説明

シフトレンジ切換装置

【課題】乗員によるシフトレンジ切換操作と自動変速機2におけるシフトレンジ切換動作との間に、電子制御を介在させるシフトレンジ切換装置1において、乗員によるシフトレンジ切換操作完了から自動変速機2におけるシフトレンジ切換動作完了までの時間的ズレによる不都合を解消する。
【解決手段】選択レンジ表示部12を、ECU5および駆動回路9とともに、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われていることを報知する切換実行中報知手段、および、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が正常に完了したことを報知する切換完了報知手段として機能させる。これにより、乗員は、自動変速機2で切換動作が行われている状態と、自動変速機2で切換動作が完了した状態とを、明確に区別して認識することができる。このため、時間的ズレによる不都合を、解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機のシフトレンジを切り換えるシフトレンジ切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
〔従来の技術〕
従来より、自動変速機の油圧回路においてスプール弁を進退させて油路を切り換えることにより、シフトレンジの切換動作を行わせるシフトレンジ切換装置が公知となっている。そして、従前のシフトレンジ切換装置100は、図3に示すごとく、主に、運転席に設けられ、乗員により操作されるシフトレバー101、シフトレバー101とスプール弁とを機械的にリンクするリンク機構102から構成されていた。
【0003】
このため、シフトレンジ切換装置100によれば、乗員によるシフトレンジ切換操作と、自動変速機におけるシフトレンジ切換動作とが、ほぼ完全に一致していた。例えば、乗員がPレンジからDレンジに切換操作を行っている途中であれば、自動変速機においても、Pレンジ用の油路からDレンジ用の油路に切り換わる途中であることがほぼ確実である。また、PレンジからDレンジへの切換操作が完了していれば、自動変速機においても、Pレンジ用の油路からDレンジ用の油路に切り換わっていることがほぼ確実である。
【0004】
このような機械式リンクを用いたシフトレンジ切換装置100に対し、図4に示すごとく、乗員のシフトレンジ切換操作と自動変速機におけるシフトレンジ切換動作との間に電子制御装置(ECU)による電子制御を介在させ、電気信号を介してシフトレンジ切換動作を行わせるシフトレンジ切換装置200が、徐々に採用されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このシフトレンジ切換装置200は、主に、運転席に設けられ、乗員により操作されるシフトレンジ選択スイッチ201、自動変速機のアクチュエータ(例えば、スプール弁を進退させる電磁ソレノイド)202を駆動制御するECU203から構成されている。
【0006】
シフトレンジ選択スイッチ201は、乗員により選択されたシフトレンジに対応するシフトレンジ選択信号(つまり、シフトレンジ選択信号はシフトレンジの選択状態を示す)をECU203に出力する。そして、ECU203は、このシフトレンジ選択信号と呼ぶ)に応じてアクチュエータ202を駆動制御してシフトレンジの切換動作を行わせる。
【0007】
〔従来技術の不具合〕
しかし、シフトレンジ切換装置200によれば、乗員によるシフトレンジ切換操作と、自動変速機におけるシフトレンジ切換動作とが、一致しない状態が発生する。例えば、PレンジからDレンジに切り換える場合を考えると、シフトレンジ切換装置200によれば、乗員によるPレンジからDレンジへの切換操作完了から、自動変速機におけるPレンジ用の油路からDレンジ用の油路への切換動作完了までの間に時間的なズレが生じる。
【0008】
つまり、PレンジからDレンジへの切換操作の完了後、ECU203は、PレンジからDレンジへの切換操作完了によるシフトレンジ選択信号の出力変更を受け、新たに入力されたDレンジ用のシフトレンジ選択信号に応じてアクチュエータ202を駆動制御するための指令信号を合成し直す。そして、ECU203は、新たに合成した指令信号に基づき、アクチュエータ202に指令してPレンジ用の油路からDレンジ用の油路への切換動作を行わせる。
【0009】
このように、乗員によるシフトレンジ切換操作が完了しても、その後にECU203による制御処理が行われてから自動変速機においてシフトレンジの切換動作が行われる。このため、自動変速機においてPレンジ用の油路からDレンジ用の油路への切り換えが完了していない状態で、車両を発進させてしまう事態も起こり得る。この結果、走行モードが乗員の意思に反したものに移行してしまい、運転に不都合が発生することも起こり得る。
【特許文献1】特開2003−65430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、乗員によるシフトレンジ切換操作と自動変速機におけるシフトレンジ切換動作との間に、電子制御を介在させるシフトレンジ切換装置において、乗員によるシフトレンジ切換操作完了から自動変速機におけるシフトレンジ切換動作完了までの時間的ズレによる不都合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載のシフトレンジ切換装置は、自動変速機のシフトレンジの選択状態を示すシフトレンジ選択信号を、シフトレンジ切換操作に応じて出力変更するとともに、シフトレンジ選択信号に応じて自動変速機のアクチュエータを駆動制御してシフトレンジの切換動作を行わせるものである。そして、このシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われていることを報知する切換実行中報知手段と、自動変速機でシフトレンジの切換動作が正常に完了したことを報知する切換完了報知手段とを備える。
【0012】
これにより、乗員は、自動変速機で切換動作が行われている状態と、自動変速機で切換動作が完了した状態とを、明確に区別して認識することができる。このため、切換動作が完了していることを前提とする操作を、切換動作が行われている最中に乗員が行う虞を大幅に低減することができる。この結果、乗員によるシフトレンジ切換操作完了から自動変速機におけるシフトレンジ切換動作完了までの時間的ズレによる不都合を、解消することができる。
【0013】
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載のシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、異常の発生を報知する切換異常報知手段を備える。
これにより、乗員は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている最中に、異常が発生したことを認識することができる。このため、異常を認識できないことにより、乗員が無意味な操作を行う虞を低減できる。
【0014】
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載のシフトレンジ切換装置によれば、切換実行中報知手段は、切換先のシフトレンジを明示する切換先ランプを点滅させ、切換完了報知手段は、切換先ランプを点灯させる。
この手段は、切換実行中報知手段および切換完了報知手段の一形態を示すものである。
【0015】
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載のシフトレンジ切換装置によれば、切換異常報知手段は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生したことを明示する異常ランプを点滅させる。
この手段は、切換異常報知手段の一形態を示すものである。
【0016】
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載のシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、エンジンから車輪への駆動力の伝達を断絶する非駆動レンジへ強制的に切換動作させる異常時強制切換手段を備える。
これにより、異常発生後のシフトレンジを、確実に安全な方に切り換えることができる。
【0017】
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載のシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、エンジンから車輪への駆動力の伝達を断絶する非駆動レンジを明示する非駆動レンジランプを点灯させる異常時切換先報知手段を備える。
これにより、異常発生後のシフトレンジを、確実に安全な方に切り換えさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
最良の形態1のシフトレンジ切換装置は、自動変速機のシフトレンジの選択状態を示すシフトレンジ選択信号を、シフトレンジ切換操作に応じて出力変更するとともに、シフトレンジ選択信号に応じて自動変速機のアクチュエータを駆動制御してシフトレンジの切換動作を行わせるものである。そして、このシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われていることを報知する切換実行中報知手段と、自動変速機でシフトレンジの切換動作が正常に完了したことを報知する切換完了報知手段とを備える。
さらに、このシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、異常の発生を報知する切換異常報知手段を備える。
【0019】
切換実行中報知手段は、切換先のシフトレンジを明示する切換先ランプを点滅させ、切換完了報知手段は、切換先ランプを点灯させる。また、切換異常報知手段は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に、異常が発生したことを明示する異常ランプを点滅させる。
また、このシフトレンジ切換装置は、自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、エンジンから車輪への駆動力の伝達を断絶する非駆動レンジへ強制的に切換動作させる異常時強制切換手段を備える。
【実施例1】
【0020】
〔実施例1の構成〕
実施例1のシフトレンジ切換装置1の構成を、図1を用いて説明する。
シフトレンジ切換装置1は、自動変速機2の油圧回路(図示せず)においてスプール弁(図示せず)を進退させて油路を切り換えることにより、シフトレンジの切換動作を行わせるものである。
【0021】
このシフトレンジ切換装置1は、運転席に設けられ、乗員により操作されるシフトレンジ選択スイッチ3と、自動変速機2のアクチュエータ4(例えば、スプール弁を進退させる電磁ソレノイド)等を駆動制御する電子制御装置(ECU)5とを備える。つまり、シフトレンジ切換装置1は、乗員によるシフトレンジ切換操作と自動変速機2におけるシフトレンジ切換動作との間にECU5による電子制御を介在させ、電気信号を介してシフトレンジ切換動作を行わせるものである。
【0022】
シフトレンジ選択スイッチ3は、例えば、乗員により操作される操作レバー6、操作レバー6の移動に応じて、各シフトレンジに対応する電気信号をECU5に出力するシフトレンジ検出部7を有する。ここで、シフトレンジ検出部7により出力される電気信号は、乗員により選択されたシフトレンジに対応するシフトレンジ選択信号(以下、選択信号と呼ぶ)であり、シフトレンジ切換操作に応じて出力変更される。つまり、シフトレンジ選択スイッチ3は、乗員による操作レバー6の操作に応じて、シフトレンジの選択状態を示す選択信号をECU5に出力する。
【0023】
ECU5は、制御処理および演算処理を行うCPU、各種プログラムやデータを保存する記憶装置、各種機器から各種の信号が入力される入力装置、各種の駆動回路8、9、10等に指令信号を出力する出力装置等から構成される周知のマイクロコンピュータである。ここで、駆動回路8は、ECU5から指令信号の入力を受けて、車載電源(図示せず)からアクチュエータ4に給電を行うものである。
【0024】
これにより、ECU5は、シフトレンジ選択スイッチ3から入力される選択信号に応じて、アクチュエータ4を駆動制御するための指令信号を合成して駆動回路8に出力し、アクチュエータ4にシフトレンジの切換動作を行わせる。
なお、駆動回路9、10は、ECU5から指令信号の入力を受けて、車載電源から後記の各種ランプに給電を行うものである。
【0025】
〔実施例1の特徴〕
実施例1のシフトレンジ切換装置1の特徴を、以下に説明する。
シフトレンジ切換装置1は、運転席に設けられた表示パネル11において、シフトレンジの選択状態を明示する選択レンジ表示部12を備える。選択レンジ表示部12は、Pレンジが選択されていることを明示するPレンジランプ13、Rレンジが選択されていることを明示するRレンジランプ14、Nレンジが選択されていることを明示するNレンジランプ15、Dレンジが選択されていることを明示するDレンジランプ16により構成されている。
【0026】
そして、この選択レンジ表示部12は、ECU5および駆動回路9とともに、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われていることを報知する切換実行中報知手段、および、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が正常に完了したことを報知する切換完了報知手段の機能を有する。
【0027】
切換実行中報知手段は、切換先のシフトレンジを明示する切換先ランプ、つまり、P、R、N、Dレンジランプ13〜16のいずれか1つのランプを点滅させることで、その機能を果たす。
例えば、ECU5は、PレンジからDレンジへの切換動作が行われている時に、低周波のパルス信号(オンオフ信号)を指令信号として駆動回路9に出力し、駆動回路9は、この指令信号に応じて、Dレンジランプ16への給電を断続する。これにより、Dレンジランプ16が点滅する。なお、PレンジからDレンジへの切換動作が行われているか否かの判断は、スプール弁の進退状況を検出するギャップセンサ(図示せず)等のシフトレンジ検出手段から入力される検出信号に基づいて行うことができる。
【0028】
切換完了報知手段は、切換先ランプを点灯させることで、その機能を果たす。
例えば、ECU5は、PレンジからDレンジへの切換動作が正常に完了した時、指令信号をオンオフ信号からオン信号に出力変更し、駆動回路9は、この指令信号の出力変更に応じて、Dレンジランプ16への給電を維持する。これにより、Dレンジランプ16が、常時、点灯する。なお、PレンジからDレンジへの切換動作が完了したか否かの判断は、切換動作が行われているか否かの判断と同様に、シフトレンジ検出手段から入力される検出信号に基づいて行うことができる。
【0029】
また、シフトレンジ切換装置1は、表示パネル11において、シフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生したことを明示する異常ランプ17を備える。なお、異常ランプ17で明示される異常は、シフトレンジの切り換えに関する制御上のトラブル(例えば、アクチュエータ4の作動異常、シフトレンジ検出手段の検出異常など)である。
【0030】
そして、この異常ランプ17は、ECU5および駆動回路10とともに、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われている時に、異常が発生したことを報知する切換異常報知手段としての機能を有する。
【0031】
切換異常報知手段は、異常ランプ17を点滅させることでその機能を果たす。
すなわち、ECU5は、シフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、駆動回路10へ指令信号としてのオンオフ信号の出力を開始する。この指令信号に応じて、駆動回路10は異常ランプ17への給電を断続する。これにより、異常ランプ17が点滅する。なお、切換動作が行われている時に異常が発生した場合、駆動回路9への指令信号の出力は停止される。つまり、選択レンジ表示部12は無点灯状態になる。また、異常が発生したか否かの判断は、ECU5における各種の故障診断により行われる。
【0032】
さらに、ECU5は駆動回路8とともに、異常が発生した場合、非駆動レンジへ強制的に切換動作させる異常時強制切換手段としての機能を有する。ここで、非駆動レンジとは、PレンジやNレンジのように、エンジンから車輪への駆動力の伝達が断絶されているシフトレンジである。
【0033】
すなわち、ECU5は、シフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、駆動回路10へ指令信号としてのオンオフ信号を出力し、異常ランプ17を点滅させるとともに、アクチュエータ4を駆動制御するための指令信号を合成して駆動回路8に出力し、アクチュエータ4にPレンジまたはNレンジを切換先とする切換動作を行わせる。
【0034】
〔実施例1の作用〕
実施例1のシフトレンジ切換装置1の作用を、図2に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、シフトレンジを切り換える際に、ECU5により実行される制御処理を示すものである。
【0035】
まず、ステップS1で、シフトレンジの切換動作が行われているか否かが判定される。そして、シフトレンジの切換動作が行われていると判定されれば(YES)、ステップS2に進み、シフトレンジの切換動作が行われていないと判定されれば(NO)、ステップS1に戻る。ステップS2では、駆動回路9へのオンオフ信号の出力が開始され、切換先ランプが点滅を始める。
【0036】
次に、ステップS3で、シフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生したか否かが判定される。この異常は、シフトレンジの切換制御に関するものである。そして、異常が発生したと判定されれば(YES)、ステップS4に進み、異常が発生していないと判定されれば(NO)、ステップS5に進む。
【0037】
ステップS4では、駆動回路10へのオンオフ信号の出力が開始され、異常ランプ17が点滅を始める。さらに、ステップS6に進み、駆動回路9へのオンオフ信号の出力が停止され、切換先ランプが点滅を止め無灯火状態になる。そして、ステップS7に進み、駆動回路8へ、非駆動レンジ(PレンジまたはNレンジ)に切り換えるための指令信号の出力が行われる。これにより、シフトレンジは、非駆動レンジに強制的に切り換えられる。
【0038】
一方、ステップS5では、シフトレンジの切換動作が正常に完了したか否かが判定される。そして、シフトレンジの切換動作が正常に完了したと判定されれば(YES)、ステップS8に進み、シフトレンジの切換動作が正常に完了していないと判定されれば(NO)、ステップS3に戻る。ステップS8では、駆動回路9への出力がオンオフ信号からオン信号に変更され、切換先ランプが、常時、点灯の状態になる。
【0039】
〔実施例1の効果〕
実施例1のシフトレンジ切換装置1によれば、選択レンジ表示部12は、ECU5および駆動回路9とともに、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われていることを報知する切換実行中報知手段、および、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が正常に完了したことを報知する切換完了報知手段として機能する。
これにより、乗員は、自動変速機2で切換動作が行われている状態と、自動変速機2で切換動作が完了した状態とを、明確に区別して認識することができる。このため、自動変速機2で切換動作が完了していることを前提とする操作を、切換動作が行われている最中に乗員が行う虞を大幅に低減することができる。この結果、乗員によるシフトレンジ切換操作完了から自動変速機2におけるシフトレンジ切換動作完了までの時間的ズレによる不都合を、解消することができる。
【0040】
また、異常ランプ17は、ECU5および駆動回路10とともに、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生したことを報知する切換異常報知手段として機能する。
これにより、乗員は、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われている最中に、異常が発生したことを認識することができる。このため、異常を認識できないことにより、乗員が無意味な操作を行う虞を低減できる。
【0041】
また、ECU5は駆動回路8とともに、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、非駆動レンジへ強制的に切換動作させる異常時強制切換手段として機能する。
これにより、異常発生後のシフトレンジを、確実に安全な方に切り換えることができる。
【0042】
〔変形例〕
本実施例のシフトレンジ切換装置1によれば、自動変速機2でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、異常時強制切換手段により、非駆動レンジへ強制的に切換動作させたが、非駆動レンジを明示する非駆動レンジランプ(つまり、Pレンジランプ13またはNレンジランプ15)を点灯させるようにしてもよい。つまり、選択レンジ表示部12を、ECU5および駆動回路9とともに、異常が発生した場合に、非駆動レンジランプを点灯させる異常時切換先報知手段として機能させてもよい。
この場合、乗員に安全な切換先を認識させることができるので、異常発生後のシフトレンジを、確実に安全な方に切り換えさせることができる。
【0043】
本実施例の切換異常報知手段は、異常ランプ17、ECU5および駆動回路10により構成され、異常ランプ17を点滅させることで異常の発生を乗員に報知するものであったが、異常ランプ17を、常時、点灯させることで異常の発生を乗員に報知するようにしてもよい。さらに、異常ランプ17の点滅や点灯のように視覚により異常の発生を報知するものに代わり、警報ブザーのように音を発することにより異常の発生を乗員に報知するものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】シフトレンジ切換装置の構成図である(実施例1)。
【図2】シフトレンジ切換装置による制御処理を示すフローチャートである(実施例1)。
【図3】機械式リンクを用いたシフトレンジ切換装置の構成図である(従来例)。
【図4】乗員のシフトレンジ切換操作と、自動変速機におけるシフトレンジ切換動作との間に電子制御を介在させるシフトレンジ切換装置の構成図である(従来例)。
【符号の説明】
【0045】
1 シフトレンジ切換装置
2 自動変速機
4 アクチュエータ
5 ECU(切換実行中報知手段、切換完了報知手段、切換異常報知手段、異常時強制切換手段、異常時切換先報知手段)
8 駆動回路(異常時強制切換手段)
9 駆動回路(切換実行中報知手段、切換完了報知手段、異常時切換先報知手段)
10 駆動回路(切換異常報知手段)
12 選択レンジ表示部(切換実行中報知手段、切換完了報知手段、異常時切換先報知手段)
13 Pレンジランプ(切換先ランプ、非駆動レンジランプ)
14 Rレンジランプ(切換先ランプ)
15 Nレンジランプ(切換先ランプ、非駆動レンジランプ)
16 Dレンジランプ(切換先ランプ)
17 異常ランプ(切換異常報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機のシフトレンジの選択状態を示すシフトレンジ選択信号を、シフトレンジ切換操作に応じて出力変更するとともに、前記シフトレンジ選択信号に応じて前記自動変速機のアクチュエータを駆動制御してシフトレンジの切換動作を行わせるシフトレンジ切換装置において、
前記自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われていることを報知する切換実行中報知手段と、
前記自動変速機でシフトレンジの切換動作が正常に完了したことを報知する切換完了報知手段とを備えるシフトレンジ切換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシフトレンジ切換装置において、
前記自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、この異常の発生を報知する切換異常報知手段を備えるシフトレンジ切換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシフトレンジ切換装置において、
前記切換実行中報知手段は、切換先のシフトレンジを明示する切換先ランプを点滅させ、
前記切換完了報知手段は、前記切換先ランプを点灯させることを特徴とするシフトレンジ切換装置。
【請求項4】
請求項2に記載のシフトレンジ切換装置において、
前記切換異常報知手段は、前記自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生したことを明示する異常ランプを点滅させることを特徴とするシフトレンジ切換装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシフトレンジ切換装置において、
前記自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、エンジンから車輪への駆動力の伝達を断絶する非駆動レンジへ強制的に切換動作させる異常時強制切換手段を備えるシフトレンジ切換装置。
【請求項6】
請求項4に記載のシフトレンジ切換装置において、
前記自動変速機でシフトレンジの切換動作が行われている時に異常が発生した場合、エンジンから車輪への駆動力の伝達を断絶する非駆動レンジを明示する非駆動レンジランプを点灯させる異常時切換先報知手段を備えるシフトレンジ切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−78067(P2007−78067A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266193(P2005−266193)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】