コンビナトリアルデバイス製造装置
【課題】 可動部を省略し、簡略な構成でサンプルデバイスを良好に製造できるコンビナトリアルデバイス製造装置を提供する。
【解決手段】 コンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するものであって、膜を形成するための材料をイオン化してイオンを放出するイオン源と、イオン源から放出されたイオンを基板上に蒸着するイオン輸送系と、イオン輸送系で輸送されるイオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、基板上でのイオンの蒸着位置を制御する制御系とを備えている。
【解決手段】 コンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するものであって、膜を形成するための材料をイオン化してイオンを放出するイオン源と、イオン源から放出されたイオンを基板上に蒸着するイオン輸送系と、イオン輸送系で輸送されるイオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、基板上でのイオンの蒸着位置を制御する制御系とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デバイスの構造やデバイスを形成するための成膜条件等を決定する開発段階においては、膜組成や成膜条件等が互いに異なる多数のサンプルデバイスを作成し、それら各サンプルデバイスの特性を測定して最適条件を求めることが必要である。そのような場合、下記特許文献に開示されているような、1つの基板上に複数のサンプルデバイスを作成するコンビナトリアルデバイス製造装置を使用することが提案されている。
【特許文献1】特開2001−329366号公報
【特許文献2】特開2002−033283号公報
【特許文献3】特開2002−069613号公報
【特許文献4】特開2002−277422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記各従来技術においては、例えばマスクを駆動する駆動機構や基板を保持するホルダを駆動する駆動機構等の可動部を有しているため、装置構成が大型化・複雑化する不都合がある。基板上に複数のサンプルデバイスを作成する場合には、低コスト化や作業性等の観点から、装置の大型化・複雑化は好ましくない。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、可動部を省略し、簡略な構成でサンプルデバイスを良好に製造できるコンビナトリアルデバイス製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、前記膜を形成するための材料をイオン化してイオンを放出するイオン源と、前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に蒸着するイオン輸送系と、前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記基板上での前記イオンの蒸着位置を制御する制御系とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、膜(デバイス)を形成するための材料をイオン化して放出し、イオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板上の所望位置にイオンを蒸着することができる。
【0007】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記制御系は、電界又は磁界を形成する互いに対向する一対の部材を有し、前記イオンを前記部材どうしの間を通過させることで前記進行方向を偏向し、前記蒸着位置を制御する構成を採用することができる。
【0008】
その場合において、前記制御系は、前記イオンの進行方向を静電偏向する偏向電極を含む構成を採用することができる。
【0009】
あるいは、前記制御系は、前記イオンの進行方向を電磁偏向する偏向磁極を含む構成を採用することができる。
【0010】
本発明によれば、例えば電界を使ってイオンの進行方向を偏向する場合には、偏向電極を形成する一対の部材どうしの間にイオンを放出し、電界をかけることで、イオンの進行方向を任意の方向に容易に変えることができる。同様に、磁界を使ってイオンの進行方向を偏向する場合には、偏向磁極を形成する一対の部材どうしの間にイオンを放出し、磁界をかけることで、イオンの進行方向を任意の方向に容易に変えることができる。
【0011】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、偏向方向が互いに異なる複数の偏向電極を備えた構成を採用することができ、前記制御系は、前記偏向電極間の電位を調整することで前記蒸着位置を制御する構成を採用することができる。
【0012】
あるいは、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、偏向方向が互いに異なる複数の偏向磁極を備えた構成を採用することができ、前記制御系は、前記偏向磁極間の磁束密度を調整することで前記蒸着位置を制御する構成を採用することができる。
【0013】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記部材と前記基板との相対位置を変える駆動装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、偏向電極あるいは偏向磁極を構成する部材と基板との相対位置を変えることによっても、基板上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。
【0015】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記部材と前記基板との相対位置を計測する計測装置を備え、前記駆動装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて駆動することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、計測装置を使って部材と基板との相対位置を計測し、その計測結果に基づいて部材と基板との相対位置を調整するために駆動装置を駆動することにより、部材と基板との位置関係を精度良く制御することができる。
【0017】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記基板上に予め設定されている複数の膜形成領域のそれぞれに、互いに異なる膜組成のデバイスを形成する主制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、膜組成が互いに異なる多数のサンプルデバイスを基板上に容易に作成することができる。
【0019】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを略同時に放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上に略同時に蒸着することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、イオン源のそれぞれからイオンを略同時に放出することで、各イオン源から放出された材料を基板上で混合することができる。したがって、基板上に様々な組成のデバイスを形成することができる。
【0021】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを順次放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上で積層することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、イオン源のそれぞれからイオンを順次放出することによって、各イオン源から放出された材料を基板上で積層することができる。したがって、基板上に様々な層構成のデバイスを形成することができる。
【0023】
また、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、イオンを放出するイオン源と、前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に輸送するイオン輸送系と、前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記デバイスに応じて前記基板上に予め設けられている複数の所定膜のそれぞれに対して注入する制御系とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、イオン注入するためのイオンを放出し、そのイオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板上に予め設けられている複数の所定膜のうち任意の所定膜にイオン注入することができる。
【0025】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記複数の所定膜のそれぞれに互いに異なる注入条件で前記イオンを注入し、前記複数種類のデバイスを形成する主制御装置とを備えた構成を採用することができる。
【0026】
本発明によれば、基板上の複数の所定膜のそれぞれに異なる注入条件でイオン注入することで、基板上に様々な種類のデバイスを容易に形成することができる。
【0027】
また、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて第1の基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、イオンを放出するイオン源と、前記イオン源から放出されたイオンを前記第1の基板に対して所定の位置関係で配置されている第2の基板上に輸送するイオン輸送系と、前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記第2の基板上に予め設けられている複数のターゲット材料のそれぞれに対して照射してスパッタリングする制御系とを備え、前記第1の基板上に前記ターゲット材料を含む膜を形成することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、スパッタリングのためのイオンを放出し、イオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、第2の基板上に設けられている複数のターゲット材料の所望位置にイオンを照射してスパッタリングすることができる。
【0029】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記複数のターゲット材料に対するイオン照射条件を変更し、前記基板上に複数種類のデバイスを形成する主制御装置を備えた構成を採用することができる。
【0030】
本発明によれば、第2の基板上の複数のターゲット材料のそれぞれに異なる照射条件でイオンを照射することで、第1の基板上に様々な種類のデバイスを容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、装置の大型化・複雑化を招くこと無く、基板上の所望位置にイオンを照射することができ、多種類のサンプルデバイスを良好に効率良く製造することができる。また、故障の原因となりやすい可動部を省略することができるので、装置の信頼性を向上することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。本実施形態のコンビナトリアルデバイス製造装置は、所定の材料からなる膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイス(サンプルデバイス)を略同時に製造するものである。
【0033】
図1において、コンビナトリアルデバイス製造装置1は、膜(デバイス)を形成するための材料をイオン化して放出するイオン源2(2A〜2C)と、イオン源2から放出されたイオンを保持部4に保持された基板S上に蒸着するイオン輸送系3(3A〜3C)と、イオン輸送系3で輸送されるイオンの進行方向を電界を使って偏向し、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御する偏向電極を含む制御系100とを備えている。コンビナトリアルデバイス製造装置1の動作は主制御装置CNTにより制御される。イオン源2、イオン輸送系3、及び保持部4に保持された基板SはチャンバCH内部に収容されている。すなわち、イオンが通過する空間は、チャンバCHの内部空間に設けられている。チャンバCH内部は真空状態となっている。本実施形態におけるコンビナトリアルデバイス製造装置1は、イオン源2から放出したイオンを基板S上に蒸着することで基板S上に膜を形成する。
【0034】
コンビナトリアルデバイス製造装置1は複数のイオン源2を有しており、本実施形態においては第1、第2、第3イオン源2A、2B、2Cを有している。なおイオン源2の数は任意に設定可能である。また、コンビナトリアルデバイス製造装置1は複数のイオン輸送系3を有している。イオン輸送系3はイオン源2の数に応じて設けられている。本実施形態においては、コンビナトリアルデバイス製造装置1は第1、第2、第3イオン輸送系3A、3B、3Cを有している。
【0035】
イオン源2A〜2Cから放出されるイオンは、製造しようとするデバイス(膜)に応じたものであり、本実施形態においては、例えばアルミニウム、シリコン、ガリウム等の材料がイオン化されてイオン源2A〜2Cより放出される。
【0036】
イオン輸送系3A〜3Cは、イオン源2A〜2Cから放出されたイオンを輸送し、基板S上に蒸着するものであって、例えばレンズや質量分析器、加速器、減速器等を備えている。更にイオン輸送系3A〜3Cは、電界を形成する互いに対向する一対の偏向電極を有している。具体的には、第1イオン輸送系3Aは、第1イオン源2Aから放出されたイオンの進行方向を第1の方向に偏向する一対の偏向電極3Ax、3Axと、前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向する一対の偏向電極3Ay、3Ayとを有している。同様に、第2イオン輸送系3Bは、第2イオン源2Bから放出されたイオンの進行方向を第1の方向に偏向する一対の偏向電極3Bx、3Bxと、前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向する一対の偏向電極3By、3Byとを有している。また、第3イオン輸送系3Cは、第3イオン源2Cから放出されたイオンの進行方向を第1の方向に偏向する一対の偏向電極3Cx、3Cxと、前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向する一対の偏向電極3Cy、3Cyとを有している。このように、第1〜第3イオン輸送系3A〜3Cのそれぞれは、偏向方向が互いに異なる複数の偏向電極を有している。また、これら各偏向電極は、基板Sを保持する保持部4に対して所定位置に配置されている。
【0037】
第1イオン源2Aから放出されたイオンAは、偏向電極3Ax、3Ax間、及び偏向電極3Ay、3Ay間を通過するように設けられている。同様に、第2イオン源2Bから放出されたイオンBは、偏向電極3Bx、3Bx間、及び偏向電極3By、3By間を通過するように設けられている。第3イオン源2Cから放出されたイオンCは、偏向電極3Cx、3Cx間、及び偏向電極3Cy、3Cy間を通過するように設けられている。
【0038】
偏向電極3Ax、3Ay、3Bx、3By、3Cx、3Cyは、基板S上でのイオンA、B、Cの蒸着位置を制御する制御系100の一部を構成するものであって、偏向電極どうしの間を通過するイオンの進行方向を静電偏向する。図2は、一対の偏向電極3Ay、3Ayどうしの間を通過するイオンAの進行方向が偏向される様子を説明するための模式図である。図2において、イオン源2Aから放出されたイオンAは、電界を形成する互いに対向する一対の偏向電極3Ay、3Ayどうしの間を通過する。偏向電極3Ay、3Ay間の電位(電圧)は、制御系100の一部を構成する主制御装置CNTにより制御される。
【0039】
図2において、イオン源2から放出されたイオンAの加速電圧をV0、偏向電極3Ay、3Ay間の距離をa、イオンの進行方向(図2中、Z方向)における偏向電極3Ayの幅をb、偏向電極3AyのZ方向における中心位置と基板Sとの距離をL、偏向電圧をVdとしたとき、基板S上での偏向量Dは、
D=(L×b×Vd)/(2×a×V0) …(1)
となる。このように、制御系100(主制御装置CNT)は、偏向電極3Ay、3Ay間の偏向電圧(電位)Vdを調整することで、基板S上での偏向量D、すなわちイオンAの基板S上での蒸着位置を制御することができる。
【0040】
図3は基板Sの平面図である。図3に示すように、基板S上には、サンプルデバイスを形成するための複数のデバイス形成領域(膜形成領域)5が予め設定されている。本実施形態においては、デバイス形成領域5は、基板S上において、図3中、XY方向(2次元方向)にマトリクス状に設定されている。そして、第1イオン輸送系3Aの偏向電極3Ax、3Axは、第1イオン源2Aから放出されたイオンAの基板S上でのX方向における蒸着位置を制御可能なように設けられ、偏向電極3Ay、3Ayは、Y方向における蒸着位置を制御可能なように設けられている。そして、主制御装置CNTは、これら偏向電極3Ax、3Ax間、及び偏向電極3Ay、3Ay間の偏向電圧(電位)Vdを適宜調整することで、第1イオン源2Aから放出されたイオンAの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することができる。同様に、第2イオン輸送系3Bの偏向電極3Bx、3Bxは、第2イオン源2Bから放出されたイオンBの基板S上でのX方向における蒸着位置を制御可能なように設けられ、偏向電極3By、3Byは、Y方向における蒸着位置を制御可能なように設けられている。主制御装置CNTは、これら偏向電極3Bx、3Bx間、及び偏向電極3By、3By間の電位を適宜調整することで、第2イオン源2Bから放出されたイオンBの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することができる。また、第3イオン輸送系3Cの偏向電極3Cx、3Cxは、第3イオン源2Cから放出されたイオンCの基板S上でのX方向における蒸着位置を制御可能なように設けられ、偏向電極3Cy、3Cyは、Y方向における蒸着位置を制御可能なように設けられている。主制御装置CNTは、これら偏向電極3Cx、3Cx間、及び偏向電極3Cy、3Cy間の電位を適宜調整することで、第3イオン源2Cから放出されたイオンCの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することができる。
【0041】
次に、上述したコンビナトリアルデバイス製造装置1を使って基板S上に複数種類のデバイスを製造する方法について説明する。
【0042】
ここで以下の説明においては、複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれは互いに異なる種類の材料からなるイオンを放出するものとする。具体的には、第1イオン源2Aは第1材料からなるイオンAを放出し、第2イオン源2Bは第2材料からなるイオンBを放出し、第3イオン源2Cは第3材料からなるイオンCを放出する。
【0043】
基板S上に複数のデバイスを製造するために、主制御装置CNTは、まず、第1イオン源2AからイオンAを放出する。このとき、第2、第3イオン源2B、2Cからはイオンは放出されない。主制御装置CNTは、第1イオン輸送系3Aの偏向電極3Ax、3Ax間、及び3Ay、3Ay間の偏向電圧(電位)Vdを制御し、図4(a)に示すように、イオンAを、基板S上に設定されている複数のデバイス形成領域5のうち所定のデバイス形成領域5に蒸着する。図4(a)には、基板S上の複数のデバイス形成領域5のうちイオンAに基づく第1材料が蒸着された領域を「A」として図示している。
【0044】
次に、主制御装置CNTは、第2イオン源2BからイオンBを放出する。このとき、第1、第3イオン源2A、2Cからはイオンは放出されない。主制御装置CNTは、第2イオン輸送系3Bの偏向電極3Bx、3Bx間、及び3By、3By間の偏向電圧(電位)Vdを制御し、図4(b)に示すように、イオンBを、基板S上に設定されている複数のデバイス形成領域5のうち所定のデバイス形成領域5に蒸着する。ここで、先にイオンAに基づく第1材料が設けられているデバイス形成領域5に対してイオンBを蒸着することにより、その第1材料Aの上にはイオンBに基づく第2材料が積層されることになる。図4(b)には、基板S上の複数のデバイス形成領域5のうちイオンBに基づく第2材料が蒸着された領域を「B」とし、イオンAに基づく第1材料の上にイオンBに基づく第2材料が積層された領域を「A+B」として図示している。
【0045】
次に、主制御装置CNTは、第3イオン源2CからイオンCを放出する。このとき、第1、第2イオン源2A、2Bからはイオンは放出されない。主制御装置CNTは、第3イオン輸送系3Cの偏向電極3cx、3Cx間、及び3Cy、3Cy間の偏向電圧(電位)Vdを制御し、図4(c)に示すように、イオンCを、基板S上に設定されている複数のデバイス形成領域5のうち所定のデバイス形成領域5に蒸着する。ここで、先にイオンAに基づく第1材料又はイオンBに基づく第2材料が設けられているデバイス形成領域5に対してイオンCを蒸着することにより、その第1材料又は第2材料の上にはイオンCに基づく第3材料が積層されることになる。図4(c)には、基板S上の複数のデバイス形成領域5のうちイオンCに基づく第3材料が蒸着された領域を「C」とし、イオンAに基づく第1材料の上にイオンCに基づく第3材料が積層された領域を「A+C」とし、イオンBに基づく第2材料の上にイオンCに基づく第3材料が積層された領域を「B+C」とし、イオンAに基づく第1材料の上にイオンBに基づく第2材料が積層され、更にその上にイオンCに基づく第3材料が積層された領域を「A+B+C」として図示している。
【0046】
図5は、図4(c)のI−I断面矢視図である。このように、主制御装置CNTは、複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれの駆動を制御し、複数のイオン源2A〜2CのそれぞれからイオンA〜Cを順次放出することで、イオン源2A〜2Cのそれぞれから放出されたイオンA〜Cに基づく第1〜第3材料を基板S上で積層することができる。そして、主制御装置CNTは、複数のデバイス形成領域5のそれぞれに、互いに異なる膜組成のデバイスを形成することができる。
【0047】
以上説明したように、膜(デバイス)を形成するための材料をイオン化して放出し、イオンの進行方向を電界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板S上の所望位置にイオンを蒸着して円滑にサンプルデバイスを製造することができる。そして、可動部を設けなくてすむので、装置の大型化・複雑化といった不都合を招くことがない。更に、故障の原因となりやすい可動部を省略することができるので、装置の信頼性を向上することもできる。
【0048】
また、互いに異なる種類のイオンA〜Cをそれぞれ放出する複数のイオン源2A〜2Cを設けたので、それら複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれの駆動を制御することで、互いに異なる膜組成のデバイスを形成することができる。特に、イオン源2A〜2Cのそれぞれからイオンを順次放出することによって、各イオン源2A〜2Cから放出されたイオンA〜Cに基づく第1〜第3材料を基板S上で積層することができる。したがって、基板S上に様々な層構成のデバイスを形成することができる。
【0049】
また、イオンが通過する空間を含むチャンバCH内部は真空状態となっている。これにより、基板SにイオンA〜Cを円滑に蒸着することができるとともに、基板S上に先に蒸着されたイオンに基づく材料に対して次の材料を積層する際、先に基板Sに蒸着された材料層の表面が空気に触れて改質してしまう不都合を防止することができる。
【0050】
なお本実施形態においては、基板S上に形成されたデバイス(膜)は平面視において矩形状であるが、イオンA、B、Cの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することにより、形成されるデバイス(膜)の平面視における形状を任意に設けることができる。
【0051】
また、主制御装置CNTは、イオン源2A〜2Cのそれぞれからイオンを放出する時間、すなわち基板Sに対する蒸着時間を調整することにより、図6に示すように、基板S上での各イオンA〜Cに基づく第1〜第3材料からなる膜の厚みを適宜調整することができる。
【0052】
また、主制御装置CNTは、複数のイオン源2A〜2CのそれぞれからイオンA〜Cを略同時に放出し、イオン源2A〜2Cのそれぞれから放出されたイオンA〜Cを基板S上に略同時に蒸着することにより、各イオン源2A〜2Cから放出されたイオンA〜Cに基づく第1〜第3材料を基板S上で混合することができる。図7に示す例においては、基板S上のデバイス形成領域5Aには、イオンA、B、Cに基づく第1、第2、第3材料が順次積層されているが、デバイス形成領域5Bにおいては、イオンAに基づく第1材料とイオンBに基づく第2材料とが基板S上で混合され、この混合された材料(A+B)が、デバイス形成領域5Bにおける最下層の材料層を形成している。この混合された材料層(A+B)を形成するために、主制御装置CNTは、第1イオン源2Aと第2イオン源2BとのそれぞれからイオンA、Bを略同時に放出し、第1、2イオン輸送系3A、3Bのそれぞれの偏向電極の偏向電圧を制御することによって、基板S上のデバイス形成領域5B上に、イオンA、Bを略同時に蒸着している。同様に、デバイス形成領域5Cにも、混合された材料層(B+C)が、先に基板S上に形成されているイオンAに基づく第1材料からなる層の上に設けられている。このように、主制御装置CNTは、基板S上で複数の材料を混合することも可能であり、基板S上に様々な組成のデバイスを形成することができる。
【0053】
なお、上述した各実施形態においては、偏向電極間の偏向電圧Vdを調整することで、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御しているが、上記(1)式からも分かるように、偏向電極と基板Sとの距離(相対位置)Lを調整することによっても、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。例えば、図8に示す模式図のように、基板Sを保持した保持部4を駆動する駆動装置6を設け、偏向電極と基板Sとの距離(相対位置)を変えることによって、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。また、偏向電極と基板Sとの相対位置を計測する計測装置7を設け、主制御装置CNTは、計測装置7の計測結果に基づいて、駆動装置6を駆動して、偏向電極と基板Sとの距離を調整することにより、より高精度に偏向電極と基板Sとの距離を調整することができる。なお図8に示す例では、偏向電極が固定され、基板Sを保持した保持部4が駆動装置6によって移動される構成であり、計測装置7は、基準位置(例えば計測装置7の設置位置)に対する保持部4の移動量を計測することで、偏向電極と基板Sとの距離を計測している。なお、偏向電極に駆動装置を設け、偏向電極の位置を変えるようにしてもよいし、基板Sと偏向電極との双方の位置を変えるようにしてもよい。
【0054】
なお、上述の実施形態では、チャンバCH内は真空であるが、例えば酸素などの反応性のガスをチャンバCH内に僅かに入れておき、イオンと酸素とを反応させながらイオンを基板Sに到達させてもよい。
【0055】
なお、上述の実施形態では、イオンの基板S上での蒸着位置を電界を使って制御する構成であるため、マスクを用いる必要がないという利点があるが、デバイス形成領域5に応じた開口を有するマスクを基板Sに近接して配置した状態で、またはマスクと基板Sとを密着させた状態で、イオンを基板Sに蒸着するようにしてもよい。
【0056】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0057】
図9(a)は本発明の別の実施形態を示す模式図であって、互いに対向する一対の偏向磁極9、9が示されている。そして、この偏向磁極9、9どうしの間にイオンが通過するようになっている。これら偏向磁極9、9を、図1等に示した偏向電極に替えて配置し、イオンの進行方向を電磁偏向することで、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。偏向磁極を用いる場合にも、偏向方向が互いに異なる複数の偏向磁極を設けることで、基板S上でのXY方向(2次元方向)におけるイオンの蒸着位置を制御することができる。なお、偏向電極と偏向磁極とを併用する構成を採用してもよい。
【0058】
図9(b)は、偏向磁極9と基板S上でのイオンの偏向量Dとの関係を模式的に示した平面図である。イオン源2から放出されたイオンは、磁界を形成する互いに対向する一対の偏向磁極9、9どうしの間を通過する。偏向磁極9、9間の磁束密度B0は、制御系100の一部を構成する主制御装置CNTにより制御される。
【0059】
図9(b)において、イオン源2から放出されたイオンの加速電圧をV0、偏向磁極9の磁束密度をB0、イオンの進行方向(図9(b)中、Z方向)における偏向磁極9の幅をb、偏向磁極9のZ方向における中心位置と基板Sとの距離をL、イオンの質量をm、イオンの電荷量をqとしたとき、基板S上での偏向量Dは、
D≒B0×b×L×〔q/(2×m×V0)〕1/2 …(2)
となる。このように、制御系100(主制御装置CNT)は、偏向磁極9、9間の磁束密度B0を調整することで、基板S上での偏向量D、すなわち基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。
【0060】
なお、偏向磁極9を用いる場合においても、偏向磁極9と基板Sとの距離を変える駆動装置を設けることができる。そして、偏向磁極9と基板Sとの距離を変えることで、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。
【0061】
図10は本発明の別の実施形態を示す模式図である。本実施形態においては、コンビナトリアルデバイス製造装置1を、イオン注入装置として使用する場合について説明する。図10(a)に示すように、基板S上には、形成しようとするデバイス(サンプルデバイス)に応じた複数の膜12が予め設けられている。主制御装置CNTは、イオン源2Aから放出された例えばリンやヒ素などのイオンAを、イオン輸送系3Aの偏向電極あるいは偏向磁極を含む上記制御系100を使って、基板Sに対する位置制御を行い、基板S上に予め設けられている複数の膜12のうち、所定の膜12にイオンAを注入する。また、図10(b)に示すように、主制御装置CNTは、イオン源2Bから放出されたイオンBを基板S上の膜12に注入することができる。こうすることで、図10(c)に示すように、基板S上の複数の膜12のうち、膜12AにはイオンA及びBが注入され、他の膜12には、イオンA又はイオンBが注入される。
【0062】
このように、イオン注入するためのイオンを放出し、イオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板S上に予め設けられている複数の膜12のうち任意の膜12にイオン注入することができる。
【0063】
この場合においても、互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源2A〜2Cを設け、主制御装置CNTは、複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれの駆動を制御し、基板S上の複数の膜12のそれぞれに互いに異なる注入条件でイオンを注入し、複数種類のデバイスを形成することができる。イオンの注入条件としては、例えば、イオンの速度や基板S(膜12)に対する入射角等によって決定されるイオン打ち込み深さなどが挙げられる。
【0064】
図11は本発明の別の実施形態を示す模式図である。本実施形態においては、コンビナトリアルデバイス製造装置1を、スパッタリング装置として使用する場合について説明する。図11において、イオン源2から放出されたイオンは、イオン輸送系3によって、第2の基板S2上に予め設けられているターゲット材料に照射される。第2の基板S2上のターゲット材料は、イオンが照射されることによりスパッタリングされる。ここで、第2の基板S2上には、互いに異なる複数のターゲット材料E、F、G、Hが所定の位置関係で設けられている。主制御装置CNT(制御系100)は、偏向電極あるいは偏向磁極を使って、第2の基板S2上でのイオンの照射位置を制御することで、複数のターゲット材料E、F、G、Hのうち所望のターゲット材料(図11に示す例ではターゲット材料F)をスパッタリングすることができる。ここで、第2の基板S2に対して所定の位置関係で、第1の基板S1が配置されている。スパッタリングされた第2の基板S2上のターゲット材料Fは、第1の基板S1上に成膜される。なお、第1の基板S1に近接する位置には、第1の基板S1上に設定されたデバイス形成領域5に応じた開口10Kを有するマスク10が配置されている。スパッタリングされたターゲット材料Fは、マスク10の開口10Kに応じた第1の基板S1上の所定領域(デバイス形成領域5)に成膜される。また、第2の基板S2上の複数のターゲット材料のうちターゲット材料Fとは別のターゲット材料(例えばターゲット材料E)をスパッタリングする場合には、主制御装置CNTは、偏向電極あるいは偏向磁極を使って、イオンの進行方向を偏向し、第2の基板S2上での照射位置をターゲット材料E上に設定することで、ターゲット材料Eをスパッタリングして、第1の基板S1上にターゲット材料Eを成膜することができる。
【0065】
また、この場合においても、複数のターゲット材料E、F、G、Hに対するイオン照射条件(スパッタリング条件)を変更し、第1の基板S1上に複数種類のデバイスを形成することができる。
【0066】
図12は、ターゲット材料が成膜された第1の基板S1を示す図である。図12に示す状態にするためには、各ターゲット材料E、F、G、Hを順次スパッタリングし、第1の基板S1上に、各ターゲット材料を順次積層すればよい。また、例えば第2の基板S2上のターゲット材料Eとターゲット材料Fとを同時にスパッタリングすることで、第1の基板S1上には、ターゲット材料Eとターゲット材料Fとが混合された材料層を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】偏向電極によりイオンが偏向される様子を説明するための図である。
【図3】デバイスが形成される基板を示す平面図である。
【図4】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置を使ったデバイスの製造手順の一例を説明するための図である。
【図5】図4(c)のI−I線断面矢視図である。
【図6】基板上に形成されたデバイスの一例を示す断面図である。
【図7】基板上に形成されたデバイスの一例を示す断面図である。
【図8】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の別の実施形態を示す図である。
【図10】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置を使ったデバイスの製造手順の別の例を説明するための図である。
【図11】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の別の実施形態を示す概略構成図である。
【図12】基板上に形成されたデバイスの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…コンビナトリアルデバイス製造装置、2(2A〜2C)…イオン源、3(3A〜3C)…イオン輸送系、3Ax、3Ay、3Bx、3By、3Cx、3Cy…偏向電極(部材)、6…駆動装置、7…計測装置、9…偏向磁極(部材)、12…膜、100…制御系、A〜C…イオン、CNT…主制御装置、E〜H…ターゲット材料、S…基板、S1…第1の基板、S2…第2の基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デバイスの構造やデバイスを形成するための成膜条件等を決定する開発段階においては、膜組成や成膜条件等が互いに異なる多数のサンプルデバイスを作成し、それら各サンプルデバイスの特性を測定して最適条件を求めることが必要である。そのような場合、下記特許文献に開示されているような、1つの基板上に複数のサンプルデバイスを作成するコンビナトリアルデバイス製造装置を使用することが提案されている。
【特許文献1】特開2001−329366号公報
【特許文献2】特開2002−033283号公報
【特許文献3】特開2002−069613号公報
【特許文献4】特開2002−277422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記各従来技術においては、例えばマスクを駆動する駆動機構や基板を保持するホルダを駆動する駆動機構等の可動部を有しているため、装置構成が大型化・複雑化する不都合がある。基板上に複数のサンプルデバイスを作成する場合には、低コスト化や作業性等の観点から、装置の大型化・複雑化は好ましくない。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、可動部を省略し、簡略な構成でサンプルデバイスを良好に製造できるコンビナトリアルデバイス製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、前記膜を形成するための材料をイオン化してイオンを放出するイオン源と、前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に蒸着するイオン輸送系と、前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記基板上での前記イオンの蒸着位置を制御する制御系とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、膜(デバイス)を形成するための材料をイオン化して放出し、イオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板上の所望位置にイオンを蒸着することができる。
【0007】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記制御系は、電界又は磁界を形成する互いに対向する一対の部材を有し、前記イオンを前記部材どうしの間を通過させることで前記進行方向を偏向し、前記蒸着位置を制御する構成を採用することができる。
【0008】
その場合において、前記制御系は、前記イオンの進行方向を静電偏向する偏向電極を含む構成を採用することができる。
【0009】
あるいは、前記制御系は、前記イオンの進行方向を電磁偏向する偏向磁極を含む構成を採用することができる。
【0010】
本発明によれば、例えば電界を使ってイオンの進行方向を偏向する場合には、偏向電極を形成する一対の部材どうしの間にイオンを放出し、電界をかけることで、イオンの進行方向を任意の方向に容易に変えることができる。同様に、磁界を使ってイオンの進行方向を偏向する場合には、偏向磁極を形成する一対の部材どうしの間にイオンを放出し、磁界をかけることで、イオンの進行方向を任意の方向に容易に変えることができる。
【0011】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、偏向方向が互いに異なる複数の偏向電極を備えた構成を採用することができ、前記制御系は、前記偏向電極間の電位を調整することで前記蒸着位置を制御する構成を採用することができる。
【0012】
あるいは、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、偏向方向が互いに異なる複数の偏向磁極を備えた構成を採用することができ、前記制御系は、前記偏向磁極間の磁束密度を調整することで前記蒸着位置を制御する構成を採用することができる。
【0013】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記部材と前記基板との相対位置を変える駆動装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、偏向電極あるいは偏向磁極を構成する部材と基板との相対位置を変えることによっても、基板上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。
【0015】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記部材と前記基板との相対位置を計測する計測装置を備え、前記駆動装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて駆動することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、計測装置を使って部材と基板との相対位置を計測し、その計測結果に基づいて部材と基板との相対位置を調整するために駆動装置を駆動することにより、部材と基板との位置関係を精度良く制御することができる。
【0017】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記基板上に予め設定されている複数の膜形成領域のそれぞれに、互いに異なる膜組成のデバイスを形成する主制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、膜組成が互いに異なる多数のサンプルデバイスを基板上に容易に作成することができる。
【0019】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを略同時に放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上に略同時に蒸着することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、イオン源のそれぞれからイオンを略同時に放出することで、各イオン源から放出された材料を基板上で混合することができる。したがって、基板上に様々な組成のデバイスを形成することができる。
【0021】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを順次放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上で積層することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、イオン源のそれぞれからイオンを順次放出することによって、各イオン源から放出された材料を基板上で積層することができる。したがって、基板上に様々な層構成のデバイスを形成することができる。
【0023】
また、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、イオンを放出するイオン源と、前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に輸送するイオン輸送系と、前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記デバイスに応じて前記基板上に予め設けられている複数の所定膜のそれぞれに対して注入する制御系とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、イオン注入するためのイオンを放出し、そのイオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板上に予め設けられている複数の所定膜のうち任意の所定膜にイオン注入することができる。
【0025】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記複数の所定膜のそれぞれに互いに異なる注入条件で前記イオンを注入し、前記複数種類のデバイスを形成する主制御装置とを備えた構成を採用することができる。
【0026】
本発明によれば、基板上の複数の所定膜のそれぞれに異なる注入条件でイオン注入することで、基板上に様々な種類のデバイスを容易に形成することができる。
【0027】
また、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置は、膜を組み合わせて第1の基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、イオンを放出するイオン源と、前記イオン源から放出されたイオンを前記第1の基板に対して所定の位置関係で配置されている第2の基板上に輸送するイオン輸送系と、前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記第2の基板上に予め設けられている複数のターゲット材料のそれぞれに対して照射してスパッタリングする制御系とを備え、前記第1の基板上に前記ターゲット材料を含む膜を形成することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、スパッタリングのためのイオンを放出し、イオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、第2の基板上に設けられている複数のターゲット材料の所望位置にイオンを照射してスパッタリングすることができる。
【0029】
本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置において、前記複数のターゲット材料に対するイオン照射条件を変更し、前記基板上に複数種類のデバイスを形成する主制御装置を備えた構成を採用することができる。
【0030】
本発明によれば、第2の基板上の複数のターゲット材料のそれぞれに異なる照射条件でイオンを照射することで、第1の基板上に様々な種類のデバイスを容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、装置の大型化・複雑化を招くこと無く、基板上の所望位置にイオンを照射することができ、多種類のサンプルデバイスを良好に効率良く製造することができる。また、故障の原因となりやすい可動部を省略することができるので、装置の信頼性を向上することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。本実施形態のコンビナトリアルデバイス製造装置は、所定の材料からなる膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイス(サンプルデバイス)を略同時に製造するものである。
【0033】
図1において、コンビナトリアルデバイス製造装置1は、膜(デバイス)を形成するための材料をイオン化して放出するイオン源2(2A〜2C)と、イオン源2から放出されたイオンを保持部4に保持された基板S上に蒸着するイオン輸送系3(3A〜3C)と、イオン輸送系3で輸送されるイオンの進行方向を電界を使って偏向し、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御する偏向電極を含む制御系100とを備えている。コンビナトリアルデバイス製造装置1の動作は主制御装置CNTにより制御される。イオン源2、イオン輸送系3、及び保持部4に保持された基板SはチャンバCH内部に収容されている。すなわち、イオンが通過する空間は、チャンバCHの内部空間に設けられている。チャンバCH内部は真空状態となっている。本実施形態におけるコンビナトリアルデバイス製造装置1は、イオン源2から放出したイオンを基板S上に蒸着することで基板S上に膜を形成する。
【0034】
コンビナトリアルデバイス製造装置1は複数のイオン源2を有しており、本実施形態においては第1、第2、第3イオン源2A、2B、2Cを有している。なおイオン源2の数は任意に設定可能である。また、コンビナトリアルデバイス製造装置1は複数のイオン輸送系3を有している。イオン輸送系3はイオン源2の数に応じて設けられている。本実施形態においては、コンビナトリアルデバイス製造装置1は第1、第2、第3イオン輸送系3A、3B、3Cを有している。
【0035】
イオン源2A〜2Cから放出されるイオンは、製造しようとするデバイス(膜)に応じたものであり、本実施形態においては、例えばアルミニウム、シリコン、ガリウム等の材料がイオン化されてイオン源2A〜2Cより放出される。
【0036】
イオン輸送系3A〜3Cは、イオン源2A〜2Cから放出されたイオンを輸送し、基板S上に蒸着するものであって、例えばレンズや質量分析器、加速器、減速器等を備えている。更にイオン輸送系3A〜3Cは、電界を形成する互いに対向する一対の偏向電極を有している。具体的には、第1イオン輸送系3Aは、第1イオン源2Aから放出されたイオンの進行方向を第1の方向に偏向する一対の偏向電極3Ax、3Axと、前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向する一対の偏向電極3Ay、3Ayとを有している。同様に、第2イオン輸送系3Bは、第2イオン源2Bから放出されたイオンの進行方向を第1の方向に偏向する一対の偏向電極3Bx、3Bxと、前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向する一対の偏向電極3By、3Byとを有している。また、第3イオン輸送系3Cは、第3イオン源2Cから放出されたイオンの進行方向を第1の方向に偏向する一対の偏向電極3Cx、3Cxと、前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向する一対の偏向電極3Cy、3Cyとを有している。このように、第1〜第3イオン輸送系3A〜3Cのそれぞれは、偏向方向が互いに異なる複数の偏向電極を有している。また、これら各偏向電極は、基板Sを保持する保持部4に対して所定位置に配置されている。
【0037】
第1イオン源2Aから放出されたイオンAは、偏向電極3Ax、3Ax間、及び偏向電極3Ay、3Ay間を通過するように設けられている。同様に、第2イオン源2Bから放出されたイオンBは、偏向電極3Bx、3Bx間、及び偏向電極3By、3By間を通過するように設けられている。第3イオン源2Cから放出されたイオンCは、偏向電極3Cx、3Cx間、及び偏向電極3Cy、3Cy間を通過するように設けられている。
【0038】
偏向電極3Ax、3Ay、3Bx、3By、3Cx、3Cyは、基板S上でのイオンA、B、Cの蒸着位置を制御する制御系100の一部を構成するものであって、偏向電極どうしの間を通過するイオンの進行方向を静電偏向する。図2は、一対の偏向電極3Ay、3Ayどうしの間を通過するイオンAの進行方向が偏向される様子を説明するための模式図である。図2において、イオン源2Aから放出されたイオンAは、電界を形成する互いに対向する一対の偏向電極3Ay、3Ayどうしの間を通過する。偏向電極3Ay、3Ay間の電位(電圧)は、制御系100の一部を構成する主制御装置CNTにより制御される。
【0039】
図2において、イオン源2から放出されたイオンAの加速電圧をV0、偏向電極3Ay、3Ay間の距離をa、イオンの進行方向(図2中、Z方向)における偏向電極3Ayの幅をb、偏向電極3AyのZ方向における中心位置と基板Sとの距離をL、偏向電圧をVdとしたとき、基板S上での偏向量Dは、
D=(L×b×Vd)/(2×a×V0) …(1)
となる。このように、制御系100(主制御装置CNT)は、偏向電極3Ay、3Ay間の偏向電圧(電位)Vdを調整することで、基板S上での偏向量D、すなわちイオンAの基板S上での蒸着位置を制御することができる。
【0040】
図3は基板Sの平面図である。図3に示すように、基板S上には、サンプルデバイスを形成するための複数のデバイス形成領域(膜形成領域)5が予め設定されている。本実施形態においては、デバイス形成領域5は、基板S上において、図3中、XY方向(2次元方向)にマトリクス状に設定されている。そして、第1イオン輸送系3Aの偏向電極3Ax、3Axは、第1イオン源2Aから放出されたイオンAの基板S上でのX方向における蒸着位置を制御可能なように設けられ、偏向電極3Ay、3Ayは、Y方向における蒸着位置を制御可能なように設けられている。そして、主制御装置CNTは、これら偏向電極3Ax、3Ax間、及び偏向電極3Ay、3Ay間の偏向電圧(電位)Vdを適宜調整することで、第1イオン源2Aから放出されたイオンAの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することができる。同様に、第2イオン輸送系3Bの偏向電極3Bx、3Bxは、第2イオン源2Bから放出されたイオンBの基板S上でのX方向における蒸着位置を制御可能なように設けられ、偏向電極3By、3Byは、Y方向における蒸着位置を制御可能なように設けられている。主制御装置CNTは、これら偏向電極3Bx、3Bx間、及び偏向電極3By、3By間の電位を適宜調整することで、第2イオン源2Bから放出されたイオンBの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することができる。また、第3イオン輸送系3Cの偏向電極3Cx、3Cxは、第3イオン源2Cから放出されたイオンCの基板S上でのX方向における蒸着位置を制御可能なように設けられ、偏向電極3Cy、3Cyは、Y方向における蒸着位置を制御可能なように設けられている。主制御装置CNTは、これら偏向電極3Cx、3Cx間、及び偏向電極3Cy、3Cy間の電位を適宜調整することで、第3イオン源2Cから放出されたイオンCの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することができる。
【0041】
次に、上述したコンビナトリアルデバイス製造装置1を使って基板S上に複数種類のデバイスを製造する方法について説明する。
【0042】
ここで以下の説明においては、複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれは互いに異なる種類の材料からなるイオンを放出するものとする。具体的には、第1イオン源2Aは第1材料からなるイオンAを放出し、第2イオン源2Bは第2材料からなるイオンBを放出し、第3イオン源2Cは第3材料からなるイオンCを放出する。
【0043】
基板S上に複数のデバイスを製造するために、主制御装置CNTは、まず、第1イオン源2AからイオンAを放出する。このとき、第2、第3イオン源2B、2Cからはイオンは放出されない。主制御装置CNTは、第1イオン輸送系3Aの偏向電極3Ax、3Ax間、及び3Ay、3Ay間の偏向電圧(電位)Vdを制御し、図4(a)に示すように、イオンAを、基板S上に設定されている複数のデバイス形成領域5のうち所定のデバイス形成領域5に蒸着する。図4(a)には、基板S上の複数のデバイス形成領域5のうちイオンAに基づく第1材料が蒸着された領域を「A」として図示している。
【0044】
次に、主制御装置CNTは、第2イオン源2BからイオンBを放出する。このとき、第1、第3イオン源2A、2Cからはイオンは放出されない。主制御装置CNTは、第2イオン輸送系3Bの偏向電極3Bx、3Bx間、及び3By、3By間の偏向電圧(電位)Vdを制御し、図4(b)に示すように、イオンBを、基板S上に設定されている複数のデバイス形成領域5のうち所定のデバイス形成領域5に蒸着する。ここで、先にイオンAに基づく第1材料が設けられているデバイス形成領域5に対してイオンBを蒸着することにより、その第1材料Aの上にはイオンBに基づく第2材料が積層されることになる。図4(b)には、基板S上の複数のデバイス形成領域5のうちイオンBに基づく第2材料が蒸着された領域を「B」とし、イオンAに基づく第1材料の上にイオンBに基づく第2材料が積層された領域を「A+B」として図示している。
【0045】
次に、主制御装置CNTは、第3イオン源2CからイオンCを放出する。このとき、第1、第2イオン源2A、2Bからはイオンは放出されない。主制御装置CNTは、第3イオン輸送系3Cの偏向電極3cx、3Cx間、及び3Cy、3Cy間の偏向電圧(電位)Vdを制御し、図4(c)に示すように、イオンCを、基板S上に設定されている複数のデバイス形成領域5のうち所定のデバイス形成領域5に蒸着する。ここで、先にイオンAに基づく第1材料又はイオンBに基づく第2材料が設けられているデバイス形成領域5に対してイオンCを蒸着することにより、その第1材料又は第2材料の上にはイオンCに基づく第3材料が積層されることになる。図4(c)には、基板S上の複数のデバイス形成領域5のうちイオンCに基づく第3材料が蒸着された領域を「C」とし、イオンAに基づく第1材料の上にイオンCに基づく第3材料が積層された領域を「A+C」とし、イオンBに基づく第2材料の上にイオンCに基づく第3材料が積層された領域を「B+C」とし、イオンAに基づく第1材料の上にイオンBに基づく第2材料が積層され、更にその上にイオンCに基づく第3材料が積層された領域を「A+B+C」として図示している。
【0046】
図5は、図4(c)のI−I断面矢視図である。このように、主制御装置CNTは、複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれの駆動を制御し、複数のイオン源2A〜2CのそれぞれからイオンA〜Cを順次放出することで、イオン源2A〜2Cのそれぞれから放出されたイオンA〜Cに基づく第1〜第3材料を基板S上で積層することができる。そして、主制御装置CNTは、複数のデバイス形成領域5のそれぞれに、互いに異なる膜組成のデバイスを形成することができる。
【0047】
以上説明したように、膜(デバイス)を形成するための材料をイオン化して放出し、イオンの進行方向を電界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板S上の所望位置にイオンを蒸着して円滑にサンプルデバイスを製造することができる。そして、可動部を設けなくてすむので、装置の大型化・複雑化といった不都合を招くことがない。更に、故障の原因となりやすい可動部を省略することができるので、装置の信頼性を向上することもできる。
【0048】
また、互いに異なる種類のイオンA〜Cをそれぞれ放出する複数のイオン源2A〜2Cを設けたので、それら複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれの駆動を制御することで、互いに異なる膜組成のデバイスを形成することができる。特に、イオン源2A〜2Cのそれぞれからイオンを順次放出することによって、各イオン源2A〜2Cから放出されたイオンA〜Cに基づく第1〜第3材料を基板S上で積層することができる。したがって、基板S上に様々な層構成のデバイスを形成することができる。
【0049】
また、イオンが通過する空間を含むチャンバCH内部は真空状態となっている。これにより、基板SにイオンA〜Cを円滑に蒸着することができるとともに、基板S上に先に蒸着されたイオンに基づく材料に対して次の材料を積層する際、先に基板Sに蒸着された材料層の表面が空気に触れて改質してしまう不都合を防止することができる。
【0050】
なお本実施形態においては、基板S上に形成されたデバイス(膜)は平面視において矩形状であるが、イオンA、B、Cの基板S上でのXY方向における蒸着位置を制御することにより、形成されるデバイス(膜)の平面視における形状を任意に設けることができる。
【0051】
また、主制御装置CNTは、イオン源2A〜2Cのそれぞれからイオンを放出する時間、すなわち基板Sに対する蒸着時間を調整することにより、図6に示すように、基板S上での各イオンA〜Cに基づく第1〜第3材料からなる膜の厚みを適宜調整することができる。
【0052】
また、主制御装置CNTは、複数のイオン源2A〜2CのそれぞれからイオンA〜Cを略同時に放出し、イオン源2A〜2Cのそれぞれから放出されたイオンA〜Cを基板S上に略同時に蒸着することにより、各イオン源2A〜2Cから放出されたイオンA〜Cに基づく第1〜第3材料を基板S上で混合することができる。図7に示す例においては、基板S上のデバイス形成領域5Aには、イオンA、B、Cに基づく第1、第2、第3材料が順次積層されているが、デバイス形成領域5Bにおいては、イオンAに基づく第1材料とイオンBに基づく第2材料とが基板S上で混合され、この混合された材料(A+B)が、デバイス形成領域5Bにおける最下層の材料層を形成している。この混合された材料層(A+B)を形成するために、主制御装置CNTは、第1イオン源2Aと第2イオン源2BとのそれぞれからイオンA、Bを略同時に放出し、第1、2イオン輸送系3A、3Bのそれぞれの偏向電極の偏向電圧を制御することによって、基板S上のデバイス形成領域5B上に、イオンA、Bを略同時に蒸着している。同様に、デバイス形成領域5Cにも、混合された材料層(B+C)が、先に基板S上に形成されているイオンAに基づく第1材料からなる層の上に設けられている。このように、主制御装置CNTは、基板S上で複数の材料を混合することも可能であり、基板S上に様々な組成のデバイスを形成することができる。
【0053】
なお、上述した各実施形態においては、偏向電極間の偏向電圧Vdを調整することで、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御しているが、上記(1)式からも分かるように、偏向電極と基板Sとの距離(相対位置)Lを調整することによっても、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。例えば、図8に示す模式図のように、基板Sを保持した保持部4を駆動する駆動装置6を設け、偏向電極と基板Sとの距離(相対位置)を変えることによって、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。また、偏向電極と基板Sとの相対位置を計測する計測装置7を設け、主制御装置CNTは、計測装置7の計測結果に基づいて、駆動装置6を駆動して、偏向電極と基板Sとの距離を調整することにより、より高精度に偏向電極と基板Sとの距離を調整することができる。なお図8に示す例では、偏向電極が固定され、基板Sを保持した保持部4が駆動装置6によって移動される構成であり、計測装置7は、基準位置(例えば計測装置7の設置位置)に対する保持部4の移動量を計測することで、偏向電極と基板Sとの距離を計測している。なお、偏向電極に駆動装置を設け、偏向電極の位置を変えるようにしてもよいし、基板Sと偏向電極との双方の位置を変えるようにしてもよい。
【0054】
なお、上述の実施形態では、チャンバCH内は真空であるが、例えば酸素などの反応性のガスをチャンバCH内に僅かに入れておき、イオンと酸素とを反応させながらイオンを基板Sに到達させてもよい。
【0055】
なお、上述の実施形態では、イオンの基板S上での蒸着位置を電界を使って制御する構成であるため、マスクを用いる必要がないという利点があるが、デバイス形成領域5に応じた開口を有するマスクを基板Sに近接して配置した状態で、またはマスクと基板Sとを密着させた状態で、イオンを基板Sに蒸着するようにしてもよい。
【0056】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0057】
図9(a)は本発明の別の実施形態を示す模式図であって、互いに対向する一対の偏向磁極9、9が示されている。そして、この偏向磁極9、9どうしの間にイオンが通過するようになっている。これら偏向磁極9、9を、図1等に示した偏向電極に替えて配置し、イオンの進行方向を電磁偏向することで、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。偏向磁極を用いる場合にも、偏向方向が互いに異なる複数の偏向磁極を設けることで、基板S上でのXY方向(2次元方向)におけるイオンの蒸着位置を制御することができる。なお、偏向電極と偏向磁極とを併用する構成を採用してもよい。
【0058】
図9(b)は、偏向磁極9と基板S上でのイオンの偏向量Dとの関係を模式的に示した平面図である。イオン源2から放出されたイオンは、磁界を形成する互いに対向する一対の偏向磁極9、9どうしの間を通過する。偏向磁極9、9間の磁束密度B0は、制御系100の一部を構成する主制御装置CNTにより制御される。
【0059】
図9(b)において、イオン源2から放出されたイオンの加速電圧をV0、偏向磁極9の磁束密度をB0、イオンの進行方向(図9(b)中、Z方向)における偏向磁極9の幅をb、偏向磁極9のZ方向における中心位置と基板Sとの距離をL、イオンの質量をm、イオンの電荷量をqとしたとき、基板S上での偏向量Dは、
D≒B0×b×L×〔q/(2×m×V0)〕1/2 …(2)
となる。このように、制御系100(主制御装置CNT)は、偏向磁極9、9間の磁束密度B0を調整することで、基板S上での偏向量D、すなわち基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。
【0060】
なお、偏向磁極9を用いる場合においても、偏向磁極9と基板Sとの距離を変える駆動装置を設けることができる。そして、偏向磁極9と基板Sとの距離を変えることで、基板S上でのイオンの蒸着位置を制御することができる。
【0061】
図10は本発明の別の実施形態を示す模式図である。本実施形態においては、コンビナトリアルデバイス製造装置1を、イオン注入装置として使用する場合について説明する。図10(a)に示すように、基板S上には、形成しようとするデバイス(サンプルデバイス)に応じた複数の膜12が予め設けられている。主制御装置CNTは、イオン源2Aから放出された例えばリンやヒ素などのイオンAを、イオン輸送系3Aの偏向電極あるいは偏向磁極を含む上記制御系100を使って、基板Sに対する位置制御を行い、基板S上に予め設けられている複数の膜12のうち、所定の膜12にイオンAを注入する。また、図10(b)に示すように、主制御装置CNTは、イオン源2Bから放出されたイオンBを基板S上の膜12に注入することができる。こうすることで、図10(c)に示すように、基板S上の複数の膜12のうち、膜12AにはイオンA及びBが注入され、他の膜12には、イオンA又はイオンBが注入される。
【0062】
このように、イオン注入するためのイオンを放出し、イオンの進行方向を電界又は磁界を使って偏向することで、可動部を設けることなく、基板S上に予め設けられている複数の膜12のうち任意の膜12にイオン注入することができる。
【0063】
この場合においても、互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源2A〜2Cを設け、主制御装置CNTは、複数のイオン源2A〜2Cのそれぞれの駆動を制御し、基板S上の複数の膜12のそれぞれに互いに異なる注入条件でイオンを注入し、複数種類のデバイスを形成することができる。イオンの注入条件としては、例えば、イオンの速度や基板S(膜12)に対する入射角等によって決定されるイオン打ち込み深さなどが挙げられる。
【0064】
図11は本発明の別の実施形態を示す模式図である。本実施形態においては、コンビナトリアルデバイス製造装置1を、スパッタリング装置として使用する場合について説明する。図11において、イオン源2から放出されたイオンは、イオン輸送系3によって、第2の基板S2上に予め設けられているターゲット材料に照射される。第2の基板S2上のターゲット材料は、イオンが照射されることによりスパッタリングされる。ここで、第2の基板S2上には、互いに異なる複数のターゲット材料E、F、G、Hが所定の位置関係で設けられている。主制御装置CNT(制御系100)は、偏向電極あるいは偏向磁極を使って、第2の基板S2上でのイオンの照射位置を制御することで、複数のターゲット材料E、F、G、Hのうち所望のターゲット材料(図11に示す例ではターゲット材料F)をスパッタリングすることができる。ここで、第2の基板S2に対して所定の位置関係で、第1の基板S1が配置されている。スパッタリングされた第2の基板S2上のターゲット材料Fは、第1の基板S1上に成膜される。なお、第1の基板S1に近接する位置には、第1の基板S1上に設定されたデバイス形成領域5に応じた開口10Kを有するマスク10が配置されている。スパッタリングされたターゲット材料Fは、マスク10の開口10Kに応じた第1の基板S1上の所定領域(デバイス形成領域5)に成膜される。また、第2の基板S2上の複数のターゲット材料のうちターゲット材料Fとは別のターゲット材料(例えばターゲット材料E)をスパッタリングする場合には、主制御装置CNTは、偏向電極あるいは偏向磁極を使って、イオンの進行方向を偏向し、第2の基板S2上での照射位置をターゲット材料E上に設定することで、ターゲット材料Eをスパッタリングして、第1の基板S1上にターゲット材料Eを成膜することができる。
【0065】
また、この場合においても、複数のターゲット材料E、F、G、Hに対するイオン照射条件(スパッタリング条件)を変更し、第1の基板S1上に複数種類のデバイスを形成することができる。
【0066】
図12は、ターゲット材料が成膜された第1の基板S1を示す図である。図12に示す状態にするためには、各ターゲット材料E、F、G、Hを順次スパッタリングし、第1の基板S1上に、各ターゲット材料を順次積層すればよい。また、例えば第2の基板S2上のターゲット材料Eとターゲット材料Fとを同時にスパッタリングすることで、第1の基板S1上には、ターゲット材料Eとターゲット材料Fとが混合された材料層を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】偏向電極によりイオンが偏向される様子を説明するための図である。
【図3】デバイスが形成される基板を示す平面図である。
【図4】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置を使ったデバイスの製造手順の一例を説明するための図である。
【図5】図4(c)のI−I線断面矢視図である。
【図6】基板上に形成されたデバイスの一例を示す断面図である。
【図7】基板上に形成されたデバイスの一例を示す断面図である。
【図8】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の別の実施形態を示す図である。
【図10】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置を使ったデバイスの製造手順の別の例を説明するための図である。
【図11】本発明のコンビナトリアルデバイス製造装置の別の実施形態を示す概略構成図である。
【図12】基板上に形成されたデバイスの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…コンビナトリアルデバイス製造装置、2(2A〜2C)…イオン源、3(3A〜3C)…イオン輸送系、3Ax、3Ay、3Bx、3By、3Cx、3Cy…偏向電極(部材)、6…駆動装置、7…計測装置、9…偏向磁極(部材)、12…膜、100…制御系、A〜C…イオン、CNT…主制御装置、E〜H…ターゲット材料、S…基板、S1…第1の基板、S2…第2の基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、
前記膜を形成するための材料をイオン化してイオンを放出するイオン源と、
前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に蒸着するイオン輸送系と、
前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記基板上での前記イオンの蒸着位置を制御する制御系とを備えたコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項2】
前記制御系は、電界又は磁界を形成する互いに対向する一対の部材を有し、前記イオンを前記部材どうしの間を通過させることで前記進行方向を偏向し、前記蒸着位置を制御する請求項1記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項3】
前記制御系は、前記イオンの進行方向を静電偏向する偏向電極を含む請求項2記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項4】
偏向方向が互いに異なる複数の偏向電極を備えた請求項3記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項5】
前記制御系は、前記偏向電極間の電位を調整することで前記蒸着位置を制御する請求項4記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項6】
前記制御系は、前記イオンの進行方向を電磁偏向する偏向磁極を含む請求項2記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項7】
偏向方向が互いに異なる複数の偏向磁極を備えた請求項6記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項8】
前記制御系は、前記偏向磁極間の磁束密度を調整することで前記蒸着位置を制御する請求項7記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項9】
前記部材と前記基板との相対位置を変える駆動装置を備えた請求項2〜8のいずれか一項記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項10】
前記部材と前記基板との相対位置を計測する計測装置を備え、
前記駆動装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて駆動する請求項9記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項11】
互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、
前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記基板上に予め設定されている複数の膜形成領域のそれぞれに、互いに異なる膜組成のデバイスを形成する主制御装置とを備えた請求項1〜10のいずれか一項記載ののコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項12】
前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを略同時に放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上に略同時に蒸着する請求項11記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項13】
前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを順次放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上で積層する請求項11記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項14】
膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、
イオンを放出するイオン源と、
前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に輸送するイオン輸送系と、
前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記デバイスに応じて前記基板上に予め設けられている複数の所定膜のそれぞれに対して注入する制御系とを備えたコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項15】
互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、
前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記複数の所定膜のそれぞれに互いに異なる注入条件で前記イオンを注入し、前記複数種類のデバイスを形成する主制御装置とを備えた請求項14記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項16】
膜を組み合わせて第1の基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、
イオンを放出するイオン源と、
前記イオン源から放出されたイオンを前記第1の基板に対して所定の位置関係で配置されている第2の基板上に輸送するイオン輸送系と、
前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記第2の基板上に予め設けられている複数のターゲット材料のそれぞれに対して照射してスパッタリングする制御系とを備え、前記第1の基板上に前記ターゲット材料を含む膜を形成するコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項17】
前記複数のターゲット材料に対するイオン照射条件を変更し、前記基板上に複数種類のデバイスを形成する主制御装置を備えた請求項16記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項1】
膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、
前記膜を形成するための材料をイオン化してイオンを放出するイオン源と、
前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に蒸着するイオン輸送系と、
前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記基板上での前記イオンの蒸着位置を制御する制御系とを備えたコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項2】
前記制御系は、電界又は磁界を形成する互いに対向する一対の部材を有し、前記イオンを前記部材どうしの間を通過させることで前記進行方向を偏向し、前記蒸着位置を制御する請求項1記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項3】
前記制御系は、前記イオンの進行方向を静電偏向する偏向電極を含む請求項2記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項4】
偏向方向が互いに異なる複数の偏向電極を備えた請求項3記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項5】
前記制御系は、前記偏向電極間の電位を調整することで前記蒸着位置を制御する請求項4記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項6】
前記制御系は、前記イオンの進行方向を電磁偏向する偏向磁極を含む請求項2記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項7】
偏向方向が互いに異なる複数の偏向磁極を備えた請求項6記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項8】
前記制御系は、前記偏向磁極間の磁束密度を調整することで前記蒸着位置を制御する請求項7記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項9】
前記部材と前記基板との相対位置を変える駆動装置を備えた請求項2〜8のいずれか一項記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項10】
前記部材と前記基板との相対位置を計測する計測装置を備え、
前記駆動装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて駆動する請求項9記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項11】
互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、
前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記基板上に予め設定されている複数の膜形成領域のそれぞれに、互いに異なる膜組成のデバイスを形成する主制御装置とを備えた請求項1〜10のいずれか一項記載ののコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項12】
前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを略同時に放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上に略同時に蒸着する請求項11記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項13】
前記主制御装置は、前記複数のイオン源のそれぞれからイオンを順次放出し、該イオン源のそれぞれから放出された前記イオンを前記基板上で積層する請求項11記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項14】
膜を組み合わせて基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、
イオンを放出するイオン源と、
前記イオン源から放出されたイオンを前記基板上に輸送するイオン輸送系と、
前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記デバイスに応じて前記基板上に予め設けられている複数の所定膜のそれぞれに対して注入する制御系とを備えたコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項15】
互いに異なる種類のイオンをそれぞれ放出する複数のイオン源と、
前記複数のイオン源のそれぞれの駆動を制御し、前記複数の所定膜のそれぞれに互いに異なる注入条件で前記イオンを注入し、前記複数種類のデバイスを形成する主制御装置とを備えた請求項14記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項16】
膜を組み合わせて第1の基板上に複数種類のデバイスを製造するコンビナトリアルデバイス製造装置であって、
イオンを放出するイオン源と、
前記イオン源から放出されたイオンを前記第1の基板に対して所定の位置関係で配置されている第2の基板上に輸送するイオン輸送系と、
前記イオン輸送系で輸送される前記イオンの進行方向を電界及び磁界のうち少なくともいずれか一方を使って偏向し、前記第2の基板上に予め設けられている複数のターゲット材料のそれぞれに対して照射してスパッタリングする制御系とを備え、前記第1の基板上に前記ターゲット材料を含む膜を形成するコンビナトリアルデバイス製造装置。
【請求項17】
前記複数のターゲット材料に対するイオン照射条件を変更し、前記基板上に複数種類のデバイスを形成する主制御装置を備えた請求項16記載のコンビナトリアルデバイス製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−57117(P2006−57117A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237339(P2004−237339)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【出願人】(504313284)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【出願人】(504313284)
【Fターム(参考)】
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