説明

コンテンツ通信装置

【課題】
電力線搬送通信における通信状態が悪い場合、通信経路を切替えてコンテンツデータの通信状態を改善することができるコンテンツ通信装置を提供する。
【解決手段】
コンテンツデータを電力線を介して送受信する送受信手段と、送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する記憶手段と、送受信手段が受信するコンテンツデータの受信経路を切替える切替手段と、切替手段の切替えを操作する切替操作手段と、記憶手段に記憶されたコンテンツデータを出力する出力手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線を介してコンテンツデータを送受信するコンテンツ通信装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信媒体として電力線を利用して通信を行なう技術に、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)がある。この電力線搬送通信機能を有する送受信装置では、ケーブル等を配線しなくても、家庭内に張り巡らされている電力線を用いてオーディオ信号やビデオ信号のコンテンツデータを送信することができる。
【0003】
この電力線搬送通信を用いることにより、一方の送受信装置から電力線を介してこの送受信装置と離れた場所に設置された他方の送受信装置にコンテンツデータを送信することが可能となる。また、送受信装置の間で操作信号を送信することにより、送受信装置を操作することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−324838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力線は、家電機器などから発生する負荷ノイズなどの外来ノイズの影響を受けやすい。このため、従来の送受信装置は、外来ノイズが電力線に混入することによってコンテンツデータの通信状態が悪くなる。家庭内に張り巡らされている電力線は、複数の電線路に分かれて配線されているため、外来ノイズの混入が多い電力線と、外来ノイズの混入が少ない電力線が存在する。このため、外来ノイズが多く混入した電力線に接続した送受信装置では通信状態が悪くなりコンテンツデータの受信ができなくなる場合があり、この場合、ユーザはこの送受信装置が故障したと誤認する虞がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電力線搬送通信における通信状態が悪い場合、通信経路を切替えてコンテンツデータの通信状態を改善することができるコンテンツ通信装置を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明におけるコンテンツ送受信システムは、電力線を通信媒体としてコンテンツデータの通信を行うコンテンツ通信装置において、コンテンツデータを電力線を介して送受信する送受信手段と、前記送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する記憶手段と、前記送受信手段が受信するコンテンツデータの受信経路を切替える切替手段と、前記切替手段の切替えを操作する切替操作手段と、前記記憶手段に記憶されたコンテンツデータを出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記のコンテンツ送受信システムにおいて、電力線を通信媒体としてコンテンツデータの通信を行うコンテンツ通信装置において、コンテンツデータを電力線を介して送受信する第1の送受信手段と、コンテンツデータを電力線を介して送受信する第2の送受信手段と、前記第1の送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する第1の記憶手段と、前記第2の送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する第2の記憶手段と、前記第1の送受信手段と前記第2の送受信手段のコンテンツデータの受信感度に応じて、前記第1の記憶手段に記憶されたコンテンツデータまたは第2の記憶手段に記憶されたコンテンツデータを読み出す制御をする制御手段と、前記第1の記憶手段または前記第2の記憶手段から読み出されたコンテンツデータを出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力線搬送通信における通信状態が悪い場合、通信経路を切替えてコンテンツデータの通信状態を改善することができるコンテンツ通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例であるコンテンツ通信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例のコンテンツ通信装置1は、プラグ10aと、プラグ10bと、切替部11と、送受信部12と、制御部13と、記憶部14と、切替操作部15と、オーディオ出力部16と、ビデオ出力部17とを備えている。コンテンツ通信装置1は、電力線搬送通信機能を有し、図示しない電力線を通信媒体としてコンテンツデータ等のデータ通信を行うことができる。
【0011】
本実施例のコンテンツ通信装置1は、プラブ10aおよびプラグ10bを備える。このプラブ10aおよびプラグ10bをそれぞれ別のコンセントに差し込む。プラブ10aおよびプラグ10bから入力された交流電源は、コンテンツ通信装置1の各構成部に供給されるとともに、切替部11を介して送受信部12に入力される。切替部11は、送受信部12の接続先をプラブ10aまたはプラグ10bに切替える。
【0012】
送受信部12は、プラブ10aまたはプラグ10bから切替部11を介して入力された交流電源から電力線通信信号を分離し、この電力線通信信号をコンテンツデータ等のデータに復調する。この電力線通信信号は、電力線搬送通信をするために、コンテンツデータ等のデータを交流電源に重畳可能な信号に変調した信号である。また、送受信部12は、コンテンツデータ等のデータを電力線通信信号に変調し、この電力線通信信号を交流電源に重畳する。交流電源に重畳された電力線通信信号は、プラグ10aまたはプラグ10bから電力線を通信媒体として他の送受信装置に送信される。
【0013】
制御部13は、本実施例のコンテンツ通信装置1を統括して制御する。また、制御部13は、送受信部12から入力されたコンテンツデータを記憶部14に記憶する制御をし、記憶部14からコンテンツデータを読み出す制御をする。そして、読み出したコンテンツデータにおいて、オーディオ信号をオーディオ出力部16に入力し、ビデオ信号をビデオ出力部17に入力する。記憶部14は、制御部13から入力されるコンテンツデータを記憶するバッファである。切替操作部15は、コンテンツデータの受信経路を切替える操作をする操作子が設けられている。切替操作部15は、図示しない操作部に備えられている。この操作部は、切替操作部15の他に電源ボタンや音量調整などの送受信装置を操作する操作子、送受信装置の動作状態を表示する表示部を備える。
【0014】
オーディオ出力部16は、制御部13から入力されたオーディオ信号を増幅し、増幅したオーディオ信号を出力する。出力されたオーディオ信号は、オーディオ出力部16に接続されているスピーカシステムから出力される。ビデオ出力部17は、制御部13から入力されたビデオ信号を出力する。出力されたビデオ信号は、ビデオ出力部17に接続されているディスプレイから出力される。
【0015】
上述した本実施例のコンテンツ通信装置1におけるコンテンツデータの受信経路を切替える動作について説明する。ユーザは、受信しているコンテンツデータを視聴しているときに、コンテンツデータの受信経路を切替えるために、切替操作部15を操作する。制御部13は、この操作に応じて切替部11に送受信部12の接続先をプラブ10aまたはプラグ10bに切替える制御をする。
【0016】
例えば、切替操作部15にはプラグ10aまたはプラグ10bを指定するスイッチが備えられ、ユーザがプラグ10aを指定する操作をすると、制御部13は、送受信部12の接続先をプラグ10aに切替える制御をする。また、制御部13は、指定されたプラグを表示部に表示する制御をする。切替部11によりコンテンツデータの受信経路が切替えられるとき、送受信部12においてコンテンツデータの通信が断絶する。しかしながら、本実施例のコンテンツ通信装置1は、指定されたプラグに切替えられ再び通信が確立するまでの間、記憶部14に記憶されているコンテンツデータが読み出されるため、シームレスにオーディオ信号やビデオ信号を出力することができる。
【0017】
次に、本発明の第2の実施例のコンテンツ通信装置について説明する。
図2は、本発明の第2の実施例であるコンテンツ通信装置の構成を示す図である。図2に示すように、本実施例のコンテンツ通信装置2は、プラグ20aと、プラグ20bと、送受信部21aと、送受信部21bと、記憶部22aと、記憶部22bと、制御部23と、オーディオ出力部24と、ビデオ出力部25とを備えている。コンテンツ通信装置2は、電力線搬送通信機能を有し、図示しない電力線を通信媒体としてコンテンツデータ等のデータ通信を行うことができる。
【0018】
本実施例のコンテンツ通信装置2は、プラブ20aおよびプラグ20bを備える。このプラブ20aおよびプラグ20bをそれぞれ別のコンセントに差し込む。プラブ20aおよびプラグ20bから入力された交流電源は、コンテンツ通信装置2の各構成部に供給される。また、プラブ20aから入力された交流電源は送受信部21aに入力され、プラグ20bから入力された交流電源は送受信部21bに入力される。
【0019】
送受信部21aは、プラブ20aから入力された交流電源から電力線通信信号を分離し、この電力線通信信号をコンテンツデータ等のデータに復調する。また、送受信部21aは、コンテンツデータ等のデータを電力線通信信号に変調し、この電力線通信信号を交流電源に重畳する。交流電源に重畳された電力線通信信号は、プラグ20aから電力線を通信媒体として他の送受信装置に送信される。記憶部22aは、送受信部21aにより復調されたコンテンツデータを記憶するバッファである。
【0020】
送受信部21bは、プラブ21bから入力された交流電源から電力線通信信号を分離し、この電力線通信信号をコンテンツデータ等のデータに復調する。また、送受信部21bは、コンテンツデータ等のデータを電力線通信信号に変調し、この電力線通信信号を交流電源に重畳する。交流電源に重畳された電力線通信信号は、プラグ20bから電力線を通信媒体として他の送受信装置に送信される。記憶部22bは、送受信部21aにより復調されたコンテンツデータを記憶するバッファである。
【0021】
制御部23は、本実施例のコンテンツ通信装置2を統括して制御する。制御部23は、送受信部21aから入力されたコンテンツデータを記憶部22aに記憶する制御をし、記憶部22aからコンテンツデータを読み出す制御をする。そして、読み出したコンテンツデータにおいて、オーディオ信号をオーディオ出力部24に入力し、ビデオ信号をビデオ出力部25に入力する。また、制御部23は、送受信部21bから入力されたコンテンツデータを記憶部22bに記憶する制御をし、記憶部22bからコンテンツデータを読み出をする。そして、読み出したコンテンツデータにおいて、オーディオ信号をオーディオ出力部24に入力し、ビデオ信号をビデオ出力部25に入力する。
【0022】
上述した第2の実施例のコンテンツ通信装置2におけるコンテンツデータの受信経路を切替える動作について説明する。コンテンツ通信装置2は、送受信部21aと送受信部21bを用いて同一の電力線通信信号を受信する。送受信部21aは、電力線通信信号を受信すると、常に信号の受信感度を検出し、検出した受信感度を示す受信感度情報Aを復調したコンテンツデータとともに制御部23に出力する。同様に、送受信部21bでも、電力線通信信号を受信すると、常に信号の受信感度を検出し、検出した受信感度を示す受信感度情報Bを復調したコンテンツデータとともに制御部23に出力する。送受信部21aおよび送受信部21bは、例えば信号強度検出器を備え、この信号強度検出器により受信した電力線通信信号の受信感度を検出する。
【0023】
制御部23は、入力された受信感度情報Aおよび受信感度情報Bを比較する。そして、受信感度がよい送受信部から受信されたコンテンツデータを記憶部から読み出す制御をする。例えば、制御部23は、受信感度情報Aおよび受信感度情報Bを比較して、受信感度情報Aの受信感度がよい場合、記憶部22aに記憶されているコンテンツデータを読み出す制御をする。このとき、制御部23は、記憶部22aからコンテンツデータを読み出す制御をし、コンテンツデータが読み出された領域に送受信部21aから入力されたコンテンツデータを記憶させる制御をする。また、制御部23は、送受信部21bから入力されるコンテンツデータを記憶部22bに記憶されている古いコンテンツデータから順次上書きして記憶させる制御をする。
【0024】
そして、制御部23は、入力されている受信感度情報Aおよび受信感度情報Bを比較して、受信感度が受信感度情報Aより受信感度情報Bがよくなると、記憶部22aからのコンテンツデータの読み出しを停止し、記憶部22bに記憶されたコンテンツデータの読み出しを開始する制御をする。このとき、制御部23は、記憶部22aから読み出されたコンテンツデータに続くコンテンツデータを記憶部22bから読み出すようにする。このため、本実施例のコンテンツ通信装置は、コンテンツデータを読み出す記憶部が記憶部22aから記憶部22bになっても、シームレスにオーディオ信号やビデオ信号を出力することができる。
【0025】
記憶部22bからコンテンツデータが読み出されると、制御部23は、コンテンツデータが読み出された領域に送受信部21bから入力されたコンテンツデータを記憶させる制御をする。また、制御部23は、記憶部22aからコンテンツデータの読み出しを停止すると、送受信部21aから入力されるコンテンツデータを記憶部22aに記憶されている古いコンテンツデータから順次上書きして記憶させる制御をする。
【0026】
上述した第2の実施例のコンテンツ通信装置2は、制御部23において送受信装置21aおよび送受信装置21bから入力された受信感度情報を常に比較して、受信感度がよい送受信部から受信されたコンテンツデータを記憶部から読み出すようにする。このようにして、コンテンツ通信装置2は、入力される受信感度情報に応じて、コンテンツデータの受信経路を切替える動作をする。また、コンテンツ通信装置2は、ユーザの操作に依らずに、受信感度のよいコンテンツデータの受信経路に切替えることが可能となる。
【0027】
以上説明したように、本実施例のコンテンツ通信装置は、外来ノイズが電力線に混入することによりコンテンツデータの通信状態が悪い場合、コンテンツデータの通信経路を切替えることによりコンテンツデータの受信状態を改善させるため、受信しているコンテンツデータが途切れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例であるコンテンツ通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】第2の実施例のコンテンツ通信装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0029】
1…コンテンツ通信装置、2…第2の実施例のコンテンツ通信装置、10a…プラグ、10b…プラグ、11…切替部、12…送受信部、13…制御部、14…記憶部、15…切替操作部、16…オーディオ出力部、17…ビデオ出力部、20a…プラグ、20b…プラグ、21a…送受信部、21b…送受信部、22a…記憶部、22b…記憶部、23…制御部、24…オーディオ出力部、25…ビデオ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線を通信媒体としてコンテンツデータの通信を行うコンテンツ通信装置において、
コンテンツデータを電力線を介して送受信する送受信手段と、
前記送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する記憶手段と、
前記送受信手段が受信するコンテンツデータの受信経路を切替える切替手段と、
前記切替手段の切替えを操作する切替操作手段と、
前記記憶手段に記憶されたコンテンツデータを出力する出力手段とを備えることを特徴とするコンテンツ通信装置。
【請求項2】
電力線を通信媒体としてコンテンツデータの通信を行うコンテンツ通信装置において、
コンテンツデータを電力線を介して送受信する第1の送受信手段と、
コンテンツデータを電力線を介して送受信する第2の送受信手段と、
前記第1の送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する第1の記憶手段と、
前記第2の送受信手段により受信されたコンテンツデータを記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の送受信手段と前記第2の送受信手段のコンテンツデータの受信感度に応じて、前記第1の記憶手段に記憶されたコンテンツデータまたは第2の記憶手段に記憶されたコンテンツデータを読み出す制御をする制御手段と、
前記第1の記憶手段または前記第2の記憶手段から読み出されたコンテンツデータを出力する出力手段とを備えることを特徴とするコンテンツ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−258889(P2008−258889A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98318(P2007−98318)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】