説明

コンクリート製のブロック体の接合方法、ならびに牽引操作具およびシール材

【課題】本発明はコンクリート製のブロック体の接合方法、ならびに牽引操作具およびシール材に関し、コンクリート製のブロック体が簡単な取り扱い操作により施工効率良く接合が行え、シール材のシール材取付溝内への装着操作が容易で止水性能を確実に発揮する。
【解決手段】コンクリート製の接合すべき一方のブロック本体1に着脱可能に止着する第1係止杆2と、他方のブロック本体1に着脱可能に止着する第2係止杆3を基板部4の下面に有し、操作杆5を回動可能に設けた牽引操作具6の該操作杆との間に牽引索状物7を張設し、操作杆を回動操作することによりブロック本体を相互に近接させ、該ブロック本体の対向する接合端面に設けるシール材取付溝8,8内に圧入される弾性材よりなるシール材9を介してブロック本体1,1,1・・・相互を接合する。また、本発明はシール材、および牽引操作具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート製のブロック体の接合方法、ならびに牽引操作具およびシール材に関し、コンクリート製のブロック体が、特に流水路を内部長手方向に有する水路ブロック、U字溝ブロック、側溝ブロック、暗渠ブロック等の接合端相互を接合するのに適し、簡単な取り扱い操作により多大な労力を要することなく施工効率良く且つ構造堅牢に接合が行え、しかもシール材のシール材取付溝内への装着操作が容易に行え、止水性能を確実に発揮し、さらには工期が短縮化され、工事費、設備費は削減され、製作コストを安価にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば農業用水を流すためのコンクリート製の水路ブロック、また、下水や雨水を流すためのU字溝ブロック、側溝ブロック、暗渠ブロック等は対向する接合端相互を接合するために、ブロック本体の内部の長手方向に設けた流水路を流れる流水が地中に漏出したり、地下水がブロック本体内に侵入するのを防止するために、ブロック本体相互の接合端同志の止水をはかる必要がある。
【0003】
このように、流水が流れる流水路を内部に有するコンクリート製のブロック本体相互を接合するために、ブロック本体の接合端同志の止水をはかる止水手段としては、従来、1つの方法として接合すべきブロック本体相互の接合端の角部に周回りに設けた断面L形の溝内にセメントモルタルや合成樹脂接着剤等の充填剤を充填し、固化することにより止水をはかるものがある。また、止水をはかるために設けた他の従来方法としては、ブロック本体の接合端面に対向して設けた断面台形の溝内に弾性材により形成されたシール材を封入するものがあった(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭61−121285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流水が流れる流水路を内部に有するコンクリート製のブロック本体相互を接合するために、接合すべきブロック本体相互の接合端の角部に周回りに設けた断面L形の溝内にセメントモルタルや合成樹脂接着剤等の充填剤を充填し、固化する上記従来の止水方法は、充填剤をブロック本体相互の接合端に設けた溝内に充填するのに充填作業が容易には行えないとともに充填剤が固化するまでには多くの時間と手間がかかる。すなわち、コンクリート製のブロック本体相互の接合作業が非能率になり、工期が長期化し、工事費、設備費は高額になり、製作コストは高価になっていた。
【0005】
しかも、夏期または冬期の温度差が影響することにより、充填材が膨張または収縮してブロック本体の接合端との間に亀裂を生じたり、充填材の品質が劣化して亀裂を生じたりするので、ブロック本体相互の接合部の止水性が損なわれる。
【0006】
また、ブロック本体の接合端面に対向して設けた断面台形の溝内に弾性材により形成されたシール材を封入する上記従来の止水方法は、接合すべきブロック本体相互の接合端を互いに近接し、接合部を緊結する等してシール材を溝内に圧入しなければ止水機能を確実には発揮することができなかった。しかも、接合すべきブロック本体相互を接合するのに際してブロック本体相互の接合端を互いに近接するための近接作業に熟練した技能と多くの時間と労力を必要とし、作業性が悪いので、ブロック本体相互の接合作業が非能率になり、工期が長期化し、工事費、設備費は高額になり、製作コストは高価になっていた。
【0007】
しかも、ブロック本体相互の接合作業における近接作業時にシール材が外力を受けてずれ動き、適正位置に設置出来なかったり、めくれ上がったり、切断されたりする。また、施工後においても、ブロック本体相互が僅かでもずれ動くと、溝内に圧入したシール材との間に間隙を生じて漏水につながり、止水機能が損なわれるという不都合があった。
【0008】
本発明は簡単な取り扱い操作により多大な労力を要することなく施工効率良く且つ構造堅牢に流水路を有する等のブロック本体相互の接合が行え、しかもブロック本体の対向する接合端に設けたシール材取付溝内へのシール材の装着操作が容易に行え、止水性能を確実に発揮し、さらには工期が短縮化され、工事費、設備費は削減され、製作コストを安価にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明は、コンクリート製のブロック本体を相互に接合するものであり、接合すべき一方のブロック本体に着脱可能に止着する第1係止杆と、他方のブロック本体に着脱可能に止着する第2係止杆を基板部の下面に有し、操作杆を回動可能に設けた牽引操作具の該操作杆との間に牽引索状物を張設し、前記操作杆を回動操作することにより前記ブロック本体を相互に近接させ、該ブロック本体の対向する接合端面に設けるシール材取付溝内に圧入される弾性材よりなるシール材を介してブロック本体相互を接合することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ブロック本体は、流水路を内部長手方向に有する水路ブロック、U字溝ブロック、側溝ブロック、暗渠ブロックの何れかであるか、または、前記水路ブロック、前記U字溝ブロック、前記側溝ブロックの流水路の上方に被せる蓋部材の何れかであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記シール材取付溝は、コンクリート製のブロック本体の対向する接合端面に臨まれる開口部と、該開口部の奥に断面先窄まりに形成される被圧接斜面部とにより形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1,または2,3の何れか1の請求項において、前記シール材は、合成樹脂または合成ゴム等の柔軟性を有する弾性材により形成され、接合すべきコンクリート製のブロック本体の接合端面に設ける開口部の奥に設けた断面先窄まりの被圧接斜面部を有するシール材取付溝内に挿入可能に左右の両側に形成され、前記被圧接斜面部よりも緩傾斜をなす斜面部により形成される挿入部と、該挿入部の上面および下面に前記被圧接斜面部に閉鎖状態に圧接可能に挿入方向にそれぞれ所定角度にて形成された複数個の係止舌片とにより形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1,または2,3,4の何れか1の請求項において、接合すべき一方のブロック本体の接合部の外側に結合プレートの一端をボルトにより回動可能に取付け、該結合プレートの他端には開口を下方に臨ませた係止切欠部が設けられ、該結合プレートの一端を止着する前記ボルトを中心に結合プレートを回動操作することにより前記係止切欠部を他方のブロック本体の接合部の外側に先端部を螺入したボルトに係入することにより前記結合プレートによりブロック本体相互の接合部を緊結することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、コンクリート製のブロック体の一方のブロック本体に着脱可能に止着する第1係止杆に一端が係止される牽引索状物と、接合すべき他方のブロック本体の接合端近くの底部に設置される基板部と、該基板部の下面に突設され、前記底部内に着脱可能に止着する第2係止杆と、該第2係止杆の上部に交叉して略水平に前記基板上に配設される回動支軸により一端が枢着されて回動可能に前記基板部に取付けられる操作杆と、前記回動支軸の軸回りに該操作杆の一端側の上面に前記牽引索状物を牽引可能に設けられた係止作動片部と、前記操作杆の下面に設けられたストッパ部材とにより形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、合成樹脂または合成ゴム等の柔軟性を有する弾性材により形成され、接合すべきコンクリート製のブロック本体の接合端面に設ける開口部の奥に設けた断面先窄まりの被圧接斜面部を有するシール材取付溝内に挿入可能に左右の両側に形成され、前記被圧接斜面部よりも緩傾斜の斜面部により形成される挿入部と、該挿入部の上面および下面に前記被圧接斜面部に閉鎖状態に圧接可能に挿入方向にそれぞれ所定角度にて形成された複数個の係止舌片とにより形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は簡単な取り扱い操作により多大な労力を要することなく施工効率良く且つ構造堅牢に流水路を有する等のブロック本体相互の接合が行え、しかもブロック本体の対向する接合端に設けたシール材取付溝内へのシール材の装着操作が容易に行え、止水性能を確実に発揮し、さらには工期が短縮化され、工事費、設備費は削減され、製作コストを安価にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に示すように実施するための最良の形態により本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明のコンクリート製のブロック体の接合方法の実施形態1を示す拡大断面図、図2は同じく一部切欠斜視図、図3は同じくブロック本体相互を接合した状態の水平断面図、図4は本実施形態1を構成するシール材をシール材取付溝内に圧入した止水状態の拡大断面図、図5は同じくシール材をシール材取付溝内に圧入する状態の拡大断面図である。
【0019】
本実施形態は、コンクリート製のブロック本体1,1,1・・・を相互に接合するものであり、接合すべき一方のブロック本体1に着脱可能に止着する第1係止杆2と、他方のブロック本体1に着脱可能に止着する第2係止杆3を基板部4の下面に有し、操作杆5を回動可能に設けた牽引操作具6の該操作杆5との間に牽引索状物7を張設し、前記操作杆5を回動操作することにより前記ブロック本体1,1・・・を相互に近接させ、該ブロック本体1,1の対向する接合端面1a,1bに設けるシール材取付溝8内に圧入される弾性材よりなるシール材9を介してブロック本体1,1,1・・・相互を接合することを特徴とする。
【0020】
また、前記ブロック本体1,1,1・・・は、図1ないし図3に示すように流水路10を内部の長手方向Iに有する水路ブロックBであるか、また、図には示さないがU字溝ブロック、側溝ブロック、暗渠ブロックの何れかであるか、または、前記水路ブロックB、前記U字溝ブロック、前記側溝ブロック等の流水路10の上方に被せる蓋部材11,11,11・・・の何れかである。
【0021】
前記第1係止杆2は、接合すべき一方のブロック本体1の接合端S近くの底部15に埋設されるインサートCに螺入されたり、螺脱されるボルト2aである。同様に前記第2係止杆3は、接合すべき他方のブロック本体1の接合端S近くの底部15に埋設されるインサートCに螺入されたり、螺脱されるボルト3aである。
【0022】
また、前記シール材取付溝8は、コンクリート製のブロック本体1,1,1・・・の対向する接合端面1a,1bに臨まれる開口部8aと、該開口部8aの奥に断面先窄まりに形成される被圧接斜面部8bとにより形成される。
【0023】
また、前記シール材9は、合成樹脂または合成ゴム等の柔軟性を有する弾性材により形成され、接合すべきコンクリート製のブロック本体1,1,1・・・の接合端面1a,1bに設けるシール材取付溝8の開口部8aの奥に断面先窄まりの被圧接斜面部8b,8bを設けたシール材取付溝8内に挿入可能に左右の両側に形成され、且つ前記被圧接斜面部8b,8bよりも緩傾斜をなす斜面部9bにより形成される挿入部9aと、該挿入部9aの上面および下面に前記被圧接斜面部8b,8bに閉鎖状態に圧接可能に挿入方向に鋭角のそれぞれ異なる所定角度∠α,∠β,∠γにて形成された複数個の係止舌片9c,9d,9e;9c,9d,9eとにより形成される。
【0024】
また、断面先窄まりの前記シール材取付溝8の設置角度θ1は本実施形態1では挿入方向に向けて図5に示すように例えば14°程度であり、また、前記シール材取付溝8内に挿入されるシール材9の挿入部9aの設置角度θ2は緩傾斜の例えば12°程度であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、前記係止舌片9cの設置角度∠αは、本実施形態1では挿入方向に向かってそれぞれ異なる鋭角の例えば67°であり、また係止舌片9dの設置角度∠βは例えば75°であり、さらに係止舌片9eの設置角度∠γは例えば72°に形成される。すなわち、係止舌片9c,9d,9eの設置角度∠α,∠β,∠γは挿入方向に向かう配列順に小<大>中に形成される。このように、係止舌片9c,9d,9eの設置角度∠α,∠β,∠γを挿入方向に向かう順に小<大>中の大きさをもって形成したのは、開口部8aからシール材取付溝8内へ挿入部9aを挿入するのに、挿入距離L1が最も長い係止舌片9cをシール材取付溝8内に挿入する時に、それぞれ挿入距離L2,L3と短い後続の係止舌片9d,9eに比較して設置角度∠αが最も小さい鋭角に形成することで挿入を容易にするのと、係止舌片9e,9d,9cをシール材取付溝8内に圧入後においては係止舌片9e,9d,9cはそれぞれ流水に最も近い順に設置角度∠γ′,∠β′,∠α′がそれぞれ鋭角の中<大>小の変化をもたせて配列されてシール材取付溝8,8の被圧接斜面部8b,8bに圧接されるため、挿入距離L3が最も短い位置にて流水圧による受圧を強く受ける係止舌片9eが第1に流水圧を受けて拡張されて確実に止水を行い、次いで挿入距離L2が係止舌片9eよりも長い位置において流水圧が係止舌片9eよりも減圧された状態にて受圧される次段の係止舌片9dがさらに拡張して止水が行われ、さらには挿入距離L1が最も長い位置にて最も弱い流水圧を受圧する係止舌片9cにより止水が効果的に行えることになり、しかも係止舌片9e,9d,9c;9e,9d,9cは3重構造に配列されることにより、止水機能を有効に発揮させるためである。
【0026】
12はブロック本体1,1,1・・・の相互の接合端Sを緊結するために、例えば鉄板、ステンレス板、強化プラスチック板等の剛性材により形成された結合プレートであり、この結合プレート12は接合すべき一方のブロック本体1の接合端Sの外側に一端をボルト13Aにより回動可能に取付け、他端には開口14aを下方に臨ませた係止切欠部14を設けて形成される。そして、この結合プレート12は一端を止着する前記ボルト13Aを中心として矢印Fに示す方向に回動操作することにより前記係止切欠部14を他方のブロック本体1の接合端Sの外側に先端部を螺入したボルト13Bに係入することによりこの結合プレート12によりブロック本体1,1相互の接合端S,Sを緊結する。
【0027】
また、前記牽引操作具6は、コンクリート製のブロック体1,1の一方のブロック本体1の底部に着脱可能に止着する第1係止杆2に一端が係止される牽引索状物7と、接合すべき他方のブロック本体1の接合端S近くの底部15に設置される基板部4と、該基板部4の下面に突設され、前記底部15内に着脱可能に止着する第2係止杆3と、該第2係止杆3の上部に交叉して略水平に前記基板部4上に配設される回動支軸16により一端が枢着されて回動可能に前記基板部4に取付けられる操作杆5と、前記回動支軸16の軸回りに該操作杆5の一端側の上面に前記牽引索状物7を牽引可能に設けられた二股状ないしはフック状の係止作動片部17,17と、前記操作杆5の下面に設けられたストッパ部材18とにより形成される。
【0028】
また、前記牽引索状物7としては、例えば本実施形態1では図1および図2に示すように、前記第1係止杆2の上部に両端に配設した取付部19a,19aを回動可能に取付けた略U字状の連結金具19に一端部20aを結合した図示するようなチェーン20のほか、ワイヤーロープ、ロープなどが使用される。また、この牽引索状物7の使用本数は本実施形態1では図示するように1本が使用されるが、これに限ることなく、2〜4本の複数本を用いてもよい。
【0029】
21は運搬したり、施工時に前記ブロック本体1を吊り上げるために、ブロック本体1の左右の外側面に設けたインサート22にボルト部23を螺入することにより着脱自在に所望複数個が取付けられる吊環であり、この吊環21にロープやワイヤーロープRの一端を結束することによりチェン・ブロックやクレーン等の吊具を用いてブロック本体1は吊り上げられ、所定位置に移動するようになっている。
【0030】
本発明の実施形態1は以上の構成からなり、流水路10を内部の長手方向Iに有する水路ブロックB等のコンクリート製のブロック本体1,1,1・・・を相互に接合するには、先ず、ブロック本体1の左右の外側面に設けたインサート22にボルト部23を螺入することによりブロック本体1の外側に所望複数個が着脱自在に取付けられる吊環21にロープやワイヤーロープRの一端を結束することによりチェン・ブロックやクレーン等の吊具を用いてブロック本体1を吊り上げ、トラック等に搭載して工場や倉庫から、施工現場まで運搬する。そして、同様にチェン・ブロックやクレーン等の吊具や吊環、ワイヤー・ロープRを用いてブロック本体1をトラック等から所定位置に降ろす。
【0031】
そして、ブロック本体1,1,1・・・を相互に接合するのには、作業者は接合すべき一方のブロック本体1の接合端S近くに第1係止杆2を着脱自在に止着し、また他方のブロック本体1には接合端Sに近い底部15に牽引操作具6の基板部4の下面に有する第2係止杆3を着脱自在に止着する。その後、両端に配設した取付部19a,19aを回動可能に取付けている略U字状の連結金具19を介して第1係止杆2に一端部20aを結合した牽引索状物7としてのチェーン20を、他方のブロック本体1の底部15に止着した第2係止杆3を突設した牽引操作具6の操作杆5に設けている二股状ないしはフック状の係止作動片部17,17に係止し、張設する。
【0032】
この時、チェーン20の他端を二股状の係止作動片部17,17に係止するには、チェーン20を構成するリンクを縦にして二股状の前記係止作動片部17,17の間に差し込んで係止させればよい。
【0033】
そして、接合すべき両ブロック本体1,1の対向する接合端面1a,1bに設けられているシール材取付溝8,8の何れか一方(本実施形態1では牽引操作具6の設置側のブロック本体1のシール材取付溝8)に弾性材により形成されたシール材9の左右何れか(図では右側)の挿入部9aを挿入することによりシール材9のシール材取付溝8,8に対する封入作業の準備をしておく。
【0034】
こうして、接合すべきブロック本体1,1の一方のブロック本体1の接合端S近くの底部15に基板部4から突設した第2係止杆3を係止している牽引操作具6に回動可能に取付けられた操作杆5を回動支軸16を中心Oとして矢印G方向に回動操作すると、この回動支軸16の軸回りの上方において前記操作杆5に設けた二股状の係止作動片部17,17の間に縦にしたリンクを差し込む等して一端を係止している牽引索状物7としてのチェーン20は、接合すべき他方のブロック本体1の接合端S近くの底部15に設けた第1係止杆2に他端を係止されているので、操作杆5が回動されるのに伴い回動支軸16を中心Oとして係止作動片部17,17が回動支軸16の軸回りに回動されて作用点となり、梃子作用が発揮されるため、牽引索状物7には矢印J1方向の引張力が働く。
【0035】
この結果、接合すべき一方のブロック本体1は牽引索状物7が一端に取付けられている第1係止杆2を介して矢印J1方向に引っ張られ、同時に他方のブロック本体1は第2係止杆3を介して矢印J2方向に相互に対向して引っ張られるので、両ブロック本体1,1は近接し、接合端面1a,1b相互が圧接されて行く。従って、操作杆5を回動操作するという簡単な取り扱いにより接合すべきブロック本体1,1相互の近接作業に熟練した技能を要することなく、多くの時間、労力を要せずに、効率的に行える。また、牽引操作具6は、取り扱い操作が簡単に行えるとともに、軽量にして構造が簡単であり、施工現場への運搬が容易に行える。
【0036】
この際、本実施形態1では、操作杆5の長さ、および操作杆5の一端を回動可能に枢支するための回動支軸16から牽引索状物7の他端を係止する係止作動片部17,17までの長さlを大きく確保するようにすれば操作杆5に加える力が小さくても効率良く、かつ多大な労力を要することなく接合すべきブロック本体1,1相互を近接して近接作業を行うことができる。
【0037】
しかも、図示するように接合すべき一方のブロック本体1に着脱可能に止着する第1係止杆2と、他方のブロック本体1に着脱可能に止着する第2係止杆3を下面に設けた基板部4に回動可能に取付けられる操作杆5との間に1本の牽引索状物7を張設することにより両ブロック本体1,1を近接し、ブロック本体1,1相互の接合端面1a,1bを圧接するようにしているが、牽引索状物7の使用本数は図示するものに限ることなく、ブロック本体1,1の幅、長さ、大きさ、重量等に応じて2〜4本の複数本を用いて牽引するようにもよい。
【0038】
そして、前述のように予め接合すべき両ブロック本体1,1の対向する接合端面1a,1bに設けられているシール材取付溝8,8の何れか一方に、合成樹脂または合成ゴム等の柔軟性を有する弾性材よりなり、左右何れかの挿入部9aが挿入されているシール材9は、他方の挿入部9aが他方のブロック本体1の接続端面1bに設けたシール材取付溝8内に挿入されて行く。
【0039】
この際、シール材取付溝8は、コンクリート製のブロック本体1,1の対向する接合端面1a,1bに臨まれる開口部8aと、該開口部8aの奥に設けられる断面先窄まりの被圧接斜面部8b,8bとによりその設置角度θ1が本実施形態1では挿入方向に向けて図5に示すように例えば14°程度に形成され、また、弾性材よりなるシール材9は、前記被圧接斜面部8b,8bよりも緩傾斜、例えば12°程度をなす先窄まりの斜面部9b,9bによりなる挿入部9aの上面および下面に前記被圧接斜面部8b,8bに閉鎖状態に圧接可能に挿入方向にそれぞれ異なる鋭角の所定角度∠α,∠β,∠γの複数個の係止舌片9c,9d,9e;9c,9d,9eが形成されているので、シール材9は挿入部9aと係止舌片9c,9d,9e;9c,9d,9eとが弾性変形されることにより抵抗なく所定位置に容易に挿入される。
【0040】
しかも、前記係止舌片9cの設置角度∠αは、本実施形態1では挿入方向に向かってそれぞれ異なる鋭角の例えば67°であり、また係止舌片9dの設置角度∠βは例えば75°であり、さらに係止舌片9eの設置角度∠γは例えば72°に形成され、係止舌片9c,9d,9eのそれぞれの設置角度∠α,∠β,∠γは挿入方向に向かう配列順に小<大>中に形成したので、開口部8aからシール材取付溝8内への挿入距離L1が最も長い先端側の係止舌片9cをシール材取付溝8内に挿入する時に、挿入距離L2,L3がそれよりも短い後続の係止舌片9d,9eに比較して設置角度∠αを最も小さい鋭角に形成することで抵抗力を小さくして挿入を容易にし、ずれ動きやめくれ上がりがなく、シール材9は切断されることがなく、挿入される。
【0041】
このように上記の牽引操作具6を用いて操作杆5を回動操作するという簡単な取り扱い操作により牽引索状物7を介して接合端面1a,1b相互を近接してブロック本体1,1,1・・・を順次相互に接合するとともに対向するブロック本体1,1相互の接合端面1a,1bに設けたシール材取付溝8,8内に弾性材により形成したシール材9の左右の挿入部9a,9aを圧入して確実に止水性を発揮する。
【0042】
そして、ブロック本体1,1,1・・・の接合後は、シール材取付溝8,8内に挿入部9a,9aが圧入されたシール材9は、圧入後においては図4に示すように係止舌片9e,9d,9cは弾性変形して設置角度∠α′,∠β′,∠γ′になり、それぞれ鋭角の小<大>中の変化をもつので、シール材9には摩擦係止力により引張力Pに対するずれ動きや抜出しが確実に防止されてシール材取付溝8,8と、シール材取付溝8,8の被圧接斜面部8b,8bに圧接される係止舌片9e,9d,9c;9e,9d,9cとの間に間隙を生じないのと、流水に最も近い順に配設される係止舌片9e,9d,9cの設置角度∠γ′,∠β′,∠α′にそれぞれ鋭角の中<大>小の変化をもたせて配列されてシール材取付溝8,8の被圧接斜面部8b,8bに圧接されるため、挿入距離L3が最も短い位置にて流水圧による受圧を受ける係止舌片9eが流水圧を受けて拡張されて確実に止水を行い、次いで挿入距離L2が係止舌片9eよりも長い位置において流水圧が係止舌片9eよりも減圧されて受圧される次段の係止舌片9dが拡張して止水を行え、さらには挿入距離L1が最も長い位置にて最も弱い流水圧による受圧を受ける係止舌片9cにより止水が効果的に行え、しかも、係止舌片9e,9d,9c;9e,9d,9cは3重構造に配列されることにより、止水機能は有効に発揮される。また、シール材9は止水手段として充填材を充填する従来方法とは異なるので、夏期または冬期の温度差に影響されて容積変化が少なく、弾性を発揮するので、シール材9はカケや亀裂を生ずることがなく、止水機能を有効に発揮する。
【0043】
そして、例えば鉄板、ステンレス板、強化プラスチック板等の剛性材により形成した結合プレート12の一端を接合すべき一方のブロック本体1の接合端Sの外側にボルト13Aにより回動可能に取付け、この結合プレート12を前記ボルト13Aを中心として矢印Fに示す方向に回動操作することにより結合プレート12の他端に開口14aを下方に臨ませた係止切欠部14を他方のブロック本体1の接合端Sの外側に先端部を螺入したボルト13Bに係入し、結合プレート12によりブロック本体1,1相互の接合部S,Sを緊結する。
【0044】
従って、ブロック本体1,1相互の接合端S,Sを結合プレート12により緊結力を付与した状態で緊結するので、ブロック本体1,1の対向する接合端面1a,1bに設けられているシール材取付溝8,8内に圧入されているシール材9には常時必要な圧接度が付与されるので、シール材9により有効に止水性が発揮される。
【0045】
図6は本発明の実施形態2を示し、ブロック本体1,1,1・・・を屈曲した状態に敷設する場合に適用したものである。この実施形態2では、平面略く字状に形成した結合プレート12′,12″をブロック本体1,1,1・・・の屈曲部に用いてブロック本体1,1,1・・・相互を屈曲した状態に緊結し、接合するようにしたほかは、上記実施形態1と同様の構成、作用である。
【0046】
図7に示すものは本発明の実施形態3であり、この実施形態3ではコンクリート製のブロック本体1,1,1・・・が前記実施形態1のように流水路10を内部の長手方向Iに有する水路ブロックBとは異なり、水路ブロックBの流水路10の上方に被せる蓋部材11,11,11・・・相互を近接して被せる場合に、上述の牽引操作具6を用いて接合すべき一方のブロック本体1としての蓋部材11に着脱可能に止着する第1係止杆2と、他方のブロック本体1としての蓋部材11に着脱可能に止着する第2係止杆3を基板部4の下面に有し、操作杆5を回動可能に設けた牽引操作具6の該操作杆5との間に牽引索状物7を張設し、前記操作杆5を回動操作することにより前記蓋部材11,11を相互に近接させて接合し、蓋部材11,11の覆工作業を効率良く行うようにするほかは前記実施形態1と同様の構成、作用である。
【0047】
上記実施形態1ないし3では牽引操作具6の操作杆5は、手動操作により回動操作されるようにしたが、これに限らずモータ、シリンダ等を駆動源として自動的に操作杆5を回動操作することにより、操作杆5の梃子作用により牽引索状物7を介してブロック本体1,1相互を対向して牽引し、ブロック本体1,1,1・・・相互を接合することも本発明の適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は簡単な取り扱い操作により多大な労力を要することなく施工効率良く且つ構造堅牢に流水路を有する等のブロック本体相互の接合が行え、しかもブロック本体の対向する接合端に設けたシール材取付溝内へのシール材の装着操作が容易に行え、止水性能を確実に発揮し、さらには工期が短縮化され、工事費、設備費は削減され、製作コストを安価にする用途・機能に適する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明のコンクリート製のブロック体の接合方法の実施形態1を示す拡大断面図である。
【図2】図2は同じく一部切欠斜視図である。
【図3】図3は同じくブロック本体相互を接合した状態の平面図である。
【図4】図4は本実施形態1を構成するシール材をシール材取付溝内に圧入した止水状態の拡大断面図である。
【図5】図5は同じくシール材をシール材取付溝内に圧入する状態の拡大断面図である。
【図6】図6は本発明の実施形態2を示し、ブロック本体としての水路ブロックを屈曲した状態に敷設した水平断面図である。
【図7】図7は本発明の実施形態3を示し、水路ブロック等の上方に被せる蓋部材の覆蓋作業を牽引操作具により行う場合を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ブロック本体
1a 接合端面
1b 接合端面
2 第1係止杆
3 第2係止杆
4 基板部
5 操作杆
6 牽引操作具
7 牽引索状物
8 シール材取付溝
8a 開口部
8b 被圧接斜面部
9 シール材
9a 挿入部
9b 斜面部
9c 係止舌片
9d 係止舌片
9e 係止舌片
10 流水路
12 結合プレート
13A ボルト
13B ボルト
14 係止切欠部
17 係止作動片部
20 チェーン
B 水路ブロック
S 接合端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製のブロック本体を相互に接合するものであり、接合すべき一方のブロック本体に着脱可能に止着する第1係止杆と、他方のブロック本体に着脱可能に止着する第2係止杆を基板部の下面に有し、操作杆を回動可能に設けた牽引操作具の該操作杆との間に牽引索状物を張設し、前記操作杆を回動操作することにより前記ブロック本体を相互に近接させ、該ブロック本体の対向する接合端面に設けるシール材取付溝内に圧入される弾性材よりなるシール材を介してブロック本体相互を接合することを特徴とするコンクリート製のブロック体の接合方法。
【請求項2】
前記ブロック本体は、流水路を内部長手方向に有する水路ブロック、U字溝ブロック、側溝ブロック、暗渠ブロックの何れかであるか、または、前記水路ブロック、前記U字溝ブロック、前記側溝ブロックの流水路の上方に被せる蓋部材の何れかであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート製のブロック体の接合方法。
【請求項3】
前記シール材取付溝は、コンクリート製のブロック本体の対向する接合端面に臨まれる開口部と、該開口部の奥に断面先窄まりに形成される被圧接斜面部とにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート製のブロック体の接合方法。
【請求項4】
前記シール材は、合成樹脂または合成ゴム等の柔軟性を有する弾性材により形成され、接合すべきコンクリート製のブロック本体の接合端面に設ける開口部の奥に設けた断面先窄まりの被圧接斜面部を有するシール材取付溝内に挿入可能に左右の両側に形成され、前記被圧接斜面部よりも緩傾斜をなす斜面部により形成される挿入部と、該挿入部の上面および下面に前記被圧接斜面部に閉鎖状態に圧接可能に挿入方向にそれぞれ所定角度にて形成された複数個の係止舌片とにより形成されることを特徴とする請求項1,または2,3の何れか1の請求項に記載のコンクリート製のブロック体の接合方法。
【請求項5】
接合すべき一方のブロック本体の接合部の外側に結合プレートの一端をボルトにより回動可能に取付け、該結合プレートの他端には開口を下方に臨ませた係止切欠部が設けられ、該結合プレートの一端を止着する前記ボルトを中心に結合プレートを回動操作することにより前記係止切欠部を他方のブロック本体の接合部の外側に先端部を螺入したボルトに係入することにより前記結合プレートによりブロック本体相互の接合部を緊結することを特徴とする請求項1,または2,3,4の何れか1の請求項に記載のコンクリート製のブロック体の接合方法。
【請求項6】
コンクリート製のブロック体の一方のブロック本体に着脱可能に止着する第1係止杆に一端が係止される牽引索状物と、接合すべき他方のブロック本体の接合端近くの底部に設置される基板部と、該基板部の下面に突設され、前記底部内に着脱可能に止着する第2係止杆と、該第2係止杆の上部に交叉して略水平に前記基板上に配設される回動支軸により一端が枢着されて回動可能に前記基板部に取付けられる操作杆と、前記回動支軸の軸回りに該操作杆の一端側の上面に前記牽引索状物を牽引可能に設けられた係止作動片部と、前記操作杆の下面に設けられたストッパ部材とにより形成されることを特徴とするコンクリート製のブロック体の牽引操作具。
【請求項7】
合成樹脂または合成ゴム等の柔軟性を有する弾性材により形成され、接合すべきコンクリート製のブロック本体の接合端面に設ける開口部の奥に設けた断面先窄まりの被圧接斜面部を有するシール材取付溝内に挿入可能に左右の両側に形成され、前記被圧接斜面部よりも緩傾斜の斜面部により形成される挿入部と、該挿入部の上面および下面に前記被圧接斜面部に閉鎖状態に圧接可能に挿入方向にそれぞれ所定角度にて形成された複数個の係止舌片とにより形成されることを特徴とするコンクリート製のブロック体のシール材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−307480(P2006−307480A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129179(P2005−129179)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(592227003)株式会社ヤマックス (8)
【Fターム(参考)】