説明

コンクリート構造物の自主管理支援システム、自主管理支援サーバ及び自主管理支援プログラム

【課題】コンクリート構造物の自主管理を容易にする。
【解決手段】管理者端末20、自主管理支援サーバ30及びネットワーク40からなるコンクリート構造物の自主管理支援システムであって、管理者端末20は、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置を用いて管理者が定期的に測定したコンクリート構造物のひび割れ幅データを自主管理支援サーバ30に対して送信し、自主管理支援サーバ30は、管理者端末20から送信されたひび割れ幅データを受信すると共に、受信したひび割れ幅データを時系列に記憶し、さらに、定期的に測定されたひび割れ幅データの経時変化に基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定すると共に、劣化度判定結果を管理者端末20に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援システム、自主管理支援サーバ及び自主管理支援プログラムに関し、詳しくは、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置を用いてコンクリート構造物のひび割れ幅を定期的に測定し、測定したひび割れ幅データを自主管理支援サーバに送信するだけで、定期的に測定したひび割れ幅データを時系列に保管できるだけでなく、コンクリート構造物に係る高精度な劣化度判定結果が得られるコンクリート構造物の自主管理支援システム、自主管理支援サーバ及び自主管理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐振偽装問題などの影響により、コンクリート構造物の強度に対する関心が高くなっている。特に、多くの人が居住するマンションにあっては、強度不足に対する住人の不安を解消したり、定期的に行われる大規模補修工事の時期を適正に判断するために、コンクリート構造物の劣化度を正確に把握したいという要望が強くなってきている。
【0003】
コンクリート構造物の劣化度は、放射線透過法、超音波探傷法、磁気探傷法、渦流探傷法、ひずみ測定法などの従来の診断技術を用いることにより、正確に診断することが可能であるが、これらの診断技術による劣化度診断は、通常、専門の業者に依頼しなければ実施が困難であるため、相応の費用が必要となり、容易には実施できないという問題がある。
【0004】
そこで、コンクリート構造物に発生する変状の中で最も目視確認が容易で、かつ、コンクリート構造物の劣化度との相関性が極めて高いひび割れ(クラック)に着目し、該ひび割れの幅を管理者が自ら測定すると共に、その測定値に基づいてコンクリート構造物の劣化度を自己診断することが提案される。例えば、幅寸法が相違する複数の直線と、各直線の幅を示す数値とを付した透明樹脂板からなるクラックスケールを用いてひび割れ幅を測定し、その測定値に基づいてコンクリート構造物の状況把握を行う。
【0005】
しかしながら、クラックスケールによるひび割れ幅の測定は、実際のひび割れの幅と複数の直線の幅とを比較すると共に、最も近いと思われる直線を選択し、その直線に付された数値を読み取るという目視測定であるため、どうしても作業者の曖昧な判断が介在し、その結果、大きな測定誤差が生じる可能性がある許りでなく、測定する作業者によって測定結果にバラツキが生じるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明者は、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置(特許文献1参照)や、携帯型のひび割れ幅測定装置を用いてひび割れの同一箇所を定期的に測定する際に用いるひび割れ幅測定用補助具(特許文献2参照)を過去に提案した。
【特許文献1】特許第3611777号公報
【特許文献2】特開2003−240513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなひび割れ幅測定装置やひび割れ幅測定用補助具を使用すれば、診断技術に関する専門知識を有していない管理者であっても、コンクリート構造物に生じたひび割れの幅を精度良く測定することが可能になるが、測定したひび割れ幅データの2次的な処理に手間がかかるので、管理者に大きな負担を強いる可能性がある。
【0008】
つまり、ひび割れの幅を管理者が自ら測定し、その測定値に基づいてコンクリート構造物の劣化度を自己診断するには、定期的に測定したひび割れ幅データを時系列に記録・保管すると共に、ひび割れ幅データの経時変化を判断し、所定の基準値を用いて劣化度を判定する必要があるので、専門知識を有していない管理者にとっては、大きな負担になるだけでなく、誤った判定結果が導き出される可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、コンクリート構造物の管理者が使用する管理者端末と、コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援サーバと、これらを通信可能に接続するネットワークとを備えるコンクリート構造物の自主管理支援システムであって、前記管理者端末は、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置を用いて管理者が定期的に測定したコンクリート構造物のひび割れ幅データを前記自主管理支援サーバに対して送信するひび割れ幅データ送信手段を備え、前記自主管理支援サーバは、前記管理者端末から送信されたひび割れ幅データを受信するひび割れ幅データ受信手段と、受信したひび割れ幅データを時系列に記憶するひび割れ幅データ記憶手段と、定期的に測定されたひび割れ幅データの経時変化に基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定する劣化度判定手段と、劣化度判定結果を前記管理者端末に対して送信する劣化度判定結果送信手段とを備えることを特徴とする。このようにすると、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置を用いてコンクリート構造物のひび割れ幅を定期的に測定し、測定したひび割れ幅データを自主管理支援サーバに送信するだけで、定期的に測定したひび割れ幅データを時系列に保管できるだけでなく、コンクリート構造物に係る高精度な劣化度判定結果が得られる。
また、前記劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データを所定の絶対値判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが絶対値判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定することを特徴とする。このようにすると、ひび割れ幅の絶対値に基づいて精度の高い劣化度判定を行うことができる。例えば、ひび割れ幅の変化率が小さい状況でも、ひび割れ幅の絶対値が0.5mmを超えたとき、劣化度が重度であると判定し、アラートを送信することができる。
また、前記劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率を算出すると共に、算出した変化率を所定の変化率判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが変化率判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定することを特徴とする。このようにすると、ひび割れ幅の変化率に基づいて精度の高い劣化度判定を行うことができる。例えば、ひび割れ幅の絶対値が0.5mm以下の状況でも、ひび割れ幅の変化率が50%を超えたとき、劣化度が重度であると判定し、アラートを送信することができる。
また、前記ひび割れ幅データ受信手段は、ひび割れ幅データと共に測定時の気温データを受信し、前記劣化度判定手段は、気温データをもとに温度誤差が補正されたひび割れ幅データに基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定することを特徴とする。このようにすると、ひび割れ幅データに含まれる温度誤差を可及的に排除し、精度の高い劣化度判定を行うことができる。
また、前記自主管理支援サーバは、前記劣化度判定手段がコンクリート構造物の劣化度を重度と判定した場合、該当する前記管理者端末に対して、ひび割れ幅の再測定要求を送信する再測定要求送信手段と、再測定要求に応じて前記管理者端末から送信されたひび割れ幅データ及び前記ひび割れ幅データ記憶手段の記憶データに基づいて、誤測定の有無を確認する誤測定確認手段とを備えることを特徴とする。このようにすると、誤測定に基づいた誤判定を排除し、判定結果の信頼性を向上させることができる。
また、前記自主管理支援サーバは、天災の発生に応じて前記管理者端末にひび割れ幅の臨時測定要求を送信する臨時測定要求送信手段と、臨時測定要求に応じて前記管理者端末から送信されたひび割れ幅データ及び前記ひび割れ幅データ記憶手段の記憶データに基づいて、天災によるコンクリート構造物のダメージを判定するダメージ判定手段とを備えることを特徴とする。このようにすると、天災によるコンクリート構造物のダメージを判定し、その判定結果を管理者に提供することができる。
また、前記自主管理支援サーバは、定期的に測定されたひび割れ幅データの絶対値による劣化度判定結果と、定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率による劣化度判定結果と、を参照し、絶対値による劣化度判定結果のみが異常な場合と、変化率による劣化度判定結果のみが異常な場合と、絶対値による劣化度判定結果及び変化率による劣化度判定結果が異常な場合と、に場合分けし、各場合毎に、適用するアラート処理の種類を選択するアラート選択手段を備えることを特徴とする。このようにすると、劣化度判定における異常判定種別に応じて、アラート処理の内容を変更することができるので、異常判定種別に適したアラート処理を実行することが可能になる。
また、コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援サーバであって、上記のいずれかに記載の自主管理支援サーバとして動作することを特徴とする。このようにすると、本発明を自主管理支援サーバとして実施することが可能になる。
また、コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援プログラムであって、コンピュータを上記の自主管理支援サーバとして動作させることを特徴とする。このようにすると、本発明を自主管理支援プログラムとして実施することが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成された本発明によれば、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置を用いてコンクリート構造物のひび割れ幅を定期的に測定し、測定したひび割れ幅データを自主管理支援サーバに送信するだけで、定期的に測定したひび割れ幅データを時系列に保管できるだけでなく、コンクリート構造物に係る高精度な劣化度判定結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[ひび割れ幅測定装置]
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図5において、1はコンクリート構造物2に生じたひび割れ3の幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置であって、該ひび割れ幅測定装置1は、その外部に、手によって把持される握り部1aと、該握り部1aを握った状態で押し操作可能な測定スイッチ4と、上記握り部1aから前方に延出する測定部1bとを備える。
【0012】
ひび割れ幅を測定する際には、測定部1bの前端面1cをコンクリート構造物2の測定対象位置に押し当てた状態で測定スイッチ4が操作される。測定部1bの前端面1cには、長方形の測定窓5が形成されており、その周囲には、ひび割れ幅測定装置1のガタツキを防止し、かつ、測定窓5への外乱光の入射を防止する弾性緩衝材6が貼着されている。更に、弾性緩衝材6の周囲には、測定部1bの前端面1cをコンクリート構造物2の測定対象位置に押し当てた際に、コンクリート構造物2に接当してひび割れ幅測定装置1とコンクリート構造物2との距離を規定する複数の凸部7が形成されている。
【0013】
ひび割れ幅測定装置1の内部には、上記測定窓5を介してひび割れ3の特定対象位置を照らす左右一対の発光素子8と、上記測定窓5の対向位置に配置されるイメージセンサ9と、上記測定窓5から取り込まれるひび割れ3の像をイメージセンサ9上に結像するレンズ10と、上記イメージセンサ9の出力信号に基づいてひび割れ幅を測定する制御基板11と、測定結果を表示する表示部12と、電源供給を行う電池13とが設けられる。尚、ひび割れ幅測定装置1におけるひび割れ幅測定の基本原理は、特許第3611777号公報(特開2002−22419号公報)に示されるクラック幅測定装置のものと同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0014】
ひび割れ幅測定装置1でひび割れ幅を測定する際には、図6〜図8に示されるひび割れ幅測定用補助具14を使用することが好ましい。このひび割れ幅測定用補助具14は、透明樹脂によって形成された略正方形の薄板であり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて形成される。ひび割れ幅測定用補助具14の中心部には、上記測定窓5の形状に対応する測定位置特定窓(測定位置特定窓部)14aが形成されており、ひび割れ幅測定時には、ひび割れ3の測定対象位置に測定位置特定窓14aが位置合わせされる。
【0015】
測定位置特定窓14aの外方には、複数のマーキング孔(マーキング部)14bが形成される。このマーキング孔14bは、ひび割れ3の測定対象位置に測定位置特定窓14aを位置合わせした状態におけるひび割れ幅測定用補助具14の位置を、コンクリート構造物2にマーキングするためのもので、本実施形態では、直線状の長孔として形成される。マーキング孔14bに沿ってコンクリート構造物2にマーキングすると、それ以降は、コンクリート構造物2に付したマークに対し、マーキング孔14bを位置合せすることにより、ひび割れ幅測定用補助具14を同一位置に正確に位置合せすることが可能になる。本実施形態のマーキング孔14bは、上記測定位置特定窓14aを中心として放射状(本実施形態では十字状)に配置される。これにより、ひび割れ幅測定用補助具14のX、Yおよびθ位置が規定され、ひび割れ幅測定用補助具14を精度良く位置合わせすることが可能になる。
【0016】
更に、上記測定位置特定窓14aの周囲には、複数に分割された測定装置位置決めリブ(測定装置位置決め部)14cが形成される。測定装置位置決めリブ14cは、ひび割れ幅測定装置1を測定位置特定窓14aに対して位置決めガイドするものであり、ひび割れ幅測定装置1の測定部1bを嵌合保持し得る形成を有する。つまり、ひび割れ幅測定用補助具14の測定位置特定窓14aをひび割れ3の測定対象位置に位置合わせした後、ひび割れ幅測定用補助具14の測定装置位置決めリブ14cにひび割れ幅測定装置1をセットすることにより、ひび割れ幅測定装置1をひび割れ3の測定対象位置に対して正確に位置合せすることが可能になる。
【0017】
また、上記測定位置特定窓14aの周囲には、複数の貫通孔14dが形成される。貫通孔14dの位置は、ひび割れ幅測定装置1に形成される前記凸部7の位置に対応しており、ひび割れ幅測定装置1の測定部1bを測定装置位置決めリブ14cにセットした際は、上記凸部7が貫通孔14dを介してコンクリート構造物2に直接接当される。これにより、ひび割れ幅測定用補助具14が介在しても、ひび割れ幅測定装置1とコンクリート構造物2との距離を適正に保つことが可能になる。尚、図面において、14eは目視測定用に設けられたクラックスケール、14fはひび割れ幅測定装置1の動作を確認するためのテストパターンである。
【0018】
[自主管理支援システム]
図9に示すように、本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の自主管理支援システムは、コンクリート構造物2の管理者が使用する管理者端末20と、コンクリート構造物2の自主管理を支援する自主管理支援サーバ(自主管理支援プログラムに従って動作するコンピュータ)30と、これらを通信可能に接続するネットワーク40とを備えて構成されている。管理者端末20は、ネットワーク40を介して自主管理支援サーバ30と通信可能な端末であればよく、例えば、ブラウザ機能(WEBページ閲覧ソフト)やメーラー機能(電子メール送受信ソフト)が搭載されたパーソナルコンピュータ、携帯電話端末、PHS端末などを用いることができる。自主管理支援サーバ30は、ネットワーク40を介して管理者端末20と通信可能なサーバであればよく、例えば、WEBサーバ機能が搭載されたサーバコンピュータなどを用いることができる。また、本実施形態では、ネットワーク40としてインターネットを想定しているが、イントラネットや専用回線であってもよい。
【0019】
管理者端末20は、コンクリート構造物2のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置1を用いて管理者が定期的に測定したコンクリート構造物2のひび割れ幅データを自主管理支援サーバ30に対して送信するひび割れ幅データ送信手段を備える。例えば、自主管理支援サーバ30がWEBサーバで構成される場合、自主管理支援サーバ30からひび割れ幅データの入力画面データをダウンロードし、かつ、入力画面に入力されたひび割れ幅データを自主管理支援サーバ30に送信するブラウザがひび割れ幅データ送信手段に相当する。尚、ひび割れ幅データの送信は、ブラウザを介さず、専用のソフトや、電子メールで行うようにしてもよい。
【0020】
管理者によるひび割れ幅の測定時期は、定期的であれば任意に設定することができ、例えば、基本測定回数を2回/月とし、1〜4回/月の範囲で管理者が選択できるようにする。コンクリート構造物2におけるひび割れ幅の測定箇所や測定点数も任意に設定することができる。例えば、管理者又は専門業者によって予め1〜50点の測定箇所を設定し、これらの測定箇所について定期的な定点観測を行う。劣化度判定に適したひび割れの初期幅は、劣化度が軽度又は中度と判定される0.2mm程度であり、この程度のひび割れを定期的に測定することにより、精度の高い劣化度判定が可能になる。
【0021】
コンクリート構造物2は、温度の変化に応じて微細な膨張・収縮を生じるので、ひび割れ幅を測定する時間は毎回同じ時間が好ましい。より好ましくは、ひび割れ幅の測定時に気温も記録し、測定したひび割れ幅データと共に気温データも自主管理支援サーバ30に送信する。このようにすると、自主管理支援サーバ30において、気温データをもとにひび割れ幅データの温度誤差を補正し、温度補正済みのひび割れ幅データに基づいてコンクリート構造物2の劣化度を精度良く判定することが可能になる。
【0022】
管理者端末20から自主管理支援サーバ30にひび割れ幅データを送信するための入力画面の例を図10に示す。この図に示す入力画面50は、管理者端末20が自主管理支援サーバ30にログオンした後に、管理者端末20に表示されるものであり、予め登録されたコンクリート構造物2の名称(例えば、ABCマンション)と共に、測定日入力欄51、気温入力欄52、ひび割れ幅入力欄53、前回ひび割れ幅表示欄54などが含まれる。ひび割れ幅入力欄53及び前回ひび割れ幅表示欄54は、測定箇所毎(例えば、屋外測定箇所1〜3、屋内測定箇所1〜3)に表示され、対応する入力欄51〜53にデータを入力した後、送信ボタン55をクリックすることにより、入力データが自主管理支援サーバ30に送信される。
【0023】
自主管理支援サーバ30は、管理者端末20から送信されたひび割れ幅データを受信するひび割れ幅データ受信手段と、受信したひび割れ幅データを時系列に記憶するひび割れ幅データ記憶手段と、定期的に測定されたひび割れ幅データの経時変化に基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定する劣化度判定手段と、劣化度判定結果を管理者端末20に対して送信する劣化度判定結果送信手段とを備えている。このようにすると、コンクリート構造物2のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置1を用いてコンクリート構造物2のひび割れ幅を定期的に測定し、測定したひび割れ幅データを自主管理支援サーバ30に送信するだけで、定期的に測定したひび割れ幅データを時系列に保管できるだけでなく、コンクリート構造物2に係る高精度な劣化度判定結果が得られる。
【0024】
具体的に説明すると、ひび割れ幅データ受信手段は、管理者端末20において前述の入力画面50に入力されたデータを受信するWEBサーバ機能や、ひび割れ幅データなどが含まれる電子メールを受信するメーラー機能により実現でき、ひび割れ幅データ記憶手段は、ハードディスクなどの記憶装置により実現できる。ひび割れ幅データをハードディスクに記憶する際には、ひび割れ幅データと共に、コンクリート構造物2の名称、測定日、気温、ひび割れ箇所名が記憶される。
【0025】
劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データを所定の絶対値判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが絶対値判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定することができる。例えば、図11に示すように、三段階の劣化度(軽度、中度、重度)について、それぞれ屋外用基準値と屋内用基準値を予め設定しておき、定期的に測定されたひび割れ幅データがこれらの基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を三段階で判定する。このようにすると、ひび割れ幅の絶対値に基づいて精度の高い劣化度判定を行うことができる。例えば、ひび割れ幅の変化率が小さい状況でも、ひび割れ幅の絶対値が0.5mmを超えたとき、劣化度が重度であると判定し、アラートを送信することができる。
【0026】
また、劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率を算出すると共に、算出した変化率を所定の変化率判定用基準値(例えば、6ヶ月あたり50%の変化率)と比較し、ひび割れ幅データが変化率判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定することができる。このようにすると、ひび割れ幅の変化率に基づいて精度の高い劣化度判定を行うことができる。例えば、ひび割れ幅の絶対値が0.5mm以下の状況でも、ひび割れ幅の変化率が6ヶ月で50%を超えたとき、劣化度が重度であると判定し、アラートを送信することができる。
【0027】
また、劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定する場合、気温データをもとに温度誤差が補正されたひび割れ幅データを用いることが好ましい。例えば、下記のような演算式を用いてひび割れ幅データの温度補正を行う。このようにすると、ひび割れ幅データに含まれる温度誤差を可及的に排除し、精度の高い劣化度判定を行うことができる。
なお、気温データによるひび割れ幅データの補正方法としては、予め定義した補正用演算式に気温データ及びひび割れ幅データを代入して補正済みひび割れ幅データを得る方法、予め定義した補正用テーブルを参照して補正済みひび割れ幅データを得る方法、蓄積された過去の割れ幅データ及び気温データから相関を推定し、補正済みひび割れ幅データを導き出す方法など用いることができる。
【0028】
劣化度判定結果送信手段は、コンクリート構造物2の劣化度判定結果をWEBページとして管理者端末20に送信するWEBサーバ機能や、劣化度判定結果が含まれる電子メールを管理者端末20に送信するメーラー機能により実現できる。劣化度判定結果をWEBページとして管理者端末20に送信する場合は、例えば、図12に示すような画面構成とする。この図に示す劣化度判定結果表示画面60は、コンクリート構造物2の名称と共に、今回測定日表示欄61、今回気温表示欄62、今回ひび割れ幅表示欄63、前回ひび割れ幅表示欄64、絶対値による劣化度判定結果表示欄65、変化率による劣化度判定結果表示欄66などが含まれる。今回ひび割れ幅表示欄63、前回ひび割れ幅表示欄64、絶対値による劣化度判定結果表示欄65及び変化率による劣化度判定結果表示欄66は、測定箇所毎に表示される。
【0029】
また、自主管理支援サーバ30は、劣化度判定手段がコンクリート構造物2の劣化度を重度と判定した場合、該当する管理者端末20に対して、ひび割れ幅の再測定要求を送信する再測定要求送信手段と、再測定要求に応じて管理者端末20から送信されたひび割れ幅データ及びひび割れ幅データ記憶手段の記憶データに基づいて、誤測定の有無を確認する誤測定確認手段とを備えることが好ましい。このようにすると、誤測定に基づいた誤判定を排除し、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0030】
具体的に説明すると、再測定要求送信手段は、WEBサーバ機能やメーラー機能により容易に実現でき、例えば、図12に示す劣化度判定結果表示画面60に、再測定要求表示メッセージ67及び再測定データ入力欄68を挿入すればよい。誤測定確認手段による誤判定の確認は、例えば、再測定要求に応じて管理者端末20から送信された再測定ひび割れ幅データと、ひび割れ幅データ記憶手段に記憶されている今回のひび割れ幅データ(重度判定のもとになったデータ)とを比較し、両者の差が誤測定判定用基準値を超えるか否かに基づいて行うことができる。そして、誤測定と判定された場合は、再測定要求に応じて管理者端末20から送信された再測定ひび割れ幅データに基づいて再度劣化度判定を行い、これを正規の判定結果として採用することが好ましい。
【0031】
また、自主管理支援サーバ30は、天災の発生に応じて管理者端末20にひび割れ幅の臨時測定要求を送信する臨時測定要求送信手段と、臨時測定要求に応じて管理者端末20から送信されたひび割れ幅データ及びひび割れ幅データ記憶手段の記憶データに基づいて、天災によるコンクリート構造物2のダメージを判定するダメージ判定手段とを備えることが好ましい。このようにすると、天災によるコンクリート構造物2のダメージを判定し、その判定結果を管理者に提供することが可能になる。
【0032】
具体的に説明すると、臨時測定要求送信手段は、予め臨時測定要求メッセージ(臨時測定要求メール)を作成しておけば、自主管理支援サーバ30のメーラー機能により容易に実現できる。例えば、インターネット上に存在する地震情報提供サイトからの地震発生情報をトリガーとし、全ての管理者端末20又は地震発エリアの管理者端末20に臨時測定要求メールを一斉に送信する。ダメージ判定手段は、劣化度判定手段と同等の手法を用いて、天災によるコンクリート構造物2のダメージ判定を行うことができる。例えば、臨時測定されたひび割れ幅データを所定のダメージ判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データがダメージ判定用基準値を超えているか否かに基づいて、天災によるコンクリート構造物のダメージを判定する。
【0033】
次に、自主管理支援システムの具体的な動作及び自主管理支援サーバ30の処理手順を定期測定時と臨時測定時とに分けて図13〜図16を参照して説明する。図13及び図14に示すように、ひび割れ幅測定装置1を用いてコンクリート構造物2のひび割れ幅を定期測定した管理者は、管理者端末20から自主管理支援サーバ30に対してログイン要求を送信する(S101)。自主管理支援サーバ30は、ログイン要求を受信すると共に(S102、S201)、ログイン要求に含まれるユーザIDやパスワードに基づいてユーザ認証を行い(S103、S202)、正規ユーザである場合は、予め記憶しているコンクリート構造物2の名称、測定箇所名、前回ひび割れ幅などが挿入された入力画面データを管理者端末20に送信する(S104、S203)。
【0034】
管理者端末20は、入力画面データを受信し、これを表示する(S105)。その後は、入力画面に対する測定データの入力完了を判断し(S106)、該判断結果がYESになったら、入力された測定データを自主管理支援サーバ30に送信する(S107)。自主管理支援サーバ30は、測定データを受信したら(S108、S204)、これを時系列に記憶した後(S109、S205)、気温データをもとにひび割れ幅データの温度誤差を補正し(S110、S206)、温度補正されたひび割れ幅データ(今回及び過去のデータ)に基づいて劣化度判定を行う(S111、S112、S207、S208)。この劣化度判定においては、前述した絶対値による劣化度判定手法や変化率による劣化度判定手法を用いることができる。劣化度判定が終わったら、劣化度判定結果が含まれる劣化度判定表示画面データを作成し、これを管理者端末20に送信する(S113、S209)。
【0035】
管理者端末20は、劣化度判定表示画面データを受信し、これを表示する(S114)。劣化度判定表示画面において、重度の劣化度判定結果がない場合は、そのまま処理を終わるが、重度の劣化度判定結果が含まれ、その測定箇所に関する再測定要求メッセージが挿入されている場合は、再測定されたひび割れ幅データの入力を待つ(S115)。そして、再測定データが入力された場合は、それを自主管理支援サーバ30に送信する(S116)。自主管理支援サーバ30は、重度判定があり(S210)、かつ、再測定データを受信した場合は(S117、S211)、再測定データと定期測定データを比較し、定期測定データが誤測定であったか否かを確認する(S118、S212)。ここで、誤測定と判断した場合は(S119、S213)、再測定データに基づく劣化度判定結果を最終判定結果として記憶して処理を終わる(S122、S215)。一方、誤測定ではないと判断した場合は、管理者端末20にアラートを送信し(S120、S121、S214)、管理者にコンクリート構造物2の危険度について報知する。
【0036】
図15及び図16に示すように、自主管理支援サーバ30は、天災の発生を判断し(S301、S401)、該判断結果がYESになると、管理者端末20に対して臨時測定要求を送信する(S302、S402)。管理者端末20は、臨時測定要求を受信する(S303)。この臨時測定要求に応じて、管理者がひび割れ幅測定装置1を用いてコンクリート構造物2のひび割れ幅を測定したら、管理者端末20から自主管理支援サーバ30に対してログイン要求を送信する(S304)。自主管理支援サーバ30は、ログイン要求を受信すると共に(S305、S403)、ログイン要求に含まれるユーザIDやパスワードに基づいてユーザ認証を行い(S306、S404)、正規ユーザである場合は、予め記憶しているコンクリート構造物2の名称、測定箇所名、前回ひび割れ幅などが挿入された入力画面データを管理者端末20に送信する(S307、S405)。
【0037】
管理者端末20は、入力画面データを受信し、これを表示する(S308)。その後は、入力画面に対する測定データの入力完了を判断し(S309)、該判断結果がYESになったら、入力された測定データを自主管理支援サーバ30に送信する(S310)。自主管理支援サーバ30は、測定データを受信したら(S311、S406)、これを記憶した後(S312、S407)、気温データをもとにひび割れ幅データの温度誤差を補正し(S313、S408)、温度補正されたひび割れ幅データ(今回及び過去のデータ)に基づいてダメージ判定を行う(S314、S315、S409、S410)。このダメージ判定手法としては、前述した絶対値による劣化度判定手法や変化率による劣化度判定手法を用いることができる。そして、ダメージ判定が終わったら、ダメージ判定結果が含まれる判定結果表示画面データを作成し、これを管理者端末20に送信する(S316、S317、S411)。
【0038】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、コンクリート構造物2の管理者が使用する管理者端末20と、コンクリート構造物2の自主管理を支援する自主管理支援サーバ30と、これらを通信可能に接続するネットワーク40とを備えるコンクリート構造物2の自主管理支援システムであって、管理者端末20は、コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置1を用いて管理者が定期的に測定したコンクリート構造物のひび割れ幅データを自主管理支援サーバ30に対して送信し、自主管理支援サーバ30は、管理者端末20から送信されたひび割れ幅データを受信すると共に、受信したひび割れ幅データを時系列に記憶し、さらに、定期的に測定されたひび割れ幅データの経時変化に基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定すると共に、劣化度判定結果を管理者端末20に対して送信するように構成されているので、コンクリート構造物2の管理者は、コンクリート構造物2のひび割れ幅をひび割れ幅測定装置1を用いて定期的に測定し、測定したひび割れ幅データを自主管理支援サーバ30に送信するだけで、定期的に測定したひび割れ幅データを時系列に保管できるだけでなく、コンクリート構造物2に係る高精度な劣化度判定結果が得られる。
【0039】
また、自主管理支援サーバ30は、定期的に測定されたひび割れ幅データを所定の絶対値判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが絶対値判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定するので、ひび割れ幅の絶対値に基づいて精度の高い劣化度判定を行うことができる。例えば、ひび割れ幅の変化率が小さい状況でも、ひび割れ幅の絶対値が0.5mmを超えたとき、劣化度が重度であると判定し、アラートを送信することができる。
【0040】
また、自主管理支援サーバ30は、定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率を算出すると共に、算出した変化率を所定の変化率判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが変化率判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定するので、ひび割れ幅の変化率に基づいて精度の高い劣化度判定を行うことができる。例えば、ひび割れ幅の絶対値が0.5mm以下の状況でも、ひび割れ幅の変化率が50%を超えたとき、劣化度が重度であると判定し、アラートを送信することができる。
【0041】
また、自主管理支援サーバ30は、ひび割れ幅データと共に測定時の気温データを受信し、気温データをもとに温度誤差が補正されたひび割れ幅データに基づいて、コンクリート構造物2の劣化度を判定するので、ひび割れ幅データに含まれる温度誤差を可及的に排除し、精度の高い劣化度判定を行うことができる。
【0042】
また、自主管理支援サーバ30は、コンクリート構造物2の劣化度を重度と判定した場合、該当する管理者端末20に対して、ひび割れ幅の再測定要求を送信し、再測定要求に応じて管理者端末20から送信されたひび割れ幅データ及び記憶データに基づいて、誤測定の有無を確認するので、誤測定に基づいた誤判定を排除し、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、自主管理支援サーバ30は、天災の発生に応じて管理者端末20にひび割れ幅の臨時測定要求を送信し、臨時測定要求に応じて管理者端末20から送信されたひび割れ幅データ及び記憶データに基づいて、天災によるコンクリート構造物2のダメージを判定するので、天災によるコンクリート構造物2のダメージ判定結果を管理者に提供できる。
【0044】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る自主管理支援サーバ30(自主管理支援システム)について、図17を参照して説明する。この図に示すように、第二実施形態の自主管理支援サーバ30は、定期的に測定されたひび割れ幅データの絶対値による劣化度判定結果と、定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率による劣化度判定結果と、を参照し、絶対値による劣化度判定結果のみが異常な場合と、変化率による劣化度判定結果のみが異常な場合と、絶対値による劣化度判定結果及び変化率による劣化度判定結果が異常な場合と、に場合分けし、各場合毎に、適用するアラート処理の種類を選択するアラート選択手段を備える点が前記実施形態と相違している。例えば、絶対値による劣化度判定結果のみが異常な場合に適用されるアラート処理1と、変化率による劣化度判定結果のみが異常な場合に適用されるアラート処理2と、絶対値による劣化度判定結果及び変化率による劣化度判定結果が異常な場合に適用されるアラート処理3の内容(例えば、アラート送信先、アラート送信回数、調査見積書添付の有無、調査依頼書添付の有無、補修工事見積書添付の有無、補修工事依頼書添付の有無、調査・補修業者情報添付の有無など)を予めユーザが個別に設定できるようにする。このようにすると、劣化度判定における異常判定種別に応じて、アラート処理の内容を変更することができるので、異常判定種別に適したアラート処理を実行することが可能になる。
【0045】
具体的に説明すると、自主管理支援サーバ30のアラート選択処理(アラート選択手段)では、まず、絶対値による劣化度判定結果が異常であるか否かを判断し(S501)、該判断結果がYESの場合は、変化率による劣化度判定結果が異常であるか否かを判断する(S502)。この判断結果がYESの場合は、予め設定されたアラート処理3を実行し(S503)、NOの場合は、予め設定されたアラート処理1を実行する(S504)。一方、絶対値による劣化度判定結果が異常でない場合も、変化率による劣化度判定結果が異常であるか否かを判断する(S505)。この判断結果がYESの場合は、予め設定されたアラート処理2を実行し(S506)、NOの場合は、アラート処理を実行せずに上位ルーチンへ復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ひび割れ幅測定装置の平面図である。
【図2】ひび割れ幅測定装置の側面図である。
【図3】ひび割れ幅測定装置の正面図である。
【図4】ひび割れ幅測定装置の背面図である。
【図5】ひび割れ幅測定装置の内部を示す平面図である。
【図6】ひび割れ幅測定用補助具の平面図である。
【図7】ひび割れ幅測定用補助具のX−X断面図である。
【図8】ひび割れ幅測定用補助具の使用例を示す斜視図である。
【図9】コンクリート構造物の自主管理支援システムを示すブロック図。
【図10】ひび割れ幅データの入力画面を示す正面図である。
【図11】劣化度判定に用いる絶対値判定用基準値の説明図である。
【図12】劣化度判定結果の表示画面を示す正面図である。
【図13】定期測定時における自主管理支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図14】定期測定時における自主管理支援サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】天災発生時における自主管理支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図16】天災発生時における自主管理支援サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第二実施形態に係るアラート選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 ひび割れ幅測定装置
2 コンクリート構造物
14 幅測定用補助具
20 管理者端末
30 自主管理支援サーバ
40 ネットワーク
50 入力画面
60 劣化度判定結果表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の管理者が使用する管理者端末と、コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援サーバと、これらを通信可能に接続するネットワークとを備えるコンクリート構造物の自主管理支援システムであって、
前記管理者端末は、
コンクリート構造物のひび割れ幅を光学的な測定により定量化する携帯型のひび割れ幅測定装置を用いて管理者が定期的に測定したコンクリート構造物のひび割れ幅データを前記自主管理支援サーバに対して送信するひび割れ幅データ送信手段を備え、
前記自主管理支援サーバは、
前記管理者端末から送信されたひび割れ幅データを受信するひび割れ幅データ受信手段と、
受信したひび割れ幅データを時系列に記憶するひび割れ幅データ記憶手段と、
定期的に測定されたひび割れ幅データの経時変化に基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定する劣化度判定手段と、
劣化度判定結果を前記管理者端末に対して送信する劣化度判定結果送信手段とを備える
ことを特徴とするコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項2】
前記劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データを所定の絶対値判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが絶対値判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定することを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項3】
前記劣化度判定手段は、定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率を算出すると共に、算出した変化率を所定の変化率判定用基準値と比較し、ひび割れ幅データが変化率判定用基準値を超えているか否かに基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項4】
前記ひび割れ幅データ受信手段は、ひび割れ幅データと共に測定時の気温データを受信し、
前記劣化度判定手段は、気温データをもとに温度誤差が補正されたひび割れ幅データに基づいて、コンクリート構造物の劣化度を判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項5】
前記自主管理支援サーバは、
前記劣化度判定手段がコンクリート構造物の劣化度を重度と判定した場合、該当する前記管理者端末に対して、ひび割れ幅の再測定要求を送信する再測定要求送信手段と、
再測定要求に応じて前記管理者端末から送信されたひび割れ幅データ及び前記ひび割れ幅データ記憶手段の記憶データに基づいて、誤測定の有無を確認する誤測定確認手段とを備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項6】
前記自主管理支援サーバは、
天災の発生に応じて前記管理者端末にひび割れ幅の臨時測定要求を送信する臨時測定要求送信手段と、
臨時測定要求に応じて前記管理者端末から送信されたひび割れ幅データ及び前記ひび割れ幅データ記憶手段の記憶データに基づいて、天災によるコンクリート構造物のダメージを判定するダメージ判定手段とを備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項7】
前記自主管理支援サーバは、
定期的に測定されたひび割れ幅データの絶対値による劣化度判定結果と、
定期的に測定されたひび割れ幅データの変化率による劣化度判定結果と、を参照し、
絶対値による劣化度判定結果のみが異常な場合と、
変化率による劣化度判定結果のみが異常な場合と、
絶対値による劣化度判定結果及び変化率による劣化度判定結果が異常な場合と、に場合分けし、
各場合毎に、適用するアラート処理の種類を選択するアラート選択手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコンクリート構造物の自主管理支援システム。
【請求項8】
コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援サーバであって、請求項1〜7のいずれかに記載の自主管理支援サーバとして動作することを特徴とする自主管理支援サーバ。
【請求項9】
コンクリート構造物の自主管理を支援する自主管理支援プログラムであって、コンピュータを請求項8記載の自主管理支援サーバとして動作させることを特徴とする自主管理支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−107198(P2008−107198A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290116(P2006−290116)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(599083329)三協エンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】