説明

コネクタ

【課題】 安定した接続が得られ、高精度な位置決めを可能とするコネクタを提供すること。
【解決手段】 複数のコンタクトユニット21とフレーム31とを有し、前記コンタクトユニット21は、弾性体23と、該弾性体23に配設された複数のコンタクト25とを有し、前記フレーム31は互いに平行に配列形成された複数のスリット32,33を有し、前記スリット32,33は縦向きのスリット32群を形成する第1のブロックAと、横向きのスリット33群を形成する第2のブロックBとに分けられており、前記第1のブロックAと前記第2のブロックBとは互いに隣接して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続対象物を電気的にかつ相互に接続するためのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術1としては、図9に示したように、2つの接続対象物171,181の間に挟み込み、2つの接続対象物171,181を接続するコネクタ411が知られている。
【0003】
コネクタ411は、図10にも示すように、複数のコンタクトユニット421と、コンタクトユニット421を保持している板状のフレーム431とを有する。
【0004】
コンタクトユニット421は、弾性体423と、弾性体423の周面に配設されている複数のコンタクト425とを有する。
【0005】
弾性体423は、角柱状をなし、周面を構成する上下で対向する第1の面423a及び第2の面423b、左右で対向する第3の面423c及び第4の面423dを有する。
【0006】
コンタクト425は、第1の面423a、第3の面423c及び第2の面423bに連続するように形成されている。コンタクト425は弾性体423に長手方向に所定のピッチで複数形成されている。
【0007】
フレーム431は、図9に示したフレーム431を平面で見た場合の形状が四角形となっている。フレーム431には、フレーム431の表裏面を貫通しかつ所定のピッチで縦方向(Y方向)に配列された複数のスリット432が形成されている。
【0008】
スリット432は、フレーム431の横方向(X方向)に長い形状となっている。各スリット432間は、フレーム431の板部によって形成されている細いリブ432aとなっている。
【0009】
各スリット432には、弾性体423の第1の面423a及び第2の面423bがフレーム431の表裏面から突出するようにコンタクトユニット421が保持されている。第1の面423a及び第2の面423b上のコンタクト425は、フレーム431の表裏面から突出している。なお、図9においては、フレーム431から複数のコンタクトユニット421のうちの一部のコンタクトユニット421を取り外した状態で示している。
【0010】
さらに、フレーム431の表面には、フレーム431の周囲面で1つの対角線上の両側に一対の上側位置決めピン436aが設けられている。フレーム431の裏面には、フレーム431の周囲面で1つの対角線上の両側に一対の下側位置決めピン436bが設けられている。
【0011】
図10は、コネクタ411の上下に2つの接続対象物171,181を配置し、コネクタ411に2つの接続対象物171,181を接続する直前の状態を示している。なお、一方の接続対象物171のコネクタ411への位置決めは、図9に示した枠体191をフレーム431の表面に配置し、この枠体191に接続対象物171を嵌め込むことによって行う。
【0012】
枠体191のフレーム431表面への設置は、フレーム431の表面に設けた上側位置決めピン436aを枠体191の内周壁面のコーナーに設けた位置決め穴191aに嵌め込むことにより行う。
【0013】
他方の接続対象物181のコネクタ411への位置決めは、フレーム431の裏面に設けた下側位置決めピン436bを接続対象物181に設けた位置決め穴181aに嵌め込むことにより行う。
【0014】
図10の状態からコネクタ411を上下から挟み込むように接続対象物171,181を上方(Z方向)及び下方(−Z方向)に押圧すると、図11で示すような接続状態になる。接続時には、図11に示すように、コンタクトユニット421が圧縮変形され、弾性体423の第1の面423a側のコンタクト425部分が接続対象物171の導電パッド172に弾性的に接触し、第2の面423b側のコンタクト425部分が接続対象物181の導電パッド182に弾性的に接触する。これにより2つの接続対象物171,181間が電気的に接続される。(例えば、特許文献1を参照)。
【0015】
【特許文献1】特開2005−228504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図9〜図11に示すコネクタ411のコンタクトユニット421は、接続時、接続対象物171,181により上下から押圧圧縮すると、図11に示すように、その上部及び下部が、コンタクト425が形成されていない第4の面423d側(−Y方向)に倒れ込み、コンタクト425が形成されている第3の面423cがその外方、すなわち図11の矢印H´により示した第4の面423dと反対側(Y方向)に膨出するように変形する。
【0017】
図9〜図11に示すコネクタ411においては、このようなコンタクトユニット421の上部及び下部の倒れ込みによる隣り合うコンタクトユニット421とのコンタクト425間の短絡を防止するために、コンタクトユニット421は全て第3の面423c(又は第4の面423d)が一方向(Y方向又は−Y方向)を向くようにして各スリット432に挿入保持されている。
【0018】
接続時にコンタクトユニット421を上下から圧縮変形させた場合には、第3の面423cに上下方向(Z方向又は−Z方向)と垂直な縦方向(Y方向)の力Hが各リブ432aに掛かり、その力が累積して大きな力となりフレーム431の細いリブ432aを撓ませたり、リブ432aが折れたり、フレーム431全体に歪みを生じさせてしまう恐れがある。
【0019】
リブ432aが撓んだり、折れたり、フレーム431全体に歪みが生じると、コンタクトユニット421が移動し、接続対象物171,181と接触不良を引き起こすという問題が生じる。
【0020】
特に、1000芯を超えるような多芯数のコンタクトによりコネクタを構成する場合には、多数のコンタクトユニット421を使用するため、特に大きな問題となる。
【0021】
それ故に、本発明の課題は、コンタクトユニットの圧縮変形によるフレームのリブやフレーム全体の撓みを減少させることができるコネクタを提供することにある。
【0022】
本発明の他の課題は、安定接続が得られ、高精度な位置決めを可能とするコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、2つの接続対象物間に挟み込み、2つの該接続対象物を電気的に相互接続するためのコネクタであって、複数のコンタクトユニットと平板状の絶縁性フレームとを有し、前記コンタクトユニットは、絶縁性を有する柱状の弾性体と、該弾性体の周面にかつ該弾性体の長手方向に所定のピッチで配設された導電性の複数のコンタクトとを有し、前記フレームは、前記フレームの表裏面を貫通しかつ所定のピッチで平行に配列形成された複数のスリットを有し、前記スリットには、前記コンタクトを前記接続対象物に対して接触させるよう前記フレームの前記表裏面から突出するようにして前記コンタクトユニットを保持してなるコネクタにおいて、複数の前記スリットは、縦方向に長い複数の縦向きスリットによりスリット群を形成する第1のブロックと、該縦方向と直交する横方向に長い複数の横向きスリットによりスリット群を形成する第2のブロックとに分けられており、前記第1のブロックと前記第2のブロックとは互いに隣接して配置されているコネクタであることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の例示的態様のコネクタによれば、第1のブロックと第2のブロックとでコンタクトユニットの保持する方向を変え、一方向に向くコンタクトユニットの数を減らしたので、接続時に各コンタクトユニットの膨出によりフレームに累積的に掛かる一方向の力が半減される。
【0025】
したがって、フレーム全体の撓みが抑制され、接続対象物との信頼性ある接続が可能となるという利点がある。
【0026】
また、本発明の例示的態様のコネクタによれば、コンタクトユニットの膨出により生じる力としてフレームを斜め方向に動かすような力が発生し位置決めピンの周面が位置決めピンにクリアランスをもって対向する接続対象物の位置決め穴の内周面に突き当たるので、高精度に位置決めできるコネクタが得られる。
【0027】
さらに、本発明の例示的態様のコネクタによれば、コンタクトユニットの膨出により生じる力としてフレームを斜め方向に僅かに移動させる力が発生し、微少な回転成分が寄与されたコンタクトユニットのコンタクトの接触面が僅かに回転することにより摺動効果が生じるので、コンタクトの接触面に介在する汚染物が除去されることから安定した接続が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のコネクタは、2つの接続対象物間に挟み込み、2つの該接続対象物を電気的に相互接続するためのコネクタであって、複数のコンタクトユニットと平板状の絶縁性フレームとを有し、前記コンタクトユニットは、絶縁性を有する柱状の弾性体と、該弾性体の周面にかつ該弾性体の長手方向に所定のピッチで配設された導電性の複数のコンタクトとを有し、前記フレームは、前記フレームの表裏面を貫通しかつ所定のピッチで平行に配列形成された複数のスリットを有し、前記スリットには、前記コンタクトを前記接続対象物に対して接触させるよう前記フレームの前記表裏面から突出するようにして前記コンタクトユニットを保持してなるコネクタにおいて、複数の前記スリットは、縦方向に長い複数の縦向きのスリットによりスリット群を形成する第1のブロックと、該縦方向と直交する横方向に長い複数の横向きスリットによりスリット群を形成する第2のブロックとに分けられており、前記第1のブロックと前記第2のブロックとは互いに隣接して配置されていることにより実現した。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明に係るコネクタの実施例1を示している。図2は、コネクタに配設されるコンタクトユニットの1つを拡大して示している。
【0030】
図1及び図2を参照して、コネクタ11は、複数のコンタクトユニット21と、コンタクトユニット21を保持している平板状の絶縁性フレーム31とを有する。
【0031】
コンタクトユニット21は、絶縁性の部材によって作られている角柱状の弾性体23と、弾性体23の周面にかつ弾性体23の長手方向に所定のピッチで形成された複数の導電性コンタクト25とを有する。
【0032】
弾性体23は、第1の面23aと、第1の面23aと対向する第2の面23bと、第1の面23a及び第2の面23bの一方端間を接続している第3の面23cと、第3の面23cと対向し第1の面23a及び第2の面23bの他方端間を接続している第4の面23dとを有する。
【0033】
第1の面23aと第2の面23bとは上下方向で対向し、第3の面23cと第4の面23dは左右方向で対向している。第1乃至第4の面23a,23b,23c,23dは、これらで角柱状の周面を規定しており、弾性体23の第1の面23a、第3の面23c及び第2の面23bに連続するようにコンタクト25が配設されている。第1の面23a及び第2の面23bに配設されるコンタクト25部分は、後述する接続対象物との接触面を構成している。
【0034】
コンタクト25は、導体パターンのような金属薄膜である。なお、実施例1においては、1つの弾性体23に4つのコンタクト25を備えているコンタクトユニット21を示している。
【0035】
さらに、弾性体23には、複数の溝部23gが形成されている。複数の溝部23gは、コンタクト25間において弾性体23の第1の面23a及び第2の面23bを下方向及び上方向に溝状に切り欠くように切除することによって形成されている部分である。溝部23gは、弾性体23の上部と下部とで一対が互いに対向するように形成されている。
【0036】
また、弾性体23の第4の面23dの上下方向中央部には、弾性体23の全長に亘って長板形状の金属支柱26が埋設されている。
【0037】
図3は、図1に示したフレーム31から複数のコンタクトユニット21のうちの一部のコンタクトユニット21を取り外した状態を示している。
【0038】
図3をも参照して、フレーム31は、平面において見た場合、四角形に形成されている形状となっている。フレーム31には、このフレーム31の表裏面を貫通している複数のスリット32,33が形成されている。
【0039】
スリット32,33には、コンタクト25の上下部分がフレーム31の表裏面から上下方向にそれぞれ突出するようにして、複数のコンタクトユニット21がフレーム31に保持されている。スリット32,33は、図3にも示したように、縦方向(Y方向)に長い縦向きスリット32と、横方向(X方向)に長い横向きスリット33とからなる。
【0040】
スリット32はフレーム31の板部に形成されており、縦向きに長い複数のスリット32間がフレーム31の板部によって形成されている縦向きに長い複数のリブ32aとなっている。また、スリット33はフレーム31の板部に形成されており、横向きに長い複数のスリット33間がフレーム31の板部によって形成されている複数のリブ33aとなっている。
【0041】
フレーム31においては、縦向きに長い複数のスリット32により一塊のスリット32群を形成する第1のブロックAと、横向きに長い複数のスリット33により一塊のスリット33群を形成する第2のブロックBとに分けられている。
【0042】
第1のブロックA及び第2のブロックBは、横長長方形で同じ大きさ及び同じ形状の領域からなる。また、第1のブロックAのスリット32の数と第2のブロックBのスリット33の数とは同数である。
【0043】
フレーム31には、複数の第1のブロックA及び複数の第2のブロックBが縦方向(Y方向)及び横方向(X方向)に行列状に配置されている。第1のブロックAと第2のブロックBとは、フレーム31において互いに隣接するようにして同じ数配置されている。即ち、第1のブロックA及び第2のブロックBは、それぞれ縦方向(Y方向)及び横方向(X方向)において互いに隣り合うように交互に配置されている。
【0044】
図1及び図3に示したフレーム31においては、6つの第1のブロックAと6つの第2のブロックBとが縦6行、横2列の行列になって交互に配置されている。
【0045】
第1のブロックAには12個の縦向きのスリット32が横方向(X方向)に所定ピッチで配設されており、第2のブロックBには12個の横向きのスリット33が縦方向(Y方向)に4行、横方向(X方向)に3列の行列に所定ピッチで配設されている。
【0046】
第1のブロックA及び第2のブロックBの各スリット32,33のそれぞれには、コンタクトユニット21が弾性体23の第3の面23cを同一方向(スリット32ではX方向、スリット33ではY方向)に向けて挿入保持されている。
【0047】
コンタクトユニット21は、第3の面23cと第4の面23dの上下方向の中央部がX方向で対向するスリット32の内側壁面(リブ32aの壁面)、及びY方向で対向するスリット33の内側壁面(リブ33aの壁面)で挟み込まれるようにして保持されている。第1の面23a及び第2の面23bに配設されているコンタクト25は、フレーム31の表裏面から上下方向へ延びてフレーム31の上下方向へそれぞれ突出している。
【0048】
第1のブロックAのスリット32及び第2のブロックBのスリット33のそれぞれには、コンタクト25が配設された弾性体23の第3の面23cが隣り合う第1のブロックA及び第2のブロックB間で互いに90度回転した方向を向くようにしてコンタクトユニット21が保持されている。
【0049】
したがって、フレーム31には、第1のブロックAのスリット32に保持された複数のコンタクトユニット21の第3の面23cと第2のブロックBのスリット33に保持された複数のコンタクトユニット21の第3の面23cとは、互いに90度回転した方向を向いている。
【0050】
さらに、フレーム31の外周部34表面には、フレーム31の1つの対角線上の両側に位置決めピン35が設けられている。また、フレーム31の外周部34の裏面には、フレーム31の1つの対角線上の両側に位置決めピン36が設けられている。即ち、フレーム31には、フレーム31の表裏面で同じ位置に位置決めピン35,36が設けられている。
【0051】
図4は、接続対象物71,81によって挟まれたコンタクトユニット21のコンタクト25が互いに近づく向きで押されて少し変形している接続途中の状態を示している。
【0052】
コネクタ11は、図4に示すように、上下方向で平行に位置させる2つの接続対象物71,81間に挟み込まれ、2つの接続対象物71,81を電気的に相互接続する。
【0053】
接続対象物71には、位置決めピン35が挿入される位置決め穴71aが設けられている。位置決めピン35と位置決め穴71aとは、フレーム31と接続対象物71との間で水平方向(X―Y平面)において微少の相対移動ができるようなクリアランスをもつように設計されている。
【0054】
また、接続対象物81には、位置決めピン36が挿入される位置決め穴81aが設けられている。位置決めピン36と位置決め穴81aとは、フレーム31と接続対象物81との間に水平方向(X―Y平面)において微少の相対移動ができるようなクリアランスをもつように設計されている。
【0055】
接続時、位置決めピン35を位置決め穴71aに挿入することにより、コンタクトユニット21の第1の面23aのコンタクト25部分と接続対象物71の導電パッド72とが対向するように位置決めする。また、位置決めピン36を位置決め穴81aに挿入することにより、コンタクトユニット21の第2の面23bのコンタクト25部分を接続対象物81の導電パッド82が対向するよう位置決めする。
【0056】
なお、実施例1におけるコネクタ11と接続対象物71,81との接続は、図9の構成図と略同じようにして行われる。ただし、図9の構成図のように、接続対象物171が枠体191に保持される構成ではない。
【0057】
接続対象物71,81をコネクタ11により接続する際には、図4の状態から位置決めピン35,36及び位置決め穴71a,81aをガイドにして接続対象物71,81をフレーム31の表面及び裏面に押し付けることにより接続が完了する。
【0058】
図4に示したコネクタ11と接続対象物71,81との接続途中及び接続完了時においては、コンタクトユニット21は上下から圧縮され、その上部及び下部が第4の面23d側に(−Y方向)に倒れ込み、同時に第3の面23cが反対側(Y方向)に膨出するように変形する。このとき、コンタクトユニット21の第3の面23cが膨出し変形することにより生じる力はスリット32間のフレーム31のリブ32a及び外周部34に掛る。
【0059】
図5は、このときの第1のブロックA及び第2のブロックBにおけるコンタクトユニット21の第3の面23cの膨張により生じる力の方向を、接続対象物71,81を除いて示している。同図に示すように、第1のブロックAのコンタクトユニット21には横方向(X方向)の力G1が生じ、第2のブロックBのコンタクトユニット21には力G1とは90度回転した縦方向(Y方向)の力G2が生じる。
【0060】
このように、実施例1のコネクタ11では、コンタクトユニット21を保持するスリット32,33を、縦向き(Y方向)のスリット32群からなる複数の第1のブロックAと、横向き(X方向)のスリット33群からなる複数の第2のブロックBとに分け、第1のブロックAと第2のブロックBとでコンタクトユニット21の保持する方向を変え、一方向に向くコンタクトユニット21の数を減らしたので、接続時に各コンタクトユニット21の第3の面23cの膨出によりリブ32a,33aやフレーム31に累積的に掛かる一方向の力が半減される。
【0061】
したがって、リブ32a,33aやフレーム31全体の撓みが抑制され、接続対象物71,81との信頼性ある接続が可能となる。
【0062】
また、複数の第1のブロックA及び第2のブロックBは互いに隣り合うように縦横に交互に配置され、第1のブロックA及び第2のブロックBのコンタクトユニット21の第3の面23cに生じる力G1,G2によりリブ32a,33aに掛かる力を、隣接する第1のブロックA及び第2のブロックBのコンタクトユニット21の長手方向端面及びフレーム31の外周面34で受けるようなコンタクトユニット配列になっている。
【0063】
コンタクトユニット21は長手方向に金属支柱26が埋設されて、その長手方向には変形しにくい構成になっている。また、外周部34は剛性が高いので、リブ32a,33aに掛かる力を確実に受け止め、リブ32a,33aやフレーム31全体の撓みを有効に抑制する。なお、コンタクトユニット21の金属支柱26はあるほうが好ましいが、なくてもよい。
【0064】
また、実施例1のコネクタ11では、図5に示すように、フレーム31にコンタクトユニット21の第3の面23cの膨出により生じる力G1,G2の合力としてフレーム31を斜め方向に僅かに移動させるような力Fが発生する。
【0065】
フレーム31の移動により、コンタクトユニット21のコンタクト25の接続対象物71,81との接触面は、接続対象物71,81の導電パッド72,82上を僅かに摺動すると共に、図6に示すように接触面に微少な回転成分が付与され同図に点線で示すように僅かに回転する。
【0066】
したがって、コンタクト25の接触面に介在する汚染物が除去され安定した接続が得られる。
【0067】
また、フレーム31の斜め方向の力Fにより、位置決めピン35,36の周面がそれに対向する接続対象物71,81の位置決め穴71a,81aの内周面に突き当たるので高精度に位置決めされる。
【0068】
図7は、実施例2のコネクタ111を示している。実施例1のコネクタ11と異なるところは、フレームにおける第1のブロックAと第2のブロックBの構成のみで、その他の構成は同じである。図7ではコンタクトユニット21を取外してフレーム131のみを示している。
【0069】
図7のフレーム131においては、第1のブロックAと第2のブロックBを実施例1のそれより細分化している。すなわち、第1のブロックAと第2のブロックBは、正方形の同じ大きさの領域からなり、第1のブロックAには4個の縦向きのスリット32が横方向(X方向)に所定ピッチで配設されており、第2のブロックBには、4個の横向きのスリット33が縦方向(Y方向)に所定ピッチで配設されている。
【0070】
フレーム131には、18個の第1のブロックAと18個の第2のブロックBが、縦方向(Y方向)に6行、横方向(X方向)に6列の行列になるように配設されている。第1のブロックAと第2のブロックBとは、縦方向(Y方向)及び横方向(X方向)において互いに隣り合うように交互に配置されている。
【0071】
このように構成したフレーム131のスリット32,33には、実施例1と同様にして、コンタクトユニット21を挿入保持させる。その際に、第1のブロックAのスリット32には、コンタクトユニット21をその第3の面23cが一方向(X方向)を向くように保持させる。また、第2のブロックBの各スリット33には、コンタクトユニット21をその第3の面23cが一方向(Y方向)を向くように保持させる。これにより、コネクタ111が完成する。
【0072】
このコネクタ111に接続対象物を接続するには、実施例1のコネクタ11と同様、コネクタ111の上下に接続対象物を配置し、位置決めピン35,36を接続対象物の位置決め穴に挿入してこれをガイドにして接続対象物をコネクタ111の表裏面に押し付ける。
【0073】
このとき、コンタクトユニット21は上下から圧縮され、コンタクトユニット21の第3の面23cがその外方に膨出する。
【0074】
図7の矢印G1,G2は、このときの第1のブロックA及び第2のブロックBにおけるコンタクトユニット21の第3の面23cの膨出により生じる力の方向を示す。また、矢印Fは、矢印G1,G2の合力の方向を示す。
【0075】
実施例2のコネクタ111では、実施例1のコネクタ11と同様、コンタクトユニット21を保持するスリット32,33を、縦向き(Y方向)のスリット32群からなる第1のブロックAと、横向き(X方向)スリット33群からなる第2のブロックBとに分け、第1のブロックAと第2のブロックBとでコンタクトユニット21とでコンタクトユニット21の保持する方向を変え、一方向に向くコンタクトユニット21の数を減らし、接続時、第3の面23cの膨出によりリブ32a,33aやフレーム31に累積的に掛かる一方向の力を半減している。
【0076】
また、第1のブロックA及び第2のブロックBのコンタクトユニット21の第3の面23cに生じる力G1,G2を、隣接する第1のブロックA及び第2のブロックBのコンタクトユニット21の長手方向端面及びフレーム131の外周面34で受けるようなコンタクトユニット配列している。
【0077】
したがって、リブ32a,33aやフレーム131の撓みを抑制することができる。
【0078】
また、力G1,G2の合力としてフレーム131を斜め方向に移動させるような力Fが発生し、コンタクトユニット21のコンタクト25の接触面が接続対象物71,81の導電パッド72,82上を摺動すると共に、位置決めピン35,36の周面が接続対象物71,81の位置決め穴71a,81aの内周面に突き当たる。
【0079】
したがって、コンタクト25の接触面の汚染物を除去すると共に接続対象物71,81に対する位置決めを正確に行うことができる。
【0080】
このように実施例2のコネクタ111によれば、実施例1と同様、接続対象物71,81との信頼性ある接続が可能である。
【0081】
なお、実施例2のコネクタ111では、実施例1のコネクタ11よりも、第1のブロックA及び第2のブロックBをより細分化し、1ブロック内のコンタクトユニット21の数を減らし、リブ32a,33aに掛かるコンタクトユニット21の第3の面23cの膨出により生じる力が一方向に累積するのを小さくしている。したがって、リブ32a、33aやフレーム31の撓みをより有効に制御することができる。
【0082】
図8は実施例3のコネクタ211を示している。実施例1のコネクタ11と異なるところは、フレームにおける第1のブロックA及び第2のブロックBの構成とコンタクトユニットの各ブロックへの配置構成のみで、その他の構成は同じである。図8では、コンタクトユニット21を取り外してフレーム231のみを示している。
【0083】
図8のフレーム231においては、第1のブロックAと第2のブロックBを実施例1のコネクタ11のそれよりも大きくしている。すなわち、第1のブロックAと第2のブロックBとは、正方形の同じ大きさの領域からなり、2個の第1のブロックAと2個の第2のブロックBとを縦方向(Y方向)及び横方向(X方向)において互いに隣接するように交互に配置している。すなわち、2個の第1のブロックAと2個の第2のブロックBとは、それぞれ対角に位置するように田の字状に配置されている。
【0084】
第1のブロックAには、36個の縦向きのスリット32が縦方向(Y方向)に3行、横方向(X方向)に12列の行列に配置されている。また、第2のブロックBには36個の縦向きのスリット32が縦方向(X方向)に12行、横方向(Y方向)に3列の行列に配置されている。
【0085】
このように構成したフレーム231の各スリット32,33には、第3の面23cが縦横で隣り合うブロック間で互いに90度回転した方向を向くようにしてコンタクトユニット21を保持させる。すなわち、図8に示すように左下の第1のブロックAには横方向の一方側(X方向)に、右下の第2のブロックBには縦方向の一方側(Y方向)に、右上の第1のブロックAには横方向の他方側(−X方向)に、左下の第2のブロックBには縦方向に他方側(−Y方向)に第3の面23cが向くようにしてコンタクトユニット21を保持させる。これにより、コネクタ211が完成する。
【0086】
コネクタ211に接続対象物を接続するには、実施例1のコネクタと同様、コネクタ211の上下に接続対象物を配置し、位置決めピン35,36を接続対象物71,81の位置決め穴71a,81aに挿入し、これをガイドにして接続対象物71,81をコネクタ211の表裏面に押し付ける。
【0087】
このとき、コンタクトユニット21は上下から圧縮され、コンタクトユニット21の第3の面23cがその外方に膨出する。
【0088】
図8の矢印G1,G2,G3,G4は、このときの2個の第1のブロックA及び2個の第2のブロックBにおけるコンタクトユニット21の第3の面23cの膨出により生じる力の方向を示す。
【0089】
同図から分かるように、コンタクトユニット21の第3の面23cの膨出により生じる力は、G1,G2,G3,G4の4方向に分散される。また、G1,G2,G3,G4の合力としてフレーム231を反時計回りに回転させる力Hが発生する。
【0090】
実施例3のコネクタ211では、実施例1のコネクタ11と同様、コンタクトユニット21を保持するスリット32,33を、縦向き(Y方向)のスリット32群を形成する第1のブロックAと、横向き(X方向)スリット33群を形成する第2のブロックBとに分け、第1のブロックAと第2のブロックBとでコンタクトユニット21の保持する方向を変え、一方向に向くコンタクトユニット21の数を減らしている。
【0091】
また、2個の第1のブロックA及び第2のブロックBを互いに隣り合うように縦横に交互に配置し第1のブロックA及び第2のブロックBのコンタクトユニット21の第3の面23cに生じる力G1,G2,G3,G4を、隣接する第1のブロックA及び第2のブロックBのコンタクトユニット21の長手方向端面とフレーム231の外周面34で受けるようなコンタクトユニット配列にしている。 したがって、リブ32a,33aやフレーム231の撓みを抑制することができる。
【0092】
なお、実施例3のコネクタ211では、実施例1のコネクタ11と異なり、接続対象物との接続時、フレーム231を反時計回りに回転するようにしているが、実施例1のコネクタ11と同様、フレーム231の回転によりコンタクトユニット21のコンタクト25の接触面が接続対象物の導電パッド上を摺動すると共に、位置決めピン35,36の周面が位置決め穴71a,81aの内周面に突き当たる動作をする。
【0093】
したがって、コンタクト25の接触面の汚染物を除去するとともに接続対象物に対する位置決めを正確に行うことができる。
【0094】
このように実施例3のコネクタ211によれば、実施例1と同様、接続対象物との信頼性ある接続が可能である。
【0095】
なお、上記実施例3では、フレーム231を反時計回りに回転するよう構成したが、コンタクトユニット21の第3の面23cを上記実施例3とは反対方向に向けてフレーム231の各スリット32,33に保持させ、フレーム231を時計回りに回転するように構成してもよい。
【0096】
また、実際例1乃至3に示した位置決めピン35,36を、フレーム31(131又は231)の表面又は裏面の何れか一方に設け、接続対象物71の位置決め穴71a又は接続対象物81の位置決め穴81aに嵌め込み、フレーム31(131又は231)と接続対象物71,81とのいずれかと位置決めするようにしてもよい。
【0097】
さらに、弾性体23の材料としては、ICソケットの実装制約やコンタクトに要求される特性に応じて選定される。一例として、弾性体23としてゲル材料を採用した場合には、弾性体23のゲルのポアソン比を0.4とすると、たとえば自然状態での厚みが1.0mm、の弾性体23を厚み0.5mmになるまで圧縮した場合、高さは0.2mm延びる。このように弾性体23は、押圧によって発生する上下の伸びを利用して接続するようにすることができる。
【0098】
弾性部材23は、コロイド溶液中の粒子がゼリー状に固化したものや、シリコン系、もしくはアクリル系の部材を採用する。コンタクト25は、弾性率が大きい薄い板厚寸法の金属板によって作ることができる。コンタクト25の金属材料としては、ニッケル、ニッケル合金、モネル、ニッケルパナジウム、銅、燐青銅などを採用する。
【0099】
また、コンタクト25は、弾性体23の周面に導電材である金属粒子をスパッタリングすることにより配設することができる。コンタクト25は、スパッタリングに代えて、弾性体23に無電解メッキ等を施すことにより配設できる。コンタクト25の厚さは、いずれも数ミクロンの厚さにすることが可能である。
【0100】
なお、接続対象物71が高温下で使用される場合、又はコンタクト25に高い耐久性が要求される場合には、弾性体23を耐久性に優れ、圧縮留歪が少ないゴムによって作ることが望ましい。ゴム材を採用した場合には、シリコン系の耐熱性を有するゴム材とする。
【0101】
また、弾性体23の溝部23gは、一定の荷重状態において変形能力を向上させる役目を果たす。さらに、弾性体23は、溝部23gを形成したことによって凹凸形状となっていることから高い変形能力が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のコネクタは、LGA(ランド・グリッド・アレイ)もしくはBGA(ボール・グリッド・アレイ)チップ用のコネクタ、もしくはICチップ、可撓性印刷配線基板などの配線基板とサブキャリアなどとを接続するために用いる電気接続用のコネクタとしての用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係るコネクタの実施例1を示す斜視図である。
【図2】図1に示したコネクタのコンタクトユニットを示した斜視図である。
【図3】図1に示したコネクタからコンタクトユニットの一部を取り外した形態を示す平面図である。
【図4】図1に示したコネクタと2つの接続対象物との接続途中の状態の一部を示した側面図である。
【図5】図4に示したコネクタの接続時におけるコンタクトユニットの膨出により発生する力の方向を説明するための説明図である。
【図6】図4に示したコネクタの接続時におけるコンタクトユニットのコンタクトの接触面の回転方向を示した平面図である。
【図7】本発明に係るコネクタの実施例2を示す平面図である。
【図8】本発明に係るコネクタの実施例3を示す平面図である。
【図9】本発明の関連技術1を示しており、コネクタ及び接続対象物との接続構成を分解して示した斜視図である。
【図10】図9に示したコネクタと接続対象物との接続直前の状態を示した側面図である。
【図11】図9に示したコネクタと接続対象物との接続状態を示した側面図である。
【符号の説明】
【0104】
11,111,211,411 コネクタ
21,421 コンタクトユニット
23,423 弾性体
23a,423a 第1の面
23b,423b 第2の面
23c,423c 第3の面
23d,423d 第4の面
25,425 コンタクト
31,131,231,431 フレーム
32,33,432 スリット
32a,33a,432a リブ
34 外周部
35,36 位置決めピン
71,81,171,181 接続対象物
72、82,172,182 導電パッド
71a,81a 位置決め穴
A 第1のブロック
B 第2のブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの接続対象物間に挟み込み、2つの該接続対象物を電気的に相互接続するためのコネクタであって、複数のコンタクトユニットと平板状の絶縁性フレームとを有し、
前記コンタクトユニットは、絶縁性を有する柱状の弾性体と、該弾性体の周面にかつ該弾性体の長手方向に所定のピッチで配設された導電性の複数のコンタクトとを有し、
前記フレームは、前記フレームの表裏面を貫通しかつ所定のピッチで平行に配列形成された複数のスリットを有し、
前記スリットには、前記コンタクトを前記接続対象物に対して接触させるよう前記フレームの前記表裏面から突出するようにして前記コンタクトユニットを保持してなるコネクタにおいて、
複数の前記スリットは、縦方向に長い複数の縦向きスリットによりスリット群を形成する第1のブロックと、該縦方向と直交する横方向に長い複数の横向きスリットによりスリット群を形成する第2のブロックとに分けられており、前記第1のブロックと前記第2のブロックとは互いに隣接して配置されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1のブロックと前記第2のブロックは、同じ大きさ及び同じ形状の領域からなり、前記第1のブロックの前記スリットの数と前記第2のブロックの前記スリットの数とが同数であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記フレームには、前記第1のブロック及び前記第2のブロックがそれぞれ複数設けられており、前記第1のブロック及び前記第2のブロックはそれぞれ前記縦方向及び前記横方向において交互に隣接して配置されていることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性体は、角柱状に周面を規定する第1の面と、該第1の面と対向する第2の面と、該第1の面及び前記第2の面の一方端間を接続している第3の面と、該第3の面と対向し前記第1の面及び前記第2の面の他方端間を接続している第4の面とを有し、前記コンタクトは、前記第1の面、前記第3の面及び前記第2の面に連続して形成した金属薄膜からなり、前記第3の面及び前記第4の面が前記スリットの内側壁面に対向して保持されており、前記第1の面及び前記第2の面に配設されている前記コンタクトが前記フレームの前記表裏面からそれぞれ突出し、2つの前記接続対象物にそれぞれ接続することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コンタクトユニットは、前記コンタクトが形成された前記弾性体の前記第3の面が一方向を向くようにして前記第1のブロック及び前記第2のブロックの前記スリットのそれぞれに保持されていることを特徴とする請求項4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記フレームには、2個の前記第1のブロック及び2個の前記第2のブロックを有し、前記第1のブロック及び前記第2のブロックが前記縦方向及び前記横方向で互いに隣り合うように田の字に配置されておりかつ前記コンタクトが形成された前記弾性体の前記第3の面が隣り合う前記第1のブロック及び前記第2のブロック間で互いに90度回転した方向を向くようにして前記第1のブロック及び前記第2のブロックの前記スリットのそれぞれに保持されていることを特徴とする請求項4記載のコネクタ。
【請求項7】
前記フレームの表面及び/又は裏面の周囲には、位置決めピンが設けられており、前記接続対象物には前記位置決めピンが挿入される位置決め穴が設けられており、前記位置決めピンと前記位置決め穴とには、前記フレームと前記接続対象物との間に微少の相対移動ができるクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項1乃至6記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−259486(P2009−259486A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104787(P2008−104787)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】