説明

ギヤ機構および画像形成装置

【課題】装置コストの高騰を抑えつつ回転目標を安定した状態で回転させることができ、かつ、ギヤ歯を破損し難くすることができるギヤ機構およびこのギヤ機構が採用された画像形成装置を提供する。
【解決手段】ギヤ機構1は、駆動モータMの駆動により駆動回転する駆動ギヤ2と、この駆動ギヤ2に噛合する同一歯数の一対のアイドルギヤ3と、これら一対のアイドルギヤ3に噛合して回転を目標物5に伝達する1つの目標ギヤ4とを備えて構成されている。各アイドルギヤ3の歯数は、駆動ギヤ2の歯数の整数倍に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置への適用が好適なギヤ機構およびこのギヤ機構が適用された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような、カラー印刷用の画像形成装置に適用されたギヤ機構が知られている。このギヤ機構は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるべく並設された回転目標物である複数の感光体ドラムをドラム心回りに回転させるためのものであり、駆動モータと、各感光体ドラムとの間に介設されている。
【0003】
感光体ドラムは、イエロートナー用、マゼンタトナー用、シアントナー用およびブラックトナー用の4つが採用されている。
【0004】
そして、ブラックトナー用の感光体ドラムについては、専用の1台の駆動モータが採用され、この駆動モータの駆動力がブラック用の駆動ギヤおよびブラック用ドラムギヤを介してブラック用ドラムに伝達されるようになされており、ギヤ機構としては非常に単純である。
【0005】
これに対し、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用の感光体ドラムについては、これらに1台の駆動モータの駆動力を伝達するためのギヤ機構が採用されている。かかるギヤ機構は、駆動モータの駆動軸に同心で一体回転可能に外嵌された駆動ギヤと、この駆動ギヤに噛合するイエロードラムと同心で一体回転可能なイエローギヤおよび同マゼンタギヤと、このマゼンタギヤおよびシアンギヤに噛合するアイドルギヤとを備えて構成されている。
【0006】
このようなギヤ機構によれば、駆動モータの駆動力は、駆動ギヤを介してシアンギヤおよびマゼンタギヤに同時に伝達され、シアンギヤにはマゼンタギヤの回転がアイドルギヤを介して伝達される。従って、駆動モータが駆動すると、イエロードラム、マゼンタドラムおよびシアンドラムが一斉に回転することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−264525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載のイエロードラム、マゼンタドラムおよびシアンドラムを対象としたギヤ機構にあっては、イエローギヤおよびマゼンタギヤは、直前の駆動源である駆動ギヤのみから駆動力が伝達されているとともに、シアンギヤは、直前の駆動源であるアイドルギヤのみから駆動力が伝達されている。
【0009】
すなわち、1つの駆動モータで3つの感光体ドラムを回転させなければならないためトルクが非常に大きくなっているばかりか、各色の感光体ドラム用のギヤは、駆動力がいずれも1つの直前のギヤからのみ伝達されているため、安定した回転の伝達が困難になるばかりか、各ギヤの歯には大きな力が加わることから、この高負荷によってギヤー歯が破損し易く、結果として装置寿命の点で問題点を有している。
【0010】
かかる問題点を解消するためには、各ギヤの径寸法や歯幅を大きくすることが考えられるが、このようにすると、部品コストが高騰するばかりか、装置の大型化につながるという新たな問題点が提起される。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであって、装置コストの高騰を抑えつつ回転目標を安定した状態で回転させることができ、かつ、ギヤ歯を破損し難くすることができるギヤ機構およびこのギヤ機構が採用された画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明(ギヤ機構)は、画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な複数の像担持体と、前記各像担持体にそれぞれ対応して配設され、各色のトナーを対応した各像担持体に供給してトナー像を形成させる現像ローラをそれぞれ備えた複数の現像装置と、転写処理後の各像担持体の周面に残留した残留トナーを取り除いて清浄化処理するクリーニングローラをそれぞれ備えたクリーニング装置と、動モータの駆動により駆動回転する駆動ギヤと、前記駆動ギヤに噛合する複数のアイドルギヤと、前記複数のアイドルギヤに噛合して回転を目標物に伝達する1つの目標ギヤとが備えられ、前記駆動ギヤ、前記アイドルギヤおよび前記目標ギヤが、前記目標物としての前記各像担持体、前記各現像ローラおよび前記各クリーニングローラの内のいずれかの回転のために適用されていることを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成によれば、目標物として各像担持体、前記各現像ローラおよび前記各クリーニングローラの内のいずれかに回転を伝達する目標ギヤは、駆動ギヤに噛合した複数のアイドルギヤに噛合しているため、アイドルギヤと目標ギヤとの間で単に1個所のみが噛合されている場合に比較し、目標ギヤおよびアイドルギヤは互いに相手方から加わる負荷がそれぞれ軽減される。従って、ギヤ歯の破損が防止されるとともに、目標ギヤひいては目標物の安定した回転が確保される。
【0014】
請求項2記載の発明(ギヤ機構)は、画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な複数の像担持体と、前記各像担持体にそれぞれ対応して配設され、各色のトナーを対応した各像担持体に供給してトナー像を形成させる現像ローラをそれぞれ備えた複数の現像装置と、転写処理後の各像担持体の周面に残留した残留トナーを取り除いて清浄化処理するクリーニングローラをそれぞれ備えたクリーニング装置と、駆動モータの駆動により駆動回転する駆動ギヤと、前記駆動ギヤに噛合する奇数対のアイドルギヤと、前記各対のアイドルギヤに噛合して回転をアイドルギヤの対の数と同一の個数の目標物に伝達する目的物と同数の目標ギヤとが備えられ、前記駆動ギヤ、前記アイドルギヤおよび前記目標ギヤが、前記目標物としての前記各像担持体、前記各現像ローラおよび前記各クリーニングローラの内のいずれかの回転のために適用されていることを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成によれば、並設された複数の目標物(具体的には複数の像担持体、複数の現像ローラまたは複数のクリーニングローラ)にそれぞれ対応した複数の目標ギヤに対してそれぞれ一対のアイドルギヤが噛合されているため、各目標ギヤは、それぞれ駆動ギヤから安定した状態で回転が伝達される。
【0016】
そして、奇数対のアイドルギヤが採用されているため、中央部の一対のアイドルギヤに1つの駆動ギヤを噛合させ、他の各一対のアイドルギヤには逐一所定のギヤを介して回転を伝達していくようにすれば、奇数対のアイドルギヤは、1つの駆動ギヤに対して左右対称にすることができるため、各アイドルギヤへのバランスのよい駆動力の伝達を実現することができる。
【0017】
請求項3記載の発明(ギヤ機構)は、請求項2記載の発明において、前記奇数対のアイドルギヤは、中央部の一対のアイドルギヤを基準として左右対称に配設されていることを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成によれば、奇数対のアイドルギヤが左右対称に配設されることにより、基準となる中央部の一対のアイドルギヤから左右の各対のアイドルギヤへ伝達される回転力が左右でバランスして均等になるため、バラツキのない回転力の伝達が行われ、結果として各目標物は全体的にムラなく円滑に回転する。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明(ギヤ機構)において、前記各アイドルギヤの歯数は、前記駆動ギヤの歯数の整数倍に設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
かかる構成によれば、駆動ギヤの各歯が噛合するアイドルギヤの歯列を常に同一にすることができるため(すなわち、各歯列において常に同じ歯同士が噛み合うため)、駆動ギヤの各歯が噛合するアイドルギヤの歯列が回転に応じて変化する場合に比較し、駆動ギヤの駆動力がより安定した状態でアイドルギヤに伝達される。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記各アイドルギヤは、それぞれ歯数が同数に設定されていることを特徴とするものである。
【0022】
かかる構成によれば、各アイドルギヤを同じ金型で製造することができ、各アイドルギヤ間で互換性を確保しつつ、ギヤ機構の製造コストの低減化に貢献することができる。また、駆動ギヤに噛合している各アイドルギヤの同じ歯が当該駆動ギヤに常に噛合するため、各アイドルギヤの位相を合わせることができ、結果として目標ギヤがムラなく安定した状態で回転する。
【0023】
請求項6記載の発明(画像形成装置)は、画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な目標物としての複数の像担持体が備えられ、前記像担持体は、マゼンタトナーが使用されるマゼンタ用像担持体、シアントナーが使用されるシアン用像担持体およびイエロートナーが使用されるイエロー用像担持の3種類が採用され、請求項1乃至5のいずれかに記載のギヤ機構が前記各像担持体に適用されていることを特徴とするものである。
【0024】
かかる構成によれば、マゼンタ用、シアン用およびイエロー用の3つのギヤ機構は、請求項1乃至5のいずれかに記載のギヤ機構が前記各像担持体に適用されているため、これらのギヤ機構の作用効果を享受し得るものになり、結果として各像担持体へバラツキのない回転力の伝達が行われ、マゼンタ用、シアン用およびイエロー用の各像担持対は全体的にムラなく円滑に回転する。
【0025】
請求項7記載の発明(画像形成装置)は、画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な目標物としての複数の像担持体が備えられ、前記像担持体は、マゼンタトナーが使用されるマゼンタ用像担持体、シアントナーが使用されるシアン用像担持体、イエロートナーが使用されるイエロー用像担持およびブラックトナーが使用されるブラック用像担持体の4種類が採用され、請求項1乃至5のいずれかに記載のギヤ機構が前記各像担持体に適用されていることを特徴とするものである。
【0026】
かかる構成によれば、マゼンタ用、シアン用、イエロー用およびブラック用の3つのギヤ機構は、請求項1乃至5のいずれかに記載のギヤ機構が前記各像担持体に適用されているため、これらのギヤ機構の作用効果を享受し得るものになり、結果として各像担持体へバラツキのない回転力の伝達が行われ、マゼンタ用、シアン用、イエロー用およびブラック用の各像担持対は全体的にムラなく円滑に回転する。
【0027】
請求項8記載の発明(画像形成装置)は、画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な複数の像担持体が備えられ、前記像担持体は、マゼンタトナーが使用されるマゼンタ用像担持体、シアントナーが使用されるシアン用像担持体、イエロートナーが使用されるイエロー用像担持体およびブラックトナーが使用されるブラック用像担持体の4種類が採用され、前記ブラック用像担持体には、請求項1記載のギヤ機構が適用され、前記マゼンタ用像担持体、シアン用像担持体およびイエロー用像担持体には、請求項2記載のギヤ機構が適用され、前記マゼンタ用像担持体、シアン用像担持体およびイエロー用像担持体に適用される前記各一対のアイドルギヤは、中央部に配置されたものを基準にして左右対称に配置されていることを特徴とするものである。
【0028】
かかる構成によれば、画像のムラが目立ち易いブラックトナーが使用されるブラック用像担持体は、専用の請求項1記載のギヤ機構によって回転されるため、請求項2の共用のギヤ機構が適用されたマゼンタ用、シアン用およびイエロー用像担持体に比べてより高精度で均一に回転する。結果として画像形成処理により得られたカラー画像は、より鮮明でかつムラのない適正なものになる。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明(ギヤ機構)によれば、目標物に回転を伝達する目標ギヤは、駆動ギヤに噛合した複数のアイドルギヤに噛合している。従って、従来のように、アイドルギヤと目標ギヤとの間で単に1個所のみが噛合されている場合に比較し、目標ギヤおよびアイドルギヤは互いに相手方から加わる負荷がそれぞれ軽減されるため、ギヤ歯の破損を防止することができ、結果としてギヤ機構の寿命を延ばすことができる。
【0030】
また、目標ギヤが複数のアイドルギヤに噛合されていることにより、目標物は、当該ギヤ機構を介して安定した状態で回転することができる。
【0031】
請求項2の発明(ギヤ機構)によれば、請求項1の発明と比較して複数のアイドルギヤに噛合する目標ギヤが複数になっているだけで、本質部分は、請求項1の発明と同一構成であり、複数の目標ギヤおよび当該各目標ギヤのそれぞれに噛合している各複数のアイドルギヤに関し請求項1の発明と同一の作用効果を奏することができるとともに、各目標物は、当該各ギヤ機構を介してそれぞれ安定した状態で回転することができる。
【0032】
請求項3記載の発明(ギヤ機構)によれば、奇数対のアイドルギヤが左右対称に配設されることにより、基準となる中央部の一対のアイドルギヤから左右の各対のアイドルギヤへ伝達される回転力が左右でバランスして均等になるため、バラツキのない回転力の伝達が行われ、結果として各目標物は全体的にムラなく円滑に回転することができる。
【0033】
請求項4記載の発明(ギヤ機構)によれば、駆動ギヤの各歯が噛合するアイドルギヤの歯列を常に同一にすることができるため、駆動ギヤの駆動力をより安定した状態でアイドルギヤに伝達することができる。
【0034】
請求項5記載の発明(ギヤ機構)によれば、各アイドルギヤ間で互換性が確保されるため、ギヤ機構の製造コストの低減化に貢献することができる。
【0035】
請求項6記載の発明(画像形成装置)によれば、マゼンタ用、シアン用およびイエロー用の各像担持対は全体的にムラなく円滑に回転することができるため、当該3色に関しずれのない適正なカラー画像を形成させることができる。
【0036】
請求項7記載の発明(画像形成装置)によれば、マゼンタ用、シアン用、イエロー用およびブラック用の各像担持対は全体的にムラなく円滑に回転することができるため、当該4色に関しずれのない適正なカラー画像を形成させることができる。
【0037】
請求項8記載の発明(画像形成装置)によれば、画像のムラが目立ち易いブラックトナーが使用されるブラック用像担持体は、専用の請求項1記載のギヤ機構によって回転されるため、請求項2の共用のギヤ機構が適用されたマゼンタ用、シアン用およびイエロー用像担持体に比べてより高精度で均一に回転することができる。その結果、画像形成処理により得られたカラー画像をより鮮明でかつムラのない適正なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るギヤ機構の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。
【図3】ドラム駆動用ギヤ機構20の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図1を基に本発明に係るギヤ機構について説明する。図1は、本発明に係るギヤ機構の一実施形態を示す斜視図である。なお、図1においてX方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0040】
図1に示すように、ギヤ機構1は、駆動モータMの駆動により駆動回転する駆動ギヤ2と、この駆動ギヤ2に噛合する一対のアイドルギヤ3と、これら一対のアイドルギヤ3に噛合して回転を目標物5に伝達する1つの目標ギヤ4とを備えた基本構成を有している。
【0041】
本実施形態においては、前記駆動モータMは、前後方向に延びるように横置きで据え付けられている。かかる駆動モータMの駆動軸M1は、当該駆動モータMの前面から前方に向けて突設されている。前記駆動ギヤ2は、かかる駆動軸M1に一体回転可能に外嵌されている。
【0042】
前記一対のアイドルギヤ3は、それぞれ同一径寸法でかつ同一歯数に設定されている。かかる各アイドルギヤ3は、駆動ギヤ2より大径に設定され、駆動ギヤ2の左右においてそれぞれアイドルギヤ軸3a回りに回転可能に軸支されている。かかるアイドルギヤ3の歯数は、駆動ギヤ2の歯数の整数倍に設定されている。
【0043】
こうすることで、駆動ギヤ2の各歯が噛合するアイドルギヤ3の歯列を数種とすることができ、これによって駆動ギヤ2の任意の歯は、アイドルギヤ3の各歯列におけるそれぞれ決まった歯と常に噛み合うことになるため(具体的には、例えばアイドルギヤ3の歯数が駆動ギヤ2の歯数の3倍であった場合、駆動ギヤ2の任意の歯が噛合するアイドルギヤ3の歯は特定の3つのみとなるため)、駆動ギヤ2の各歯が噛合するアイドルギヤ3の歯列が駆動ギヤ2に歯数の整数倍とされていない場合に比較し、駆動ギヤ2の駆動力をより安定した状態でアイドルギヤ3に伝達することができる。
【0044】
前記目標ギヤ4は、一対のアイドルギヤ3の直下位置において、これら一対のアイドルギヤ3にそれぞれ噛合されている。かかる目標ギヤ4は、前後方向に延びる目標ギヤ軸4a回りに同心で一体回転可能に軸支されている。目標ギヤ軸4aは、目標ギヤ4の中心位置から前方に向かって突設され、その前端にジョイント部4bが設けられている。前記目標物5は、このジョイント部4bを介して目標ギヤ軸4aの回転が伝達される。
【0045】
本実施形態に係るこのような構成のギヤ機構1によれば、目標物5に回転を伝達する目標ギヤ4は、駆動ギヤ2に噛合した一対のアイドルギヤ3に噛合されている。従って、従来のように、アイドルギヤ3と目標ギヤ4との間において単に1個所のみで噛合されている場合に比較し、目標ギヤ4およびアイドルギヤ3は互いに相手方から受ける負荷がそれぞれ軽減されるため、ギヤ歯の破損を防止することができ、結果としてギヤ機構の寿命を延ばすことができる。
【0046】
また、目標ギヤ4が複数のアイドルギヤ3に噛合されていることにより、目標物5は、当該ギヤ機構1を介して安定した状態で回転することができる。
【0047】
以下、このようなギヤ機構1が適用された本発明に係る画像形成装置について図2を基に説明する。図2は、本発明に係る画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。なお、図2におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方)である。
【0048】
図2に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、プリンタとして使用されるものであり、箱形を呈した装置本体11と、この装置本体11の側面に対して開閉可能に付設されたカバー体19とを備えている。
【0049】
前記装置本体11には、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、この画像形成部12によって形成され、用紙Pに転写されたトナー画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部14と、画像形成部12へトナーを補給するトナー補給部15が内装されているとともに、当該装置本体11の上部に定着処理後の用紙Pが排出される用紙排出部16が形成されている。
【0050】
前記装置本体11の上面適所には、用紙Pの出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、図略の電源キーやスタートボタン、さらには出力条件を入力するための各種のキー等が設けられている。
【0051】
前記画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー画像を形成させる部分であり、本実施形態では、上流側(図2における左側)から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナー(現像剤)を用いるマゼンタ用ユニット12Mと、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット12Cと、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット12Yと、ブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット12Kとが備えられている。
【0052】
そして、前記各ユニット12M,12C,12Y,12Kには、感光体ドラム121および現像装置122がそれぞれ備えられている。感光体ドラム121は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものである。そして、各感光体ドラム121は、図2において時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置122からトナーの供給を受ける。各現像装置122には、前記トナー補給部15からトナーが補給される。
【0053】
各感光体ドラム121の直下位置には帯電装置123がそれぞれ設けられているとともに、各帯電装置123のさらに下方位置には露光装置124が設けられている。そして、各感光体ドラム121は、前記帯電装置123によって周面が一様に帯電され、コンピュータ等から入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が前記露光装置124から帯電後の感光体ドラム121の周面に照射される。これにより、各感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置122からトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
【0054】
感光体ドラム121の上方位置には、当該各感光体ドラム121に当接するように駆動ローラ125aおよび従動ローラ125b間に張設された転写ベルト125が設けられている。この転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ126によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
【0055】
従って、転写ベルト125が周回することによりその表面に対しマゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタトナーのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にシアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアントナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にイエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエロートナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用ユニット12Kの感光体ドラム121によるブラックトナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、これによって転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。この転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像が用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写されることになる。
【0056】
そして、各感光体ドラム121の図2における左方位置には当該感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置127が設けられている。クリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電装置123へ向かうことになる。
【0057】
クリーニング装置127で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0058】
画像形成部12の図2における右方位置には、前記カバー体19の左面に沿うように上下方向に延びた用紙搬送路111が形成されている。この用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられ、用紙貯留部14から繰り出された用紙は、この搬送ローラ対112の駆動で駆動ローラ125aに掛け回されている転写ベルト125へ向けて搬送される。
【0059】
かかる用紙搬送路111には、駆動ローラ125aと対向した位置に転写ベルト125の表面と当接した第2転写ローラ113が設けられ、用紙搬送路111を搬送されつつある用紙Pが転写ベルト125と第2転写ローラ113とに押圧挟持されることによって転写ベルト125上のトナー像が当該用紙Pに転写される。
【0060】
前記定着部13は、画像形成部12で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施すものである。かかる定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体が設けられた定着ローラ131と、右方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とを備えている。
【0061】
そして、転写ベルト125と第2転写ローラ113との間のニップ部を通過することにより転写ベルト125上のトナー像が転写された状態の用紙Pは、定着部13で定着ローラ131と加圧ローラ132との間のニップ部を通過され、このとき定着ローラ131からの熱を得て定着処理が施される。
【0062】
定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って装置本体11の頂部に設けられた用紙排出部16の排紙トレイ161へ向けて排出されることになる。
【0063】
前記用紙貯留部14は、装置本体11内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された用紙トレイ141を備えている。用紙トレイ141には用紙束が貯留される。
【0064】
かかる用紙トレイ141は、上面が全面開口の箱体を備えて構成され、複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1が貯留可能になっている。かかる用紙トレイ141に貯留された用紙束P1の最上位の用紙Pは、下流端(図2における右端)の上面が用紙束P1からピックアップローラ142の駆動で用紙搬送路111へ向けて繰り出されるようになっており、1枚ずつ繰り出され用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で用紙搬送路111を通って画像形成部12における第2転写ローラ113と転写ベルト125との間のニップ部へ向けて送り込まれる。
【0065】
前記トナー補給部15には、画像形成部12の各ユニット12M,12C,12Y,12Kにそれぞれ対応して4台のトナーカートリッジ151(マゼンタ用カートリッジ151M、シアン用カートリッジ151C、イエロー用カートリッジ151Yおよびブラック用カートリッジ151K)が設けられている。そして、各ユニット12M,12C,12Y,12Kの現像装置122には、残量が少なくなると対応した各カートリッジ151M,151C,151Y,151Kからトナーが補給される。
【0066】
前記カバー体19は、閉止姿勢S1(図2に実線で表示)と開放姿勢S2との間で姿勢変更することにより画像形成部12、定着部13および用紙貯留部14の図2における右面側に対して開閉可能とされている。かかるカバー体19は、普段、閉止姿勢S1に姿勢設定され、これによって画像形成部12の図2における右面との間に用紙貯留部14からの用紙を第2転写ローラ113へ向けて搬送するための用紙搬送路111が形成される。
【0067】
そして、搬送ローラ対112や定着部13で紙詰りが発生したときカバー体19が開放され(すなわち、閉止姿勢S1から開放姿勢S2へ姿勢変更され)、これによって外部に露出した画像形成部12および定着部13から詰まった用紙を容易に取り除くことができる。
【0068】
このようなカバー体19は、用紙搬送路111および排紙搬送路114に沿うように図2における正面視の形状が逆S字状に形成されているとともに、下端部が装置本体11の所定のフレームに支持された支持軸191回りに回動可能とされ、閉止姿勢S1と開放姿勢S2との間で姿勢変更する。
【0069】
なお、カバー体19には、その内部に第2転写ローラ113を通過した用紙Pを反転させた後、用紙搬送路111へ戻して裏面側にも印刷処理を施すための両面印刷用の反転搬送路が設けられているが、その説明は省略する。
【0070】
そして、本実施形態においては、このような画像形成装置10の各感光体ドラム121を対象として図1に示すギヤ機構1を基本構成としたドラム駆動用ギヤ機構20が採用されている。図3は、ドラム駆動用ギヤ機構20の一実施形態を示す斜視図である。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0071】
図3に示すように、ドラム駆動用ギヤ機構20は、目標物である4つの感光体ドラム121に駆動力を伝達するためのものであり、その一部に前記ギヤ機構1が適用された第1ギヤ機構21と、前記ギヤ機構1がその全部に適用された第2ギヤ機構(ギヤ機構1)22とを備えている。第1ギヤ機構21を対象として第1駆動モータ31が設けられているとともに、第2ギヤ機構22を対象として第2駆動モータ32が設けられている。
【0072】
第1ギヤ機構21は、周面にマゼンタトナーのトナー像が形成されるマゼンタ用感光体ドラム(目標物5)121Mと、周面にシアントナーのトナー像が形成されるシアン用感光体ドラム(目標物5)121Cと、周面にイエロートナーのトナー像が形成されるイエロー用感光体ドラム(目標物5)121Yとの3つの感光体ドラム121を対象とするものである。これに対し第2ギヤ機構22は、周面にブラックトナーのトナー像を形成させるブラック用感光体ドラム(目標物5)121Kのみを対象とするものである。
【0073】
そして、第1駆動モータ31の駆動力は、第1ギヤ機構21を介して目標物であるマゼンタ〜イエロー用の3つの感光体ドラム121M、121C、121Yに伝達されるのに対し、第2駆動モータ32の駆動力は、第2ギヤ機構22を介してブラック用感光体ドラム121Kにのみ伝達される。
【0074】
このように1台の第1駆動モータ31の駆動力によって第1ギヤ機構21を介しマゼンタ〜イエロー用の3つの感光体ドラム121M、121C、121Yを駆動回転させるようになされているのに対し、ブラック用感光体ドラム121Kについては、それ専用の第2駆動モータ32および第2ギヤ機構22によって駆動回転されるようになされているのは、以下の理由による。
【0075】
すなわち、画像形成部12での用紙Pに対するカラー印刷が完了した状態において、マゼンタ、シアンおよびイエローのトナーについては、色が薄いことにより印刷位置が少々ずれていても目立たないのに対し、ブラックトナーは、印刷位置に位置ずれがあると目立つため、ブラック用感光体ドラム121Kについては精密な回転制御が必要であり、そのために専用の第2駆動モータ32によってブラック用感光体ドラム121Kを駆動させるようにしている。
【0076】
第1ギヤ機構21は、中央部第1ギヤ機構(ギヤ機構1)211と、左部第1ギヤ機構212と、右部第1ギヤ機構213とを備えている。前記中央部第1ギヤ機構211は、第1駆動モータ31の駆動で前後方向に延びるギヤ心回りに時計方向へ回転される第1駆動ギヤ(駆動ギヤ2)312と、この第1駆動ギヤ(駆動ギヤ2)312に左右の対称位置で噛合する一対の中央部アイドルギヤ(アイドルギヤ3)41と、これら一対の中央部アイドルギヤ41の下方位置で両者に噛合する中央部目標ギヤ(目標ギヤ4)51とを備えている。
【0077】
前記第1駆動ギヤ312は、前後方向に延びるように横置きで据え付けられた第1駆動モータ31の駆動軸311の先端に同心で一体回転可能に外嵌されている。前記一対の中央部アイドルギヤ41は、それぞれ同心で設けられた左右一対の中央部アイドルギヤ軸411回りに回転可能に軸支されている。
【0078】
前記中央部目標ギヤ51は、同心で設けられた中央部目標ギヤ軸511回りに一体回転可能に軸支されている。かかる中央部目標ギヤ軸511の前端には、ジョイント部512が設けられている。そして、シアン用感光体ドラム121Cは、このジョイント部512を介して時計方向に向けてドラム心回りに回転する。
【0079】
前記左部第1ギヤ機構212は、一対の中央部アイドルギヤ41の左方位置で同様に配設された一対の左部アイドルギヤ(アイドルギヤ3)42と、これら一対の左部アイドルギヤ42の直下位置で両者に噛合する左部目標ギヤ(目標ギヤ4)52と、前記左側の中央部アイドルギヤ41と右側の左部アイドルギヤ42との間の直上位置、並びに一対の左部アイドルギヤ42間の直上位置にそれぞれ噛合状態で配設された一対の左部補助ギヤ313とを備えている。各左部補助ギヤ313は、中心位置にそれぞれ貫通された各左部補助ギヤ軸313a回りに回転可能に軸支されている。
【0080】
前記一対の左部アイドルギヤ42は、それぞれ同心で設けられた左右一対の左部アイドルギヤ軸421回りに回転可能に軸支されている。また、左部目標ギヤ52は、同心で設けられた左部目標ギヤ軸521回りに一体回転可能に軸支されている。かかる左部目標ギヤ軸521の前端には、ジョイント部522が設けられている。そして、マゼンタ用感光体ドラム121Mは、このジョイント部522を介してドラム心回りに時計方向に向けて回転する。
【0081】
前記右部第1ギヤ機構213は、一対の中央部アイドルギヤ41の右方位置で同様に配設された一対の右部アイドルギヤ(アイドルギヤ3)43と、これら一対の右部アイドルギヤ43の直下位置で両者に噛合する右部目標ギヤ(目標ギヤ4)53と、前記右側の中央部アイドルギヤ41と左側の右部アイドルギヤ43との間の直上位置、並びに一対の右部アイドルギヤ43間の直上位置にそれぞれ噛合状態で配設された一対の右部補助ギヤ314とを備えている。各右部補助ギヤ314は、中心位置にそれぞれ貫通された各右部補助ギヤ軸314a回りに回転可能に軸支されている。
【0082】
前記一対の右部アイドルギヤ43は、それぞれ同心で設けられた左右一対の右部アイドルギヤ軸431回りに回転可能に軸支されている。また、右部目標ギヤ53は、同心で設けられた右部目標ギヤ軸531回りに一体回転可能に軸支されている。かかる右部目標ギヤ軸531の前端には、ジョイント部523が設けられている。そして、イエロー用感光体ドラム121Yは、このジョイント部523を介してドラム心回りに時計方向に向けて回転する。
【0083】
前記第2ギヤ機構22は、第2駆動モータ32の駆動で前後方向に延びるギヤ心回りに時計方向へ回転される第2駆動ギヤ(駆動ギヤ2)322と、この第2駆動ギヤ(駆動ギヤ2)322に左右の対称位置で噛合する一対のブラック用アイドルギヤ(アイドルギヤ3)44と、これら一対のブラック用アイドルギヤ44の直下位置でこれら両ギヤ44,44に噛合するブラック用目標ギヤ(目標ギヤ4)54とを備えている。
【0084】
前記第2駆動ギヤ322は、前後方向に延びるように横置きで据え付けられた第2駆動モータ32の駆動軸321の先端に同心で一体回転可能に外嵌されている。前記一対のブラック用アイドルギヤ44は、それぞれ同心で設けられた左右一対のブラック用アイドルギヤ軸441回りに回転可能に軸支されている。
【0085】
前記ブラック用目標ギヤ54は、同心で設けられたブラック用目標ギヤ軸541回りに一体回転可能に軸支されている。かかるブラック用目標ギヤ軸541の前端には、ジョイント部542が設けられている。そして、ブラック用感光体ドラム121Kは、第2駆動モータ32の駆動によりこのジョイント部542を介して時計方向に向けてドラム心回りに回転する。
【0086】
かかる構成のドラム駆動用ギヤ機構20によれば、まず、第1ギヤ機構21の中央部第1ギヤ機構211において、第1駆動モータ31が時計方向に回転駆動すると、この回転駆動が駆動軸311を介して第1駆動ギヤ312に伝達されるため、この第1駆動ギヤ312に噛合している一対の中央部アイドルギヤ41がそれぞれ中央部アイドルギヤ軸411回りに反時計方向に向けて回転する。従って、これら一対の中央部アイドルギヤ41に噛合している中央部目標ギヤ51は、これら一対の中央部アイドルギヤ41に挟まれた状態で中央部目標ギヤ軸511回りに回転するため、極めて安定した状態で回転することができ、結果としてシアン用感光体ドラム121Cは、回転ムラのない安定した状態で回転することができる。
【0087】
ついで、第1ギヤ機構21の左部第1ギヤ機構212においては、左側の中央部アイドルギヤ41の反時計方向へ向かう中央部アイドルギヤ軸411回りの回転が右側の左部補助ギヤ313を介して右側の左部アイドルギヤ42に伝達され、これによって右側の左部アイドルギヤ42が左部アイドルギヤ軸421回りに反時計方向へ向けて回転する。
【0088】
この右側の左部アイドルギヤ42の回転は、左部目標ギヤ52に直接伝達されるとともに、左側の左部補助ギヤ313および左側の左部アイドルギヤ42を介して左部目標ギヤ52に伝達される。すなわち、左部目標ギヤ52は、一対の左部アイドルギヤ42に挟まれた状態でこれらの回転が伝達されるため、結果としてマゼンタ用感光体ドラム121Mは、回転ムラのない安定した状態で回転することができる。
【0089】
また、第1ギヤ機構21の右部第1ギヤ機構213においては、右側の中央部アイドルギヤ41の反時計方向へ向かう中央部アイドルギヤ軸411回りの回転が左側の右部補助ギヤ314を介して右側の右部アイドルギヤ43に伝達され、これによって右側の右部アイドルギヤ43が右部アイドルギヤ軸431回りに反時計方向へ向けて回転する。
【0090】
この右側の右部アイドルギヤ43の回転は、右部目標ギヤ53に直接伝達されるとともに、右側の右部補助ギヤ314および右側の右部アイドルギヤ43を介して右部目標ギヤ53に伝達される。すなわち、右部目標ギヤ53は、一対の右部アイドルギヤ43に挟まれた状態でこれらの回転が伝達されるため、結果としてイエロー用感光体ドラム121Yは、回転ムラのない安定した状態で回転することができる。
【0091】
ついで、ドラム駆動用ギヤ機構20の第2ギヤ機構22によれば、第2駆動モータ32が時計方向に回転駆動すると、この回転駆動が駆動軸321を介して第2駆動ギヤ322に伝達されるため、この第2駆動ギヤ322に噛合している一対のブラック用アイドルギヤ44がそれぞれブラック用アイドルギヤ軸441回りに反時計方向に向けて回転する。従って、これら一対のブラック用アイドルギヤ44に噛合しているブラック用目標ギヤ54は、これら一対のブラック用アイドルギヤ44に挟まれた状態でブラック用目標ギヤ軸541回りに回転するため、極めて安定した状態で回転することができ、結果としてブラック用感光体ドラム121Kは、回転ムラのない安定した状態で回転することができる。
【0092】
以上詳述したように、本実施形態に係るギヤ機構1(図1)は、駆動モータMの駆動により駆動回転する駆動ギヤ2と、この駆動ギヤ2に噛合する同一歯数の一対のアイドルギヤ3と、これら一対のアイドルギヤ3に噛合して回転を目標物5に伝達する1つの目標ギヤ4とを備えて構成されている。
【0093】
かかる構成によれば、目標物5に回転を伝達する目標ギヤ4は、駆動ギヤ2に噛合した一対のアイドルギヤ3に噛合しているため、アイドルギヤ3と目標ギヤ4との間で単に1個所のみが噛合されている場合に比較し、目標ギヤ4およびアイドルギヤ3は互いに相手方から加わる負荷がそれぞれ軽減されるため、ギヤ歯の破損を防止することができ、結果としてギヤ機構の寿命を延ばすことができる。
【0094】
また、目標ギヤ4が一対のアイドルギヤ3に噛合されていることにより、目標物5は、当該ギヤ機構を介して安定した状態で回転することができる。
【0095】
また、各アイドルギヤ3の歯数は、駆動ギヤ2の歯数の整数倍に設定されているため、駆動ギヤ2の各歯が噛合するアイドルギヤ3の歯列を常に同一にすることができ(すなわち、各歯列において常に同じ歯同士が噛み合うため)、駆動ギヤ2の各歯が噛合するアイドルギヤ3の歯列が回転に応じて変化する場合に比較し、駆動ギヤの駆動力をより安定した状態でアイドルギヤ3に伝達することができる。
【0096】
そして、本実施形態に係る画像形成装置10は、前記ギヤ機構1を応用した目標物5を複数の感光体ドラム121(感光体ドラム121M、121C、121Y、121K)とするドラム駆動用ギヤ機構20(図3)が採用されているため、これらマゼンタ〜ブラック用の感光体ドラム121M、121C、121Y、121Kは、いずれも回転ムラのない安定した状態で回転することができ、結果として適正な画像形成処理を確保することができる。
【0097】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0098】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10としてプリンタを例に挙げて説明したが、プリンタに限定されるものではなく、複写機であってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【0099】
(2)上記の実施形態に係るギヤ機構1においては、駆動ギヤ2に噛合するアイドルギヤ3が2つとされているが、本発明は、駆動ギヤ2に噛合するアイドルギヤ3が2つであることに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。この場合、例えば目標ギヤ4を内歯歯車にしてもよい。
【0100】
(3)上記の実施形態に係るドラム駆動用ギヤ機構20においては、当該ドラム駆動用ギヤ機構20は、マゼンタ〜イエロー用の3つの感光体ドラム121M、121C、121Yを回転の目標物5として第1ギヤ機構21が採用され、第1駆動モータ31の駆動によってこれらマゼンタ〜イエロー用感光体ドラム121M、121C、121Yが一斉回転されるとともに、ブラック用感光体ドラム121Kのみを対象として第2ギヤ機構22が採用され、専用の第2駆動モータ32によってブラック用感光体ドラム121Kが回転されるようになされている。
【0101】
しかしながら、本発明は、ドラム駆動用ギヤ機構20として3つの感光体ドラム121M、121C、121Y用の第1駆動モータ31および第1ギヤ機構21と、ブラック用感光体ドラム121K専用の第2駆動モータ32および第2ギヤ機構22と採用することに限定されるものではなく、1台の駆動モータによってドラム駆動用ギヤ機構を介し4つの感光体ドラム121M、121C、121Y、121Kを同時に回転させるようにしてもよし、各感光体ドラム121M、121C、121Y、121Kのそれぞれに専用の駆動モータを採用してもよい。
【0102】
(4)上記の実施形態に係るドラム駆動用ギヤ機構20においては、回転させる目標物5として感光体ドラム121が採用されているが、感光体ドラム121に代えて各現像装置122にそれぞれ内装された、トナーを感光体ドラム121へ供給するための各現像ローラを目標物5としてもよいし、各クリーニング装置127に内装された、感光体ドラム121の周面の残留トナーを取り除く各クリーニングローラであってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 ギヤ機構 2 駆動ギヤ
3 アイドルギヤ 3a アイドルギヤ軸
4 目標ギヤ 4a 目標ギヤ軸
4b ジョイント部 5 目標物
10 画像形成装置 11 装置本体
111 用紙搬送路 112 搬送ローラ対
113 転写ローラ 114 排紙搬送路
12 画像形成部 12M マゼンタ用ユニット
12C シアン用ユニット 12Y イエロー用ユニット
12K ブラック用ユニット 121 感光体ドラム(像担持体、目標物5)
121M マゼンタ用感光体ドラム(像担持体、目標物5)
121C シアン用感光体ドラム(像担持体、目標物5)
121Y イエロー用感光体ドラム(像担持体、目標物5)
121K ブラック用感光体ドラム(像担持体、目標物5)
122 現像装置 123 帯電装置
124 露光装置 125 転写ベルト
125a 駆動ローラ 125b 従動ローラ
126 転写ローラ 127 クリーニング装置
13 定着部 131 定着ローラ
132 加圧ローラ 14 用紙貯留部
141 用紙トレイ 142 ピックアップローラ
15 トナー補給部 151 トナーカートリッジ
151M マゼンタ用カートリッジ
151C シアン用カートリッジ
151Y イエロー用カートリッジ
151K ブラック用カートリッジ
16 用紙排出部 161 排紙トレイ
19 カバー体 191 支持軸
20 ドラム駆動用ギヤ機構 21 第1ギヤ機構
211 中央部第1ギヤ機構(ギヤ機構1)
212 左部第1ギヤ機構 213 右部第1ギヤ機構
22 第2ギヤ機構(ギヤ機構1)
31 第1駆動モータ 311 駆動軸
312 第1駆動ギヤ(駆動ギヤ2)
313 左部補助ギヤ 314 右部補助ギヤ
32 第2駆動モータ 321 駆動軸
322 第2駆動ギヤ(駆動ギヤ2)
41 中央部アイドルギヤ(アイドルギヤ3)
411 中央部アイドルギヤ軸
42 左部アイドルギヤ(アイドルギヤ3)
421 左部アイドルギヤ軸(アイドルギヤ3)
43 右部アイドルギヤ 431 右部アイドルギヤ軸
44 ブラック用アイドルギヤ(アイドルギヤ3)
441 ブラック用アイドルギヤ軸
51 中央部目標ギヤ(目標ギヤ4)
511 中央部目標ギヤ軸 512 ジョイント部
52 左部目標ギヤ(目標ギヤ4)
521 左部目標ギヤ軸 522 ジョイント部
523 ジョイント部 53 右部目標ギヤ(目標ギヤ4)
531 右部目標ギヤ軸 54 ブラック用目標ギヤ(目標ギヤ4)
541 ブラック用目標ギヤ軸 542 ジョイント部
M 駆動モータ M1 駆動軸
P 用紙 P1 用紙束
S1 閉止姿勢 S2 開放姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な複数の像担持体と、
前記各像担持体にそれぞれ対応して配設され、各色のトナーを対応した各像担持体に供給してトナー像を形成させる現像ローラをそれぞれ備えた複数の現像装置と、
転写処理後の各像担持体の周面に残留した残留トナーを取り除いて清浄化処理するクリーニングローラをそれぞれ備えたクリーニング装置と、
駆動モータの駆動により駆動回転する駆動ギヤと、前記駆動ギヤに噛合する複数のアイドルギヤと、前記複数のアイドルギヤに噛合して回転を目標物に伝達する1つの目標ギヤとが備えられ、
前記駆動ギヤ、前記アイドルギヤおよび前記目標ギヤが、前記目標物としての前記各像担持体、前記各現像ローラおよび前記各クリーニングローラの内のいずれかの回転のために適用されていることを特徴とするギヤ機構。
【請求項2】
画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な複数の像担持体と、
前記各像担持体にそれぞれ対応して配設され、各色のトナーを対応した各像担持体に供給してトナー像を形成させる現像ローラをそれぞれ備えた複数の現像装置と、
転写処理後の各像担持体の周面に残留した残留トナーを取り除いて清浄化処理するクリーニングローラをそれぞれ備えたクリーニング装置と、
駆動モータの駆動により駆動回転する駆動ギヤと、前記駆動ギヤに噛合する奇数対のアイドルギヤと、前記各対のアイドルギヤに噛合して回転をアイドルギヤの対の数と同一の個数の目標物に伝達する目的物と同数の目標ギヤとが備えられ、
前記駆動ギヤ、前記アイドルギヤおよび前記目標ギヤが、前記目標物としての前記各像担持体、前記各現像ローラおよび前記各クリーニングローラの内のいずれかの回転のために適用されていることを特徴とするギヤ機構。
【請求項3】
前記奇数対のアイドルギヤは、中央部の一対のアイドルギヤを基準として左右対称に配設されていることを特徴とする請求項2記載のギヤ機構。
【請求項4】
前記各アイドルギヤの歯数は、前記駆動ギヤの歯数の整数倍に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のギヤ機構。
【請求項5】
前記各アイドルギヤは、それぞれ歯数が同数に設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のギヤ機構。
【請求項6】
画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な目標物としての複数の像担持体が備えられ、
前記像担持体は、マゼンタトナーが使用されるマゼンタ用像担持体、シアントナーが使用されるシアン用像担持体およびイエロートナーが使用されるイエロー用像担持の3種類が採用され、
請求項1乃至5のいずれかに記載のギヤ機構が前記各像担持体に適用されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な目標物としての複数の像担持体が備えられ、
前記像担持体は、マゼンタトナーが使用されるマゼンタ用像担持体、シアントナーが使用されるシアン用像担持体、イエロートナーが使用されるイエロー用像担持およびブラックトナーが使用されるブラック用像担持体の4種類が採用され、
請求項1乃至5のいずれかに記載のギヤ機構が前記各像担持体に適用されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像情報に基づき周面に各色に対応した静電潜像をそれぞれ形成させる軸心回りに回転可能な複数の像担持体が備えられ、
前記像担持体は、マゼンタトナーが使用されるマゼンタ用像担持体、シアントナーが使用されるシアン用像担持体、イエロートナーが使用されるイエロー用像担持体およびブラックトナーが使用されるブラック用像担持体の4種類が採用され、
前記ブラック用像担持体には、請求項1記載のギヤ機構が適用され、
前記マゼンタ用像担持体、シアン用像担持体およびイエロー用像担持体には、請求項2記載のギヤ機構が適用され、
前記マゼンタ用像担持体、シアン用像担持体およびイエロー用像担持体に適用される前記各一対のアイドルギヤは、中央部に配置されたものを基準にして左右対称に配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−33864(P2011−33864A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180481(P2009−180481)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】