説明

ゲート管理システム

【課題】 施設内の扉を管理しているゲート管理装置の限られたメモリを有効に活用できるゲート管理システムの提供を目的とする。
【解決手段】 本ゲート管理システムは、相互に通信可能に接続されている複数のゲート管理装置からなり、前記ゲート管理装置は、物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成し、前記ゲート管理装置のうち特定された1つのゲート管理装置が、自装置であった場合には、作成した通過情報および他のゲート管理装置から受信した通過情報のうち、いずれか一方を記憶し、特定された1つのゲート管理装置が、他のゲート管理装置であった場合には、作成した通過情報を当該他のゲート管理装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人の入退室を管理するシステムに関し、特に入退室履歴を記録するメモリ利用の効率化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入室が許可された者であることが確認された場合にのみ、扉の鍵が開き、入室できるような入退室管理システムが提供されている。
例えば、扉に電気錠とカードリーダが備えられ、入室したい者はカードリーダに認証用のカードを通し、認証されると電気錠が開錠され、部屋に入れるものである。
このような入退室管理システムは、各扉をネットワークで結び、認証を1つの認証装置で集中して行うものや、所定のエリア毎に管理装置を置き、エリア内の扉を管理するものなど様々な形態のシステムが考えられている(特許文献1参照)。
【0003】
更に、認証結果により扉を開閉するだけでなく、認証結果や、入室した者を特定できる情報などの入退室履歴情報を記録しておくシステムがある。
通常、これらの入退室履歴情報は、扉を管理しているゲート管理装置が記憶しており、何時、誰が入室したのかなどがわかり、セキュリティ管理に寄与している。
【特許文献1】特開2004−84278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、施設内に複数の扉がある場合には、各扉を通過する者の数にバラツキがあるのが通常である。また、時間帯によっても、扉を通過する者の数にバラツキがある。
また、各扉のゲート管理装置に搭載されているメモリには、当然ながら限度があり、通常、メモリが一杯になれば、記録されている情報は古い情報であるとして、新しい情報を上書きしていく。
【0005】
したがって、最近の情報しか記録されていないゲート管理装置と、古い情報を少量記憶するゲート装置とが並存することになり、メモリを有効に活用しているとは言い難い状態が生じている。
そこで、本発明は、施設内の扉を管理しているゲート管理装置の限られたメモリを有効に活用できるゲート管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明のゲート管理システムは、相互に通信可能に接続されている複数のゲート管理装置からなるゲート管理システムであって、前記ゲート管理装置は、物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成する通過情報作成手段と、通過情報を記憶するための記憶手段と、ゲート管理装置のうち、1の装置を特定する装置特定手段と、前記装置特定手段で特定されたゲート管理装置が、自装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報および他のゲート管理装置から受信した通過情報のうち、いずれか一方を前記記憶手段に記憶し、前記装置特定手段で特定されたゲート管理装置が、他のゲート管理装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を当該他のゲート管理装置に送信する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のゲート管理装置は、物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成する通過情報作成手段と、通過情報を外部に送信する送信手段と、通過情報を記憶するための記憶手段と、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を、自装置または他の装置で記憶するかを決定する決定手段と、前記決定された装置が、自装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を前記記憶手段に記憶し、他の装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を前記送信手段で送信する制御手段と を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るゲート管理システム及びゲート管理装置は、上述の構成を備えることにより、各ゲート管理装置が管理する扉を何かが通過しようとした情報を、自装置または他の装置で記録することができるので、できる限り上書きによって入退室履歴を消さずに、新しい履歴を記録できるようになる。すなわち、装置に搭載されているメモリを有効に利用できるようになる。
【0009】
例えば、通過する社員等の数が多い扉を管理するゲート管理装置のメモリはすぐに一杯となり古い履歴は残っていないが、通過する社員等の数が少ない扉を管理するゲート管理装置には古い履歴から残っており且つメモリは空いているということが起こり得るが、このような事をなくすことが可能になる。
すなわち、本発明により、ゲート管理装置が管理する扉の通過頻度によらず、全装置が均等に入退室情報を保持するからであり、メモリの使用効率が良くなる。
【0010】
従って、システム全体でメモリの容量を考慮すればよくなり、特定のゲート管理装置のメモリを増設するなどせずとも、必要な情報を記録することができるようになる。
また、前記装置特定手段は、前記複数のゲート管理装置のうち、いずれかのゲート管理装置の記憶手段が所定数の通過情報を記憶した場合に、当該ゲート管理装置は、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置に、以後通過情報を記憶させるべきゲート管理装置を特定するための特定情報を送信し、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置の装置特定手段は、受信した前記特定情報に基づいてゲート管理装置の特定を行うこととしてもよい。
【0011】
これにより、所定の数の通過情報を記録したら、記録先装置の変更を行うことが可能となるので、メモリを満遍なく利用することができるようになる。
また、前記複数のゲート管理装置のうち、いずれかのゲート管理装置の記憶手段が所定時間のあいだ、通過情報を記憶した場合に、当該ゲート管理装置は、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置に、以後通過情報を記憶させるべきゲート管理装置を特定するための特定情報を送信し、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置の装置特定手段は、受信した前記特定情報に基づいてゲート管理装置の特定を行うこととしてもよい。
【0012】
これにより、所定時間の間、通過情報を記録したら、記録先装置の変更を行うことが可能となるので、通過情報が頻繁に発生する時間帯や扉を考慮することで、メモリを満遍なく利用することができるようになる。
例えば、社員が多く通過する時間帯は、メモリ容量が大きい装置を記録先装置として割り当てるなどである。
【0013】
また、前記複数のゲート管理装置のうち、いずれかのゲート管理装置の記憶手段が所定容量の通過情報を記憶した場合に、当該ゲート管理装置は、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置に、以後通過情報を記憶させるべきゲート管理装置を特定するための特定情報を送信し、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置の装置特定手段は、受信した前記特定情報に基づいて、記憶手段の空容量が最も大きいゲート管理装置を特定することとしてもよい。
【0014】
これにより、所定量の通過情報を記録したら、記録先装置の変更を行うことが可能となり、メモリの空容量が大きい装置を記録先装置とすることができるので、メモリを満遍なく利用することができるようになる。また、システム全体として、メモリを最大限に利用することができ、履歴をより多く記録できるという利点がある。
最も空容量が大きいメモリを有するゲート管理装置が記録先装置となるので、時間を追うごとにメモリの空容量が均等化され、システム構成が変更されても容易に対応が可能となる。
【0015】
すなわち、容量変更、装置の追加、障害等で切離す場合でも、装置間でそれぞれの空容量を通知しあうため、記録先装置を変更するための条件、例えば、記録する装置の順番などを設定し直さなくても、自動的に記録先を変更しメモリを有効に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態1>
<概要>
本発明に係るゲート管理システムは、扉を管理するゲート管理装置同士を、データのやり取りができるようにネットワークで結び、互いに、入退室履歴情報を記録し合うシステムである。
【0017】
すなわち、自装置が管理する扉の入退室履歴情報は全て自装置が記録するのではなく、所定の規則に基づいて、他のゲート管理装置に記録してもらい、また、他のゲート管理装置の履歴情報を記録することで、システム全体としてメモリの利用効率を高めるものである。
以下、本発明であるゲート管理システムの例を説明する。
【0018】
この例は、ある会社の入退室管理システムであり、社員は入退室の際に、扉の横にあるテンキー付きのカードリーダで、社員IDが記録されたカードを読み込ませて、自分の暗証番号を入力し、扉を開くものとする。
また、入退室情報を記録する方法は、あるゲート管理装置を記録先装置として特定し、ある一定の情報を記録したら、記録先装置を順次変えていくこととする。記録先装置は全ての扉の入退室情報を記録する。順次記録先の装置を変えていき、各装置のメモリを満遍なく使用する。
【0019】
<構成>
まず、本発明の実施形態に係るゲート管理システムの構成例について図1を用いて説明する。
図1は、ゲート管理システムの構成例を表す図である。
ゲート管理システムは、互いにネットワーク接続された複数のゲート管理装置で構成されている。ゲート管理装置はそれぞれ、1以上の扉を管理している。
【0020】
本来、ゲート管理装置は、数多くあることが想定されるが、本図では、説明の便宜上、ゲート管理装置1000とゲート管理装置2000との2つのゲート管理装置を記載している。
ゲート管理装置1000、ゲート管理装置2000などのゲート管理装置は、ネットワーク10で接続されており、全てのゲート管理装置は、基本的に同じ構成を有している。但し、記憶しているデータが若干異なる。この違いについては、後述の<データ>で説明する。
【0021】
従って、ここでは、ゲート管理装置1000の構成のみを説明することとし、以下、ゲート管理装置1000の構成を示す機能ブロックを説明する。
ゲート管理装置1000は、制御部1100、接続情報記憶部1200、認証情報記憶部1300、入退室履歴記憶部1400、通信部1500、記録先装置特定部1600、認証部1700および入退室履歴作成部1800から構成される。
【0022】
まず、制御部1100は、図示しないCPU、メモリ等を備え、各機能部への実行指示や扉の開閉などの制御処理を行う機能を有する。
接続情報記憶部1200は、本ゲート管理システムを構成するゲート管理装置に関する情報である接続情報1210と、記録先装置等の情報である記録先情報1220とを記憶しておく機能を有する。
【0023】
また、認証情報記憶部1300は、社員のIDとその社員の暗証番号とから成る認証情報1310を記憶しておく機能を有する。
入退室履歴記憶部1400は、どの扉を何時誰が通過したのか等の入退室情報1420を蓄積し、入退室履歴情報1410として記憶しておく機能を有する。
この入退室履歴記憶部1400には、自装置が管理する扉の入退室履歴だけでなく、他の装置が管理する扉の入退室履歴も記憶している。
【0024】
これら記憶部に記録されるデータの内容に関しては、後述の<データ>で詳細に説明する。
次に、通信部1500は、ネットワーク10を介して、他のゲート管理装置とデータをやり取りする機能を有する。
記録先装置特定部1600は、現時点での入退室に関する情報をどのゲート管理装置に記憶するかを管理する機能を有する。
【0025】
具体的には、制御部1100からの記録先の問い合わせに対して、自装置の入退室履歴記憶部1400に記憶するのか、また、他のゲート管理装置に記録するならば、どのゲート管理装置であるかを返す機能を有する。
また、この記録先装置特定部1600は、適時、記録先を変更する機能を有する。記録先を変更するタイミングは、本実施形態では、2つある。1つは、記録先が自装置であり、所定数の入退室情報1420を記録した時点で次の装置に変更する場合である。2つ目は、記録先を変更する旨の通知を、制御部1100等を介して他の装置から受けた場合である。
【0026】
認証部1700は、入退室しようとする社員が、入室等ができるか否かを判断する機能を有する。判断は、認証情報記憶部1300に記憶されている認証情報1310を基に判断する。
入退室履歴作成部1800は、自装置が管理している扉を何時誰が通過したのか等の入退室情報1420を作成し、制御部1100の指示に応じて、入退室履歴記憶部1400の入退室履歴情報1410に追加して記憶させるか、または、制御部1100に渡す機能を有する。
【0027】
次に、ゲート管理装置1000が管理している扉1010の構成を示す機能ブロックを説明する。
扉1010は、電気錠1011、入室用リーダ1012、退室用リーダ1013および図示していないドアから構成される。
電気錠1011は、ドアを通行可能状態と通行不可能状態にするために、ドアを開錠及び施錠する機能を有し、ゲート管理装置1000の制御部1100からの指示により開錠又は施錠を行う機能を有する。
【0028】
入室用リーダ1012は、カードリーダと暗証入力用のテンキーを備え、該当する部屋の外側に設置されている。入室しようとする社員のカードから読み取った社員IDと、テンキーで入力された暗証番号とをゲート管理装置1000の制御部1100に渡す機能を有する。
また、退室用リーダ1013は、該当する部屋の内側に設置されており、入室用リーダ1012と同様の機能を有する。
【0029】
また、ゲート管理装置2000は、制御部2100、接続情報記憶部2200、認証情報記憶部2300、入退室履歴記憶部2400、通信部2500、記録先装置特定部2600、認証部2700および入退室履歴作成部2800から構成され、それぞれ、ゲート管理装置1000の、制御部1100、接続情報記憶部1200、認証情報記憶部1300、入退室履歴記憶部1400、通信部1500、記録先装置特定部1600、認証部1700および入退室履歴作成部1800と同様の機能を有している。
【0030】
さらに、ゲート管理装置2000が管理している扉2010は、電気錠2011、入室用リーダ2012、退室用リーダ2013および図示しないドアから構成され、それぞれ、 扉1010の電気錠1011、入室用リーダ1012、退室用リーダ1013と同様の機能を有している。
ここで制御部1100等の各部による各処理の全部または一部は、CPUが各種プログラムを実行することにより実現されるものである。
【0031】
<データ>
以下、本発明であるゲート管理システムが用いる主なデータについて、図2〜図4を用いて説明する。
図2は、接続情報記憶部1200に記憶されているデータの例を示す図であり、図2(a)は、接続情報1210の内容例を示す図であり、図2(b)は記録先情報1220の内容例を示す図である。
【0032】
まず、図2(a)に示す接続情報1210は、ゲート管理装置ID1211、アドレス1212およびデータ数1213で構成される。この接続情報1210は、全てのゲート管理装置で同じものを各接続情報記憶部1200に記憶している。
ゲート管理装置ID1211は、システムを構成するゲート管理装置の識別子である。
アドレス1212は、通信を行なうための、ゲート管理装置ID1211で表されるゲート管理装置のIPアドレス等のアドレスである。
【0033】
データ数1213は、ゲート管理装置ID1211で表されるゲート管理装置が記録する入退室情報1420の数を表す。
本実施形態では、接続情報1210のゲート管理装置ID1211に示される順に、記録先を順次変えていくこととし、記録先となった装置は、このデータ数1213で表される個数の入退室情報を記憶したら記録先を変更することとする。
【0034】
例えば、ゲート管理装置ID1211が「G100」で表されるゲート管理装置は、そのアドレスが「addr_100」であり、データ数1213「8」個の入退室情報を、記録先として順番が回ってくる度に記録する。
このデータ数1213は、ゲート管理装置が搭載するメモリ量に応じて決めたり、同じ数にするなどであってもよい。
【0035】
次に、図2(b)に示す記録先情報1220は、自装置ID1221、記録先装置ID1222およびゲート管理装置数1223で構成される。この記録先情報1220は、全てのゲート管理装置で、自装置ID1221を除いて同じものを各接続情報記憶部1200に記憶している。
自装置ID1221は、自装置を表すゲート管理装置IDであって、該当するゲート管理装置ID1211である。従って、この自装置ID1221の内容は、ゲート管理装置ごとに異なる。
【0036】
記録先装置ID1222は、現時点での入退室情報を記録するゲート管理装置を表すゲート管理装置ID1211である。この内容は、各装置の記録先装置特定部(1600等)によって、更新される。
ゲート管理装置数1223は、本システムを構成するゲート管理装置の個数を表している。本実施形態では、接続情報1210のゲート管理装置ID1211は、最初のゲート管理装置ID1211からゲート管理装置数1223の個数分有効とする。
【0037】
次に、図3は、認証情報1310の内容例を示す図である。
この認証情報1310は、認証情報記憶部1300に記憶されており、全ゲート管理装置で基本的に同じ内容である。但し、扉によって入退室が許されない社員がある場合は、その旨の情報があってもよい。本実施形態では、説明の便宜上、同じ内容であるとする。
認証情報1310は、社員ID1311と暗証番号1312とで構成される。
【0038】
社員ID1311は、社員の識別子である。
暗証番号1312は、社員固有の暗証番号であり、社員ID1311と対応する。入室用リーダ等でカードから読み込まれた社員ID1311とテンキーで入力された暗証番号1312との対応が取れた場合に、認証されたものと判断される。
図4は、入退室履歴に関する情報であり、図4(a)は入退室情報1420の内容例を示す図であり、図4(b)は入退室履歴情報1410の内容例を示す図である。
【0039】
この入退室履歴情報1410は、入退室履歴記憶部1400に記憶されており、その内容は、ゲート管理装置ごとに異なる。入退室履歴情報1410は、複数の入退室情報1420で構成されている。
図4(a)の入退室情報1420は、1つの扉を1回通過しようとした際に、1つ作成され、記録先装置にも、この形式で送信される。
【0040】
入退室情報1420は、扉1411、日時1412、社員ID1413および通行可否結果1414で構成される。
扉1411は、社員が通過しようとした扉と、入室、退室どちらをしようとしたのかを示している。例えば、最初の入退室情報1420の扉1411「G100A−入」は、扉「G100A」の「入室用リーダ」を操作したことを表す。
【0041】
尚、「G100」はゲート管理装置ID1211「G100」で表されるゲート管理装置が管理している扉であることを表し、「A」は扉の識別子であり、「入」は入室用リーダ1012を、「退」は退室用リーダ1013を操作したことを表している。
日時1412は、社員が入室用リーダ1012または退室用リーダ1013を操作した時間を表している。
【0042】
社員ID1413は、入退室を行おうとした社員の社員IDを表している。
通行可否結果1414は、実際に通行が行われたか、すなわち、認証が成功したか否かが示される。「OK」は認証が成功して、社員が扉を通過した場合を示し、「NG」は認証が失敗した場合を示している。
図4(b)の入退室履歴情報1410は、入退室情報1420を蓄積したものであり、構成は入退室情報1420と同様である。
【0043】
<動作>
以下、上述したゲート管理システムの動作について図5を用いて説明する。
図5は、記録先装置がゲート管理装置2000である場合の各ゲート管理装置の処理を示すフローチャートである。
この図では、2つの処理を説明する。
【0044】
1つは、あるゲート管理装置が管理する扉を社員が通過し、その入退室情報を他のゲート管理装置が記録する場合の処理であり、2つ目は、記録先装置を変更する場合の処理である。
前提として、最初に記録先のゲート管理装置の決め方について説明する。
<記録先のゲート管理装置の決め方>
各ゲート管理装置の接続情報記憶部1200に記憶されている接続情報1210の順番にきめられていくものとする。例えば、最初はゲート管理装置ID1211が「G100」の装置、次が「G200」の装置というようにである。
【0045】
次の装置に変更するタイミングは、データ数1213の数分の入退室情報1420を記憶したときである。例えば、「G100」の装置が記録先装置とすると、8つの入退室情報1420を記憶したら、記録先を変更する旨を他の全ゲート管理装置に対して通知する。変更後の記録先装置は、「G200」の装置となる。
この変更を最後の装置まで行ったら、また最初から繰り返す。この繰返しが行われる装置の個数は、ゲート管理装置数1223の値である。例えば、「8」であれば、上から8つの装置が順番で記録先装置となることになる。
【0046】
新しい装置が追加、削除されれば、この数もそれに合わせて変わることになる。
<入退室情報を他のゲート管理装置が記録する場合の処理>
まず、1つ目の処理として、ゲート管理装置1000の管理する扉を社員が通過し、その入退室情報1420をゲート管理装置2000が記録する場合の処理を説明する。
尚、ゲート管理装置1000のゲート管理装置ID1211は「G100」、ゲート管理装置2000のゲート管理装置ID1211は「G200」とする。
【0047】
また、各ゲート管理装置は同じ機能を有することから、同じフローチャートであるが、入退室情報を送信する側、受信して記憶する側、それぞれで実行されるルートを太線で示している(図6も同様)。
まず、ある社員がゲート管理装置1000の管理する扉であって、扉の識別子が「A」の扉1010を通過しようとする。扉1010の入室用リーダ1012のカードリーダに自分のIDカードを通し、テンキーで暗証番号を入力する。
【0048】
入室用リーダ1012は、通されたカードから社員ID1311を読み込み、テンキーの押下を検知し暗証番号1312を取得して、制御部1100に渡す。
制御部1100は、受取った社員ID1311と暗証番号1312とを認証部1700に渡し、認証を依頼する。この際、内蔵するタイマ(図示していない)から、現在の日付と時刻とを取得し作業領域(図示していない)に記憶しておく。
【0049】
認証を依頼された認証部1700は、認証情報記憶部1300に記憶されている認証情報1310を参照し、渡された社員ID1311と暗証番号1312とが対になっているか否かを判断する(ステップS100)。判断結果を、制御部1100に返す。
判断結果を受取った制御部1100は、対になっている場合、すなわち、認証が成功した場合は電気錠1011に開錠する旨の指示を出し、認証が成功しなかった場合は、電気錠1011に指示は行わない。
【0050】
例えば、社員ID1311が「000000001」で、暗証番号1312が「1234」であった場合は、認証が成功したと判断される。
その後、制御部1100は、社員ID,判断結果、扉の識別子および作業領域に記憶していた日付と時間とを入退室履歴作成部1800に渡し、入退室情報1420の作成を依頼する。
【0051】
依頼を受けた入退室履歴作成部1800は、入退室情報1420を作成する(ステップS110)。
例えば、扉1411が「G100A−入」、日時1412が「2005/09/14 11:40」、社員ID1413が「000000001」、通行可否結果1414が「OK」である。
入退室履歴作成部1800に入退室情報1420の作成を依頼した制御部1100は、同時に、記録先装置特定部1600に記録先を問い合わせる。
【0052】
問い合わせを受けた記録先装置特定部1600は、接続情報記憶部1200に記憶されている記録先情報1220を参照し、自装置ID1221と記録先装置ID1222を読み出す。
記録先装置特定部1600は、記録先として、読み出した自装置ID1221と記録先装置ID1222とが同じであればその旨を、異なれば記録先装置ID1222のアドレス1212を制御部1100に返す(ステップS120)。
【0053】
記録先を受取った制御部1100は、記録先が自装置であれば(ステップS120:自装置)、その旨を入退室履歴作成部1800に通知し、作成した入退室情報1420を入退室履歴記憶部1400の入退室履歴情報1410に追加して記憶させるよう指示する。入退室履歴作成部1800は、入退室履歴情報1410を入退室履歴情報1410に追加し記憶させる(ステップS130)。
【0054】
記録先が他装置であれば(ステップS120:他装置)、作成した入退室情報1420を入退室履歴作成部1800から受け取り、記録先装置特定部1600から受取ったアドレス1212とともに、通信部1500に渡し、送信を依頼する。
例えば、自装置ID1221が「G100」、記録先装置ID1222が「G200」の場合は、他装置と判断され、ゲート管理装置ID1211が「G200」に対応するアドレス1212「addr_200」がアドレスとして通信部1500に渡されることになる。
【0055】
送信依頼を受けた通信部1500は、入退室情報1420をアドレス1212宛に送信する(ステップS140)。
送信された入退室情報1420は、ネットワーク10を介して、ゲート管理装置2000の通信部2500が受信する(ステップS141)。
記録先装置であるゲート管理装置2000の通信部2500は、受信した入退室情報1420を制御部2100に渡す。
【0056】
通信部2500から入退室情報1420を受取った制御部2100は、入退室履歴作成部2800に受信した入退室情報1420を渡し、記憶する旨の指示を出す。
指示を受けた入退室履歴作成部2800は、入退室履歴記憶部2400に記憶させる(ステップS230)。
例えば、入退室履歴記憶部2400の入退室履歴情報1410には、扉1411が「G100A−入」、日時1412が「2005/09/14 11:40」、社員ID1413が「000000001」、通行可否結果1414が「OK」の入退室情報1420が記録される。
【0057】
記録先であるゲート管理装置2000の管理する扉を社員が通過しようとした場合は、ゲート管理装置1000と同様の動作を行う。すなわち、社員の認証がなされ(ステップS200)、入退室情報1420が作成され(ステップS210)、記録装置は自装置であると判断され(ステップS220)、入退室情報1420は入退室履歴記憶部2400に記憶させる(ステップS230)。
【0058】
ゲート管理装置2000が記録先装置でなくなった場合には、入退室情報1420を記録先装置に送信する(ステップS240)。
<記録先装置を変更する場合の処理>
次に、記録先装置を変更する場合について説明する。
制御部2100は、予め記録先装置特定部2600に自装置の入退室情報1420を記録する数を問い合わせて、記憶しておくものとする。例えば、初期処理で、記録先装置特定部2600は、接続情報記憶部2200の接続情報1210を参照し、自装置ID1221のゲート管理装置ID1211に対応するデータ数1213を制御部に知らせる。
【0059】
記録先装置であるゲート管理装置2000の制御部2100は、入退室履歴作成部2800に、自装置が管理する扉の入退室情報1420と他の装置から送られてくる入退室情報1420とを、入退室履歴記憶部2400に記憶させる(ステップS230)。
制御部2100は、今回記録先装置となった時点から、記録した入退室情報1420の数をカウントしておき、データ数1213に達したら(ステップS250:Y)、記録先を変更する旨の通知を他の全てのゲート管理装置に送るよう通信部2500に指示する。
【0060】
指示を受けた通信部2500は、記録先を変更する旨の通知を全装置に対して送信する。
また、制御部2100は、記録先装置特定部2600に対して、記録先を変更するよう依頼する(ステップS161)。
依頼を受けた記録先装置特定部2600は、接続情報記憶部2200に記憶されている記録先情報1220の記録先装置ID1222を更新する(ステップS260)。すなわち、現在の記録先装置ID1222が「G100」であれば、接続情報1210のゲート管理装置ID1211が「G100」の次のゲート管理装置ID1211「G200」を、新しい記録先装置ID1222とする。
【0061】
尚、制御部2100は、自装置が記録先装置でない場合に送られてきた入退室情報1420を記録はするものとするが、カウントは行わないものとする。
<変形例>
実施形態1では、記録先のゲート管理装置の決め方において、次の装置に変更するタイミングは、データ数1213の数分の入退室情報1420を記憶したときであるとしていた。(上述した<記録先のゲート管理装置の決め方>参照。)
本変形例では、記録したデータの数ではなく、時間を用いる点が異なる。
【0062】
すなわち、所定時間の間、入退室情報1420を記録したら、次の記録先に更新する。
<データ>
本変形例で用いるデータに関して、実施形態1と異なるのは接続情報1210のみである。
図11に、本変形例の接続情報9210の内容例を示す。
【0063】
この接続情報9210と実施形態1の接続情報1210との違いは、データ数1213の替わりに期間9211を記憶していることである。
例えば、ゲート管理装置ID1211が「G100」で表される装置が記録先となった場合には、期間9211「20」分の間、自装置および他装置からの入退室情報1420を記録する。
【0064】
<動作>
本変形例と実施形態1との動作の違いは、図5のフローチャートのステップS250およびステップS150である。
実施形態1では、制御部2100は記録した入退室情報1420の数をカウントしていたが、その代わりに、時間をカウントする。時間は、内蔵するタイマから得るものとする。
【0065】
制御部2100は、記録先装置となった時から時間をカウントし始め、自装置の期間9211が経過したら、記録先を変更する旨の通知を他の全てのゲート管理装置に送るよう通信部2500に指示する
例えば、ゲート管理装置ID1211が「G200」で表される装置が記録先となった場合には、期間9211「60」分経過したら、記録先を変更する旨の通知を送る。
【0066】
この場合、メモリを効率よく利用できることに加え、例えば、時間的に社員の入退室が集中する時間帯に、入退室履歴記憶部の容量が大きい装置を記録先装置としたり、入退室が集中する扉を記録先装置としたりすることで、ネットワーク上を流れるデータ量を必要最小限にでき、社員は入退室をスムーズに行うことができるようになる。
<実施形態2>
実施形態1においては、記録先装置の更新指示により記録先装置となっていない装置であっても、他のゲート管理装置から送られてくる入退室情報1420は、全て記録する。
【0067】
記録先装置を自装置から他の装置へ更新が行われた直後に、入退室情報1420を受信する場合があるからである。
例えば、記録先装置の変更が行われるときとほぼ同時に複数人の入退室が発生したり、ネットワークの渋滞など何らかの理由で、情報の受信タイミングが遅れた場合である。
実施形態1では、受信された入退室情報を全て記録することで、現時点では記録先装置ではない前の記録先装置が受信してしまった場合にも、記録の漏れをなくすことができるようにしている。
【0068】
本実施形態では、このような場合にも、正しい記録先装置に入退室情報1420が記録されるようにしたものである。
つまり、記録先装置を変更する旨の通知を出した装置、すなわち前記録先装置が入退室装置を受信した場合には、現記録先装置に転送することで、正しい記録先装置に記録される。
【0069】
本実施形態で用いるデータは、実施形態1で用いるものと同じである。
以下、本実施形態の動作について、説明する。
<動作>
図6は、記録先装置であるゲート管理装置の処理を示すフローチャートである。
図5に示す実施形態1のフローチャートと異なる点は、他のゲート管理装置から送信されてきた入退室情報を必ずしも自装置に記録するわけではない点である。
【0070】
すなわち、他のゲート管理装置から入退室情報を受信した場合に、既に自装置が記録先装置ではなくなっている場合には、現在の記録先装置に転送することである。
入退室情報1420を送信する側の装置の動作と、現在の記録先装置の動作は、実施形態1の動作と同様である。
従って、ここでは、入退室情報1420を送信する側の装置の動作と前記録先装置の動作について、図5のフローチャートとの相違点のみを説明する。
【0071】
送信する側の通信部1500は、入退室情報1420をアドレス1212宛に送信する(ステップS140)。
送信された入退室情報1420は、ネットワーク10を介して、ゲート管理装置2000の通信部2500が受信する(ステップS300)。
通信部2500を介して、受信した入退室情報1420を受取った制御部2100は、まず、自装置が記録先装置であるか否かを記録先装置特定部2600に問い合わせる(ステップS310)。
【0072】
問い合わせを受けた記録先特定部2600は、自装置ID1221と記録先装置ID1222とが同じである場合は、自装置が記録先装置である旨を、異なる場合は、自装置が記録先装置ではない旨と記録先装置ID1222のアドレス1212とを通知する(図2参照)。
自装置が記録先装置ではない旨の通知を受けた制御部2100は(ステップS310:他装置)、入退室情報1420を通知されたアドレス宛に送信する。すなわち、通信部2500に指示する(ステップS320)。
【0073】
また、自装置が記録先装置である旨の通知を受けた制御部2100は(ステップS310:自装置)、入退室履歴作成部2800に受信した入退室情報1420を渡し、記憶する旨の指示を出す。
本実施形態の場合は、本来の記録先装置に入退室情報が記録され、メモリの有効利用が予定通りに行えるという利点がある。
【0074】
<実施形態3>
実施形態1では、記録先装置を1装置としているが、本実施形態では2装置である点が異なる。
すなわち、バックアップ機能を持たせたものである。従って、ゲート管理装置が故障した場合に、入退室情報が紛失してしまう可能性が低くなるという利点がある。
【0075】
<データ>
本実施形態で用いるデータに関して、実施形態1と異なるのは記録先情報7220のみである。
図8に、本実施形態の記録先情報7220の内容例を示す。
この記録先情報7220と実施形態1の記録先情報1220との違いは、記録先装置IDを2つ持っている点である。記録先装置ID−1(7221)と記録先装置ID−2(7222)とである。
【0076】
<動作>
本実施形態と実施形態1との動作の違いは、図5のフローチャートのゲート管理装置(記録先装置以外)1000の側、すなわち情報を送信する側の装置の動作である。
図7を用いて、ゲート管理装置1000の動作を説明する。
図5のゲート管理装置1000のフローのステップS120とステップS140とが異なる。ここでは、異なる点のみを説明する。
【0077】
社員が扉を通過しようとし、制御部1100は、入退室情報1420の作成を入退室履歴作成部1800に対して行うとともに、記録先装置特定部1600に記録先を問い合わせる。
制御部1100から、記録先の問い合わせを受けた記録先装置特定部1600は、接続情報記憶部1200に記憶されている記録先情報7220を参照し、自装置ID1221と記録先装置ID−1(7221)と記録先装置ID−2(7222)とを読み出す。
【0078】
記録先装置特定部1600は、記録先として、読み出した自装置ID1221と記録先装置ID−1または記録先装置ID−2とが同じであればその旨と、自装置以外の記録先装置ID−1または記録先装置ID−2のアドレス1212とを制御部1100に返す。また、異なればその旨と、記録先装置ID−1と記録先装置ID−2のアドレス1212を制御部1100に返す(ステップS400)。
【0079】
記録先を受取った制御部1100、記録先に自装置が含まれれば(ステップS400:含自装置)、その旨を入退室履歴作成部1800に通知し、作成した入退室情報1420を入退室履歴記憶部1400に記憶させる(ステップS130)。
それと同時に、作成した入退室情報1420を入退室履歴作成部1800から受け取り、記録先装置特定部1600から受取った自装置以外のアドレス1212とともに、通信部1500に渡し、送信を依頼する(ステップS410)。
【0080】
一方、記録先が他装置のみであれば(ステップS400:他装置のみ)、作成した入退室情報1420を入退室履歴作成部1800から受け取り、記録先装置特定部1600から受取った2つのアドレス1212とともに、通信部1500に渡し、送信を依頼する(ステップS420、ステップS430)。
例えば、自装置ID1221が「G100」、記録先装置ID−1(7221)が「G200」、記録先装置ID−2(7222)が「G200」の場合は、他装置のみと判断され、ゲート管理装置ID1211が「G200」と「G300」に対応するアドレス2つがアドレスとして通信部1500に渡されることになる。
【0081】
送信依頼を受けた通信部1500は、入退室情報1420をアドレス1212宛に送信する。
<実施形態4>
実施形態1では、記録先のゲート管理装置の決め方において、次の装置に変更するタイミングは、データ数1213の数分の入退室情報1420を記憶したときであるとしていた。(上述した<記録先のゲート管理装置の決め方>参照。)
本実施形態では、記録したデータの数ではなく、ゲート管理装置のメモリの空容量によって、次の記録先装置を決定する点が異なる。
【0082】
<データ>
本実施形態用いるデータに関して、実施形態1と異なるのは接続情報1210のみである。
図10に、本実施形態の接続情報8210の内容例を示す。
この接続情報8210と実施形態1の接続情報1210との違いは、データ数1213の替わりに空容量2211を記憶していることである。
【0083】
<動作>
本実施形態と実施形態1との動作の違いは、図5のフローチャートのゲート管理装置(記録先装置以外)2000の側、すなわち、記録先装置の側の動作である。
図9を用いて、ゲート管理装置2000の動作を説明する。
図5のゲート管理装置2000のフローのステップS250とステップS260とが異なる。ここでは、それらに対応するステップS500、ステップS510およびステップS520のみを説明する。
【0084】
記録先装置であるゲート管理装置2000の制御部2100は、入退室履歴作成部2800に、自装置が管理する扉の入退室情報1420および他の装置から送られてくる入退室情報1420を、入退室履歴記憶部2400に記憶させる(ステップS230)。
制御部2100は、同時に、今回記録先装置となった時点から、記録した入退室情報1420の総容量数を記憶しているものとし、記憶している総量を更新する(ステップS500)。
【0085】
制御部2100が記憶している今回の総容量が規定の容量に達したら(ステップS510:規定値以上)、当該装置の空容量8211と記録先装置とを変更する旨の通知を他の全てのゲート管理装置に送るよう通信部2500に指示する(ステップS520、ステップS521)。
同時に、記録先装置特定部2600に、自装置の空容量と記録先装置とを更新する旨指示する。指示を受けた記録先装置特定部2600は、接続情報8210の自装置に対応する空容量8211と記録先装置ID1222とを更新する。
【0086】
記録先装置としては、その時点での空容量が最も大きい装置とする。
また、その旨を受信した他の装置は、自装置内の接続情報8210の現記録先装置の空容量を更新し、記録先装置を次の装置とする。
一方、規定の容量に達しない場合(ステップS510:規定値未満)は、続いて入退室情報を記憶する。
【0087】
<補足>
以上、本発明に係るゲート管理システムについて実施形態に基づいて説明したが、このシステムを部分的に変形することもでき、本発明は上述の実施形態に限られないことは勿論である。即ち、
(1)実施形態では、記録先装置の変更のタイミングを、入退室情報の記憶数や時間、メモリ容量等としているが、それらを組み合わせて変更のタイミングを決定することとしてもよい。
【0088】
例えば、全装置の中で、最も空容量が大きいものを次の記録先装置とし、全ての装置の空容量が均等化したら、各装置に応じた入退室情報の数分を記録するようにするなどである。
また、空容量が同じである場合は、現記録先装置を優先する、接続情報の最初の方の装置を優先するなどとしてもよい。
(2)実施形態4では、空容量が最も大きいメモリのゲート管理装置を次の記録先装置としていたが、それに限られず、少なくとも、空容量を有している装置を記録先装置とすることとしてもよい。
【0089】
例えば、所定容量以上のメモリを持つ装置から選択することとしてもよい。
(3)実施形態1の変形例では、所定の期間が経過すると、記録先装置が他の装置に記録先変更の指示を出すこととしているが、各ゲート管理装置が、時間を測定しておいて、記録先装置を順次時間が来たら変更することとしてもよい。
この場合、例えば、制御部が時間をカウントしてもよいし、記録先装置特定部がカウントすることとしてもよい。
【0090】
各装置の時間の同期が取れれば、ネットワークを介して記録先変更の指示が送信される場合のタイムラグが生じ得ないという利点がある。
(4)実施形態2では、遅れて受信した情報は、現記録先装置に転送することとしているが、これに限られない。
例えば、入退室情報に記録先装置の情報を含ませておいて、含まれている記録先装置が自装置と異なる場合に、転送することとしてもよい。
(5)実施形態では、記録先装置から他の全ゲート管理装置に、記録先装置を変更する旨の通知を記録先装置を変更するタイミングとして送信することとしているが、次の記録先を特定できる情報、例えば、次の記録先となるゲート管理装置の識別子などを送信することとしてもよい。
(6)実施形態では、各ゲート管理装置から記録先装置を特定して、その装置のメモリに入退室情報を記録させることとしているが、ゲート管理装置に限らず、ネットワーク接続された装置でよく、そのメモリに所定の情報を記録することとしてもよい。
(7)実施形態では、各ゲート管理装置に入退室情報を記録することとしているが、ゲート管理システムに管理用パソコン等を接続し、各ゲート管理装置から入退室履歴情報を収集することとしてもよい。
【0091】
図12は、パソコン3000で入退室履歴情報を収集するシステム構成例を示す図である。
この場合、例えば、各ゲート管理装置(1000、2000など)は、管理用のパソコン3000の要求に応じて、入退室履歴情報をパソコンに送信する。
これにより、入退室履歴情報のバックアップを容易にすることが可能となる。
【0092】
また、ゲート管理装置のメモリが一杯になった時点でパソコンに送信したり、定期的にパソコンに送信することにより、全ての履歴を記録することが可能となる。
さらに、パソコンに収集することにより、入退室履歴情報の加工、検索等が容易になるという利点がある。
(8)実施形態で示したゲート管理装置の各機能を実現させる為の各制御処理(図1等参照)をCPUに実行させる為のプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのCPUがそのプログラムを実行することにより実施形態で示した各機能が実現される。
(9)ここで、本システムは、エミット(EMIT(Embedded Micro Internetworking Technology))と称する機器組み込み型ネットワーク技術(機器に簡単にミドルウェアを組み込んでネットワークに接続できる機能を備えるネットワーク技術、以下、EMIT技術と称する。)を用いることで、実現することができる。
【0093】
EMIT端末とは、マイコン搭載の組み込み機器であり、機器組み込み型ネット接続用ミドルウェアであり、EMIT技術を実現するEMITソフトウェアが搭載されている。
外部端末がインターネット上に設けられたセンタサーバ経由でEMIT端末を遠隔監視・制御する構成のものや、センタサーバを介することなく、例えばEMITソフトウェアが搭載された外部端末から、直接各EMIT端末にアクセスしてEMIT端末を遠隔監視・制御する構成のものがEMIT技術の応用システムとして挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】ゲート管理システムの構成例を表す図である。
【図2】接続情報記憶部1200に記憶されているデータの例を示す図であり、図2(a)は、接続情報1210の内容例を示す図であり、図2(b)は記録先情報1220の内容例を示す図である。
【図3】認証情報1310の内容例を示す図である。
【図4】入退室履歴に関する情報であり、図4(a)は入退室情報1420の内容例を示す図であり、図4(b)は入退室履歴情報1410の内容例を示す図である。
【図5】記録先装置がゲート管理装置2000である場合の各ゲート管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】実施形態2のゲート管理装置2000の処理を示すフローチャートである。
【図7】実施形態3のゲート管理装置1000の処理を示すフローチャートである。
【図8】実施形態3の記録先情報7220の内容例を示す図である。
【図9】実施形態4のゲート管理装置2000の処理を示すフローチャートである。
【図10】実施形態4の接続情報8210の内容例を示す図である。
【図11】実施形態1の変形例の接続情報9210の内容例を示す図である。
【図12】パソコンで入退室履歴情報を収集するシステム構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1000 2000 ゲート管理装置
1010 2010 扉
1011 2011 電気錠
1012 2012 入室用リーダ
1013 2013 退室用リーダ
1100 2100 制御部
1200 2200 接続情報記憶部
1210 接続情報
1220 記録先情報
1300 2300 認証情報記憶部
1310 認証情報
1400 2400 入退室履歴記憶部
1410 入退室履歴情報
1420 入退室情報
1500 2500 通信部
1600 2600 記録先装置特定部
1700 2700 認証部
1800 2800 入退室履歴作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に通信可能に接続されている複数のゲート管理装置からなるゲート管理システムであって、
前記ゲート管理装置は、
物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成する通過情報作成手段と、
通過情報を記憶するための記憶手段と、
ゲート管理装置のうち、1の装置を特定する装置特定手段と、
前記装置特定手段で特定されたゲート管理装置が、自装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報および他のゲート管理装置から受信した通過情報のうち、いずれか一方を前記記憶手段に記憶し、前記装置特定手段で特定されたゲート管理装置が、他のゲート管理装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を当該他のゲート管理装置に送信する制御手段と
を備えることを特徴とするゲート管理システム。
【請求項2】
前記複数のゲート管理装置のうち、いずれかのゲート管理装置の記憶手段が所定数の通過情報を記憶した場合に、当該ゲート管理装置は、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置に、以後通過情報を記憶させるべきゲート管理装置を特定するための特定情報を送信し、
当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置の装置特定手段は、受信した前記特定情報に基づいてゲート管理装置の特定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のゲート管理システム。
【請求項3】
前記複数のゲート管理装置のうち、いずれかのゲート管理装置の記憶手段が所定時間のあいだ、通過情報を記憶した場合に、当該ゲート管理装置は、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置に、以後通過情報を記憶させるべきゲート管理装置を特定するための特定情報を送信し、
当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置の装置特定手段は、受信した前記特定情報に基づいてゲート管理装置の特定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のゲート管理システム。
【請求項4】
前記複数のゲート管理装置のうち、いずれかのゲート管理装置の記憶手段が所定容量の通過情報を記憶した場合に、当該ゲート管理装置は、当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置に、以後通過情報を記憶させるべきゲート管理装置を特定するための特定情報を送信し、
当該ゲート管理装置以外のゲート管理装置の装置特定手段は、受信した前記特定情報に基づいて、記憶手段の空容量が最も大きいゲート管理装置を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲート管理システム。
【請求項5】
物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成する通過情報作成手段と、
通過情報を外部に送信する送信手段と、
通過情報を記憶するための記憶手段と、
前記通過情報作成手段で作成した通過情報を、自装置または他の装置で記憶するかを決定する決定手段と、
前記決定された装置が、自装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を前記記憶手段に記憶し、他の装置であった場合には、前記通過情報作成手段で作成した通過情報を前記送信手段で送信する制御手段と
を備えることを特徴とするゲート管理装置。
【請求項6】
相互に通信可能に接続されている複数のゲート管理装置からなるゲート管理システムで用いられるゲート管理方法であって、
前記ゲート管理装置は、
物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成する通過情報作成ステップと、
通過情報をメモリに記憶するための記憶ステップと、
ゲート管理装置のうち、1の装置を特定する装置特定ステップと、
前記装置特定ステップで特定されたゲート管理装置が、自装置であった場合には、前記通過情報作成ステップで作成した通過情報および他のゲート管理装置から受信した通過情報のうち、いずれか一方を前記記憶ステップでメモリに記憶し、前記装置特定ステップで特定されたゲート管理装置が、他のゲート管理装置であった場合には、前記通過情報作成ステップで作成した通過情報を当該他のゲート管理装置に送信する制御ステップと
を備えることを特徴とするゲート管理方法。
【請求項7】
ゲート管理装置にゲート管理処理を行わせるためのコンピュータプログラムであって、
物体のゲートの通過を検知し、検知の都度、通過に関する情報である通過情報を作成する通過情報作成ステップと、
通過情報を外部に送信する送信ステップと、
通過情報をメモリに記憶するための記憶ステップと、
前記通過情報作成ステップで作成した通過情報を、自装置または他の装置で記憶するかを決定する決定ステップと、
前記決定された装置が、自装置であった場合には、前記通過情報作成ステップで作成した通過情報を前記記憶ステップでメモリに記憶し、他の装置であった場合には、前記通過情報作成ステップで作成した通過情報を前記送信ステップで送信する制御ステップと
を備えることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−172177(P2007−172177A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367018(P2005−367018)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】