説明

シクロアルキルアミン置換イソキノロン誘導体

本発明は、Rhoキナーゼ及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRhoキナーゼ媒介リン酸化に関連する疾患の治療及び/又は予防に対して有用な、式(I)の6−置換イソキノロン誘導体、及びそのような化合物を含有する組成物に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に記載の新規なイソキノロン誘導体、それらの製造、及びRhoキナーゼ及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRhoキナーゼ媒介リン酸化の阻害に関連する疾患の治療及び/又は予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アゴニスト刺激による小分子GTPアーゼRhoAの活性化は、不活性GDP結合型から活性GTP結合型へのRhoAの変換をもたらし、それに続くRhoキナーゼへの結合及び活性化を引き起こす。2つのアイソフォームとして、Rhoキナーゼ1及びRhoキナーゼ2が公知である。Rhoキナーゼ2は血管平滑筋細胞及び内皮細胞に発現する。活性GTP結合RhoAによるRhoキナーゼ2の活性化は、ミオシン軽鎖ホスファターゼ活性のリン酸化媒介阻害を通して平滑筋細胞のカルシウム感作を引き起こし、それによってミオシン調節軽鎖の活性のアップレギュレーションを導く(非特許文献1)。
【0003】
Rhoキナーゼが、筋原性緊張及び平滑筋高収縮性の発生(非特許文献2)、気管支平滑筋収縮(非特許文献3)、喘息(非特許文献4、5)及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)(非特許文献6)、高血圧症、肺高血圧症(非特許文献7、8)及び高眼圧症及び眼圧の調節(非特許文献9)、内皮機能不全(非特許文献10)、アンギナ(非特許文献11、12)、高血圧誘発性、非高血圧誘発性及び糖尿病性腎症を含む腎症、腎不全及び末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)(非特許文献13)、心筋梗塞(非特許文献14、15)、心肥大及び心不全(非特許文献16、17、18)、冠状動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄(非特許文献19、20、21)、糖尿病、糖尿病合併症、グルコース利用及びメタボリックシンドローム(非特許文献22、23)、性的機能不全、例えば陰茎勃起障害(非特許文献24)、網膜症、炎症、免疫疾患、AIDS、骨粗鬆症、内分泌機能異常、例えば高アルドステロン症、神経変性及び脊髄損傷などの中枢神経系障害(非特許文献25)、脳虚血(非特許文献26、27、28、29)、脳血管攣縮(非特許文献30、31)、疼痛、例えば神経因性疼痛(非特許文献32、33)、細菌による消化管感染症(特許文献1)、癌発生及び進行、Rhoキナーゼの阻害が腫瘍細胞増殖と転移を阻害することが示されている新形成(非特許文献34、35)、血管新生(非特許文献36、37)、血管平滑筋細胞増殖と運動性(非特許文献38、39)、内皮細胞増殖、内皮細胞退縮及び運動性(非特許文献40)、ストレス線維形成(非特許文献41、42)、血栓疾患(非特許文献43、44、45、46)及び白血球凝集(非特許文献47、48、49)、及び骨吸収(非特許文献50)、NaH交換輸送系活性化(非特許文献51)、アルツハイマー病(非特許文献52)、アデュシン活性化(非特許文献53)を含む血管収縮に、並びにSREB(ステロール応答結合要素)シグナル伝達及び脂質代謝に対するその作用(非特許文献54)に、関与することは公知である。
【0004】
従って、Rhoキナーゼ及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRhoキナーゼ媒介リン酸化に対して阻害作用を有する化合物は、高血圧、肺高血圧、高眼圧、網膜症及び緑内障、末梢循環障害、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、冠状動脈性心疾患、狭心症、心肥大、心不全、虚血性疾患、虚血性臓器不全(末端器官障害)、肺線維症、肝線維症、肝不全、高血圧誘発性、非高血圧誘発性及び糖尿病性腎症を含む腎症、腎不全、腎線維症、腎糸球体硬化症、臓器肥大、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群、血栓疾患、発作、脳血管攣縮、脳虚血、疼痛、例えば神経因性疼痛、神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、早産、勃起障害、内分泌機能異常、動脈硬化症、前立腺肥大、糖尿病及び糖尿病合併症、メタボリックシンドローム、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症、自己免疫疾患、AIDS、骨粗鬆症などの骨障害、細菌による消化管感染症、敗血症、がん発生及び進行、例えば乳房、結腸、前立腺、卵巣、脳及び肺のがん並びにそれらの転移のように、一次及び二次疾患の原因としてRhoキナーゼを含む心血管及び非心血管疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0005】
特許文献2には、神経保護剤として有用な、−(CH21-6−O−(CH20-6−、−(CH20-6−S−(CH20-6−又は −(CH20-6−が結合したヘテロ環基で、場合により置換されたイソキノリン−5−スルホンアミド誘導体が記載されている。
【0006】
特許文献3には、イソキノリン環の1位に、エーテル又はエステル基を有する、Rho−キナーゼ阻害剤ファスジルのプロドラッグが記載されている。
【0007】
特許文献4には、細菌感染の治療に有用な、−O−(C0−C10)アルキル−ヘテロアリールで置換したシクロヘキシル誘導体が一般的に記載されている。
【0008】
特許文献5には、胃炎、癌又は潰瘍などの、Helicobacter pylori菌で引き起こされる疾患の治療用として有用なイソキノリン誘導体が記載されている。このイソキノリン誘導体は、1位がOHで置換され、そして好ましくは、5位がX−[(C1−C6)アルキレン)]0-1−Y(ここで、Xは酸素であり、Yはアリール又はヘテロ環基である)で置換されてもよい。
【0009】
Hagiharaらは、Helicobacter pylori菌で引き起こされる感染症の治療用として、6−ベンジルオキシ−イソキノリンを開示している(非特許文献55)。
【0010】
特許文献6には、細胞増殖を阻害するのに有用なEGF及び/又はPDGF受容体阻害剤としての、式「ArI−X−ArII」(ここで、Xは、(CHR1m−Z−(CHR1n、例えばZ−CH2であり、そしてZは、Oであり、R1は水素又はアルキルであり、ArIはとりわけ場合により置換されるイソキノロンであり、そしてArIIはとりわけ場合により置換されるC3−C7単環飽和ヘテロ環系である)の化合物が、一般的に記載されている。
【0011】
特許文献7では、心不整脈、脳卒中、うっ血性心不全などの治療用カリウムチャンネル阻害剤として、イソキノロン誘導体が一般的に記載されており、この誘導体は、6位において場合により(CRefpOR43基[ここで、pは0であってよく、そしてR43は、例えば場合によりNR5152で置換された(C3−C10)シクロアルキル残基であり、ここでR51及びR52は、水素、(C1−C6)アルキルなどであってよく;又はR43は、1、2、3又は4個のヘテロ原子を有する4〜6員環の不飽和又は飽和で単環のヘテロ環として定義されるR81基である]で置換され;そして、4位において直接結合した、場合により置換されたアリール又はヘテロアリール環により置換されたものである。
【0012】
特許文献8には、心不整脈、脳卒中、うっ血性心不全の治療用カリウムチャンネル阻害剤として、イソキノリン誘導体が一般的に記載されており、この誘導体は、1位においてヒドロキシル基で置換されてもよく、そして、6位において、場合により(CRefpOR43基[ここで、pは0であってもよく、そしてR43は、例えば場合によりNR5152で置換された(C3−C10)シクロアルキル残基であり、ここでR51及びR52は、水素、(C1−C6)アルキルなどであってよく;又は、R43は、1、2、3又は4個のヘテロ原子を有する4〜6員環の、不飽和又は飽和で単環のヘテロ環として定義されたR81基である]で置換され;そして、4位において、直接結合した、場合により置換されたアリール又はヘテロアリール環により置換されたものである。
【0013】
特許文献9には、Rho−キナーゼ阻害剤として、以下の式:
【化1】

のイソキノロン誘導体が、一般的に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開公報第98/06433号
【特許文献2】国際公開公報第01/64238号
【特許文献3】国際公開公報第2004/106325号(Schering AG)
【特許文献4】国際公開公報第2001/039726号
【特許文献5】特開平10−第087629号
【特許文献6】米国特許第5480883号
【特許文献7】国際公開公報第2005/030791号(Merck & Co.)
【特許文献8】国際公開公報第2005/030130号(Merck & Co.)
【特許文献9】国際公開公報第03/053330号(Ube)
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Uehata et al., Nature 1997, 389, 990-994
【非特許文献2】Gokina et al. J. Appl. Physiol. 2005, 98, 1940-1948
【非特許文献3】Yoshii et al. Am. J. Resp. Cell MoI. Biol. 20, 1190-1200
【非特許文献4】Setoguchi et al. Br J Pharmacol. 2001, 132, 111-118
【非特許文献5】Nakahara, et al. Eur J 2000, 389, 103
【非特許文献6】Maruoka, Nippon Rinsho, 1999, 57, 1982-1987
【非特許文献7】Fukumoto et al. Heart, 91, 391-2, 2005
【非特許文献8】Mukai et al. Nature 1997, 389, 990-994
【非特許文献9】Honjo et al. Invest. Ophthalmol. Visual Sci. 2001, 42, 137-144
【非特許文献10】Steioff et al. Eur. J. Pharmacol. 2005, 512, 247-249
【非特許文献11】Masumoto et al. Circ 2002, 105, 1545-1547
【非特許文献12】Shimokawa et al. JCP, 2002, 40, 751-761
【非特許文献13】Wakino et al. Drug News Perspect. 2005, 18, 639-643
【非特許文献14】Demiryurek et al. Eur J Pharmacol. 2005, 527, 129-140
【非特許文献15】Hattori et al. Circulation, 2004, 109, 2234-2239
【非特許文献16】Yamakawa, et al. Hypertension 2000, 35, 313-318
【非特許文献17】Liao et al. Am J Physiol Cell Physiol. 2006, 290, C661-668
【非特許文献18】Kishi et al. Circ 2005, 111, 2741-2747
【非特許文献19】Pacaud et al. Arch. MaI. Coeur 2005, 98, 249-254
【非特許文献20】Retzer, et al. FEBS Lett 2000, 466, 70
【非特許文献21】Negoro, et al. Biochem Biophys Res Commun 1999, 262, 211
【非特許文献22】Sandu, et al. Diabetes 2000, 49, 2178
【非特許文献23】Maeda et al. Cell Metab. 2005, 2, 119-129
【非特許文献24】Chitaley et al. Nature Medicine 2001, 7, 119-122
【非特許文献25】Hara, et al. JNeurosurg 2000, 93, 94
【非特許文献26】Uehata, et al. Nature 1997, 389, 990
【非特許文献27】Satoh et al. Life Sci. 2001, 69, 1441-53
【非特許文献28】Hitomi, et al. Life Sci 2000, 67, 1929
【非特許文献29】Yamamoto, et al. J Cardiovasc Pharmacol. 2000, 35, 203-211
【非特許文献30】Sato, et al. Circ Res 2000, 87, 195
【非特許文献31】Kim, et al. Neurosurgery 2000, 46, 440
【非特許文献32】Tatsumi, et al. Neuroscience 2005, 131, 491
【非特許文献33】Inoue, et al. Nature medicine 2004, 10, 712
【非特許文献34】Itoh, et al. Nature Medicine 1999, 5, 221
【非特許文献35】Somlyo, et al. Res Commun 2000, 269, 652
【非特許文献36】Uchida, et al. Biochem Biophys Res 2000, 269, 633-640
【非特許文献37】Gingras, et al. Biochem J 2000, 348, 273
【非特許文献38】Tammy et al. Circ. Res. 1999, 84, 1186-1193
【非特許文献39】Tangkijvanich et al. Atherosclerosis 2001, 155, 321-327
【非特許文献40】Oikawa et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2000, 269, 633-640
【非特許文献41】Kimura et al. Science 1997, 275, 1308-1311
【非特許文献42】Yamashiro et al. J. Cell Biol. 2000, 150, 797- 806
【非特許文献43】Kikkawa, et al. FEBS Lett. 2000, 466, 70-74
【非特許文献44】Bauer et al. Blood 1999, 94, 1665-1672
【非特許文献45】Klages, et al. J Cell Biol 1999, 144, 745
【非特許文献46】Retzer, et al. Cell Signal 2000, 12, 645
【非特許文献47】Kawaguchi, et al. Eur J Pharmacol.2000, 403,203-208
【非特許文献48】Sanchez-Madrid, et al. J Immunol. 2003, 171, 1023-1034
【非特許文献49】Sanchez-Madrid, et al. J Immunol. 2002, 168, 400-410
【非特許文献50】Chellaiah, et al. J Biol Chem. 2003, 278, 29086-29097
【非特許文献51】Kawaguchi, et al. Eur J Pharmacol. 2000, 403, 203-208
【非特許文献52】Zhou et al. Science 2003, 302, 1215-1217
【非特許文献53】Fukata et al. J. Biol. Chem., 1998, 273, 5542-5548
【非特許文献54】Lin et al. Circ. Res., 2003, 92, 1296-1304
【非特許文献55】Hagihara et al. Bioorg. Med. Chem. 1999, 7, 2647-2666
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの実施態様は、式(I):
【化2】

〔式中、
2は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、
H;
ハロゲン;
(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
OH;
O−R’’;
NH2
NHR’’;
NR’’R’’;又は
NH−C(O)−R’’;
であり;
4は、
H;
ハロゲン;
ヒドロキシ;
CN;
(C1−C6)アルキル;
R’;
(C1−C6)アルキレン−R’;
であり;
5は、
H;
ハロゲン;
CN;
NO2
(C1−C6)アルキル;
(C2−C6)アルケニル;
R’;
(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
CH(OH)−(C1−C6)アルキル;
NH2
NH−R’;
NH−SO2H;
NH−SO2−(C1−C6)アルキル;
NH−SO2−R’;
NH−C(O)−(C1−C6)アルキル;
NH−C(O)−R’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)OH; 又は
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
であり;
【0017】
6及びR6’は、互いに独立に、
H;
R’;
(C1−C8)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−O−R’;
(C1−C6)アルキレン−CH[R’]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)−R’;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R’;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R’]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)OR’;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)R’;
C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
C(O)NHR’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]R’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)−(C1−C6)アルキレン−R’;
C(O)O(C1−C6)アルキレン−R’;
であり;又は
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成し;
7は、
H;
ハロゲン;
CN;
NO2
(C1−C6)アルキル;
O−(C1−C6)アルキル;
(C2−C6)アルケニル;
R’;
(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−R’;
CH(OH)−(C1−C6)アルキル;
NH2
NH−R’;
NH−SO2H;
NH−SO2−(C1−C6)アルキル;
NH−SO2−R’;
SO2−NH2
SO2−NHR’;
NH−C(O)−(C1−C6)アルキル;
NH−C(O)−R’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)OH;又は
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
であり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは、1、2、3又は4であり;
mは、1、2、3、4又は5であり;そして
Lは、O又はO−(C1−C6)アルキレンであり;
ここで、
R’は、
(C3−C8)シクロアルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C6−C10)アリール;
であり;そして
【0018】
R’’は、
(C3−C8)シクロアルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−O−R’;又は
(C1−C6)アルキレン−NRxy
であり;そして、
ここで、Rx及びRyは、互いに独立に、
(C1−C6)アルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C6−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル;
(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C4)アルキレン−N[(C6−C10)アリール]2;又は
(C1−C4)アルキレン−N[(C5−C10)ヘテロ環]2
であり;
ここで、残基R4、R5、R6、R6’、R7及びR8における、アルキル、アルキレン又はシクロアルキルは、場合により、1回又はそれ以上OH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONHCH3又はCON(CH32により置換されても良く;
ここで、残基R2〜R8における、アルキル又はアルキレンは、場合により、1回又はそれ以上ハロゲンで置換されても良く;
ここで、残基R3〜R8における、(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環は、無置換、又はOH、ハロゲン、NO2、N3、CN、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)−(C1−C6)アリール、COOH、COO(C1−C6)アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)アルキル、CON[(C1−C6)アルキル]2、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−OH、(C1−C6)アルキレン−NH2、(C1−C6)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、O−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C1−C6)アルキル、PO32、SO3H、SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)アルキル、SO2N[(C1−C6)アルキル]2、S−(C1−C6)アルキル;SO−(C1−C6)アルキル、SO2−(C1−C6)アルキル、SO2−N=CH−N[(C1−C6)アルキル]2、C(NH)(NH2)、NH2、NH−(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)O−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C6−C10)アリール、NH−SO2−(C5−C10)ヘテロ環、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル]、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、O−(C6−C10)アリール、O−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、又はO−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環から独立に選択される好適な基により、1回又はそれ以上置換され;
ここで、(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロ環は、ハロゲン、OH、NO2、CN、O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル、NH2、NH(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、SO2CH3、COOH、C(O)O−(C1−C6)アルキル、CONH2、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C6−C10)アリール又はO−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールから独立して選択される基により、1〜3回置換されても良く;
又はここで、(C6−C10)アリールは、隣接して、O−(C1−C4)アルキレン−O基で置換され、それにより、酸素原子が結合している炭素原子と一緒になり、5〜8員環を形成し;
そしてここで、(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環基のアリール又はヘテロ環の置換基は、更に、アリール又はヘテロ環を含む基では置換されなくてもよく;
そしてここで、
mが3の場合、R6は、H、(C5−C10)ヘテロ環又は(C6−C10)アリールではなく;そしてここで、mが3で、R6が、
(C1−C8)アルキル;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−O−R’;
(C1−C6)アルキレン−CH[R’]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)−R’;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R’;又は
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R’]2
から選択される残基である場合、上記残基における、アルキル、アルキレン又はシクロアルキルは、1回又はそれ以上、好ましくは1〜3回、OH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONHCH3又はCON(CH32により置換される〕
の化合物、又はそれらの立体異性体及び/又は互変異生体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0019】
更なる実施態様において、式(I)の化合物は、式(I’):
【化3】

の化合物で特徴付けられる。式(I)及び(I’)の化合物は、互いに互変異性体であり、そして本発明の一部である。以下に示す実施態様は、式(I)及び(I’)の化合物について言及する。
【0020】
3は、好ましくはH、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R’、O−R’’又はNHR’’である。より好ましくは、R3は、H又はNHR’’である。最も好ましくは、R3は、H、NH−(C5−C6)ヘテロ環又はNH−フェニルであり、特に好ましくは、H、N原子を1つ若しくはそれ以上含むNH−(C5−C6)ヘテロアリール又はNH−フェニルである。最も好ましくは、R3はHである。
【0021】
3置換基の例としては、以下の基:
【化4】

がある。
【0022】
好ましくは、R4は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルである。より好ましくは、R4は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである。最も好ましくは、R4は、Hである。
【0023】
好ましくは、R5は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R’、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R’である。より好ましくは、R5は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R’、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R’である。最も好ましくは、R5は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロアリールである。特に好ましくは、R5は、H、ハロゲン、フェニル、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C6−C10)アリール又は(C5−C6)ヘテロアリールである。
【0024】
最も特に好ましくは、R5は、H、ハロゲン、メチル、エチル、ビニル、フェニル、チエニル又はピリジルである。
【0025】
5の例は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、ビニル、フェニル、チエニル又はピリジル、ニトリル、ニトロ、(p−メトキシ)−フェニル、N−アニリン、ベンジル、2−プロペニル、s−ブテニル、シクロプロピル、テトラゾール、アミノ、4−メトキシ−アニリン又はN−アセチルであり、好ましくは水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、ビニル、フェニル、チエニル又はピリジルである。より好ましくは、R5は、H、ハロゲン、メチル又はエチルであり、最も好ましくは、R5はHである。
【0026】
好ましくは、R6及びR6’は、互いに独立に、H、(C1−C6)アルキル、R’、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)R’ C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)NH−(C1−C6)アルキル、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2又はC(O)(C1−C6)アルキレン−R’であり、又は
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する。
【0027】
更なる好ましい実施態様において、R6及びR6’は、互いに独立に、H、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロ環、(C3−C8)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C8)シクロアルキル、C(O)NH−(C1−C6)アルキル、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;又は
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する。
【0028】
より好ましい実施態様において、R6は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキルであり;そして
6’は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロ環、(C5−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C8)シクロアルキル、C(O)NH−(C1−C6)アルキル、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;又は、
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する。
【0029】
更なるより好ましい実施態様において、R6は、H、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6’は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−C(O)N[(C1−C4)アルキル]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環であり;又は、
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する。
【0030】
更に、とりわけより好ましい実施態様において、
6は、H、(C1−C6)アルキルであり、そして
6’は、
H;
(C1−C6)アルキル;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル;
(C1−C4)アルキレン−C(O)N[(C1−C4)アルキル]2
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、ここで、ヘテロ環は、無置換、又は1回若しくはそれ以上、好ましくは1〜3回、より好ましくは1回又は2回、(C1−C4)アルキル、O(C1−C4)アルキル、ハロゲン又はフェニルから独立に選択された基で置換され、又は(C5−C10)ヘテロ環で1回置換され、ここで、フェニル又は(C5−C6)ヘテロ環は、無置換、又は1〜3回、ハロゲン、(C1−C4)アルキル又はO(C1−C4)アルキルで置換される;又は、
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、ここで、アリールは、無置換、又は1回若しくはそれ以上、好ましくは1〜3回、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、好ましくはCH3又はCF3;O−(C1−C4)アルキル、CN、SO2−NH2、SO2−(C1−C4)アルキル、好ましくはSO2−CH3又はSO2−CF3;SO2−N=CH−N[(C1−C4)アルキル]2、好ましくはSO2−N=N−N(CH32、NH−CO−(C1−C4)アルキル、好ましくはNH−CO−CH3;又はCO−O−(C1−C4)アルキルから独立に選択される基で置換され、又は(C6−C10)アリールは、無置換フェニル、無置換O−フェニル又は無置換(C5−C6)ヘテロ環で、1回置換される;
C(O)(C1−C4)アルキル;
C(O)(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
であり;又は、
R6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C6)ヘテロ環基を形成し、それは、無置換、又は1〜3回、好ましくは1回、(C1−C4)アルキル又はC(O)O(C1−C4)アルキルで置換され;
ここで、(C1−C4)アルキル又は(C1−C6)アルキル残基は、無置換、又は1〜3回、好ましくは1回、ハロゲンで、好ましくはフルオロで置換される。
【0031】
好ましくは、形成されたヘテロ環基は、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ又はピペラジノであり、それらは、無置換又は上で記載された通りに置換され、より好ましいヘテロ環基は、モルホリノ又は4−エチル−ピペラジニルである。
【0032】
最も好ましい実施態様において、R6は、H、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6’は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキルである。
【0033】
更に、最も好ましい実施態様において、R6はHであり、そしてR6’はH、好ましくは無置換の(C1−C6)アルキル、又は好ましくは無置換の(C3−C8)シクロアルキルである。特に好ましくは、R6及びR6’はHである。
【0034】
一つの実施態様において、R6は、特にmが3の場合、tert−ブチルオキシカルボニルではない。
【0035】
これらの実施態様の例として、R6又はR6’は、互いに独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、3−メチル−ブチル、2−メチル−プロピル、ブチル、ペンチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、又は以下の基:
【化5】

【0036】
【化6】

【0037】
【化7】

から成るグループから選択される置換基である。
【0038】
例示された置換基におけるアステリスク(*)は、結合がN原子に連結する位置を意味する。
【0039】
NR6及びNR6’がヘテロ環を形成する残基の例は、以下の基:
【化8】

である。
【0040】
例示された置換基におけるアステリスク(*)は、結合が炭素環に連結する位置を意味する。
【0041】
好ましくは、R7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R’又は(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルである。より好ましくは、R7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル又は(C5−C6)ヘテロアリールである。最も好ましくは、R7は、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、フェニル、ニトリル、シクロプロピル、チエニル又はビニルであり、最も特に好ましくは、R7は、H、フルオロ、クロロ、メチル又はメトキシである。より格別に好ましくは、R7はHである。
【0042】
8は、好ましくは、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである。より好ましくは、R8は、H、Cl、F、メチル又はエチルである。最も好ましくは、R8は、Hである。
【0043】
好ましくは、R2は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである。好ましくは、R2は、H又は(C1−C2)アルキルである。より好ましくは、R2は、H、メチル又はエチルである。最も好ましくは、R2は、Hである。R2は、連結基Lが結合する位置を含む環のいかなる炭素原子にも結合できる。
【0044】
好ましくは、nは、1、2又は3である。より好ましくは、nは1又は2である。最も好ましくは、nは1である。
【0045】
好ましくは、mは、2、3又は4である。より好ましくは、mは、3である。更なる実施態様において、mは、1、2、4又は5である。
【0046】
連結基Lは、環炭素原子を経由して環のいかなる位置にも結合可能である。好ましい実施態様で、mは3であり、そしてLは、全ての立体化学形態で、アミノシクロヘキサン環の4位に結合し、
【化9】

又は、Lは、アミノシクロヘキサン環の3位に結合する。
【化10】

【0047】
特に好ましい実施態様において、Lは、アミノシクロヘキサン環の4位に結合する。
【0048】
更に、好ましい実施態様において、Lは、O−メチレン、O−エチレンであり、又は好ましくはOである。より好ましくは、mは3であり、そして、Lは、アミノシクロヘキサン環の4位に結合する、O−メチレン、O−エチレン又はOである。
【0049】
残基R2〜R8において、アルキル又はアルキレンは、場合により、ハロゲンで1回又はそれ以上置換され得る。好ましくは、アルキル又はアルキレンは、クロロ又はブロモから選択されるハロゲンで1〜3回置換されるが、しかしフルオロで1回又はそれ以上置換されても良く、例えばペルフルオロ化されても良い。好ましくは、ハロゲンはフルオロである。より好ましいアルキル又はアルキレンは、ハロゲン化されない。
【0050】
残基R4、R5、R6、R6’、R7及びR8において、アルキル、アルキレン又はシクロアルキルは、場合により、1回又はそれ以上、OH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONHCH3又はCON(CH32から独立に選択される基で置換されてもよい。
【0051】
置換される場合、置換基の数は、好ましくは、1、2、3又は4個の間にあり、より好ましくは1又は2個であり、1個は更により好ましい。好ましくは、アルキレン又はシクロアルキルは置換されない。より好ましくは、アルキル、アルキレン又はシクロアルキルは置換されない。好ましくは、R4、R5、R7及びR8におけるアルキル、アルキレン又はシクロアルキルは置換されない。更なる実施態様において、R4、R5、R6、R7及びR8におけるアルキル、アルキレン又はシクロアルキルは置換されない。
【0052】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)又は(I’)の化合物に含まれる1つ又はそれ以上の又は全ての基は、互いに独立に、上記で特定された基の、任意の、好ましい、より好ましい、若しくは最も好ましい定義、又はその基の定義及び上記で特定された好ましい定義の組合せによって構成される、任意の1つ若しくはいくつかの特定された意味、本発明の主題であるより好ましい若しくは最も好ましい意味及び/又は特定された意味を有することができる。また、全ての好ましい実施態様に関して、本発明には、式(I)又は(I’)の化合物の全ての立体異性体、及び任意の比率での立体異性体の混合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0053】
上記に例示された置換基において、記号「*−」は、置換基の結合点を意味し、例えばR3置換基が以下の基:
【化11】

であり、そしてmが3の場合、式:
【化12】

の化合物を意味する。
【0054】
好ましい実施態様は、式(I)の化合物であって、ここで、
2は、水素、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R’、O−R’’又はNHR’’であり;
4は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、CN、(C2−C6)アルケニル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロ環又は(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環であり;
6及びR6’は、互いに独立に、H、R’、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R’、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R’、(C1−C6)アルキレン−CH[R’]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R’、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C4)アルキル]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R’]2、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C5−C10)ヘテロ環、C(O)NH−(C1−C6)アルキル、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;又は、
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C6)ヘテロ環基を形成する。
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル又はR’であり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
mは、2、3又は4であり;
nは、1、2又は3であり;そして
Lは、O、O−メチレン又はO−エチレンである;
化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩である。
【0055】
更なる好ましい実施態様は、式(I)の化合物であって、ここで、
2は、H又は(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン又はNHR’’(ここで、R’’は上記で定義した通りである)であり;
4は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、(C2−C4)アルケニル、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロ環であり;
6及びR6’は、互いに独立に、H、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C3)アルキレン−R’、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C8)シクロアルキル、C(O)−(C5−C10)ヘテロ環、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環又はC(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル又はR’であり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
mは、2、3又は4であり;
nは、1、2又は3であり;そして
LはOである;
化合物、又はその立体異性体及び/又は互変異性体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0056】
特に好ましい実施態様は、式(I)の化合物であって、ここで、
2は、H、(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、NH−(C5−C6)ヘテロアリール又はNH−フェニルであり;
4は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、(C1−C4)アルキル、ハロゲン、(C1−C4)アルケニル、 (C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール又は(C5−C6)ヘテロアリールであり;
6は、H、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキルであり;
6’は、H、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、(C1−C3)アルキレン−R’、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C6)シクロアルキル、C(O)(C5−C6)ヘテロ環、C(O)(C1−C3)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキル、C(O)(C1−C3)アルキレン−(C5−C6)ヘテロ環又はC(O)(C1−C3)アルキレンフェニルであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、O(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル、(C5−C6)ヘテロアリールであり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
mは3であり;
nは1であり;そして
LはOである;
化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩である。
【0057】
実施態様において、本発明は、以下の化合物:
15)1−[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−ピペリジン−4−カルボン酸アミド;
16)7−クロロ−6−(4−ピペリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
17)7−クロロ−6−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
19)7−クロロ−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
21)7−クロロ−6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−2H−イソキノリン−1−オン;
23)[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸エチルエステル;
24)[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸;
27)7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
28)N−[4−(7−メチル−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−trans−シクロヘキシル]−3−ピペリジン−4−イル−プロピオンアミド;
29)N−[4−(7−メチル−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−trans−シクロヘキシル]−2−ピペリジン−4−イル−アセトアミド;
30)N−[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシル]−3−ピペリジン−4−イル−プロピオンアミド;
31)N−[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシル]−2−ピペリジン−4−イル−アセトアミド;
43)6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
44)6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
45)6−((1S,3R)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
46)6−((1S,3R)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
47)6−((cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン;又は
48)7−クロロ−6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
のグループから独立に選択される式(I)の化合物若しくは式(I’)の化合物、又はそれらの立体異性体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0058】
別の実施態様において、本発明は、以下の化合物:
49)6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
54)6−(3−アミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
55)cis−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
56)trans−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
62)6−(5−アミノ−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
65)5−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−1−プロピル−シクロオクチルアミン;
66)6−(5−アミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
68)6−(5−ベンジル−アミノ−5−プロピル−シクロ−オクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
69)7−クロロ−6−(5−エチルアミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
70)7−クロロ−6−(cis−3−イソプロピルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
71)6−(3−cis−ベンジルアミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
72)6−(3−trans−ベンジルアミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
73)7−クロロ−6−(3−cis−ジベンジルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
74)7−クロロ−6−(3−trans−ジベンジルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;又は
75)7−クロロ−6−(3−trans−ジエチルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
のグループから独立に選択される式(I)の化合物若しくは式(I’)の化合物、又はそれらの立体異性体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩に関する(参照のため、化合物番号が付与されている)。
【0059】
本発明のいかなる実施態様におけると同様に、本発明化合物の、好ましい、より好ましい、最も好ましい定義、又は典型的な定義を含む前述の実施態様において、1つ又はそれ以上の又は全ての基は、上記で特定された任意の好ましい、より好ましい、最も好ましい定義、又はその定義によって構成され、及び上記で特定された任意の1つ又はいくつかの意味を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
イソキノリンの置換パターンは、IUPACの規則に基づいて付番される。
【化13】

【0061】
「式(I)又は(I’)の化合物」という全ての言及は、これ以降、上で記載した式(I)又は(I’)の化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩、及び/又はそれらの立体異性体、多形体及び溶媒和物を意味する。本明細書に記載した生理学的機能性誘導体もまた含まれる。
【0062】
式(I)又は(I’)の化合物の薬学的に許容される塩は、RemingtonのPharmaceutical Sciences (17th edition, page 1418 (1985))に記載されている有機及び無機の両方の塩を意味する。物理的、化学的安定性及び溶解性の故に、酸性基にとっては、とりわけ、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩が好ましく;塩基性基にとっては、とりわけ、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、メチルスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸の塩、又はカルボン酸若しくはスルホン酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、及び天然の塩基又はカルボン酸のアミノ酸の塩が好ましい。立体異性体を含んで、塩の生成が可能な式(I)又は(I’)の化合物からの薬学的に許容される塩の製造は、それ自体公知の方法で行われる。式(I)の化合物は、水酸化物、カーボネート、ビカーボネート、アルコラート及びアンモニアなどの塩基性試薬と、安定なアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩、又は場合により置換されたアンモニウム塩を形成し、又は有機塩基、例えばトリメチル−又はトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン若しくはトリエタノールアミン、トロメタモール、又はその他塩基性アミノ酸、例えばリシン、オルニチン若しくはアルギニンと塩を形成する。式(I)又は(I’)の化合物が塩基性基を有する場合、安定な酸付加塩は、また、強酸で製造することができる。本発明の化合物の薬学的に許容される好適な酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸などの無機酸の塩、及び例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸及び酒石酸などの有機酸の塩がある。
【0063】
薬学的に許容されないアニオンとの塩、例えば、トリフルオロ酢酸塩も、同様に、薬学的に許容される塩の製造又は精製のための、及び/又は非治療用途、例えば、イン・ビトロ用途への使用のための有用な中間体として、本発明の構成の範囲内に属する。
【0064】
本明細書で使用される用語「生理学的機能性誘導体」は、本発明の式(I)又は(I’)の化合物の生理学的に許容される任意の誘導体、例えばヒトのような哺乳類に投与した場合、式(I)又は(I’)の化合物又はその活性代謝物を(直接に又は間接に)形成することができる、N−オキシド体を意味する。
【0065】
生理学的機能性誘導体としては、例えばH. Okada et al., Chem. Pharm. Bull. 1994, 42, 57-61に記載されているような、本発明の化合物のプロドラッグも含まれる。その様なプロドラッグは、生体内で本発明の化合物に代謝され得る。これらのプロドラッグは、それ自身活性であっても、そうでなくても良い。
【0066】
本発明は、それらの立体異性体の形態における、式(I)又は(I’)の化合物に関し、これらの化合物は、ラセミ体、ラセミ混合物、純粋エナンチオマー及びジアステレオマー及びそれらの混合物を含む。
【0067】
本発明の化合物は、また、種々の多形の形態、例えば非晶性、結晶性の多形の形態として存在し得る。本発明の化合物の全ての多形の形態は、本発明の構成の範囲内に属し、そして本発明の更なる側面でもある。
【0068】
基又は置換基が、式(I)又は(I’)の化合物内に1回以上現れる場合、それらは、全て、互いに独立に、記載の意味を有し、そして同一であっても、異なっていても良い。
【0069】
用語(C1−C2)アルキル、(C1−C4)アルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C8)アルキル、及びそれらに対応するアルキレン置換基は、線状、即ち、直鎖状又は分枝鎖状であっても良く、そして1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を、それぞれ有する炭化水素残基として当然に理解される。このことは、また、アルキル基が別の基の置換基として存在する場合、例えばアルコキシ基(O−アルキル)、S−アルキル又は−O(C1−C6)アルキレン−O−、アルコキシカルボニル基又はアリールアルキル基の場合にも当てはまる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル;全てのこれらの基のn−異性体:イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、sec−ブチル、tert−ブチル又はtert−ペンチルがある。アルキル又はアルキレン基は、特に他の記述のない限り、1回又はそれ以上ハロゲン化されても良く、例えばアルキル基はフッ素化、例えばペルフルオロ化されても良い。ハロゲン化アルキルの例としては、CF3及びCH2CF3、OCF3、SCF3又は−O−(CF22−O−がある。
【0070】
アルケニルとしては、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(=アリル)、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、5−ヘキセニル又は1,3−ペンタジエニルがある。
【0071】
アルキニルとしては、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(=プロパルギル)又は2−ブチニルがある。
【0072】
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0073】
(C3−C8)シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロオクチルなどの、3、4、5、6、7又は8個の環炭素原子を有するシクロアルキル基であり、それはまた置換されていてもよく、及び/又は例えばシクロペンテニル又はシクロヘキセニルのように1又は2個の二重結合(不飽和シクロアルキル基)を含んでいてもよく、任意の炭素原子を経由して結合可能である。
【0074】
(C6−C10)アリール基は、芳香族環、又は縮合した、さもなくば連結した2つの芳香族環を含む環系、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、α−又はβ−テトラロン−、インダニル−又はインダン1オン−イル基を意味する。好ましい(C6−C10)アリール基は、フェニルである。
【0075】
(C5−C10)ヘテロ環基は、1個又はそれ以上の炭素原子が、1個又はそれ以上のヘテロ原子、例えば1、2又は3個の窒素原子、1又は2個の酸素原子、1又は2個の硫黄原子、又は異なったヘテロ原子の組合せで置き換えられ得る、単環又は二環系を意味する。ヘテロ環残基は、いかなる位置においても、例えば1−位、2−位、3−位、4−位、5−位、6−位、7−位又は8−位においても結合可能である。(C5−C10)ヘテロ環基は、(1)芳香族[=ヘテロアリール基]又は(2)飽和型、又は(3)芳香族/飽和混合型であっても良い。
【0076】
好適な(C5−C10)ヘテロ環基としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾモルホリニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、フラニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、クロメン−2−オンイル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラン、フリル、フラザニル、ホモモルホリニル、ホモピペラジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル,1,2,5−オキサジアゾリル,1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プロリニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアダジニル、チアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル及びキサンテニルが挙げられる。ピリジルは、2−、3−及び4−ピリジルのいずれをも意味する。チエニルは、2−チエニル及び3−チエニルの両者を意味する。フリルは、2−及び3−フリルの両者を意味する。また、含まれるものにはこれらの化合物の対応するN−オキシド体、例えば1−オキシ−2−、3−又は4−ピリジルがある。
【0077】
(C5−C10)ヘテロ環残基における置換は、空いている炭素原子又は窒素原子上で起こり得る。
【0078】
(C5−C10)ヘテロ環残基の好ましい例は、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、チエニル、ベンゾフリル、キノリニル、テトラゾリル及びトリアゾリルである。好ましい(C5−C10)ヘテロ環残基は、(C5−C6)ヘテロ環基である。
【0079】
(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環基は、無置換、又は特に他の記述がない限り、ハロゲン、OH、NO2、N3、CN、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)−(C1−C6)アリール、COOH、COO(C1−C6)アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)アルキル、CON[(C1−C6)アルキル]2、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−OH、(C1−C6)アルキレン−NH2、(C1−C6)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、O−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C1−C6)アルキル、PO32、SO3H、SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)アルキル、SO2N[(C1−C6)アルキル]2、S−(C1−C6)アルキル;SO−(C1−C6)アルキル、SO2−(C1−C6)アルキル、SO2−N=CH−N[(C1−C6)アルキル]2、C(NH)(NH2)、NH2、NH−(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)O−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C6−C10)アリール、NH−SO2−(C5−C10)ヘテロ環、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル]、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、O−(C6−C10)アリール、O−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、O−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環から独立に選択される好適な基で、1回又はそれ以上、好ましくは1〜3回置換され、ここで、(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロ環は、ハロゲン、OH、NO2、CN、O(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル、NH2、NH(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、SO2CH3、COOH、C(O)O−(C1−C6)アルキル、CONH2、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C6−C10)アリール、O−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールから独立に選択される基で1〜3回置換されても良く;又はここで(C6−C10)アリールは、O−(C1−C4)アルキレン−O基で、隣接して置換され、それにより、酸素原子が結合する炭素原子と一緒になり5〜8員環を形成する。(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環基のアリール又はヘテロ環置換基は、アリール又はヘテロ環を含む基で更に置換されなくともよい。
【0080】
(C6−C10)アリール基に対する好ましい置換基としては、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、O−フェニル、フェニル、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)OH、C(O)−(C1−C4)アルキル、ハロゲン、NO2、SO2NH2、C
N、SO2−(C1−C4)アルキル、SO2N=CH−N[(C1−C6)アルキル]2、NH−SO2−(C1−C4)アルキル、NH2、NHC(O)(C1−C4)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキル−OH、C(O)N[(C1−C4)アルキル]2、CONH(C1−C6)アルキル、C(O)NH2、N[(C1−C4)アルキル]2、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリールがあり、ここで、(C6−C10)アリールは、更に1〜3回、好ましくは1回、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリールで置換されても良く、又はO−(C1−C4)アルキレン−O基で隣接して置換されても良く、それにより、酸素原子が結合する炭素原子と一緒になって5〜8員環を形成する。(C6−C10)アリールに対するより好ましい置換基は、ハロゲン、CN、フェニル、O−フェニル;NH−C(O)−(C1−C4)アルキル、特にNH−C(O)−CH3;C(O)−(C1−C4)アルキル、特にC(O)−CH3;C(O)−O(C1−C4)アルキル、特にC(O)−OCH3;(C1−C4)アルキル、特にCH3又はCF3;O−(C1−C4)アルキル、特にO−CH3;SO2−NH2、SO2−(C1−C4)アルキル、特にSO2−CH3若しくはSO2−CF3;又はSO2N=CH−N[(C1−C4)アルキル]2、特にSO2N=CH−N(CH32である。
【0081】
一置換フェニル基において、置換基は、2−位、3−位、4−位に位置することが可能であり、3−位及び4−位が好ましい。フェニル基が2個の置換基を有る場合、それらは、2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位、又は3,5−位に位置することが可能である。3個の置換基を有するフェニル基において、置換基は、2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位、2,4,5−位、2,4,6−位又は3,4,5−位に位置することが可能である。
【0082】
フェニル基に関する上記の説明は、フェニル基から誘導される二価の対応する基、例えば無置換、又は置換された1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンであるフェニレン基にも当てはまる。上記の説明は、また、アリールアルキレン基におけるアリールサブ基にも、対応して当てはまる。無置換、又はアリールサブ基及びアルキレンサブ基に置換されたアリールアルキレン基の例としては、ベンジル、1−フェニルエチレン、2−フェニルエチレン、3−フェニルプロピレン、4−フェニルブチレン、1−メチル−3−フェニル−プロピレンがある。
【0083】
(C5−C10)ヘテロ環基についての好ましい置換基は、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−フェニル、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル、(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C4)アルキレンN[(C1−C4)アルキル]2又は(C6−C10)アリールであり、ここで、(C6−C10)アリールは、更に、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリールで置換されても良く、又はO−(C1−C4)アルキレン−Oにより、隣接して置換されても良く、それにより、酸素原子に結合する炭素原子と一緒になって5〜8員環を形成する。(C5−C10)ヘテロ環基に対するより好ましい置換基は、(C1−C4)アルキル、O(C1−C4)アルキル、ハロゲン又はフェニルであり、ここで、フェニルは、更に1〜3回、好ましくは1回、ハロゲン、(C1−C4)アルキル又はO−(C1−C4)アルキルで置換されても良い。
【0084】
(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環基の、一般的な及び好ましい置換基は、上に記載したR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、n、m及びLの一般的な及び好ましい定義と組み合わせても良い。
【0085】
従って本発明は、また、医薬(又は薬剤)として使用するための、式(I)又は(I’)の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグに関し、そしてまた、Rhoキナーゼ及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRhoキナーゼ媒介リン酸化に関連する疾患、即ち高血圧、肺高血圧、高眼圧、網膜症及び緑内障、末梢循環障害、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、冠状動脈性心疾患、狭心症、心肥大、心不全、虚血性疾患、虚血性臓器不全(末端器官損傷)、肺線維症、肝線維症、肝不全、高血圧誘発性、非高血圧誘発性及び糖尿病性の腎症を含む腎症、腎不全、腎線維症、腎糸球体硬化症、臓器肥大、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群、血栓疾患、発作(stroke)、脳血管攣縮、脳虚血、疼痛、例えば神経因性疼痛、神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、早産、勃起障害、内分泌機能異常、動脈硬化症、前立腺肥大、糖尿病及び糖尿病合併症、メタボリックシンドローム、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症、自己免疫疾患、AIDS、骨粗鬆症などの骨障害、細菌による消化管感染症、敗血症、がん発生及び進行、例えば乳房、結腸、前立腺、卵巣、脳及び肺のがん及びそれらの転移を治療及び/又は予防する薬剤を製造するための、式(I)又は(I’)の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグの使用に関する。
【0086】
更に本発明は、式(I)又は(I’)の少なくとも1つの化合物及び/又はその薬学的に許容される塩の有効量、並びに薬学的に許容される担体、即ち1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体物質(又はビヒクル)及び/又は添加物(又は添加剤)を含む医薬製剤(又は医薬組成物)に関する。
【0087】
薬剤は、例えばピル、錠剤、ラッカー錠剤(lacquered tablets)、コーティング錠、顆粒剤、ゼラチン硬カプセル剤及びゼラチン軟カプセル剤、液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又はエアゾール混合物の形態で、経口投与することができる。また一方、投与は直腸経由で、例えば坐剤の形態で、又は非経口的に、例えば静脈内、筋肉内若しくは皮下経由で、注射用液剤若しくは注入用液剤、マイクロカプセル剤、インプラント剤若しくはロッド剤、又は経皮的に若しくは局所的に、例えば軟膏剤、液剤若しくはチンキ剤の形態で、又は他の方法により、例えばエアゾール剤若しくは鼻スプレー剤の形態でも実施可能である。
【0088】
本発明の薬剤は、それ自体公知で当業者によく知られた方法で製造されるが、薬学的に許容される不活性な無機及び/又は有機担体物質及び/又は添加物が式(I)又は(I’)の化合物及び/又はその(それらの)薬学的に許容される塩及び/又はその(それらの)プロドラッグに加えて使用される。丸剤、錠剤、コーティング錠及びゼラチン硬カプセルの製造では、例えば乳糖、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを使用することが可能である。ゼラチン軟カプセル及び坐剤の担体物質は、例えば脂肪、ろう、半固体及び液体ポリオール、天然油又は硬化油などである。液剤、例えば注射用液剤、又は乳剤若しくはシロップ剤の製造に好適な担体物質は、例えば水、生理食塩水、アルコール、グリセリン、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖、植物油などである。マイクロカプセル、インプラント剤又はロッド剤に好適な担体物質は、例えばグリコール酸と乳酸との共重合体である。薬剤は、通常約0.5から90質量%の式(I)又は(I’)の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグを含む。薬剤中の式(I)又は(I’)の活性成分及び/又はその薬学的に許容される塩及び/又はそのプロドラッグの量は、通常約0.5から約1000mg、好ましくは約1から約500mgである。
【0089】
式(I)又は(I’)の活性成分及び/又はそれらの薬学的に許容される塩及び担体物質に加えて、薬剤は、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、着色剤、着香剤、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポ効果を達成する物質、浸透圧を変える塩、コーティング剤又は抗酸化剤などの1つ又はそれ以上の添加物を含む。それらは、2つ又はそれ以上の式(I)又は(I’)の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩を含むこともできる。薬剤が2つ又はそれ以上の式(I)の化合物を含む場合には、個々の化合物の選択は薬剤の特定の全体の薬理学的プロファイルを目標とすることができる。例えば、より短時間作用型の高活性化合物はより低活性の長時間作用型化合物と併用してもよい。式(I)又は(I’)の化合物における置換基の選択に関して許容される柔軟性は、化合物の生物学的又は物理化学的性質の少なからぬコントロールを可能にし、それゆえこのような所望化合物の選択を可能にする。更に、少なくとも1つの式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩に加えて、薬剤は1つ又はそれ以上の他の治療的又は予防的活性成分を含むこともできる。
【0090】
式(I)又は(I’)の化合物を使用する場合、医師には通例で知られているように、その用量は広い限界内で変動可能であり、各個体の症例において個体の状態(condition)に適しているものでなければならない。それは、例えば使用される特定の化合物、治療しようとする疾患の性質と重症度、投与様式とスケジュール、又は急性若しくは慢性状態を治療するのか、若しくは予防を行なうのかに依存する。一般的に、約75kgの体重の成人で所望する結果を達成するための1日用量は、約0.01から約100mg/kgであり、好ましくは約0.1から約50mg/kg、特に約0.1から約10mg/kgである(各場合で体重kg当りのmgとして)。1日用量は分割することができ、特に比較的大量の投与のケースでは、幾つかの、例えば2、3又は4回の部分投与に分割可能である。例によって、個体の挙動に依存して、適応の1日用量から上方又は下方にずらすことが必要なこともあり得る。
【0091】
更に、式(I)の化合物は、他の化合物、特に式Iの化合物から得られる他の薬剤活性成分の、製造用の合成中間体として使用することができ、その成分は、例えば置換基の導入又は官能基の修飾によって式(I)の化合物から取得することができる。
【0092】
一般に、カップリング反応で得られる生成物中になお存在する保護基は、次いで標準操作によって除去される。例えば、tert−ブチル保護基、特にアミノ基を保護する形態の1つであるtert−ブトキシカルボニル基は、トリフルオロ酢酸による処理で脱保護することができ、即ちアミノ基に変換することができる。既に説明したように、カップリング反応後は、官能基も好適な前駆体基から生成し得る。加えて、式(I)又は(I’)の化合物の薬学的に許容される塩又はプロドラッグへの変換も、次いで公知の方法により行うことができる。
【0093】
一般に、式(I)又は(I’)の最終化合物又は中間体を含む反応混合物は後処理され、所望の場合、生成物は次いで当業者に公知の通常の方法で精製される。例えば、合成化合物は、結晶化、クロマトグラフィー若しくは逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、又は例えば化合物のサイズ、電荷又は疎水性に基づく他の分離法などの既知の方法を用いて精製することができる。同様に、アミノ酸配列解析、NMR、IR及び質量分析法(MS)などのよく知られた方法を、本発明の化合物を確認するのに使用することができる。
【0094】
イソキノリン類及びイソキノリノン類は、様々な方法を経由して合成し得る。以下の一般的スキームはイソキノロン類を得る幾つかの可能な方法を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。
【0095】
スキーム1:
【化14】

【0096】
好適に置換されたアルデヒド、例えば互いに独立に、好適な位置で結合したハロゲン、アルキル、アルコキシ又はハロゲンであるX又はYにより置換されたアルデヒドは、例えばトルエンスルホン酸又は別の適切な酸による酸触媒下で、THF、クロロホルム又はトルエンのような溶媒中で、例えばアミノアセトアルデヒドのアセタールのような好適な化合物と反応させることによりイミン(ii)(ここで、Q’は、例えばメチル又はエチルであってもよい)を生成させることができ、このイミンは、さらに、種々の方法によって環化してイソキノリン(iii)にすることができる。これは、例えば、周囲温度から100℃の範囲の温度で、四塩化チタン、ハロゲン化第一鉄、ハロゲン化アルミニウムなどの好適なルイス酸によるルイス酸触媒反応によって、又は水素化ホウ素ナトリウムのような好適な還元剤の作用によってイミンを対応するアミンに還元し、該アミンを好適な酸クロライドとの反応によってアミド又はスルホンアミドに変換し、続いて適切なルイス酸の作用によって環化してイソキノリンにすることによって、なすことができる。次いで、イソキノリン(iii)自体を、過酸化水素、m−クロロ過安息香酸又はその他のような好適な酸化剤の作用により、室温又は昇温下で、対応するN−オキシド(iv)に変換することができる。次にN−オキシド(iv)は、それを五塩化リンの存在下又は不存在下でオキシ塩化リンのような試薬と反応させることによって1−クロロ−イソキノリン誘導体(v)に変換することができる。この誘導体(v)は、それを次いで水素化ナトリウムのような好適な塩基の存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はその他のような好適な溶媒中で、メタノール、エタノール又はベンジルアルコールのような様々なアルコールQ−OHと反応させることによって、好適な1−アルコキシ−誘導体に変えることができる。代替方法として、(v)は、酢酸アンモニウムのような試薬と反応させることによって、イソキノリノン誘導体(vii)に直接変換することができる。
【0097】
スキーム2:
【化15】

【0098】
代替方法として、好適な3−ホルミル化又はアシル化フルオロベンゼン(viii)(ここで、zは、例えばH、又はメチル若しくはエチルのようなアルキルである)を、水素化ナトリウムのような好適な塩基の存在下で、トリエチルホスホノアセテートのような試薬と反応させることによって対応する桂皮酸エステルを得、このエステルを、続いて好適な溶媒中、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムのような好適な塩基の作用によって開裂して酸(ix)を生成させることによって、イソキノリノンを得ることができる。次いで、(ix)は公知の方法によって対応する酸クロリドに変換することができ、この酸クロリドは、エーテル、クロロホルム又はアセトンのような好適な溶媒中、水の存在下又は不存在下で、アジ化ナトリウムと反応させることによって酸アジドに変換することができる。次いで対応するアジドは、ジフェニルメタン又はジフェニルエーテルのような好適な溶媒中、好適な温度で反応させることによって、イソキノリノン(x)に変換することができる。
【0099】
スキーム3:
【化16】

【0100】
上記で得られた6−フルオロ−イソキノロン、例えば(vi)は、DBU、炭酸セシウム又は水素化ナトリウムのような塩基の存在下で、好適なP1/P2置換アミノアルコール(ここで、P1/P2は、互いに独立に、例えばハロゲン、アルキル又はBoc若しくはフタロイルのような保護基である)と反応させて、対応するアルコキシ置換誘導体(xi)を得ることができる。結局のところ、この変換は合成の初期の段階で実施することができる(例えば、好適な中間体を反応させることによって)。当然ながら、これには、未保護イソキノロンの場合、塩基の存在下で、好適に置換されたアルキル又はハロゲン化ベンジルとの反応のような好適な方法によって、イソキノロン部分の窒素又は酸素の保護を必要とする場合もある。
【0101】
この方法に経て得られた(xi)のような生成物は、次いで遊離させるか、又は適切なアミノ官能基が存在する場合は、好適な溶媒中、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下で、且つモレキュラーシーブのような水吸収剤又は好適なオルトエステルの存在下で、好適なアルデヒド又はケトンと反応させることができる。このアミノ基は、例えばBoc基の酸による除去のように、初期の段階で遊離させなければならない場合もある。更に、アミノ基は、トリエチルアミン又はヒューニッヒ塩基のような塩基の存在下で好適な酸クロリドと反応させることによって、又はトリエチルアミン又はヒューニッヒ塩基のような塩基、及びEDC、PyBOP又はTOTUのようなカップリング試薬の存在下で、好適なカルボン酸と反応させることによって、アシル化することができる。
【0102】
保護イソキノロンを使用する場合、所望のイソキノロン(xii)を遊離させるためには使用した保護基の開裂が必要である。しかしながら、この遊離は、使用されるアルデヒド/ケトン及び使用される保護基の特性に応じて、還元的アミノ化の工程の前又は後で行なうことができる。
【0103】
(xii)のようなイソキノロン誘導体は、遊離塩基として、又は例えば塩酸塩、臭化素酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩又はフマル酸塩のような様々な塩として得ることができる。得られた塩は、それらをイオン交換クロマトグラフィーで処理するか、又は例えばアルカリ水で処理し、その後、例えばメチル−tert−ブチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル又はイソプロパノール/ジクロロメタン混合物などの好適な有機溶媒を用いて抽出し、続いて蒸発乾固するのいずれかにより、対応する遊離塩基に変換することができる。
【0104】
上記のイソキノリン誘導体を製造する一般的な方法は、式(I)又は(1’)の化合物の製造に容易に適合できる。以下の実施例において、本発明の化合物の製造をより詳細に概説する。
【0105】
従って、以下の実施例は本発明の一部であり、本発明を説明することを目的とするものであるが、本発明を限定することを目的とするものではない。
【0106】
当然ながら、本発明の様々な実施態様の活性に実質的に影響を与えない変更も、本明細書に開示された発明の範囲内に含まれる。
【0107】
LC/MS−方法:
方法A:
固定相: Col YMC Jsphere、33×2
グラジエント: ACN+0.05% TFA:H2O+0.05% TFA
5:95(0分)〜95:5(3.4分)〜95:5(4.4分)
流速: 1mL/分
方法B:
固定相: Col YMC Jsphere、33×2
グラジエント: ACN+0.05% TFA:H2O+0.05% TFA
5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3.0分)
流速: 1mL/分
方法C:
固定相: Col YMC Jsphere ODS H80、20×2
グラジエント: ACN:H2O+0.05% TFA
4:96(0分)〜95:5(2.0分)〜95:5(2.4分)
流速: 1mL/分
方法D:
固定相: Col YMC Jsphere、33×2.1
グラジエント: Grad ACN+0.08%FA:H2O+0.1%FA(ギ酸)
5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3分)
流速: 1.3mL/分
方法E:
固定相: Col YMC Jsphere、33×2
グラジエント: ACN+0.05% TFA:H2O+0.05% TFA
5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3.2分)
流速: 1.3mL/分
方法F:
固定相: Col YMC-Pack Pro Jsphere、33×2.1
グラジエント: Grad ACN+0.01%FA:H2O+0.1%FA(ギ酸)
5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3分)
流速: 1.3mL/分
方法G:
固定相: Col YMC Jsphere、33×2.1
グラジエント: ACN+0.05% TFA:H2O+0.05% TFA
2:98(0分)〜2:98(1分)〜95:5(5分)〜95:5(6.25分)
流速: 1mL/分
方法H:
固定相: Col YMC Jsphere ODS H80、20×2
グラジエント: ACN:H2O+0.05% TFA
7:93(0分)〜95:5(1.2分)〜95:5(1.4分)
流速: 1mL/分
方法I:
固定相: Waters XBridge C184
グラジエント: ACN+0.05% TFA:H2O+0.05% TFA
5:95(0分)〜5:95(0.3分)〜95:5(3.5分)〜95:5(4分)
流速: 1.3mL/分
方法J:
固定相: Col YMC Jsphere、33×2
グラジエント: ACN+0.05% TFA:H2O+0.05% TFA
5:95(0分)〜5:95(0.5分)〜95:5(3.5分)〜95:5(4分)
流速: 1.3mL/分
【0108】
(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−アミン(1)
【化17】

4−フルオロベンズアルデヒド(12.4g)をトルエン(100mL)に溶解し、アミノアセトアルデヒド−ジメチルアセタール(10.5g)及びp−トルエンスルホン酸・一水和物(1.9g)をディーン・スターク装置で2時間反応させた。この溶液を冷却するにまかせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水、及びブラインで抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発乾固した。粗生成物をエタノール(100mL)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(1.89g)を少量ずつ加えた。一夜攪拌を継続した。後処理のため、ガスの発生が見られなくなるまで酢酸を加えた。その後、この溶液を蒸発乾固し、ジクロロメタンに溶解し、水で2回洗浄した。有機層をブラインで抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発乾固した。得られた粗生成物(20g)は更に精製することなく使用した。Rt=0.86分(方法B)。検出質量:282.1(M−OMe-)、214.2(M+H+)。
【0109】
N−(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−4−メチル−ベンゼン−スルホンアミド(2)
【化18】

(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−アミン(1)(20g)をジクロロメタン(120ml)に溶解した。ピリジン(20ml)を添加した。0℃で、ジクロロメタン中p−トルエンスルホン酸クロリド(23.8g)の溶液を滴下して加えた。反応液を室温に温まるにまかせ、変換が完了するまで攪拌を継続した。後処理のため、反応混合物を2Mの塩酸で2回、重炭酸ナトリウム溶液で2回、そしてブラインで1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発乾固し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(22.95g)をオレンジ色の油状物質として得た。Rt=1.71分(方法C)。検出質量:336.1(M−OMe-)。
【0110】
6−フルオロ−イソキノリン(3)
【化19】

AlCl3(41.6g)をジクロロエタン(400mL)に懸濁させた。室温で、ジクロロメタン(150ml)中N−(2,2−ジメトキシ−エチル)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド(2)(22.95g)の溶液を加えた。室温で一夜攪拌を継続し、この溶液を氷上に注ぎ、層を分離し、水相をジクロロメタンで2回抽出し、次いで有機層を合わせて重炭酸ナトリウム溶液で2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、蒸発乾固し、そして得られた粗生成物(8.75g)をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物3(2.74g)を得た。Rt=0.30分(方法C)。検出質量:148.1(M+H+)。
【0111】
7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(4)
【化20】

3−クロロ−4−フルオロ−ベンズアルデヒドを出発物質として、6−フルオロ−イソキノリン(3)の合成のために使用した反応手順と類似の方法により、標題化合物を製造した。Rt=0.77分(方法A)。検出質量:182.1/184.1(M+H+)。
【0112】
7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(5)
【化21】

7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(4)(25g、137.7ミリモル)をジクロロメタン(500ml)に溶解した。室温でm−クロロ過安息香酸(70%)(50.9g、206.5ミリモル)を加えて、変換が完全に達成されるまで室温で混合物を攪拌した。後処理のため、沈殿物を濾去し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。層を分離し、水相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。このように得られた固形物(18.4g)を、更に精製することなく使用した。Rt=0.87分(方法C)。検出質量:198.1/200.1(M+H+)。
【0113】
1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)
【化22】

7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(5)(2.6g、12.0ミリモル)を、POCl3(40ml)中、還流下で4時間加熱した。混合物を室温に冷却した後、混合物を氷上に注いだ。水溶液をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて標題化合物(2.91g)を得、この化合物を更に精製することなく使用した。Rt=2.34分(方法A)。検出質量:216.0/218.0(M+H+)。
【0114】
7−クロロ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(7)
【化23】

1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)(41.13g、190.4ミリモル)を酢酸(670ml)に溶解した。酢酸アンモニウム(148.8g、1.90モル)を加えた後、溶液を100℃で攪拌した。3時間後、溶媒を減圧下で除去し、残留物を水に注いだ。水相をジクロロメタンで3回抽出し、有機層を合わせて飽和重炭酸ナトリウム溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾固した。粗生成物をエチル/ヘプタンから結晶化して、所望の生成物(収量:14.85g)を得た。母液の蒸発及びシリカゲルクロマトグラフィーにより、更に4.5gを得た。
沈殿物を濾過し、標題化合物(収量:9.91g)を得た。Rt=1.33分(方法B)。検出質量:198.0(M+H+)。
【0115】
6−フルオロ−イソキノリノン(8)
【化24】

塩化チオニル(4.8mL、90.3ミリモル、1.5当量)を、クロロホルム(44ml)及びDMF(1ml)中3−フルオロ珪皮酸(10g、60.2ミリモル)の溶液に少量づつ加えた。反応混合物を還流下に2.5時間加熱した。その後、溶媒を留去して粗製酸クロリド(収量:11.4g)を得、これを更に精製することなく使用した。
【0116】
酸塩化物をアセトン(45mL)に溶解した。0℃でNaN3(8.03g、123.5ミリモル、2当量)を少量づつ加えた。その後、温度を5℃未満に保ちながら水(41mL)を加えた。反応液を、更に1.5時間攪拌した。その後、クロロホルム(55mL)を加えた。水(80mL)で洗浄し、次いでブライン(40mL)でこの混合物を洗浄した。Na2SO4上で乾燥し、濾過後、ジフェニルエーテル(14mL)を加えて、(加熱せず)減圧下で大部分のクロロホルムを除去した。クロロホルム全部の除去は避けるべきである。
【0117】
アジド、ジフェニルエーテル及び残留クロロホルムを含む溶液を、ジフェニルエーテル(97mL)中トリブチルアミン(10mL)の溶液に、260℃で15分以内に滴下しながら加えた。添加中に活発な反応が認められた。反応液を260℃で更に20分間攪拌した。室温に冷却後、n−ヘプタン(270mL)を加えた。沈殿した生成物を濾過し、エーテルで洗浄して、標題化合物(5.65g)を得た。MS(DCI)検出質量:164.0(H+H+
【0118】
6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(9)
【化25】

p−メトキシベンジルクロリド(169μL、1.24ミリモル、1.1当量)を、DMF(3mL)中6−フルオロ−イソキノリノン(8)(200mg、1.13ミリモル)及びCs2CO3(368mg、1.36ミリモル、1.2当量)の懸濁液に加えた。混合物を2時間攪拌し、その後氷上に注いだ。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥して、標題化合物(300mg)を得た。Rt=1.76分(方法B)。検出質量:284.14(M+H+)。
【0119】
7−クロロ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(10)
【化26】

7−クロロ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(7)を出発物質として、6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(9)について記載したプロトコールに従って、標題化合物を製造した。Rt=1.66分(方法C)。検出質量:318.3(M+H+)。
【0120】
1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(11)
【化27】

7−クロロ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(7)(14.74g、74.6ミリモル)を、トルエン(150ml)に溶解した。炭酸銀(30.86g、111.9ミリモル)及び臭化ベンジル(15.31g、89.5ミリモル)を加えた後、混合物を80℃で3時間攪拌した。室温に冷却した後、反応混合物を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させた。分取型HPLCによる最終精製により、標題化合物(11.63g)を得た。Rt=2.51分(方法B)。検出質量:288.1/290.1(M+H+)。
【0121】
6−(cis−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(12)
【化28】

cis−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.19g、10.2ミリモル)をジメチルアセトアミド(20ml)に溶解した。アルゴン雰囲気下で水素化ナトリウム(60%)(814mg、20.4ミリモル)を加えて、この混合物を室温で攪拌した。30分後、ジメチルアセトアミド(5ml)中1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)(2.0g、9.26ミリモル)の溶液を加え、室温で攪拌を継続した。1時間後、ベンジルアルコール(2.0g、18.5ミリモル)及び水素化ナトリウム(60%)(740mg、18.5ミリモル)を加えた。反応液を室温で2時間攪拌した後80℃で30分間攪拌し、完全に変換を達成した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥後、有機層を蒸発させて、粗製中間体、cis−[4−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.44g)を得た。中間体を室温でメタノールに溶解し、2NのHClで処理した。2日間攪拌した後、水酸化ナトリウムを加えて、反応混合物をアルカリ性pHに調整した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をエタノール中で攪拌した。濾液の濾過及び蒸発により固形物を得、これを分取型HPLCにより精製した。得られたトリフルオロ酢酸塩を2NHClに溶解した。最終の凍結乾燥により、標題化合物(433mg)を塩酸塩として得た。Rt=0.89分(方法B)。検出質量:293.2/295.2(M+H+)。
【0122】
1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルオキシ)−イソキノリン(13)
【化29】

ジオキサ−スピロ−[4.5]−デカン−8−オール(1.26g、8.34ミリモル)をジメチルアセトアミド(50ml)に溶解し、水素化ナトリウム(60%)(695.2mg、17.4ミリモル)を加えた。室温で30分間攪拌後、ジメチルアセトアミド(50ml)中1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(2.0g、6.95ミリモル)の溶液を加えて、室温で攪拌を継続した。1時間後、減圧下で溶媒を除去した。残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発させて、粗生成物(3.30g)を得、この粗生成物を、更に精製することなく使用した。Rt=2.05分(方法C)。検出質量:426.5(M+H+)。
【0123】
7−クロロ−6−(4−オキソ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(14)
【化30】

1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルオキシ)−イソキノリン(13、粗生成物)(3.30g)を、室温で6NのHCl/アセトン(1:2)(30ml)中で攪拌した。3時間後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を分取型HPLCで精製した。Rt=1.34分(方法B)。検出質量:292.0(M+H+)。
【0124】
7−クロロ−6−(4−オキソ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(14)を出発物質として、以下に記載する一般手順と同様にして、以下の化合物を塩酸塩として合成した。
【0125】
還元的アミノ化反応の一般法:
好適なアミン(0.46ミリモル)をメタノール(10ml)に溶解した。モレキュラーシーブ4オングストローム、トリエチルアミン(92.3mg、0.57ミリモル)、酢酸(273.8mg、4.56ミリモル)及びケトン(14)(0.57ミリモル)を添加した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(86.0mg、1.37ミリモル)を滴下しながら加え、変換が完全に達成されるまで室温で混合物を攪拌した。いくつかのケースでは、完全な変換を達成するため、混合物を70℃に加熱する必要があった。生成物を単離するため、溶液を濾過し、減圧下で溶媒を除去した。残留物をジクロロメタンに溶解し、1NのNaOH及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。モノ−、または得られた場合ビスアルキル化生成物を、分取型HPLCにより精製するか、又はメタノール性HClから沈殿させた。
【0126】
得られたトリフルオロアセテートを2NのHCl/メタノール中で攪拌し、蒸発させ、水に溶解し、凍結乾燥して、所望の生成物を塩酸塩として得た。Boc−保護生成物は、0.1%TFAを含んだHPLCの生成物画分の蒸発中、又はその後の2NのHCl/メタノール中での攪拌中に脱保護された。表1を参照。
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)
−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸・エチルエステル(23)
【化31】

6−cis−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(12)(300mg、0.91ミリモル)をメタノール(20ml)に溶解し、還元的アミノ化反応の一般法に従って、グリオキシル酸エチルエステル(258mg、1.14ミリモル)で処理した。完全な変換を達成するため、グリオキシル酸エチルエステル(5当量)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.5当量)を34時間に亘って少量ずつ加え、5時間反応させた後に温度を60℃に上げ、反応を完了させた。濾過後、反応溶液を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解し、1NのNaOH及び飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。そうして得られた粗生成物は、更に精製することなく次の反応に使用した。Rt=0.81分(方法C)。検出質量:365.4(M+H+、メチルエステル、メタノールを溶媒として使用したため)、0.87分。(方法C)。検出質量:379.4(M+H+、エチルエステル、標題化合物)。
【0131】
[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸(24)
【化32】

[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸エチルエステル(23、粗生成物)(185mg)をメタノール(2ml)に溶解した。2NのNaCO3−溶液(2ml)を加えた後、溶液を室温で1.5時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を分取型HPLCで精製し、これによりトリフルオロアセテートとして標題化合物が得られた。Rt=0.91分(方法B)。検出質量:351.3(M+H+)。
【0132】
6−(trans−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(25)
【化33】

【0133】
a)6−フルオロ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
アセトン(80ml)中3−フルオロ−4−メチル−珪皮酸(10.0g、55.5ミリモル)の溶液に、0℃でアセトン(10ml)中のトリエチルアミン(6.74g、66.6ミリモル)を加え、続いてエチルクロロホルメート(7.83g、72.2ミリモ
ル)を加えた。0〜5℃で2時間攪拌した後、水(9.5ml)中アジ化ナトリウム(4.0g、61.1ミリモル)の溶液を加えた。更に1時間攪拌後、反応混合物を氷水(200ml)に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ジフェニルエーテル(40ml)を加え、減圧下でクロロホルムを注意深く除去した。その後、残留物を予め245℃に加熱しておいたジフェニエーテル(50ml)に滴下しながら加えた。添加の完了後、230〜250℃で更に1時間攪拌した。150℃に冷却後、反応混合物をヘプタン(270ml)に注ぎ、氷浴で更に冷却後、沈殿生成物を吸引により濾過し、6−フルオロ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(4.1g)を得た。
【0134】
b)6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
DMF(80ml)中6−フルオロ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(9.17g、51.8ミリモル)の溶液に、炭酸セシウム(20.2g、62.1ミリモル)を加え、その後4−メトキシベンジルクロリド(8.92g、56.9ミリモル)を加えた。室温で90分間攪拌後、反応混合物を水(600ml)に注ぎ、1時間攪拌し、それから沈殿した生成物を吸引により単離した。母液から、ヘプタン/酢酸エチル(80:20)を用いたクロマトグラフィーにより、追加の生成物を単離した。生成物を合わせて酢酸エチルから再結晶化し、6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(8.39g)を得た。
【0135】
c)6−(trans−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
ジメチルアセトアミド(20ml)中trans−4−アミノシクロヘキサノール・塩酸塩(1.48g、9.75ミリモル)の溶液に、水素化ナトリウム(60%)(1.95g、48.77ミリモル)を加え、混合物を15分間攪拌した。続いて、ジメチルアセトアミド(30ml)中の6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(2.90、9.75ミリモル)を加え、反応混合物を80℃で2日間加熱した。冷却後、混合物を氷水(300ml)に注ぎ、沈殿した粗生成物をクロマトグラフィーにより精製した。最初に未反応の出発物質を酢酸エチル/ヘプタン(2:1)で溶離し、最後に所望の生成物を純メタノールで溶離して、6−(trans−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(1.98g)を得た。
【0136】
d)6−(trans−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(25)
6−(trans−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(2.64g、6.7ミリモル)及びトリフルオロ酢酸(15.3g、134.5ミリモル)を、マイクロ波オーブン中、150℃で2時間加熱した。過剰なトリフルオロ酢酸を減圧下で留去し、残留物を1M塩酸塩(130ml)で希釈した。水相をジクロロメタンで3回洗浄し、その後凍結乾燥して塩酸塩を得、この塩酸塩をイソプロパノールから再結晶化した。これにより6−(trans−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(25)(1.1g)を塩酸塩として得た。Rt=0.92分(方法B)。検出質量:273.22(M+H+)。
【0137】
6−(cis−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(26)
【化34】

【0138】
a)cis−4−アミノシクロヘキサノール
ジクロロメタン(300ml)中のシクロヘキサノンオキシム(30.0g、0.265モル)に、0℃で次亜塩素酸tert−ブチル(34.5g、0.318モル)をゆっくり加えた。得られた暗青色溶液を−20℃まで冷却し、その後、1,3−シクロヘキサジエン(31.9g、0.398モル)を加え、青色が消えるまで混合物を冷凍庫内に5℃で2日間保管した。反応混合物をその容積の50%まで濃縮し、その後、ジエチルエーテル(600ml)をゆっくり加えた。一夜攪拌後、得られた沈殿物を吸引により単離し、2−オキサ−3−アザア−ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン(29.0g)を塩酸塩として得た。この物質(5.0g、0.045モル)を、2バールの水素圧下で酸化白金(3.0g、0.013モル)を用いて水素化した。7時間後、触媒を濾去し、4Mの塩酸ジオキサン溶液(20ml)を加えた。蒸発後、残留物をイソプロパノール(30ml)から再結晶化して、cis−4−アミノシクロヘキサノール(3.1g)を塩酸塩として得た。
【0139】
b)6−(cis−4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(26)
cis−4−アミノシクロヘキサノール・塩酸塩(2.55g、16.8ミリモル)及び6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(25、工程b)(5.0g、16.8ミリモル)から、実施例25(工程c及びd)に記載したようにして、6−(cis−4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン・塩酸塩(0.98g)を製造した。Rt=0.99分(方法B)。検出質量:273.18(M+H+)。
【0140】
7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ−2H−イソキノリン−1−オン(27)
【化35】

【0141】
a)2−(4−メトオキシ−ベンジル)−7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
DMF(40ml)中6−(cis−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(26、工程b)(0.4g、1ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(0.31g、2ミリモル)及び炭酸カルシウム(0.35g、2.5ミリモル)の溶液に、1,4−ジブロモブタン(0.24g、1.1ミリモル)を滴下しながら加えた。室温で2日間攪拌後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。乾燥及び蒸発後、残留物をクロマトグラフィーで精製し、2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(182mg)を得た。
【0142】
b)7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ−2H−イソキノリン−1−オン(27)
2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(180mg、0.4ミリモル)を、トリフルオロ酢酸(0.9g)と、マイクロ波オーブン中150℃で加熱した。水による後処理後、7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オンを塩酸塩として得た。Rt=1.07分(方法B)。検出質量:327.2(M+H+)。
【0143】
アミド生成の一般法:
好適なアミン(塩酸塩として)(0.6ミリモル)を無水DMF(7.5mL)中に懸濁させた。0℃に冷却後、トリエチルアミン(0.6ミリモル)及びO−((エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ〕−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)(0.6ミリモル)を加えた。この溶液を、DMF(7.5mL)中対応するカルボン酸(0.6ミリモル)及びトリエチルアミン(1当量)の溶液に加えた。混合物を室温に温め、2時間攪拌した。反応の進行をHPLCにより監視し、必要に応じて追加当量のTOTU及びトリエチルアミンを加えた。混合物を蒸発させ、粗生成物を酢酸エチルに溶解し、セライトで濾過し、溶媒を蒸発させた。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0144】
得られた生成物をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を加えた。混合物を常温で2時間攪拌し、蒸発させ、1MのHClに溶解し、凍結乾燥した。最後に粗生成物を水に2回溶解し、次いで凍結乾燥により、所望の生成物を塩酸塩として得た。
【0145】
【表4】

【0146】
【表5】

【0147】
(1R,3S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンタノール(32)
【化36】

酢酸エチル(10ml)中(1S,4R)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンタ−2−エノール(Curran, et al, Tetrahedron 1997, 53, 1983-2004)(2.0g、9.33ミリモル)の溶液を、20%水酸化パラジウム/活性炭(66mg)を用いて処理し、この混合物を室温で水素雰囲気下(1気圧)で一夜攪拌した。触媒を濾過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させて、標題化合物(32)(2.0g)を得た。Rt=1.72分(方法C)。検出質量:217.2(M+H+)。
【0148】
(1S,3S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチルアミン(33)
【化37】

(1R,3S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンタノール(32)(720mg、3.33ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(2.18g、8.32ミリモル)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、−20℃に冷却した。その後、アゾジカルボン酸ジエチル(1.05mL、6.65ミリモル)を、そして3分後、ジフェニルホスホリルアジド(717μL、3.33ミリモル)を滴下しながら加え、混合物を室温で一夜攪拌した。ジエチルエーテル及び飽和塩化ナトリウム溶液を加え、水相をジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。
粗生成物をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、ポリスチレン上のトリフェニルホスフィン(1.47g、1.80ミリモル)(1.2ミリモル/g)を加えた。水(2mL)を加えた後、反応混合物を反応が完了するまで室温で攪拌した。樹脂を濾過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させた。得られた生成物の標題化合物(33)(256mg)は、以降の変換には十分に純粋なものであった。Rt=1.11分(方法C)。検出質量:216.2(M+H+)。
【0149】
(1S,3S)−3−アミノ−シクロペンタノール(34)
【化38】

2−プロパノール(1mL)中(1S,3S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチルアミン(33)(95mg、0.44ミリモル)の溶液に、2Nの塩酸(1mL)を加え、混合物の変換が完全に達成されるまで室温で攪拌した。反応混合物をジエチルエーテルで3回洗浄し、水相を減圧下で濃縮し、凍結乾燥した、残留物を水に溶解し、さらに凍結乾燥して、(1S,3S)−3−アミノ−シクロペンタノール(34)を塩酸塩として得た。Rt=0.13分(方法C)。検出質量:102.3(M+H+)。
【0150】
((1R,4S)−4−アジド−シクロペンタ−2−エニルオキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン(35)
【化39】

テトラヒドロフラン(6ml)中酢酸(1S,4R)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンタ−2−エニルエステル(630mg、2.46ミリモル)[市販の酢酸(1S,4R)−4−ヒドロキシシクロペンタ−2−エニルエステル(Curran, et al, Tetrahedron 1997, 53, 1983-2004)のシリル化により合成]と、水(1.3mL)中アジ化ナトリウム(320mg、4.91ミリモル)の溶液とを化合させることによって標題化合物を製造した。この二相性混合物に、テトラフラン(2mL)中トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(112mg、0.12ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(258mg、0.98mg)の溶液を加え、反応混合物を50℃で6時間加熱して反応を完結した。飽和塩化ナトリウム溶液を加え、水相をエーテルで繰り返し抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗製の物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(35)(収量:475mg)を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO) δ=0.09(s,3H),0.10(s,3H),0.88(s,9H),1.49(dt,J=3.9,14.0Hz,1H),2.69(dt,J=7.4,14.1Hz,1H),4.22−4.26(m,1H),4.75−4.79(m,1H),5.92−5.95(m,1H),6.05(dt,J=1.8,5.4 Hz,1H)。
【0151】
(1S,4R)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンタ−2−エニルアミン(36)
【化40】

((1R,4S)−4−アジド−シクロペンタ−2−エニルオキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン(35)(935mg、3.90ミリモル)をテトラヒドロフラン(16mL)に溶解し、トリフェニルホスフィン(1.13g、4.29ミリモル)を加えた。水(2mL)を加えた後、反応混合物を反応が完了するまで室温で攪拌した。飽和塩化ナトリウム溶液を加え、層を分離し、有機層を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標題化合物(36)(890mg)を得た。Rt=1.02分(方法C)。検出質量:214.3(M+H+)。
【0152】
(1R,3S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチルアミン(37)
【化41】

【0153】
方法A
メタノール(2mL)中((1R,4S)−4−アジド−シクロペンタ−2−エニルオキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン(35)(135mg、056ミリモル)の溶液に、5%パラジウム/活性炭(60mg)を加え、室温で一夜、水素雰囲気下(1気圧)で懸濁液を攪拌した。触媒を濾過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標題化合物(37)(98mg)を得た。Rt=1.15分(方法C)。検出質量:216.3(M+H+)。
【0154】
方法B
エタノール(4ml)中(1S,4R)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンタ−2−エニルアミン(36)(330mg、1.55ミリモル)の溶液を、5%パラジウム/活性炭(164mg)で処理し、混合物を室温で5時間、水素雰囲気下(1気圧)で攪拌した。触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させて、以後の変換に十分な純度を有する標題化合物(227mg)を得た。
【0155】
(1S,3S)−アミノ−シクロペンタノール(38)
【化42】

(1R,3S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチルアミン(37)(486mg、2.26ミリモル)を出発物質として、(1S,3S)−3−アミノ−シクロペンタノール(34)について記載したプロコールに従って、標題化合物を塩酸塩として製造した。Rt=0.14分(方法C)。検出質量:102.3(M+H+)。
【0156】
2−(4−メトキシ−ベンジル)−6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ−2H−イソキノリン−1−オン(39)
【化43】

水素化ナトリウム(95%)(106mg、4.20ミリモル)をジメチルアセトアミド(3mL)に懸濁させ、ジメチルアセトアミド(1mL)に溶解した(1S,3S)−3−アミノ−シクロペンタノール(34)(193、1.40ミリモル)を滴下しながら加えた。1時間後、別のジメチルアセトアミド(3mL)に溶解した2−(4−メトキシ−ベンジル)−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(9)(402mg、1.42ミリモル)を加えた。反応が完了するまで反応混合物を80℃で攪拌した。この混合物を水に注ぎ、ジクロロメタン及び2−プロパノール(3:1)の混合物で3回抽出し、有機層を合わせて蒸発させた。水を加え、粗生成物を凍結乾燥して、残留しているジメチルアセトアミドを除去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(250mg)を得た。Rt=1.20分(方法E)。検出質量:365.2(M+H+)。
【0157】
39の合成について記載したのと同じ手順により、対応する2−(4−メトキシ−ベンジル)−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン及び3−アミノ−シクロペンタノールを用いて、以下の3つの生成物を得た(表3)。
【0158】
【表6】

【0159】
6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(43)
【化44】

2−(4−メトキシ−ベンジル)−6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ−2H−イソキノリン−1−オン(39)(125mg、0.34ミリモル)をTFA(1mL)に溶解し、マイクロ波オーブン中150℃で3時間加熱した。メタノールを加え、反応混合物を蒸発させた。この溶液を1NのHClに溶解し、ジクロロメタンで3回抽出した。ジクロロメタン層を合わせて1NのHClで2回抽出し、HCl層を合わせて凍結乾燥した。残留物を水に溶解し、再び凍結乾燥し、6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(43)(42mg)を塩酸塩として得た。Rt=0.86分(方法E)。検出質量:245.1(M+H+)。
【0160】
43の合成について記載したのと同じ手順により、対応する2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン類を出発物質として、以下の3つの生成物を塩酸塩として得た(表4)。
【0161】
【表7】

【0162】
6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン
−1−オン(47)
【化45】

【0163】
a)cis−4−アミノ−シクロヘプタノール
塩化メチレン(240ml)中シクロヘキサノンオキシム(16.8g、0.149モル)の溶液に、0℃で次亜塩素酸tert−ブチル(19.4g、0.178モル)をゆっくり加えた。得られた暗青色溶液を−20℃に冷却し、その後、エタノール(30ml)及び1,3−シクロヘプタジエン(20.0g、0.212ミリモル)を加え、この混合物を、暗青色が消えるまで5℃で2日間冷凍庫内に保管した。反応混合物をイソプロパノール(30ml)に加え、その後、ジエチルエーテル(300ml)に加え、3時間攪拌した後、得られた沈殿物を吸引により単離して、6−オキサ−7−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−8−エン・塩酸塩(18.6g)を得た。この物質(9.0g、0.072モル)を、5バールの水素雰囲気下でパラジウム/活性炭を用いて水素化した。変換が終了した後、触媒を濾去し、4Mの塩酸ジオキサン溶液(30ml)を加えた。蒸発後、残留物をイソプロパノール(20ml)及び(ジエチルエーテル)(500ml)から再結晶し、cis−4−アミノ−シクロヘプタノール(7.5g)を塩酸塩として得た。
【0164】
b)6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2−(メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
ジメチルアセトアミド(5ml)中cis−4−アミノ−シクロヘプタノール(223mg、1.35ミリモル)の溶液を、80%水素化ナトリウム(242mg、8.1ミリモル)と共に室温で15分間攪拌した。その後、ジメチルアセトアミド(10ml)中6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(25、工程b)(0.4g、1.35ミリモル)の溶液を加えた。反応混合物を80℃で8時間加熱し、その後、更にcis−4−アミノ−シクロヘプタノール及び水素化ナトリウム(それぞれ、当初量の30%)を加えた。80℃で更に8時間後、反応混合物を水に加え、ジクロロメタンで抽出した。粗生成物をジクロロメタン/メタノール(100:0〜97:3)を用いたクロマトグラフィーにより精製し、6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2−(メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(134mg)を得た。
【0165】
c)6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(47)
6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(130mg、0.32ミリモル)をトリフルオロ酢酸(730mg、6.4ミリモル)に溶解し、混合物をマイクロ波オーブン中、150℃で2時間加熱した。その後、過剰なトリフルオロ酢酸を減圧下で留去し、残留物を水で希釈し、この溶液をアルカリ性とした。ジクロロメタンで抽出後、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させ、6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(47)(24mg)を得た。Rt=0.96分(方法B)。検出質量:287.3(M+H+)。
【0166】
7−クロロ−6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(48)
【化46】

6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(47)の合成について記載したのと同様の方法で、cis−4−アミノ−シクロヘプタノール・塩酸塩(47、工程a)及び7−クロロ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(10)を用いて、標題化合物を塩酸塩として得た。Rt=1.05分(方法B)。検出質量:307.12(M+H+)。
【0167】
6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(49)
【化47】

6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(47)の合成について記載したのと同様の方法で、cis−4−アミノ−シクロヘプタノール・塩酸塩(47、工程a)及び6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(9)を用いて、標題化合物を塩酸塩として得た。Rt=0.81分(方法C)。検出質量:273.2(M+H+)。
【0168】
3−アミノ−シクロブタノール(50)
【化48】

エタノール(20ml)中(3−オキソ−シクロブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.00g、10.8ミリモル)の0℃の冷溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(204mg、5.40ミリモル)を少量ずつ加えた。変換が完全に達成されるまで、室温で反応混合物を攪拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンに溶解し、飽和重炭酸ナトリウムで処理した。相を分離し、水相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、粗製の(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。Rt=0.76分(方法C)。検出質量:132.2(M−tBu+H+)。
【0169】
粗製のアルコールをジクロロメタン(90mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(11mL)を加えた。室温で一夜攪拌し、2Nの塩酸(100ml)を加え、相を分離し、減圧下で水相を濃縮した。残留物を水に2回溶解し、続いて凍結乾燥して、ジアステレオマーの混合物として、標題化合物(50)(980mg)を塩酸塩として単離した。Rt=0.19分(方法C)。検出質量:88.35(M+H+)。
【0170】
3−(1−ベンジルオキシ−7−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロブチルアミン(51)
【化49】

ジメチルアセトアミド(16ml)中水素化ナトリウム(60%)(459mg、11.5ミリモル)の懸濁液に、ジメチルアセトアミド(8ml)中3−アミノ−シクロブタノール(50)(333mg、3.82ミリモル)の溶液を加えた。室温で60分攪拌後、ジメチルアセトアミド(16ml)中1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(11)(1.00g、3.48ミリモル)の溶液を加え、最初は室温で、次いで50℃で2時間攪拌を継続して、反応を完結させた。水を加えて反応をクエンチし、反応混合物をジクロロメタンと2−プロパノール(3:1)の混合液を用いて3回抽出した。有機層を合わせて蒸発させ、水を加え、粗生成物を凍結乾燥して、残存するジメチルアセトアミドを除去した。得られた粗生成物をシルカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(51)(377mg)をジアステレオマーの混合物として得た。Rt=0.85分(方法H)。検出質量:355.1(M+H+)。
1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(11)及び対応する(3−アミノ−シクロブチル)−メタノール類を用いて、化合物51の合成について記載したのと同じ手順により、以下の2つの生成物を得た。
【0171】
【表8】

【0172】
6−(3−アミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(54)
【化50】

2−プロパノール(8ml)中3−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロブチルアミン(51)(377mg、1.06ミリモル)の溶液を2Nの塩酸水溶液(8mL)で処理し、変換が完了するまで攪拌した。反応混合物を蒸発させ、水から2回凍結乾燥し、そして2−プロパノールから再結晶した。ジアステレオマーの分離不能な混合物として、標題化合物(195mg)を塩酸塩として単離することができた。Rt=1.92分(方法G)。検出質量:265.1(M+H+)。
【0173】
6−(3−アミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(54)の合成について記載したのと同じ手順により、3−アミノシクロブタノール(50)の対応するシス−異性体及びトランス−異性体を用いて、純粋なシス−異性体及びトランス−異性体を塩酸塩として、それぞれ得ることができた。シス−異性体(54a):Rt=1.85分(方法I)。検出質量:265.1(M+H+);トランス−異性体(54b):Rt=1.90分(方法I)。検出質量:265.1(M+H+)。
【0174】
cis−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(55)
【化51】

化合物54について記載したようにして、cis−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(52)(756mg、2.05ミリモル)を出発物質として、cis−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(55)(460mg)を塩酸塩として得た。Rt=1.91分(方法I)。検出質量:279.1(M+H+)。
【0175】
trans−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(56)
【化52】

化合物54について記載したようにして、trans−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(53)(778mg、2.11ミリモル)を出発物質として、trans−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(56)(353mg)を塩酸塩として得た。Rt=1.87分(方法I)。検出質量:279.2(M+H+)。
【0176】
cis−5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタノール(57)
【化53】

イミダゾール(21.4g、312ミリモル)、t−ブチルジメチルシリルクロリド(34.5g、229ミリモル)及びDMAP(10mg)を、THF(500mL)中cis−1,5−シクロオクタンジオールの溶液に加えた。反応混合物を2時間攪拌した後水でクエンチし、続いて酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濾過し、蒸発させて、粗生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(26.0g)を無色の油状物質として得た。Rt=3.00分(方法J)。検出質量:259.2(M+H+)。
【0177】
5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタノン(58)
【化54】

攪拌中のジクロロメタン(50mL)中オキサリルクロリド(3.7g、29ミリモル)の溶液に、ジクロロメタン(25mL)中ジメチルスルホキシド(4.5g、58ミリモル)の溶液を、−78℃で滴下しながら加えた。溶液を−78℃で30分間攪拌し、その後、温度を−78℃に保ちながら、ジクロロメタン(30mL)中のcis−5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタノール(57)(5.0g、19.3ミリモル)を滴下しながら加えた。30分攪拌後、トリエチルアミン(9.8g、97ミリモル)を滴下しながら加え、温度を−30℃に温まるにまかせた。更にジクロロメタン(50mL)を加え、この溶液を−30℃で1時間攪拌した。攪拌しながら飽和塩化アンモニウム溶液(300mL)を少しずつ加え、その後有機層を分離した。有機相を更に塩化アンモニウムで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、所望の生成物(5.0g)を黄色の油状物質として得、これを更に精製することなく使用した。Rt=1.96分(方法C)。検出質量:257.3(M+H+)。
【0178】
5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチルアミン(59)
【化55】

チタンイソプロポキシド(11.0g、38.6ミリモル)を、2Mのアンモニアエタノール溶液(48.3mL、96.5ミリモル)中5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタノン(58)(5.0g、19.3ミリモル)の溶液に加え、6時間攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.1g、29ミリモル)を加えた後、混合物を室温で4日間攪拌した。2Mのアンモニア水溶液(50mL)を加えて反応をクエンチした。白色沈殿物を濾過により除去し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、ジアステレオマーの混合物として5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタチルアミン(59)(4.5g)を黄色の油状物質として得、これを更に精製することなく使用した。Rt=2.14分(方法J)。検出質量:258.2(M+H+)。
【0179】
5−アミノ−シクロオクタノール(60)
【化56】

2Nの塩酸水溶液(35mL)を、2−プロパノール(35mL)中5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチルアミン(59)(3.5g、13.6ミリモル)の溶液に加え、得られた溶液を室温で一夜攪拌した。イソプロパノールを減圧下で除去し、得られた水溶液をt−ブチルメチルエーテルで洗浄した。水層を凍結乾燥することにより、ジアステレオマー混合物として粗製5−アミノ−シクロオクタノール(60)(2.7g)を塩酸塩として得、これを更に精製することなく使用した。Rt=0.18分(方法C)。検出質量:144.2(M+H+)。
【0180】
5−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロオクチルアミン(61)
【化57】

3−(1−ベンジルオキシ−7−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロブチルアミン(51)について記載したプロトコールに従い、1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(11)(0.8g、2.78ミリモル)、水素化ナトリウム(60%)(417mg、14.4ミリモル)及び5−アミノ−シクロオクタノール(60)(0.63g、3.5ミリモル)を出発物質として、標題化合物(1.3g)を合成した。シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール:アンモニア水=100:7:0.75)により精製し、所望の生成物(0.35g)をジアステレオマー混合物として得た。Rt=1.41分(方法C)。検出質量:413.1(M+H+)。
【0181】
6−(5−アミノ−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(62)
【化58】

化合物54の製造について記載した方法を用い、5−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロオクチルアミン(61)(0.22g、0.54ミリモル)を出発物質として、6−(5−アミノ−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(62)(124mg)を塩酸塩として得た。Rt=1.85分(方法I)。検出質量:321.1(M+H+)。
【0182】
1−アリル−5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチルアミン(63)
【化59】

7Nのアンモニアメタノール溶液(8.4mL、58.5ミリモル)中5−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)シクロオクタノン(1.5g、5.85ミリモル)の溶液を予め室温で15分間攪拌した後、この溶液に2−アリル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−(ジオキサ)−ボロラン(1.7mL、9.36ミリモル)を滴下しながら加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残留物をジエチルエーテル(100mL)に再溶解した。その後、1NのHCl水溶液(100mL)を滴下しながら加え、得られた2相性混合物を30分間攪拌した。層を分離し、水層をジエチルエーテルで洗浄し、水酸化ナトリウムを添加してpHをpH9に調整した。その後、この懸濁液を、ジクロロメタンと2−プロパノールの3:1混合液で抽出し、有機抽出物を合わせて減圧下で濃縮し、標題化合物(0.89g)をジアステレオマー混合物として得た。Rt=0.44分、0.49分(方法C)。検出質量:184.3(M+H+)。
【0183】
5−アミノ−5−プロピル−シクロオクタノール(64)
【化60】

メタノール(15mL)中1−アリル−5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチルアミン(63)(895mg、4.88ミリモル)の溶液を、10%パラジウム/活性炭(52mg)で処理し、混合物を水素雰囲気下(1気圧)に室温で一夜攪拌した。濾過により触媒を除去し、濾液を減圧下で蒸発させて、標題化合物(64)(0.794g)を得た。Rt=0.56分、0.62分(方法C)。検出質量:186.3(M+H+)。
【0184】
5−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−1−プロピル−シクロオクチルアミン(65)
【化61】

3−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロブチルアミン(51)について記載したプロトコールに従い、1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(11)(1.11g、3.86ミリモル)、水素化ナトリウム(60%)(514mg、12.9ミリモル)及び5−アミノ−5−プロピル−シクロオクタノール(64)(794mg、4.29ミリモル)を出発物質として、標題化合物(572mg)をジアステレオマー混合物として得た。Rt=1.52分、1.56分(方法C)。検出質量:453.3(M+H+)。
【0185】
6−(cis−5−アミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン及び6−(trans−5−アミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(66/67)
【化62】

化合物54の製造について記載した方法を用い、5−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−1−プロピル−シクロオクチルアミン(65)(396mg、0.87ミリモル)を出発物質として、6−(5−アミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オンを塩酸塩として得た。混合物を、分取型HPLCを介する分離及び残留物の2NのHCl及び水からの凍結乾燥により、純粋なジアステレオマー66及び67(それぞれ、182mg及び86mg)が得られた。立体異性体1(66):Rt=2.31分(方法I)。検出質量:363.2(M+H+)、346.2(M−NH3+H+)。立体異性体2(67):Rt=2.52分(方法G)。検出質量:363.2(M+H+)、346.2(M−NH3+H+)。2つの誘導体の相対立体化学を任意に割り付けた。
【0186】
化合物15から22の合成について記載した還元的アミノ化反応の一般法により、対応するイソキノリノン類及びアルデヒド又はケトンを用いて、以下の化合物を塩酸塩として得た(表6)。
【0187】
【表9】

【0188】
【表10】

【0189】
【表11】

【0190】
Rhoキナーゼ阻害の測定
Rhoキナーゼ阻害を測定するために、IC50値を以下のプロトコールに従って測定した。
【0191】
活性ヒト組換えROCK II(N−末端His6標識組換えヒトROCK−II残基11−552)は、Upsate Ltd.社(Dundee、英国)から購入した。ペプチド基質、フルオレセイン−AKRRRLSSLRA−COOHはJPT Peptide Technologies社(Berlin、ドイツ)から入手した。アデノシン−5′−三リン酸(ATP)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(Hepes)、Brij−35及びジチオスレイトール(DTT)は、Sigma‐Aldrich社(Munich、ドイツ)から購入した。トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(Tris)、塩化マグネシウム、NaOH、1MのHCl及びEDTAはMerck Biosciences社(Darmstadt、ドイツ)から入手した。「完全」プロテアーゼ阻害剤は、Roche Diagnostics社(Mannheim、ドイツ)からのものであった。
【0192】
試験化合物を、緩衝液1(25mMのTris−HCl、pH7.4、5mMのMgCl2、2mMのDTT、0.02%(w/v)BSA及び3%DMSO)中で適切な濃度に希釈した。ROCK II酵素は、緩衝液2(25mMのTris−HCL、pH7.4、5mM MgCl2、2mMのDTT及び0.02%(w/v)BSA)中で100ng/mlの濃度に希釈した。ペプチド基質及びATPを緩衝液2中で、それぞれ3μM及び120μMの濃度に希釈した。2.2μlの化合物を、384ウェルの小容量マイクロタイタープレート(Greiner社(Bio‐One、Frickenhausen、ドイツ))中で2μlの希釈酵素と混合し、そしてペプチド基質とATPを含有する2μlの溶液の添加によって酵素反応を開始した。32℃で60分インキュベーションした後、100mMのHepes−NaOH、pH7.4、0.015%(v/v)Brij−35、45mMのEDTA及び0.227%のチップコーティング試薬1(Caliper Lifescience Inc社(Hopkinton、MA))を含有する溶液(20μl)の添加により反応を停止した。次いで基質ペプチドのリン酸化を、基本的にPommereau et al (J.Biomol. Screening 9 (5), 409-416, 2004)によって記述された通りCaliper 3000装置で検出した。分離条件は以下の通りである:圧力−1.3psi、上流電圧−1562V、下流電圧−500V、試料シップ時間−200ms。陽性対照(化合物の代わりに緩衝液1)及び陰性対照(化合物の代わりに緩衝液1及びROCK IIの代わりに緩衝液2)を各プレートで並列に作動させた。
【0193】
以下の生成物/化合物を、上記実施例で得られたそれぞれの形態(塩又は遊離塩基)を用いることによって上記のアッセイで試験し、以下の活性が測定された。
【表12】

【0194】
得られた活性は、以下のようにIC50の負の10を底とする対数(pIC50)で表示される。
+: pIC50 ≦ 3.0
++: 3.0 ≦ pIC50 < 4.0
+++: 4.0 ≦ pIC50 < 5.0
++++: 5.0 ≦ pIC50 < 6.0
+++++: 6.0 ≦ pIC50

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

又は、式(I’):
【化2】

〔式中、
2は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、
H;
ハロゲン;
(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
OH;
O−R’’;
NH2
NHR’’;
NR’’R’’;又は
NH−C(O)−R’’;
であり;
4は、
H;
ハロゲン;
ヒドロキシ;
CN;
(C1−C6)アルキル;
R’;
(C1−C6)アルキレン−R’;
であり;
5は、
H;
ハロゲン;
CN;
NO2
(C1−C6)アルキル;
(C2−C6)アルケニル;
R’;
(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
CH(OH)−(C1−C6)アルキル;
NH2
NH−R’;
NH−SO2H;
NH−SO2−(C1−C6)アルキル;
NH−SO2−R’;
NH−C(O)−(C1−C6)アルキル;
NH−C(O)−R’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)OH; 又は
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
であり;
6及びR6’は、互いに独立に、
H;
R’;
(C1−C8)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−O−R’;
(C1−C6)アルキレン−CH[R’]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)−R’;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R’;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R’]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)OR’;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)R’;
C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
C(O)NHR’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]R’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)−(C1−C6)アルキレン−R’;
C(O)O(C1−C6)アルキレン−R’;
であり;又は
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成し;
7は、
H;
ハロゲン;
CN;
NO2
(C1−C6)アルキル;
O−(C1−C6)アルキル;
(C2−C6)アルケニル;
R’;
(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−R’;
CH(OH)−(C1−C6)アルキル;
NH2
NH−R’;
NH−SO2H;
NH−SO2−(C1−C6)アルキル;
NH−SO2−R’;
SO2−NH2
SO2−NHR’;
NH−C(O)−(C1−C6)アルキル;
NH−C(O)−R’;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)OH;又は
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
であり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは、1、2、3又は4であり;
mは、1、2、3、4又は5であり;そして
Lは、O又はO−(C1−C6)アルキレンであり;
ここで、
R’は、
(C3−C8)シクロアルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C6−C10)アリール;
であり;そして
R’’は、
(C3−C8)シクロアルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−O−R’;又は
(C1−C6)アルキレン−NRxy
であり;そして、
ここで、Rx及びRyは、互いに独立に、
(C1−C6)アルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C6−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル;
(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C4)アルキレン−N[(C6−C10)アリール]2;又は
(C1−C4)アルキレン−N[(C5−C10)ヘテロ環]2
であり;
ここで、残基R4、R5、R6、R6’、R7及びR8における、アルキル、アルキレン又はシクロアルキルは、場合により、1回又はそれ以上OH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONHCH3又はCON(CH32により置換されても良く;
ここで、残基R2〜R8における、アルキル又はアルキレンは、場合により、1回又はそれ以上ハロゲンで置換されても良く;
ここで、残基R3〜R8における、(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環は、無置換、又はハロゲン、OH、NO2、N3、CN、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)−(C1−C6)アリール、COOH、COO(C1−C6)アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)アルキル、CON[(C1−C6)アルキル]2、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−OH、(C1−C6)アルキレン−NH2、(C1−C6)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、O−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C1−C6)アルキル、PO32、SO3H、SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)アルキル、SO2N[(C1−C6)アルキル]2、S−(C1−C6)アルキル;SO−(C1−C6)アルキル、SO2−(C1−C6)アルキル、SO2−N=CH−N[(C1−C6)アルキル]2、C(NH)(NH2)、NH2、NH−(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)O−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C6−C10)アリール、NH−SO2−(C5−C10)ヘテロ環、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル]、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、O−(C6−C10)アリール、O−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロ環、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、O−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環から独立に選択される好適な基により、1回又はそれ以上置換され;
ここで、(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロ環は、ハロゲン、OH、NO2、CN、O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル、NH2、NH(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、SO2CH3、COOH、C(O)O−(C1−C6)アルキル、CONH2、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C6−C10)アリール又はO−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールから独立して選択される基により、1〜3回置換されても良く;
又はここで、(C6−C10)アリールは、隣接して、O−(C1−C4)アルキレン−O基で置換され、それにより、酸素原子が結合している炭素原子と一緒になり、5〜8員環を形成し;
そしてここで、(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロ環基のアリール又はヘテロ環の置換基は、更に、アリール又はヘテロ環を含む基では置換されなくてもよく;
そしてここで、
mが3の場合、R6は、H、(C5−C10)ヘテロ環又は(C6−C10)アリールではなく;そしてここで、mが3で、R6が、
(C1−C8)アルキル;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C6)アルキレン−R’;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−O−R’;
(C1−C6)アルキレン−CH[R’]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)−R’;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R’;又は
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R’]2
から選択される残基の場合、上記残基における、アルキル、アルキレン又はシクロアルキルは、1回又はそれ以上、好ましくは1〜3回、OH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONHCH3又はCON(CH32により置換される〕
の化合物、又はそれらの立体異性体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
3がH、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R’、O−R’’又はNHR’’である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3がH又はNHR’’である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
3がH;NH−(C5−C6)ヘテロ環又はNH−フェニルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
3がHである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
8がH、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
8がH、Cl、F、メチル又はエチルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
8がHである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
4がH、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
4がH、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
4がHである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
5がH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R’、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R’である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
5がH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R’、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R’である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
5がH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロアリールである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
5がH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、 (C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロアリールである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
5がH、ハロゲン、メチル、エチル、ビニル、フェニル、チエニル又はピリジルである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
5がH、ハロゲン、メチル又はエチルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
5がHである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
7がH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R’又は(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
7がH、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル又は(C5−C6)ヘテロアリールである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
7がH、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、フェニル、ニトリル、シクロプロピル、チエニル又はビニルである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
7がH、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル又はメトキシである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
7がHである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
mが2、3又は4である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
mが3である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
2がH、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
2がH又は(C1−C2)アルキルである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
2がH、メチル又はエチルである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
nが1、2又は3である、請求項1〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
nが1又は2である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
nが1である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の化合物であって、
6及びR6’は互いに独立に、
H;
(C1−C6)アルキル;
R’;
(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)R’;
C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2;又は
C(O)(C1−C6)アルキレン−R’;
であり;又は、
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する;
化合物。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか1項に記載の化合物であって、
6及びR6’は互いに独立に、
H;
(C1−C6)アルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C6−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)(C3−C8)シクロアルキル;
C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール;
であり;又は、
6及びR6’は、それらが結合したN原子と一緒になって、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する;
化合物。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物であって、
6は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキルであり;そして
6’は、
H;
(C1−C6)アルキル;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C5−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)O−(C1−C6)アルキル;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)(C3−C8)シクロアルキル;
C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
C(O)N[(C1−C6)アルキル]2
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール;
であり;又は
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する;
化合物。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物であって、
6は、H、(C1−C6)アルキルであり;そして
6’は、
H;
(C1−C6)アルキル;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C6−C10)アリール;
(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール;
(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル;
(C1−C4)アルキレン−C(O)N[(C1−C4)アルキル]2
(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−(C1−C6)アルキル;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
であり;又は
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、(C5−C10)ヘテロ環基を形成する;
化合物。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物であって、
6は、H、(C1−C6)アルキルであり;そして
6’は、
H;
(C1−C6)アルキル;
(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル;
(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル;
C(O)(C1−C4)アルキル;
(C1−C4)アルキレン−C(O)N[(C1−C4)アルキル]2
(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、ここで、ヘテロ環は無置換、又は1回又はそれ以上(C1−C4)アルキル、O(C1−C4)アルキル、ハロゲン若しくはフェニルから独立に選択される基で置換され;又は1回(C5−C6)ヘテロ環で置換され、ここでフェニル又は(C5−C6)ヘテロ環は、無置換、又は1〜3回ハロゲン、(C1−C4)アルキル又はO(C1−C4)アルキルから独立に選択される基で置換される;
(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、ここで、アリールは無置換、又は1回若しくはそれ以上ハロゲン、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、CN、SO2−NH2、SO2−(C1−C4)アルキル、SO2−N=CH−N[(C1−C4)アルキル]2、NH−CO−(C1−C4)アルキル、CO−O−(C1−C4)アルキルから独立に選択される基で置換され、又は無置換フェニル、無置換O−フェニル若しくは無置換(C5−C6)ヘテロ環により1回置換される;
C(O)(C1−C6)アルキル;
C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環;
であり;又は、
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C6)ヘテロ環基を形成し、それは無置換、又は1〜3回(C1−C4)アルキル又はC(O)O(C1−C4)アルキルで置換され;
ここで、
(C1−C6)アルキル又は(C1−C4)アルキル残基は、無置換、又は1〜3回ハロゲン残基で置換される;
化合物。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物であって、
6は、H、(C1−C6)アルキルであり;そして、
6’は、H、(C1−C6)アルキル又は(C3−C8)シクロアルキルである;
化合物。
【請求項38】
6がHであり、そしてR6’がH、(C1−C6)アルキル又は(C3−C8)シクロアルキルである、請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
6及びR6’がHである、請求項1〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
mが3であり、そしてLがアミノシクロヘキサン環の3−位又は4−位に結合する、請求項1〜39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
mが3であり、そしてLがアミノシクロヘキサン環の4−位に結合する、請求項1〜40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
LがO−メチレン、O−エチレン又はOである、請求項1〜41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
LがOである、請求項1〜42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
請求項1に記載の化合物であって、
2は、水素、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R’、O−R’’又はNHR’’であり;
4は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
5は、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、CN、(C2−C6)アルケニル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロ環又は(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環であり;
6及びR6’は、互いに独立に、H、R’、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R’、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R’、(C1−C6)アルキレン−CH[R’]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R’、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[(C1−C4)アルキル]2、(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R’]2、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C5−C10)ヘテロ環、C(O)NH−(C1−C6)アルキル、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロ環、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;又は、
6及びR6’は、それらが結合しているN原子と一緒になり、(C5−C6)ヘテロ環基を形成し;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル又はR’であり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
mは、2、3又は4であり;
nは、1、2又は3であり;そして
Lは、O、O−メチレン又はO−エチレンである;
化合物。
【請求項45】
請求項1に記載の化合物であって、
2は、H又は(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン又はNHR’’(ここで、R’’は上記で定義した通りである)であり;
4は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、(C2−C4)アルケニル、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロ環であり;
6及びR6’は、互いに独立に、H、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C3)アルキレン−R’、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C5−C6)ヘテロ環、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)(C1−C6)アルキレン−(C5−C6)ヘテロ環又はC(O)(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル又はR’であり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
mは、2、3又は4であり;
nは、1、2又は3であり;そして
LはOである;
化合物。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物であって、
2は、H、(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、NH−(C5−C6)ヘテロアリール又はNH−フェニルであり;
4は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、(C1−C4)アルキル、ハロゲン、(C1−C4)アルケニル、(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール又は(C5−C6)ヘテロアリールであり;
6は、H、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキルであり;
6’は、H、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、(C1−C3)アルキレン−R’;C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)(C1−C6)アルキル、C(O)(C3−C6)シクロアルキル、C(O)(C5−C6)ヘテロ環、C(O)(C1−C3)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキル、C(O)(C1−C3)アルキレン−(C5−C6)ヘテロ環又は C(O)(C1−C3)アルキレンフェニルであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、O(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル、(C5−C6)ヘテロアリールであり;
8は、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
mは3であり;
nは1であり;そして
LはOである;
化合物。
【請求項47】
請求項1に記載の化合物であって、下記の化合物:
1−[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−ピペリジン−4−カルボン酸アミド;
7−クロロ−6−(4−ピペリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
7−クロロ−6−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
7−クロロ−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
7−クロロ−6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−2H−イソキノリン−1−オン;
[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸エチルエステル;
[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシルアミノ]−酢酸;
7−メチル−6−(4−ピロリジン−1−イル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
N−[4−(7−メチル−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−trans−シクロヘキシル]−3−ピペリジン−4−イル−プロピオンアミド;
N−[4−(7−メチル−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−trans−シクロヘキシル]−2−ピペリジン−4−イル−アセトアミド;
N−[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシル]−3−ピペリジン−4−イル−プロピオンアミド;
N−[4−(7−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−cis−シクロヘキシル]−2−ピペリジン−4−イル−アセトアミド;
6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
6−((1S,3S)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
6−((1S,3R)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
6−((1S,3R)−3−アミノ−シクロペンチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
6−((cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン;又は
7−クロロ−6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
のグループから独立に選択される化合物、又はそれらの立体異性体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物であって、下記の化合物:
6−(cis−4−アミノ−シクロヘプチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
6−(3−アミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
cis−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
trans−6−(3−アミノ−シクロブチルメトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
6−(5−アミノ−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
5−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−1−プロピル−シクロオクチルアミン;
6−(5−アミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
6−(5−ベンジル−アミノ−5−プロピル−シクロ−オクチルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
7−クロロ−6−(5−エチルアミノ−5−プロピル−シクロオクチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;,
7−クロロ−6−(cis−3−イソプロピルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
6−(3−cis−ベンジルアミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
6−(3−trans−ベンジルアミノ−シクロブトキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン;
7−クロロ−6−(3−cis−ジベンジルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
7−クロロ−6−(3−trans−ジベンジルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;又は
7−クロロ−6−(3−trans−ジエチルアミノ−シクロブトキシ)−2H−イソキノリン−1−オン;
のグループから独立に選択される化合物、又はそれらの立体異性体及び/又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項49】
少なくとも1つの請求項1〜48のいずれか1項に記載の式(I)の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩の、薬剤を製造するための使用。
【請求項50】
少なくとも1つの請求項1〜48のいずれか1項に記載の式(I)の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩の、薬剤を製造するための使用であって、高血圧、肺高血圧、高眼圧、網膜症、緑内障、末梢循環障害、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、冠状動脈性心疾患、狭心症、心肥大、心不全、虚血性疾患、虚血性臓器不全(末端器官障害)、肺線維症、肝線維症、肝不全、腎症、腎不全、腎線維症、腎糸球体硬化症、臓器肥大、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群、血栓疾患、発作、脳血管攣縮、脳虚血、疼痛、神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、早産、勃起障害、内分泌機能異常、動脈硬化症、前立腺肥大、糖尿病及び糖尿病合併症、メタボリックシンドローム、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症、自己免疫疾患、AIDS、骨障害、細菌による消化管感染症、敗血症又はがん発生及び進行の治療及び/又は予防する薬剤を製造するための使用。
【請求項51】
少なくとも1つの請求項1〜48のいずれか1項に記載の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩の有効量、生理学的に許容される添加剤及び担体、並びに必要に応じて更なる添加物及び/又は他の活性成分を含む薬剤。

【公表番号】特表2010−514716(P2010−514716A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543372(P2009−543372)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011164
【国際公開番号】WO2008/077551
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】