説明

コントロールバルブユニット

【課題】内部を流れる作動油の温度を正確に検出することが可能なコントロールバルブユニットを提供する。
【解決手段】コントロールバルブユニット1は、レギュレータバルブ11,12が配置されたレギュレータバルブボディ17と、レギュレータバルブボディ17に近接して配置され、レギュレータバルブ11,12にパイロット圧を供給するソレノイドバルブ13,14が配置されたソレノイドバルブボディ18と、ソレノイドバルブボディ18に形成され、DNレギュレータバルブ11からの作動油を排出する排出油路24と、排出油路24の作動油の温度を検出する油温検出部35aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールバルブユニット、特に自動変速機の油圧機構に制御圧を供給するコントロールバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機は、内燃機関(エンジン)から入力されたトルクをコントロールバルブユニットからの制御圧によって変速制御する。コントロールバルブユニットの制御性は作動油の粘性に大きく影響され、粘性は作動油の温度に応じて変化する。そのため、コントロールバルブユニット内を流れる作動油の温度を正確に検出する必要がある。
【0003】
従来、ドレインパン内の作動油の温度を検出していた。しかし、実際にコントロールバルブユニット内を流れる作動油の温度と比較して大きく乖離した温度が検出されるおそれがあった。
【0004】
そこで、特許文献1には、コントロールバルブユニット内から外部に作動油が排出される作動油排出部近傍で作動油の温度を検出することが開示されている。作動油排出部近傍での作動油の温度は、レギュレータバルブが晒される作動油の温度と近いので、レギュレータバルブが晒される作動油の温度を正確に検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−55174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、作動油排出部近傍での作動油の温度は、レギュレータバルブが晒される作動油の温度と乖離しており、さらに正確にコントロールバルブユニット内を流れる作動油の温度を検出することが求められていた。
【0007】
内部にソレノイドバルブが配置され、このソレノイドバルブのソレノイドに流す電流を制御して、自動変速機の油圧機構に調圧した制御圧を供給するコントロールバルブユニットがある。このようなコントロールバルブユニットの場合、ソレノイドバルブで調整されてレギュレータバルブに供給されるパイロット圧は、コントロールバルブユニットから自動変速機の油圧機構に供給する制御圧に大きな影響を及ぼす。そして、ソレノイドバルブの制御性は作動油の粘性に大きく影響されるので、特にソレノイドバルブが晒される作動油の温度を正確に検出する必要がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、内部を流れる作動油、特にソレノイドバルブが晒される作動油の温度を正確に検出することが可能なコントロールバルブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコントロールバルブユニットは、自動変速機の油圧機構に制御圧を供給するレギュレータバルブが配置されたレギュレータバルブボディと、該レギュレータバルブボディに近接して配置され、前記レギュレータバルブにパイロット圧を供給するソレノイドバルブが配置されたソレノイドバルブボディと、該ソレノイドバルブボディに形成され、前記レギュレータバルブからの作動油を排出する排出油路と、該排出油路の作動油の温度を検出する油温検出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ソレノイドバルブが配置されたソレノイドバルブボディに排出油路が形成され、この排出油路の作動油の温度(油温)を油温検出部が検出する。よって、上記特許文献1に開示されたようにコントロールバルブユニットの外部で油温を検出する場合に比べて、コントロールバルブユニット内部で、しかもソレノイドバルブの近傍で油温を検出している。そのため、コントロールバルブユニット内を流れる作動油、特にソレノイドバルブが晒される作動油の温度をより正確に検出することが可能となる。
【0011】
また、本発明のコントロールバルブユニットにおいて、前記レギュレータバルブボディの上方に前記ソレノイドバルブボディを配置し、前記排出油路に油溜り部を設け、該油溜り部に貯留する作動油の温度を前記油温検出部が検出することが好ましい。
【0012】
この場合、排出油路の油路断面積より広い断面積を有する油溜り部に油温検出部を設けることができ、油温検出部により排出油路の作動油の温度を正確に検出することが可能となる。
【0013】
さらに、排出油路に作動油が排出されるレギュレータバルブが配置されたレギュレータバルブボディの上方に、油溜り部が形成されたソレノイドバルブボディが配置されている。そのため、レギュレータバルブから排出された作動油は、排出油路を介して、常時油溜り部に貯留することになる。よって、油温検出部により油溜り部に貯留する作動油の温度を常時検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るコントロールバルブユニットを含む無段変速機の油圧制御回路を示す油圧回路図。
【図2】コントロールバルブユニットの上面図。
【図3】図2におけるIII−III断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るコントロールバルブユニット1について説明する。
【0016】
図1に示すように、コントロールバルブユニット1は、自動変速機の油圧機構DN,DR,LCC,CPCに制御圧を供給する。本実施形態では、自動変速機はエンジンの出力軸の回転数を無段階に変速して車輪軸に伝達する無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であり、この無段変速機の油圧機構DN,DR,LCC,CPCにコントロールバルブユニット1から制御圧が供給される。
【0017】
無段変速機は、図示しないが、エンジンの出力軸側に設けられるドライブプーリと、車輪軸側に設けられ、伝達ベルトを介して従動的に回転するドリブンプーリを備えている。
【0018】
ドライブプーリは、エンジンの出力軸にトルクコンバータを介して接続される固定プーリ半体と、シリンダ機構(油圧機構)DRに供給される油圧により軸線方向に摺動可能な可動プーリ半体とからなり、可動プーリ半体の摺動位置によってドライブプーリの溝幅が変更可能となっている。
【0019】
同様に、ドリブンプーリは、無段変速機の出力軸に固定された固定プーリ半体と、シリンダ機構(油圧機構)DNに供給される油圧により軸線方向に摺動可能な可動プーリ半体とからなり、可動プーリ半体の摺動位置によってドリブンプーリの溝幅が変更可能となっている。
【0020】
そして、コントロールバルブユニット1から供給される制御圧を介して可動プーリを固定プーリに対して接近、離間させることにより、ドライブプーリとドリブンプーリとの間に介装される伝達ベルトを介してエンジンの出力軸から伝達される駆動力が無段階に変速されて車輪軸に伝達される。
【0021】
無段変速機の油圧制御回路は、コントロールバルブユニット1の他に、作動油が貯留されるタンク2と、タンク2に貯留された作動油を吐出し、油路3に供給するポンプ4と、油路3に接続され、コントロールバルブユニット1に油路5を介して油圧(高圧油圧)を供給するメインレギュレータバルブ6と、油路5から分岐した油路7に接続され、コントロールバルブユニット1に油路8を介して減圧された油圧(低圧油圧)を供給するクラッチレディーシングレギュレータ9とを備えている。
【0022】
コントロールバルブユニット1は、2つのレギュレータバルブ11,12と、4つのソレノイドバルブ13,14,15,16と、2つのレギュレータバルブが配置されるレギュレータバルブボディ17と、4つのソレノイドバルブが配置されるソレノイドバルブボディ18と、レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18との間に設けられたセパレートプレート19とを備えている。
【0023】
DNレギュレータバルブ11は、ドリブンプーリのシリンダ機構DNに制御圧を供給する。DNレギュレータバルブ11は、レギュレータバルブボディ17に形成されたバルブ穴17a(図3参照)に摺動自在に内挿されたスプール11aと、スプール11aを図1の左側に付勢するスプリング11bとを備えている。
【0024】
スリーブ11aには、入力ポート11c、パイロットポート11d、出力ポート11e、フィードバックポート11f及び排出ポート11gが穿設されている。
【0025】
入力ポート11cには、油路5を介して油圧が供給される。パイロットポート11dには、油路21を介してDNソレノイドバルブ13からパイロット圧が供給される。出力ポート11eからは、油路22を介してドリブンプーリのシリンダ機構DNに制御圧が供給される。フィードバックポート11fには、油路22から分岐された油路23を介して出力ポート11eから出力された油圧の一部が供給される。排出ポート11gは、排出油路24に接続されている。
【0026】
DNレギュレータバルブ11は、パイロットポート11dから供給されるパイロット圧及びスプリング11bの付勢力に応じて、入力ポート11cと出力ポート11e、または出力ポート11eと排出ポート11gとの接続を切り換えるように構成されている。
【0027】
DRレギュレータバルブ12は、ドライブプーリのシリンダ機構DRに制御圧を供給する。DRレギュレータバルブ12は、レギュレータバルブボディ17に形成されたバルブ穴17b(図3参照)に摺動自在に内挿されたスプール12aと、スプール12aを図1の左側に付勢するスプリング12bとを備えている。
【0028】
スリーブ12aには、入力ポート12c、パイロットポート12d、出力ポート12e、フィードバックポート12f及び排出ポート12gが穿設されている。
【0029】
入力ポート12cには、油路5を介して油圧が供給される。パイロットポート12dには、油路25を介してDRソレノイドバルブ14からパイロット圧が供給される。出力ポート12eからは、油路26を介してドライブプーリのシリンダ機構DRに制御圧が供給される。フィードバックポート12fには、油路26から分岐された油路27を介して出力ポート12eから出力された油圧の一部が供給される。排出ポート12gは、排出油路28を介して大気と連通している。
【0030】
DNレギュレータバルブ11は、パイロットポート12dから供給されるパイロット圧及びスプリング12bの付勢力に応じて、入力ポート12cと出力ポート12e、または出力ポート12eと排出ポート12gとの接続を切り換えるように構成されている。
【0031】
DNソレノイドバルブ13は、DNレギュレータバルブ11に調整されたパイロット圧を供給するリニアソレノイドタイプのものである。DNソレノイドバルブ13は、ソレノイドバルブボディ18に形成されたバルブ穴18a(図3参照)に摺動自在に内挿されたスプール13aと、スプール13aを図1の左側に付勢する図示しないスプリングと、スプール13aをスプリングの付勢力に抗して図1の右側に付勢自在なソレノイド13bとを備えている。
【0032】
スリーブ13aには、入力ポート13c、出力ポート13d及びフィードバックポート13eが穿設されている。
【0033】
入力ポート13cには、油路8を介して油圧が供給される。出力ポート13dからは、油路21を介してDNレギュレータバルブ11にパイロット圧が供給される。フィードバックポート13eには、油路21から分岐された油路29を介して出力ポート13dから出力された油圧の一部が供給される。
【0034】
DNソレノイドバルブ13は、ソレノイド13bに出力される電流量に応じてスプリングの付勢力に抗したスプール13aの移動量が制御され、入口ポート13cから供給される油圧に対し、出口ポート13dから供給するパイロット圧が調整されるように構成されている。
【0035】
DRソレノイドバルブ14は、DRレギュレータバルブ12に調整されたパイロット圧を供給するリニアソレノイドタイプのものである。DRソレノイドバルブ14は、ソレノイドバルブボディ18に形成されたバルブ穴18b(図3参照)に摺動自在に内挿されたスプール14aと、スプール14aを図1の左側に付勢する図示しないスプリングと、スプール14aをスプリングの付勢力に抗して図1の右側に付勢自在なソレノイド14bとを備えている。
【0036】
スリーブ14aには、入力ポート14c、出力ポート14d及びフィードバックポート14eが穿設されている。
【0037】
入力ポート14cには、油路8を介して油圧が供給される。出力ポート14dからは、油路25を介してDRレギュレータバルブ12にパイロット圧が供給される。フィードバックポート14eには、油路25から分岐された油路30を介して出力ポート14dから出力された油圧の一部が供給される。
【0038】
DRソレノイドバルブ14は、ソレノイド14bに出力される電流量に応じてスプリングの付勢力に抗したスプール14aの移動量が制御され、入口ポート14cから供給される油圧に対し、出口ポート14dから供給するパイロット圧が調整されるように構成されている。
【0039】
LCCソレノレドバルブ15は、ロックアップクラッチの油圧機構LCCに制御圧を供給するリニアソレノイドタイプのものである。LCCソレノイドバルブ15は、ソレノイドバルブボディ18に形成されたバルブ穴18c(図3参照)に摺動自在に内挿されたスプール15aと、スプール15aを図1の左側に付勢する図示しないスプリングと、スプール15aをスプリングの付勢力に抗して図1の右側に付勢自在なソレノイド15bとを備えている。
【0040】
スリーブ15aには、入力ポート15c、出力ポート15d及びフィードバックポート15eが穿設されている。
【0041】
入力ポート15cには、油路8を介して油圧が供給される。出力ポート15dからは、油路31を介してロックアップクラッチの油圧機構LCCに油圧が供給される。フィードバックポート15eには、油路31から分岐された油路32を介して出力ポート15dから出力された油圧の一部が供給される。
【0042】
LCCソレノイドバルブ15は、ソレノイド15bに出力される電流量に応じてスプリングの付勢力に抗したスプール15aの移動量が制御され、入口ポート15cから供給される油圧に対し、出口ポート15dから供給する油圧が調整されるように構成されている。
【0043】
CPCソレノイドバルブ16は、前後進クラッチの油圧機構CPCに制御圧を供給するリニアソレノイドタイプのものである。CPCソレノイドバルブ16は、ソレノイドバルブボディ18に形成されたバルブ穴18d(図3参照)に摺動自在に内挿されたスプール16aと、スプール16aを図1の左側に付勢する図示しないスプリングと、スプール16aをスプリングの付勢力に抗して図1の右側に付勢自在なソレノイド16bとを備えている。
【0044】
スリーブ16aには、入力ポート16c及び出力ポート16が穿設されている。
【0045】
入力ポート16cには、油路8を介して油圧が供給される。出力ポート16dからは、油路33を介して前後進クラッチの油圧機構CPCに油圧が供給される。
【0046】
CPCソレノイドバルブ16は、ソレノイド16bに出力される電流量に応じてスプリングの付勢力に抗したスプール16aの移動量が制御され、入口ポート16cから供給される油圧に対し、出口ポート16dから供給する油圧が調整されるように構成されている。
【0047】
レギュレータバルブボディ17は、コントロールバルブユニット1の本体上部を構成するアッパボディであり、上述したように、バルブ穴17a,17b、油路5,21,25、及び排出油路24が形成されている。
【0048】
ソレノイドバルブボディ18には、コントロールバルブユニット1の本体下部を構成するロアボディであり、上述したように、バルブ穴18a〜18d、油路5,21,25、及び排出油路24が形成されている。
【0049】
さらに、図3に示すように、ソレノイドバルブボディ18の上部には、上方が開放された油溜り部34が形成されている。この油溜り部34は、DNソレノイドバルブ13を挿通配置するバルブ穴18aに隣接して形成されており、上下方向に延びる壁によって周囲が取り囲まれている。油溜り部34は、その下部が排出油路24に接続されており、その水平方向断面積が排出油路24の油路断面積よりも広くなっている。
【0050】
セパレートプレート19は、レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18とに上下に挟まれて配置される平板状部材である。セパレートプレート19には、レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18とに形成された油路5,21,25を連通する貫通穴が形成されている。これにより、図2を参照して、レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18とに亘って、油路5,21,25が連続して存在することになる。
【0051】
また、セパレートプレート19には、レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18とに形成された排出油路24を連通する貫通穴19aも形成されており、これによりDNレギュレータバルブ11の排出ポート11gと油溜り部34とが連通している。
【0052】
レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18との間にセパレートプレート19が挟まれた状態で、これらはボルトを挿通されて、図示しないナットを用いて締結固定される。
【0053】
さらに、コントロールバルブユニット1は、油温センサ35と、カプラ36と、カバー37とを備えている。
【0054】
油温センサ35は、その油温検出部35aが油溜り部34に溜った作動油に没した状態で配置されており、油温検出部35aの周囲に存する作動油の温度を検出する。ここでは、油温センサ35は、コントロールバルブユニット1に内蔵されている。なお、油温センサを、コントロールバルブユニット1に外付けしてもよい。ただし、油温検出部が油溜り部34に溜った作動油に没した状態となるように、油温センサを取り付ける。
【0055】
カプラ36は、図示しないコネクタが接続されることにより、無段変速機の制御装置に電気的に接続される。そして、カプラ36は、図示しないが、各レギュレータバルブの13〜16ソレノイド13a〜16a及び油温センサ35と電気的に接続されている。これにより、制御装置が、油温センサ35の検出信号に応じて温度補正を行い、各レギュレータバルブの13〜16のソレノイド13a〜16aに出力する電流量を制御させることが可能となっている。
【0056】
カバー37は、ソレノイドバルブボディ18の上方を覆う形状に形成されている。カバー37には、図示しないが、油温センサ35を支持する支持部が固定されている。また、カバー37には、コネクタとの接続部が露出した状態でカプラ36が固定されている。これにより、油溜り部34に貯留された作動油の油面から離れた上方に、カプラ36及びカプラ36に接続される制御装置を配置することができる。
【0057】
カバー37は、レギュレータバルブボディ17とソレノイドバルブボディ18との間にセパレートプレート19が挟まれたものに、ボルト38を用いて締結固定される。これにより、コントロールバルブユニット1は一体化される。この一体化させたコントロールバルブユニット1は、ボルト39を用いて図示しない無段変速機のケース上部に締結固定される。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るコントロールバルブユニット1によれば、ソレノイドバルブボディ18の上部に油溜り部34を設け、この油溜り部34にDNレギュレータバルブ11の排出ポート11gから排出された作動油を排出油路24を介して導いている。そして、油溜り部34に貯留する作動油の温度を油温検出部35aで検出する。
【0059】
これにより、ソレノイドバルブ13〜16が配置されるソレノイドバルブボディ18に形成された油溜り部34に貯留した作動油の温度を油温センサ35が検出する。よって、上記特許文献1に開示されたようにコントロールバルブユニット1の外部で油温を検出する場合に比べて、コントロールバルブユニット1の内部で、しかもソレノイドバルブ13〜16の近傍で油温を検出している。
【0060】
そのため、コントロールバルブユニット1の内部を流れる作動油、特にソレノイドバルブ13〜16が晒される作動油の温度をより正確に(高精度に)検出できる。従って、各ソレノイドバルブ13〜16が供給する油圧をより正確に調整することが可能となる。
【0061】
なお、DNレギュレータバルブ11の排出ポート11gからはある程度の量の作動油が常時排出される。この排出された作動油は、排出油路24を介して油溜り部34に導かれて、油溜り部34から順次オーバーフローする。そのため、油溜り部34に貯留する作動油の温度を検出することにより、コントロールバルブユニット1内を流れる作動油、特にソレノイドバルブ13〜16近傍の作動油の温度を経時変化に遅れることなく、正確に検出できる。
【0062】
さらに、油溜り部34は、DNソレノイドバルブ13を挿通配置するバルブ穴18aに隣接して形成されている。そのため、油温センサ35が検出する油温は、DNソレノイドバルブ13が晒される作動油の温度に近いものとなる。
【0063】
ドリブンプーリに架かる伝達ベルトが滑らないように、DNソレノイドバルブ13からドリブンプーリのシリンダ機構DNに供給される制御圧は余裕を持たせている。しかし、DNソレノイドバルブ13が晒される作動油の温度を正確に検出できるので、余裕幅を削減することが可能になる。そのため、伝達ベルトに作用する摩擦トルクが減少させることが可能となり、燃費の向上が図られる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、排出油路24に油溜り部34を設ける場合について説明した。しかし、油溜り部34を必ずしも設ける必要はない。また、油温検出部35aを作動油に没させなくともよい。
【0065】
また、レギュレータバルブボディ17に配置されたレギュレータバルブ11,12、及びソレノイドバルブボディ18に配置されたレギュレータバルブ13〜16は、実施形態に限定されない。また、無段変速機以外の自動変速機の油圧機構に制御圧を供給するコントロールバルブユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…コントロールバルブユニット、 11…DNレギュレータバルブ(レギュレータバルブ)、 11g…排出ポート、 12…DRレギュレータバルブ(レギュレータバルブ)、 13…DNソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)、 14…DRソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)、 15…LCCソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)、 16…CPCソレノイドバルブ、 17…レギュレータバルブボディ(ソレノイドバルブ)、 18…ソレノイドバルブボディ、 19…セパレートプレート、 24…排出油路、 34…油溜り部、 35…油温センサ、 35a…油温検出部、 DN…シリンダ機構(油圧機構)、 DR…シリンダ機構(油圧機構)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機の油圧機構に制御圧を供給するレギュレータバルブが配置されたレギュレータバルブボディと、
該レギュレータバルブボディに近接して配置され、前記レギュレータバルブにパイロット圧を供給するソレノイドバルブが配置されたソレノイドバルブボディと、
該ソレノイドバルブボディに形成され、前記レギュレータバルブからの作動油を排出する排出油路と、
該排出油路の作動油の温度を検出する油温検出部とを備えることを特徴とするコントロールバルブユニット。
【請求項2】
前記レギュレータバルブボディの上方に前記ソレノイドバルブボディを配置し、前記排出油路に油溜り部を設け、該油溜り部に貯留する作動油の温度を前記油温検出部が検出することを特徴とする請求項1に記載のコントロールバルブユニット。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−2332(P2012−2332A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140721(P2010−140721)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】