説明

コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド、それを含有する発酵物、食品製剤、化粧品製剤

【課題】 副作用が弱く、コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド、トリペプチドを含有する発酵物、トリペプチドを含有して副作用が弱く、優れた食品製剤及び化粧品製剤を提供する。
【解決手段】 トリペプチドは、皮膚や繊維芽細胞由来のコラゲナーゼ阻害作用を有するものである。ローヤルゼリー、緑茶粉末、ダイズ粉末を納豆菌により発酵させて得られる発酵物は、コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有するものである。ローヤルゼリーは、国産、中国産のいずれでも良く、生又は凍結乾燥されたいずれでも良い。緑茶粉末としては、海外産、日本産のいずれでも良い。また、ダイズ粉末は、ダイズを乾燥後、粉砕して得られるものが用いられる。さらに、食品製剤及び化粧品製剤は、コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物を有効成分とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドに関するものである。また、ローヤルゼリー粉末、緑茶粉末、ダイズ粉末を添加し、納豆菌により発酵させた上清のうち、分子量100〜1000の分画からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物に関するものである。
【0002】
さらに、トリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸を添加し、リパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤に関するものである。
【0003】
加えて、トリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸を添加し、リパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤に関するものである。
【背景技術】
【0004】
近年、コラーゲンの働きは多様であることが解明され、特に、癌の増殖時には、コラーゲンが減少することが明らかとなった(例えば、非特許文献1参照。)。また、癌の増殖を促進する新生血管の生成にも、コラーゲンが関与し、癌の伸展を抑制することが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
コラーゲンは、マトリックスメタロプロテアーゼタイプ1とも言われるコラゲナーゼにより、分解され、コラーゲンの働きが低下する。肝臓、腎臓、脳、皮膚、眼、肺の炎症時には、組織の局所からコラゲナーゼが産生され、組織を破壊する。コラーゲンの分解は、組織構築を破壊し、炎症を悪化させる。
【0006】
一方、コラーゲンが再生されることにより、組織が再構築され、炎症と形態が回復する。コラゲナーゼを抑制し、コラーゲンの減少を食い止めることが、疾患の予後を大きく左右し、回復を早める。コラーゲンの減少により皮膚において、しわが生じる。
【0007】
疾病の軽減、予防、早期回復及びしわの防止又は改善の観点から、コラゲナーゼを阻害する物質の探索が行われている。コラゲナーゼは、金属を活性中心に有することから、化学合成された金属キレート剤であるエデト酸が用いられるものの、その活性の阻害は特異性が低く、かつ、軟便や腎臓や肝臓に対する副作用が強いことから、その使用が制限されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0008】
体内には、元来、組織由来コラゲナーゼ阻害物質としてTIMP(組織由来メタロプテアーゼ阻害剤)が存在するものの、その作用は軽度であり、かつ、分子量も大きいため、腸管吸収、経皮吸収とも悪いという欠点がある(例えば、非特許文献4参照。)。また、フィチン酸やグルコン酸は低分子であり、排泄されやすいという欠点を有している(例えば、非特許文献5参照。)。
【0009】
また、食品原料として利用されるフィチン酸や化粧品原料として用いられるグルコン酸は、軽度なコラゲナーゼ阻害作用を呈するものの、排泄が早く、その働きは一時的である。
【0010】
すでに、コラゲナーゼ阻害作用に関する発明は認められるものの、その構造が明確に示されたものは少なく、産業上への利用も限定されている。たとえば、肌細胞CD44膜受容体の機能性及び/又は発現を増加するための物質を少なくとも1つ含有する化粧組成物又は皮膚科学組成物に関する発明(特許文献1参照。)、結合組織の軟化に関する発明(特許文献2参照。)及び皮膚老化作用を阻止する化粧学的処置方法(特許文献3参照。)が認められるものの、コラゲナーゼ阻害剤の化学構造及びその作用の実態は明瞭ではなく、産業への利用性も認められていない。
【特許文献1】特表2002−540126
【特許文献2】特表2002−516838
【特許文献3】特表2002−516838
【非特許文献1】Kono,Tら、J.Dermatol.1990、17:473−476
【非特許文献2】Alvarez OAら、J.Natl.Cancer Inst.1990、82:589−595
【非特許文献3】Shine−Gwo Shian Aら、Mol.Pharmacol、2003、64:1076−1084
【非特許文献4】Woessner JF Jrら、FASEB.J.1991、5:2145−54
【非特許文献5】Stetten MR. J.Biol.Chem、1950、187:241−252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記したように化学的に合成されたコラゲナーゼ阻害剤は、副作用が認めら、その作用も一時的であるという問題点がある。また、天然物由来のコラゲナーゼ阻害物質は、その構造が同定されておらず、その作用は一時的である。また、大量の製造が難しく、かつ、動物由来の成分は感染症などの問題があり、産業上の利用が制限される。
【0012】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを提供することにある。
【0013】
また、ローヤルゼリー粉末、緑茶粉末、ダイズ粉末を納豆菌で発酵させ、分子量を選別して得られる副作用の少ない優れたコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物を提供することにある。
【0014】
さらに、トリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸とリパーゼを添加し、加温して得られる副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用を有する食品製剤を提供することにある。
【0015】
加えて、トリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸とリパーゼを添加し、加温して得られる副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用を有する化粧品製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、Ile−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド関するものである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、ローヤルゼリー粉末1重量に対し、緑茶粉末0.01〜0.3重量、ダイズ粉末1.3重量〜5.6重量を添加し、納豆菌により発酵させた上清のうち、分子量100〜1000の分画を採取して得られる請求項1に記載のコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物に関するものである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のトリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤に関するものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のトリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤に関するものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドによれば、副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用が発揮される。
【0021】
請求項2に記載のローヤルゼリー粉末1重量に対し、緑茶粉末0.01〜0.3重量、ダイズ粉末1.3重量〜5.6重量を添加し、納豆菌により発酵させた上清のうち、分子量100〜1000の分画を採取して得られる請求項1に記載のコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物によれば、副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用が発揮される。
【0022】
請求項3に記載のトリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤によれば、副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用に基づく、炎症改善及び炎症予防作用が発揮される。
【0023】
請求項4に記載のトリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤によれば、副作用が弱く、優れたコラゲナーゼ阻害作用に基づく、しわ改善及びしわ予防作用が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態のトリペプチドは、Ile−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有する。
【0025】
前記のトリペプチドの構造のうち、IleはL−アルファ−イソロイシンを示し、ArgはL−アルファ−アルギニンを示す。
【0026】
Xに位置するアミノ酸のうち、Tyrは、L−アルファ−チロシンであり、Proは、L−アルファ−プロリンであり、Trpは、L−アルファ−トリプトファンであり、Hisは、L−アルファ−ヒスチジンである。
【0027】
Ile−X−Argの構造を有するトリペプチドは、ペプチド結合により結合され、N末端はIleであり、C末端はArgであり、その間のXは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸である。
【0028】
Ile−X−Argの構造は、コラゲナーゼの活性中心に働き、活性中心を防御する性質がある。Xの位置のアミノ酸は、芳香族アミノ酸であることが、疎水結合により、コラゲナーゼの活性中心に働くことから、好ましい。
【0029】
XがTyrの場合、該当するトリペプチドは、Ile−Tyr−Argである。このIle−Tyr−Argは、Tyrの水酸基が電子を供し、コラゲナーゼに対する親和性が強くなることから、好ましい。さらに、皮膚のメラニン産生細胞内のチロシナーゼを阻害し、美白効果又はしわ防止効果が得られることから、好ましい。
【0030】
XがPheの場合、該当するトリペプチドは、Ile−Phe−Argである。このIle−Phe−Argは、Pheの芳香性がコラゲナーゼ活性中心に疎水的に作用することから、好ましい。さらに、クロロゲン酸やカフェ酸など抗炎症作用を呈する物質にも変化され、抗炎症作用を発揮することから、より好ましい。
【0031】
XがTrpの場合、該当するトリペプチドは、Ile−Trp−Argである。このIle−Trp−Argは、Trpが炎症細胞の炎症性サイトカイン産生を抑制することから、好ましい。さらに、皮膚に作用し、皮膚の緊張を低下させることから、さらに好ましい。
【0032】
XがHisの場合、該当するトリペプチドは、Ile−His−Argである。このIle−His−Argは、Hisが塩基性を増し、炎症細胞の酸性プロテアーゼを抑制することから、好ましい。さらに、免疫細胞に作用し、皮膚や肝臓の免疫機能を調整することから、好ましい。
【0033】
前記のコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドは、ペプチド合成や酵素合成によって合成されることが好ましい。前記のトリペプチド合成には、島津製作所製PSSM−8、アプライドバイオシステム製ABI1431Aなどのペプチド合成装置が利用され、前記のトリペプチドが効率的に合成される。
【0034】
また、前記のコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドは、天然物より抽出することが好ましい。天然物としては、牛乳、動物の血液、臓器、魚類、ローヤルゼリー、ダイズが好ましく、コラゲナーゼ阻害作用のあるダイズやローヤルゼリーはより好ましく、豊富なタンパク質を含有するダイズはさらに好ましい。加えて、前記の天然物を発酵させることは、発酵中にプロテアーゼによりタンパク質が切断されることから、好ましい。
【0035】
さらに、天然物を食品加工用プロテアーゼ、たとえば、アマノエンザイム製プロテアーゼNなどにより、分解して得ることも、好ましい。
【0036】
前記の天然物を原料としてカラムクロマトにより精製され、目的とするコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを得ることは、好ましい。
【0037】
次に、ローヤルゼリー粉末1重量に対し、緑茶粉末0.01〜0.3重量、ダイズ粉末1.3重量〜5.6重量を添加し、納豆菌により発酵させた上清のうち、分子量100〜1000の分画を採取して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物について説明する。
【0038】
ここで言うコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドとは、前記のIle−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するものである。
【0039】
目的とする発酵物を得るための原料は、ローヤルゼリー粉末、緑茶粉末.ダイズ粉末及び納豆菌である。
【0040】
ローヤルゼリー粉末は、日本、中国などのアジア諸国、ドイツなどのヨーロッパ諸国、アメリカ、ブラジルなどのアメリカ大陸諸国、オーストラリア、ニュ−ジーランドで採取されたいずれのものでも好ましく、凍結乾燥、低温乾燥により粉末にしたものが好ましい。
【0041】
また、タンパク質をエタノールにより沈殿させたローヤルゼリータンパク質を凍結乾燥により乾燥させたものも好ましい。
【0042】
ローヤルゼリー粉末は、トリペプチドの供給元となり、さらに、納豆菌のプロテアーゼの働きを助け、加えて、プロテアーゼの過剰な働きを抑制することから、好ましい。
【0043】
緑茶粉末は、やぶきた種などの日本在来種やアッサム種のいずれでも良く、また、産地は日本、韓国、中国などのアジア諸国、ドイツなどのヨーロッパ諸国、アメリカ、ブラジルなどのアメリカ大陸諸国、オーストラリア、ニュ−ジーランドで採取されたいずれでも好ましい。さらに、凍結乾燥、自然乾燥後、粉砕機により粉末にしたものがより好ましい。
【0044】
緑茶粉末は、カフェインにより納豆菌の働きを調製し、トリペプチドを生産しやすくするため、好ましい。また、ポリフェノールはタンパク質を部分的に変性させ、プロテアーゼを働きやすくし、目的とするペプチドを分離しやすくすることから、好ましい。
【0045】
ダイズ粉末は、日本、韓国、中国などのアジア諸国、ドイツなどのヨーロッパ諸国、アメリカ、ブラジルなどのアメリカ大陸諸国、オーストラリア、ニュ−ジーランドで採取されたいずれのダイズ由来でも好ましく、凍結乾燥、天日乾燥により粉末にしたものがより好ましい。乾燥と粉砕は、自身のプロテアーゼを活性化し、タンパク質を変性させ、ペプチドを分離しやすくすることから、好ましい。また、ダイズ粉末は、納豆菌の生育を促進し、納豆菌より産生されるプロテアーゼの働きを調製することから、好ましい。
【0046】
ローヤルゼリー粉末1重量に対し、緑茶粉末の添加量は、0.01〜0.3重量である。この緑茶粉末の添加量が、0.01重量を下回る場合、緑茶粉末による納豆菌の制御が十分ではなく、目的とするトリペプチドの生成が十分行われないおそれがある。
【0047】
また、この緑茶粉末の添加量が、0.3重量を上回る場合、緑茶粉末による納豆菌の制御が強すぎるため、目的とするトリペプチドの生成が十分行われないおそれがある。
【0048】
緑茶粉末の添加量は、0.02〜0.15重量が好ましく、0.03〜0.1重量がより好ましい。
【0049】
ローヤルゼリー粉末1重量に対し、ダイズ粉末の添加量は、1.3重量〜5.6重量である。このダイズ粉末の添加量が、1.3重量を下回る場合、納豆菌の十分な生育が得られず、プロテアーゼが十分量、産生されないおそれがある。一方、このダイズ粉末の添加量が、5.6重量を上回る場合、納豆菌が過剰に生育しすぎ、発酵が過剰となり、トリペプチドが分解されてしまうおそれがある。
【0050】
用いられる納豆菌は、納豆製造に利用される枯草菌バチリス サブチリスのいずれの菌でも良い。プロテアーゼを大量に産生する納豆菌が好ましい。
【0051】
発酵は、消毒された食用の発酵タンク又は発酵桶又は藁又はボトルなどの清浄な容器の中で行われる。発酵の時間は、3〜72時間が好ましく、4〜60時間がより好ましく、6〜36時間がさらに好ましい。
【0052】
発酵温度は、10〜30℃が好ましく、15〜27℃がより好ましく、18〜25℃がさらに好ましい。
【0053】
得られる発酵物より、上清が得られる。上清の採取は、傾斜法によるデカンテーションが好ましい。また、ろ過が好ましく、ろ過の方法として、ろ紙、小石、活性炭、布を用いたろ過が好ましい。さらに、遠心分離装置を用いた遠心分離により、上清を得ることはより好ましい。前記のデカンテーション、ろ過又は遠心分離を組み合わせることは、さらに好ましい。
【0054】
前記の上清から分子量100〜1000の分画を採取し、目的とする発酵物が得られる。目的とするトリペプチドの分子量が300〜400であることから、分子量が100を下回る場合、塩類やアミノ酸、糖類のみが採取され、目的とするトリペプチドが得られないおそれがある。また、分子量が1000を上回る場合、大きなペプチド分子、脂質、多糖類、タンパク質まで採取し、目的とするトリペプチドの収率が低下するおそれがある。
【0055】
分画される分子量は、200〜700が好ましく、300〜500がより好ましい。この分画には、限外ろ過装置として、アクアス製リューセップUFPシリーズ、シーベンケミカル製限外ろ過装置、旭化成ファーマ製プラノバ、旭化成ファーマ製マイクローザ
などが用いられる。
【0056】
得られた分画は、液体のまま、もしくは、凍結乾燥機により乾燥した粉末として用いられる。得られた発酵物を用いて前記の目的とするトリペプチドを単離精製することは好ましい。また、得られた発酵物は、前記の目的とするトリペプチドを得るための原料としても好ましい。
【0057】
次に、前記のトリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤について説明する。ここでいう食品製剤とは、ヒト用の食品、家畜用飼料、愛玩動物用ペットフードを表す。
【0058】
前記のトリペプチドを含有する発酵物とは、Ile−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含発酵物である。
【0059】
添加されるフィチン酸は、食品加工用に用いられる原料であり、小麦胚芽、発芽玄米、ダイズなどの植物に含有される。食品添加物として、広く利用される。化学構造的として、イノシトール6リン酸であり、その作用としては、金属をキレートする。この金属キレート作用により、コラゲナーゼの働きを抑制することから、フィチン酸が用いられる。
【0060】
リパーゼとして、食品加工用に利用されるものであり、名糖製リパーゼMY、リパーゼOF、アマノエンザイム製リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどが用いられる。
【0061】
このようにすることにより、トリペプチドのArgの塩基性残基がフィチン酸のリン酸基とエステル結合を形成し、フィチニルトリペプチドが形成される。形成されるフィチニルトリペプチドは、腸管から吸収されやすく、体内で吸収も良く、排泄が軽度であるという特徴を有する。
【0062】
特に、目的とする臓器に移動して蓄積することから好ましい。さらに、組織内で細胞内エステラーゼにより分解し、前記のトリペプチドとフィチン酸となり、コラゲナーゼ阻害作用を発揮することから好ましい。
【0063】
トリペプチド、フィチン酸とリパーゼは、加温される。加温は、消毒された食用タンク又は清浄なステンレス容器で行われる。加温の時間は、3〜72時間が好ましく、4〜60時間がより好ましく、6〜30時間がさらに好ましい。
【0064】
加温温度は、10〜30℃が好ましく、15〜27℃がより好ましく、18〜25℃がさらに好ましい。
【0065】
前記の食品製剤中のトリペプチドを含有する発酵物の割合は0.1〜30重量%が好ましく、0.3〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましい。
【0066】
前記のトリペプチドを含有する発酵物の割合が0.1重量%を下回る場合、十分なコラゲナーゼ阻害作用が発現されない可能性がある。また、この割合が30重量%を上回る場合、食品製剤として形態を維持できない可能性がある。
【0067】
前記の食品製剤中におけるフィチン酸の割合は0.05〜5重量%が好ましく、0.5〜2重量%がより好ましく、0.7〜1重量%がさらに好ましい。
【0068】
前記のフィチン酸の割合が0.05重量%を下回る場合、十分な金属キレート作用が発現されない可能性がある。また、この割合が5重量%を上回る場合、原価が高価になり、生産コストを維持できない可能性がある。
【0069】
前記の食品製剤中のリパーゼの割合は0.005〜1重量%が好ましく、0.05〜0.6重量%がより好ましく、0.07〜0.3重量%がさらに好ましい。
【0070】
前記のリパーゼの割合が0.005重量%を下回る場合、十分な酵素反応が発現されない可能性がある。また、この割合が1重量%を上回る場合、高価になり、生産コストを維持できない可能性がある。
【0071】
前記の場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤とすることができる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
【0072】
前記の食品製剤は、1日数回に分けて経口摂取される。1日の摂取量は0.1〜10gが好ましく、0.3〜5gがより好ましく、0.5〜3gがさらに好ましい。1日の摂取量が、0.1gを下回る場合、十分な効果が発揮されないおそれがある。1日の摂取量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。上記の他に、飴、せんべい、クッキー、飲料等の形態で使用することができる。
【0073】
前記の食品製剤は、コラゲナーゼを阻害することにより、肝臓、すい臓、腎臓、肺、消化管の炎症の改善及び予防などに用いられる病院食、患者食、予防食として利用される。
【0074】
加えて、皮膚疾患に対しても、血中から皮膚組織に移行し、皮膚の構築を改善又は予防することから、好ましい。また、皮膚におけるコラゲナーゼ活性を抑制し、しわの改善や防止にも有用である。さらに、保健機能食品としても利用される。
【0075】
次に、前記のトリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤について説明する。ここでいう化粧品製剤とは、ヒト用化粧品、家畜用又は愛玩動物用の毛なみ改善や皮膚に塗布する製剤を表す。
【0076】
前記のトリペプチドを含有する発酵物とは、Ile−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含発酵物である。
【0077】
添加されるグルコン酸は、化粧品加工用に用いられる原料であり、ダイズなどの植物に含有される。また、グルコン酸ナトリウムとしても、利用されている。
【0078】
化学構造的として、グルコースのアルデヒド基が酸になった構造である。その作用としては、金属をキレートする。この金属キレート作用により、コラゲナーゼの働きを抑制することから、グルコン酸が用いられる。
【0079】
リパーゼとして、食品加工用に利用されるものであり、名糖製リパーゼMY、リパーゼOF、アマノエンザイム製リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどが用いられる。
【0080】
このようにすることにより、トリペプチドのArgの塩基性残基がグルコン酸のリン酸基とエステル結合を形成し、グルコニルトリペプチドが形成される。形成されるグルコニルトリペプチドは、皮膚から吸収されやすく、目的とする真皮組織に移動して蓄積し、長期間にわたり、作用を発揮することから好ましい。
【0081】
さらに、真皮組織内で細胞内エステラーゼにより分解し、前記のトリペプチドとグルコン酸となり、コラゲナーゼ阻害作用を発揮することから好ましい。
【0082】
トリペプチド、グルコン酸とリパーゼは、加温される。加温は、消毒されたタンク又は清浄なステンレス容器で行われる。加温の時間は、2〜70時間が好ましく、3〜63時間がより好ましく、6〜28時間がさらに好ましい。
【0083】
加温温度は、8〜33℃が好ましく、18〜28℃がより好ましく、19〜22℃がさらに、好ましい。
【0084】
前記の食品製剤中のトリペプチドを含有する発酵物の割合は0.1〜30重量%が好ましく、0.3〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましい。
【0085】
前記のトリペプチドを含有する発酵物の割合が0.1重量%を下回る場合、十分なコラゲナーゼ阻害作用が発現されない可能性がある。また、この割合が30重量%を上回る場合、食品製剤として形態を維持できない可能性がある。
【0086】
前記の食品製剤中におけるグルコン酸の割合は0.09〜8重量%が好ましく、0.1〜7重量%がより好ましく、0.9〜3重量%がさらに好ましい。
【0087】
前記のグルコン酸の割合が0.09重量%を下回る場合、十分な金属キレート作用が発現されない可能性がある。また、この割合が8重量%を上回る場合、高価になり、生産コストを維持できない可能性がある。
【0088】
前記の食品製剤中のリパーゼの割合は0.001〜0.5重量%が好ましく、0.05〜0.3重量%がより好ましく、0.1〜0.2重量%がさらに好ましい。
【0089】
前記のリパーゼの割合が0.001重量%を下回る場合、十分な酵素反応が発現されない可能性がある。また、この割合が0.5重量%を上回る場合、高価になり、生産コストを維持できない可能性がある。
【0090】
前記の化粧品製剤は、真皮においてコラーゲンの分解を抑制し、コラーゲン量を維持することから、コラーゲン低下に起因するしわに対する効果又は予防がある。さらに、炎症を抑制することから、ニキビや日焼けにより組織の炎症を抑制することから、好ましい。
【0091】
前記の場合、常法に従って油分、界面活性化剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、増粘剤、保湿剤、副素材等とともに用いることができる。化粧水、クリーム、軟膏、ローション、乳液、パック、オイル、石鹸、洗顔料、香料、オーディコロン、浴用剤、シャンプー、リンス等の形態とすることができる。化粧品製剤の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状又は粉末状として用いることができる。
【0092】
化粧品製剤として皮膚に1日数回に分けて塗布される。1日の塗布量は0.01〜10gが好ましく、0.05〜3gがより好ましく、0.1〜1gがさらに好ましい。1日の塗布量が、0.01gを下回る場合、しわやしびれの治療または防止効果が発揮されないおそれがある。1日の塗布量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。
【0093】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0094】
ペプチド合成装置(島津製作所製、PSSM−8)を用いて、Ile−Tyr−Arg、Ile−Phe−Arg、Ile−Trp−Arg、Ile−His−Argのトリペプチドを得た。収率としては、Ile−Tyr−Argが80%、Ile−Phe−Argが77%、Ile−Trp−Argが81%、ならびにIle−His−Argが82%であった。
【実施例2】
【0095】
中国産生ローヤルゼリー2kgを凍結乾燥し、ローヤルゼリー粉末を得た。また、やぶきた種の茶葉の乾燥品を購入し、粉砕機(小型高速粉砕器、DM−6)で粉砕し、緑茶粉末を得た。また、北海道産ダイズを乾燥後、前記の粉砕機により粉砕し、ダイズ粉末を得た。
【0096】
大型のステンレス製容器に、前記のローヤルゼリー粉末1kg、緑茶粉末100g、ダイズ粉末2kgを添加し、攪拌後、納豆菌2gを精製水2Lに懸濁して添加した。このなべを発酵装置(キープイット定温庫)に入れて23℃で、28時間発酵させた。
【0097】
発酵後、精製水2Lを添加し、攪拌した後、水溶性の部分を採取し、これをろ紙(東洋ろ紙)により、ろ過してろ過液を得た。
【0098】
得られたろ過液をマイクローザ(旭化成製)に供し、分子量300〜500の分画を採取した。得られた分画を凍結乾燥機(EYELA製FUD−120)に供し、凍結乾燥し、目的とする発酵物とした。
【0099】
前記の発酵物より、トリペプチドを分離し、精製した。すなわち、前記の発酵物をDEAEセルロース(ワコーゲル、和光純薬)をガラスカラム(3.5cm径、50cm長)に充填した装置に供し、水で洗浄後、1M塩化ナトリウム水溶液を流して分離した。この画分をセファロース(ワコーゲル、和光純薬)に供し、水を流して目的とするトリペプチドを得た。
【0100】
得られたトリペプチド画分を水に溶解し、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に供して目的とするトリペプチドを分画した。なお、以下に示すコラゲナーゼ活性を指標として、コラゲナーゼ阻害作用を有する分画を検出した。
【0101】
以下に、HPLC及び核磁気共鳴装置(NMR)によるトリペプチドの分析について説明する。
(試験例1)
【0102】
本試験では、実施例1及び実施例2で得られたトリペプチドを解析した。すなわち、フォトダイオードアレイ(島津製作所製)を装着したHPLCに供し、まず、GPCによる解析を行った。
【0103】
その結果、分子量100〜1000の分画に、コラゲナーゼ阻害作用を有するペプチドが存在することが判明し、クロマトカラムにより単離精製した。
【0104】
また、実施例1で得られたトリペプチドをCAPCELLPACKC18カラムによるHPLCを実施した。さらに、NMR(ジョエル製)による解析の結果、Ile−Tyr−Arg、Ile−Phe−Arg、Ile−Trp−Arg及びIle−His−Argを同定した。
【0105】
さらに、実施例2で得られた発酵物中には、Ile−Tyr−Arg、Ile−Phe−Arg、Ile−Trp−Arg及びIle−His−Argは、それぞれ1.7%、2.2%、1.5%及び1.3%含有されていた。
【0106】
以下に、ヒト皮膚由来コラゲナーゼを用いたコラゲナーゼ阻害作用の検出について説明する。
(試験例2)
【0107】
本試験は、ヒト皮膚由来細胞(クラボウ製)を増殖させて得られた皮膚細胞を用いて、コラゲナーゼ原料とした。すなわち、増殖した細胞を遠心分離により、細胞ペレットを得て、これをリン酸緩衝液に懸濁して超音波処理により、破砕液を得た。これをコラゲナーゼの原料とした。
【0108】
コンドレックス社製コラゲナーゼ測定キットを用いて前記のコラゲナーゼと、実施例1及び実施例2で得られた検体を添加して、コラゲナーゼ阻害作用の強さを測定した。50%コラゲナーゼを阻害する濃度を求めた。
【0109】
その結果、実施例1で得られたIle−Tyr−Arg、Ile−Phe−Arg、Ile−Trp−Arg及びIle−His−Argの50%コラゲナーゼ阻害活性は、それぞれ310ng/ml、287ng/ml、226ng/ml及び298ng/mlであった。
【0110】
また、実施例2で得られた発酵物の50%コラゲナーゼ阻害活性は、890ng/mlであった。
【0111】
これらの結果、実施例1で得られたIle−Tyr−Arg、Ile−Phe−Arg、Ile−Trp−Arg及びIle−His−Argならびに実施例2で得られた発酵物に、ヒト皮膚由来コラゲナーゼに対する阻害作用が確認された。
【0112】
以下に、トリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸を添加し、リパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤について説明する。
【実施例3】
【0113】
実施例2で得られた発酵物1kgをステンレスタンクに入れ、フィチン酸0.8kg、納豆菌0.1kg及び異性化糖3kgを添加し、混合後、20℃で、24時間放置した。これに、食用セルロース5kg、アスコルビン酸10g及び食用香料90gの比率で混合した。これを常法により粉末化し、ブタ由来ハードカプセルに充填し、約9kgの食品製剤を得た。
(試験例3)
【0114】
実施例3で得られた食品製剤を使用して、60〜80才の女性6例を対象に、肌のハリ及び唾液中のコラゲナーゼ活性測定試験を行った。肌のハリについては、弾力計(クトメーター)を用いた。また、唾液中のコラゲナーゼ活性には、コンドレックス社製コラゲナーゼ測定キットを用いた。
【0115】
食品製剤2カプセルを一日1回、14日間摂取した。摂取前及び最終摂取後、肌のハリ及び唾液を採取し、コラゲナーゼ活性を測定した。
【0116】
その結果、実施例3で得られた食品製剤摂取後の肌のハリは、摂食前の値に比し、平均として230%であった。さらに、食品製剤摂取後の唾液中のコラゲナーゼ活性は、摂食前の値に比し、平均として、45%であった。なお、実施例3の食品製剤摂取により、体調に異常は全例で認められなかった。
【0117】
以下に、トリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸を添加し、リパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤について説明する。
【実施例4】
【0118】
実施例2で得られた発酵物0.1gに、グルコン酸ナトリウム0.2g、アマノエンザイム製リパーゼF−AP15 0.1g、モノステアリン酸ポリエチレングリコール1gを添加し、混合後、21℃で、24時間加温した。
【0119】
冷却後、親油型モノステアリン酸グリセリン1g、馬油エステル2g及びオレイン酸3gを加熱し、溶解した。さらに、プロピレングリコール2g、α−トコフェロール0.1g及び精製水70gを添加した。これらを溶解した後、冷却して乳液を得た。
(試験例4)
【0120】
実施例4で得られた乳液を使用して、55〜78才の女性6例を対象に、しわに対する改善試験を行なった。すなわち、前記実施例4の乳液を1日当たり1gずつ、7日間、顔面部に塗布させた。
【0121】
使用前及び使用7日後に、皮表角層水分量測定装置(IBS社製、SKICON200)を用いて角質水分量、弾力計(クトメーター)を用いて肌弾性及び単位面積当たりのしわの長さを計測した。
【0122】
その結果、使用前に比し、皮表角層水分量は、使用後に、340%に増加した。また、弾力計による弾力は、使用前に比して使用後では、240%に増加した。さらに、しわの長さは、使用前に比し、65%になり、しわの減少が認められた。
【0123】
一方、使用感においても特に苦情は聞かれなかった。この結果、実施例4で得られた乳液は、水分増加作用及びしわ減少作用が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、Ile−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドに関するものであり、肝臓、腎臓、すい臓、脳の炎症に対して、コラゲナーゼを阻害することにより、抗炎症作用を呈することにより、健康を維持し、疾病を予防でき、また、副作用も軽度であることから、産業上への利用性が高い。
【0125】
また、ローヤルゼリー粉末1重量に対し、緑茶粉末0.01〜0.3重量、ダイズ粉末1.3重量〜5.6重量を添加し、納豆菌により発酵させた上清のうち、分子量100〜1000の分画により、コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物が得られ、コラゲナーゼ阻害作用を介した抗炎症作用により、産業上の利用性も高い。
【0126】
さらに、トリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸を添加し、リパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤は、副作用が弱く、安定したコラゲナーゼ阻害作用を発揮できることから、産業上の利用価値は高い。
【0127】
トリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸を添加し、リパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤は、副作用が弱く、安定したコラゲナーゼ阻害作用を発揮できることから、産業上の利用価値は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ile−X−Argの構造を持ち、Xは、Tyr、Phe、Trp、Hisの中から選択されるいずれかのアミノ酸からなるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド。
【請求項2】
ローヤルゼリー粉末1重量に対し、緑茶粉末0.01〜0.3重量、ダイズ粉末1.3重量〜5.6重量を添加し、納豆菌により発酵させた上清のうち、分子量100〜1000の分画を採取して得られる請求項1に記載のコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチドを含有する発酵物。
【請求項3】
請求項2に記載のトリペプチドを含有する発酵物に、フィチン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有食品製剤。
【請求項4】
請求項2に記載のトリペプチドを含有する発酵物に、グルコン酸とリパーゼを添加し、加温して得られるコラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド含有化粧品製剤。

【公開番号】特開2006−225269(P2006−225269A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37321(P2005−37321)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】