説明

コンテンツ受信配信装置

【課題】
ネットワークを介して電源投入できるネットワーク装置において、モニタ画面を持つネットワーク装置では、ネットワーク経由での電源制御によって装置全体の電源が投入され不必要なモニタ画面の電源が入ってしまう場合がある。
【解決手段】
電源制御手段は電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断する。ネットワーク経由で電源を投入された時は本体機能手段の電源だけを投入し、制御コマンド検知手段がモニタ画面を使用する機能を要求するコマンドを検知して始めてモニタ画面の電源を投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して映像コンテンツを受信し、再生するネットワーク装置に関するものであり、特に、ネットワークを介して電源の投入、あるいは遮断が可能なネットワーク装置、及び、ネットワーク装置の電源制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、DLNA(Digital Living Network Alliance)
に代表されるコンテンツ共有標準化ガイドラインに対応したデジタルAV装置が出現してきている。ネットワーク対応装置では省電力の観点から、使用していないときは電源を落とし、必要なときにネットワーク経由で相手装置の電源を投入してから使用するといった使い方が一般的になると思われる。このようなネットワーク経由の電源投入技術にはWOL(Wake On LAN)対応のマジックパケットなどが使われる。一方、コンテンツ配信機能とコンテンツ受信機能の両方を備えたネットワークTVの場合、コンテンツ配信装置として使われる場合はネットワークTV本体のモニタ画面には何も表示する必要が無く、モニタ画面の電源は投入しないのが望ましい。特許文献1では、ネットワーク装置を機能ブロック単位で電源制御を行えるようにし、制御命令に基づいて夫々の機能ブロックについて電源投入と切断の判定を行い、不要な機能の電源を投入しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−9035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では制御装置が制御対象装置の機能ブロックを認識し、夫々に電源制御を指示しなくてはならなかった。しかしながら、ネットワーク装置の機能は多様化しており、TV機能、レコーダ機能、コンテンツ配信機能、コンテンツ受信機能を備えた高機能装置や、コンテンツ受信機能だけを備えた単機能装置が混在すると考えられる。単機能装置では自身が必要とする機能以外は認識できない可能性が高く、また、機能単位の電源制御のために新たな制御コマンドに対応することも困難であると考える。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために、制御装置には特別な電源制御コマンドを必要としないネットワーク装置のモニタ画面の電源制御方法と、制御装置が被制御装置に送信する通常の制御コマンドでモニタ画面の電源制御を行うネットワーク装置(被制御装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によるネットワーク装置は、ネットワークを介して送信される電源投入要求を検知する電源投入要求検知手段と、表示手段とそれ以外の機能手段(以下、本体機能手段と記す)の電源を個別に投入したり、遮断する電源制御手段と、他のネットワーク装置から送信される機器制御コマンドの中から、表示(モニタ)画面を使用する機能を要求するコマンドを検知する制御コマンド検知手段とで構成する。電源投入要求検知手段と電源制御手段はネットワーク装置全体の電源がOFFの時も電源投入待機のため常に電源が投入されていて稼動しており、制御コマンド検知手段は本体機能手段の電源が投入されてから稼動する。
【0007】
電源投入要求検知手段はネットワーク経由でネットワーク装置に電源投入するために一般的に使用されるパケットを検知する手段で、電源投入要求を受けると電源制御手段に電源投入信号を出力する。制御コマンド検知手段は自身が他のネットワーク装置に提供している制御コマンドの内、少なくともモニタ画面を使用する機能を要求するコマンドを検知したら電源制御手段に電源投入信号を出力する。
【0008】
電源制御手段は、リモコンと電源投入要求検知手段と制御コマンド検知手段から電源投入信号を入力され、電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断する。電源投入信号の入力元がリモコンの時は表示手段と本体機能手段の電源を投入し、ネットワーク装置全体電源を入れる。電源投入信号の入力元が電源投入要求検知手段の時は表示手段以外の機能手段の電源を投入する。制御コマンド検知手段から電源投入信号が入力されたときは表示手段の電源を投入する。
このように電源制御することにより、ネットワークを介して制御されるときはモニタ画面を使用する機能を要求された時だけ画面の電源が投入される。
【0009】
本発明によれば、電源制御手段が電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断する。すなわち、ネットワーク経由で電源を投入された時は本体機能手段の電源だけを投入し、制御コマンド検知手段がモニタ画面を使用する機能を要求するコマンドを検知して始めてモニタ画面の電源を投入する。したがって、一般的に使用されるネットワーク経由の電源投入の仕組みと、ネットワーク装置が提供する制御コマンドを用いて通常のネットワーク操作を行いながら必要な時だけ画面の電源が投入できるネットワーク装置を提供できる。
そして不要なモニタの電源を付けないので節電が可能となり、さらに、制御装置側は通常のネットワーク制御と同じ制御で実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
通常のネットワーク操作を行いながら必要な時だけ画面の電源が投入でき、節電を可能とするネットワーク装置を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るネットワーク装置のユースケースである。
【図2】実施例1に係るネットワーク装置の構成の一例である。
【図3】制御装置の構成の一例である。
【図4】ユースケース2における処理シーケンスの一例である。
【図5】ユースケース1における処理シーケンスの一例である。
【図6】ユースケース1、2の要求が重なった場合の処理シーケンスの一例である。
【図7】電源制御手段における電源投入処理の処理フローの一例である。
【図8】電源制御手段における電源遮断処理の処理フローの一例である。
【図9】電源制御検知機能における処理フローの一例である。
【図10】実施例2に係るネットワーク装置の構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明に係るネットワーク装置のユースケースの一例である実施例1を表すものである。ネットワーク1を介して2、3、4、5の装置が接続されている。2のネットワークTV・サーバーは本発明に係るネットワーク装置で他のネットワーク装置にコンテンツ配信機能とコンテンツ再生機能を提供する。3のネットワークTVはネットワーク上のコンテンツサーバーを制御しコンテンツを再生する制御装置である。4のコンテンツサーバーは他のネットワーク装置にコンテンツサーバー機能を提供するネットワーク装置である。ネットワークリモコン5はネットワーク上のネットワーク装置を制御する機能を備えた制御装置である。10と11はコンテンツの流れで、コンテンツがどの装置からどの装置に配信されるかの向きを矢印で示している。
なお、図1ではネットワーク1を有線ネットワークの様に表現しているが、物理層の限定はなく無線ネットワークでも良く、また、有線と無線のネットワークが混在していても良い。
【0014】
図1は本発明に係るネットワーク装置2を2つのユースケースで利用している様子を表している。
ユースケース1はコンテンツの流れ10の場合である。ネットワークTV3は、ネットワークTV・サーバー2がネットワークに提供するコンテンツ配信機能を制御し、ネットワークTV・サーバー2内のコンテンツを取得し、視聴している。ユースケース1ではネットワークTV・サーバー2のコンテンツ配信機能が使われるが、この時、ネットワークTV・サーバー2のモニタ画面を使う必要は無い。従って、このようなユースケースではモニタ画面の電源は投入しないよう制御すべきである。
【0015】
ユースケース2はコンテンツの流れ11の場合である。ユーザがネットワークリモコン5をユーザーコンテンツサーバー4のコンテンツをネットワークTV・サーバー2で視聴している。このユースケースではネットワークTV・サーバー2のモニタ画面の電源が投入されていなくてはならない。
【0016】
このように、ネットワークを介して同じネットワーク装置を利用する場合でもユースケースによってモニタ画面を投入しなくてはならないケースと、モニタ画面の電源を投入しないよう電源制御すべきケースがある。
本発明では、ネットワーク装置がネットワークに提供するどの機能に制御コマンドが送信されているか、あるいはどんな制御コマンドが送信されているかで、ネットワーク装置を制御しているユーザーがモニタ画面を使うか、使わないかを判断し、モニタ画面の電源を制御する。
【0017】
図2は本発明に係るネットワーク装置2の構成の一例である。
20はネットワークI/F手段である。21は電源投入要求検知手段である。ネットワーク装置2全体の電源が遮断されている時に、ネットワーク経由でネットワーク装置に電源投入するために送信される電源投入パケットを検知し、電源制御手段22に電源投入信号を出力する。ここでは、電源投入パケットについては特に限定しないが、例えば、WOL(Wake On LAN)対応のマジックパケットなどを使う。電源制御手段22は、入力される電源投入信号等でどのように制御するかを判断し、ネットワーク装置2の電源を機能ブロック単位で投入したり、遮断する制御を行う。表示手段23はコンテンツ受信再生手段25が受信したコンテンツを表示する。電源制御手段22の制御によって表示手段23部分の電源を投入したり、遮断したりできる。メイン機能手段24は信号処理などネットワーク装置2をネットワークTV・サーバーとして機能をさせる全体処理を行う。
【0018】
メイン機能手段24も表示手段23と同様に電源制御手段22の制御によって電源を投入したり、遮断したりできる。コンテンツ配信手段26とコンテンツ受信再生手段25はメイン機能手段24に含まれ、メイン機能手段24部分の電源が投入された時は、コンテンツ配信手段26とコンテンツ受信再生手段25にも電源が投入され稼動状態となり、電源が遮断されているとききはコンテンツ受信再生手段25も電源が遮断され非稼動状態となる。コンテンツ受信再生手段25とコンテンツ配信手段26はネットワークを介してネットワーク装置2の機能を利用する手段を提供するネットワーク機能28とネットワーク機能へ制御コマンドの送信を検知して、その制御に応じて電源制御手段22に自装置の電源操作を要求したり、ネットワーク機能の使用状態を通知する電源制御信号を出力する。
【0019】
コンテンツ配信手段26のネットワーク機能28はネットワーク装置が持っているコンテンツを他の装置に配信するコンテンツ配信機能で、配信可能なコンテンツ一覧のリストや、コンテンツのフォーマットや転送プロトコル情報の提供などコンテンツ配信に必要な機能を提供する。コンテンツ配信手段26は図1で説明したユースケース1のような用途で使われる。コンテンツ受信再生手段25のネットワーク機能28はネットワークを介してネットワーク装置2でコンテンツを再生させる手段で、再生できるコンテンツのフォーマットやプロトコル情報の提供、一時停止、シークなど再生時のオペレーションI/Fなどコンテンツ配信に必要な機能を提供する。コンテンツ受信再生手段25は図1で説明したユースケース2のような用途で使われる。各々のネットワーク機能28の実装手段についてはここでは言及しないが、コンテンツ配信手段25はUPnP(Universal Plug and Play)AVのMedia Server、コンテンツ受信再生手段25はMedia Rendererなどで実現できる。
【0020】
図3に制御装置3、5の構成の一例を示す。図3は制御装置として機能するための構成であり、夫々の装置の機能を実現するための要素はここでは省略している。20はネットワークI/F手段である。電源投入要求手段31はネットワーク経由で他のネットワーク装置の電源を投入する手段である。方式についてはここでは特に限定しないが、例えば、WOL対応のマジックパケットを送信する方式を用いる。なお、制御装置3、5とネットワーク装置2、4は夫々の電源が入っている状態で接続されたことがあり、電源投入に要求を送出するための情報、例えば、電源を投入する装置のMACアドレスなどを保持している。
【0021】
ネットワーク装置制御手段32はネットワーク上に機能を提供する装置を制御する手段で、制御するネットワーク装置の機能に対応した制御手段を備える。一例として、コンテンツ受信再生手段25を制御するコンテンツ受信再生制御手段33と、コンテンツ配信手段26を制御するコンテンツ配信制御手段34を備える。ここではネットワーク装置制御手段、コンテンツ受信再生制御手段33、コンテンツ配信制御手段34の実現方法を特に限定しないが、DLNAガイドラインに沿った方式や、UPnPデバイスアーキテクチャのCP(Control Point)として実装できる。
【0022】
以下、本発明における電源制御処理について図4を用いて説明する。
図4はユースケース2の場合の、ネットワーク装置2の電源制御処理シーケンスの一例である。図中太枠の四角は図1の装置を表す。すなわち、2は本発明に係るネットワーク装置(ネットワークTV・サーバー)、4がコンテンツサーバーであり、5のネットワークリモコンが2と4の提供するネットワーク機能を用いて夫々を制御する。太枠四角2の中の細枠の四角21、22、23、24(25)は図2の各機能ブロックに対応する。また、各機能ブロックから延びる縦線は処理の時間軸を示し、その線が実線の場合は対応する機能ブロックに電源が投入されており、破線の場合は電源が遮断されていることを示している。すなわち、図4の場合は、4がコンテンツサーバーと5のネットワークリモコンは電源が投入されていることを表している。2のネットワーク装置は、表示手段23とメイン機能24の電源が遮断されていて、電源制御手段22とネットワークからの電源投入要求検知手段21、および、図4には描かれていない20ネットワーク手段の電源が投入されている電源投入待ちの状態であることを示している。
【0023】
ネットワーク装置2の電源が投入されていないことを検知したネットワークリモコン5は、ネットワーク装置2に電源投入要求を送出する(S401)。なお、この電源投入要求はネットワーク経由での電源投入に一般的な、例えば、WOL対応のマジックパケットである。電源投入要求を検知した電源投入検知手段21は電源制御手段22に電源投入信号を出力する(S402)。電源制御手段22は後述する電源投入処理シーケンス(S700)に従ってどの機能ブロックの電源を投入するかを判断し、メイン部(24)の電源を投入する(S403)。このメイン部の電源投入により、コンテンツ受信再生手段25も稼動状態となる。
【0024】
一方、ネットワークリモコン5は、ユーザーに再生コンテンツを選択させるため、コンテンツサーバーにコンテンツ情報要求コマンドを送出し(S404)、応答としてコンテンツ情報リストを受け取る(S405)。そしてユーザーが選択(S406)したコンテンツを、ネットワーク装置2で視聴するために、ネットワーク装置2にコンテンツの場所指定コマンド(S407)とコンテンツ再生要求コマンド(S409)をネットワーク装置2のコンテンツ受信再生手段25に送出する。ここで使用するコマンドおよび、コマンドの通信プロトコルはDLNAガイドラインに従った方式など一般的なもので良い。
【0025】
コンテンツの場所指定コマンドを受信したコンテンツ受信再生手段25はネットワーク機能でのコマンドに対応する処理と、後述する電源制御検知機能での処理シーケンス(S900)に従った電源制御処理を開始する。コンテンツ受信再生手段25にとって最初のクライアントからコマンド受信すると、機能ブロック識別子と、この機能ブロックが表示画面を使用するかしないかを示す画面使用フラグをパラメータに「使用開始信号」を電源制御手段22へ出力する(S408)。このケースの場合、画面使用フラグは「使用」である。さらに、コンテンツ再生要求コマンドを受信すると電源制御手段22へ「電源投入信号」を出力する(S410)。
【0026】
「電源投入信号」を受けた電源制御手段22は電源投入処理シーケンス(S700)に従っての表示手段23の電源を投入する(S411)。コンテンツ受信再生手段25のネットワーク機能では、コンテンツの場所指定コマンドで指令されたネットワーク装置(コンテンツサーバー4)にコンテンツ要求コマンドを送出し(S412)、その応答としてコンテンツ配信(S413)を受け、受信したコンテンツを表示手段23で再生する(S414)。
【0027】
コンテンツを視聴していたユーザーがコンテンツ視聴終了を指示する(S415)と、ネットワークリモコン5はネットワーク装置2とコンテンツサーバー4の両方にコンテンツ転送終了コマンドを送信する(S416、S417)。
コンテンツ転送終了コマンドを受信したコンテンツ受信再生手段25のネットワーク機能は電源制御手段22へ「電源遮断信号」を出力し(S418)、それを受けた電源制御手段22は表示手段23の電源を遮断する。
このように制御することで、ユーザーがネットワーク装置2の表示手段を使用するときだけ表示手段の電源を投入する事が出来る。
【0028】
図5はユースケース1の場合の、ネットワーク装置2の電源制御処理シーケンスの一例である。このケースの場合もネットワーク装置2は電源投入待ちの状態である。
図4での処理と同様にネットワーク装置2の電源が投入されていないことを検知したネットワークTV3は、ネットワーク装置2に電源投入要求を送出する(S501)。電源投入要求を検知した電源投入検知手段21は電源制御手段22に電源投入信号を出力する(S502)。電源制御手段22は後述する電源投入処理シーケンス(S700)に従ってどの機能ブロックの電源を投入するかを判断し、メイン部(24)の電源を投入する(S503)。このメイン部の電源投入により、コンテンツ配信手段26も稼動状態となる。
【0029】
さらに、ネットワークTV3はユーザーに再生コンテンツを選択させるため、ネットワーク装置2のコンテンツ配信手段26にコンテンツ情報要求コマンドを送出し(S504)、応答としてコンテンツ情報リストを受け取る(S506)。
コンテンツ情報要求コマンを受信したコンテンツ配信手段26はネットワーク機能でのコマンドに対応する処理と、後述する電源制御検知機能での処理シーケンス(S900)に従った電源制御処理を開始する。コンテンツ配信手段26にとって最初のクライアントからコマンド受信すると、機能ブロック識別子と、この機能ブロックが表示画面を使用するかしないかを示す画面使用フラグをパラメータに「使用開始信号」を電源制御手段22へ出力する(S505)。このケースの場合、画面使用フラグは「不使用」である。コンテンツ配信手段26のネットワーク機能は、コンテンツ情報要求コマンドの返信として、ネットワーク配信可能なコンテンツのコンテンツ情報リストを返す(S506)。
【0030】
ネットワークTV3はコンテンツ情報リストからユーザーにコンテンツを選択させ(S507)、該当コンテンツのコンテンツ要求コマンドをネットワーク装置2のコンテンツコンテンツ配信手段26に送出し(S508)、その応答としてコンテンツ配信手段26からコンテンツ配信を受け(S509)、コンテンツ再生(S510)する。ユーザーがコンテンツ視聴を終了(S511)したらネットワークTV3はコンテンツ配信手段26にコンテンツ転送終了コマンドを送信し(S512)する。
【0031】
一方、電源制御検知機能はネットワーク機能のクライアントが居なくなって所定時間以上コマンドを受信しない状態が継続するとタイムアウトを発生し、電源制御手段22に「使用終了通知」信号を出力する(S513)。電源制御手段22は全てのネットワーク機
能のクライアントが無く、本体機能も使用されていないと判断するとメイン部の電源を遮断(S514)し、ネットワーク装置2は再び電源投入待ちの状態となる。
このように制御することで、ネットワーク装置2は使用されなくなったときは電源を遮断し、電源投入待ちの状態に戻す事が出来る。
【0032】
図6はユースケース1で使用中にユースケース2が起こった場合の、ネットワーク装置2の電源制御処理シーケンスの一例である。図中、図4及び図5と同じ処理は同じステップ番号で表し、処理の説明は電源制御処理に関わる部分のみとする。
電源投入待ち状態のネットワーク装置2の電源制御手段22はネットワークTV3からの電源投入要求(S501)によってメイン部(24)の電源を投入する(S503)。さらに、ネットワークTV3のコンテンツ情報要求コマンド(S504)によって、コンテンツ配信手段26は画面使用フラグ「不使用」で「使用開始」を電源制御手段22に通知する(S505)。
【0033】
次に、ネットワークリモコン5からのコンテンツの場所指定コマンド(S407)によって、コンテンツ受信再生手段25は画面使用フラグ「使用」で「使用開始」を電源制御手段22に通知する(S408)。さらに、コンテンツ再生要求コマンドを受信(S409)すると電源制御手段22へ「電源投入信号」を出力し(S410)、源制御手段22は表示手段23の電源を投入する(S411)。
【0034】
この時点で、ネットワークTV3のユーザーはネットワーク経由でコンテンツ装置2のコンテンツをネットワークTV3で視聴し、もう一人のユーザーはネットワークリモコン5でネットワーク装置2とコンテンツサーバー4を操作し、ネットワーク経由でコンテンツサーバー4のコンテンツを、ネットワーク装置2を使って視聴している状態にある。
【0035】
ここで、ネットワークTV3のユーザーが視聴を止めるとネットワークTV3はコンテンツ配信手段26にコンテンツ転送終了コマンドを送信し(S512)するが、コンテンツ配信手段26は画面不使用の機能なのでコンテンツ配信手段26の電源制御検知機能では何も信号を出力しない(S601)。コンテンツ配信手段26のネットワーク機能のクライアントが居なくなりタイムアウトが発生すると電源制御手段22に「使用終了通知」信号を出力する(S513)が、コンテンツ受信再生手段25のネットワーク機能が使用状態なので電源制御手段22は電源遮断の処理は行わない(S602)。
【0036】
次に、ネットワーク装置2を使って視聴しているユーザーが視聴を止めると、コンテンツ受信再生手段25にコンテンツ転送終了コマンドが送信され(S416)、コンテンツ受信再生手段25は電源制御手段22に電源遮断信号を出力し(S418)、それを受けた電源制御手段22は表示手段23の電源を遮断する。
【0037】
さらに、コンテンツ受信再生手段25のクライアントが居なくなったため、所定時間経過するとタイムアウトが発生し電源制御手段22に「使用終了通知」信号を出力する(S603)。この時点では、全てのネットワーク機能のクライアントが居ない為、電源制御手段22は本体機能も使用されていないと判断するとメイン部の電源を遮断(S604)し、ネットワーク装置2を電源投入待ちの状態にする。
このように制御することで、ユーザーがネットワーク装置2の表示手段を使用するときだけ表示手段の電源を投入する事が出来、さらに、ネットワーク装置2が使用されなくなったときは電源を遮断し、電源投入待ちの状態に戻す事が出来る。
【0038】
次に、図7、図8を用いて電源制御手段22における電源制御処理を説明する。
図7は電源制御手段における電源投入処理の処理フローの一例である。ネットワーク装置2のリモコンから電源投入信号を受けた場合は装置全体の電源を投入する(S702)。一方、電源投入要求検知手段21から電源投入信号を受けた場合は、まだ表示手段23の使用を判断できないためメイン機能手段24の電源を投入する(S704)。電源制御検知機能27から電源投入信号受けた場合は表示手段23を使用する機能であるため表示手段の電源を投入する(S706)。
【0039】
図8は電源制御手段における電源切断処理の処理フローの一例である。ネットワーク装置2のリモコンから電源遮断信号を受けた場合は、ネットワーク機能が使用中かを判断し(S802)、使用中の場合はその機能が表示画面23を使用する表示関連機能であるかどうかを判断する(S803)し、表示関連機能の場合は電源遮断処理を行わず処理を終了する。一方、表示関連機能で無かった場合は表示画面の電源を遮断する(S804)。また、S802でネットワーク機能未使用と判断した場合は、ネットワーク装置2のここでは記述していないネットワーク機能以外の電源制御方式に従い電源遮断処理を行う(S805)。S801でリモコン以外から電源遮断信号を受けた場合はネットワーク以外の機能が使用中かを判断し(S806)使用中の場合は電源遮断処理を行わず処理を終了する。ネットワーク以外の機能が使用されていない場合はS802のネットワーク機能が使用中かを判断に移り、その後の処理は先に説明したとおりである。
【0040】
次に、図9のフローチャートを用いて電源制御検知機能27の処理を説明する。
電源制御検知機能27は同じネットワーク手段のネットワーク機能28への制御コマンド受信の有無を所定の時間毎に確認する(S901)。制御コマンドを受信していないときはS911の処理に移る。制御コマンドを受信した場合は、この制御コマンドを送信したクライアントが新規クライアントかどうかを判断する(S902)。そして、新規クライアントであった場合は、クライアントを一意に特定する為の識別子をクライアント情報に追加する(S903)。新規クライアントでなかった場合はS907の処理に移る。次に、クライアント情報を参照し、このクライアントがネットワーク機能にとって最初のクライアントかどうかを判断する(S904)。
【0041】
最初のクライアントで無かった場合はS907の処理に移る。最初のクライアントであった場合は、ネットワーク機能の使用状態を「クライアント有り」とし(S905)、このネットワーク機能識別子と画面使用フラグをパラメータとして電源制御手段22「使用開始通知」を出力する。画面使用フラグはネットワーク機能によっておのずと決まる。すなわちコンテンツを提供するサーバー機能であれば画面使用フラグは「未使用」となり、コンテンツ再生手段を提供する再生機能であれば画面使用フラグは「使用」となる。
【0042】
S907、S909では受信した制御コマンドが画面使用開始コマンドか、画面使用終了コマンドを判断する。画面使用開始コマンドであった場合は電源制御手段22に「電源投入信号」を出力し(S908)、画面使用終了コマンドであった場合は電源制御手段22に「電源遮断信号」を出力する(S910)。どの制御コマンドを画面使用開始コマンドと判断し、画面使用終了コマンドと判断するかはネットワーク機能ごとに規定し、電源制御検知機能27にあらかじめ登録しておけばよい。例えば、ネットワーク装置2のコンテンツ受信再生手段25は「コンテンツ再生要求」コマンドを画面使用開始コマンドとし、「コンテンツ転送終了」コマンドを画面使用終了コマンドとしている。なお、ネットワーク機能の画面使用フラグは「未使用」の場合はこの処理は通らない(S920)。
【0043】
S911は制御コマンドの受信間隔が所定の時間以上空いていないか判断する。所定の時間以上経過していない場合はコマンドの受信待ち(S901)に戻る。所定の時間以上経過していた場合は、このネットワーク機能のクライアントが全て居なくなったと判断して全てのクライアント識別子をクライアント情報から削除し(S912)、ネットワーク機能の使用状態を「クライアント無し」とする。そして、このネットワーク機能が表示画面を使用する機能の場合は、電源制御手段22に表示画面の電源を切るために「電源遮断信号」を出力し(S915)、さらにネットワーク機能の使用終了を知らせる「使用終了通知」を出力する(S916)。そして、コマンドの受信待ち(S901)に戻り、新しいクライアントからの制御要求を待つ。
以上のように、本発明によればネットワーク経由の操作において必要なときだけモニタ画面の電源やネットワーク装置の電源が投入されるネットワーク装置を提供できる。
【実施例2】
【0044】
図10は本発明に係るネットワーク装置2の構成の他の例である実施例2である。図中、図2と同じ機能のものは同じ番号で表し説明は割愛する。102のコンテンツ受信再生手段と103のコンテンツ配信手段は図2のコンテンツ受信再生手段25とコンテンツ配信手段26のネットワーク機能28だけを備えたものである。電源制御検知機能27は電源制御検知機能101として分離し、ネットワーク装置2の提供するネットワーク機能ための電源制御検知機能27を一括して管理制御する機能を有するものである。処理は図9で説明した処理と同等である。
【0045】
このように、電源制御に関する機能とネットワーク機能を分離する事で、ネットワーク機能は一般的な実装を活用でき、本発明のネットワーク装置の構築が容易になるという利点がある。
なお、本明細書は少なくとも下記の発明を開示している。
(1)
他のネットワーク装置からネットワークを介して制御されるネットワーク装置であって、
電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断し、少なくとも表示手段とその他の機能手段とを独立に電源制御する電源制御手段と、
前記ネットワークを介して送信される電源投入要求を検知したら、電源制御手段に電源投入信号を出力する電源投入要求検知手段と、
前記他のネットワーク装置に制御コマンドで自身を制御させるネットワーク機能を提供し、前記ネットワーク機能の少なくとも一つは表示手段を使用する機能であって、表示手段を使用する機能に対応する制御コマンドの受信を検知した場合に、前記電源制御手段に電源投入信号を出力する制御コマンド検知手段と、を備え
前記電源制御手段は、前記電源投入要求検知手段から電源投入信号が入力された場合は前記その他の機能手段の電源を投入し、前記制御コマンド検知手段から電源投入信号が入力された場合は表示手段の電源を投入することを特徴とするネットワーク装置。
(2)
(1)に記載のネットワーク装置において、
前記制御コマンド検知手段の電源は前記その他の機能手段に含まれ、表示手段は前記その他の機能手段の電源が投入されている時だけ電源投入されることを特徴とするネットワーク装置。
(3)
他のネットワーク装置からネットワークを介して制御コマンドにより制御されるネットワーク装置であって、
電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断し、少なくとも表示手段とその他の機能手段とを独立に電源制御する電源制御手段と、
前記ネットワークを介して送信される電源投入要求を検知したら、電源制御手段に電源投入信号を出力する電源投入要求検知手段と、
制御コマンドのうち、特定の制御コマンドを記憶しておき、前記他のネットワーク装置から送信された制御コマンドが前記記憶したコマンドであると検知した場合は、電源制御手段に電源投入信号を出力する制御コマンド検知手段と、を備え
前記電源制御手段は、前記電源投入要求検知手段から電源投入信号が入力された場合は前記その他の機能手段の電源を投入し、前記制御コマンド検知手段から電源投入信号が入力された場合は表示手段の電源を投入することを特徴とするネットワーク装置。
(4)
(3)に記載のネットワーク装置において、
前記制御コマンド検知手段の電源は前記その他の機能手段に含まれ、表示手段は前記その他の機能手段の電源が投入されている時だけ電源投入されることを特徴とするネットワーク装置。
(5)
(3)に記載のネットワーク装置において、前記制御コマンド検知手段に記憶する特定の制御コマンドは、少なくとも表示手段を使用する機能を要求する制御コマンドであることを特徴とするネットワーク装置。
(6)
(1)または(3)の何れか1つに記載のネットワーク装置おいて、前記電源投入要求検知手段が検知する、前記ネットワークを介して送信される電源投入要求はWOL(Wake On LAN)対応のマジックパケットであることを特徴とするネットワーク装置。(7)
(1)または(3)の何れか1つに記載のネットワーク装置おいて、表示手段の電源をHDMI(High‐Definition Multimedia Interface)規格のCEC(Consumer Electronics Control)コマンドを用いて制御することを特徴とするネットワーク装置。
(8)
他のネットワーク装置からネットワークを介して制御されるネットワーク装置の電源制御方法であって、
電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断し、少なくとも表示部とその他の機能部とを独立に電源制御する電源制御部を有し、
前記ネットワークを介して送信される電源投入要求を検知したら、電源投入信号を出力する電源投入要求検知ステップと、
前記他のネットワーク装置に制御コマンドで自身を制御させるネットワーク機能を提供し、前記ネットワーク機能の少なくとも一つは表示部を使用する機能であって、前記表示部を使用する機能に対応する制御コマンドの受信を検知した場合に、前記電源制御部に電源投入信号を出力する制御コマンド検知ステップと、を有し、
前記電源制御部は、前記電源投入要求検知ステップにより電源投入信号が入力された場合は前記その他の機能部の電源を投入し、前記制御コマンド検知ステップにより電源投入信号が入力された場合は表示部の電源を投入するように動作することを特徴とするネットワーク装置の電源制御方法。
(9)
他のネットワーク装置からネットワークを介して制御コマンドにより制御されるネットワーク装置の電源制御方法であって、
電源投入信号の入力元で電源投入する機能を判断し、少なくとも表示部とその他の機能部とを独立に電源制御する電源制御部と、
前記ネットワークを介して送信される電源投入要求を検知したら、電源制御部に電源投入信号を出力する電源投入要求検知ステップと、
制御コマンドのうち、少なくとも表示部を使用する機能を要求する制御コマンドを記憶しておき、前記他のネットワーク装置から送信された制御コマンドが前記記憶したコマンドであると検知した場合は、電源制御部に電源投入信号を出力する制御コマンド検知ステップと、を備え
前記電源制御部は、前記電源投入要求検知ステップにより電源投入信号が入力された場合は前記その他の機能部の電源を投入し、前記制御コマンド検知ステップにより電源投入信号が入力された場合は表示部の電源を投入することを特徴とするネットワーク装置の電源制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は表示画面を内蔵あるいは外付けで備えているネットワーク装置をネットワーク経由で電源投入して使用するようなネットワークシステムに有効である。
【符号の説明】
【0047】
1 ネットワーク
2 ネットワークTV・サーバー(本発明に係るネットワーク装置)
3 ネットワークTV(制御装置)
4 コンテンツサーバー(ネットワーク装置)
5 ネットワークリモコン(制御装置)
10、11 コンテンツの流れ
20 ネットワークI/F手段
21 電源投入要求検知手段
22 電源制御手段
23 表示手段
24 メイン機能手段
25 コンテンツ受信再生手段
26 コンテンツ配信手段
27 電源制御検知機能
28 ネットワーク機能
31 電源投入要求手段
32 ネットワーク装置制御手段
33 コンテンツ受信再生制御手段
34 コンテンツ配信制御手段
101 電源制御検知手段
102 コンテンツ受信再生手段
103 コンテンツ配信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のネットワーク装置とネットワークを介して接続されるコンテンツ受信配信装置であって、
コンテンツを出力する表示手段と、
前記ネットワークを介して送信される電源投入要求を検知した場合に、第一の電源投入信号を出力する電源投入要求検知手段と、
(1)前記他のネットワーク装置に対して制御コマンドで前記コンテンツ受信配信装置を制御するネットワーク機能を提供し、前記ネットワーク機能の1つはネットワークを介して他のネットワーク装置から受信したコンテンツを前記表示手段で再生するコンテンツ受信再生機能であり、(2)他のネットワーク装置からの前記制御コマンドを処理し、(3)前記制御コマンドが前記コンテンツ受信再生機能に対する制御であった場合には第二の電源投入信号を出力する、メイン制御手段と
前記第一の電源投入信号が出力された場合は、メイン制御手段の電源を投入し、前記第二の電源投入信号が出力された場合は前記表示手段の電源を投入する電源制御手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ受信配信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ受信配信装置であって、
前記コンテンツ受信配信装置はコンテンツを記憶する記憶手段を備え、
前記メイン制御手段は、前記ネットワーク機能の1つとして、他のネットワーク装置からの要求に従って、前記記憶手段に記録したコンテンツの一覧情報を前記他のネットワーク装置に配信する機能を他のネットワーク装置に提供し、前記制御コマンドが前記コンテンツの一覧情報を配信する機能に対する制御であった場合には第二の電源投入信号を出力しない、
ことを特徴とするコンテンツ受信配信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンテンツ受信配信装置であって、
前記コンテンツ受信配信装置はコンテンツを記憶する記憶手段を備え、
前記メイン制御手段は、前記ネットワーク機能の1つとして、他のネットワーク装置からの要求に従って、前記記憶手段に記録したコンテンツを前記他のネットワーク装置に配信するコンテンツ配信機能を他のネットワーク装置に提供し、前記制御コマンドが前記コンテンツ配信機能に対する制御であった場合には第二の電源投入信号を出力しない、
ことを特徴とするコンテンツ受信配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−165386(P2012−165386A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33525(P2012−33525)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2006−275942(P2006−275942)の分割
【原出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】