説明

ギア液

【課題】 極圧下で使用するためのギア液組成物。
【解決手段】 この組成物には基油成分と摩擦調整剤の混合物が含まれ、ここで使用される摩擦調整剤は(i)炭素数が1〜24のヒドロカルビル基と炭素数が1〜8である2つのヒドロカルビル基を含有するアルキルホスホン酸ジエステル、および(ii)炭素数が1〜24のヒドロカルビル基と炭素数が1〜8であるヒドロカルビル基を含有するアルキルホスホン酸モノエステル、さらに(iii)リン酸の一部エステルのアミン塩を含んでおり、このとき(i)の(ii)に対する比率は約3から約5.5であるギヤ添加剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に極圧に対する適用特性が改善されたギア液およびパワー伝達液に関連する。本明細書に開示された流体には、自動車業界および機械業界での広範囲にわたるギアおよびトランスミッション用の使用に適した流体および添加剤が含まれる。
【背景技術】
【0002】
新規の高度な差動ギアシステムおよびトランスミッション・システムが自動車業界によって開発されている。これらの新システムには、しばしば高エネルギーが必要とされる。従って、これらの高度なシステムの多大なエネルギー必要量を満たすため、コンポーネント保護技術の開発が要される。
【0003】
ギア装置の一例に、滑り制限差動装置がある。滑り制限差動装置は、二つの駆動タイヤあるいは車輪のうちの一つに、実質的にトラクション(traction)がなくなるという一般に起こり得る状況に対応するため、多くの車両に備えられている。このような状況は地盤のゆるい土地、砂地、泥、または氷上などで起こる。標準的なオープン・ディファレンシャルでは、トラクションのない駆動タイヤはパワートレイン(powertrain)トルクをすべて受けるが、車両を希望の方向へ動かすことなく回転する。滑り制限差動装置のメカニズムでは、パワートレインによって伝えられたトルクの一部が、両方の駆動車輪に分配あるいは共有される。利用可能なトルクを共有することにより、トラクションのある車輪は車両を希望の方向に動かすために十分なトルクを受ける。加えて、高性能な車ではトルクがあまりに高いため、ある特定のターン状況において一つの車輪にかかるトルクが利用可能なトラクションを超過し、それによって性能が落ちる。滑り制限差動装置によって両方の車輪のトルクが共有されるため、車両の性能が増強される。
【0004】
滑り制限差動装置には、入力ピニオンギアから車軸にトルクを転送する様々なメカニズムがある。ディファレンシャルキャリアからサイドギアにトルクを転送するマルチプレートウェットクラッチは、一般的なメカニズムである。これらのマルチプレートクラッチは通常、一材料または対向する材料の摩擦板セットと、鋼板セットを有する。プレートの一つのセットが、何らかの方法でディファレンシャルキャリアに連結され、一方別のセットのプレートが、同様の方法でサイドギアに連結される。サイドギアは車軸を駆動するため、トルクが車軸へ、そしてその結果車両の車輪およびタイヤに転送される。これがその後車両に原動力を与える。
【0005】
運転中、車両がターンする際、または一つの車輪のトラクションが下がったりあるいはなくなった場合、滑り制限差動装置の摩擦とスチールのクラッチプレートの回転が、互いに異なった速度で起こる。クラッチプレートの相対回転速度は、毎分ほぼゼロ回転から毎分数百回転の非常に速い速度にまで及ぶ。ほとんどの場合、クラッチプレートは2つのセットのプレートをともに押すバイアススプリング力、および差動ギアセット分離力によって作動される。
【0006】
滑り制限差動装置では、後ろ車軸用の潤滑剤が適切な摩擦特性を有し、この摩擦特性が十分な距離または経過時間中持続されることが要求される。適切な摩擦特性とは、プレートの回転速度が上がると摩擦係数が上昇し、またプレートの回転速度が下がると摩擦係数が低減するようなものである。
【0007】
適切な摩擦係数および耐用年限を提供するため、特定の添加剤がトップトリートとしてギア潤滑剤中に加えられる。これらの添加剤は、多岐にわたる摩擦調整剤やそれらに関連
した化合物の中から選択される。しかしながら、特に効果的な添加剤はトップトリート中の溶液内に残留しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的のため、「ギア液」という語句には、これらに限定はされないが、前述のギアおよびトランスミッションシステムとその用途を含むことが意図される。
【0009】
本開示に基づいて調合されたギア液は、金属と金属が接触しあっている状態における、トランスミッションおよびギアドライブ成分の保護に適したように調合されている。しかしながら、このような改善をもたらす添加剤を、ギア液に加えるために濃縮物中に溶解した状態で維持するのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある実施例では、極圧下で適用されるギア液組成物が提供される。このギア液には、基油成分と摩擦調整剤の混合物が含有される。摩擦調整剤には以下の物が含まれる:
(i)少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸ジエステル:
【0011】
【化1】

【0012】
式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、RおよびRはそれぞれに炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基から選択されたものである;
(ii)少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸モノエステル:
【0013】
【化2】

【0014】
式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、Rは水素、および炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基のなかから選択されたものである;および
(iii)少なくとも一つの以下の化学式で表されるリン酸の一部エステルのアミン塩:
【0015】
【化3】

【0016】
式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、またRは水素あるい
はヒドロカルビル基である。このとき、(i)の(ii)に対する比率は約3から約5.5である。
【0017】
別の実施例では、摩擦調整剤パッケージ中の摩擦調整剤成分の溶解度を向上させる方法が提供される。この方法には、少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸ジエステルと:
【0018】
【化4】

【0019】
少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸モノエステル:および
【0020】
【化5】

【0021】
少なくとも一つの以下の化学式で表されるリン酸の一部エステルのアミン塩とを混ぜ合わせることが含まれ:
【0022】
【化6】

【0023】
式中RおよびRは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基から選択されたものであり、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、および炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基のなかから選択されたものである。式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり;またRは水素あるいはヒドロカルビル基である。混合物中のアルキルホスホン酸のジエステルのモノエステルに対する比率は約3から約5.5であり、アルキルホスホン酸ジエステルの全酸価(TAN)は約15以下である。前述の成分が、実質的にすべてのアルキルホスホン酸ジエステルおよびモノエステルを安定させるのに十分な量の基油成分中に混ぜ合わされる。
【0024】
本明細書に記載された組成物および方法の利点は、添加剤パッケージの成分が、追加の可溶化剤を必要とすることなく、添加剤パッケージに実質的に添加剤のドロップアウトがなくなるように、基油成分中で実質的に溶解している、あるいは安定していることである。本明細書に記載の添加剤パッケージはまた、高濃度の摩擦調整剤成分をギア液に加えることを可能にする。このような添加剤パッケージは、車のギア、工業用のギア、ステーショナリーギア、後ろ車軸、滑り制限差動装置、従来型ディファレンシャル、および/または自動変速および手動変速を含むが、これらに限定されることのない、多岐にわたるギアおよび/またはトランスミッションへの使用に特に適している。さらに、このような添加剤パッケージは、マルチプレートディファレンシャル、コーンクラッチディファレンシャル、トルセンディファレンシャル、および/またはドッグクラッチディファレンシャルでの使用に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本明細書中で使用される「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」という用語は、当技術分野に精通した技術者に周知の通常の意味で使用されている。具体的には、これらは分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し、また主に炭化水素の特性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には以下のものが含まれる:
(1)炭化水素置換基、すなわち脂肪族(例えばアルキルまたはアルケニル)置換基、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、また芳香族、脂肪族、および脂環基によって置換された芳香族置換基、また環が分子の別の部分によって完成されている(例えば二つの置換基が一緒になって脂環式ラジカルを形成している)ような環状置換基;
(2)置換された炭化水素置換基、すなわち、本発明の状況下で、主に炭化水素である置換基を変化させないような、非炭化水素基(例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を含んだ置換基;
(3)ヘテロ置換基、すなわち、主に炭化水素の特性を有しながら、主に本発明の状況下で、そうでなければ炭素原子から成る環または鎖の中に炭素以外の原子を含んでいるような置換基。ヘテロ原子には硫黄、酸素、および窒素があり、またピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基が含まれる。ヒドロカルビル基中、炭素原子10個毎に通常二つ以下、例えば一つ以下の非炭化水素置換基が存在する。一般的にはヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0026】
本明細書に記載の例示的な実施例において、ギア液添加剤には、基油成分およびホスホン酸のエステルや油溶性リン酸誘導体のアミン塩などを含む摩擦調整剤組成物が含まれる。ホスホン酸のエステルは以下の一般的な化学式で表される:
【0027】
【化7】

【0028】
式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、RおよびRは独立してHおよび炭素数が約1から約8であるヒドロカルビル基の中から選択される。
【0029】
さらに具体的には、ホスホン酸のエステルには、ホスホン酸の完全なあるいは部分的なモノエステルおよびホスホン酸のジエステルが含まれる。ホスホン酸のジエステルは、上記の化学式(I)であらわされ、式中RおよびRは独立して炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基である。ホスホン酸のモノエステルは以下の化学式で表される:
【0030】
【化8】

【0031】
式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、Rは水素、および炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基のなかから選択されたものである。上記の化学式(I)および(II)において、RおよびRは同一のヒドロカルビル基、またRはRと同一のヒドロカルビル基である。従って、化学式(II)のモノエステルは、その開示が参照することにより本明細書に組み込まれている、米国特許公報2004/0230068 A1に開示された工程に基づいたジエステルの加水分解により、化学式(I)のジエステルから得られる。化学式(II)のモノエステルは、完全にあるいは部分的に加水分解されたエステルである。
【0032】
モノエステルがジエステルから得られたものであれ、別々に作られたものであれ、添加剤濃縮物中のモノエステルとジエステルの総量は、通常濃縮物の総重量の約2重量%から約6重量%である。また、添加剤濃縮物中で使用されるモノエステルに対するジエステルの比率は、基油成分中でのエステルの安定性を延長するように選択される。通常、添加剤濃縮物中のジエステルの溶解度を維持することは困難である。しかしながら、モノエステルに対するジエステルの比率を約3から約5.5としてモノエステルとジエステルを組み合わせることにより、ジエステルの濃度が4重量%以上である場合でさえも、添加剤パッケージ中のジエステルの延長された安定性が大幅に上昇される。
【0033】
ホスホン酸のモノエステルの例としては、ヘキサンホスホン酸、オクタンホスホン酸、ドデカンホスホン酸、テトラデカンホスホン酸、ヘキサデカンホスホン酸、ペンタデカンホスホン酸、2−メチルペンタンホスホン酸、トリメチルペンタンホスホン酸、オクタデカンホスホン酸、エタンホスホン酸、プロパンホスホン酸、2−メチルプロパンホスホン酸、ヘキサンホスホン酸、n−ヘプチルエステル、オクタンホスホン酸2−エチルヘキシルエステル、ドデカンホスホン酸エチルエステル、テトラデカンホスホン酸メチルエステル、ヘキサデカンホスホン酸ブチルエステル、ペンタデカンホスホン酸メチルエステル、2−メチルペンタンホスホン酸エチルエステル、ヘキサンホスホン酸4−メチルペンチル−(2)−エステル、2,4,4,−トリメチルペンタンホスホン酸エチルエステル、オクタデカンホスホン酸イソプロピルエステル、エタンホスホン酸メチルエステル、エタンホスホン酸エチルエステル、エタンホスホン酸イソブチルエステル、プロパンホスホン酸エチルエステル、および2−メチルプロパンホスホン酸イソブチルエステルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。モノエステルの全酸価(TAN)は通常約100から約200である。
【0034】
ホスホン酸のジエステルの例には、ヘキサンホスホン酸ジn−ヘプチルエステル、オクタンホスホン酸ジ2−エチルヘキシルエステル、ドデカンホスホン酸ジエチルエステル、テトラデカンホスホン酸ジメチルエステル、ヘキサデカンホスホン酸ジブチルエステル、ペンタデカンホスホン酸ジメチルエステル、2−メチルペンタンホスホン酸ジエチルエステル、ヘキサンホスホン酸ジ4−メチルペンチル−(2)−エステル、2,4,4,−トリメチルペンタンホスホン酸ジエチルエステル、オクタデカンホスホン酸ジイソプロピルエステル、エタンホスホン酸ジメチルエステル、エタンホスホン酸ジエチルエステル、エタンホスホン酸ジイソブチルエステル、プロパンホスホン酸ジエチルエステル、および2−メチルプロパンホスホン酸ジイソブチルエステルなどが含まれるが、これらに限定はされない。ホスホン酸エステルの生成方法は、例えば、シレス等による米国特許第2,72
4,718号、およびクレイナーらによる米国特許第3,812,222号に記載されている。ジエステルの全酸価(TAN)は通常約15以下である。
【0035】
摩擦調整剤組成物の別の成分はリン酸の一部エステルのアミン塩の中から選択される。このような化合物は以下の化学式で表される:
【0036】
【化9】

【0037】
式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、またRは水素あるいはヒドロカルビル基である。
【0038】
リン酸の一部エステルのアミン塩の例示的な例には、これらに限定されることはないが、以下のものが含まれる:
ブチルリン酸のオクタデシルアミン塩
イソブチルリン酸のオクタデシルアミン塩
アミルリン酸のオクタデシルアミン塩
ヘキシルリン酸のオクタデシルアミン塩
ヘプチルリン酸のオクタデシルアミン塩
2−エチルヘキシルリン酸のオクタデシルアミン塩
オクチルリン酸のオクタデシルアミン塩
ノニルリン酸のオクタデシルアミン塩
デシルリン酸のオクタデシルアミン塩
ドデシルリン酸のオクタデシルアミン塩
トリデシルリン酸のオクタデシルアミン塩
テトラデシルリン酸のオクタデシルアミン塩
ヘキサデシルリン酸のオクタデシルアミン塩
オクタデシルリン酸のオクタデシルアミン塩
オレイルリン酸のオクタデシルアミン塩
ベンジルリン酸のオクタデシルアミン塩
シクロヘキシルリン酸のオクタデシルアミン塩
p−トリルリン酸のオクタデシルアミン塩
キシリルリン酸のオクタデシルアミン塩
【0039】
オクタデシルアミン塩またはその付加化合物は、単に例示を目的として上述の二つのリストに示されている。オクタデシルアミン塩の代わりに、あるいはそれらに加えて、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、シクロヘキシルアミン、フェニルアミン、メシチルアミン、オレイルアミン、ココアミン、ソイアミン、Cの3級アルキル1級アミン、C12−14の3級アルキル1級アミン、C22−24の3級アルキル1級アミン、フェネチルアミン等の部分的にエステル化されたリン酸の塩あるいは付加化合物を、このようないずれかの化合物の混合物を含んで使用することもできる。一般的に言って、好適なアミン塩は、脂肪族アミン、特にn−オクタデシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、t−オクチルアミン、n−デシルアミン、C10、C12、C14およびC16の3級アルキル1級アミン(単一あるいはC12およびC14の3級アルキル1級アミンのような任意の組み合わせ)の混合物、n−ウンデシルアミン、C14からC18の3級アルキル1級アミンの混合物、ラウリルアミン、ヘキ
サデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、C22およびC24の3級アルキル1級アミン(単一あるいは組み合わせ)、デセニルアミン、ドデセニルアミン、パルミトレイルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、エイコセニルアミン等のような、飽和あるいはオレフィン不飽和の脂肪族1級アミンの塩である。2級ヒドロカルビルアミンおよび3級ヒドロカルビルアミンもまた、単一あるいはそれらの組み合わせ、または1級アミンとの組み合わせで使用することができる。従って、モノアミンであれポリアミンであれ、1級、2級、および/または3級アミンの任意の組み合わせを、塩あるいは付加化合物の形成に使用することができる。
【0040】
同様に、使用されるアミンは、ポリアルキレンポリアミン;ジエチレントリアミンのポリイソブテニルコハク酸イミド、トリエチレンテトラアミンのポリイソブテニルコハク酸イミド、テトラエチレンペンタアミンのポリイソブテニルコハク酸イミド、ペンタエチレンヘキサアミンのポリイソブテニルコハク酸イミド(直鎖、分岐鎖、および環状などの種類を含んだ市販のポリエチレンポリアミン混合物から作られたコハク酸イミドを含む)などのようなポリアルキレンポリアミンのコハク酸イミドまたはコハク酸アミドなどの、機能的に置換されたポリアミン;また上述の種類のポリアルキレンポリアミンから得られたマンニッヒ塩基などの形態でありえる。また、ホウ酸化(boronated)アミンまたはリン酸化アミンまたはアシル化アミン、あるいはアミン部分に、部分的にエステル化されたリン酸で塩を形成するために少なくとも十分なだけの残留塩基性が含まれる場合は、ポリアルキレンポリアミンが自由状態であってもコハク酸イミドやコハク酸アミド、あるいはマンニッヒ塩基の形態であっても、ポリアルキレンポリアミンを部分的にホウ酸化、あるいは部分的にリン酸化、または部分的に無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、チオマレイン酸、フマル酸などのような試薬でアシル化することができる。ホウ酸化およびリン酸化されたコハク酸イミド、コハク酸アミド、あるいはマンニッヒ塩基の形態のアルキレンポリアミンについては、例えば米国特許第4,857,214号に記載されている。
【0041】
1級アミンを使用することが好適である。その他の好適なアミンに、分子中の炭素数が約8から約24であるアルキルモノアミンおよびアルケニルモノアミンがある。
【0042】
結果として得られるアミン塩が油溶性であるならば、メチルアミンなどを含む、炭素数が8未満のアミンを使用することもできる。同様に、結果として得られるアミン塩が油溶性であるならば、炭素数が24より大のアミンを使用することもできる。
【0043】
このようなアミン塩の調整方法は周知のものであり、文献に発表されている。例えば、米国特許第2,063,629号、2,224,695号、2,447,288号、2,616,905号、3,984,448号、4,431,552号、および国際出願公報WO 87/07638号などを参照されたい。
【0044】
摩擦調整剤組成物中におけるリン酸の部分エステルのアミン塩の好適な量は、添加剤組成物の総重量の約20重量%から約40重量%、別の例では約25重量%から約35重量%、またさらに別の例では28重量%から約32重量%である。
【0045】
合成調合剤
ある実施例では、基油成分は合成調合剤を含み得る。前述の摩擦調整剤組成物用の合成調合剤は、例えばアルキル化ナフタレンなどのアルキル化芳香族化合物を含み得る。アルキル化ナフタレンは、当技術分野で周知の任意の適切な方法により、ナフタレン、あるいはメチルエチルまたはプロピルなどのような炭素数が8以下の一つ以上の短鎖アルキル基を含有する、アルキル置換のナフタレンから生成される。好適なアルキル置換のナフタレンには、アルファメチルナフタレン、ジメチルナフタレン、およびエチルナフタレンが含
まれる。しかしながら、置換されていないナフタレンのアルキル化により、より高度なアルキル化物質よりも優れた熱安定性、および酸化安定性が得られる。
【0046】
アルキル化ナフタレンの簡便な生成方法は、完全なものとして引用により本明細書に包含された米国特許第5,034,563号に、「ナフタレンのアルキル化工程」と題して記載されている。その方法に簡潔に基づき、長鎖のアルキル置換のナフタレンは、少なくとも2.5オングストロームの半径を有する陽イオンを含有したゼオライトを含むアルキル化触媒の存在下で、炭素数が少なくとも6、または10から30、または12から20のアルファオレフィンなどのようなオレフィン、またはアルコール、あるいはアルキルハロゲン化物などのようなその他のアルキル化剤によるナフタレンのアルキル化によって生成される。このサイズの陽イオンは、水和されたアンモニウム陽イオン、ナトリウム陽イオン、またはカリウム陽イオンなどの水和陽イオン、あるいはテトラアルキルアンモニウム陽イオンのような有機アンモニウム陽イオンから得られる。ゼオライトは通常、孔のサイズの大きいゼオライトUSYである。ゼオライト中の大きな陽イオンの存在は、より高度に置換された生成物よりも、長鎖モノアルキル置換のナフタレンの生成の触媒の選択性を高める。
【0047】
摩擦調整剤組成物中の合成調合剤の量は、添加剤の約50重量%から約80重量%である。
【0048】
基油
本開示に基づいたギア添加剤または流体組成物の調合での使用に適した基油は、合成油、天然油、あるいはそれらの混合物のいずれかから選択される。天然油には、動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油など)、また液体石油のような鉱油系潤滑油や、パラフィン系、ナフテン系、またはパラフィン・ナフテン系の、溶媒処理または酸処理された鉱油系潤滑油などが含まれる。石炭あるいは頁岩から得られたオイルもまた好適である。基油の粘度は、一般的に100℃で約2cStから約15cSt、あるいは別の例では約2cStから約10cStである。
【0049】
合成基油には、ジカルボン酸のアルキルエステル、ポリグリコールおよびアルコール、ポリブテンを含むポリアルファオレフィン、アルキルベンゼン、リン酸の有機エステル、およびポリシリコーン油が含まれる。合成油としては、ポリマー化またはインターポリマー化されたオレフィン(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン・イソブチレンコポリマーなど);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ−(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)など、およびそれらの混合物;アルキルベンゼン(例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ−ノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなど);アルキル化ジフェニルエーテル、アルキル化ジフェニルスルフィド、およびそれらの誘導体、類似体、および同属体等のような、炭化水素油が挙げられる。
【0050】
アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドインターポリマー、およびそれらの誘導体は、エステル化、エーテル化などによってその末端ヒドロキシル基が修飾されている場合、使用される別の種類の良く知られている合成油を構成する。このようなオイルは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合によって調整されるオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテルおよびアリールエーテル(例えば、平均分子量が約1000のメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量が約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル分子量が約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)、あるいはそれらのモノカルボン酸エステルまたはポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、C3−8の混合脂肪酸エステル、またはテトラエチレングリコールのC13のオキソ酸ジエステルなどのオイルによって例証される。
【0051】
別の種類の使用可能な合成油には、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノレイン酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)と、各種アルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルが含まれる。これらのエステルの具体例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノレイン酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2−エチルヘキサン酸等とを反応させることによって形成される複合エステルなどが含まれる。
【0052】
合成油として有用なエステルにはまた、CからC12のモノカルボン酸と、ポリオール、およびネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのようなポリオールエーテルから作られたものが含まれる。
【0053】
さらに、ガス・ツー・リキッド工程により得られたオイルもまた好適である。
【0054】
したがって、本明細書の記載に沿ってギア液組成物を作るために使用される基油は、米国石油協会(API)の基油互換性規定に規定されている、グループI−Vの基油のいずれかの中から選択される。当該の基油グループは以下の通りである:
【0055】
【表1】

【0056】
ホスホン酸のエステル、リン酸の一部エステルのアミン塩、および基油成分を含有した前述の添加剤組成物は、ギア液用のトップトリート組成物として提供される。添加剤組成物あるいはトップトリート組成物は、ギア液の総重量に対し約3重量%から約10重量%の量でギア液に加えられる。
【0057】
このような添加剤あるいはトップトリート組成物によって機能強化されるギア液には、通常多量の基油と少量の添加剤組成物が含まれる。当該添加剤組成物には、例えば、無灰分散剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、耐磨耗剤、金属不活性剤、消泡剤、流動点降下剤、清浄剤、金属性清浄剤、および/またはシール膨張剤が含まれる。
【0058】
本明細書に記載の流体組成物の調合に使用される添加剤は、個々にあるいはさまざまな組み合わせで基油中に混ぜ合わされる。また、添加剤濃縮物(すなわち添加剤プラス炭化水素溶媒のような希釈剤)を使用して、すべての成分を一度に混ぜ合わせることも好適で
ある。添加剤濃縮物の使用により、添加剤濃縮物の形態にある場合に含有物の組み合わせによって得られる相互の適合性が活用される。また、濃縮物の使用により、混合時間が縮小され、また混合エラーの危険性が低下される。
【0059】
本明細書に開示されたギア液には、車のギア、工業用のギア、ステーショナリーギア、後ろ車軸、滑り制限差動装置、従来型ディファレンシャル、および/または自動変速および手動変速を含むがこれらに限定されることのない、多岐にわたるギアおよび/またはトランスミッションへの使用に適した流体が含まれる。さらにこのような添加剤パッケージは、マルチプレートディファレンシャル、コーンクラッチディファレンシャル、トルセンディファレンシャル、および/またはドッグクラッチディファレンシャルなどでの使用にも適している。
【0060】
上述のようなギア液用のトップトリート添加剤として有用な例示的な組成物には、添加剤組成物中の重量パーセントで示された量の以下の成分が含有される:
【0061】
【表2】

【0062】
前述の添加剤あるいはトップトリート組成物は、流体の特性を向上させるため、約3重量%から約10重量%の量でギア液に加えられる。非合成基油、合成基油、および非合成基油と合成基油の組み合わせを含有した従来のギア液中での、前述の添加剤あるいはトップトリート液の摩擦耐久性試験では、SAE #2テスト装置での24時間耐久性試験の後、スリップ速度の増加に伴い、摩擦係数の増加が示された。
【0063】
二つの従来型のトップトリート添加剤(曲線BおよびC)と上述の例示的な組成に基づいたトップトリート添加剤(曲線D)の比較を図1にグラフで示す。各トップトリート添加剤を、SAE #2テスト装置を使用し100rpmで圧力450キロパスカルを加えた24時間耐久性試験にかけられた従来型のギア液に加えた。トップトリート添加剤B、C、またはDを含有したギア液の、回転速度100rpmでの摩擦係数(曲線A)を図1に表す。本開示に基づいたトップトリート添加剤を含有する流体の摩擦係数の曲線である曲線Dが、耐久性試験の間の摩擦係数の上昇を示したのに対し、従来型のトップトリート添加剤を含有した流体(曲線BおよびC)は、テストサイクル中に摩擦係数の低下を示した。従って、本開示に基づいたトップトリート添加剤は、従来型のトップトリート添加剤よりも、長時間にわたって著しく性能が優れていると考えられる。
【0064】
当明細書の全体を通した多くの箇所で、多数の米国特許が参照されている。このような引用文献は、すべて完全に説明されたものとして本開示に明白に組み込まれている。
【0065】
本発明のその他の実施例は、本明細書を検討することおよび本明細書に開示された発明を実施することにより、当技術分野に精通した技術者には明白なものである。本明細書および請求項の英文を通して使用されている、「a」および/または「an」などの単語は、一つあるいはそれ以上のものを意味することがある。別段の記載がない限り、成分の量や本明細書および請求項で使用されている分子量、パーセント、比率、反応条件、その他のような特性を表すすべての数値は、あらゆる場合において「約」という言葉で修飾されているものとして理解される。従って、それに反する指定がない限り、明細書および請求項で示されている数値パラメータは、本発明によって得ようとされている希望の特性によって変化し得る近似値である。少なくとも、また本請求項の範囲に対応する原理の適応を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも使用された有効数字の数と通常の四捨五入の使用を考慮に入れて解釈されるべきものである。本発明の広い範囲を説明する数値の範囲およびパラメータは近似値ではあるが、特定な例において示される数値はできる限り正確に記録されている。しかしながら、いかなる数値にも、それぞれの試験測定に見られる標準偏差の結果必然的に生じる若干のエラーが本質的に含まれる。本明細書および例は、例示のみを意図したものであり、本発明の真の範囲および精神は以下の請求項に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
例示的実施例のさらなる利点は、詳細な説明を図面を参照し、あわせて考慮することにより明らかになる。
【図1】図1はSAE #2テスト装置での摩擦耐久性試験中の、ギア液中のトップトリート組成物を比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基油成分;ならびに
(b)摩擦調整剤:
(i)少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸ジエステル:
【化1】

式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、RおよびRは独立して炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基から選択されたものであり;
(ii)少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸モノエステル:
【化2】

式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、Rは水素、および炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基のなかから選択されたものであり;および
(iii)少なくとも一つの以下の化学式で表されるリン酸の部分エステルのアミン塩:
【化3】

式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、またRは水素あるいはヒドロカルビル基であり、このとき、(i)の(ii)に対する比率は約3から約5.5である、
を包含する摩擦調整剤混合物;
を含むギア添加剤組成物。
【請求項2】
基油成分がアルキル化ナフタレン調合剤を含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
基油成分がモノアルキル化ナフタレンを含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
アルキルホスホン酸ジエステルが、ジメチルオクタデシルホスホネート、ジメチルオクタデセニルホスホネート、ジエチル−2−エチルデシルホスホネート、エチルプロピル−1−ブチルヘキサデシルホスホネート、メチルエチルオクタデシルホスホネート、メチルブチルエイコシルホスホネート、ジメチルヘキサトリアコンチルホスホネートから成るグループの中から選択されたものである、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
アルキルホスホン酸モノエステルがアルキルホスホン酸ジエステルに由来するものである、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項6】
アミン塩が2−エチルヘキシル酸性ホスフェートに由来するものである、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項7】
アミン塩がオレイルアミンに由来するものである、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項8】
約1重量%から約10重量%のホスホン酸のモノエステルおよびジエステルを含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項9】
約10重量%から約30重量%のリン酸のアミン塩を含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項10】
約50重量%から約70重量%の基油成分を含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項11】
さらに酸化防止剤、耐磨耗剤、消泡剤、および粘度指数向上剤を含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項12】
有効量の請求項1に記載の添加剤組成物を含有したギア液。
【請求項13】
ギア液が約3重量%から約6重量%の添加剤組成物を含む、請求項12に記載のギア液
【請求項14】
請求項1に記載の添加剤組成物を含有した車軸。
【請求項15】
車軸が滑り制限差動装置を含む、請求項14に記載の車軸。
【請求項16】
添加剤組成物が滑り制限車軸にトップトリート液として適用されている、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項17】
以下の化学式で表される少なくとも一つのアルキルホスホン酸ジエステルと
【化4】

以下の化学式で表される少なくとも一つのアルキルホスホン酸モノエステルと
【化5】

以下の化学式で表される少なくとも一つのリン酸の部分エステルのアミン塩
【化6】

式中、RおよびRは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基から選択されたものであり、R、RおよびRは独立して水素、および炭素数が約1から約8のヒドロカ
ルビル基のなかから選択されたものであり;また式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、またRは水素あるいはヒドロカルビル基であり、このとき、上述の成分は実質的にすべてのアルキルホスホン酸モノエステルと、ジエステルを溶解するのに十分な量の基油成分中に混ぜ合わされており、またアルキルホスホン酸のモノエステルに対するジエステルの比率は約3から約5.5である、
とを混合させることを含む摩擦調整剤パッケージ中の一つ以上の摩擦調整剤成分の溶解度を向上させる方法。
【請求項18】
基油成分がアルキル化ナフタレン調合剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
基油成分がモノアルキル化ナフタレンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
アルキルホスホン酸ジエステルが、ジメチルオクタデシルホスホネート、ジメチルオクタデセニルホスホネート、ジエチル−2−エチルデシルホスホネート、エチルプロピル−1−ブチルヘキサデシルホスホネート、メチルエチルオクタデシルホスホネート、メチルブチルエイコシルホスホネート、およびジメチルヘキサトリアコンチルホスホネートから成るグループの中から選択されている、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
アミン塩が2−エチルヘキシル酸性ホスフェートに由来するものである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
アミン塩がオレイルアミンに由来するものである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
基油成分中に、約1重量%から約10重量%のアルキルホスホン酸ジエステル、約0.5重量%から約1.5重量%のアルキルホスホン酸モノエステルおよび約10重量%から約30重量%のリン酸の部分エステルのアミン塩とを混合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
約50重量%から約70重量%の基油成分と、アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエステルおよびリン酸の部分エステルのアミン塩とを混ぜ合わせることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法で作られたトップトリート添加剤パッケージ。
【請求項26】
基油成分と、
(i)少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸ジエステル:
【化7】

式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、RおよびRは独立して炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基から選択されたものであり;
(ii)少なくとも一つの以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸モノエステル:
【化8】

式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、Rは水素、および炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基のなかから選択されたものであり;および
(iii)少なくとも一つの以下の化学式で表されるリン酸の一部エステルのアミン塩:
【化9】

式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、またRは水素あるいはヒドロカルビル基であり、このとき、(i)の(ii)に対する比率は約3から約5.5である、
を含む摩擦調整剤混合物
を含む添加剤パッケージをギア液に加えることを含む、ギア液の摩擦性能を向上させる方法。
【請求項27】
添加剤パッケージが滑り制限差動装置における使用に適している、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ギア液が、ギア液の総重量を基にして約0.03重量%から約0.5重量%のアルキルホスホン酸ジエステルを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ギア液に添加される添加剤パッケージの量がギア液の総重量に対して約1重量%から約10重量%である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸ジエステルを準備すること:
【化10】

式中Rは炭素数が約8から約24のヒドロカルビル基であり、RおよびRは独立して炭素数が約1から約8のヒドロカルビル基から選択されたものである;
以下の化学式で表されるアルキルホスホン酸モノエステルを準備すること:
【化11】

式中RはRと同一であり、またRはRと同一のものである;そして
基油中で、ジエステル約3から約5.5部とモノエステル約1部とを組み合わせることを含む、基油中のギア添加剤成分の溶解度を向上させる方法。
【請求項31】
さらに、少なくとも一つの以下の化学式
【化12】

式中RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、またRは水素あるいはヒドロカルビル基である、
で表されるリン酸の部分エステルのアミン塩を基油成分に加えてギア添加剤組成物を提供することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ギア添加剤組成物が約5重量%から約20重量%のアミン塩を含んで成る、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−291357(P2007−291357A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−75420(P2007−75420)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】