説明

コンピュータを用いた微少流体制御方法およびシステム並びにこれに用いるコンピュータプログラム製品

バルブ、蠕動ポンプ、および混合部といった可動構造を有する微少流体装置を、この可動構造の上に薄いエラストマー膜を設けて構成する。この可動構造は、前記膜の外側から触覚アクチュエータにより作動される。このアクチュエータを制御すべくコンピュータがソフトウェアを実行する。このソフトウェアは、ユーザに選択されたプロセスをプロセスライブラリから実行するプロセスマネージャを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年9月30日提出の米国暫定出願番号60/614,781の利益を主張する。この出願は、2005年9月8日出願の米国特許出願番号10/548,652の部分継続出願であり、これは2004年3月10日にPCT出願番号PCT/US2004/007246として出願されたもので、さらにこれが2003年3月10日提出の米国暫定出願番号60/403,298の利益を主張するものである。
【0002】
連邦政府の研究開発に関する記載
本発明は、陸軍による契約番号DAAD19−03−1−0168の下で政府の援助を得てなされた。政府は本発明について所定の権利を有する。
【0003】
本発明は、コンピュータを用いた微少流体制御方法およびシステム並びにこれに用いるコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0004】
微少流体装置は、極小サイズの複数の相互接続する微細流路、貯蔵部その他を具える精密装置である。微細流路は通常、例えば幅と高さの寸法が10μm乃至300μmであるが、これより小さいまたは大きい寸法も可能である。微少流体システムは通常、微細流路内の流れを制御するための、多数の独立制御型微少流体ピンアクチュエータを具える。ユーザは各アクチュエータの状態と制御を指示するため、アクチュエータの数が増えるとユーザによる個々のアクチュエータの制御が困難となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
求められているのは、アクチュエータの動作と、これによる微少流体装置の流路内の流れと、したがってこの微少流体装置の動作とを制御するシステムおよび方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、個別に制御可能な、微少流体用の改良したコンピュータによる制御方法およびシステム並びにこれに用いるコンピュータプログラム製品を提供するものである。
【0007】
プロセスの特性と微少流体装置の特性は、ユーザ入力に応じて取得される。装置の流路内の流れは取得された特性に基づいて制御される。
【0008】
本明細書に開示される特徴と利点はこれで総てではなく、特に、当業者であれば図面、明細書、クレームを参照して多くの追加の特徴や利点を理解可能である。さらに、本明細書で用いられている用語は基本的に読みやすさと説明目的から選択されたものであり、発明のサブジェクトマターの輪郭を規定したり境界線を設けるものではないことに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例を、図面を参照しながら以下に説明し、ここで同じ符号は同一または機能的に類似する要素を示している。
【0010】
本明細書中の「一実施例」または「ある実施例」の語は、実施例に関して記載された特定の特徴、構造、あるいは特性が、本発明の少なくとも1の実施例に含まれていることを意味する。本明細書中様々な箇所での「ある実施例では」の語句は、すべてが同じ実施例を示す必然性はない。
【0011】
以下の詳細な説明のある部分は、コンピュータメモリ内のデータビットを処理するアルゴリズムの用語や符号の表現で記載されている。これらのアルゴリズム的な記載や表現は、データ処理技術の当業者が他の当業者に自身の仕事を伝えるのに最も有効な手段として用いられているものである。アルゴリズムはここで、また一般には、所望の結果を導く自己矛盾のないステップ(命令)のシーケンスと考えられる。これらのステップは物理的な操作や物理量を必要とする。通常、必要ないにも拘わらず、この量は保存、伝送、結合、比較、その他の操作が可能な電気、磁気、または光学信号の形態をとる。多くの場合に、専ら共通の慣習の理由で、これらの信号をビット、値、要素、符号、文字、記号、数字、その他として参照すると便宜である。さらに、多くの場合に、普遍性を損なうことなく、モジュールまたは符号装置としての物理量に物理的な操作を要するステップの特定の構成を参照するのに便宜となる。
【0012】
注意すべきは、これらの及び類似の語句は適切な物理量に関連し、単に便利なラベルがこれらの量に与えられるべきである。後の記載において明確に反対の意味を特定しない限り、明細書を通して例えば「処理する」、「演算する(computing)」、「計算する」、「決定する」、「表示する」、「判定する」等の語句は、いずれもコンピュータシステムまたは類似の電子計算装置の動作や処理を示し、これらは物理量として示されるデータをコンピュータシステムメモリやレジスタや他の情報記憶、転送、表示装置内で処理し変換する。
【0013】
本発明のいくつかの態様は、本明細書中にアルゴリズムの形態で記載される処理ステップおよび命令を含む。本発明の処理ステップおよび命令は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアとして実装することができ、ソフトウェアとして実現される場合、様々なオペレーティングシステムにより用いられる異なるプラットフォームにダウンロードして保存され実行される。
【0014】
本発明はまた、この処理を実行する装置に関する。この装置は、必要な目的のために特別に構築されてもよく、選択的に動作される汎用コンピュータを具え、当該コンピュータ内に保存されるコンピュータプログラムで再構築されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、限定しないが、各々コンピュータシステムバスに接続された、例えばフロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、磁気光学ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光学カード、特定用途向けIC(ASIC)等の様々な種類のディスクといったコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、あるいは電子的な命令を格納するのに適した様々な種類の媒体に格納される。さらに、本明細書で参照されるこれらのコンピュータは、単一のプロセッサを備えても、演算能力を向上すべく複数プロセッサの設計を用いた構造であってもよい。
【0015】
ここに記載するアルゴリズムや表示は、本質的に特定のコンピュータや他の装置に関連するものではない。様々な汎用システムを、ここにおける教示にかかるプログラムとともに用いることができ、あるいは必要な方法ステップを実行するより特別な装置を便利に改良構成してもよい。これらの様々なシステム必要な構造は、以下の説明で明らかになる。加えて、本発明は特定のプログラミング言語を対象として記載していない。ここに説明する本発明の教示を実現するのに様々なプログラミング言語を用いることができ、以下の特定の言語への参照は本発明の実現可能性の開示および最良の形態として提供するものである。
【0016】
本発明は、微少流体装置の制御、調節、およびプロセスや流れや処理の決定用のコンピュータ利用システムを提供する。このシステムで実行されるソフトウェアは、例えば装置の微細流路内の流れといった微少流体装置の流体流を制御するアクチュエータや他のデバイスを制御する。このソフトウェアは、グラフィカルユーザインターフェースでユーザ入力を受け付け、ユーザがいなくても流体の移動を自動化する。
【0017】
図1は、全体を符号100で示す微少流体装置システムのブロック図である。コンピュータ102が、アクチュエータシステムまたはアクチュエータ108へ制御信号と電圧を供給するコントローラ106を介して微少流体装置110のプロセス、流れ、操作を制御するソフトウェアを実行する。このコントローラ106は、コンピュータ102にユニバーサルシリアルバス(USB)で接続されてもよい。このコンピュータ102は、ユーザインタフェース104を介してユーザにプロセス、流れ、操作のメニューを提示し、ユーザインタフェース104を介してユーザの選択を受け付ける。
【0018】
アクチュエータシステム108は、微少流体装置110の可動素子として動作する、電子的に制御可能で位置決め可能な触覚ディスプレイ(tactile display)である。このアクチュエータシステム108は、アクチュエータを有するブライユセルを具え、これは例えば、コントローラ106からの装置110の流体プロセスを制御するための制御信号および電圧に応じて、微少流体装置110の関連する要素と結合するピン等である。ソフトウェアはアクチュエータシステム108を制御し、これが微少流体装置110内でバルブ制御、ポンプ、混合、セル破壊などの流体操作を制御する。このソフトウェアは、各アクチュエータを個別に、また他のアクチュエータ108の制御と同時に制御する。このソフトウェアは、このアクチュエータの操作か、微少流体装置110が実行するプロセスへのユーザ入力を受け付ける。このソフトウェアは、ユーザに要求されたプロセスに基づいて、微少流体装置110とアクチュエータシステム108の特性を用いてコントローラ106を構成する。このソフトウェアは、様々なオブジェクト指向プログラミング(OOP)言語を用いてコードすることができる。
【0019】
微少流体装置110は、流体中の生体組織を培養するのに適している。この微少流体装置110は、生体組織に供給される流体の流れと成分を制御する。この微少流体装置110は、層流、疑似層流、非層流の流れを供給することができる。微少流体装置110は、生体組織に物理的な処理を行うことができる。この微少流体装置110は、例えば、細胞の湿潤(cell washing)、分離、細胞の接種(cell seeding)、培養など、通常の細胞培養に利用することができる。この微少流体装置110は、微細反応装置、組織培養装置、細胞培養装置、細胞選別装置、細胞破壊装置、マイクロ血球計算器、運動性スペルマ選別器、マイクロ気化器、微小規模組織処理装置に用いることができる。
【0020】
この微少流体装置110は、当該微少流体装置110の要素や流路内の粒子の通路の状態または流れを検出するセンサ112を具えている。このセンサ112は、例えば、光学的、電気的、あるいは電気機械的センサである。この微少流体装置110は、例えば、2004年3月10日出願のPCT/US2004/007246、「Integrated Microfluidic Control Employing Programmable Tactile Actuators」に開示された微少流体装置であり、これが全体として参照によりここに組み込まれている。ここに開示する微少流体装置は、前記PCT出願に記載のように構成することができる。この微少流体装置110について以下に説明する。
【0021】
一実施例において、微少流体装置110は、流れの特性が能動的に変動し、圧縮可能または歪曲可能なエラストマー材料で形成された微細流路を具える。一実施例では、微少流体装置110全体が、後述するような有機ポリシロキサンエラストマー(「PDMS」)のような柔軟なエラストマー材料で構成される。ただし、能動的な制御を望まない場合、装置のサブストレートを硬質の、例えば部分的に実質的に弾力性のない材料で構成してもよい。
【0022】
この微少流体装置は、空間や通路(「空洞スペース」)の形状および/または大きさ、特に装置の流体流量を変化させる1以上の可動部を具えてもよい。このような可動部は、限定しないが、混合部、ポンプ部、バルブ調節部、流動部、流路または貯蔵部区各部、細胞破壊部、障害除去部を含む。これらの可動部はすべて、装置の対象箇所に圧力を加えて、流体流、流体特性、流路または貯蔵部の特性を変化させ、これによりこれらの特性を構成する空洞スペースの形状および/または大きさが変化する。ここで「空洞スペース」の語は、サブストレート材料がない部分である。使用時には、空洞スペースは通常、流体または微生物で満たされる。
【0023】
装置の可動部は、各流路に圧力を加えて閉じ、あるいは流路の断面積を狭めて所望の能動制御を実現することにより得られる。この目的を達成するため、流路、貯蔵部、または他の要素は、微少流体装置の外部から適度な力を加えると、流路、貯蔵部または他の要素(「流体機構」)が圧縮し、局地的に狭められるか全体的にその部分が閉じるよう構成される。この結果を実現すべく、この機構を取り巻く装置の面は、好適にはエラストマーであり、外側面(すなわち、平面装置では外側の主な面)がエラストマーであり、僅かな力により外側面と選択的に内側構造壁が歪み、これによりこの地点の断面積が減少するか、構造体が完全に閉じる。
【0024】
装置の可動部分を「作動させる」のに用いる圧力は、アクチュエータシステム108の回復可能なブライユディスプレイ(refreshable Braille displays)に用いられるような、外部触覚装置により供給される。触覚アクチュエータは、装置110の可動部に接触し、電圧が加わると、広がって変形可能なエラストマーを押し、可動部の形状を狭めるか閉塞する。この動作が図2、3a、3b、3cに図示されている。
【0025】
図2は、エラストマー材料のサブストレート10内に、上部にエラストマーカバー4がある流路2を具える微少流体装置1である。カバーの上面5には触覚装置6が接触しており、これはワイヤ8、9を通る作動信号の供給により下側に広がる触覚アクチュエータ7を有する。図3aに、図2の装置の3−3線すなわち触覚アクチュエータを含む面に沿った断面が図示されている。
【0026】
図3bは、図2の線3−3に沿った拡大図であり、触覚アクチベータが部分的に作動され、その結果触覚装置6から押し出され、装置の上面5に圧力をかけ、流路3のカバー4と壁11を歪曲させる。結果として、流路の断面が減少し、これにより流れが制限される。流路3の一部が作動された触覚アクチベータの出っ張りにより閉鎖される。このような装置では、ここでは流路3の構造を取り囲むエラストマー材料が、必要に応じて、エラストマーカバー4に限定される。換言すれば、サブストレート10内の流路の壁は固く、例えば微細加工されたシリカ、シリコン、ガラス、硬質プラスチック、または金属である。柔軟なエラストマー部分は本実施例においてカバーに限定されている。
【0027】
図3cでは、アクチュエータはさらに(「完全に」)作動され、結果として流路3が完全に塞がれる。この場合、触覚アクチュエータは、調整可能な流量コントローラではなく、オン/オフバルブとして作用する。
【0028】
図示する実施例において、作動して構造体を閉塞あるいは制限するのではなく、触覚アクチュエータは拡張位置で製造され、電圧をかけると引っ込むか、流路が閉塞あるいは制限された作動状態の微少流体装置に用いられ、電圧がなくなると流路を開けるようにしてもよい。
【0029】
対象とする発明的装置のみならず、例えば空気圧などの圧力を用いて装置の構造をアクチベートする他の微少流体装置においても、装置の流路壁に隣接して1以上の空隙を設けると、性能における有意な向上が得られる。これらの空隙により、各構造のより完全な閉塞や歪曲が実現する。このような構成の一例を図4に示す。図4では、エラストマーカバー(図2の4)を除去した装置を上から見た状態を示し、供給貯蔵部21、22から「アクティブな」供給流路23、24を通り流路120に流体が供給されている。流路20の流体は、出口貯蔵部25へと流れる。装置には、5つの可動部26、27、28、29、30が示されている。可動部27乃至30では、各流路(24、20)の脇に空隙27aと27b、28aと28b、29aと29b、30aと30bがある。ただし可動部26の脇には1つの空隙26aしかない。可動部の点線で示す円は、触覚アクチュエータがこれらの地点で作動して流路を制限または閉塞する場所を示している。
【0030】
図5は、流路24と可動部27を流路の長さ方向に直交する面で示しており、このケースではカバー4と触覚装置6と触覚アクチベータ7が設けられている。アクチュエータ7が下側に膨らむと、流路27間の壁27c、27dと脇の空隙27a、27bが歪曲し、この可動部における柔軟性が増す。図4はまた、連続する3つの可動部、すなわち可動部28、29、30で形成された蠕動ポンプを示している。端から端まで順番に作動させることにより、いずれの方向にもポンプ動作を実現することができる。このポンプ動作を前後に繰り返すことで、あるいは可動部を違うパターンで作動させることで、ポンプ動作ではなく混合動作を実現することができる。
【0031】
ある実施例では、アクチュエータシステム108は、それぞれ微少流体装置110の対応する要素に係合して流体動作を実現する複数の可動ピンを具えるプログラム可能なブライユディスプレイである。この微少流体装置110の要素は、ポンプとバルブを具える。ピンは、規則的な幾何学的配列で配列される。このような構成は、微少流体装置110の異なる構成で用いることができる。この構成では、装置110の要素がいずれもピンに対応しないため、いくつかのピンが特定の微少流体装置110では用いられない。代替的に、ピンは特定のまたは一群の多流体装置110の要素に対応するよう選択されてもよい。各ピンは個別に制御され、個別に位置づけられる。
【0032】
アクチュエータシステム108の一例は、Gateway(商標名)ソフトウェアを具えるNavigator(商標名)ブライユディスプレイといったテレセンサリーシステム(Telesensory System)であり、これはスクリーンテキストをブレイユ点字コードに直接変換する。この装置は通常、「8ドット」セルの線形配列を具え、各セルと各セル「ドット」が個別にプログラム可能である。この装置は、視覚障害者がテキスト列を点字に変換するのに用いられ、一列を一度に、例えば文字メッセージや本を「読む」ために用いられる。微少流体装置の可動部は、以下の個々の可動「ドット」または突出部をブライユディスプレイに配置できるよう設計されている。ブライユディスプレイは、他の供給者の中でHandy Tech社、Blazie社、Alva社から入手可能である。以下に説明するように、システム100は、様々なソフトウェアプログラムを用いてアクチュエータシステム108のピンを制御し、生物に対し処理を実行するか、ライブラリから処理を実行するかをユーザが選択できるようにしている。
【0033】
しかしながら、柔軟性を向上すべく、複数の微少流体装置で利用可能な一般的な四角い配列、例えば10×10、16×16、20×100、100×100の配列を設けることもできる。間隔が狭まりプログラム可能な拡張突出部の数が増えるほど、マイクロ装置の設計の柔軟性が向上する。このような装置の製造は、この技術分野で知られている製造方法に続く。アドレス可能度(addressability)も慣習的な方法から続いている。非規則的な配列、すなわち必要な箇所のみにアクチュエータを具えるパターンも可能である。ピンの作動には、ここに参照として組み入れる米国特許5,842,867に開示のものを利用することができる。
【0034】
装置は、触覚アクチュエータと微少流体装置を一体型に構成することができる。アクチュエータはそれでも微少流体装置の外側に配置されるが、ここに参照として組み入れる米国特許5,580,251に開示のもののように、一体型をなすように取り付けまたは接着される。他の種類のアクチュエータシステムを用いてもよく、例えば電気粘性材料のビルドアップを用いる触覚アクチュエータ装置(米国特許5,496,174参照)、「オン」と「オフ」の位置で切り替えられる形状記憶ワイヤを用いたブライユ型電気機械装置(米国特許5,718,588参照)、電気粘性または磁気粘性動作流体またはゲルを用いる装置、空気で作動するブライユ装置(米国特許6,354,839参照)、「ボイスコイル」型構造であって特に強い永久磁石を用いるもの、形状記憶合金を用いた本来的に導電性のポリマシート(米国特許5,685,721、5,766,013参照)であり、これらの特許はここに参照として組み入れられる。
【0035】
完全に一体型の装置の一例が図6に示されており、9の層と5のアセンブリを具えている。この微少流体装置40はそれ自体エラストマーの単一層に成型され、この例では例えば30μmといった所望の流路高さに対応する厚さである。2つの入口貯蔵部41、42が入口流路43、44を介して中央流路45に供給し、これが出口貯蔵部46で終端している。4つの可動部が図示されており、入口流路に1つづつあるのが流路間の切替を含む流路43、44の各々の流量を制御し、さらに中央流路45に沿ってある2つの可動部が、交互に脈動することにより流路内の流体を混合したり、流路内の細胞を破壊したり、その他のプロセスを実行する。装置40の各可動部は、可動部に対するオプションの脇の空隙48により特定することができる。本実施例における貯蔵部、流路、空隙が、装置の厚さ全体を通じて単一の層40に延在している。ただし、複数層の装置もまた有用である。
【0036】
装置40の頂部にはサブアセンブリ50が配設されており、これは例えばガラス、セラミック、硬質プラスチック基板51などの固い物質とエラストマー層52とからなる。サブアセンブリ50は、各層が組み合わされたときに貯蔵部42、41、46にそれぞれ連通する3つの貫通口53、54、55を具える。サブアセンブリ50はまた、基板51を貫通するがエラストマーフィルム52は貫通しない4つの空洞または竪穴(well)56、57、58、59を具える。内側面56a−59aは金属メッキされており、これがアクチュエータの電極の役割を果たす。これらの電極はともに、すべての空洞への共通の電源の役割を果たす金属フォイルまたは配線59bで接続されている。これらの空洞は、最終組立の前に、有機極性流体またはゲル(organic polar fluid or gel)で満たされる。
【0037】
サブアセンブリ60は、硬質カバー61とエラストマー絶縁シール62とを具える。このカバー61とシール62は双方とも貫通口63、64、65の穴が開けられ、組み立てたときに、対応する穴53、54、55を介して、最終的に微少流体装置の貯蔵部42、41、46に接続される。この組合せにより、例えばシリンジで液体貯蔵部を満たしたり空にしたりできるようになる。硬質カバー61からシール62を通って下側に電極ボタン66、67、68、69が延びており、これらの電極とは電気的に接続されているがシール62と硬質カバー61の間に導電配線66a、67a、68a、69aが設けられている。
【0038】
サブアセンブリ70は、実質的にサブアセンブリ50と対称であるが、貯蔵部と接続する貫通口を有さない。様々な構成が、サブアセンブリ50に付した符号と同様である。導電配線は、サブアセンブリ50と対称となっており、各アクチュエータを個別に制御可能である。
【0039】
サブアセンブリ80は、実質的にサブアセンブリ60と対称であるが、ここでも貯蔵部と接続する貫通口が設けられていない。ディップピンコネクタ71、72の総数の一部が、サブアセンブリ70、80に示されている。アセンブリ50、60の電気配線と接続するのに対応するコネクタが用いられるが、明確のために省略している。電極86、87、88、89により、膨張可能な突出部の個々の動作が可能となる。
【0040】
図7は、完成した装置の外観を示し、液体コネクタ91、92、93がカバー61に取り付けられ、貯蔵部への液体供給を容易にしている。装置背面のディップピンコネクタはこの図では見えない。集積回路において周知のように、液体コネクタ91、92、93と一体型装置の外に延びる電気コネクタ71、72のみを残して装置全体を熱硬化性樹脂で包んでもよい。
【0041】
図6、図7の一体型装置は、別個の部品群として製造してもよい。この場合、アクチュエータアセンブリ、例えばサブアセンブリ50・60と、70・80とを別のユニットとして作成してもよい。この場合、微少流体装置40は、付加的なエラストマー層を用いて上下に載置される。このように非一体型構造とすると、微少流体装置の層を交換するだけで、アクチュエータ部分を繰り返し再利用することができる。
【0042】
非一体型の使用に適した適切なブライユディスプレイが、24×16の触覚ピンの配列を有するGraphic Window Professional (商標)(GWP)としてHandy Tech Electronik GmbH, Horb, Germanyから入手可能である。圧電アクチュエータも利用可能であり、例えば図5、6に示す装置において、電気粘性流体に代えて圧電素子とし、これに応じて電極の位置も変えられている。
【0043】
この微少流体装置110は多くの用途がある。ここで記載するソフトウェアは、これらの用途の操作を自動化する。細胞の培養では、生体システムの有効性をシミュレートするのに供給する養分を変化させる。いくつかの供給流路に可動部を設けて様々な流路を閉鎖または制限すると、養分や他の液体の供給を意志で変えることができる。一例は骨組織(bonny tissue)を生成するための三次元骨格システム(three dimensional scaffolding system)であり、貯蔵部からの様々な成分で供給される骨格(scaffolding)が蠕動ポンプ動作に送られ自然な循環(natural circulation)をシミュレートする。
【0044】
他の応用例は、細胞破壊(cell crushing)がある。細胞は、流路内の可動部に移送して流路閉塞部を動作させて流路を流れる細胞を破壊することにより、破壊される。例えば透明な微少流体装置と適切な検出器を用いたフロー血球計算技術により細胞の検出を行うことができる。流路に様々な角度の光ファイバを組み込むと、検出や適切なアクチベータの動作を容易にすることができる。同様の検出技術を、バルブを用いて流路からそれぞれ異なる収集箇所または貯蔵部への供給を変化させるのと共に用いて、バクテリア、菌類、藻類、酵母、ウィルス、精子の細胞を含む、胚や微生物の選別に利用することができる。
【0045】
このソフトウェアは、アクチュエータシステム108を制御して圧力を制御し、これにより流路の開閉とそのタイミングを制御する。実行する処理に応じて、ソフトウェアはアクチュエータを個別にまたは一群で、例えば蠕動ポンプ動作や混合動作などの流路を流れる流体に対する様々な動作パターンをさせる。このソフトウェアは、微少流体装置110のセンサ112を監視し、選択的に流路の流れを制御する。
【0046】
コンピュータ102で実行されるソフトウェアについて以下に説明する。
【0047】
図8は、コンピュータ102とコントローラ106で実行されるソフトウェアを図示している。このコントローラ106は、デバイスドライバ802を実行して、コンピュータ102が事項するプロセッサマネージャ804に応じて、制御信号と駆動電圧をアクチュエータシステム108に供給する。このプロセスマネージャ804は、微少流体装置110の流体処理制御ルーチンを含む。プロセスの要求があると、プロセスマネージャ804は装置ドライバ802を介してコントローラ106を制御して、要求されたプロセスに伴うイベントのシーケンスを実行させる。このプロセスは、細胞の湿潤(cell washing)または細胞の分離(cell detachment)を含む。あるプロセスは、選択可能なサブプロセスを含んでもよく、例えば細胞の湿潤はPBSを用いた湿潤といったサブプロセスを含んでもよい。別の実施例では、プロセスマネージャ804は上述のテキストエディタを実行する。この実施例では、ユーザはライブラリにない装置10のプロセスを制御したり、ソフトウェアにプロセスを追加することができる。
【0048】
ユーザインタフェースマネージャ806は、ユーザインタフェース104でユーザに提示されユーザインタフェース104を介してユーザから受け取られる、プロセスマネージャ804と通信される情報を制御する。ユーザはプロセスと、プロセスのタイミングと、プロセス内で用いる材料と、流体処理の他の特徴とを選択することができる。
【0049】
アクチュエータマップ808は、アクチュエータシステム108の各アクチュエータの位置、機能、特徴、操作パラメータを具える。図17は、アクチュエータマップ808の一例を示す。微少流体装置ライブラリ810は、位置、機能、特徴、相互接続、流路・バルブ・ポンプ・その他微少流体装置110の要素の操作パラメータを具える。この微少流体装置ライブラリ810は、流路の寸法と形状、流体の種類に依存する流路の流量特性、バルブの位置や流量調整特性などの情報を具える。図15は、微少流体装置810の一例を示す図である。プロセスライブラリ812は、微少流体装置110の要素へのプロセスの特性に関連するプロセスオブジェクトを具える。例えば、蠕動プロセスは、寸法や流体種別に基づいた開閉シーケンスとタイミングが規定された3つのバルブに相当してもよい。このプロセスライブラリ812は、細胞培養や胚の成長用の生体条件培養を模擬する環境変化プロセスを含んでもよい。これらのプロセスは物質に関連して、養分、成長因子、ビタミンの濃度変化、pH変化、成長抑制剤といった物質の追加または欠如などを含んでもよい。これらのプロセスは、流れに関連して、流量の変化や周期的な流体流の浮動などを含んでもよい。図16に、プロセスライブラリ812の一例を示す。
【0050】
プロセスマネージャ804は、微少流体装置ライブラリ810とアクチュエータマップ808を用いて、アクチュエータシステム108のピンを流路、バルブ、および微少流体装置110の他の要素に連動(associate)させる。プロセスマネージャ804は、アクチュエータシステム108に用いられる圧力または力を検出して、付随する要素に微少流体装置110内の様々な操作を実行させるようにする。
【0051】
状態検出モジュール814は、アクチュエータシステム108内のセンサ(図示せず)と微少流体装置110内のセンサ112(図1参照)から受けるデータを処理し保存する。
【0052】
微少流体装置110に取り付けられる3本のピンで構成される蠕動ポンプの一例として、プロセスマネージャ804は、流路内に流体を送り出すのに、例えばXXO、OXX、OOX、XOX(ここでXは閉位置でOは開位置)といったパターンを繰り返して適用する。得られる流体の流れは拍動的で、双方向に一方通行的な移動となる。正味の移動はそのパターン変化周波数との線形の関係で予測でき、流れの方向は動作パターンを逆にすることで切り替え可能である。
【0053】
図9は、図8のソフトウェアの動作を示すフローチャートである。ユーザインタフェースマネージャ806は、装置情報と生体情報を受信し(ブロック902)、この情報を微少流体装置ライブラリ810とアクチュエータマップ808に保存する。この装置情報は、微少流体装置110の位置と構成要素の種別を含み、アクチュエータシステム108におけるアクチュエータの位置と種類を含む。ユーザインタフェースマネージャ806は、微少流体装置110にプロセスを実行させるための、プロセス要求(ポンプ、混合、破壊、または上述の他の動作)をユーザから受け付ける(ブロック904)。プロセスマネージャ804は、プロセスライブラリ812から対応するプロセスを取得し(ブロック906)、当該プロセスを実行するための操作パラメータを決定し(ブロック908)、これがデバイスドライバ802に供給される。プロセスマネージャ804は、微少流体装置ライブラリ810に基づいて、微少流体装置110における様々な箇所に適用されるプロセスを決定し、アクチュエータマップ808を用いてアクチュエータシステム810のアクチュエータにプロセスと位置を関連づける。デバイスドライバ802は、上述の取得したプロセスのパラメータに基づいて図10に示すソフトウェアオブジェクトを生成することにより、制御信号とタイミングを決定する(ブロック910)。このソフトウェアオブジェクトは、図11−14に示すメッセージングにより、制御信号と電圧をアクチュエータシステム108に提供する(ブロック912)。状態検出モジュール814は、微少流体装置110の状態およびステータスと検出部112からの情報とを受信する(ブロック814)。状態検出に反応して、プロセスマネージャ804は、装置への制御信号の供給におけるフィードバック制御(ブロック916)を実行する(ブロック912)。ユーザが他のプロセスを選択した場合(ブロック918)、プロセスマネージャ804は次の対応するオブジェクトを取得し(ブロック906)、上述のように進める。そうでなければ、プロセスマネージャ804は、別のユーザ選択がなされたと判断する(ブロック920)。さらなる選択がなされた場合、ユーザインタフェースマネージャ806はプロセス要求を受け取り(ブロック904)、プロセスマネージャ804は上記のように処理する。そうでなければ、プロセスを終了する(ブロック922)。
【0054】
図9に示す例では、ソフトウェアの各要素がコンピュータ102またはコントローラ106で事項されるように記載しているが、別の実施例では別のものにより実行されてもよい。
【0055】
ある実施例では、ソフトウェアは、アクチュエータシステム108のアクチュエータの二次元ドットマトリクスに基づき動作してもよい。ここで用いるように、これらのドットがアクチュエータに対応する。このマトリクスのアクチュエータは、エラストマーの微細流路を変形させ、特定のルートと流量を構成する。この構成に基づいてソフトウェアを説明するが、他の構成を用いるようにしてもよい。
【0056】
図10は、プロセスマネージャ804が装置を制御すべく生成するソフトウェアオブジェクトを示す概略図である。タイマ設定/キード(timed/keyed)ドット状態オブジェクト1002が、ユーザ選択にかかるドット状態と、ドット状態の変化のタイミングを規定する。キー状態オブジェクト1004が、キー押下などのユーザ入力により動作または非動作するドットの指示を設定し、オブジェクト1004とタイムラインオブジェクト1006に基づいてキー状態に指示を設定する。
【0057】
このタイムラインオブジェクト1006は、クロックカウンタとして機能し、特定の期間経過後に動作または非動作するドットを指示する。タイマ設定されたドット状態オブジェクト1008は、クロックカウンタとして機能し、特定の待ち時間経過後に動作するドットを指示する。ドット状態オブジェクト1010は、ドットの位置と状態(すなわち、上または下)を含んでおり、ハードウェアラッパーオブジェクト用の状態記述(write state)を生成する。このデバイスドライバは、ハードウェアラッパーオブジェクト1012を用いて処理を実行してもよい。ハードウェアラッパーオブジェクト1012は、ドットマトリクスの位置と、アクチュエータシステム18に送られるデータを保存するマトリクスバッファとを含んでいる。
【0058】
プロセスマネージャ804は、オブジェクト1004,1008用のオブジェクト1002の所望のパターンで、ステートマシンドライブの命令を生成することによりハードウェアを制御する。オブジェクト1010は、ハードウェアラッパーオブジェクト1012にメッセージを届け、例えばクロックサイクル毎に、アクチュエータシステム108の状態を変化させる。
【0059】
図11−14に説明するオブジェクトは、1または2のドットまたはアクチュエータについて記述するが、ソフトウェア実装に応じて、本発明を限定することなく、すべてのアクチュエータあるいは各アクチュエータの複数オブジェクトをカバーするように一般化してもよい。
【0060】
図11は、ドット状態オブジェクト1010用のタイミングシーケンスの概略図である。プロセスマネージャ804は、アクチュエータの位置と状態を設定するための、ドット状態オブジェクト1010用の制御信号1101を生成する(イベント1102)。この制御信号1101に応答して、ドット状態オブジェクト1010は、ハードウェアラッパー1012用の状態書き込み(write state)を生成し、これがコントローラ106により実行されるデバイスドライバ802となる(イベント1104)。ハードウェアラッパー1012は、対応するピンへの制御信号と電圧を含むバッファデータを、アクチュエータシステム108に送信する(イベント1106)。
【0061】
図12は、図10のソフトウェアの2つのタイマ設定ドット状態オブジェクト(timed dot state object)のタイミングシーケンスの概略図である。プロセスマネージャ804は、2つのタイマ設定ドット状態オブジェクト1008A、1008B用の制御信号1201を生成し、ある動作までの待ち時間や、当該動作の長さ、アクチュエータ用のオブジェクト1008A、1008Bの次の状態などを設定する。クロックハンドラからのクロック信号を用いて、タイマ設定ドット状態オブジェクト1008Aは、ハードウェアラッパー1012用の状態書き込みを設定し(イベント1204A)、ハードウェアラッパー1012にデータをバッファへ送信させ(イベント1208A、1208B)、タイマ設定ドット状態オブジェクト1008Bを開始させる(イベント1206)。タイマ設定ドット状態オブジェクト1008Bは、ハードウェアラッパー1012用の状態書き込みを設定し(イベント1208C、1208D)、タイマ設定ドット状態オブジェクト1008Aを開始して状態書き込みを設定させ(イベント1204B)、ハードウェアラッパー1012の状態書き込みを設定する(イベント1208E)。
【0062】
図13は、図10のソフトウェアのキー状態オブジェクトのタイミングシーケンスの概略図である。プロセスマネージャ804は、2つのキー状態オブジェクト1004P、1004Sの制御信号を生成し、オブジェクト1004P、1004Sの次のキー状態までアクチュエータを動作状態とするか、次のキー状態までアクチュエータを非動作状態とするかをそれぞれ設定する(イベント1302)。キーハンドラは、タイマ設定ドット状態1008を開始(イベント1308)するキー状態を供給し(イベント1304A)、キー状態オブジェクト1004Pに応答してキー状態を非動作に応答すべくキー状態オブジェクト1004Sを設定する。このキーハンドラは、キー状態オブジェクト1004Sにより、タイマ設定ドット状態1008を停止(イベント1308)する非動作のキー状態を提供する(イベント1306)。
【0063】
図14は、図10のソフトウェアのタイムラインオブジェクトのタイミングシーケンスの概略図である。プロセスマネージャ804は、タイムラインオブジェクト1006の制御信号を生成し、タイマ設定ドット状態オブジェクト1008V、1008Pを制御する。タイムラインオブジェクト1006に、タイマ設定ドット状態オブジェクト1008V、1008Pの長さが設定され(イベント1402)、タイムハンドラを用いて状態の開始を制御する(イベント1402)。タイマ設定ドット状態1008V、1008Pの動作または非動作は、タイムハンドラを用いて、設定された期間後に停止される(イベント1406、1408)。
【0064】
本発明を用いることにより、1つの装置で多数の機能が実現する。複数の貯蔵部を用いて栄養分、発育因子、その他を供給することができる。多様な貯蔵部により、例えば一度に1の貯蔵部から、または様々な貯蔵部の組合せからなど、様々な流体供給の組合せができる。これは、前述したように、貯蔵部とバルブ制御された微細流路を液通させることにより実現可能である。アクチュエータシステム108をプログラミングして、各個別の貯蔵部を思いのままに成長流路に接続することができる。微細流路供給路に沿って複数の膨張可能な突出部を積み合わせると、多様な流量で蠕動ポンプを実行することができる。脊椎動物の循環システムに特有の不均一な律動的な流れを容易に生成することができる。組合せで、複数のポンプとバルブを用いた規則的な流れが微少流体の細胞研究に一層の柔軟性を提供し、更新可能なブライユディスプレイの小さなアクチュエータのグリッドを用いることにより生成され、ユーザによる実行すべきプロセスの選択に応じてソフトウェアで自動的に実行される。
【0065】
この開示を読むことにより、当業者であれば、ここに開示された原理を通じて微少流体装置の流体操作の制御システムおよび方法の構造的および機能的な代替設計を理解することができる。したがって、特定の実施例や応用例を図示し説明したが、本発明はここに開示した精密な構成や要素に限定されるものではなく、添付のクレームに規定された本発明の意図や範囲を逸脱することなく、ここに開示する本発明の構成、操作、方法や装置の詳細に、当業者であれば明らかな多様な変形、変更、バリエーションを達成できることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、微少流体装置のブロック図である。
【図2】図2は、非一体的な触覚型の外部アクチュエータを具える微少流体装置の側面図である。
【図3】図3a−3cは、図2に示す装置の3−3線でとった断面図であり、図2の装置の動作を示す図である。
【図4】図4は、流入とポンプ、または流体の混合を選択あるいは制御する触覚アクチュエータを具える微少流体装置の平面図である。
【図5】図5は、触覚アクチュエータで流路の制限を実現する側部空隙を有する微少流体流路の断面図である。
【図6】図6は、2本の触覚アクチュエータセンサアレイを具える一体型微少流体装置の各層を示す分解斜視図である。
【図7】図7は、図6の微少流体装置を組み立てた斜視図である。
【図8】図8は、図1の微少流体装置システムのコンピュータが実行するソフトウェアを示すブロック図である。
【図9】図9は、図8のソフトウェアの動作を示すフローチャートのブロック図である。
【図10】図10は、微少流体装置を制御するソフトウェアのコーディングに実装されるソフトウェアオブジェクトを示すUMLクラス図である。
【図11】図11は、1つのブライユピン(Braille pin)を制御するための、図10に示すオブジェクト(「コントロール」、「ドット」、「ハードウェアラッパー」)のメッセージシーケンスを示すUMLシーケンス図である。
【図12】図12は、2つのブライユピンを特定のタイミングシーケンスで制御するための、図10に示すオブジェクト(「コントロール」、「タイマ設定ドット状態(Timed Dot State)」、「ハードウェアラッパー」)のメッセージシーケンスを示すUMLシーケンス図である。
【図13】図13は、2つのブライユピンを特定のタイミングシーケンスで制御するための、図10に示すオブジェクト(「コントロール」、「タイマ設定ドット状態(Timed Dot State)」、「ハードウェアラッパー」)のメッセージシーケンスを示すUMLシーケンス図である。
【図14】図13は、ブライユピンのタイミングをユーザからのキー入力により動作/非動作させるための、図10に示すオブジェクト(「コントロール」、「キー状態」、「タイマ設定ドット状態」)のメッセージシーケンスを示すUMLシーケンス図である。
【図15】図15は、図8のソフトウェアの微少流体装置ライブラリの一例を示す図である。
【図16】図16は、図8のソフトウェアのプロセスライブラリの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微少流体装置内の流れを制御する方法において、当該方法が:
前記微少流体装置内の所望する流れに関するユーザ入力を受けるステップと;
前記ユーザ入力に応じてプロセスの特性を取得するステップと;
前記ユーザ入力に応じて装置の特性を取得するステップと;
前記取得した装置の特性とプロセスの特性に基づいて前記微少流体装置の流路内の流れを制御するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記流れを制御するステップが、前記微少流体装置内に配置された生体組織へ前記流れを導くステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、前記微少流体装置が、当該微少流体装置の流路の流量バルブを具え、前記特性を取得するステップが、前記流量バルブの状態を制御するステップを含み、前記流れを制御するステップが、前記流路内でユーザ入力に応じた流れが生成されるように流れを制限または開放して前記流量バルブの状態を適切な制御に設定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3の方法において、前記流れを制御するステップが、前記流量バルブを制御して流体を流路内に押しやって前記ユーザ入力に応じた流れを生成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、前記流れを制御するステップが:
前記微少流体装置の流路に複数のアクチュエータを配置するステップと;
前記ユーザ入力を前記流路に相関させるステップと;
前記配置するステップと相関させるステップに応じて前記アクチュエータを制御するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5の方法において、前記アクチュエータを制御するステップが、前記アクチュエータの状態のタイミングを取得するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、前記プロセスの特性がプロセスライブラリに保存されており、前記装置の特性が装置ライブラリに保存されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1の方法において、さらに、前記装置の流れに関連してフィードバック信号を生成するステップを具え、前記制御するステップが当該フィードバック信号に基づくことを特徴とする方法。
【請求項9】
微少流体装置内の流れを制御する命令をコンピュータに実行させるコンピュータコードにおいて、当該コードが:
前記微少流体装置内の所望の流れに関して取得したユーザ入力に応じてプロセスの特性を取得するコードと;
前記ユーザ入力に応じて装置の特性を取得するコードと;
前記取得した装置の特性とプロセスの特性に基づいて前記微少流体装置の流路内の流れを制御するコードとを具えることを特徴とするコード。
【請求項10】
請求項9のコンピュータコードにおいて、前記流れを制御するコードが、前記微少流体装置内に配置された生体組織へ前記流れを導くコードを含むことを特徴とするコード。
【請求項11】
請求項9のコンピュータコードにおいて、前記微少流体装置が、当該微少流体装置の流路の流量バルブを具え、前記取得したプロセスの特性が、前記流量バルブの制御状態を含み、前記流れを制御するコードが、前記流路内でユーザ入力に応じた流れが生成されるように流れを制限または許可して前記流量バルブの状態を適切な制御に設定するコードを含むことを特徴とするコード。
【請求項12】
請求項11のコンピュータコードにおいて、前記流れを制御するコードが、前記流量バルブを制御して流体を流路内に押しやって前記ユーザ入力に応じた流れを生成するコードを含むことを特徴とするコード。
【請求項13】
請求項9のコンピュータコードにおいて、前記流れを制御するコードが:
前記微少流体装置の流路に複数のアクチュエータをマッピングするコードと;
前記ユーザ入力を前記流路に相関させるコードと;
前記マッピングと相関に応じて前記アクチュエータを制御するコードを含むことを特徴とするコード。
【請求項14】
請求項11のコンピュータコードにおいて、前記アクチュエータを制御するコードが、前記アクチュエータの状態のタイミングを取得するコードを含むことを特徴とするコード。
【請求項15】
請求項9のコンピュータコードにおいて、前記プロセスの特性がプロセスライブラリに保存されており、前記装置の特性が装置ライブラリに保存されていることを特徴とするコード。
【請求項16】
請求項9のコンピュータコードにおいて、前記制御するコードが、前記流れまたは装置に関連するフィードバック信号に応じて前記流路内の流れを制御することを特徴とするコード。
【請求項17】
微少流体装置内の流れを制御するシステムにおいて、当該システムが:
前記微少流体装置内の所望する流れに関するユーザ入力を受け;
前記ユーザ入力に応じて装置の特性を取得し;
前記ユーザ入力に応じて装置の特性を取得し;
前記取得した装置の特性とプロセスの特性に基づいて前記微少流体装の流路内の流れを制御するようプログラミングされることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17のシステムにおいて、当該システムが、前記微少流体装置内に配置された生体組織へ前記流れを導く1以上の構成要素を具えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項17のシステムにおいて、前記微少流体装置が、当該微少流体装置の流路の流量バルブを具え、前記取得されたプロセスの特性が、前記流量バルブの制御の状態を含み、前記システムが、前記流路内でユーザ入力に応じた流れが生成されるように流れを制限または許可して前記流量バルブの状態を適切な制御に設定するようプログラミングされることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19のシステムにおいて、前記システムが、前記流量バルブを制御して流体を流路内に押しやって前記ユーザ入力に応じた流れを生成するようプログラミングされることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項17のシステムにおいて、前記流れが:
前記微少流体装置の流路に複数のアクチュエータをマッピングする手段と;
前記ユーザ入力を前記流路に相関させる手段と;
前記マッピングと相関に応じて前記アクチュエータを制御する手段とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21のシステムにおいて、前記アクチュエータを制御する手段が、前記アクチュエータの状態のタイミングを取得する手段を具えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項17のシステムにおいて、さらに、前記プロセスの特性が保存されるプロセスライブラリと、前記装置の特性が保存される装置ライブラリとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項17のシステムにおいて、前記システムが前記装置または流れに関連してフィードバック信号を生成するセンサを具え、前記システムが、当該フィードバック信号に基づいて流れを制御するようプログラミングされることを特徴とするシステム。
【請求項25】
複数の微少流体アクチュエータを制御して微少流体装置を変形させ当該装置内の1以上の空間の形状および/または容量を変化させる方法であって、当該方法が:
前記装置内で所望する流れを示す入力を受け付けるステップと;
前記入力に応じてプロセスと装置の特性に基づく駆動信号のセットを生成して、前記複数の微少流体アクチュエータを駆動し、これにより前記1以上の空間の形状および/または容量を変化させて前記所望の流れを得るステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
複数の微少流体アクチュエータを制御して微少流体装置を変形させ当該装置内の1以上の空間の形状および/または容量を変化させるシステムであって、当該システムが:
前記装置内で所望する流れを示す入力を受け付けと;
前記入力に応じてプロセスと装置の特性に基づく駆動信号のセットを生成して、前記複数の微少流体アクチュエータを駆動し、これにより前記1以上の空間の形状および/または容量を変化させて前記所望の流れを得るようプログラミングされることを特徴とするシステム。

【図15】図15は、図8のソフトウェアのアクチュエータマップの一例を示す図である。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−517250(P2008−517250A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534795(P2007−534795)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035175
【国際公開番号】WO2007/015703
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】