説明

コネクタ

【課題】フラットケーブルの導体数に関わらず嵌合保持力の向上を図ると共にフラットケーブルの半嵌合を防止することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタは、ハウジング8に取り付けられ互いの間にフラットケーブル2の帯幅方向Y2を挟んでロックする一対のロック部22を備えている。一対のロック部22が、フラットケーブル2の帯幅方向Y2に対向する位置に保持される保持板26と、フラットケーブル2の帯幅方向Y2の端部に設けられた係止凹部6に挿入して係止する係止突起27が設けられた保持板26よりもフラットケーブル2側に配置された係止板28と、保持板26と係止板28とを連結しかつ弾性変形することで係止板28を帯幅方向Y2に変位させる弾性連結板29と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに係り、平角状の導体と導体を互いの間に挟む一対の帯状の被覆部とを備えたフラットケーブルの端末が挿入されるハウジングと、フラットケーブルの導体に接続されるハウジングに収容された端子金具と、を備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源から電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、電線と、コネクタなどを備えている。コネクタは、絶縁性の合成樹脂で形成されたハウジングと、該ハウジング内に収容されるとともに前記電線の端末に取り付けられた端子金具を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
このため、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などのフラットケーブルを用いることが提案されている。このフラットケーブルは、平角状の導体と、この導体を互いの間に挟む一対の絶縁シートと、を備えて、扁平な帯状に形成されている。
【0005】
そして、このフラットケーブルの端末に嵌合されるコネクタとして、例えば特許文献1に示されたものが提案されている(特許文献1)。このコネクタは、開口部に複数のコンタクトが所定ピッチで並列して収容されているハウジングと、開口部を開閉するように設けられ、コンタクト上に配置されるフラットケーブルをコンタクトに押圧する加圧部材と、を備えている。
【0006】
上述したコネクタのフラットケーブルとの嵌合保持は、コンタクト及び加圧部材で行われる。しかしながら、コンタクトの数、即ちフラットケーブルの導体数が多ければ、上述したコンタクト及び加圧部材による嵌合保持で十分であるが、コンタクトの数が少ない場合、保持力が不足する、という問題があった。また、上述したコネクタでは、フラットケーブルを挿入した際に正規嵌合位置に配置されているかを検知することが難しく、加圧部材係止後に接触不良が発生する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−100370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、フラットケーブルの導体数に関わらず嵌合保持力の向上を図ると共にフラットケーブルの半嵌合を防止することができるコネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、平角状の導体と前記導体を互いの間に挟む一対の帯状の被覆部とを備えたフラットケーブルの端末が挿入されるハウジングと、前記フラットケーブルの前記導体に接続される前記ハウジングに収容された端子金具と、を備えたコネクタにおいて、前記ハウジングに取り付けられ互いの間に前記フラットケーブルの帯幅方向を位置付けてロックする一対のロック部をさらに備え、前記一対のロック部が各々、前記ハウジングに保持される保持部と、前記フラットケーブルの帯幅方向の端部に設けられた係止凹部に挿入して係止する係止突起が設けられた前記保持部よりも前記フラットケーブル側に配置された係止部と、前記保持部と前記係止部とを連結しかつ弾性変形することで前記係止部を前記帯幅方向に変位させる弾性連結部と、を備えていることを特徴とするコネクタに存する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記一対のロック部が各々、前記係止部の前記弾性連結部から離れた側の端部に連なりかつ前記係止部から前記ハウジングの外側に向かって延在した操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタに存する。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記弾性連結部は、前記係止部がフラットケーブルの厚さ方向に変位するように弾性変形可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタに存する。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記係止部には、前記フラットケーブルの厚さ方向に突出する凸部が設けられ、前記凸部よりも帯長さ方向外側に配置されたストッパをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載のコネクタに存する。
【0013】
請求項5記載の発明は、金属で構成されかつ前記ハウジングを覆うシールド部材をさらに備え、前記ロック部は、前記シールド部材に一体に構成されていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のコネクタに存する。
【0014】
請求項6記載の発明は、フラットケーブルの厚さ方向の両側を覆う一対のシールド板が設けられたシールド部材をさらに備え、前記ロック部は、前記シールド部材に一体に構成され、前記一方のシールド板は、他方のシールド板との間に前記フラットケーブルを位置付ける第1シールド板部と、前記第1シールド板部の帯幅方向両側に前記第1シールド板部よりも前記フラットケーブルから離れた側に設けられた前記他方のシールド板との間に前記ロック部を位置付ける第2シールド板部と、前記第1シールド板部及び前記第2シールド板部を連結する段差板部と、から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタに存する。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記一対のロック部は、金属で構成されかつ互いに別部品に設けられていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のコネクタに存する。
【0016】
請求項8記載の発明は、前記一対のロック部には各々、前記ハウジングの圧入孔に圧入して当該一対のロック部を前記ハウジングに取り付ける圧入固定部と、当該コネクタが搭載される基板上に接続されるアース回路接続部と、が一体に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のコネクタに存する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、フラットケーブルがコネクタのハウジング内に進入すると、フラットケーブルの帯幅方向の端部により係止部の係止突起が押されて、弾性連結部が変形して係止部が保持部側に変位する。フラットケーブルに設けた係止凹部に係止突起が位置すると、弾性連結部が復元して係止部に設けた係止突起が係止凹部に挿入される。従って、係止突起と係止凹部との係止によりフラットケーブルの導体数に関わらず嵌合保持力を向上させることができる。しかも、フラットケーブルの係止凹部に係止突起を挿入させる位置、即ち正規嵌合位置に達したととき、弾性連結部が復元して保持部側に変位していた係止部が元の位置に戻るので、正規嵌合位置に達したとき手ごたえを感じるため、フラットケーブルの半嵌合を防止することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、操作部を操作することで、係止部の係止突起とフラットケーブルの係止凹部との位置を容易に変更することができるので、係止部の係止突起とフラットケーブルの係止凹部との係止解除を容易に行うことができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、弾性連結部は、係止部がフラットケーブルの厚さ方向に変位するように弾性変形可能に設けられているので、帯幅方向と厚さ方向とのなす角度の範囲内で操作部を操作して、係止部の係止突起とフラットケーブルの係止凹部との係止解除を行うことができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、フラットケーブルをコネクタから抜く方向に引っ張っても係止部の凸部がストッパに引っ掛かってフラットケーブルの抜けを確実に防止できる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、部品点数の増加を防止できるので、コストの高騰を防止できる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、部品点数の増加を防止できるので、コストの高騰を防止できる。しかも、シールド部材と一体にロック部を形成しても、他方のシールド板と第2シールド板部との間に係止部を厚さ方向に変位させて解除できる隙間を設けることができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、簡単に一対のロック部をハウジングに取り付けることができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、一対のロック部と、圧入固定部と、アース回路接続部と、が一体に形成されているので、簡単に一対のロック部とアース回路接続部とをハウジングに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタにフラットケーブルを嵌合した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示されたコネクタを分解して示す斜視図である。
【図4】図2に示すフラットケーブルの斜視図である。
【図5】図1のA−A線断面図である。
【図6】図3に示すシールドシェルの部分拡大斜視図である。
【図7】(a)は図3に示すシールド部材の部分拡大斜視図であり、(b)は(a)のY矢視図であり、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図8】図3に示すシールド部材の正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【図10】図9に示されたコネクタにフラットケーブルを嵌合した状態を示す斜視図である。
【図11】図1に示されたコネクタを分解して示す斜視図である。
【図12】図1のC−C線断面図である。
【図13】図11に示すロック部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1実施形態
本発明の第1実施形態にかかるコネクタを図1ないし図8を参照して説明する。図1などに示すコネクタ1は、図4に示すフラットケーブル2と嵌合可能である。フラットケーブル2は、図4などに示すように、互いに間隔を空けて平行な複数の平角状の導体3と、これら複数の導体3を挟む被覆部としての一対の帯状の絶縁シート4、5と、を備えて扁平な帯状に形成されている。
【0027】
一対の絶縁シート4、5は、絶縁性の合成樹脂からなり薄い帯状に形成されて柔軟性を有している。絶縁シート4、5は、扁平な帯状に形成されて、図4に示すように、互いの間に導体3を挟んで被覆している。この絶縁シート4、5は、複数の導体3を電気的に絶縁している。
【0028】
このフラットケーブル2の端末においては、一対の絶縁シート4、5の一方である絶縁シート4が除去されている。これにより、図4に示すように、フラットケーブル2端末の導体3が露出される。また、上記絶縁シート5には、フラットケーブル2の帯幅方向Y1に対向する一対の端面にそれぞれ係止凹部6が設けられている。この係止凹部6は、略矩形状に設けられ、導体3の露出部を挟むように設けられている。
【0029】
上記コネクタ1は、図示しない基板上に搭載され、フラットケーブル2を基板上の配線と接続する。コネクタ1は、図3などに示すように、複数の端子金具7と、これら複数の端子金具7を収容する絶縁性のハウジング8と、このハウジング8を覆う金属で構成されたシールド部材としてのシールドシェル9と、を備えている。
【0030】
上記端子金具7は、導電性の金属で略L字状に構成されている。端子金具7は、図3に示すように、ハウジング8に設けた収容溝16内に収容される保持部10と、保持部10の一端から斜めに下垂して設けられた導体3と接触する接触部11と、保持部10の他端から略垂直に下垂して設けられた接続部12と、から構成されている。
【0031】
上記接続部12は、ハウジング8の基板側から外部に突出して設けられ、図示しない基板上に接続される。フラットケーブル2の端末をハウジング8内に挿入すると、露出された導体3とハウジング8内に保持された端子金具7の接触部11とが接触し、導体3と端子金具7とが電気的に接続される。
【0032】
ハウジング8は、図3に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成されており、帯幅方向Y1に長い天井壁13と、天井壁13の帯幅方向Y1両端から下垂して設けられた一対の側壁14と、天井壁13とフラットケーブル2の厚さ方向Y3に対向する底壁15と、天井壁13と底壁15とを連結する図示しない連結壁と、を備えている。
【0033】
上記ハウジング8の天井壁13の内面には、上述した端子金具7の保持部10を収容する収容溝16が帯長さ方向Y2に延在するとともに、帯幅方向Y1に並んで設けられている。この収容溝16に端子金具7を収容することで、複数の端子金具7が互いに絶縁された状態で、帯幅方向Y1に並べて配置される。
【0034】
一対の側壁14は、互いの間にフラットケーブル2の帯幅方向Y1を位置付ける。一対の側壁14の天井壁13から離れた側の端部は、上記底壁15よりも天井壁13から離れた位置に延在している。上記底壁15は、天井壁13よりも帯幅方向Y1が短く設けられていて、底壁15の帯幅方向Y1両端と側壁14とは離間して設けられている。この底壁15と天井壁13との間には、フラットケーブル2の厚さ方向Y3が位置付けられている。
【0035】
上記図示しない連結壁は、天井壁13及び底壁15の帯長さ方向Y2の基板側の端部間を連結している。この連結壁には、上記端子金具7の接続部12をハウジング8外に突出させるための穴が複数設けられている。
【0036】
上記シールドシェル9は、板金に折り曲げ加工などが施されることで得られる。即ちシールドシェル9は、金属で構成されている。シールドシェル9は、図3及び図8に示すように、ハウジング8の天井壁13に重ねられる一対のシールド板の他方としての天井板17と、天井板17とフラットケーブル2の厚さ方向Y3に対向する一対のシールド板の一方としての底板18と、複数のアース回路接続片20と、2つのアース回路接続部21と、ロック部22(図5)とを一体に備えている。
【0037】
図1に示すように、天井板17は、フラットケーブル2の厚さ方向Y3の天井壁13側を覆いハウジング8の天井壁13の外面に重ねられる。底板18は、フラットケーブル2の厚さ方向Y3の底壁15側を覆う。この底板18は、図8に示すように、上記天井板17との間にフラットケーブル2を位置付ける第1シールド板部としての第1底板部23と、第1底板部23の帯幅方向Y1両側に第1底板部23よりも天井板17から離れた側に設けられた天井板17との間に後述するロック部22を位置付ける第2シールド板としての第2底板部24と、第1底板部23及び第2底板部24を連結する段差板部25と、を備えている。上記第1底板部23は、図1に示すように、ハウジング8の底壁15の内面に重ねられている。
【0038】
アース回路接続片20は、図3及び図8などに示すように、帯幅方向Y1に互いに間隔を空けて設けられかつ第1底板部23の縁からコネクタ1が取り付けられる基板に向かって即ちシールドシェル9の外側に向かって延在している。このアース回路接続片20は、上記基板のアース回路と接続した導体パターンに半田などのろう付けにより取り付けられる。
【0039】
アース回路接続部21は、図3及び図8などに示すように、天井板17の帯幅方向Y1の両縁から基板に向かって即ちシールドシェル9の外側に向かって延在している。このアース回路接続部21は、上記基板のアース回路と接続した導体パターンなどに半田などを用いたろう付けによって取り付けられる。
【0040】
ロック部22は、一対設けられている。ロック部22は、シールドシェル9を構成していることで、ハウジング8とは別体に構成している。一対のロック部22は各々、図5などに示すように、天井板17及び第2底板部24を連結する連結板19と、連結板19の帯幅方向Y1外側の縁に連結して設けられ、ハウジング8の側壁14の内面に沿って保持された保持部としての保持板26と、フラットケーブル2の係止凹部6に挿入して係止する係止突起27が設けられた保持板26よりもフラットケーブル2側に配置された係止部としての係止板28と、保持板26及び係止板28とを連結しかつ弾性変形することで係止板28を帯幅方向Y1に変位させる弾性連結部としての弾性連結板29と、係止板28の弾性連結板29から離れた側の端部に連なりかつ係止板28からハウジング8の外側に向かって延在した操作部30と、を一体に備えている。
【0041】
上記保持板26は、上記天井板17及び第2底板部24に連結された連結板19に連なることでフラットケーブル2の帯幅方向Y1に対向する位置に保持されている。ここで、保持されているとは、保持板26がハウジング8に対して動かないように保持されていることを言い、保持板26は、フラットケーブル2の嵌合の際に可動する弾性連結部29及び係止板28をハウジング8の内壁で保持する機能を有している。上記保持板26は、図5に示すように、アース回路接続部21との間にハウジング8の側壁14を位置付ける。上記係止板28は、その中央に係止突起27が設けられている。また、係止板28には、図7(b)に示すように、厚さ方向Y3の天井板17側に向かって突出する凸部33が設けられている。一方、天井板17には、帯長さ方向Y2のフラットケーブル2側の縁部を下垂して設けたストッパ34が設けられている。このストッパは、凸部33よりも帯長さ方向Y2外側に配置されている。
【0042】
上記弾性連結板29は、保持板26と係止板28の前述した縁に連なることで、保持板26と係止板28とを連結している。弾性連結板29は、係止板28がフラットケーブル2の帯幅方向Y1及び厚さ方向Y3の双方に変位するように弾性変形自在となっている。弾性連結板29は、弾性変形することで係止板28の保持板26に対する相対的な位置を変更可能としている。また、弾性連結板29は、弾性変形していない中立状態において、係止板28を当該弾性連結板29から離れるに従って即ちフラットケーブル2に近づくに従って徐々にハウジング8の内側に向かうように位置付けている。
【0043】
操作部30は、係止板28のフラットケーブル2寄りの縁部に連なっている。このため、操作部30は、係止部28の弾性連結板29から離間した位置に連なっている。操作部30は、係止板28からハウジング8の外側に向かって延在して、その先端がハウジング8の外側に突出した帯幅方向Y1に直交する第1操作部31と、第1操作部31の厚さ方向Y3の天井板17側に連なる厚さ方向Y3に直交する第2操作部32と、が設けられている。
【0044】
図7(a)に示すように、第1操作部31を矢印Y4方向に押圧操作すると、弾性連結板29が帯幅方向Y1に弾性変形して、図7(b)の矢印に示すように係止板28が保持板26に近づく方向に変位して、フラットケーブル2の係止凹部6とロック部22の係止突起27との係止を解除できる。
【0045】
また、図7(a)に示すように、第2操作部32を矢印Y5方向に押圧操作すると、弾性連結板29が厚さ方向Y3に弾性変形して、図7(b)の矢印に示すように係止板28が厚さ方向Y3に変位して、フラットケーブル2の係止凹部6とロック部22の係止突起27との係止を解除できる。
【0046】
さらに、図7(a)に示すように、操作部30を矢印Y6方向に押圧操作すると、弾性連結板29が帯幅方向Y1及び厚さ方向Y3に弾性変形して、図7(b)及び図7(c)の矢印に示すように係止板28が保持板26に近づく方向及び厚さ方向Y3に変位して、フラットケーブル2の係止凹部6とロック部22の係止突起27との係止を解除できる。
【0047】
次に、上述した構成のコネクタ1によれば、一対のロック部22が各々、フラットケーブル2の帯幅方向Y1に対向する位置に保持された保持板26と、フラットケーブル2の帯幅方向Y1の端部に設けられた係止凹部6に挿入して係止する係止突起27が設けられた保持板26よりもフラットケーブル2側に配置された係止板28と、保持板26と係止板28とを連結しかつ弾性変形することで係止板28を帯幅方向Y1に変位させる弾性連結板29と、を備えている。
【0048】
以上の構成によれば、下記に示す手順でコネクタ1にフラットケーブル2を嵌合することができる。即ち、図4に示すように導体3が露出されたフラットケーブル2の端末をハウジング8の天井壁13とシールドシェル9の第1底板部23との間、一対のロック部22の間に挿入する。すると、フラットケーブル2の帯幅方向Y1の両端により係止板28の係止突起27が押されて、弾性連結板29が変形して係止板28が保持板26側に変位する。
【0049】
さらに、フラットケーブル2をハウジング8内に挿入してフラットケーブル2に設けた係止凹部6に係止突起27が位置すると、弾性連結板29が復元して図5に示すように係止板28に設けた係止突起27が係止凹部6に挿入される。これにより、フラットケーブル2を引っ張っても係止突起27が係止凹部6に引っ掛かり抜けることがないので、フラットケーブル2の導体3の数に関わらず嵌合保持力を向上させることができる。
【0050】
しかも、フラットケーブル2の係止凹部6に係止突起27を挿入させる位置、即ち正規嵌合位置に達したととき、弾性連結板29が復元して保持板26側に変位していた係止板28が元の位置に戻るので、正規嵌合位置に達したとき手ごたえを感じるため、フラットケーブル2の半嵌合を防止することができる。
【0051】
また、上述した構成のコネクタ1によれば、一対のロック部22が各々、係止板28の弾性連結板29から離れた位置に連なりかつ係止板28からハウジング8の外側に向かって延在した操作部30をさらに備えている。これにより、操作部30を操作することで、係止部28の係止突起27とフラットケーブル2の係止凹部6との位置を容易に変更することができるので、ロック部22の係止突起27とフラットケーブル2の係止凹部6との係止解除を容易に行うことができる。
【0052】
また、上述した構成のコネクタ1によれば、弾性連結板29は、係止板28がフラットケーブル2の厚さ方向Y3に変位するように弾性変形可能に設けられているので、図7に示すように、帯幅方向Y1(矢印Y4)と厚さ方向Y3(矢印Y5)とのなす角度の範囲内で操作部30を操作して、係止板28の係止突起27とフラットケーブル2の係止凹部6との係止解除を行うことができる。
【0053】
また、上述した構成のコネクタ1によれば、図7(b)に示すように、係止板28には、フラットケーブル2の厚さ方向Y3に突出する凸部33が設けられ、凸部33よりも帯長さ方向Y2外側に配置されたストッパ34を備えている。これにより、フラットケーブル2をコネクタ1から抜く方向に引っ張っても係止板28の凸部33がストッパ34に引っ掛かってフラットケーブル2の抜けを確実に防止できる。
【0054】
また、上述した構成のコネクタ1によれば、シールドシェル9が、フラットケーブル2の厚さ方向Y3の両側を覆う天井板17と底板18とを備え、ロック部22が、シールドシェル9に一体に構成されている。これにより、部品点数の増加を防止できるので、コストの高騰を防止できる。
【0055】
しかも、上述した構成のコネクタ1によれば、底板18は、天井板17との間にフラットケーブル2を位置付ける第1底板部23と、第1底板部23の帯幅方向Y2両側にフラットケーブル2から離れた側に設けられた第1底板部23との間にロック部22を位置付ける第2底板部24と、第1底板部23及び第2底板部24を連結する連結板部25と、から構成されている。これにより、シールドシェル9と一体にロック部22を形成しても、天井板17と第2底板部24との間に係止板28を厚さ方向Y3に変位させて解除できる隙間を設けることができる。
【0056】
なお、上述した実施形態では、弾性連結板29を、係止板28がフラットケーブル2の厚さ方向Y3に変位するように弾性変形可能に設け、操作部30を図7(a)の矢印Y5に示す方向に押圧しても係止凹部6と係止突起27との係止が解除できるように設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、弾性連結板29としては、係止板28が帯幅方向Y2のみに変位するように設けても良い。この場合、シールドシェル9の底板18は、第1実施形態のように段差を設けることなく、帯幅方向Y1の一端から他端にわたってフラットに設けることができる。
【0057】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態にかかるコネクタを図9ないし図13を参照して以下説明する。第1実施形態では、シールドシェル9にロック部22を一体形成していたが、第2実施形態では、シールドシェル9がない。このコネクタ1に嵌合されるフラットケーブル2は、第1実施形態と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。なお、図9ないし図13においては、図1〜図8について上述した第1実施形態で既に説明した部分と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0058】
上記コネクタ1は、第1実施形態と同様に図示しない基板上に搭載され、フラットケーブル2の基板上の配線と接続する。コネクタ1は、図11などに示すように、複数の端子金具7と、これら複数の端子金具7を収容する絶縁性のハウジング8と、このハウジング8に取り付けられる金属で構成されたロック取付部35と、を備えている。
【0059】
上記端子金具7は、第1実施形態で説明したものと同様のためここでは詳細な説明を省略する。上記ハウジング8は、図11に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成されており、第1実施形態と同様に、帯幅方向Y1に長い天井壁13と、天井壁13の帯幅方向Y1の両端から下垂して設けられた一対の側壁14と、天井壁13とフラットケーブル2の厚さ方向Y3に対向する底壁15と、天井壁13と底壁15とを連結する図示しない連結壁と、を備えている。
【0060】
上記天井壁13、底壁15及び図示しない連結壁は、第1実施形態で説明したものと同様のためここでは詳細な説明を省略する。一対の側壁14は、第1実施形態の側壁14よりも厚く設けられていて、図12に示すように、後述する圧入固定部としての圧入固定板36が圧入される圧入孔14aが形成されている。
【0061】
一対のロック取付部35は、板金に折り曲げ加工などが施されることで得られる。即ちロック取付部35は、金属で構成されている。一対のロック取付部35は、図11〜図13などに示すように、ハウジング8の天井壁13に重ねられる天井板17と、天井板17とフラットケーブル2の厚さ方向に対向する底板18と、ロック部22と、一体に備えている。上記天井板17は、ハウジング8の天井壁13の帯幅方向Y1両端部の外面に重ねられる。
【0062】
ロック部22は、図12などに示すように、天井板17と底板18とを連結する連結板19と、連結板19の帯幅方向Y1外側の縁部に連結して設けられ、ハウジング8の側壁14の圧入孔14aに圧入される圧入固定板36と、連結板19の帯幅方向Y1内側の縁部に連結して設けられ、ハウジング8の側壁14の内面に沿って設けられた保持部としての保持板26と、フラットケーブル2の係止凹部6に挿入して係止する係止突起27が設けられた保持板26よりもフラットケーブル2側に配置された係止部としての係止板28と、保持板26及び係止板28とを連結しかつ弾性変形することで係止板28を帯幅方向Y1に変位させる弾性連結部としての弾性連結板29と、係止板28の弾性連結板29から離れた位置に連なりかつ係止板28からハウジング8の外側に向かって延在した操作部30と、を一体に備えている。以上の構成のコネクタ1によれば、シールドシェル9がない場合でもロック部22の圧入固定板36をハウジング8に圧入して簡単にハウジング8に取り付けることができる。
【0063】
上述した第2実施形態によれば、一対のロック部22は、金属で構成されかつ互いに別部品であるロック取付部35に設けられているので、簡単に一対のロック部22をハウジング8に取り付けることができる。
【0064】
また、上述した第2実施形態によれば、一対のロック部22と、圧入固定板36と、アース回路接続部21と、が一体に形成されているので、簡単に一対のロック部22とアース回路接続部21とをハウジング8に取り付けることができる。
【0065】
なお、上述した実施形態によれば、絶縁シール4、5に係止凹部6を設けていたが本発明はこれに限ったものではない。例えば、板状の部材の上にフラットケーブル2の端末を重ねて、その板状の部材に係止凹部6を設けても良い。
【0066】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ
2 フラットケーブル
3 導体
4、5 絶縁シート(被覆部)
7 端子金具
8 ハウジング
9 シールドシェル(シールド部材)
21 アース回路接続部
22 ロック部
23 第1底板部(第1シールド板部)
24 第2底板部(第2シールド板部)
25 連結板部
26 保持板(保持部)
27 係止突起
28 係止板(係止部)
29 弾性連結板(弾性連結部)
30 操作部
33 凸部
34 ストッパ
36 圧入固定板(圧入固定部)
Y1 帯幅方向
Y2 帯長さ方向
Y3 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角状の導体と前記導体を互いの間に挟む一対の帯状の被覆部とを備えたフラットケーブルの端末が挿入されるハウジングと、前記フラットケーブルの前記導体に接続される前記ハウジングに収容された端子金具と、を備えたコネクタにおいて、
前記ハウジングに取り付けられ互いの間に前記フラットケーブルの帯幅方向を位置付けてロックする一対のロック部をさらに備え、
前記一対のロック部が各々、前記ハウジングに保持される保持部と、前記フラットケーブルの帯幅方向の端部に設けられた係止凹部に挿入して係止する係止突起が設けられた前記保持部よりも前記フラットケーブル側に配置された係止部と、前記保持部と前記係止部とを連結しかつ弾性変形することで前記係止部を前記帯幅方向に変位させる弾性連結部と、を備えている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記一対のロック部が各々、前記係止部の前記弾性連結部から離れた側の端部に連なりかつ前記係止部から前記ハウジングの外側に向かって延在した操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記弾性連結部は、前記係止部がフラットケーブルの厚さ方向に変位するように弾性変形可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記係止部には、前記フラットケーブルの厚さ方向に突出する凸部が設けられ、
前記凸部よりも帯長さ方向外側に配置されたストッパをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
金属で構成されかつ前記ハウジングを覆うシールド部材をさらに備え、
前記ロック部は、前記シールド部材に一体に構成されていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
フラットケーブルの厚さ方向の両側を覆う一対のシールド板が設けられたシールド部材をさらに備え、
前記ロック部は、前記シールド部材に一体に構成され、
前記一方のシールド板は、他方のシールド板との間に前記フラットケーブルを位置付ける第1シールド板部と、前記第1シールド板部の帯幅方向両側に前記第1シールド板部よりも前記フラットケーブルから離れた側に設けられた前記他方のシールド板との間に前記ロック部を位置付ける第2シールド板部と、前記第1シールド板部及び前記第2シールド板部を連結する段差板部と、から構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記一対のロック部は、金属で構成されかつ互いに別部品に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記一対のロック部には各々、前記ハウジングの圧入孔に圧入して当該一対のロック部を前記ハウジングに取り付ける圧入固定部と、当該コネクタが搭載される基板上に接続されるアース回路接続部と、が一体に形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−119234(P2012−119234A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269558(P2010−269558)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】