置しておくと良い。
【0023】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0024】
ルーフ用シート部21をキャノピルーフ16に被せるとともに図示しない紐、ゴムバンド、クリップなどを用いてキャノピルーフ16に固定する。また、4方の開放面用透明シート部22,23,24,25をキャノピ周囲に垂らし、結合手段31により、各開放面用透明シート部22,23,24,25が相互に隣接する部分を結合するとともに、固定手段33の紐33aを作業機械11のガード部材32などに結束して、各開放面用透明シート部22,23,24,25の下部を作業機械11に固定する。
【0025】
これにより、オペレータ13の4方を各開放面用透明シート部22,23,24,25により囲み、オペレータ13を風雨から保護する。
【0026】
一方、このキャノピ用カバー装置17を用いる必要がない場合、用いない方が作業上便利な場合は、キャノピ14からキャノピ用カバー装置17を取外すか、図1に2点鎖線で示されるようにキャノピルーフ16にキャノピ用カバー装置17を装着したまま、開放面用透明シート部22,23,24,25のみを巻取って、対応する保持手段34により各開放面用透明シート部22,23,24,25の巻取状態を保持するので、これらの保持手段34による巻取保持作用を解除することで、必要に応じて各開放面用透明シート部22,23,24,25を直ぐに用いることができる。
【0027】
これらの保持手段34は、キャノピルーフ16の裏側に設けても良い。その場合は、巻取った開放面用透明シート部22,23,24,25をキャノピルーフ16の裏側に収納することができる。
【0028】
このように、キャノピルーフ16に装着されるルーフ用シート部21から複数の開放面用透明シート部22,23,24,25を4方に突出させたので、キャノピルーフ16に対する着脱を容易にでき、また、開放面用透明シート部22,23,24,25は、キャノピルーフ周囲に垂らされるとともに巻取可能な柔軟性を有するので、取扱いが容易で安価なキャノピ用カバー装置17を提供できる。
【0029】
また、結合手段31により、各開放面用透明シート部22,23,24,25の隣接部分を結合するので、隣接する開放面用透明シート部22,23,24,25間から侵入する風雨を抑えることができる。
【0030】
さらに、固定手段33により、各開放面用透明シート部22,23,24,25の下部を作業機械11のガード部材32などに固定するので、各開放面用透明シート部22,23,24,25のめくり上がりを防止できる。
【0031】
保持手段34により、各開放面用透明シート部22,23,24,25の巻取状態を保持するので、この保持手段34の巻取保持作用を解除することで、必要に応じて各開放面用透明シート部22,23,24,25を直ぐに用いることができる。
【0032】
少なくとも前面側の開放面用透明シート部22の一部を開口して窓部26を設けたので、作業機械のオペレータは、この窓部26より顔を出して作業機械の足元を確認しながらの作業もできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るキャノピ用カバー装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上カバー装置の展開図である。
【符号の説明】
【0034】
11 作業機械
16 キャノピルーフ
21 ルーフ用シート部
22,23,24,25 開放面用透明シート部
26 窓部
31 結合手段
33 固定手段
34 保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のキャノピルーフに装着されるルーフ用シート部と、
ルーフ用シート部から4方に突出されキャノピ周囲に垂らされるとともに巻取可能な柔軟性を有する複数の開放面用透明シート部と
を具備したことを特徴とするキャノピ用カバー装置。
【請求項2】
複数の開放面用透明シート部が相互に隣接する部分に設けられこれらの隣接部分を結合する結合手段
を具備したことを特徴とする請求項1記載のキャノピ用カバー装置。
【請求項3】
開放面用透明シート部の下部を作業機械に固定する固定手段
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載のキャノピ用カバー装置。
【請求項4】
開放面用透明シート部の巻取状態を保持する保持手段
を具備したことを特徴とする請求項1乃至3のいずか記載のキャノピ用カバー装置。
【請求項5】
少なくとも前面側の開放面用透明シート部の一部を開口して設けられた窓部
を具備したことを特徴とする請求項1乃至4のいずか記載のキャノピ用カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−269195(P2007−269195A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97957(P2006−97957)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】