説明

キャパシタ装置及びそれが内蔵された半導体装置

【課題】 小型化が容易で十分な静電容量をもつと共に、低コストで基板に内蔵できるキャパシタ装置を提供する。
【解決手段】 内部から外面にかけて複数の気孔10xが設けられたポーラス金属層よりなる内部電極11と、気孔10xの内面及び内部電極11の外面に形成された誘電体層12と、気孔10x内の内側外部電極14から内部電極11の上面に繋がって形成された上側外部電極14aと、気孔10x内の内側外部電極14から内部電極11の下面に繋がって形成された下側外部電極14bとにより構成される外部電極とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャパシタ装置及びそれが内蔵された半導体装置に係り、さらに詳しくは、十分な静電容量をもつと共に、容易に基板内に内蔵できるキャパシタ装置及びそれが内蔵された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板に埋め込まれて内蔵されるタイプのキャパシタ装置がある。特許文献1には基板上にキャパシタの一方の電極となる配線層を形成し、その配線層上に電着法によってキャパシタの誘電体層となる樹脂層を形成し、さらに樹脂層の上にキャパシタの他方の電極となる配線層を形成することにより、基板上にキャパシタ装置を形成する方法が記載されている。
【0003】
あるいは、Cu箔/誘電体層/Cu箔の構成からなるキャパシタ部品を基板上に貼着する方法がある。
【特許文献1】特開2003−68923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、キャパシタ装置の静電容量を大きくするために、誘電体層を薄くしたり、比誘電率の高い強誘電体を使用したりしているが、小型化が容易で十分な静電容量をもつキャパシタを基板上に低コストで形成することは困難であった。
【0005】
本発明は以上の課題を鑑みて創作されたものであり、小型化が容易で十分な静電容量をもつと共に、低コストで基板に内蔵できるキャパシタ装置及びそれが内蔵された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明はキャパシタ装置に係り、内部から外面にかけて複数の気孔が設けられたポーラス金属層よりなる内部電極と、前記気孔の内面及び前記内部電極の外面に形成された誘電体層と、前記誘電体層に接触して形成された外部電極とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の一つの好適な態様では、内部電極の気孔の内面に形成された誘電体層上に内側外部電極が埋め込まれており、該内側外部電極が内部電極の外面の外側外部電極に繋がっている。さらには、外部電極は、気孔内の内側外部電極から内部電極の上面までに繋がって形成された上側外部電極と、気孔内の内側外部電極から内部電極の下面まで繋がって形成された下側外部電極とにより構成されるようにしてもよい。あるいは、大きな静電容量を必要としない場合は、内部電極の外面のみに外部電極が形成されているようにしてもよい。また、内部電極の気孔は、好適には、50乃至99%の気孔率(内部電極内に占める気孔の割合)で形成されている。
【0008】
そして、一方の電極となる内部電極と、誘電体層と、他方の電極となる外部電極とによりキャパシタ装置が構成される。
【0009】
本発明のキャパシタ装置では、複数の気孔が設けられたポーラス金属層を内部電極として使用するので、内部電極の上面や下面ばかりではなく、内部電極の内部に設けられた複数の気孔の内面をキャパシタを構成する面として利用することができる。このため、キャパシタ装置の外形寸法を不必要に大きくすることなくキャパシタの電極面積を大きくすることができるので、小型でかつ静電容量の大きなキャパシタ装置が得られる。
【0010】
例えは、内部電極を構成するポーラス金属層の気孔率を90%とする場合、気孔が形成されていない場合よりもキャパシタの電極面積を10倍程度にすることができるので、同じ大きさのキャパシタ装置であっても静電容量を格段に大きくすることができる。
【0011】
さらには、内部電極の上面及び下面に外部電極を引き出す場合、1つの内部電極を利用して電気的に並列に接続される2つのキャパシタを作成できるので、さらに静電容量を大きくすることができる。
【0012】
また、本発明のキャパシタ装置は、回路基板上に実装された後に絶縁層で被覆され、絶縁層に形成されたビアホールを介して、内部電極及び外部電極が回路基板の配線パターンに接続される。あるいは、回路基板として、上記したポーラス金属層からなるベース基板を使用し、回路基板を製造する一連の工程で回路基板内に上記した構造のキャパシタ装置を作り込むことも可能である。
【0013】
このため、個別部品を回路基板上に実装する場合よりも、低コストで静電容量の大きなキャパシタ装置を回路基板に内蔵させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明では、小型化が容易でかつ静電容量の大きなキャパシタ装置が低コストで容易に製造されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置の製造方法を示す断面図(図1(a)の下図は平面図)、図4は図3のキャパシタ装置が実装されるときの等価回路を示すものである。
【0017】
図1(a)の断面図及び平面図に示すように、まず、内部から外面まで複数の気孔10xが形成された構造を有するポーラス(多孔質)金属層10を用意する。ポーラス金属層10は複数の気孔10x(中空)をもった骨組み構造となっており、各気孔10xはポーラス金属層10の中でお互いに連通している。ポーラス金属層10の一例としては、金属粉末にバインダと発泡剤を混ぜて焼結して得られる発泡金属と呼ばれるものが好適に使用される。なお、図1(a)の断面図では、便宜上、ポーラス金属層10の外面に気孔10xが露出していないが、気孔10は、図1(a)の平面図のように、ポーラス金属層10の外面まで連通して形成されている。
【0018】
ポーラス金属層10の材料としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又は各種金属合金(ステンレスなど)などが好適に使用される。ポーラス金属層10の厚みは例えば0.05〜2mmであり、気孔10xの孔径は例えば50〜600μmである。ポーラス金属層10の気孔率(ポーラス金属層10内に占める気孔10xの割合)は好適には50〜90%に設定される。
【0019】
本実施形態ではこのような構造のポーラス金属層10をキャパシタ用の内部電極として使用する。
【0020】
その後に、図1(b)に示すように、高誘電体金属やセラミックが混合されたエポキシ樹脂からなるペースト状の液体を用意し、その液体の中にポーラス金属層10をディップし、引き上げた後に熱処理することにより、ポーラス金属層10の上面、下面及び気孔10xの内面に膜厚が例えば50〜100μmのキャパシタ用の誘電体層12を形成する。高誘電体金属としては、PLZT(チタン酸ジルコン酸鉛ランタン)やBST(チタン酸ストロンチウムバリウム)などが使用される。
【0021】
この時点では、気孔10xは誘電体層12によって完全には埋め込まれておらず、中空10yが残った状態となっている。誘電体層12は、ポーラス金属層10の気孔10xの内面からポーラス金属層10の上面及び下面に繋がって形成される。
【0022】
誘電体層12の他の形成方法としては、電着法によってポリイミド層を形成してもよいし、上記したようなペースト状の液体をさらに薄めて霧状に塗布してもよい。つまり、気孔10xの内面に誘電体層12を被覆できる形成方法であれば採用することができる。
【0023】
次いで、無電解めっきなどにより、ポーラス金属層10上の誘電体層12に接触して形成される導電層を形成する。これにより、図2(a)に示すように、ポーラス金属層10の気孔10xの内面に形成された誘電体層12上に内側外部電極14が形成されて気孔10xの中空10yが埋め込まれると同時に、内側外部電極14からポーラス金属層10の上面及び下面にそれぞれ繋がる上側外部電極14a及び下側外部電極14b(外側外部電極)が形成される。外部電極14,14a,14bの材料としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はアルミニウム(Al)などが好適に使用される。
【0024】
このようにして、上側及び下側外部電極14a,14bは、複数の気孔10xの内面に形成された誘電体層12に接触する内側外部電極14からポーラス金属層10の上面及び下面に引き出されて形成される。
【0025】
なお、後述する変形例で示すように、図1(b)の構造体の上面及び下面に銅などからなる金属箔を貼着して上部及び下部電極14a,14bを形成するようにしてもよい。
【0026】
また、上側及び下側外部電極14a,14bのうちのいずれか一方のみが形成された形態としてもよい。
【0027】
続いて、図2(b)に示すように、上側外部電極14aの一部に開口部14xを形成する。その後に、図3に示すように、上側外部電極14aの開口部14x内の誘電体層12の一部にコンタクトホール12xを形成することにより、ポーラス金属層10の上面の一部を露出させる。これによって、ポーラス金属層10からなるキャパシタ用の内部電極11の接続部11aが画定される。
【0028】
以上のようにして、図3に示すように、内部電極11(ポーラス金属層10)、誘電体層12、及び内側外部電極14とそれに繋がる上側、下側外部電極14a、14bにより構成される本実施形態のキャパシタ装置1が得られる。
【0029】
なお、特に図示しないが、ポーラス金属層10に複数のキャパシタ装置1を作り込んだ後に、切断して複数のキャパシタ装置1が得られるようにしてもよい。
【0030】
本実施形態のキャパシタ装置1は、図3に示すように、複数の気孔10xが形成されたポーラス金属層10が内部電極11となっており、気孔10xの内面から内部電極11の上面及び下面にかけて誘電体層12が形成されている。また、気孔10xの内面に形成された誘電体層12上に気孔10xの中空10yを埋め込む内側外部電極14が形成されており、内側外部電極14は気孔10x内から内部電極11の上面及び下面に形成された上側及び下側外部電極14a,14bにそれぞれ繋がっている。
【0031】
また、上側外部電極14aの一部には開口部14xが設けられており、さらにその開口部14xの下の誘電体層12の一部にコンタクトホール12xが設けられている。これによって、内部電極11の上面の一部が露出して接続部11aなっている。そして、内部電極11がキャパシタの一方の電極となり、上側及び下側外側電極14a,14bが電気的に接続されてキャパシタの他方の電極となる。
【0032】
本実施形態のキャパシタ装置1は、図4の等価回路に示すように、内部電極11と誘電体層12と上側外部電極14aとにより構成される第1キャパシタC1と、内部電極11と誘電体層12と下側外部電極14bとにより構成される第2キャパシタC2とが電気的に並列に接続されて実装される。
【0033】
このように、本実施形態のキャパシタ装置1では、内部電極11の上面や下面ばかりではなく、内部電極11内に設けられた複数の気孔10xの内面をキャパシタを構成する面として利用することができる。これにより、キャパシタ装置の外形寸法を不必要に大きくすることなくキャパシタの電極の表面積を大きくすることができるので、小型でかつ静電容量の大きなキャパシタ装置が得られる。
【0034】
例えは、内部電極11に形成される気孔10xの気孔率を90%とする場合、気孔10xが形成されていない場合よりもキャパシタの電極面積を10倍程度にすることができるので、同じ大きさのキャパシタ装置であっても静電容量を格段に大きくすることができる。しかも、1つの内部電極11を利用して電気的に並列に接続される2つのキャパシタを構成できるので、さらに静電容量を大きくすることができる。
【0035】
以上のように、本実施形態のキャパシタ装置1の構造を採用することにより、小型化が容易でかつ静電容量の大きなキャパシタ装置が低コストで容易に製造されるようになる。
【0036】
図5には第1実施形態の変形例のキャパシタ装置1aが示されている。変形例のキャパシタ装置1aでは、図1(b)の構造体の上面及び下面に銅などからなる金属箔が貼着されて上部及び下部電極14a,14bが形成される。あるいは、銅箔を貼着する代わりに、Cu層、Ni層又はAl層をスパッタや蒸着によって形成してもよい。他の要素は図3と同一であるので、その説明を省略する。
【0037】
この変形例を採用する場合は、図5に示すように、内部電極11の上面及び下面のみに上部及び下部電極14a,14bがそれぞれ形成され、内部電極11の内部の気孔10xには誘電体層12のみが形成されて中空10yが残った状態となる。従って、気孔10xの中空10yを内側外部電極14で埋め込むタイプの前述したキャパシタ装置1よりは電極面積は小さくなって静電容量が小さくなる。
【0038】
次に、本実施形態のキャパシタ装置1を回路基板に内蔵する方法について説明する。
【0039】
まず、図6(a)に示すように、キャパシタ装置1が内蔵されるコア基板20を用意する。コア基板20はガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料から構成されている。コア基板20にはスルーホール20xが設けられていて、そのスルーホール20xの内面にスルーホールめっき層21が形成されており、その孔は樹脂23で埋め込まれている。さらに、コア基板20の両面にはスルーホールめっき層21によって相互接続される第1配線パターン22がそれぞれ形成されている。なお、図6(a)の部分平面図に示すように、コア基板20の右側下面の第1配線パターン22はジグザグ状の配線となってインダクタ(L)を構成している。
【0040】
次いで、図6(b)に示すように、コア基板20の左側上面の2つの第1配線パターン22に接続される抵抗Rを形成する。抵抗Rは、2つの第1配線パターン22の間のコア基板20上にカーボンフィラーを含有するエポキシ樹脂などのペーストが塗布されて形成される。
【0041】
続いて、図6(c)に示すように、前述した本実施形態のキャパシタ装置1をコア基板20の右側上面の第1配線パターン22上に実装する。このとき、キャパシタ装置1の下側外部電極14bが導電性接着剤(導電性フィラー含有エポキシ樹脂)によって第1配線パターン22に電気的に接続されて固着される。
【0042】
なお、キャパシタ装置1として下側外部電極14bが省略されたものを使用し、コア基板20の上面の第1配線パターン22がキャパシタ装置の下側電極14bを兼ねるようにしてもよい。この場合、例えば、変形例のキャパシタ装置1a(図5)を採用し、下側外部電極14b(銅箔)を省略すればよい。
【0043】
その後に、図7(a)に示すように、キャパシタ装置1が実装されたコア基板20の両面側に樹脂よりなる第1層間絶縁層26をそれぞれ形成する。第1層間絶縁層26の形成方法としては、エポキシやポリイミドなどからなる樹脂フィルムを貼着してもよいし、あるいはエポキシやポリイミドなどからなる樹脂層を塗布によって形成してもよい。これにより、コア基板20の上面側の抵抗R及びキャパシタ装置1が第1層間絶縁層26の中に埋設される。
【0044】
次いで、図7(b)に示すように、レーザにより第1層間絶縁層26を加工することにより、コア基板20の上面側のキャパシタ装置1の内部電極11の接続部11a、キャパシタ装置1の上側外部電極14a、及び第1配線パターン22にそれぞれ到達する深さの第1ビアホール26xを形成する。また、コア基板20の下面側の第1層間絶縁層26にも第1配線パターン22に到達する深さの第1ビアホール26xが形成される。
【0045】
次いで、図7(c)に示すように、コア基板20の上面側の第1層間絶縁層26上に、第1ビアホール26xを介してキャパシタ装置1の内部電極11の接続部11a、上側外部電極14a及び第1配線パターン22に接続される第2配線パターン28を形成する。このとき、キャパシタ装置1の上側外部電極14aは第2配線パターン28を介して第1配線パターン22に電気的に接続される。つまり、キャパシタ装置1の下側外部電極14bは第1配線パターン22及び第2配線パターン28を介して上側外部電極14aに電気的に接続される。また、コア基板20の下面側の第1層間絶縁層26上にも第1ビアホール26xを介して第1配線パターン22に接続される第2配線パターン28が形成される。
【0046】
続いて、図8(a)に示すように、コア基板20の両面側に第2層間絶縁層30をそれぞれ形成した後に、コア基板20の両面側の第2層間絶縁層30に第2配線パターン28に到達する深さの第2ビアホール30xをそれぞれ形成する。さらに、コア基板20の両面側の第2層間絶縁層30上に第2ビアホール30xを介して第2配線パターン28に接続される第3配線パターン32をそれぞれ形成する。
【0047】
次いで、同じく図8(a)に示すように、コア基板20の両面側の第3配線パターン32の接続部32a上に開口部34xがそれぞれ設けられたソルダレジスト膜34をコア基板20の両面側の第3配線パターン32上にそれぞれ形成する。さらに、コア基板20の両面側の第3配線パターン32の接続部32aにNi/Auめっきがそれぞれ施される。
【0048】
その後に、図8(b)に示すように、コア基板20の上面側の第3配線パターン32の接続部32aに半導体チップ40のバンプ42をフリップチップ接続した後に、半導体チップ40とソルダレジスト膜34との間にアンダーフィル樹脂36を充填する。
【0049】
さらに、コア基板20の下面側の第3配線パターン32の接続部32aにはんだボールを搭載するなどして外部接続端子38を形成する。
【0050】
以上により、本実施形態のキャパシタ装置1、インダクタL及び抵抗Rが内蔵された回路基板に半導体チップ40が実装された半導体装置2が完成する。
【0051】
本実施形態に係る半導体装置2では、キャパシタ1、インダクタL及び抵抗Rが回路基板に埋め込まれて形成されるので、回路基板に受動部品を個別に表面実装する場合よりも半導体装置を小型することができる。また、回路基板を製造する一連の工程内で、インダクタLや抵抗Rを作り込むと共に、キャパシタ1を実装するようにしたので、部品代や実装コストを削減することができ、半導体装置を低コストで製造することができるようになる。さらには、はんだによって実装される表面実装部品を必要としないので、環境保全対策である鉛フリーに対応することができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
図9〜図14は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置の製造方法を示す断面図である。
【0053】
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、回路基板上にキャパシタ装置を実装するのではなく、回路基板を製造する工程で回路基板内にキャパシタ装置を作り込むことにある。
【0054】
図9(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な複数の気孔10xが形成されたポーラス金属層を用意してベース基板10とする。第2実施形態では、ベース基板10は後にキャパシタ用の内部電極として利用される。
【0055】
その後に、図9(b)に示すように、第1実施形態と同様に、ベース基板10(ポーラス金属層)の上面、下面、及び気孔10xの内面に誘電体層12を形成する。
【0056】
次いで、図9(c)に示すように、第1実施形態と同様に、無電解めっきなどで誘電体層12の上に金属膜を形成することにより、ベース基板10の気孔10xに内側金属膜15を埋め込むと同時に、内側金属膜15に繋がる上側金属膜15a及び下側金属膜15bをベース基板10の上面及び下面側にそれぞれ形成する。あるいは、前述した第1実施形態の変形例で説明したように、銅箔を貼着するなどして上側及び下側金属層15,15aを形成してもよい。
【0057】
なお、後に、内側金属膜15がキャパシタの内側外部電極となり、上側金属膜15a及び下側金属膜15bがそれぞれキャパシタの上側外部電極及び下側外部電極となる。
【0058】
次いで、図10(a)に示すように、上側金属膜15a及び下側金属膜15bの対向する所定部分に開口部15xをそれぞれ形成する。さらに、図10(b)に示すように、上側金属膜15a、誘電体層12、ベース基板10及び下側金属膜15bの所定部分にドリルやレーザによりそれらを貫通する貫通穴10zを形成する。
【0059】
これにより、上側金属膜15a及び下側金属膜15bがパターニングされて、ベース基板10の両面側にキャパシタ用の上側外部電極14a及び下側外部電極14bが形成される。
【0060】
次いで、図10(c)に示すように、ベース基板10の両面側に樹脂層よりなる絶縁層17をそれぞれ形成する。これにより、ベース基板10の両面側の上側外部電極14a及び下側外部電極14bが絶縁層17で被覆されると共に、貫通穴10zが絶縁層17によって埋め込まれる。絶縁層17の形成方法としては、エポキシやポリイミドなどからなる樹脂フィルムを貼着してもよいし、あるいはエポキシやポリイミドなどからなる樹脂層を塗布により形成してもよい。
【0061】
その後に、図11に示すように、ドリルやレーザにより、図10(c)のAで示される部分の貫通穴10zに埋め込まれた絶縁層17を加工してスルーホール20xを形成する。このとき、貫通穴10zの側面に側面絶縁層17aが形成される。側面絶縁層17aは、後にスルーホール20xの内面に形成されるスルーホールめっき層とベース基板10(ポーラス金属層)とを電気的に絶縁するために設けられる。
【0062】
また、同じく図11に示すように、ドリルやレーザにより、図10(c)のBで示される部分の絶縁層17、誘電体層12及びベース基板10を加工してそれらを貫通するスルーホール20yを形成する。さらに、同じく図11に示すように、ベース基板10の両面側の絶縁層17をドリルやレーザで加工することにより、上側外部電極14a及び下側外部電極14bに到達する深さのビアホール17xをそれぞれ形成する。これによって、上側外部電極14a及び下側外部電極14bの一部が露出してそれらの接続部14xがそれぞれ画定される。
【0063】
これにより、図11の回路基板にキャパシタ装置1bが作り込まれる。すなわち、ベース基板10(ポーラス金属層)から構成される内部電極11と、内部電極11内の気孔10xの内面から内部電極11の両面側にかけて形成された誘電体層12と、気孔10x内の誘電体層12上に形成された内側外部電極14から内部電極11の両面側に繋がって形成された上側外部電極14a及び下側外部電極14bとにより構成されるキャパシタ装置1bが得られる。このように、回路基板にキャパシタが作り込まれ、回路基板全体がキャパシタとして機能する。
【0064】
続いて、図12に示すように、セミアディティブ法やサブトラクティブ法などにより、スルーホール20x,20yの内面に形成されるスルーホールめっき層19aを介して相互接続される配線パターン19をベース基板10の両面側に形成する。配線パターン19は、キャパシタ装置1bの内部電極11の側面にスルーホールめっき層19aを介して電気的に接続される内部電極用配線19cと、上側外部電極14a及び下側外部電極14bにビアホール17xを介してそれぞれ接続される外部電極用配線19dと、その他の配線パターン19bとにより構成される。このようにして、キャパシタ装置1bの上側外部電極14aと下側外部電極14bとは、外部電極用配線19dとスルーホールめっき層19aを介して相互接続される。その後に、スルーホール21の孔が樹脂体23によって充填される。
【0065】
次いで、図13に示すように、ベース基板10の両面側に各配線パターン19の接続部上に開口部34xが設けられたソルダレジスト膜34をそれぞれ形成する。
【0066】
さらに、図14に示すように、ベース基板10の上面側の配線パターン19の接続部に半導体チップ40のバンプ42をフリップチップ接続した後に、半導体チップ40の下側の隙間にアンダーフィル樹脂36を充填する。その後に、ベース基板10の下面側の配線パターン19の接続部にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子38を形成する。
【0067】
以上により、本実施形態のキャパシタ装置1bが内蔵された回路基板に半導体チップ40が実装された半導体装置2aが完成する。
【0068】
以上のように、第2実施形態では、回路基板を製造する一連の工程でポーラス金属層よりなるベース基板10を利用して、第1実施形態と同様な方法により回路基板にキャパシタ装置1bが作り込まれる。キャパシタ装置1bは、ベース基板10(ポーラス金属層)から構成される内部電極11と、内部電極11の気孔10xの内面に形成された誘電体層12と、気孔10x内の誘電体層12上の内側外部電極14及びそれに繋がって内部電極11の上面及び下面にそれぞれ形成された上側外部電極14a及び下側外部電極14bとによって構成される。
【0069】
そして、内部電極11には、その側面に接続されたスルーホールめっき層19aを介して回路基板の内部電極用配線19cが接続されている。また、上側外部電極14a及び下側外部電極14bにはスルーホールめっき層19aを介して回路基板の外部電極用配線19dが接続されている。さらに、回路基板の内部電極用配線19c及び外部電極用配線19dなどに半導体チップ40のバンプ42がフリップチップ接続されている。
【0070】
このようにして、第2実施形態のキャパシタ装置1bは、例えば、半導体チップ40の電源ラインとグランドラインとの間に接続されて回路基板全体がデカップリングキャパシタとして機能する。
【0071】
第2実施形態のキャパシタ装置1bは第1実施形態と同様な効果を奏する。これに加えて、第2実施形態では、回路基板の製造工程でキャパシタ装置1bを基板に作り込むことができることから、キャパシタ装置を回路基板に実装する必要がないので、第1実施形態よりも低コストでキャパシタ装置を回路基板に内蔵させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1(a)及び(b)は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)及び(b)は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置を示す断面図である。
【図4】図4は図3のキャパシタ装置が実装されるときの等価回路を示すものである。
【図5】図5は本発明の第1実施形態の変形例のキャパシタ装置を示す断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図7】図7(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図8】図8(a)及び(b)は本発明の第1実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図9】図9(a)〜(c)は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図10】図10(a)〜(c)は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図11】図11は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図12】図12は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【図13】図13は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【図14】図14は本発明の第2実施形態のキャパシタ装置が内蔵される半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【符号の説明】
【0073】
1,1a,1b…キャパシタ装置、10…ポーラス金属層又はベース基板、10x…気孔、10y…中空、10z…貫通穴、11…内部電極、11a…接続部、12…誘電体層、12x,14x,34x…開口部、14…内側内部電極、14a…上側外部電極、14b…下側外部電極、14x,32a…接続部、15a…上側金属膜、15b…下側金属膜、17…絶縁層、17a…側面絶縁層、17x…ビアホール、19…配線パターン、19a,21…スルーホールめっき層、19b…その他の配線パターン、19c…内部電極用配線、19d…外部電極用配線、20…コア基板、20x,20y…スルーホール、22…第1配線パターン、23…樹脂、26…第1層間絶縁層、26x…第1ビアホール、28…第2配線パターン、30…第2層間絶縁層、30x…第2ビアホール、32…第3配線パターン、34…ソルダレジスト膜、36…アンダーフィル樹脂、38…外部接続端子、40…半導体チップ、42…バンプ、R…抵抗、L…インダクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部から外面にかけて複数の気孔が設けられたポーラス金属層よりなる内部電極と、
前記気孔の内面及び前記内部電極の外面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層に接触して形成された外部電極とを有することを特徴とするキャパシタ装置。
【請求項2】
前記外部電極は、前記気孔の内面の前記誘電体層上に形成された内側外部電極と、該内側外部電極に繋がって前記内部電極の外面に形成された外側外部電極とにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ装置。
【請求項3】
前記外部電極は、前記気孔内の前記内側外部電極から前記内部電極の上面に繋がって形成された上側外部電極と、前記気孔内の前記内側外部電極から前記内部電極の下面に繋がって形成された下側外部電極とにより構成されることを特徴とする請求項2に記載のキャパシタ装置。
【請求項4】
前記内部電極の気孔は、50乃至99%の気孔率(内部電極内に占める気孔の割合)で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキャパシタ装置。
【請求項5】
前記内部電極は、銅、ニッケル又はステンレスよりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキャパシタ装置。
【請求項6】
前記内部電極がキャパシタの一方の電極となり、前記上側外部電極と前記下側外部電極とが電気的に接続されて前記キャパシタの他方の電極となることを特徴とする請求項3に記載のキャパシタ装置。
【請求項7】
前記上側外部電極の一部及び前記内部電極の上面側の前記誘電体層一部に開口部が設けられて、前記誘電体層の開口部内の該内部電極の部分が接続部となっていることを特徴とする請求項3に記載のキャパシタ装置。
【請求項8】
前記内部電極の側面部が該内部電極の接続部となっていることを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ装置。
【請求項9】
前記キャパシタ装置は、前記ポーラス金属層から構成されるベース基板を備えた回路基板を製造する際に該回路基板に作り込まれたものであって、
前記キャパシタ装置の前記内部電極は、前記回路基板のベース基板を構成しており、前記ベース基板に設けられたスルーホールの側面の前記内部電極の部分に前記回路基板の内部電極用配線が電気的に接続され、前記上側外部電極及び前記下側外部電極に前記回路基板の外部電極用配線が電気的に接続されていることを特徴とする請求項8に記載のキャパシタ装置。
【請求項10】
第1配線パターンを備えた回路基板と、
請求項7に記載のキャパシタ装置であって、前記上側外部電極が上側になって前記回路基板上に実装されて、前記第1配線パターンに前記下側外部電極が電気的に接続された前記キャパシタ装置と、
前記キャパシタ装置を被覆する絶縁層と、
前記内部電極の前記接続部の上、前記上側外部電極の上、及び前記第1配線パターンの上の前記絶縁層の部分にそれぞれ形成されたビアホールと、
前記絶縁層上に形成され、前記ビアホールを介して前記内部電極の前記接続部に接続された内部電極用配線と、前記ビアホールを介して前記キャパシタ装置の下側外部電極に接続された前記第1配線パターンと前記上側外部電極とを接続する外部電極用配線とより構成される第2配線パターンと、
前記第2配線パターンに電気的に接続された半導体チップとを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
前記回路基板には、前記キャパシタ装置に関係をもたせたインダクタ及び抵抗が内蔵されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項9に記載された前記キャパシタ装置が作り込まれた回路基板の前記内部電極用配線及び前記外部電極用配線に半導体チップが電気的に接続されて構成される半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−120696(P2006−120696A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304251(P2004−304251)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】