説明

コンバイン

【課題】従来のコンバインは、自動的に刈取部が地面に追従して接地可能となっていると、刈取作業を行っていない場合においてまでも、刈取部が意図せず下降する、という問題があった。
【解決手段】刈取部6が地面に接地しているか否かを検知する接地検知センサ57と、刈取部6を昇降操作する上昇・下降操作スイッチ51・52と、を備え、制御部60は、刈取作業時に、接地検知センサ57によって刈取部6が地面に接地していないことを検知すると、刈取部6が下降する自動制御モードと、刈取作業時に、上昇・下降操作スイッチ51・52の昇降操作によって刈取部6が昇降する手動制御モードと、を切替可能に備え、自動制御モードである場合に、コンバインのエンジン10から刈取部6への動力を断接する刈取クラッチ37が切状態になると、手動制御モードに切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、より詳細には、刈取部の昇降に係る制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降用アクチュエータとなる昇降油圧シリンダによって昇降可能とされ、穀稈を刈取可能な刈取部と、昇降油圧シリンダを制御可能な制御部と、を備えるコンバインの技術は公知となっている。例えば、特許文献1では、昇降操作手段となる操作レバーの昇降操作によって、刈取部が昇降することにより、手動で刈取高さを調整できるとともに、昇降油圧シリンダを収縮状態に維持して、刈取部を常時下降させることにより、自動的に刈取部が地面に追従して接地可能となって、刈高さを一定に維持できるようになっている。
【特許文献1】特開2007−89418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のコンバインは、自動的に刈取部が地面に追従して接地可能となっていると、刈取作業を行っていない場合(以下、「非刈取作業時」という。)においてまでも、刈取部が意図せず下降する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
すなわち、請求項1においては、昇降用アクチュエータによって昇降可能とされ、穀稈を刈取可能な刈取部と、前記昇降用アクチュエータを制御可能な制御部と、を備えるコンバインであって、前記刈取部が地面に接地しているか否かを検知する接地検知手段と、前記刈取部を昇降操作する昇降操作手段と、を備え、前記制御部は、刈取作業時に、前記接地検知手段によって前記刈取部が地面に接地していないことを検知すると、前記刈取部が下降する自動制御モードと、刈取作業時に、前記昇降操作手段の昇降操作によって前記刈取部が昇降する手動制御モードと、を切替可能に備え、前記自動制御モードである場合に、前記コンバインのエンジンから前記刈取部への動力を断接する刈取クラッチが切状態になると、前記手動制御モードに切り替わるものである。
【0006】
請求項2においては、前記制御部は、前記自動制御モードである場合に、前記昇降操作手段が昇降操作されると、前記手動制御モードに切り替わるものである。
【0007】
請求項3においては、前記刈取部を設定高さまで上昇させる自動上昇操作手段を備え、前記制御部は、前記自動制御モードである場合に、前記自動上昇操作手段が入操作されると、前記手動制御モードに切り替わるものである。
【0008】
請求項4においては、前記刈取部を設定高さまで下降させる自動下降操作手段を備え、前記制御部は、前記手動制御モードである場合に、前記自動下降操作手段が入操作されると、前記自動制御モードに切り替わるものである。
【0009】
請求項5においては、前記コンバインが旋回したか否かを検知する旋回検知手段を備え、前記制御部は、前記自動制御モードである場合に、前記コンバインが旋回したことを前記旋回検知手段が検知すると、前記手動制御モードに切り替わるものである。
【0010】
請求項6においては、前記コンバインの旋回速度を検知する旋回速度検知手段を備え、前記制御部は、前記自動制御モードである場合に、前記コンバインの旋回速度が設定速度以上であることを前記旋回速度検知手段が検知すると、前記手動制御モードに切り替わるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、自動制御モードである場合に、刈取クラッチが切状態(非刈取作業時)になると、手動制御モードに切り替わるため、非刈取作業時に刈取部が意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部の刈取作業の安全性が向上する。
【0013】
請求項2においては、自動制御モードである場合に、昇降操作手段が昇降操作されると、手動制御モードに切り替わるため、緊急時に昇降操作手段によって刈取部の操作が可能となる。よって、刈取部の刈取作業の安全性が向上する。
【0014】
請求項3においては、自動制御モードである場合に、自動上昇操作手段が入操作されると、手動制御モードに切り替わるため、刈取作業を終了する際、刈取部が設定高さに上昇後、意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部の刈取作業の安全性が向上する。
【0015】
請求項4においては、手動制御モードである場合に、自動下降操作手段が入操作されると、自動制御モードに切り替わるため、刈取作業開始時に手動制御モードから自動制御モードに切替操作する手間が省ける。これにより、刈取作業開始時に手動制御モードから自動制御モードに確実に切り替わるため、実際には手動制御モードであるにも関わらず、作業者が自動制御モードであると誤解して、刈取作業を開始して刈取部が地面に突っ込んでしまうことを防止できる。よって、刈取部の刈取作業の安全性が向上する。
【0016】
請求項5においては、自動制御モードである場合に、コンバインが旋回すると、手動制御モードに切り替わるため、コンバインが旋回中に刈取部が意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部の刈取作業の安全性が向上する。
【0017】
請求項6においては、自動制御モードである場合に、コンバインが設定速度以上で旋回すると、手動制御モードに切り替わるため、コンバインが設定速度以上で旋回(急旋回)中に、刈取部が意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部の刈取作業の安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインを示した側面図、図2は同じく平面図、図3は刈取部を示した側面図、図4は刈取部の油圧回路図、図5は刈取部の制御ブロック図、図6は接地検知センサを示した側面図、図7は刈取部の制御フロー図、図8は自動制御モードの制御フロー図である。
【0019】
先ず、本発明の一実施例に係るコンバインの全体構成について、図1および図2を用いて説明する。なお、本実施例では6条刈り用のコンバインについて説明するが、コンバインの刈取条数は本実施例に限定するものではない。
【0020】
図1および図2に示すように、コンバインでは、トラックフレーム1の左右に、コンバインを前進または後進走行可能とするクローラ式走行装置2が配設されている。トラックフレーム1上には、機体フレーム3が配設されている。機体フレーム3の前部には、穀稈を刈り取ってコンバインの機体(以下、単に「機体」という。)後方へ搬送する刈取部6が配設されている。機体フレーム3上の左側部には、扱胴12やフィードチェン13などで構成され、刈取部6からの刈取穀稈を脱穀する脱穀部4が配設されている。
【0021】
脱穀部4の下方には、揺動選別装置14や唐箕ファン15などで構成され、脱穀部4で脱穀された穀粒などを選別する選別部5が配設されている。脱穀部4の後方には、排藁チェン16などで構成され、脱穀部4で脱穀された穀稈を排藁として機外へ排出する排藁処理部7が配設されている。脱穀部4の右方には、一番揚穀コンベア17によって搬送された選別後の穀粒を貯溜するグレンタンク8が配設されている。
【0022】
グレンタンク8の底部には、グレンタンク8内に貯溜された穀粒を、機体後方に搬送する排出コンベア35が前後方向に配設されている。グレンタンク8の後方から上方にかけては、排出コンベア35によって搬送された穀粒を搬送して、先端部の排出ケース32から機体外部に排出する排出オーガ18が配設されている。グレンタンク8の前方には、操向ハンドル20、運転席21を備える運転キャビン9が配設されている。
【0023】
運転キャビン9の下方には、コンバインの駆動源となるエンジン10、トランスミッション11が配設されている。
【0024】
次に、刈取部6について、図3および図4を用いて説明する。
【0025】
図3に示すように、刈取部6では、刈取入力ケース23と、縦伝動ケース26と、横伝動ケース27と、刈取フレーム28とが一体的に連結されて、刈取部6のメインフレームを構成している。
【0026】
機体フレーム3の前端部には、左右の刈取装着フレーム22が立設されている。刈取装着フレーム22の上部には、左右方向に横設された刈取入力ケース23が、割パイプ継手25を介して回動可能かつ着脱可能に支持されている。
【0027】
刈取入力ケース23には、エンジン10からの動力が伝達される刈取入力軸24が内挿されている。エンジン10から刈取入力軸24までの動力伝達経路上には、刈取クラッチ37(電磁クラッチ)が設けられ(図5参照)、刈取クラッチ37が入・切されることにより、エンジン10から刈取入力軸24への動力が伝達あるいは遮断されるようになっている。
【0028】
刈取入力ケース23の左右中途部からは、縦伝動ケース26が前下方に延設されている。縦伝動ケース26の後上端部は、刈取入力ケース23に連結されている。
【0029】
縦伝動ケース26と機体フレーム3との間には、刈取部6を昇降可能とする昇降用アクチュエータとなる昇降油圧シリンダ38が介設されている。
【0030】
図4に示すように、昇降油圧シリンダ38は、制御部60に接続された昇降制御弁64(電磁弁)が伸長・収縮・中立位置に切り替えられて、油圧ポンプ63の油圧によって伸縮するようになっている。昇降油圧シリンダ38と昇降制御弁64との間の油圧回路上には、油圧を蓄圧するアキュムレータ65が、切替弁66(電磁弁)を介して設けられている。昇降制御弁64が中立位置で切替弁66が連通位置となっている時に、昇降油圧シリンダ38からの圧油がアキュムレータ65に流入または流出することにより、刈取部6が昇降油圧シリンダ38によって弾性的に支持されるようになっている。これにより、刈取部6が地面に追従して接地可能となる。
【0031】
図3に戻って、縦伝動ケース26の先端部(前下方端部)には、左右方向に横設された横伝動ケース27が連結さている。横伝動ケース27からは、連結フレーム29によって連結された刈取条数分の刈取フレーム28が前方に延設されている。刈取フレーム28の後端部は、横伝動ケース27に連結されている。
【0032】
横伝動ケース27の左端部からは、引起伝動ケース30が前上方に延設されている。横伝動ケース27の右端部からは、支持フレーム(図示省略)が前上方に延設されている。引起伝動ケース30の上端部と前記支持フレームの上端部との左右間には、引起横伝動ケース31が左右方向に横設されている。引起横伝動ケース31の左右中途部からは、後下方に連結フレーム33が延設されている。連結フレーム33の前上端部は、引起横伝動ケース31に連結され、後下端部は、縦伝動ケース26の前後中途部に連結されている。
【0033】
前記メインフレーム(刈取フレーム28)の前部には、未刈取穀稈を分草する分草板40が配設されているとともに、タイン付チェン36などで構成され、分草後の未刈取穀稈を引き起こす引起装置41が配設されている。
【0034】
引起装置41の後方には、刈刃34などで構成され、引き起こし後の未刈取穀稈の株元を切断する切断装置43が配設されている。
【0035】
切断装置43の上方には、スターホイル49や掻込ベルト50などで構成され、刈取穀稈の株元側を掻き込む掻込装置42が配設されているとともに、掻き込み後の刈取穀稈の株元側を後方に搬送する下部搬送装置44が配設されている。
【0036】
下部搬送装置44の上方には、掻き込み後の刈取穀稈の穂先側を後方に搬送する上部搬送装置45が配設されている。上部搬送装置45は、前部に配置される前上部搬送装置45Fと、後部に配置される後上部搬送装置45Rとを、前後方向に一部重複するように備えている。下部搬送装置44の後方には、下部搬送装置44によって搬送された刈取穀稈の株元側を、後方に搬送する縦搬送装置47が配設されている。
【0037】
縦搬送装置47の後方には、刈取穀稈の株元側をフィードチェン13に受け継ぐための補助搬送装置48が配設されている。
【0038】
これにより、刈取部6は、穀稈を刈取・搬送可能となり、昇降油圧シリンダ38の伸縮によって、刈取入力ケース23を回動中心に昇降可能となる。
【0039】
次に、刈取部6の制御ブロックについて、図5および図6を用いて説明する。
【0040】
図5に示すように、制御部60は、各種演算処理を行うCPU60a、各種情報を記憶するROMやRAMなどの記憶部60bなどで構成されている。制御部60には、各種操作スイッチ51〜56、昇降制御弁64、切替弁66、刈取クラッチ37、刈取部6が地面に接地しているか否かを検知する接地検知手段となる接地検知センサ57(リミットスイッチなど)、アキュムレータ65に設定圧以上の圧力が発生しているか否かを検知する圧力検知手段となる圧力センサ67、操向ハンドル20の旋回角度によってコンバインが旋回したか否かを検知する旋回検知手段となる旋回検知センサ58(回転式ポテンショメータなど)、コンバインの旋回速度を検知する旋回速度検知手段となる旋回速度検知センサ59(ジャイロセンサなど)が接続されている。
【0041】
制御部60は、刈取作業時に、接地検知センサ57によって刈取部6が地面に接地していないことを検知すると、刈取部6が下降する自動制御モードと、刈取作業時に、上昇・下降操作スイッチ51・52の昇降操作によって刈取部6が昇降する手動制御モードとを、モード切替スイッチ56によって切替可能に備えている。
【0042】
前記各種操作スイッチは、昇降操作手段となる上昇・下降操作スイッチ51・52、刈取クラッチスイッチ53、自動上昇操作手段となるオートリフトスイッチ54、自動下降操作手段となるオートセットスイッチ55、モード切替スイッチ56によって構成され、これらは操向ハンドル20または運転席21周辺に配設される操作レバーなどに配置されている。なお、前記各種操作スイッチは、操作方法(押しボタン式、レバー式など)は限定するものではないが、以下では押しボタン式のスイッチを例として説明する。
【0043】
上昇・下降操作スイッチ51・52は、刈取部6を昇降操作するものである。上昇・下降操作スイッチ51・52を押している間だけ、刈取部6がそれぞれ上昇・下降し、上昇・下降操作スイッチ51・52を離すと、刈取部6の上昇・下降がそれぞれ停止するようになっている。
【0044】
刈取クラッチスイッチ53は、刈取クラッチ37を入・切操作するものである。刈取クラッチスイッチ53を押している間だけ、刈取クラッチ37が入状態となり、刈取クラッチスイッチ53を離すと、刈取クラッチ37が切状態となるようになっている。
【0045】
オートリフトスイッチ54は、刈取部6を設定高さまで上昇操作するものである。オートリフトスイッチ54を一回押すと、刈取部6が自動的に設定高さまで上昇するようになっている。刈取部6が上昇する設定高さは、制御部60(記憶部60b)に記憶されている。
【0046】
オートセットスイッチ55は、刈取部6を設定高さまで下降操作するものである。オートセットスイッチ55を一回押すと、刈取部6が自動的に設定高さまで下降するようになっている。刈取部6が下降する設定高さは、制御部60(記憶部60b)に記憶されている。
【0047】
なお、以下ではオートリフトスイッチ54によって、刈取部6が自動的に設定高さまで上昇することを「オートリフト」といい、オートセットスイッチ55によって、刈取部6が自動的に設定高さまで下降することを「オートセット」という。
【0048】
モード切替スイッチ56は、制御部60を自動制御モードまたは手動制御モードに切替操作するものである。モード切替スイッチ56を一回押すと、制御部60が自動制御モードまたは手動制御モードに切り替わるようになっている。
【0049】
図6に示すように、刈取フレーム28は、前刈取フレーム28aと後刈取フレーム28bとに前後中途部で分割され、前刈取フレーム28a後部が回動部28cを介して、後刈取フレーム28b前部に上下回動自在に支持されている。接地検知センサ57は、取付プレート61を介して後刈取フレーム28a上の前部に取り付けられている。前刈取フレーム28a上の後部には、接地検知センサ57のセンシング部57aに接触可能なセンシングプレート62が立設されている。
【0050】
これにより、分草板40下部が地面Gに接地している場合は、センシングプレート62が接地検知センサ57のセンシング部57aに接触することによって、刈取部6が地面Gに接地していることを検知する。一方、分草板40下部が地面Gに接地していない場合は、分草板40が回動部28cを回動支点にして下方に回動してセンシングプレート62が接地検知センサ57のセンシング部57aに接触しないことによって、刈取部6が地面Gに接地していないことを検知する。
【0051】
次に、刈取部6の制御フローについて、図7および図8を用いて説明する。
【0052】
図7に示すように、モード切替スイッチ56によって制御部60が自動制御モードに切り替えられた場合は(S1:Y)、刈取部6は自動制御モードで作動する(S2)。
【0053】
図8に示すように、自動制御モードでは、刈取部6が地面に接地していない場合(刈取部6が地面凹部にさしかかった場合など)は(S10:Y)、接地検知センサ57からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、昇降制御弁64を収縮位置に切り替えて(S11)、昇降油圧シリンダ38が収縮し、刈取部6が下降する。
その後、刈取部6が下降して地面に接地すると(S10:N)、接地検知センサ57からの信号が制御部60に入力される。
【0054】
そして、アキュムレータ65の圧力が設定圧未満である場合は(S12:N)、圧力センサ67からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、昇降制御弁64を中立位置に切り替えて(S13)、アキュムレータ65の設定圧の範囲内(蓄圧する圧力の範囲内)で、昇降油圧シリンダ38が伸縮することにより、刈取部6が地面に追従する(S14)。
【0055】
一方、アキュムレータ65の圧力が設定圧以上(刈取部6が地面凸部にさしかかった場合など)である場合は(S12:Y)、圧力センサ67からの信号が制御部60に入力される。そうすると、制御部60は、昇降制御弁64を伸長位置に切り替えて(S15)、昇降油圧シリンダ38が伸長し、刈取部6が上昇する。
その後、刈取部6が上昇してアキュムレータ65の圧力が下降して設定圧未満になると(S12:N)、圧力センサ67からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、昇降制御弁64を中立位置に切り替えて(S13)、上記と同様にして刈取部6が地面に追従する(S14)。
【0056】
図7に戻って、刈取クラッチスイッチ53によって刈取クラッチ37が入状態である場合は(S4:N)、刈取クラッチスイッチ53からの信号が制御部60に入力される。そうすると、制御部60は、自動制御モードを継続する。
一方、刈取クラッチスイッチ53によって刈取クラッチ37が切状態となると(S4:Y)、刈取クラッチスイッチ53からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、手動制御モードに切り替わる(S3)。
【0057】
すなわち、昇降油圧シリンダ38によって昇降可能とされ、穀稈を刈取可能な刈取部6と、昇降油圧シリンダ38を制御可能な制御部60と、を備えるコンバインであって、刈取部6が地面に接地しているか否かを検知する接地検知センサ57と、刈取部6を昇降操作する上昇・下降操作スイッチ51・52と、を備え、制御部60は、刈取作業時に、接地検知センサ57によって刈取部6が地面に接地していないことを検知すると、刈取部6が下降する自動制御モードと、刈取作業時に、上昇・下降操作スイッチ51・52の昇降操作によって刈取部6が昇降する手動制御モードと、を切替可能に備え、自動制御モードである場合に、コンバインのエンジン10から刈取部6への動力を断接する刈取クラッチ37が切状態になると、手動制御モードに切り替わるものである。
【0058】
このような構成により、自動制御モードである場合に、刈取クラッチ37が切状態(非刈取作業時)になると、手動制御モードに切り替わるため、非刈取作業時に刈取部6が意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部6の刈取作業の安全性が向上する。
【0059】
続いて、上昇・下降操作スイッチ51・52によって刈取部6の昇降操作が行われない場合は(S5:N)、上昇・下降操作スイッチ51・52からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、自動制御モードを継続する。
一方、上昇・下降操作スイッチ51・52によって刈取部6の昇降操作が行われると(S5:Y)、上昇・下降操作スイッチ51・52からの信号が制御部60に入力される。そうすると、制御部60は、手動制御モードに切り替わる(S3)。
【0060】
すなわち、制御部60は、自動制御モードである場合に、上昇・下降操作スイッチ51・52が昇降操作されると、手動制御モードに切り替わるものである。
【0061】
このような構成により、自動制御モードである場合に、上昇・下降操作スイッチ51・52が昇降操作されると、手動制御モードに切り替わるため、緊急時に上昇・下降操作スイッチ51・52によって刈取部6の操作が可能となる。よって、刈取部6の刈取作業の安全性が向上する。
【0062】
続いて、オートリフトスイッチ54によって刈取部6のオートリフト操作が行われない場合は(S6:N)、オートリフトスイッチ54からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、自動制御モードを継続する。
一方、オートリフトスイッチ54によって刈取部6のオートリフト操作が行われると(S6:Y)、オートリフトスイッチ54からの信号が制御部60に入力される。そうすると、制御部60は、手動制御モードに切り替わる(S3)。
【0063】
すなわち、刈取部6を設定高さまで上昇させるオートリフトスイッチ54を備え、制御部60は、自動制御モードである場合に、オートリフトスイッチ54が入操作されると、手動制御モードに切り替わるものである。
【0064】
このような構成により、自動制御モードである場合に、オートリフトスイッチ54が入操作されると、手動制御モードに切り替わるため、刈取作業を終了する際、刈取部6が設定高さに上昇後、意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部6の刈取作業の安全性が向上する。
【0065】
続いて、コンバインが旋回しない場合は(S7:N)、旋回検知センサ58からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、自動制御モードを継続する。
一方、コンバインが旋回すると(S7:Y)、旋回検知センサ58からの信号が制御部60に入力され、旋回速度検知センサ59からのコンバインの旋回速度に係る信号が制御部60に入力される。そして、この旋回速度が制御部60(記憶部60b)に記憶されている設定速度以上である場合は(S8:Y)、制御部60は、手動制御モードに切り替わる(S3)。また、旋回速度が設定速度未満の場合は(S8:N)、制御部60は、自動制御モードを継続する。
【0066】
すなわち、コンバインが旋回したか否かを検知する旋回検知センサ58を備え、制御部60は、自動制御モードである場合に、コンバインが旋回したことを旋回検知センサ58が検知すると、手動制御モードに切り替わるものである。
【0067】
このような構成により、自動制御モードである場合に、コンバインが旋回すると、手動制御モードに切り替わるため、コンバインが旋回中に刈取部6が意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部6の刈取作業の安全性が向上する。
【0068】
また、コンバインの旋回速度を検知する旋回速度検知センサ59を備え、制御部60は、自動制御モードである場合に、コンバインの旋回速度が設定速度以上であることを旋回速度検知センサ59が検知すると、手動制御モードに切り替わるものである。
【0069】
このような構成により、自動制御モードである場合に、コンバインが設定速度以上で旋回すると、手動制御モードに切り替わるため、コンバインが設定速度以上で旋回(急旋回)中に、刈取部6が意図せず下降することを防止できる。よって、刈取部6の刈取作業の安全性が向上する。
【0070】
次に、モード切替スイッチ56によって制御部60が手動制御モードに切り替えられた場合は(S1:N)、刈取部6は手動制御モードで作動する(S3)。
【0071】
手動制御モードでは、図4から図5に示すように、上昇操作スイッチ51(下降操作スイッチ52)を押すと、上昇操作スイッチ51(下降操作スイッチ52)からの信号が制御部60に入力される。そうすると、制御部60は、昇降制御弁64を伸長位置(収縮位置)に切り替えて、昇降油圧シリンダ38が伸長(収縮)する。その後、上昇操作スイッチ51(下降操作スイッチ52)を離すと、上昇操作スイッチ51(下降操作スイッチ52)からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、昇降制御弁64を中立位置に切り替えて、昇降油圧シリンダ38の伸長(収縮)が停止する。
なお、手動制御モードでは、切替弁66を遮断位置に切り替えて、昇降油圧シリンダ38からの圧油がアキュムレータ65に流入しないようにして、昇降油圧シリンダ38の作動遅れを防止している。
【0072】
図7に戻って、オートセットスイッチ55によって刈取部6のオートセット操作が行われない場合は(S9:N)、オートセットスイッチ55からの信号が制御部60に入力されない。そうすると、制御部60は、手動制御モードを継続する。
一方、オートセットスイッチ55によって刈取部6のオートセット操作が行われると(S9:Y)、オートセットスイッチ55からの信号が制御部60に入力される。そうすると、制御部60は、自動制御モードに切り替わる(S2)。
【0073】
すなわち、刈取部6を設定高さまで下降させるオートセットスイッチ55を備え、制御部60は、手動制御モードである場合に、オートセットスイッチ55が入操作されると、自動制御モードに切り替わるものである。
【0074】
このような構成により、手動制御モードである場合に、オートセットスイッチ55が入操作されると、自動制御モードに切り替わるため、刈取作業開始時に手動制御モードから自動制御モードに切替操作する手間が省ける。これにより、刈取作業開始時に手動制御モードから自動制御モードに確実に切り替わるため、実際には手動制御モードであるにも関わらず、作業者が自動制御モードであると誤解して、刈取作業を開始して刈取部6が地面に突っ込んでしまうことを防止できる。よって、刈取部6の刈取作業の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインを示した側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】刈取部を示した側面図。
【図4】刈取部の油圧回路図。
【図5】刈取部の制御ブロック図。
【図6】接地検知センサを示した側面図。
【図7】刈取部の制御フロー図。
【図8】自動制御モードの制御フロー図。
【符号の説明】
【0076】
6 刈取部
10 エンジン
37 刈取クラッチ
38 昇降油圧シリンダ
51 上昇操作スイッチ
52 下降操作スイッチ
54 オートリフトスイッチ
55 オートセットスイッチ
57 接地検知センサ
58 旋回検知センサ
59 旋回速度検知センサ
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降用アクチュエータによって昇降可能とされ、穀稈を刈取可能な刈取部と、
前記昇降用アクチュエータを制御可能な制御部と、
を備えるコンバインであって、
前記刈取部が地面に接地しているか否かを検知する接地検知手段と、
前記刈取部を昇降操作する昇降操作手段と、を備え、
前記制御部は、
刈取作業時に、前記接地検知手段によって前記刈取部が地面に接地していないことを検知すると、前記刈取部が下降する自動制御モードと、
刈取作業時に、前記昇降操作手段の昇降操作によって前記刈取部が昇降する手動制御モードと、を切替可能に備え、
前記自動制御モードである場合に、前記コンバインのエンジンから前記刈取部への動力を断接する刈取クラッチが切状態になると、前記手動制御モードに切り替わる、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記制御部は、
前記自動制御モードである場合に、前記昇降操作手段が昇降操作されると、前記手動制御モードに切り替わる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記刈取部を設定高さまで上昇させる自動上昇操作手段を備え、
前記制御部は、
前記自動制御モードである場合に、前記自動上昇操作手段が入操作されると、前記手動制御モードに切り替わる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記刈取部を設定高さまで下降させる自動下降操作手段を備え、
前記制御部は、
前記手動制御モードである場合に、前記自動下降操作手段が入操作されると、前記自動制御モードに切り替わる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記コンバインが旋回したか否かを検知する旋回検知手段を備え、
前記制御部は、
前記自動制御モードである場合に、前記コンバインが旋回したことを前記旋回検知手段が検知すると、前記手動制御モードに切り替わる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記コンバインの旋回速度を検知する旋回速度検知手段を備え、
前記制御部は、
前記自動制御モードである場合に、前記コンバインの旋回速度が設定速度以上であることを前記旋回速度検知手段が検知すると、前記手動制御モードに切り替わる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−219413(P2009−219413A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66669(P2008−66669)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】