説明

グループ通信を構成するネットワーク構成管理方法、管理サーバ及びプログラム

【課題】メンバとなる端末の負荷状態情報、処理能力等に応じて、グループ通信を構成するネットワークトポロジを動的に変更することができる、ネットワーク構成管理方法等を提供する。
【解決手段】端末から負荷状態情報を受信する。次に、端末毎に、負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定し、端末毎に、負荷状態情報に基づいて、代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する。次に、代表端末と選定された複数の端末について、負荷状態情報に基づいて、優先順にソートする。そして、従属端末以外の端末間は分散型で接続し、従属端末は代表端末に対して集中型で接続するように、グループ通信のネットワーク構成情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループ通信を構成するネットワーク構成管理方法、管理サーバ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユビキタス環境の下で、複数の端末をメンバとするグループ通信のサービスが提供されている。グループ通信のネットワークをどのように構成するかによっては、通信品質が異なり、サービス自体に影響を及ぼす。
【0003】
グループ通信のネットワーク構成には、集中型と分散型とがある。集中型の場合、メンバとなる端末間の通信は全て、センタサーバを介して行われる。従って、メンバとなる端末の増加と共に、センタサーバの処理負荷が大きくなり、センタサーバの通信帯域の消費も増加する。一方、分散型の場合、端末間で直接的にデータを送受信する。従って、センタサーバのような特定の端末に負荷が集中することはない。
【0004】
図1は、従来技術における分散型のグループ通信のネットワーク構成図である。
【0005】
図1によれば、端末a〜dをメンバとする1つのグループを構成しており、端末間でデータを同報的に送受信する。また、グループに属する端末のセッションを管理する管理サーバ2を備える。管理サーバ2は、グループ管理情報を有し、そのグループを構成するメンバの端末識別子を管理する。端末a〜dは、管理サーバ2との間で、セッション情報を送受信する。
【0006】
管理サーバを備えることなく、グループ通信を構成するネットワークを効率的に構成し且つ管理する技術がある(例えば特許文献1参照)。各ノードは、隣接ノードとの間のリンク情報を保持する。ノードは、ネットワークから離脱する際、リンク情報を他の任意のノードに放送し、ネットワークトポロジを再構築する。
【0007】
【特許文献1】特開2003−289302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分散型によってグループ通信のネットワークを構成する場合、メンバとなる端末は、同報的に複数の相手方端末と直接的に通信できる程度に高性能であって、かつ広帯域なネットワークに接続されている必要がある。
【0009】
しかしながら、グループのメンバとして、処理能力が低く又は通信帯域が狭い端末(例えば携帯電話機)が存在する場合もある。特に、近年のユビキタス環境においては、固定通信網と移動通信網とが混在するだけでなく、固定通信網に接続されたパーソナルコンピュータと、移動通信網に接続された携帯電話機とを、1つのグループとして通信させる需要も多い。例えば、テレビ会議サービスがある。
【0010】
この場合、グループ通信のメンバとなる端末自体の処理能力及びその通信帯域は、大きく異なっている。逆に、携帯電話機のような端末が多いグループは、集中型によってそのグループを構成する方がよい。センタサーバに負荷が集中することもなく、端末の低い処理能力を、センタサーバによって吸収することもできるからである。
【0011】
そこで、本発明は、メンバとなる端末の負荷状態情報、処理能力等に応じて、グループ通信を構成するネットワークトポロジを動的に変更することができる、ネットワーク構成管理方法、管理サーバ及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、複数の端末間でグループ通信を構成する管理サーバにおけるネットワーク構成管理方法において、
端末から負荷状態情報を受信する第1のステップと、
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する第2のステップと、
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する第3のステップと、
代表端末と選定された複数の端末について、負荷状態情報に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を生成する第4のステップと、
従属端末以外の端末間は分散型で接続し、従属端末は代表端末に対して集中型で接続するように設定したグループ通信のネットワーク構成情報を送信する第5のステップと
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のネットワーク構成管理方法における他の実施形態によれば、負荷状態情報は、端末におけるパケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率であることも好ましい。
【0014】
本発明のネットワーク構成管理方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、代表端末となるための閾値が設定されており、該閾値と負荷状態情報とを比較して判定するものであり、
第3のステップについて、パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、従属端末となるための閾値が設定されており、該閾値と負荷状態情報とを比較して判定するものであることも好ましい。
【0015】
本発明のネットワーク構成管理方法における他の実施形態によれば、負荷状態情報と共に、端末仕様情報、端末間遅延情報、及び/又は端末間帯域幅情報も用いられることも好ましい。
【0016】
本発明によれば、複数の端末間でグループ通信を構成する管理サーバにおいて、
端末から負荷状態情報を受信する端末状態情報受信手段と、
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する代表端末決定手段と、
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する従属端末決定手段と、
代表端末と選定された複数の端末について、負荷状態情報に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を蓄積したグループ管理情報蓄積手段と、
従属端末以外の端末間は分散型で接続し、従属端末は代表端末に対して集中型で接続するように設定したグループ通信のネットワーク構成情報を送信する送信手段と
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の管理サーバにおける他の実施形態によれば、負荷状態情報は、端末におけるパケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率であることも好ましい。
【0018】
本発明の管理サーバにおける他の実施形態によれば、
パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、代表端末となるための閾値が設定された代表端末閾値設定手段と、
パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、従属端末となるための閾値が設定された従属端末閾値設定手段と
を更に有し、
代表端末決定手段は、代表端末閾値設定手段に設定された閾値と、負荷状態情報とを比較して判定するものであり、
従属端末決定手段は、従属端末閾値設定手段に設定された閾値と、負荷状態情報とを比較して判定するものであることも好ましい。
【0019】
本発明の管理サーバにおける他の実施形態によれば、負荷状態情報と共に、端末仕様情報、端末間遅延情報、及び/又は端末間帯域幅情報も用いられることも好ましい。
【0020】
本発明によれば、複数の端末の間でグループ通信を構成する管理サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
端末から負荷状態情報を受信する端末状態情報受信手段と、
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する代表端末決定手段と、
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する従属端末決定手段と、
代表端末と選定された複数の端末について、負荷状態情報に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を蓄積したグループ管理情報蓄積手段と、
従属端末以外の端末間は分散型で接続し、従属端末は代表端末に対して集中型で接続するように設定したグループ通信のネットワーク構成情報を送信する送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のネットワーク構成管理方法等によれば、メンバとなる端末の負荷状態情報、処理能力等に応じて、グループ通信を構成するネットワークトポロジを動的に変更することができる。特に、集中型と分散型とのグループ通信の特性を利用して、ネットワークトポロジを適応的に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下では、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0023】
図2は、図1に、負荷状態情報を表示したネットワーク構成図である。
【0024】
図2に表される負荷状態情報は、以下の表1及び表2のように表される。
【0025】
表1は、端末の負荷状態情報を表す。端末ID「S」は管理サーバを表し、端末ID「a〜d」はグループ通信を構成する端末を表す。端末毎に、「パケット損失率(%)」、「CPU稼働率(%)」及び「メモリ使用率(%)」を測定する。
【表1】

【0026】
表2は、端末のスペック(機能仕様)情報を有する。端末スペックは、処理能力の低いものから順に、レベル1〜7で表される。
【表2】

【0027】
表1によれば、端末「a」は、パケット損失率1%、CPU稼働率5%及びメモリ使用率12%である。表2によれば、端末「a」は固定のパーソナルコンピュータであって、端末スペックは「レベル2」である。また、表1によれば、端末「c」は、パケット損失率22%、CPU稼働率45%及びメモリ使用率20%である。表2によれば、端末「c」は携帯電話機であって、端末スペックは「レベル1」である。
【0028】
表3は、端末間の遅延時間(ms)及び帯域幅を表す。これにより、分散型としてグループ通信を実現した場合の最大遅延が導出される。遅延時間はms単位で表され、帯域幅レベルは、帯域幅の狭いものから順にレベル1〜7で表される。
【表3】

【0029】
本発明によれば、グループを構成する端末は、以下の3つに分類される。
「代表端末」:負荷状態が低く且つ広帯域であって、中継機能を有し、分散型でネットワークに接続する端末
「従属端末」:参加端末の中でも特に端末の性能が低く若しくは狭帯域であって、又は、負荷状態が高く若しくは大きい回線遅延であって、グループ通信に中継装置を要し、その中継装置に対して集中型でネットワークに接続する端末
「参加端末」:負荷状態が低く且つ広帯域であって、分散型でネットワークに接続するが、中継機能を有さない端末
【0030】
管理サーバは、端末毎に、少なくとも負荷状態情報に基づいて、代表端末、従属端末又は参加端末のいずれかに分類する。負荷状態情報と共に、端末スペック、最大遅延及び/又は帯域幅を用いることも好ましい。そして、代表端末及び参加端末は、分散型でネットワークを構成し、従属端末は、代表端末に対して集中型でネットワークを構成する。
【0031】
管理サーバは、負荷状態情報等を各端末から定期的に取得することも好ましい。これにより、グループ通信を構成するネットワークトポロジを動的に変更することもできる。
【0032】
管理サーバは、端末の分類を、以下の3つのシーケンスによって決定する。
(1)代表端末としての条件判定
(2)従属端末としての条件判定
(3)代表端末を選択するための優先順位の決定
【0033】
(1)代表端末としての条件判定
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する。パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、代表端末となるための閾値が設定されており、その閾値と負荷状態情報とを比較して判定する。
【0034】
表4は、代表端末となる負荷状態閾値である。表4によれば、レベル毎に閾値が設定されており、負荷状態情報がどの範囲に属するかによって、レベルが決定される。
【表4】

【0035】
表5は、端末の負荷状態情報である表1と、代表端末となる負荷状態閾値である表4とを比較し、そのレベルを導出したものである。また、端末毎に、最大値となるレベルを「代表端末レベル」として決定する。表5によれば、端末cは、代表端末レベル「3」であり、代表端末として選択できないことを意味する。
【表5】

【0036】
(2)従属端末としての条件判定
端末毎に、負荷状態情報に基づいて、代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する。パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、従属端末となるための閾値が設定されており、その閾値と負荷状態情報とを比較して判定する。
【0037】
表6は、従属端末となる負荷状態閾値である。表6によれば、レベル毎に閾値が設定されており、負荷状態情報がどの範囲に属するかによって、レベルが決定される。
【表6】

【0038】
表7は、端末の負荷状態情報である表1と、従属端末となる負荷状態閾値である表6とを比較し、そのレベルを導出したものである。また、端末毎に、最大値となるレベルを「従属端末レベル」として決定する。表7によれば、端末cは、従属端末レベル「3」であり、従属端末となることを意味する。
【表7】

【0039】
表8は、前述された表2、3、5及び7の情報を合成し、グループ管理情報としたものである。
【表8】

【0040】
(3)代表端末を選択するための優先順位の決定
代表端末と選定された複数の端末について、負荷状態情報、最大遅延、端末スペック及び帯域幅に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を生成する。基本的に、優先順位の最上位の端末が、代表端末として選択される。但し、管理サーバが、最上位の端末へ代表端末指定要求を送信したにもかかわらず、拒否された場合には、第2位の端末が、代表端末として選択される。
【0041】
表9は、ソートされたグループ管理情報である。ソートは、代表端末レベル->最大遅延->端末スペック->帯域幅レベルの順で行われる。また、管理サーバ「S」と、従属端末「c」とは除かれる。表9によれば、端末ID「a」が、最上位の代表端末となる。
【表9】

【0042】
図3は、本発明におけるネットワーク構成図である。
【0043】
図2に表されたネットワーク構成は、本発明によって図3のように構成される。従属端末「c」は、最上位の代表端末「a」に従属的に接続される。従って、従属端末「c」は、代表端末「a」を介して、グループ通信のデータを送受信する。
【0044】
図4は、本発明におけるシーケンス図である。
【0045】
(S401)端末a及びbの間でデータが送受信され、グループ通信が実現されている。グループを構成するメンバは、管理サーバ2によって管理される。
(S402)端末bは、負荷状態情報を管理サーバ2へ送信する。負荷状態情報には、前述した表1〜3の情報が含まれる。即ち、負荷状態情報には、パケット損失率、CPU稼働率、メモリ使用率及び最大遅延情報が含まれる。ここで、端末スペック及び帯域幅情報のように固定的な情報は、グループに加入する際に管理サーバ2へ通知される。従って、図4によれば、端末bの端末スペック及び帯域幅情報は、S401の以前に既に管理サーバ2へ通知されているとする。
(S403)端末aも、負荷状態情報を管理サーバ2へ送信する。
【0046】
(S404)端末dを操作する利用者が、グループ通信を所望したとする。このとき、端末dは、利用者の操作によって、管理サーバ2へ「加入要求」を送信する。「加入要求」には、端末dの負荷状態情報が含まれる。
(S405)管理サーバ2は、端末dが、従属端末となるものであるか否かを判定する。表7によれば、端末dは、従属端末レベル「2」であり、従属端末となるものではない(レベル3は従属端末となる)。そうすると、管理サーバ2は、端末a、b及びdに対して、分散型でネットワークを構成することを指示するネットワーク構成情報を応答する。
(S406)これにより、端末a,b及びdは、分散型でネットワークを構成し、グループ通信を実現する。
【0047】
(S407〜S409)その後、端末a、b及びdは、負荷状態情報を管理サーバ2へ送信する。
(S410)携帯電話機cを操作する利用者が、グループ通信を所望したとする。このとき、携帯電話機cは、利用者の操作によって、管理サーバ2へ「加入要求」を送信する。「加入要求」には、携帯電話機cの負荷状態情報が含まれる。
【0048】
(S411)管理サーバ2は、端末cが、従属端末となるものであるか否かを判定する。表7によれば、端末cは、従属端末レベル「3」であり、従属端末となる。そうすると、管理サーバ2は、分散型でネットワークを構成する端末a、b及びdの中から、代表端末を選択する。ここで、表9によれば、端末aが代表端末として選択される。そこで、管理サーバ2は、携帯電話機cの代表端末となること指定する代表端末指定要求を、端末aへ送信する。
【0049】
(S412)これに対し、端末aは、携帯電話機cの代表端末となることが可能であれば、代表端末指定応答を管理サーバ2へ送信する。
(S413)これに対し、管理サーバ2は、携帯電話機cが端末aを代表端末として接続するべく、代表端末指定通知を携帯電話機cへ送信する。
(S414)携帯電話機cは、端末aに対して集中型でリンクを接続する。例えば、携帯電話機cが代表端末aに対して発呼することにより、又は、代表端末aが携帯電話機cへ発呼することにより、リンクを接続することができる。
(S415)これにより、携帯電話機cは、端末aを介してグループ通信をすることができる。
【0050】
図5は、本発明における管理サーバの機能構成図である。
【0051】
図5によれば、管理サーバ2は、端末状態情報受信部21と、代表端末決定部22と、従属端末決定部23と、代表端末閾値設定部24と、従属端末閾値設定部25と、グループ管理情報蓄積部26と、ネットワーク構成情報送信部27と、代表端末設定部28と、従属端末設定部29とを有する。これら機能部は、管理サーバ2に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムによっても実現できる。
【0052】
端末状態情報受信部21は、複数の端末から負荷状態情報(表1参照)を受信する。また、端末スペック情報(表2参照)及び端末間遅延情報(表3参照)も受信する。受信した負荷状態情報は、代表端末決定部22と、従属端末決定部23とへ通知される。
【0053】
代表端末決定部22は、端末毎に、負荷状態情報と、代表端末閾値設定部24の代表端末閾値(表4参照)とを比較し、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する(表5参照)。この結果は、グループ管理情報蓄積部26へ通知される。
【0054】
従属端末決定部23は、端末毎に、負荷状態情報と、従属端末閾値設定部25の従属端末閾値(表6参照)とを比較し、代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する(表7参照)。この結果は、グループ管理情報蓄積部26へ通知される。
【0055】
グループ管理情報蓄積部26は、代表端末決定部22及び従属端末決定部23によって得られた情報を、グループ管理情報(表8参照)として蓄積する。
【0056】
従属端末決定部23は、「加入要求」を送信した端末は従属端末であると判定した場合、グループ管理情報蓄積部26を参照し、最上位の代表端末の端末IDを導出する。従属端末決定部23は、代表端末IDを代表端末設定部28へ通知する。従属端末決定部23は、代表端末設定部28から代表端末の設定完了の通知を受けると、従属端末設定部29へ代表端末IDを通知する。一方、「加入要求」を送信した端末は従属端末でないと判定した場合、ネットワーク構成情報送信部27へ分散接続する旨を通知する。
【0057】
代表端末設定部28は、従属端末決定部23から通知されたIDの代表端末へ、代表端末指定要求を送信する。これに対し、代表端末設定部28は、その代表端末から代表端末指定応答を受信する。これにより、代表端末は、従属端末からの接続を許可することとなる。代表端末設定部28は、代表端末指定応答を受信すると、代表端末の設定完了を従属端末決定部23へ通知する。
【0058】
従属端末設定部29は、従属端末決定部23から通知された代表端末IDを含む代表端末指定通知を、従属端末へ送信する。これにより、従属端末は、指定された代表端末に接続する。
【0059】
ネットワーク構成情報送信部27は、従属端末決定部23から分散接続する旨の通知を受けると、分散型でネットワークを接続するべく、グループ管理情報を送信する。これにより、従属端末以外の端末は、分散型でネットワークを接続することができる。
【0060】
本発明のネットワーク構成管理方法等によれば、メンバとなる端末の負荷状態情報、処理能力等に応じて、グループ通信を構成するネットワークトポロジを動的に変更することができる。特に、集中型と分散型とのグループ通信の特性を利用して、ネットワークトポロジを適応的に変更することができる。
【0061】
前述した本発明の種々の実施形態において、当業者は、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略を容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来技術における分散型のグループ通信のネットワーク構成図である。
【図2】図1に、負荷状態情報を表示したネットワーク構成図である。
【図3】本発明におけるネットワーク構成図である。
【図4】本発明におけるシーケンス図である。
【図5】本発明における管理サーバの機能構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1 端末
2 管理サーバ
21 端末状態情報受信部
22 代表端末決定部
23 従属端末決定部
24 代表端末閾値設定部
25 従属端末閾値設定部
26 グループ管理情報蓄積部
27 ネットワーク構成情報送信部
28 代表端末設定部
29 従属端末設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末間でグループ通信を構成する管理サーバにおけるネットワーク構成管理方法において、
前記端末から負荷状態情報を受信する第1のステップと、
前記端末毎に、前記負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する第2のステップと、
前記端末毎に、前記負荷状態情報に基づいて、前記代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する第3のステップと、
前記代表端末と選定された複数の端末について、前記負荷状態情報に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を生成する第4のステップと、
前記従属端末以外の端末間は分散型で接続し、前記従属端末は前記代表端末に対して集中型で接続するように設定した前記グループ通信のネットワーク構成情報を送信する第5のステップと
を有することを特徴とするネットワーク構成管理方法。
【請求項2】
前記負荷状態情報は、前記端末におけるパケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率であることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク構成管理方法。
【請求項3】
前記第2のステップについて、パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、前記代表端末となるための閾値が設定されており、該閾値と前記負荷状態情報とを比較して判定するものであり、
前記第3のステップについて、パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、前記従属端末となるための閾値が設定されており、該閾値と前記負荷状態情報とを比較して判定するものである
ことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク構成管理方法。
【請求項4】
前記負荷状態情報と共に、端末仕様情報、端末間遅延情報、及び/又は端末間帯域幅情報も用いられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク構成管理方法。
【請求項5】
複数の端末間でグループ通信を構成する管理サーバにおいて、
前記端末から負荷状態情報を受信する端末状態情報受信手段と、
前記端末毎に、前記負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する代表端末決定手段と、
前記端末毎に、前記負荷状態情報に基づいて、前記代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する従属端末決定手段と、
前記代表端末と選定された複数の端末について、前記負荷状態情報に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を蓄積したグループ管理情報蓄積手段と、
前記従属端末以外の端末間は分散型で接続し、前記従属端末は前記代表端末に対して集中型で接続するように設定した前記グループ通信のネットワーク構成情報を送信する送信手段と
を有することを特徴とする管理サーバ。
【請求項6】
前記負荷状態情報は、前記端末におけるパケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率であることを特徴とする請求項5に記載の管理サーバ。
【請求項7】
パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、前記代表端末となるための閾値が設定された代表端末閾値設定手段と、
パケット損失率、CPU稼働率及びメモリ使用率毎に、前記従属端末となるための閾値が設定された従属端末閾値設定手段と
を更に有し、
前記代表端末決定手段は、前記代表端末閾値設定手段に設定された閾値と、前記負荷状態情報とを比較して判定するものであり、
前記従属端末決定手段は、前記従属端末閾値設定手段に設定された閾値と、前記負荷状態情報とを比較して判定するものである
ことを特徴とする請求項6に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記負荷状態情報と共に、端末仕様情報、端末間遅延情報、及び/又は端末間帯域幅情報も用いられることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項9】
複数の端末の間でグループ通信を構成する管理サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
前記端末から負荷状態情報を受信する端末状態情報受信手段と、
前記端末毎に、前記負荷状態情報に基づいて、中継可能な代表端末となり得るか否かを判定する代表端末決定手段と、
前記端末毎に、前記負荷状態情報に基づいて、前記代表端末に従属することを要する従属端末であるか否かを判定する従属端末決定手段と、
前記代表端末と選定された複数の端末について、前記負荷状態情報に基づいて、優先順にソートしたグループ管理情報を蓄積したグループ管理情報蓄積手段と、
前記従属端末以外の端末間は分散型で接続し、前記従属端末は前記代表端末に対して集中型で接続するように設定した前記グループ通信のネットワーク構成情報を送信する送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−189433(P2007−189433A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5078(P2006−5078)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】