説明

コンクリート混入用蓄光性骨材及びその製造方法

【課題】蓄光性を備え、塊状となっている新規の骨材を提供する。
【解決手段】200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料が高分子樹脂皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からなる分散剤と、水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンとを混合した成型体からなり、反応型エマルジョンを未硬化の状態で混合して成型した後、反応型エマルジョンを硬化することにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートに混入されて用いられる蓄光性骨材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の敷石、縁石や側溝の縁石、建造物の壁や柱等においては、蓄光性のコンクリートブロックが用いられている。特許文献1には、通常のコンクリート層に蓄光性層を積層した複合構造のコンクリートブロックが記載されている。その蓄光性層は熱可塑性樹脂と、砂利、砂等の天然の骨材と、造膜助剤と、感熱ゲル化剤と、無機ガラス質と蓄光性粉末とを焼成して粉砕した蓄光材とを混合し、熱可塑性樹脂を硬化することにより所定厚さを有した層状に形成される。この蓄光性層上に通常のコンクリート層を打設、硬化して積層構造のコンクリートブロックとするものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された先行技術は蓄光性を備えたコンクリートブロックに関するものであるが、蓄光性を発揮するための蓄光性粉末とは別個に強度を付与するための砂利や砂等の天然材料からなる骨材を用いたコンクリートを貼り合わせたものである。このような特許文献1に記載された先行技術は、骨材自体が蓄光性を有するものではない。
【0004】
骨材自体が蓄光性を有した蓄光性骨材は、従来、アクリル樹脂と蓄光性顔料とを混合して製造されている。この製造は、アクリルモノマーに蓄光性顔料を添加して混合することにより蓄光性顔料を分散させ、その後、硬化助剤としてシランカップリング剤を添加してアクリルモノマーを硬化して骨材の原体を得、この原体を所定の大きさにカッティングして蓄光性骨材とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−27114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄光性骨材においては、蓄光性顔料が水と反応することにより残光輝度が著しく低下することから、従来では固形化剤として水を含有しないアクリル樹脂を用いる必要がある。しかしながらアクリル樹脂は高粘度であるため、蓄光性顔料を混合しにくく、製造の作業性が悪い問題がある。又、アクリル樹脂が高粘度であるところから、混合しにくく、混合可能な蓄光性顔料は骨材全体の5重量部程度にすぎないものとなっている。このような少ない配合量では、骨材から発する光が少ないため、視認性が悪い問題も有している。さらに、固形化剤として用いるアクリル樹脂は、アクリルモノマーの液体状態に対して硬化助剤を添加して硬化させる必要があり、工程が面倒である問題も有している。
【0007】
本発明は、残光の発光量が多く視認性が良好であり、製造の作業性が良好で、工程を簡素化することが可能な新規なコンクリート混入用蓄光性骨材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンクリート混入用蓄光性骨材は、200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からなる分散剤と、水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンとを混合した成型体からなり、前記反応型エマルジョンを未硬化の状態で混合して成型した後、反応型エマルジョンを硬化することにより形成されていることを特徴とする。
【0009】
この場合、前記反応型エマルジョンは、水の蒸発による共重合反応によって硬化するエマルジョンであることが好ましい。
又、前記反応型エマルジョンは、メタアクリル酸/エステルエマルジョン、ウレタン/エステルエマルジョン、アクリル酸/アクリルエマルジョン、アクリル酸/酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸/スチレンエマルジョン、エポキシ/エステルエマルジョン又は酢酸ビニルエマルジョンのいずれか又はその混合であることが好ましい。
又、前記透明ビーズは、ガラスビーズ、屑ダイヤモンドビーズ又はアクリルビーズのいずれか又はその混合であることが好ましい。
【0010】
本発明のコンクリート混入用蓄光性骨材の製造方法は、水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンの未硬化状態と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からの分散剤とを混合する工程Aと、200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子とを混合する工程Bと、前記工程A及びBによる混合物を混合する工程Cと、前記工程Cの混合物を成型して成型体とする工程Dと、前記成型体から水を蒸発して前記反応型エマルジョンを硬化する工程Eとを備えていることを特徴とする。
【0011】
この場合、前記工程Eの後又は工程Eと同時に、成型体を加熱することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンクリート混入用蓄光性骨材において、透明ビーズは蓄光顔料が発する燐光等の残光を骨材の外に反射するが、この透明ビーズを200μm〜1mmの球状とすることにより透明ビーズは蓄光顔料が発する残光を乱反射させることなく確実に骨材の外に反射することができる。又、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸は、蓄光性粒子及び透明ビーズを反応型エマルジョン内に分散させる分散剤として機能するため、蓄光性粒子及び透明ビーズが固まることがなく反応型エマルジョン内に均等に分散した状態となり、残光を骨材の周囲に均等に出射させることができる。又、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子を用いるため、蓄光顔料が水と接触して反応することがなく屋外においても輝度が低下することがない。従って、骨材の固形化剤として水を含有した低粘度の反応型エマルジョンを用いることができるため、作業性が向上し、工程を簡素化できると共に蓄光性粒子の混合比を多くすることができる。さらに本発明では、未硬化状態の反応型エマルジョンを混合して成型するため、天然材料からなる一般的な骨材と同等の大きさを有した立体形状の塊とすることができ、この塊状態から残光が発光する。以上により本発明によれば、大きな残光輝度を長時間有し、視認性が良好な新規な骨材を提供することができる。
【0013】
本発明のコンクリート混入用蓄光性骨材の製造方法によれば、工程Cで透明ビーズ及び蓄光粉体を反応型エマルジョンに均一に分散させ、工程Dで天然材料からなる一般的な骨材と同等の大きさを有した立体形状の塊とし、工程Eで塊を硬化させるため、コンクリート混入用蓄光性骨材を確実に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のコンクリート混入用蓄光性骨材は、200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からなる分散剤と、水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンとを混合した成型体からなり、前記反応型エマルジョンを未硬化の状態で混合して成型した後、反応型エマルジョンを硬化することにより形成される。
【0015】
蓄光性粒子は、蓄光顔料の表面を高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた形態で用いる。蓄光顔料は光を吸収することにより、燐光等の残光を発光する顔料であり、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸バリウム等のアルカリ土類金属のアルミン酸塩が用いられる。この内、高い残光輝度、長い残光時間を有する点でアルミン酸ストロンチウムを用いることが好ましい。
【0016】
本発明においては、このような蓄光顔料の表面に高分子樹脂の皮膜をコーティングするものである。高分子樹脂の皮膜のコーティングは、高分子樹脂を溶融した状態とし、この溶融樹脂中に蓄光顔料を投入して混合することにより蓄光顔料の表面の全体に皮膜を付着させ、その後、溶融樹脂から取り出して分離することにより行うことができる。高分子樹脂としては、透明性を有した樹脂が選択され、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂等のいずれか又は複数を用いることができる。
【0017】
蓄光性粒子においては、蓄光顔料の表面に高分子樹脂の皮膜がコーティングされることにより、蓄光顔料が水と接触して反応することを防止することができる。このため、蓄光性粒子が長時間、発光することができ、道路の縁石や建造物の外壁等の屋外に使用しても良好な残光輝度を長時間保持することができる。又、水との反応が防止されているため、固形化剤として水を含有した反応型エマルジョンを用いることができる。水を含有することにより反応型エマルジョンは粘度が小さくなっており、蓄光性粒子及び透明ビーズを大量に混合することが可能となる。これにより発光量が大きくなるため、さらに大きな残光輝度を備えたものとなる。又、粘度が小さいことから蓄光性粒子及び透明ビーズの混合が容易であり、混合の作業性が向上する。
【0018】
蓄光性粒子の径は、発光する光の強度が大きく、反応型エマルジョン内における分散性が良好である点から決定され、10μm〜250μm程度の径のものが用いられる。径が10μm未満の場合には、発光の強度が小さくなって好ましくなく、径が250μmを越える場合には分散性が低下するため好ましくない。蓄光性粒子の配合量は、骨材全体に対して10重量部〜70重量部の範囲で適宜選択することができる。
【0019】
透明ビーズは、蓄光顔料が発する光を反射するため及び骨材に強度を付与するために用いられる。透明ビーズは、蓄光顔料が発する光を乱反射させることなく、良好に反射するため球状であることが必要であり、多角形、楕円形等の非円形の透明ビーズを用いることは好ましくなく、球形の透明ビーズが用いられる。球形の透明ビーズは光を良好に反射するため、200μm〜1mmの径を有したものが選択される。径が200μm未満の場合には曲率が小さく光を乱反射することから好ましくなく、径が1mmを越える場合には、分散性が低下するため好ましくない。球形の透明ビーズとしては、ガラスビーズ、屑ダイヤモンド、アクリルビーズのいずれか又は複数を用いることができる。
【0020】
本発明において、透明ビーズとしては、透明性及び強度の観点からガラスビーズを用いることが良好である。透明ビーズとしてガラスビーズを用いる場合の配合量は、骨材全体に対して10重量部〜80重量部の範囲で適宜選択することができる。
【0021】
水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸は分散剤として用いられる。アミノ酸としては、ポリグルタミン酸、長鎖型アミノ酸のいずれか又は複数を用いることができる。ポリグルタミン酸はグルタミン酸を高分子化することによりハニカム構造となっており、長鎖型アミノ酸は化学反応によってハニカム構造としたものが用いられる。長鎖型アミノ酸としては、L―バリン、L−フェニルアラニン、L―リシン酸、L−メチオニン、L−アスパラギン酸、L−イソロイシン、L−アラニン、L−アルギニン、L−グルタミン酸とL−リジンとの複合体、L−セリンの内の一又は複数を用いることができる。
【0022】
ハニカム構造のアミノ酸は、予め水と接触させて膨潤した状態で用いられる。膨潤したハニカム構造のアミノ酸は、蓄光性粒子及び透明ビーズをそのハニカム構造の内部に取り込んだり、吸着力により吸着する。これにより蓄光性粒子や透明ビーズが反応型エマルジョンの内部で偏って固まることがなく、均等に分散することができる。そして、蓄光性粒子が均等に分散することにより、骨材の全体から均等に発光させることができる。又、透明ビーズが均等に分散することにより蓄光性粒子からの光を均等に反射するため、骨材の全体から均等に光を出射させることができる。これらにより、骨材の周囲に対して光を均等に出射させることができる。
【0023】
なお、ハニカム構造のアミノ酸の膨潤は、有機溶剤と接触させることによっても可能であるが、本発明においては有機溶剤ではなく、水を用いて膨潤させるものである。骨材中に有機溶剤が残留することにより、健康障害の原因となることを防止するためである。ハニカム構造のアミノ酸としてポリグルタミン酸を用いる場合の配合量は、蓄光性粒子及び透明ビーズの分散性を考慮して決定され、骨材全体に対して2重量部程度が良好である。
【0024】
反応型エマルジョンは骨材としての所定の大きさの塊とする固形化剤として用いられる。反応型エマルジョンとしては、水の蒸発によって硬化するエマルジョンが用いられる。有機溶剤によって硬化するエマルジョンは、有機溶剤が骨材中に残留して健康障害の原因となるためである。水の蒸発によって硬化するエマルジョンは水を必須として含有するため、粘度が小さい特性を有している。粘度が小さいことから混合操作がし易く、混合の作業性が向上する。又、透明ビーズ及び蓄光性粒子を多く混合することができるため、骨材からの発光量を多くすることが可能となる。
【0025】
水の蒸発によって硬化するエマルジョンとしては、水の蒸発によって共重合反応を行い、この共重合反応によって硬化する反応型エマルジョンを用いることが良好である。水の蒸発によって共重合反応を行う反応型エマルジョンとしては、メタアクリル酸/エステルエマルジョン、ウレタン/エステルエマルジョン、アクリル酸/アクリルエマルジョン、アクリル酸/酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸/スチレンエマルジョン、エポキシ/エステルエマルジョン又は酢酸ビニルエマルジョンのいずれかを選択できる。又、これらのエマルジョンの混合であっても良い。反応型エマルジョンとして、メタアクリル酸/エステルエマルジョンを用いる場合の配合量は、骨材に対して8〜20重量部の範囲で適宜選択することができる。
【0026】
水の蒸発によって硬化するエマルジョンは、当初、未硬化の状態で用いられる。未硬化の状態で透明ビーズ、蓄光性粒子及び膨潤したハニカム構造のアミノ酸を混合することにより、これらを分散させ、この分散状態で多孔板等の型を用いて外形が5mm〜15mm程度の所定の大きさに成型する。この成型の後、成型体から水を蒸発させて硬化する。これにより、所定の大きさの塊となった骨材を得ることができる。なお、水の蒸発に際しては、成型体を加熱しても良く、これにより水の蒸発を促進できるため、硬化時間を短縮することができる。反応型エマルジョンは水の蒸発によって硬化することから、水を蒸発させるだけで硬化が可能となる。このため、従来のように硬化助剤を使用すると共に、この硬化助剤を混合する必要がない。これにより、製造工程を簡素化することができる。
【0027】
本発明においては、以上に加えて、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の無機粉体や紫外線硬化樹脂、その他の化合物を適宜、添加することができる。
【0028】
本発明の骨材は、所定の大きさに成型した後、硬化することにより立体形状となるものであり、砂利等の天然材料からなる一般的な骨材と同等の大きさの塊となっており、一般的な骨材と同様にコンクリート成型体の骨材として用いることができる。そして、蓄光性粒子が残光を発すると共に球形の透明ビーズが残光を反射し、しかもこれらの配合量が多いため、骨材全体からの発光量が多くなる。従って、蓄光性を備えた新規な骨材とすることができる。又、本発明の骨材は、屋外においても蓄光性粒子の蓄光力が低下しないため、大きな輝度及び長い発光時間を保持することができる。
【0029】
又、本発明の骨材をコンクリート成型体の骨材として用いることにより、コンクリート成型体が発光し、夜間、暗闇等におけるコンクリート成型体の視認が可能となる。従って、道路の敷石、縁石や建造物の壁や柱の夜間、暗闇等に用いることにより、通行の誘導や景観向上が可能となる。
【0030】
本発明の骨材の製造は、工程A〜工程Eの段階によって行われる。工程Aは、水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンの未硬化状態と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からの分散剤とを混合する工程である、工程Bは、200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子とを混合する工程である。工程Cは、工程A及びBによる混合物を混合する工程である、工程Dは、工程Cの混合物を成型して成型体とする工程である。工程Eは、成型体から水を蒸発して反応型エマルジョンを硬化する工程である。
【0031】
工程Aでは、未硬化状態の反応型エマルジョンと水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸とを混合することにより混合液を作製し、工程Bでは、球状の透明ビーズ及び蓄光性粒子を混合して混合粒体を作製する。工程Cでは、混合粒体に対して混合液を加え、攪拌混合してペーストとする。工程Cでは、球状の透明ビーズ及び蓄光性粒子を膨潤したハニカム構造のアミノ酸により反応型エマルジョンに均等に分散させることができる。この場合、球状の透明ビーズ及び蓄光性粒子を混合する工程Bを行っている時に、工程Aで作製した混合液を加えて混合しても良い。すなわち、工程Bと工程Cとを同時に行っても良い。
【0032】
工程Dでは、工程Cで得たペーストを所定の大きさの立体形状に成型する。成型は型を用い、この型にペーストを流して成型する。型としては、多孔板等を用いることができる。多孔板を用いる場合、ペーストを多孔板上に流し、スキージ、へら等によってペーストを型の孔内に押し込み、その後、孔から落下させる。これにより外形が孔の形状に倣った立体形状の成型体とすることができる。
【0033】
工程Eでは、型から取り出された立体形状の成型体から水を蒸発させる。水の蒸発は、成型体を放置することにより行うことができるが、空気を送風することにより蒸発を促進しても良い。水の蒸発により、反応型エマルジョンが共重合反応等を行って硬化する。これにより所定の硬度を有した立体形状の骨材とすることができる。なお、工程Eでは、水の蒸発と並行して加熱を行っても良く、水の蒸発の後に加熱しても良い。加熱によって水の蒸発が促進されるため硬化時間を短縮することができる。又、加熱によって反応型エマルジョンの硬化反応自体を促進することが可能となる。
【0034】
このような製造方法では、工程Cで球状の透明ビーズ及び蓄光粉体を反応型エマルジョンに均一に分散させ、工程Dで天然材料からなる一般的な骨材と同等の大きさを有した立体形状の塊とし、工程Eで塊を硬化させるため、蓄光性を有し、且つ所定の立体形状を有した骨材を確実に製造することができる。
【実施例】
【0035】
反応型エマルジョンとして未硬化のメタアクリル酸/エステルエマルジョンを12重量部と、分散剤として水によって膨潤したポリグルタミン酸を2重量部とを混合攪拌して混合液体を作製した。一方、球状の透明ビーズとして径が500μmの球状のガラスビーズを50重量部と、蓄光性粒子として樹脂コーティングされた粒径200μmのアルミン酸ストロンチウムを30重量部とを混合しながら上記混合液体を20重量部添加して混合攪拌し、ペーストを作製した。
【0036】
その後、型として孔径が10mm、厚さ5mmの多孔板を用い、この多孔板状にペーストを流し、へらによってペーストを孔内に押し込み、多孔板に振動を与えて孔形状に倣った円柱形状の成型体を多孔板から落下させた。この成型体をラック状に載せて送風して水を蒸発させた。送風は3時間行って水分を蒸発させ、反応型エマルジョンを硬化させた。さらに、60℃の温風を30分送風して加熱した。そして、24時間常温下に放置することにより反応型エマルジョンの反応を完結させて骨材を得た。
【0037】
上記骨材に対し、200Lxの照射を20分行って励起した。そして、暗所で残光輝度を測定したところ、20分経過時に152mcd/m、60分経過時に46mcd/mの輝度となっており、大きな残光輝度を保持していた。又、16時間経過した時点においても、暗所での視認が可能となっていた。これにより、残光輝度を長時間保持していた。
【0038】
比較例として、蓄光顔料としてアルミン酸ストロンチウムを用い、この蓄光顔料を液状のアクリルモノマーに5重量部添加して混合した後、シランカップリング剤を加えて硬化させ、一辺が10mm、厚さ5mmの蓄光性骨材を製造した。この骨材に対し、実施例と同様に200Lxの照射を20分行って励起し、暗所で残光輝度を測定した。しかしながら、比較例の骨材は20分経過時に50mcd/m、60分経過時に15mcd/mの輝度であり、残光輝度が小さいものであった。又、16時間経過した時点においては、暗所での視認ができないものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からなる分散剤と、水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンとを混合した成型体からなり、
前記反応型エマルジョンを未硬化の状態で混合して成型した後、反応型エマルジョンを硬化することにより形成されていることを特徴とするコンクリート混入用蓄光性骨材。
【請求項2】
前記反応型エマルジョンは、水の蒸発による共重合反応によって硬化するエマルジョンであることを特徴とする請求項1記載のコンクリート混入用蓄光性骨材。
【請求項3】
前記反応型エマルジョンは、メタアクリル酸/エステルエマルジョン、ウレタン/エステルエマルジョン、アクリル酸/アクリルエマルジョン、アクリル酸/酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸/スチレンエマルジョン、エポキシ/エステルエマルジョン又は酢酸ビニルエマルジョンのいずれか又はその混合であることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート混入用蓄光性骨材。
【請求項4】
前記透明ビーズは、ガラスビーズ、屑ダイヤモンドビーズ又はアクリルビーズのいずれか又はその混合であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート混入用蓄光性骨材。
【請求項5】
水の蒸発によって硬化する反応型エマルジョンの未硬化状態と、水によって膨潤したハニカム構造のアミノ酸からの分散剤とを混合する工程Aと、
200μm〜1mmの球状の透明ビーズと、蓄光顔料の表面が高分子樹脂の皮膜によってコーティングされた蓄光性粒子とを混合する工程Bと、
前記工程A及びBによる混合物を混合する工程Cと、
前記工程Cの混合物を成型して成型体とする工程Dと、
前記成型体から水を蒸発して前記反応型エマルジョンを硬化する工程Eとを備えていることを特徴とするコンクリート混入用蓄光性骨材の製造方法。
【請求項6】
前記工程Eの後又は工程Eと同時に、成型体を加熱することを特徴とする請求項5記載のコンクリート混入用蓄光性骨材の製造方法。

【公開番号】特開2012−131647(P2012−131647A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282493(P2010−282493)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【特許番号】特許第4683354号(P4683354)
【特許公報発行日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(593043967)
【Fターム(参考)】