説明

コネクタユニット、及び、電子回路装置

【課題】表面実装型の基板に搭載されるコネクタユニットにおいて、これに備える接続端子ピンと基板との電気接続の信頼性向上を安価に図れるようにする。
【解決手段】接続端子ピン6と、厚さ方向に前記接続端子ピン6を挿通した状態で固定する板状の支持部21を有する端子台7とを備えて、前記支持部21の一方の主面21bから突出する前記接続端子ピン6の一端6aを基板3の搭載面3aに載置状態で接合する構成とされ、前記支持部21のうち前記一方の主面21b側に、当該一方の主面21bに沿う方向に突出する係合突起27が形成されたコネクタユニット4を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタユニット、及び、これを備える電子回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子回路装置には、例えば特許文献1のように、アルミ基板等の表面実装基板の搭載面に、他の装置と電気接続するためのコネクタユニットを設けたものがある。
このコネクタユニットは、図8に示すように、基板101の搭載面に載置状態で立設される複数の接続端子ピン102と、これら接続端子ピン102を所定のピッチで固定した絶縁性の端子台103とによって構成されている。また、端子台103は基板101の搭載面まで延びる脚部104を有して門型(アーチ状)に形成され、脚部104の先端には、基板101の搭載面に穿設された位置決め孔105に圧入する位置決めピン106が突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−133362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表面実装型の基板101に対する位置決め孔105の形成は、困難かつ高コストとなるため、好ましくない。
なお、表面実装型の基板にコネクタユニットを固定する他の手法としては、例えば、接続端子ピンを基板に接合した後に、封止樹脂により接続端子ピンと基板の搭載面との接合部分や端子台の一部を埋設することが考えられる。この構成では、基板に位置決め孔を形成する場合と比較して安価に構成できるものの、他の装置と接続端子ピンとの電気接続を阻害するため、接続端子ピンが突出する端子台の上面を封止樹脂により覆うことはできない。したがって、コネクタユニットを基板から引き離す外力が電子回路装置に加えられた際には、接続端子ピンと基板との接合部分のみに応力が集中してしまう。その結果、接続端子ピンと基板との電気接続の信頼性が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、接続端子ピンと基板との電気接続の信頼性向上を安価に図ることが可能なコネクタユニット、及び、これを備えた電子回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタユニットは、接続端子ピンと、少なくとも厚さ方向に前記接続端子ピンを挿通した状態で固定する板状の支持部を有する端子台とを備えて、前記支持部の一方の主面から突出する前記接続端子ピンの一端を基板の搭載面に載置状態で接合する構成とされ、前記支持部のうち前記一方の主面側に、当該一方の主面に沿う方向に突出する係合突起が形成されていることを特徴とする。
【0007】
そして、本発明の電子回路装置は、前記コネクタユニットと、前記接続端子ピンの一端を載置状態で接合する搭載面を有する基板と、前記接続端子ピンと前記搭載面との接合部分、及び、前記係合突起を埋設する封止樹脂とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記コネクタユニットによれば、支持部の一方の主面を基板の搭載面に対して間隔を空けた状態で、半田付け等により接続端子ピンの一端を基板の搭載面に接合することで、接続端子ピンを基板に電気接続することができる。そして、この接合状態において、接続端子ピンと基板の搭載面との接合部分、及び、係合突起を封止樹脂により埋設することで、接続端子ピン及び端子台が封止樹脂を介して基板に固定され、これによって上記電子回路装置が構成されることになる。上記のように封止樹脂を設けた状態においては係合突起が封止樹脂に係合している。ここで、係合突起は支持部の厚さ方向のうち一方の主面側に寄せて形成されているため、支持部の他方の主面を封止樹脂により覆わずに、端子台を封止樹脂に係合させることができる。
【0009】
そして、上記のように係合突起が封止樹脂に係合しているため、コネクタユニットを基板から引き離す外力が電子回路装置に加えられた際には、接続端子ピンと基板との接合部分だけではなく、端子台の係合突起と封止樹脂との係合部分にも応力がかかる、すなわち、接続端子ピンと基板との接合部分にかかる応力を低下させることができる。特に、従来のように表面実装型の基板に端子台を固定するための孔を形成することなく、接続端子ピンと基板との接合部分にかかる応力を低下させることができるため、接続端子ピンと基板との電気接続の信頼性向上を安価に図ることができる。
【0010】
なお、前記コネクタユニットにおいては、前記係合突起が、前記支持部の一方の主面の外縁よりも内側に配されていることが好ましい。
この構成では、係合突起が一方の主面の外縁よりも外側に突出しないため、端子台やコネクタユニットをコンパクトに構成できる。特に、基板の搭載面に対するコネクタユニットの実質的な搭載面積をコンパクトに抑えることができるため、電子回路装置の小型化を図ることができる。
【0011】
さらに、前記コネクタユニットにおいては、前記支持部に、前記接続端子ピンの挿通部分と間隔を空けて前記厚さ方向に貫通する貫通孔を形成することが好ましい。
【0012】
前述した接続端子ピンの一端と基板の搭載面との接合をリフロー処理により実施する場合、コネクタユニットの上方から搭載面に向けて熱風を当て、この熱により接続端子ピンの一端と基板との接合部分に予め設けられた半田ペーストを溶融して、接続端子ピンと基板とを接合する。
このリフロー処理に際して、前述したように支持部に貫通孔を形成しておくことにより、接続端子ピンの一端が板状の支持部の直下に配されていても、貫通孔を通じて熱風を接続端子ピンの一端と基板との接合部分に直接届かせることができるため、半田ペーストを短時間で確実に溶融させることができる。
【0013】
したがって、接続端子ピンの一端を支持部の一方の主面の外縁部分に重なるように配置せず、例えば支持部の一方の主面の中央部分の直下に配置しても、接合部分に熱風を十分に届かせることができる。すなわち、支持部に対する接続端子ピンの取り付け位置を制限しなくても、接続端子ピンと基板との接合を確保することができる。
また、リフロー処理に際して接続端子ピンの一端に熱風を届かせるために、接続端子ピンの一端を支持部の側方に張り出させる必要が無くなることから、基板に対するコネクタユニットの搭載面積を小さく設定することもできる。したがって、電子回路装置の小型化を図ることが可能となる。
【0014】
また、前記コネクタユニットにおいては、前記係合突起が、前記貫通孔の内周面から径方向内側に突出していてもよい。
この構成では、係合突起が、一方の主面の外縁よりも外側に突出しないため、また、支持部に対してその厚さ方向にも突出しないため、端子台やコネクタユニットをよりコンパクトに構成することが可能となる。
【0015】
さらに、前記コネクタユニットにおいては、前記接続端子ピンの一端が、当該接続端子ピンの長手方向に対して折り曲げられ、前記貫通孔と前記支持部の厚さ方向に重なるように配されていることが好ましい。
この構成では、前述したリフロー処理の際に、基板との接合部分となる接続端子ピンの一端に熱風を直接当てることができるため、接続端子ピンと基板とをさらに効率よくかつ確実に接合することができる。
【0016】
また、前記コネクタユニットにおいては、前記接続端子ピンの一端が、当該接続端子ピンの長手方向に対して折り曲げられ、当該折り曲げ部分から前記支持部の一方の主面に沿って当該一方の主面の外縁に向けて延びていることが好ましい。
【0017】
この構成では、接続端子ピンの一端を基板に接合した後に、接続端子ピンと基板との接合状態を目視により容易に確認することができる。例えば、接続端子ピンの一端と基板の搭載面との接触状態を目視で容易に確認できる。なお、接触状態の確認とは、接続端子ピンの一端が基板の搭載面に対して面接触しているか否かを確認したり、搭載面に対する接続端子ピンの一端の傾斜度合いを確認することを示している。
また、例えば接続端子ピンと基板とをリフロー処理で接合した場合に、接続端子ピンの一端に対する半田の濡れ性を目視により容易に確認することができる。
さらに、コネクタユニットが接続端子ピンを複数備える場合には、複数の接続端子ピンを互いに間隔をあけた状態で支持部に固定する必要があるが、各接続端子ピンの一端を支持部の一方の主面の外縁に向けて延びるように折り曲げることで、隣り合う接続端子ピン同士の間隔を小さく設定することも可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のように表面実装型の基板に端子台を固定するための孔を形成することなく、接続端子ピンと基板との接合部分にかかる応力を低下させることができるため、接続端子ピンと基板との電気接続の信頼性向上を安価に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子回路装置の概略を示す分解斜視図である。
【図2】図1の電子回路装置を基板の搭載面側から見た状態を示す平面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図2のB−B矢視断面図である。
【図5】図2のC−C矢視断面図である。
【図6】図1〜5に示す電子回路装置の製造に際して、リフロー処理における熱風の流れを示す拡大断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るコネクタユニットの要部を示す拡大断面図である。
【図8】従来のコネクタユニット及びこれを搭載する基板の一例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜6を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1〜5に示すように、本実施形態に係る電子回路装置1は、厚さ方向に開口する浅底のケース2と、ケース2内の底面2aに載置される基板3と、基板3の搭載面3aに搭載されたコネクタユニット4とを備えて大略構成されている。また、電子回路装置1は、ケース2内に充填されて基板3全体、及び、コネクタユニット4の一部を埋設する封止樹脂5も備えている。
なお、基板3の搭載面3aには、電子回路装置1の回路を画成する各種電子部品(不図示)も搭載されている。この電子部品は、基板3を介してコネクタユニット4に電気接続されており、封止樹脂5によって埋設される。
【0021】
基板3は、例えばチッ化アルミ基板やセラミック基板等のいわゆる表面実装型の基板である。基板3の搭載面3aには、コネクタユニット4や電子部品を接合させる接合パッド11が複数形成されている。接合パッド11は、コネクタユニット4及び電子部品を相互に電気接続する回路パターンをなしている。
【0022】
コネクタユニット4は、電子回路装置1の回路を他の装置に電気接続するものであり、複数の接続端子ピン6と、これら複数の接続端子ピン6を一体に固定する端子台7とを備えて大略構成されている。
各接続端子ピン6は、導電性材料により短冊板状に形成されており、その長手方向の中途部には、幅方向に突出する一対の突起部15が形成されている。また、接続端子ピン6の長手方向の一端6aは、他の部分よりも幅狭に形成され、接続端子ピン6の長手方向に対して略垂直に折り曲げられている。
【0023】
端子台7は、厚板状に形成されて厚さ方向に各接続端子ピン6を挿通させた状態で固定する支持部21と、支持部21の上面(他方の主面)21aの周縁に立設された環状の周壁部22とを一体に形成して構成されている。
支持部21には、その厚さ方向に貫通する複数の挿通孔24及び貫通孔25が互いに間隔を空けて形成されている。
【0024】
各挿通孔24は、個々の接続端子ピン6を挿通できるように接続端子ピン6の形状に合わせて平面視で細長の長方形に形成されている。また、各挿通孔24は、その長手方向のうち支持部21の上面21a側部分が下面(一方の主面)21b側部分よりも幅狭となるように、長手方向の中途部に一対の段差を有している。すなわち、挿通孔24内の段差面24bは支持部21の下面21b側に向いている。さらに、挿通孔24の上面21a側部分は、この部分に接続端子ピン6を圧入で挿通できるように、接続端子ピン6のサイズと同等あるいは微小に小さく設定されている。
【0025】
前述した各接続端子ピン6は、その長手方向の他端6bを支持部21の下面21b側から挿通孔24に挿入することで端子台7に取り付けられる。この取り付けの際には、接続端子ピン6の突起部15が挿通孔24内の段差面24bに当接するため、端子台7に対する接続端子ピン6の位置決めを容易に行うことができる。例えば、支持部21の上面21aから突出する接続端子ピン6の他端6bの突出長さや、支持部21の下面21bから突出する接続端子ピン6の一端6aの突出長さを精度よく設定することができる。
【0026】
そして、この取り付け状態においては、支持部21の上面21aから突出する複数の接続端子ピン6の他端6bが周壁部22によって囲まれている。また、接続端子ピン6の他端6bの突出長さは、周壁部22の高さよりも低く設定されている。このように取り付けられた接続端子ピン6の他端6bは、他の装置と電気接続するための外部端子部をなしている。なお、図示例では、接続端子ピン6の他端6bが、他の装置に備えて接続端子ピン6の他端6bに電気接続する雌型のコネクタに挿入できるように雄型の形状を呈しているが、例えば他の装置に備える雄型のコネクタを挿入する雌型の形状を呈していてもよい。
そして、周壁部22は、他の装置に備えるコネクタをコネクタユニット4に対して位置決めする役割を果たす。
【0027】
さらに、接続端子ピン6を端子台7に取り付け状態においては、各接続端子ピン6の一端6aが、前述した折り曲げ部分から支持部21の下面21bに沿って下面21bの外縁に向けて延びている。言い換えれば、各接続端子ピン6の一端6aは、互いに隣り合う接続端子ピン6から離れるように、あるいは、隣り合う接続端子ピン6の一端6a同士が互いに平行するように、支持部21の下面21bに沿って延びている。すなわち、各接続端子ピン6の一端6aは、互いに隣り合う接続端子ピン6に近づく方向に延びてはいない。また、各接続端子ピン6の一端6aは、その全体が支持部21の下面21bに対向しており、端子台7の側部から外側に張り出してはいない。
【0028】
各貫通孔25の内周面には、その径方向内側に突出する係合突起27が形成されている。この係合突起27は、支持部21の下面21b側に開口する貫通孔25の下端に配され、支持部21の下面21bと同一平面をなすように形成されている。
係合突起27について、より詳細に説明すれば、一列に配列された三つの貫通孔25A(第一貫通孔25A)は平面視長方形に形成されており、第一貫通孔25Aに形成される係合突起27Aは、長方形の短辺のみから突出するように一対形成されている。
一方、第一貫通孔25Aとは別個に形成された第二貫通孔25Bは、平面視正方形に形成されており、この第二貫通孔25Bに形成される係合突起27Bは、第二貫通孔25Bの内周面の周方向全体から突出し、平面視矩形環状に形成されている。
【0029】
以上のように構成されたコネクタユニット4は、各接続端子ピン6の一端6aを基板3の各接合パッド11Aに載置状態で半田付けにより接合することで、基板3の搭載面3aに搭載されている。これにより、各接続端子ピン6が基板3の回路パターンに電気接続されている。この搭載状態においては、支持部21の下面21bが基板3の搭載面3aに対向して配置されている。
なお、コネクタユニット4と共に基板3に搭載される不図示の電子部品も、コネクタユニット4の場合と同様にして、電子部品の端子を基板3の搭載面3aに載置状態で接合することで、基板3の回路パターンに電気接続される。
【0030】
さらに、コネクタユニット4が搭載された基板3をケース2内に収容した状態では、端子台7の周壁部22及び接続端子ピン6の他端6bが、ケース2の開口端2cよりも上方に突出している、すなわち、ケース2の外側に配置されている。また、支持部21の上面21aはケース2の開口端2cよりも上方に配されている
【0031】
そして、ケース2内に充填された封止樹脂5は、コネクタユニット4のうち、基板3に接合された接続端子ピン6の一端6a、及び、係合突起27を含む支持部21の下面21b側部分を埋設している。これにより、接続端子ピン6及び端子台7が封止樹脂5を介して基板3に固定されている。また、係合突起27が封止樹脂5に係合している。ここで、係合突起27は、支持部21の下面21b側部分に寄せて形成されているため、支持部21の上面21aを封止樹脂5により覆わなくても、端子台7を封止樹脂5に係合させることができる。
【0032】
以上のように構成される電子回路装置1の製造においては、接続端子ピン6の一端6aと基板3の接合パッド11Aとの接合をリフロー処理により実施する。
リフロー処理においては、予め接続端子ピン6の一端6aあるいは接合パッド11Aに半田(不図示)を付着させた上で、接続端子ピン6の一端6aが接合パッド11A上に位置するように、コネクタユニット4を基板3の搭載面3a上に載置しておく。そして、図6に示すように、コネクタユニット4の上方から基板3の搭載面3aに向けて熱風を吹きつけ、この熱により接続端子ピン6と接合パッド11Aとの接合部分にある半田が溶融することで、接続端子ピン6と接合パッド11Aとを接合する。
【0033】
ここで、支持部21には貫通孔25が形成されているため、接続端子ピン6の一端6aが支持部21の直下に配されていても、前述した熱風が、貫通孔25を通じて接続端子ピン6の一端6aと接合パッド11Aとの接合部分に直接届くことになる。したがって、接合用の半田を短時間で確実に溶融させることができる。
なお、このリフロー処理においては、基板3に搭載された不図示の電子部品も、コネクタユニット4の場合と同様に、熱風によって基板3との接合部分にある半田を溶融することで基板3に接合される。ここで、電子部品はコネクタユニット4と比較してサイズや熱抵抗が十分に小さいため、コネクタユニット4のように貫通孔25が形成されていなくても、リフロー処理により半田を短時間で溶融することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係るコネクタユニット4及び電子回路装置1によれば、係合突起27を封止樹脂5に係合させることができるため、コネクタユニット4を基板3から引き離す外力が電子回路装置1に加えられた際には、接続端子ピン6と基板3との接合部分だけではなく、端子台7の係合突起27と封止樹脂5との係合部分にも応力がかかる、すなわち、接続端子ピン6と基板3との接合部分にかかる応力を低下させることができる。特に、従来のように表面実装型の基板3に端子台7を固定するための孔を形成することなく、接続端子ピン6と基板3との接合部分にかかる応力を低下させることができるため、接続端子ピン6と基板3との電気接続の信頼性向上を安価に図ることができる。
また、支持部21の上面21aがケース2の開口端2cよりも上方に位置しているため、ケース2内に封止樹脂5を充填しても、支持部21の上面21aが封止樹脂5によって埋設されることを確実に防止することができる。
【0035】
さらに、支持部21に貫通孔25を形成したことで、接続端子ピン6の一端6aを支持部21の下面21bの外縁部分に重なるように配置せず、例えば支持部21の下面21bの中央部分の直下に配置しても、リフロー処理に際して接続端子ピン6と接合パッド11Aとの接合部分に熱風を十分に届かせることができる。すなわち、支持部21に対する接続端子ピン6の取り付け位置を制限しなくても、接続端子ピン6と接合パッド11Aとの接合を確保することができる。
また、リフロー処理に際して接続端子ピン6の一端6aに熱風を届かせるために、接続端子ピン6の一端6aを支持部21の側方に張り出させる必要も無いことから、基板3に対するコネクタユニット4の搭載面積を小さく設定することもできる。したがって、電子回路装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0036】
さらに、係合突起27が、支持部21の下面21bの外縁よりも外側に突出しないため、また、支持部21の下面21bから下方にも突出しないため、端子台7やこれを備えるコネクタユニット4をコンパクトに構成できる。特に、基板3の搭載面3aに対するコネクタユニット4の実質的な搭載面積をコンパクトに抑えることができ、その結果として、電子回路装置1の小型化をさらに図ることが可能となる。
【0037】
また、接続端子ピン6の一端6aが支持部21の下面21bに沿って下面21bの外縁に向けて延びていることで、接続端子ピン6の一端6aを基板3に接合した後に、接続端子ピン6と基板3との接合状態を目視により容易に確認することが可能となる。例えば、接続端子ピン6の一端6aと基板3の搭載面3aとの接触状態や、接続端子ピン6の一端6aに対する半田の濡れ性を目視で容易に確認できる。なお、接触状態の確認とは、接続端子ピン6の一端6aが基板3の搭載面3aに対して面接触しているか否かを確認したり、搭載面3aに対する接続端子ピン6の一端6aの傾斜度合いを確認することを意味している。
さらに、折り曲げられた各接続端子ピン6の一端6aは、互いに隣り合う接続端子ピン6に近づく方向に延びていないため、隣り合う接続端子ピン6同士の間隔を小さく設定することができる。
【0038】
以上、本発明の電子回路装置1について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、貫通孔25の内周面から突出する係合突起27は、支持部21の下面21bと同一平面をなすように支持部21の下面21b側に開口する貫通孔25の下端に形成されるとしたが、少なくとも支持部21の上面21aが封止樹脂5によって埋設されない範囲で封止樹脂5に係合すればよい。したがって、係合突起27は、例えば貫通孔25の貫通方向の中途部に形成されてもよい。
【0039】
また、係合突起27は、貫通孔25の内周面に形成されることに限らず、少なくとも支持部21の下面21b側において当該下面21bに沿う方向に突出して形成されていればよい。すなわち、係合突起27は、例えば図7に示すように、支持部21の下面21bから下方に延びる延出部28の先端において、下面21bに沿う方向に突出していてもよい。ただし、係合突起27は、支持部21の下面21bの外縁よりも内側に配されていることがより好ましく、この構成であれば、上記実施形態と同様に、係合突起27が支持部21の下面21bの外縁よりも外側に突出しないため、端子台7やコネクタユニット4をコンパクトに構成できる。特に、基板3の搭載面3aに対するコネクタユニット4の実質的な搭載面積をコンパクトに抑えることができるため、電子回路装置1の小型化を図ることができる。
【0040】
さらに、接続端子ピン6の一端6aは、例えば貫通孔25と支持部21の厚さ方向に重なるように配されていてもよい。この構成では、リフロー処理の際に、基板3との接合部分となる接続端子ピン6の一端6aに熱風を直接当てることができるため、接続端子ピン6と基板3とをさらに効率よくかつ確実に接合することが可能となる。
また、接続端子ピン6は、短冊板状に形成されることに限らず、例えば棒状であってもよい。
【0041】
さらに、端子台7は、接続端子ピン6の他端6bを囲む周壁部22を備えるとしたが、少なくとも支持部21を備えていればよい。
また、上記実施形態においては、コネクタユニット4が搭載された基板3をケース2内に収容した状態で、支持部21の上面21aがケース2の開口端2cよりも上方に配されるとしたが、例えば、開口端2cと同じ高さ位置に配されてもよいし、開口端2cよりも下方に配されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 電子回路装置
3 基板
3a 搭載面
4 コネクタユニット
5 封止樹脂
6 接続端子ピン
6a 一端
6b 他端
7 端子台
21 支持部
21a 上面(他方の主面)
21b 下面(一方の主面)
25,25A,25B 貫通孔
27,27A,27B 係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子ピンと、少なくとも厚さ方向に前記接続端子ピンを挿通した状態で固定する板状の支持部を有する端子台とを備えて、前記支持部の一方の主面から突出する前記接続端子ピンの一端を基板の搭載面に載置状態で接合する構成のコネクタユニットであって、
前記支持部のうち前記一方の主面側に、当該一方の主面に沿う方向に突出する係合突起が形成されていることを特徴とするコネクタユニット。
【請求項2】
前記係合突起が、前記支持部の一方の主面の外縁よりも内側に配されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記支持部に、前記接続端子ピンの挿通部分と間隔を空けて前記厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタユニット。
【請求項4】
前記係合突起が、前記貫通孔の内周面から径方向内側に突出していることを特徴とする請求項3に記載のコネクタユニット。
【請求項5】
前記接続端子ピンの一端が、当該接続端子ピンの長手方向に対して折り曲げられ、前記貫通孔と前記支持部の厚さ方向に重なるように配されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のコネクタユニット。
【請求項6】
前記接続端子ピンの一端が、当該接続端子ピンの長手方向に対して折り曲げられ、当該折り曲げ部分から前記支持部の一方の主面に沿って当該一方の主面の外縁に向けて延びていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコネクタユニットと、前記接続端子ピンの一端を載置状態で接合する搭載面を有する基板と、前記接続端子ピンと前記搭載面との接合部分、及び、前記係合突起を埋設する封止樹脂とを備えることを特徴とする電子回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−204451(P2011−204451A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70303(P2010−70303)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】