説明

キャピラリ導波管の調整可能な光学装置を用いて、光信号をフィルタ処理する方法

光ファイバ(100A-100D)を用いて、光信号(300)をフィルタ処理する方法。光信号(300)をフィルタ処理する方法は、光信号(306)源に結合された光ファイバ(100A-100D)を選択するステップ(304)と、コア材料(105)を選定して、光ファイバ(100A-100D)内に導波管を提供するステップ(306)と、コア(102)の周囲に配置された第1の光クラッド層(104)内に、光格子(114-1)を設置するステップ(310)と、実質的にコア(102)内に誘導された、光ファイバ(100A-100D)内に光信号を伝播させるステップ(312)と、光格子(114-1)を用いて、前記光信号を有する選定波長の伝播経路を調整するステップ(314)と、選定波長を定めるステップ(316)であって、このため、コア(102)に対するエネルギー刺激を選択的に変化させることにより、伝播経路が調整され、これにより導波管が調整されるステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ装置に関し、特に、キャピラリ導波管を有する光ファイバ装置を用いて、光信号をフィルタ処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、高密度波長分割多重(DWDM)系のネットワーク内のデータの転送に使用される。DWDM系ネットワーク内の装置は、単一の光ファイバを介して、多数の信号を伝送する。これは、光ファイバの長手軸に沿って、異なる波長で各信号を伝送することにより行われる。結果的に、DWDM系ネットワークは、光ファイバの末端に装置を有し、この装置により、一組の受信信号から、特定波長の信号がフィルタ処理される。この目的のため、しばしば、調整可能な光バンドパスフィルタが使用される。通常、これらのフィルタ装置は、(1)広い調整範囲、(2)隣接チャネルとのクロストークが無視できること、(3)高速調整速度、(4)低挿入損失、(5)低偏光感応性、(6)環境変化に対する安定性、を有することが望ましい。
【0003】
光バンドパスフィルタを実現するための、各種技術が知られている。そのような技術の一つは、光ファイバ格子システムを使用することである。光ファイバ格子システムは、ファイバの全長に沿って伝播する光の特定の波長をフィルタ処理または散乱させる。ファイバ格子は、ファイバ特性の周期的な摂動を形成することによって構成される。通常、周期的な摂動は、コアの屈折率に関して行われる。例えば、光ファイバ格子システムは、特定の屈折率を有するコアを有し、この値は、ファイバの全長に沿って変化する。
【0004】
従来の2種類の格子システムは、長周期格子と短周期ブラッグ格子とを有する。通常、短周期ファイバ格子は、サブミクロンの周期を有するように特徴化される。これらのタイプの装置は、前方伝播コアモードから後方伝播コアモードに、光を結合することにより作動する。通常、短周期ファイバブラッグ格子は、特定波長の選択された狭小バンド反射を有する。短周期格子フィルタは、通常、格子に応力を加えることにより調整される。
【0005】
一方、通常、光ファイバの長周期格子は、数十μmから1mmの範囲の周期を有する。そのような長周期格子は、前方伝播コアモードと共伝播クラッドモードの間の結合を促進する。長周期格子は、通常、ある波長を減衰し、短周期格子よりも広いバンド幅を提供する。
【0006】
本願に示すような光フィルタを調整する、各種技術が提案されている。例えば、特殊な材料を使用して、光ファイバコアを取り囲むクラッド材料が構成される。これらの材料は、クラッド内に広がる光エネルギーと相互作用する。これらのクラッド材料の屈折率の変化により、装置の周波数応答が調整される。そのような装置の一例は、ファイバのクラッド領域に、空気チャネルまたはキャピラリを有する光ファイバである。キャピラリは、特定の屈折率を有する流体を含む。長周期格子は、コア内に刻印され、前方伝播コアモードから、前方伝播クラッドモードに、ある波長の光を結合する。これらの波長のパワーは、減衰される。フィルタの応答は、流体を、格子が設けられた領域の内外に移動させることにより調整される。この方法では、流体の位置の変化を用いて、伝送ノッチの減衰および/または波長が変更される。
【0007】
また、光ファイバを調整する他の方法も知られている。例えば、ファイバに、物理的に応力が付与されることにより、その周波数応答が変化する。音響光学的に調整可能なフィルタは、ファイバの全長に沿って伝播する屈曲波を用い、光格子の反射波長を調整する。また、電気光学的な手法も、フィルタの応答性の修正に使用できる。特に、長周期格子は、特殊なファイバのコアに形成される。薄い内側クラッドシリカが、コアの周囲に配置され、内側クラッドの周囲には、光電気外側クラッドが形成される。印加電圧を用いることにより、外側クラッドの屈折率が変化する。この外側クラッドの屈折率の変化により、フィルタ処理される波長が調整される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
キャピラリ導波管の調整可能な光学装置において、光信号をフィルタ処理する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による方法は、光ファイバ内に設置されたコアを介して、光信号を伝播させるステップを有する。光ファイバは、光信号源と結合される。光信号は、該光信号を有する、選択波長の伝播経路を調整することにより、フィルタ処理される。調整可能な導波管は、エネルギー刺激に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率を有するコア材料で形成される。コアの周囲には、第1のクラッド層が設置される。選択波長の伝播経路は、コアの周囲に配置された、第1のクラッド層内に設置された光格子により調整される。選択波長は、コアに対するエネルギー刺激を選択的に変化させ、導波管を調整することにより定められる。
【0010】
本発明の好適実施例では、光信号をフィルタ処理する方法は、いくつかのステップを有する。この方法は、光信号源に結合された光ファイバを提供するステップから開始される。光ファイバは、該光ファイバ内に設置されたコアを有する。コアは、実質的に光ファイバのコア内に、光の伝播を支援する導波管を形成するように選定されたコア材料で構成される。また、この方法は、コアの周囲に配置された第1のクラッド層内に光格子を設置するステップを有する。本方法では、引き続き、このように構成されたファイバを用いて、コア内に光信号を伝播させるステップが行われる。その後、光信号を有する選択波長の伝播経路は、光格子により調整される。コアに対するエネルギー刺激を選択的に変化させることにより、伝播経路が調整される選定波長が定められる。従って、エネルギー刺激は、導波管を効率的に調整する。
【0011】
コア材料を選定するステップは、所定の範囲にわたって、エネルギー刺激に応じて、値が連続的に変化する屈折率を有するコア材料を選定するステップを有する。エネルギー刺激を変化させるステップは、熱エネルギー、光エネルギー、磁界、および電気的電位のような、エネルギー刺激を選定するステップを有する。
【0012】
コアの周囲に配置された第1のクラッド層内に、光格子を設置するステップは、第1のクラッド層の材料を選択するステップを有し、この材料は、エネルギー刺激に対する暴露に応じて、恒久的に選択的に調整可能な第1のクラッド層屈折率を有する。例えば、エネルギー刺激は、紫外(UV)線のような光エネルギーであっても良い。
【0013】
本発明の好適実施例では、光ファイバ内に導波管を提供するステップは、光ファイバ内にボアを設置するステップを有する。ボアは、第1の光クラッド層内に、軸方向に沿って設置される。またこの方法は、液体または流体で、ボアを充填するステップを有する。ボアに充填される液体または流体は、光ファイバのコアを形成する。本発明の好適実施例では、ボアに充填される流体を選定するステップは、屈折率がn1の流体を選定するステップを有し、この屈折率は、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する。特に、屈折率は、熱エネルギー、光エネルギー、磁界、および電気的電位のようなエネルギー刺激に応じて、変化するように選定される。屈折率の値の範囲は、所望の波長調整範囲にわたって、単一の伝播コアモードをサポートするキャピラリ導波管が形成されるように選定される。
【0014】
本発明の一実施例では、コアの周囲に配置された第1のクラッド層内に、光格子を設置するステップは、いくつかのステップを有する。これらのステップは、第1のクラッド層に刻印された光格子を形成するステップを有する。光格子は、第1のクラッド層に、光ファイバの全長に沿って、周期パターンで調整される屈折率を提供することにより形成される。本発明の別の実施例では、このステップは、さらに、屈折率の正弦波的変化を含む周期パターンを選定するステップを有する。本発明のさらに別の実施例では、このステップは、さらに、アポダイズ(apodized)周期格子、チャープ格子、ブレーズ格子、または振幅変調格子のような光格子を選定するステップを有する。
【0015】
本発明の別の態様では、本方法は、第1の光クラッド層の上に、第2の光クラッド層を設置するステップと、コアの屈折率よりも小さな、第2の光クラッド層の屈折率を選定するステップとを有する。
【0016】
光信号をフィルタ処理するこの方法により、光信号を有するある選定された波長は、装置の導波管を構成するコアを介して、自由に伝播されるようになる。他の選定波長は、光格子との相互作用の結果、フィルタ処理される。選定波長は、格子周期、コアとクラッドの寸法、および屈折率により定められる。導波管は、コアに対するエネルギー刺激を選択的に変化させることにより調整される。光信号をフィルタ処理する方法は、光信号の伝播経路を調整するステップを有する。ある実施例では、これは、選択波長の結合が前方伝播クラッドモードとなるように、光格子を設計することにより行われる。あるいは、光格子は、光信号の選定波長が伝播する方向を変化させることにより、選択波長の伝播経路を調整するように設計されても良い。例えば、このステップは、選択波長の進行方向を、前方進行伝播方向から、反対の進行伝播方向に変化させるステップを有しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明を理解する上で有益な光ファイバの断面図である。
【図1B】本発明を理解する上で有益な光ファイバの断面図である。
【図1C】本発明を理解する上で有益な光ファイバの断面図である。
【図1D】本発明を理解する上で有益な光ファイバの断面図である。
【図2】本発明を理解する上で有益な光ファイバの製造工程のフロー図である。
【図3】本発明を理解する上で有益な、第1の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明を理解する上で有益な、第2の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明を理解する上で有益な、第3の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明を理解する上で有益な、第4の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明を理解する上で有益な、光信号のフィルタ処理方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、実施例について説明する。図において、同様の符号は、同様の部材を表す。
【0019】
図1Aには、キャピラリ導波管の調整可能な光学装置において、光信号をフィルタ処理する方法に利用される、光ファイバ100Aの断面図を示す。光ファイバ100Aは、円筒状コア102、第1の光クラッド層104、および第2の光ファイバクラッド層106で構成された細長い構造である。本発明の好適実施例では、コア102は、円筒状である。しかしながら、コア102の断面は、円筒、楕円、正方形、矩形、および八角形など、いかなる形状であっても良いことに留意する必要がある。コア102は、コア材料105で構成され、光ファイバ100Aを通る、所望の光信号を伝播させる導波管が提供される。そのようなコア材料は、屈折率および/または光損失が、熱エネルギー、光エネルギー、電気的電位および磁界のようなエネルギー刺激に応答して変化する、いかなる媒体を有しても良い。
【0020】
図1Aに示す本発明の好適実施例では、コア102は、第1の光クラッド層104内に、軸方向に配置されたボア103で構成される。ボア103は、さらに、屈折率がn1の作動流体または液体105で充填され、この屈折率は、熱エネルギー(温度)に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する。作動流体105がボア内に配置されているため、光ファイバ100Aは、キャピラリ導波管として見ることができる。光は、コア102内を伝播し、これは、当業者には、容易に理解される。作動流体は、屈折率n1が特定の光ファイバ用途に対応するように選定される。例えば、作動流体は、室温(約25℃)で、1.4から1.8の範囲の屈折率n1を有するように選定されることが有意である。そのような作動流体は、ニュージャージー州、Cedar Groveのカージル(Cargille Labs)社から市販の、シリーズA流体、シリーズB流体、およびシリーズM流体を含む。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。熱エネルギーに応答して変化する屈折率n1を有する、いかなる作動流体も、限定なく使用することができる。
【0021】
本発明の別の実施例は、図1Bに示されている。この図には、光ファイバ100Bが示されている。光ファイバ100Bは、キャピラリ導波管の調整可能な光学装置において、光信号をフィルタ処理する方法に利用される。コア102は、第1の光クラッド層104内に、軸方向に配置されたボア103で構成される。ボア103は、さらに、屈折率がn1の光電気作動流体または液体105で充填され、この屈折率は、電気的電位に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する。図1Bに示すように、電気的電位は、電極組121-1、121-2に接続された、外部電源120により印加されても良い。電極の位置は、コア102内で、光信号の伝送に対して影響を及ぼさずに、光電気作動流体に、電場が印加されるように選定されることが有意である。例えば、図1Bに示すように、第2の光ファイバクラッド層106に対して、外側に電極が配置されることが有意である。ただし、本発明は、これに限られるものではない。コア102に印加される電場を有効に変化させることができれば、
この目的のため、いかなる電極配置を使用しても良い。
【0022】
光電気作動流体105は、特定の光ファイバ用途に対応する屈折率n1を有するように選定されても良い。本発明のある態様では、光電気作動流体は、室温(約25℃)で、1.4から1.8の間の屈折率n1を有するように選定される。そのような光電気作動流体は、液晶および/または光電気高分子を含む。ただし、この場合も、本発明はこれに限られるものではない。電気的電位に応じて変化する屈折率n1を有するいかなる光電気材料も、限定なく使用することができる。
【0023】
本発明のさらに別の実施例は、図1Cに示されており、この図には、光ファイバ100Cの断面が示されている。光ファイバ100Cは、キャピラリ導波管の調整可能な光学装置において、光信号をフィルタ処理する方法に使用することができる。コア102は、第1の光クラッド層104内に、軸方向に配置されたボア103で構成される。ボア103は、さらに、作動流体または液体105で充填され、これは、光エネルギーに応答して、所定の範囲にわたって値が連続的に変化する屈折率n1もしくは吸収率を有する。図1Cに示すように、光エネルギーは、外部源122によって付与されても良い。外部光源122は、図1Cに示すように、側方から、光ファイバ100 Cに照射することができることに留意する必要がある。あるいは、外部光源122は、ファイバ100Cの端部130から、光ファイバ100Cに照射することも可能であり、この端部では、光は、ファイバ100Cによって誘導され、フィルタ処理される信号とともに伝播する。しかしながら、本発明は、これに限られるものではない。この目的のため、いかなる適当な従来の照射手段を使用しても良い。作動流体は、特定の光ファイバ用途に適合するような屈折率n1を有するように選定される。この点に関して、作動流体は、室温(約25℃)で、1.4から1.8の範囲の屈折率n1を有するように選定される。そのような作動流体は、ドープされた流体、またはケール(Kerr)非線形性を示す流体を含む。ただし本発明は、これに限られるものではない。光エネルギーの適用に応じて変化する屈折率n1または吸収率を有するいかなる作動流体も、限定なく使用することができる。
【0024】
図1Dに示す本発明の別の実施例では、コア102は、第1の光クラッド層104内に、軸方向に配置されたボア103で構成される。ボア103は、さらに、作動流体または液体105で充填され、この作動流体は、磁界に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率n1を有する。図1Dに示すように、磁界は、外部磁石124-1、124-2によって印加される。ただし、本発明は、これに限られるものではない。この目的のため、いかなる適当な従来の機構を使用しても良い。作動流体は、特定の光ファイバ用途に対応するような屈折率n1を有するように選定される。例えば、作動流体は、室温(約25℃)で、1.4から1.8の屈折率n1を有するように選定されることが有意である。ただし、本発明は、これに限られるものではない。磁界に応じて変化する屈折率n1を有するいかなる作動流体も、限定なく使用することができる。
【0025】
再度図1A乃至1Dを参照すると、コア102は、直径108を有することが観察される。直径108は、特定の光ファイバ用途に対応するように選定されても良い。通常、所望の数の共振モードが、コア102の寸法に影響する傾向にあることに留意する必要がある。例えば、本発明の好適実施例では、コア102は、キャピラリ導波管が形成されるように選定された直径108を有し、このキャピラリ導波管は、所望の波長調整範囲にわたって、単一の伝播コアモードをサポートする。また、コアの直径108は、熱エネルギー、光エネルギー、磁気エネルギー、および電気的電位のようなエネルギー刺激に対する光ファイバの感度が、最適になるように選定されることが有意である。コアの直径108、コア102の屈折率、およびクラッド材料は、コア材料105と重なり合う光ファイバ100A-100Dに伝搬される光の割合を定めることに留意する必要がある。この点に関して、さらに、コアの直径108が大きくなると、コア102内に存在する光の割合が大きくなり、エネルギー刺激に対する感度が上昇することに留意する必要がある。
【0026】
第1の光クラッド層104は、コア102上に配置される。第1の光クラッド層104は、第1の光クラッド層屈折率を有する材料で形成され、この値は、光エネルギーのようなエネルギー刺激に対する暴露に応答して、恒久的に選択的に設定される。そのような材料には、光感応化学成分でドープされた、ガラス(例えば、シリカガラス、フルオロジルコニア酸塩ガラス、フルオロアルミン酸塩ガラス、およびカルコゲナイドガラス)、光感応化学成分でドープされた高分子、ならびに/または光感応化学成分でドープされた、光電気材料が含まれる。本発明の好適実施例では、材料は、ゲルマニウムおよびフッ素がドープされたシリカガラスとして選定され、ゲルマニウムは、紫外(UV)光線感応性を提供し、フッ素は、第2の光クラッド層106に比べて、屈折率を僅かに低下させる。ただし、本発明は、これに限られるものではない。エネルギー刺激に対して感度を有する限り、いかなる適当な材料を使用して、限定なく第1の光クラッド104を形成することも可能である。しかしながら、第1の光クラッド層104の形成に使用される材料は、特定のフィルタ処理動作に対応して、屈折率n2を有するように選定されることに留意する必要がある。例えば、材料は、コア102の屈折率n1よりも小さな屈折率n2を有するように選定される。そのような構造では、光ファイバに誘導モードが提供され、このモードでは、コア102に充填された流体または液体、およびコア102に最近接の第1の光クラッド104の領域が実質的に限定される。
【0027】
光ファイバ100A-100D上には、1または2以上の光格子が構成されることが有意である。図1A、1B、および1Dでは、単一の格子114-1が示されている。図1Cでは、2つの格子114-1、114-2を有する光ファイバが示されている。光格子114-1、114-2は、第1の光クラッド104内に設置され、これには、従来のいかなる製作技術を使用しても良い。そのような技術には、紫外線レーザおよび/または従来公知の他の刻印技術を用いた光刻印(inscribe)技術が含まれる。好適実施例では、紫外光線を使用して、格子が形成される。紫外線レーザは、ファイバの外部に配置される。レーザは、シリカのスラブから構成されたフェーズマスクを介して、ファイバに照射され、このマスクには、微細な平行溝または谷のパターンが存在する。フェーズマスクは、光を回折し、これにより、干渉パターンが形成される。その結果、高強度および低強度のUV光の領域が生じ、これは、格子が形成される領域において、ファイバの全長に沿って変化する。このプロセスによって、屈折率が変化する範囲は、いくつかの因子に依存する。例えば、これらの因子には、第1の光クラッド層104の組成、紫外光線の暴露時間および強度が含まれる。
【0028】
本発明の実施例では、光格子114-1、114-2は、第1の光クラッド層104内に刻印され、光格子114-1、114-2は、コア102の周囲に、軸に沿って配置される。この構成の結果、第1の光クラッド層104の屈折率n2は、その長手軸に沿って、周期的に変化する。ただし、本発明は、これに限られるものではない。光格子114-1、114-2は、チャープ構造で、第1の光クラッド層に刻印されても良い。この構成の結果、光格子114-1、114-2は、その長手軸に沿って変化する格子周期を有するようになる。また、光格子114-1、114-2は、該光格子114-1、114-2がアポダイズ周期格子となるように刻印されても良い。また、光格子114-1、114-2は、光格子114-1、114-2がブレーズ(blazed)格子となるように、刻印されても良い。
【0029】
各光格子114-1、114-2は、第1の光クラッド層104の屈折率が、光ファイバの全長の一部に沿って、周期的に修正または変化するように構成される。便宜上、この周期的変化は、図1A-1Dでは、一連の交互リング状構造116-1、116-2、116-3、116-4、116-5、116-6、116-7、116-8として示されている。しかしながら、第1の光クラッド層104の屈折率の実際の周期的変化は、通常、そのような突発的な方法では変化しないことに留意する必要がある。その代わり、屈折率は、より連続的な方法で変化する。例えば、示された実施例では、屈折率の値は、正弦波的な態様で変化することが好ましい。屈折率の変化の振幅は、光格子の全長に沿って一定であり、あるいはこれは、光格子の全長に沿って調整される。格子の全長に沿って、屈折率の変化の振幅を調整することは、良く知られており、光ファイバの全長に沿って伝播する光エネルギーに対して、各種異なる効果を得ることも可能である。本発明では、これらのいかなる良く知られた振幅調整技術を使用しても良い。
【0030】
図1A、1B、1Dでは、光ファイバ100A、100B、100Dは、調整可能なノッチフィルタとして構成され、前方伝播コアモードと後方伝播コアモードの間の光を結合する。式(1)を用いて、格子周期(Λgrating)を選定することにより、波長λB(ブラッグ波長)で、最小の伝送が得られる:
【数1】

ここでneffは、光ファイバ100A、100B、100Dのコア102によって誘導されるモードの実効屈折率である。実効屈折率は、コア102と、これらの領域を占めるモードの光パワーの割合により、重み付けされたクラッド層104、106との屈折率の平均値である。図1A乃至1Dに示すような流体充填キャピラリでは、ブラッグ波長は、流体の屈折率の関数として変化する。実効屈折率は、流体の屈折率に幾分依存するためである。この方法では、エネルギー刺激(例えば熱エネルギー)の印加により、流体の屈折率が変化すると、ブラッグ波長またはノッチ波長は、選択的に制御される。
【0031】
結合モード理論(CMT)は、図1A乃至1Dに示す格子114-1、114-2の特定の応答のモデル化に使用することができる。通常、CMTでは、格子強度、全長、および格子摂動を有する誘導モードのモード場の重なりは、透過スペクトルにおけるバンド幅およびノッチの深さ(減衰)を定めることが示されている。光格子114-1、114-2は、光ファイバ100A-100Dの長手軸に沿って伝播する光波と相互作用することに留意する必要がある。この相互作用は、各光格子114-1、114-2の格子周期に依存する。例えば、各光格子114-1、114-2は、短い格子周期を有する。これらの光格子114-1、114-2と、コア102により誘導される光波の間の相互作用によって、ある波長の光波が生じ、これは、後方伝播コアモードに結合される。本発明の別の態様では、各光格子114-1、114-2は、長い格子周期を有する。これらの光格子114-1、114-2と、コア102によって誘導される光波の間の相互作用により、ある波長の光波が生じ、これは、前方伝播クラッドモードに結合される。
【0032】
再度図1を参照すると、第1の光クラッド層104は、直径110を有する。直径110は、特定の光ファイバ100Aの用途に対応するように選定される。本発明の好適態様では、第1の光クラッド層104は、光格子114-1、114-2により誘導されたモードで伝播する光と、ボア103を占めるコア材料105との相互作用が最適化された直径110を有することが有意である。しかしながら、本発明は、これに限られるものではない。特定のフィルタ処理用途に対応した、いかなる適当な直径110を使用しても良い。
【0033】
第2の光クラッド層106は、第1の光クラッド104の上に配置される。第2の光クラッド層106は、屈折率がn3の誘電体材料で構成される。そのような材料には、溶融シリカおよび/または溶融石英が含まれ得る。本発明の好適態様では、第2の光クラッド層106を構成する材料は、コア102を占める流体の屈折率n1よりも小さな屈折率n3を有するように選定される。屈折率n3は、第1の光クラッド層104の屈折率n2よりも小さく、または大きいことに留意する必要がある。
【0034】
図1Aに示すように、第2の光クラッド層106は、直径112を有する。直径112は、特定の光ファイバ100Aの用途に対応するように選定される。本発明の好適態様では、第2の光クラッド層106は、125μmの直径112を有する。そのような直径112により、標準的な125μmの直径の光ファイバ、対応部材および工具との互換性が提供される。また、直径112は、複数のクラッドモードのため提供される(すなわち、赤外スペクトルにわたって、複数の共振バンドが得られる)。しかしながら、本発明は、これに限られるものではない。特定のフィルタ処理用途に対応した、いかなる適当な直径112を使用しても良く、また、直径112は、共振の相互作用が生じる、あるクラッドモードを選択するように選定されることが有意である。
【0035】
保護層は、図1Aには示されていないが、第2の光クラッド層106上に保護層を設置して、環境条件および外的要因による損傷から、第2の光クラッド層106を保護しても良いことは、当業者には明らかである。保護層は、高分子コーティング、または従来の他のいかなるコーティングで構成されても良い。
【0036】
さらに、光ファイバ100A-100Dは、多くのDWDM系ネットワーク用途に使用し得ることは、当業者には明らかである。例えば、光ファイバ100A-100Dには、調整可能な光フィルタが使用され、光ファイバに沿って伝播する一連の光信号から、特定の波長を有する信号がフィルタ処理されても良い。
【0037】
図1A-1Dにおける光ファイバ構成が、光ファイバの構成の代表的な実施例であることは、当業者には明らかである。しかしながら、本発明は、これに限られるものではなく、いかなる他の光ファイバも、限定なく使用することができる。例えば、本発明の別の実施例では、光ファイバ100A-100Dは、第2の光クラッド層106を省略した状態で構成されても良い。そのような構成では、第1の光クラッド層104は、より厚い層(例えば125μm)として構成され、コア102を充填する流体または液体を取り囲む。そのような構成では、保護層は、第1の光クラッド層104上に設置されても良い。
【0038】
図2には、光ファイバ100A-100Dの製造工程のフロー図を示す。本発明の好適実施例では、製造工程200は、ステップ202から始まり、ステップ204に続く。ステップ204では、ガス吸収法を用いて、所定の圧力(例えば69MPa)、所定の温度(例えば、75℃)で、所定の時間(例えば4日間)、ボア103、第1の光クラッド層104、および第2の光クラッド層106を有する光ファイバ100A-100Dを、水素または重水素のようなガスで充填することにより、光ファイバ100A-100Dが感応化される。ガス吸収法は、良く知られた技術である。従って、そのような方法は、ここでは詳しく説明しない。ファイバを紫外光線に晒す前に、水素または重水素でファイバを処理することにより、材料の光感度が向上し、第1の光クラッド層104の屈折率が調整され、光格子114-1、114-2が刻印される。ただし、当業者には明らかなように、感応化は、常時必要であるとは限らず、水素処理以外にも、ボロンドープのような、クラッド層を感応化させる他の手段がある。
【0039】
第1の光クラッド層104および第2の光クラッド層106を、水素で充填した後、ステップ206に進む。ステップ206では、少なくとも一つの短周期格子および/または長周期格子が、第1の光クラッド層104内に刻印される。このステップは、従来既知のいかなる方法で実施されても良い。例えば、短周期格子を刻印する方法は、第1の光クラッド層104を、フェーズマスクの後に配置するステップと、ある波長(例えば244nm)の光で、フェーズマスクに照射を行うステップと、を有する。この工程は、所与の時間(例えば650秒)、実施され、所与の全フルエンス(例えば260kJ/cm2)で実施される。この工程は、第1の光クラッド層を、フェーズマスクによって定められるあるパターンに応じて、強度が変化する光に露光させるステップであっても良い。前述のように、第1の光クラッド層は、選定波長の光の露光に応じて、屈折率が恒久的に選択的に変更可能な材料で構成される。従って、第1のクラッド層のそのような強度が変化する光への暴露によって、第1のクラッド層の屈折率が変化し、光源が取り除かれた後も、これは残存する。屈折率の変化の正確なパターンは、フェーズマスクによって定形されたパターンによって定められる。パターンは、前述のような光格子を形成するように選定される。
【0040】
ステップ208では、光ファイバは、所定の時間(例えば12日間)、所与の温度(例えば50℃)で熱処理され、第1の光クラッド層104および第2の光クラッド層106から、水素が除去される。
【0041】
ステップ210では、熱エネルギー、光エネルギー、磁界、電気的電位のようなエネルギー刺激によって変化する、所定の屈折率(例えばn=1.5)を有するコア材料105で、ボア103が充填される。このステップは、コア材料105が充填された加圧リザーバ内に、光ファイバの第1の端部を配置するステップを含む。光ファイバの第2の端部は、周囲大気に対して開放されている。また、本発明は、これに限られるものではなく、光ファイバ100A−100Dのボア103を、コア材料105で充填するための、他の従来の方法も存在する。ステップ210の完了後、工程は、ステップ212に進み、ここでは、光ファイバの第1の端部および第2の端部は、別の光ファイバ(例えばコーニング、SMF-28(登録商標)ファイバ)の端部と接合される。このステップの後、工程は、ステップ214に進み、製作工程200が完了する。
【0042】
製作工程200が、光ファイバ100A-100Dの製作用の主要なステップのみを含むことは、当業者には明らかである。この点に関して、製作プロセス200は、製作工程の単なる一実施例に過ぎない。本発明は、これに限られるものではなく、他のいかなる製作プロセスも、限定なく使用することができる。
【0043】
図3乃至図6を参照すると、これらの図には、光ファイバ100Aにおける、複数のコア材料温度で計算された透過スペクトルを示す、複数のグラフが示されている。図3乃至6では、エネルギー刺激は、熱エネルギー(例えば、装置の温度の変化)であり、コア材料は、該コア材料が、温度に応じて変化する屈折率を有するように選定される。しかしながら、異なる種類のエネルギー刺激に応じて変化する屈折率を有する、異なるコア材料を用いて、同様の結果が得られても良いことに留意する必要がある。透過スペクトルの計算に使用される数学モデルでは、前に(図2に関して)示したように、製作プロセス200によって製作された構造を仮定している。光ファイバ100Aは、以下のパラメータを有する:コア材料の屈折率n1=1.5(温度25℃)、コア材料屈折率の温度感度dn1/dT=−4.01×10-4(℃)-1、コア直径108 d1=1.4μm、第1の光クラッド層104の屈折率n2=1.444、第1の光クラッド層の直径110 d2=40μm、第2の光クラッド層106の屈折率n3=1.444、格子周期Λgrating=535.28nm、および格子長さL1=1cm。モデルでは、平均屈折率変化が8.5×10-4で、格子の最大屈折率と最小屈折率の間の差が、8.5×10-4の正弦波格子を仮定した。図3には、コア材料105を有する光ファイバ100Aにおいて、第1の温度が0℃として計算された透過スペクトルを示す。同様に、図4乃至6には、それぞれ、コア材料を有する光ファイバ100Aについて、25℃、50℃、および75℃からなる群から選定された異なる温度で計算された、透過スペクトルを示す。
【0044】
図3乃至図6に示すように、コア材料105の温度特性は、光フィルタ100Aの透過スペクトルを定める。光フィルタのノッチ波長は、ボア103を占めるコア材料105の温度を変化させることにより調整される。他の種類のエネルギー刺激により変化するコア材料を使用することにより、別の種類のエネルギー刺激を用いて、同様の結果を得ても良い。
【0045】
光ファイバ100Aが、電磁スペクトルの近赤外領域において、異なるバンド(例えば、1530nmから1565nmのCバンド、1565nmから1625nmのLバンド)で作動するように構成され得ることは、当業者には明らかである。例えば、誘導モードの実効屈折率は、1.45に等しい。格子周期は、535.28nmに等しい。ここで、光が前方伝播コアモードから反転伝播コアモードに結合する波長は、1552.3nm(λB=2×1.45×535.28;前述の式(1)参照)に等しく、これは、電磁スペクトルのCバンドの近赤外領域に属する。あるいは、誘導モードの実効屈折率は、1.5に等しい。格子周期は、535.28nmに等しい。ここで、光が前方伝播コアモードから反転伝播コアモードに結合する波長は、1605.8nmとなり(λB=2×1.5×535.28;前述の式(1)参照)、これは、電磁スペクトルのLバンドの近赤外領域に属する。前述の点において、コア材料105の屈折率、第1の光クラッド層104の屈折率、第2の光クラッド層106の屈折率(第1の光クラッド層が薄い場合)、ボア103の直径108、第1の光クラッド層104の直径110、第2の光クラッド層106の直径112、および格子周期が、光ファイバ100A-Dが作動するバンドに影響することは明らかである。
【0046】
本発明の別の態様では、図7のフロー図に示すような、図1の光ファイバ100Aのようなキャピラリ導波管の調整可能な光学装置において、光信号300をフィルタ処理する方法が提案される。同様に、図1B-1Dに示す光ファイバ100B-100Dの一つのような光ファイバを、利用することもできる。本発明の好適実施例では、光信号300をフィルタ処理する方法は、光ファイバ100A内を伝播する光信号をフィルタ処理するステップで構成される。光ファイバ100Aは、前述のDWDM系ネットワークを含む、光信号源に結合される。前述のように、光信号は、該光信号を有する選択された波長の伝播経路を調整することによりフィルタ処理される。調整可能な導波管は、コア材料105を用いて、光ファイバ100A内に形成され、このコア材料105は、エネルギー刺激に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化し得る屈折率を有する。選択された波長の伝播経路は、コア102の周囲に配置された第1のクラッド層104内に設置された光格子114-1により調整される。選択された波長は、コア102に対するエネルギー刺激を選択的に変化させることにより定められ、これにより導波管が調整される。
【0047】
本発明の好適実施例では、光信号300をフィルタ処理する方法は、ステップ302から開始され、引き続き、光信号源に結合された光ファイバ100Aを提供するステップ304が行われる。方法300は、追加のステップを有する:
ステップ306)光ファイバ100A内に、コア材料105で構成されたコア102を設置するステップ;
ステップ308)光ファイバ100A内に導波管を提供するため、コア材料105を選択するステップ;
ステップ310)コア102の周囲に配置された第1のクラッド層104内に、光格子114-1を設置するステップ;
ステップ312)光ファイバ100A内の光信号が、実質的にコア102内に誘導されるように伝播させるステップ;
ステップ314)前記光信号を含む選択された波長の伝播経路を、光格子114-1で調整するステップ;および
ステップ316)選択波長の決定のため、コア102へのエネルギー刺激を選択的に変化させることにより、伝播経路が調整され、これにより導波管が調整されるステップ。
方法300は、ステップ318で完了する。
【0048】
また、光ファイバ100Aにコア102を設置するステップ306は、コア直径108を選定するステップを有する。コア材料105を選定するステップ308は、エネルギー刺激に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率を有するコア材料105を選定するステップを有する。選定されるエネルギー刺激は、熱エネルギー、光エネルギー、磁界、または電気的電位を含む。
【0049】
コア102の周囲に、第1の光クラッド層104を設置するステップは、第1の光クラッド層104の直径110を選定するステップ、および第1のクラッド層屈折率を有する第1の光クラッド層104の材料を選定するステップを有し、第1のクラッド層屈折率は、エネルギー刺激に応答して、恒久的に選択的に調整することができる。エネルギー刺激の選定には、光エネルギーを選定することを含む。光エネルギーは、紫外線(UV)を含む。
【0050】
本発明の好適実施例では、光ファイバ100A内にコア102を設置するステップは、さらに、光ファイバ100A内に、第1の光クラッド層104内に同軸に配置されたボア103を設置するステップと、ボア103に充填する液体または流体を選定するステップとを有する。液体または流体が充填されたボア103は、光ファイバ100Aのコア102を形成する。さらに、このステップは、ボア103の直径108を選定するステップを有する。直径108は、エネルギー刺激に対する光ファイバの感度などが、特定の光ファイバ用途に対応するように選定される。本発明の好適実施例では、ボア103に充填する液体または流体を選定するステップは、室温で1.40から1.80の間の屈折率を有する流体を選定するステップを有する。
【0051】
本発明の一実施例では、コア102の周囲に配置された第1のクラッド層104内に、光格子114-1を設置するステップは、第1の光クラッド層104内の光格子114-1を選定するステップを有し、この光格子114-1は、前記光ファイバ100Aの全長に沿って、周期的パターンに調整された屈折率を有する。本発明の別の実施例では、このステップは、さらに、前記屈折率が正弦波的に変化する、周期的パターンを選定するステップを有する。本発明の他の実施例では、このステップは、アポタイズ(apodized)周期格子、チャープ格子、ブレーズ格子、または振幅変調格子となるような、光格子114-1を選定するステップを有する。
【0052】
本発明の別の態様では、光信号300をフィルタ処理する方法は、第1の光クラッド層104の上に、第2の光クラッド層106を設置するステップを有する。さらに、このステップは、光コアの屈折率よりも小さくなるように、第2の光クラッド層の屈折率を選定するステップを有する。また、このステップは、第2の光クラッド層106の直径112を選定するステップを有する。
【0053】
光信号300をフィルタ処理するこの方法を用いることにより、光信号を有するある選定された波長は、コア102を介して自由に伝播されるのに対して、他の選定された波長は、フィルタ化される。選定波長は、光格子114-1の周期、コア材料105の屈折率、ボア103の直径、第1の光クラッド層104の屈折率、第1の光クラッド層104の直径、第2の光クラッド層106の屈折率、および第2の光クラッド層106の直径112の選択によって定められる。選定コア材料105は、エネルギー刺激に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率を有する。導波管は、コア102に対するエネルギー刺激を選択的に変化させることにより調整される。従って、光信号300をフィルタ処理する方法は、選定波長を、前方伝播モードに結合させることにより、伝播経路を調整するステップ、あるいは前記光信号の前記選定波長が伝播する方向を変化させることにより、選定波長の伝播経路を調整するステップを有する。例えば、選択波長の進行方向は、進行伝播方向から、反対の進行伝播方向に変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号をフィルタ処理する方法であって、
コアを有する光ファイバ内に、光信号を伝播させるステップと、
前記コアの周囲に配置されたクラッド層内に刻印された光格子により、前記光信号を有する選定波長の伝播経路を調整するステップと、
前記選定波長を定めるステップであって、このため、前記コアに対するエネルギー刺激を選択的に変化させるステップにより、前記伝播経路が調整されるステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記選択的に変化させるステップは、さらに、前記エネルギー刺激に応じて、前記コアの屈折率を調整するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記コアの材料を流体に選定するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記コアの材料を液体に選定するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記伝播させるステップは、さらに、複数の波長を含む光信号を伝播させるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調整するステップは、さらに、前記選定波長を、前方伝播クラッドモードに結合するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記調整するステップは、さらに、前記光信号の前記選定波長が伝播する方向を変化させるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選定波長の前記方向は、前方進行伝播方向から、反対の進行伝播方向に変化することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに、熱エネルギー、光エネルギー、磁界、および電気的電位からなる群から、前記エネルギー刺激を選定するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、前記クラッド層に刻印された複数の前記光格子を用いて、前記伝播経路を調整するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−506219(P2010−506219A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531579(P2009−531579)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/080290
【国際公開番号】WO2008/042952
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】