説明

クロック制御回路、方法、及び、プログラム

【課題】受信データ取り込みに用いるクロック信号の位相を複数回変化させずに、クロックの位相調整が可能なクロック制御回路を提供する。
【解決手段】周期パルス受信部14は、比較用クロックCCLKに基づいて、入力データDATAと共に送信された入力周期パルスFPを取り込み、受信周期パルスFP1として出力する。比較パルス生成部15は、比較用クロックCCLKに基づいて、入力周期パルスFPと同じ周期の期待周期パルスFP2を生成する。制御部12は、比較用クロックCCLKの位相を変化させ、複数の比較用クロックCCLKの位相にて受信周期パルスFP1と期待周期パルスFP2とが一致するか否かを監視し、監視結果に基づいて、受信用クロックRCLKの位相を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック制御回路、方法、及び、プログラムに関し、更に詳しくは、データと共に送信側デバイスから受信した周期パルスを用いてクロックの位相制御を行うクロック制御回路、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント盤内又はプリント盤間のLSI等のデバイス間でのデータ伝送に用いる受信回路では、受信データを正しく取り込むために、データ取り込みのタイミングを定めるクロック信号の位相調整が必要である。位相調整に関して、特許文献1には、入力データ信号からクロックを抽出し、抽出したクロックの位相調整を行う技術が記載されている。図6に、特許文献1に記載のリタイミング回路を示す。PLL回路101は、入力データ信号から再生クロックを抽出する。第1リタイミング回路102は、再生クロックを第1位相シフタ103で遅延した(位相調整した)クロックで、入力データの取り込みを行う。第2リタイミング回路105は、再生クロックを第2位相シフタ104で遅延したクロックで、入力データの取り込みを行う。
【0003】
判定制御回路106は、第2の位相シフタの遅延量を段階的に変化させ、各遅延量で、第1リタイミング回路102の出力と第2リタイミング回路105の出力とが一致するか否かを観測する。判定制御回路106は、その観測データを用いて、第1位相シフタ103の遅延量、すなわち、入力データ信号の取り込みに用いる再生クロックの遅延量を決定する。特許文献1では、第1位相シフタ103の遅延量が最適位置であれば、第2位相シフタ104の遅延量がその最適位置の前後で変化したとしても、第1リタイミング回路102の出力と第2リタイミング回路105の出力が一致するであろうことを利用して、再生クロックの最適な遅延量を見つけている。
【特許文献1】特開2003−318872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、第1位相シフタ103の遅延量を固定した状態で第2位相シフタ104の遅延量を順次変化させ、第1リタイミング回路102の出力データと第2リタイミング回路105の出力データとの一致頻度から、第1位相シフタ103の遅延量を決定している。特許文献1では、この処理を、第1位相シフタ103の遅延量を変化させる必要がなくなるまで繰り返し行う必要がある。特に、第1位相シフタ103の遅延量がクロック最適からずれていた場合は、1回の調整では第1位相シフタ103の遅延量をクロック最適に合わせることはできず、最適な位相を得るために、第1位相シフタ103の遅延量を、複数回変化させなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、受信データ取り込みに用いるクロック信号の位相を複数回変化させずに、クロックの位相調整が可能なクロック制御回路、データ受信回路、クロック制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のクロック制御回路は、比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込み、受信周期パルスとして出力する周期パルス受信部と、前記比較用クロックに基づいて、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスを生成する比較パルス生成部と、前記比較用クロックの位相を変化させ、複数の前記比較用クロックの位相にて前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のデータ受信回路は、比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込み、受信周期パルスとして出力する周期パルス受信部と、前記比較用クロックに基づいて、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスを生成する比較パルス生成部と、複数の前記比較用クロックの位相にて、前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定する制御部と、前記制御部からの指令に基づいて、前記比較用クロックと前記受信用クロックとを生成するクロック生成部と、前記受信用クロックに基づいて、前記入力データを取り込むデータ受信部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のクロック制御方法は、クロック生成回路におけるクロックの位相制御を行うクロック制御方法であって、前記クロック生成回路が生成する比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込み、受信周期パルスを生成するステップと、前記比較用クロックに基づいて、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスを生成するステップと、前記比較用クロックの位相を変化させ、複数の前記比較用クロックの位相にて前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記クロック生成回路が生成する、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
本発明のプログラムは、クロック生成回路に、クロックの位相制御を行う処理を実行させるプログラムであって、前記クロック生成回路に、比較用クロックの位相を変化させ、該比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込んだ受信周期パルスと、前記比較用クロックに基づいて生成された、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクロック制御回路、データ受信回路、クロック制御方法、及び、プログラムは、受信データ取り込みに用いるクロック信号の位相を複数回変化させずに、クロックの位相調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態のクロック制御回路を含むデータ受信回路を示している。データ受信回路は、PLL部(クロック生成部)11、制御部12、データ受信部13、周期パルス受信部14、及び、比較パルス生成部15を有する。データ受信回路には、入力データDATAと、入力周期パルスFP、及び、リファレンスクロックREF_CLKが入力される。入力データDATAは、図示しないプリント盤やLSIなどに含まれるデータ送信回路から送信されたデータである。入力周期パルスFPは、入力データDATAと共にデータ送信回路から送信された固定周期のパルス信号である。
【0012】
図2に、入力データDATA、入力周期パルスFP、及び、リファレンスクロックREF_CLKの関係を示す。入力データDATA及び入力周期パルスFPは、送信側デバイスから送信された信号であり、ほぼ同じタイミングで変化する。入力周期パルスFPは、Nクロック周期(Nは2以上の整数)で‘1’となり、それ以外は‘0’となる繰り返しパターンである。リファレンスクロックREF_CLKは、デバイスの外部にある発振器等から入力するクロック信号であり、入力データDATA及び入力周期パルスFP(‘1’の部分)と周波数は同じであるが、変化タイミングは、これらと一致するとは限らない。
【0013】
PLL(Phase Locked Loop)部11は、リファレンスクロックREF_CLKに基づいて、それぞれ、リファレンスクロックREF_CLKと所定の位相関係にある比較用クロックCCLK及び受信用クロックRCLKとを生成する。PLL部11は、制御部12から入力される比較用遅延量aに従って、リファレンスクロックREF_CLKと、遅延量aに対応した位相差を有する比較用クロックCCLKを生成する。また、PLL部11は、制御部12から入力される受信用遅延量bに従って、リファレンスクロックREF_CLKと、遅延量bに対応した位相差を有する受信用クロックRCLKを生成する。
【0014】
PLL部11は、生成した受信用クロックRCLKをデータ受信部13に入力する。また、PLL部11は、生成した比較用クロックCCLKを、周期パルス受信部14及び比較パルス生成部15に入力する。データ受信部13は、F/F(Flip Flop)で構成され、受信用クロックRCLKに基づいて、入力データDATA及び入力周期パルスFPを取り込む。データ受信部13が取り込んだ入力データDATA及び入力周期パルスFPは、半導体回路の内部回路に供給され、使用される。
【0015】
周期パルス受信部14は、F/F(Flip Flop)で構成され、比較用クロックCCLKに基づいて、入力周期パルスFPを取り込む。周期パルス受信部14は、取り込んだ受信周期パルスFP1を、制御部12に出力する。比較パルス生成部15は、比較用クロックCCLKに基づいて、入力周期パルスFPと同じ周期を持つ期待周期パルスFP2を生成する。比較パルス生成部15は、制御部12から、動作開始通知c(リセット通知)を受けると、現在の期待周期パルスFP2をリセットし、その後、周期パルス受信部14が入力周期パルスFPの1つめのパルスを取り込んだタイミングから動作を開始する。比較パルス生成部15は、カウンタなどにより、リファレンスクロックREF_CLKから期待周期パルスFP2を生成する。
【0016】
制御部12は、比較用遅延量aを段階的に変化させ、遅延量を変化させるごとに、比較パルス生成部15に、リセット通知cを発行する。制御部12は、リセット通知の発行後、一定期間、周期パルス受信部14での入力周期パルスFPの取り込み結果(受信周期パルスFP1)と、比較パルス生成部15が出力する期待周期パルスFP2との比較結果をモニタし、その結果に基づいて、受信用遅延量bを決定する。比較用遅延量aの変化幅は、遅延ゼロからリファレンスクロックREF_CLKの1周期分までとする。比較結果をモニタする一定期間は、周期パルスFPの周期よりも十分に長い時間、例えば、入力周期パルスFPの数十倍とする。
【0017】
図3に、リファレンスクロックREF_CLKと、比較用クロックCCLKとを示す。PLL部11は、制御部12から入力される比較用遅延量aに基づいて、リファレンスクロックREF_CLKと同相(遅延ゼロ)の比較用クロックCCLK(1)から、リファレンスクロックREF_CLKをほぼ1周期分遅延した比較用クロックCCLK(m)までを生成する。制御部12は、入力周期パルスFPの周期のL倍の期間を、受信周期パルスFP1と期待周期パルスFP2との比較結果のモニタ期間とし、モニタ期間ごとに比較用遅延量aの変更を行う。
【0018】
制御部12は、比較用遅延量aを変更し、比較用クロックCCLKの位相を制御する。PLL部11は、比較用遅延量aに従った位相の比較用クロックCCLKを生成する。PLL部11は、生成した比較用クロックCCLKを周期パルス受信部14及び比較パルス生成部15に供給する。周期パルス受信部14は、比較用クロックCCLKに基づいて、例えば、比較用クロックCCLKの立ち上がりエッジで、入力周期パルスFPをラッチし、ラッチしたデータを受信周期パルスFP1として出力する。
【0019】
制御部12は、比較用遅延量aを変更するたびに、比較パルス生成部15に、リセット通知cを発行する。比較パルス生成部15は、制御部12からリセット通知cを受けると、周期パルス受信部14から入力される受信周期パルスFP1の最初の‘1’のタイミングから期待周期パルス生成を開始する。比較パルス生成部15は、次に比較用遅延量aが変更され、リセット通知cが発行されるまで、一定の周期で、期待周期パルスFP2を生成し続ける。制御部12は、比較用遅延量aの変更後、次に比較用遅延量aを変更するまでの間、入力周期パルスFPを比較用クロックCCLKで取り込んだ受信周期パルスFP1と期待周期パルスFP2とが一致する回数と、一致しない回数とを計測する。
【0020】
図4に、入力周期パルスFPと、受信周期パルスFP1、及び、期待周期パルスFP2を示す。図4では、比較用クロックCCLKの立ち上がりエッジと、入力周期パルスFPの立ち上がりエッジとがほぼ同じタイミングとなっている。この状態では、周期パルス受信部14は、入力周期パルス立ち上がりエッジを‘1’として取り込むときと‘0’として取り込むときとが発生する。すなわち、時刻Taの時点で入力周期パルスFPのレベルが十分に上がっていれば、受信周期パルスFP1は、実線で示すように時刻Taで‘0’から‘1’に変化する。しかし、時刻Taの時点で入力周期パルスのレベルが低いと、時刻Taで入力周期パルス‘1’を取り込むことができず、受信周期パルスFP1は、点線で示すように、1クロック遅れた時刻Tbになって‘0’から‘1’へと変化する。
【0021】
図5に、入力周期パルスFPと、受信周期パルスFP1、及び、期待周期パルスFP2の別例を示す。図5では、比較用クロックCCLKの立ち上がりエッジが、入力周期パルスの‘1’の期間のほぼ中央となっている。この場合は、時刻Tdの時点で、入力周期パルスFPのレベルが十分に上がっているので、受信周期パルスFP1は、時刻Tdで‘0’から‘1’へと変化する。つまり、周期パルス受信部14にて、時刻Tdで、安定的に入力周期パルス‘1’を取り込むことができる。
【0022】
図4のケースでは、期待周期パルスFP2が‘0’から‘1’へと立ち上がる時刻Taで、周期パルス受信部14にて入力周期パルスを安定的に取り込むことができない。従って、この状態で、一定期間(監視期間)にわたり、受信周期パルスFP1と期待周期パルスFP2とが一致するか否かを監視すると、一致するときと一致しないときの双方が観測される。このような位相のクロックを、データ受信部13にてデータ取り込みに用いる受信用クロックRCLKとして用いると、データを安定的に正しく取り込むことができない。このため、このときの比較用遅延量aを、受信用クロックRCLKの遅延量bに用いることはできない。
【0023】
一方、図5のケースでは、期待周期パルスFP2が‘0’から‘1’へと立ち上がる時刻Tdで、周期パルス受信部14にて入力周期パルスを安定的に取り込むことができる。このため、一定期間にわたり、受信周期パルスFP1と期待周期パルスFP2とが一致するか否かを監視すると、両者は、全て一致することになる。このような位相のクロックを、受信用クロックRCLKとして用いると、データ受信部13にて安定的にデータを正しく取り込むことができるので、このときの比較用遅延量aは、受信用クロックRCLKの遅延量bの候補とすることができる。
【0024】
制御部12は、監視期間ごとに、比較用遅延量aをゼロからリファレンスクロックREF_CLKの1周期分まで変化させ、それぞれの遅延量において、受信周期パルスFP1及び期待周期パルスFP2が‘1’となるタイミングが一致するか否かを判断する。判断の結果は、不一致となる連続する遅延量の範囲と、常に一致する遅延量の範囲とに分かれる。ただし、不一致範囲と、一致範囲との境界付近では、不一致と一致とが混在する形となる。制御部12は、一致する遅延量の範囲及び一致しない遅延量の範囲の少なくとも一方に基づいて、入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックRCLKの遅延量bを決定する。
【0025】
受信用遅延量bの決定では、制御部12は、例えば、一致区間の遅延量、つまり、受信周期クロックFP1と期待周期クロックFP2とが全て一致する遅延量のうちで、遅延量が最も小さい遅延量と、遅延量が最も大きい遅延量とを求め、その中心を、受信用遅延量bとして決定することができる。また、制御部12は、不一致区間の遅延量、つまり、受信周期クロックFP1と期待周期クロックFP2とが一致しない遅延量に、リファレンスクロックREF_CLKの半周期分の遅延を加えた遅延量を、受信用遅延量bとして決定してもよい。
【0026】
制御部12は、決定した受信用遅延量bをPLL部11に出力する。PLL部11は、リファレンスクロックREF_CLKに受信用遅延量bに従った遅延量を付加した位相の受信用クロックRCLKを生成する。データ受信部13は、受信用クロックRCLKに従って、入力DATA及び入力周期パルスFPを取り込む。上記した受信用遅延量bの決定を、デバイス起動時に行うことで、受信用クロックRCLKの位相(遅延量)を、入力データDATA及び入力周期パルスFPのデータ取り込みに適した位相に設定することが可能となる。また、起動処理の完了後も、上記した受信用遅延量bの決定を繰り返し行うことで、動作中のデータ及びクロックの位相変動等を監視することができる。
【0027】
本実施形態では、制御部12は、比較用クロックCCLKの位相を変化させ、複数の比較用クロックCCLKの位相にて、周期パルス受信部14が出力する受信周期パルスFP1と、比較用パルス生成部15が出力する期待周期パルスFP2とが一致するか否かを監視する。制御部12は、その監視結果に基づいて、入力データDATAのデータ取り込みに用いる受信用クロックRCLKの位相を決定する。
【0028】
本実施形態では、比較用クロックCCLKで取り込んだ受信周期パルスFP1と、比較用クロックCCLKに基づいて生成した固定周期の期待周期パルスFP2との関係に基づいて受信用クロックRCLKの位相を決定する。つまり、本実施形態では、受信用クロックRCLKの位相決定に、受信用クロックRCLKに基づいて取り込んだデータは用いていない。このため、調整前の受信用クロックRCLKの位相に依存しない形で受信用クロックRCLKの位相調整が可能であり、受信用クロックRCLKがクロック最適からずれている状態でも、1回の調整で、受信用クロックRCLKの位相を、データ取り込みを良好に行うことができる位相に調整できる。
【0029】
プリント盤内又はプリント盤間のLSI等のデバイス間でのデータ伝送における受信回路では、プリント盤設計工程で、受信デバイスの入力特性を、送信デバイスの出力特性、プリント盤の伝送特性、装置内クロック源から送信デバイス及び受信デバイスまでのクロック伝送遅延等を考慮して設計するという手法が採られることがある。しかし、この手法では、データ伝送速度が高速になると、周囲温度や電源電圧の変動、デバイス特性のばらつき、周辺デバイスの影響等により特性変化することが想定されるため、受信デバイスの入力特性やプリント盤の配線設計の配線設計、特性の精度が厳しく制限されることになる。
【0030】
また、クロック調整に関して、クロック源から送信デバイス及び受信デバイスのクロック配線に位相調整が可能なデバイスを挿入し、評価工程で波形観測を行って位相調整を行うという手法が採られることもある。この手法では、データ伝送速度が高速になると、反射の影響を受けるために、正確に位相調整を行うためには、受信デバイス直近で波形を観測し、位相調整を行う必要がある。しかし、実際には、デバイスの構造や配線パターンなどにより、端子の直近で波形観測を行うことが困難であり、正確な位相調整が困難である。
【0031】
本実施形態では、受信周期パルスFP1と期待周期パルスFP2との比較結果に基づいて受信用クロックRCLKの位相調整を行うので、入力データDATA及び入力周期パルスFPの入力特性を厳密に規定することなく、位相調整が可能である。また、プリント盤の配線長を厳密に規定する必要もなくなり、プリント盤の配置配線設計が容易になるという利点もある。
【0032】
なお、上記実施形態では、クロック生成部にPLL回路を用いたが、これには限定されない。クロック生成部は、リファレンスクロックREF_CLKに基づいて、制御部からの指示に基づいた遅延量(位相)のクロック信号を生成できればよく、例えば、リファレンスクロックREF_CLKを可変遅延量で遅延して受信用クロックRCLKと比較用クロックCCLKとを生成する構成でも構わない。
【0033】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のクロック制御回路、データ受信回路、クロック制御方法、及び、プログラムは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態のクロック制御回路を含むデータ受信回路を示すブロック図。
【図2】入力データDATA、入力周期パルスFP、及び、リファレンスクロックREF_CLKの関係を示す波形図。
【図3】リファレンスクロックREF_CLKと、比較用クロックCCLKとを示す波形図。
【図4】入力周期パルスFPと、受信周期パルスFP1、及び、期待周期パルスFP2を示す波形図。
【図5】入力周期パルスFPと、受信周期パルスFP1、及び、期待周期パルスFP2の別例を示す波形図。
【図6】特許文献1に記載のリタイミング回路を示すブロック図。
【符号の説明】
【0035】
11:PLL部
12:制御部
13:データ受信部
14:周期パルス受信部
15:比較パルス生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込み、受信周期パルスとして出力する周期パルス受信部と、
前記比較用クロックに基づいて、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスを生成する比較パルス生成部と、
前記比較用クロックの位相を変化させ、複数の前記比較用クロックの位相にて前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定する制御部とを備えるクロック制御回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記比較用クロックの位相を変化させるごとに、前記比較パルス生成部にリセット通知を行い、前記比較パルス生成部は、前記リセット通知があった後、前記周期パルス受信部が最初の前記入力周期パルスを取り込むと、前記期待周期パルスの生成を開始する、請求項1に記載のクロック制御回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力周期パルスの複数周期にわたって前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視する、請求項1又は2に記載のクロック制御回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致する前記比較用クロックの位相範囲を求め、該求めた位相範囲に基づいて、前記受信用クロックの位相を決定する、請求項3に記載のクロック制御回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記一致する比較用クロックの位相範囲の中心の位相を、前記受信用クロックの位相に決定する、請求項4に記載のクロック制御回路。
【請求項6】
前記制御部は、前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致しない前記比較用クロックの位相範囲を求め、該求めた位相範囲に基づいて、前記受信用クロックの位相を決定する、請求項3に記載のクロック制御回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記一致しない前記比較用クロックの位相範囲に含まれる位相から、前記比較用クロックの半周期に相当する分だけ位相がずれた位相を、前記受信用クロックの位相に決定する、請求項6に記載のクロック制御回路。
【請求項8】
比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込み、受信周期パルスとして出力する周期パルス受信部と、
前記比較用クロックに基づいて、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスを生成する比較パルス生成部と、
複数の前記比較用クロックの位相にて、前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定する制御部と、
前記制御部からの指令に基づいて、前記比較用クロックと前記受信用クロックとを生成するクロック生成部と、
前記受信用クロックに基づいて、前記入力データを取り込むデータ受信部とを備えるデータ受信回路。
【請求項9】
前記クロック生成部は、入力される外部クロックに基づいて、該外部クロックに対して、それぞれ、前記制御部から指定された位相に従った位相差を有するクロックを、前記比較用クロック及び前記受信用クロックとして出力する、請求項8に記載のデータ受信回路。
【請求項10】
前記クロック生成部は、PLL(Phase Locked Loop)回路を含む、請求項9に記載のデータ受信回路。
【請求項11】
クロック生成回路におけるクロックの位相制御を行うクロック制御方法であって、
前記クロック生成回路が生成する比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込み、受信周期パルスを生成するステップと、
前記比較用クロックに基づいて、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスを生成するステップと、
前記比較用クロックの位相を変化させ、複数の前記比較用クロックの位相にて前記受信周期パルスと前記期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記クロック生成回路が生成する、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定するステップとを有するクロック制御方法。
【請求項12】
クロック生成回路に、クロックの位相制御を行う処理を実行させるプログラムであって、前記クロック生成回路に、
比較用クロックの位相を変化させ、該比較用クロックに基づいて、送信側から入力データと共に送信された入力周期パルスを取り込んだ受信周期パルスと、前記比較用クロックに基づいて生成された、前記入力周期パルスと同じ周期の期待周期パルスとが一致するか否かを監視し、該監視結果に基づいて、前記入力データのデータ取り込みに用いる受信用クロックの位相を決定する処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−225389(P2009−225389A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70594(P2008−70594)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】