説明

コンタクト装置

【課題】プローブとリードとの接触を容易に確認することができるコンタクト装置を提供する。
【解決手段】上部が半導体素子50のリード52と接触するプローブ12と、プローブ12の下部13を保持するベース部20と、ベース部20に設けられた透光部24を介してプローブ12及びリード52を撮像する撮像手段40と、を備えており、プローブ12は爪部材30がプローブ12を弾性変形させることでリード52に接触させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体レーザ等の電子デバイスの電気的特性や品質性能を評価する検査装置等に用いられ、電子デバイスのリードと接触してコンタクトを取るためのコンタクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ化された電子デバイスの品質・性能を評価するため、パッケージから外部に導出されたリード端子等と評価装置とを電気的接続するコンタクト装置が用いられる。この種のコンタクト装置としては、一端を固定した板バネからなるプローブを有し、プローブの中間部が半導体素子のリード端子側に屈曲されており、上方からプローブを弾性変形させながらリード端子を挿入することで、プローブの弾性力をもってプローブをリード端子に押圧接触させ電気的接続するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記のようなコンタクト装置では、プローブを弾性変形させながらリード端子を挿入するため、比較的強い押圧力を受けた状態でプローブとリード端子との摩擦が繰り返されることとなり、弾性導電体におけるリードピンとの接触部に摩耗が生じやすく接触抵抗の増加により接触不良を起こしやすい問題や、電子デバイスのリード端子が曲がっていると不所望な向きにプローブを押し曲げて破損するおそれがある。
【0004】
このように、プローブが、半導体素子のリード端子に対して接触不良を起こしていたり、破損したりしていると評価装置によって正確な評価テストを行うことができないため、定期的にプローブを交換する必要がある。プローブの交換後にリード端子と電気的に接続可能な適切な位置に新たなプローブが配設されているか否か確認し、適切な位置に無ければ新たなプローブの位置を微調整しなければならない。その際、評価装置におけるコンタクト装置の配設位置によっては、プローブとリード端子との接触状態の確認やプローブの位置調整が困難な場合があり問題である。
【特許文献1】特開2005−214876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、プローブとリードとが適切に接触しているか否か容易に確認することができ、しかも、プローブが摩耗しにくく接触不良を起こしにくいコンタクト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるコンタクト装置は、上部が半導体素子のリードと接触するプローブと、前記プローブの下部を保持するベース部と、前記ベース部に設けられた透光部を介して前記プローブ及び前記リードを撮像する撮像手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のコンタクト装置によれば、ベース部に設けられた透光部を介して撮像することで下方からプローブ及びリードを撮像することができるためプローブとリードとの接触を容易に確認することができる。
【0008】
また、上記本発明にかかるコンタクト装置において、前記プローブが板バネからなり、前記プローブを弾性変形させて前記リードと接触させる爪部材を備えてもよい。このように、爪部材が板バネからなるプローブを弾性変形させることで、プローブとリードとを接触するため、プローブをリードに接触させる際に摩擦が生じにくくプローブの耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プローブとリードとの接触を容易に確認することができ、プローブの耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態にかかるコンタクト装置10の斜視図であり、図2及び図4は図1の部分断面図、図3及び図5は撮像手段40により撮像される映像を示す図、図6は半導体レーザ50の斜視図である。
【0012】
本実施形態におけるコンタクト装置10は、リード端子を有する電子デバイスとして、図6に例示するような3つのリード端子52を有するキャンパッケージ型の半導体レーザ50と電気的に接続するものであって、リード端子52と接触するプローブ12と、プローブ12の下部を保持するベース部20と、ベース部20の下方に配設されたCCDカメラなどの撮像手段40とを備える。
【0013】
プローブ12は、図2に示すように、銅に金メッキした金属板等の導電性を有する板バネをL字状に屈曲してなる。
【0014】
上方に伸びるバネ部13の下部は、ベース部20に固定保持され矢符Aで示すバネ部13の板厚方向にバネ性を有しており、ベース部20の内部に設けられコンタクト装置10の外部に導出される配線22と接続されている。
【0015】
また、プローブ12の上部においてL字状に曲げられた上端部14が、上端部14の端面がリード端子52との接触面16となる。
【0016】
プローブ12は、半導体レーザ50のリード端子52に対応して3つあり、ベース部20に設けられた上下に貫通する透光部24を挟んで1のプローブ12と他の2つのプローブ12とが対向配置されており、透光部24の上方において1のプローブ12の接触面16と他の2つのプローブ12の接触面16とが半導体レーザ50のリード端子52を上方より挿入可能な間隔をあけて対向している。
【0017】
また、対向配置されたプローブ12を挟むように一対の爪部材30,30がプローブ12のバネ部13に隣接して配設されている。
【0018】
この一対の爪部材30,30は、バネ部13の板厚方向Aに移動可能に設けられており、隣接するバネ部13を内向きに押圧し弾性変形させることで、対向するプローブ12の接触面16を互いに近づける。
【0019】
ベース部20の下方には、撮像手段としてのCCD(charge coupled device)素子を有するカメラ40が配設されている。このカメラ40は、レンズを上方に向けベース部20の透光部24を介して、図3及び図5に示すような透光部20の上方に位置する3つのプローブ12の上端部14の接触面16側を撮像するようになっている。
【0020】
このようなコンタクト装置10と半導体レーザ50とを接続するには、まず、図2及び図3に示すように、接続対象である半導体レーザ50のリード端子52を上方より3つのプローブ12の接触面16により挟まれる間隙に挿入する。この状態では、3つのリード端子52はそれぞれに対応するプローブ12の接触面16と所定間隔をあけて対向している。
【0021】
そして、図4に示すように、一対の爪部材30,30が、各バネ部13を内向きA1に押圧して弾性変形させることで、プローブ12の接触面16を対応するリード端子52に向けて移動させる。
【0022】
プローブ12の接触面16をリード端子52に向けて移動させた状態においてベース部20の下方に設けた撮像手段40により透光部24を介して図5に示すようなプローブ12の先端部14及びリード端子52を撮像することで、接触面16とリード端子52との位置関係を容易に視認することができる。
【0023】
この時、プローブ12の接触面16がバネ部13の板厚方向Aにズレておりリード端子52に接触していない場合、例えば、調整ネジ32により爪部材30の板厚方向Aの位置を調整する。また、プローブ12の接触面16が水平面内において板厚方向Aと垂直な方向Bにズレている場合、例えばベース部20におけるプローブ12の固定位置を調整することで、プローブ12がリード端子52に接触するようにプローブ12の位置を調整する。
【0024】
以上のように、本実施形態におけるコンタクト装置10では、撮像手段40によってベース部20に設けた透光部24を介して半導体レーザ50の下方からプローブ12の先端部14及びリード端子52を撮像することができるため、接触面16とリード端子52との位置関係を把握しやすく、プローブ12とリード端子52との接触状態を容易に確認することができ、また、プローブ12の位置調整が必要な場合であっても接触面16とリード端子52と正確な位置関係を把握できるのでプローブ12の位置調整がしやすい。
【0025】
しかも、プローブ12では、爪部材30,30によりバネ部13を弾性変形されて上端部14の接触面16がリード端子52に接触するので、接触時に接触面16がリード端子52と摩擦して摩耗しにくく、プローブ12の耐久性が飛躍的に向上する。
【0026】
なお、本実施形態では、リード端子を有する電子デバイスとして3つのリード端子52を有するキャンパッケージ型の半導体レーザと電気的に接続する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、各形状の電子デバイスとの接続に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコンタクト装置の斜視図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】撮像手段により撮像される映像を示す図である。
【図4】図1の要部拡大断面図である。
【図5】撮像手段により撮像される映像を示す図である。
【図6】電子デバイスの例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
10…コンタクト装置
12…プローブ
20…ベース部
24…透光部
30…爪部材
40…撮像手段
50…半導体レーザ
52…リード端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が電子デバイスのリードと接触するプローブと、前記プローブの下部を保持するベース部と、前記ベース部に設けられた透光部を介して前記プローブ及び前記リードを撮像する撮像手段と、を備えることを特徴とするコンタクト装置。
【請求項2】
前記プローブは板バネからなり、
前記プローブを弾性変形させて前記リードと接触させる爪部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンタクト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−150778(P2009−150778A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329162(P2007−329162)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(594077622)ダイトロンテクノロジー株式会社 (38)
【Fターム(参考)】