説明

シフト制御装置、シフト制御方法およびシフト制御プログラム

【課題】短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生することを防止し、勾配変化後に所定の勾配が継続する箇所においては速やかにシフトチェンジすることができる技術を提供する。
【解決手段】車両の前方の第一地点における勾配を示す情報を取得し、前記第一地点と、前記第一地点からさらに前方にある第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得し、前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機のシフトマップ切り換えを行うシフト制御装置、シフト制御方法およびシフト制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン出力トルクに基づいて平坦路走行状態における基準加速度を算出し、現在の車速に基づいて実加速度を算出し、基準加速度と実加速度とを比較して道路の勾配を判定し、自動変速機のシフトマップを切り換える技術が知られている。また、車両の前方の地点における勾配や、車両から当該地点までの平均勾配に基づいてシフトマップを切り換える技術も知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−072591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の、基準加速度と実加速度との差に基づいて勾配を判定しシフトマップを切り換える技術では、勾配が変化した後にシフトマップが切り換えられるため、道路の勾配が変化してから、シフトマップ切り換えおよび切り換え後のシフトマップでのシフトチェンジが完了するまでの間、好適な変速比での走行ができない。一方、車両の前方の地点における勾配を事前に取得し、当該地点の勾配に基づいてシフトマップを切り換える技術の場合、前述の課題は解決できるが、例えば、極短い区間のみ勾配が変化する箇所においても逐一シフトマップが切り換わってしまい、不要なシフトチェンジが発生する可能性がある。車両から前記地点までの平均勾配に基づいてシフトマップを切り換える場合、極短い区間で勾配が変化する箇所においてシフトマップが切り換わらないようにすることはできる。しかし、例えば平坦路から登坂に勾配が変化した後に所定以上の勾配の登坂が継続する箇所においては、前記地点における勾配に基づいてシフトマップを切り換える場合と比較して、シフトマップ切り換えのタイミングが遅れ、その結果として速やかに好適な変速比での走行が実現できない可能性がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生することを防止し、勾配変化後に所定の勾配が継続する箇所においては速やかにシフトチェンジすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明においては、車両の前方の第一地点における勾配と、第一地点からさらに前方の第二地点と前記第一地点の間の平均勾配とが、共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換える。すなわち、シフトマップ切り換え手段は、車両の現在地より前方の第一地点の勾配と、第一地点からさらに前方の第二地点と第一地点との間の平均勾配とが、両方ともシフトマップ切り換え条件を満たさなければ、シフトマップを切り換えない。そのため、第一地点の勾配がシフトマップ切り換え条件を満たしていた場合であっても、その先の平均勾配がシフトマップ切り換え条件を満たしていなければ、シフトマップは切り換わらないので、短い区間のみ勾配が変化する箇所においてシフトマップが逐一切り換わることを防止することができる。シフトマップが逐一切り換わることがないので、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生することを防止することができる。
【0006】
さらに上記の構成によると、車両の前方の第一地点の勾配とその先の平均勾配とが共にシフトマップ切り換え条件を満たしている場合、シフトマップ切り換えを実施することができる。そして、第一地点以降の道路の勾配に適したシフトマップに基づいて、勾配変化後、所定範囲の勾配が継続する上記のような箇所において、速やかに好適な変速比での走行を実現することができる。
【0007】
シフトマップは、自動変速機において、道路の勾配や道路の形状(屈曲路等)、道路の渋滞状況などに応じて好適な変速を実現するために予め設計されたシフトタイミングを表す情報である。例えば、スロットル開度と車速とに対して変速段が対応付けられた2次元テーブルデータで表される。本発明では、道路の勾配に応じたシフトマップ(例えば、登坂路用、平坦路用、降坂路用など)が用いられる。さらに細かく、重登坂路用、軽登坂路用、平坦路用、軽降坂路用、重降坂路用のシフトマップが用いられてもよい。
【0008】
シフトマップ切り換え条件は、例えば、シフトマップを切り換える際の閾値としての勾配値と、第一地点における勾配値および第一地点から第二地点までの平均勾配値との大小関係を示す不等式として定義可能である。すなわちシフトマップ切り換え条件として、第一地点における勾配値と、第一地点から第二地点までの平均勾配値とが共に、前記閾値である勾配値より大きいか小さいかを判定する。前記閾値より大きければ、当該閾値より大きい場合のシフトマップに切り換え、当該閾値より小さければ、当該閾値より小さい場合のシフトマップに切り換える。
【0009】
第一地点勾配情報取得手段においては、車両の現在地より進行方向の前方に第一地点を決定し、当該第一地点における勾配を示す情報を取得することができればよい。例えば、GPS衛星から受信した信号や、車速センサ・ジャイロセンサ等の車載センサからの信号、地図情報、路車間通信等によって車両の現在位置を特定し、地図情報に基づいて車両の進行方向前方の地点を決定し、当該地点における勾配を示す情報を取得する。地図情報には例えば、道路上に設定されたノードや、ノードとノードとの連結を示すリンク等と対応付けて勾配値が記憶されている。第一地点として決定された地点と対応付けられた勾配値がない場合は、第一地点近傍の勾配値情報を有する地点の勾配値に基づいて、第一地点の勾配値を導出してもよい。
【0010】
勾配値は例えば、100×垂直距離/水平距離[%]で表される。+の勾配値は登坂、−の勾配値は降坂を示しており、絶対値が大きいほど急な坂路であることを示している。なお、ノードごとに高度が記憶され、隣接するノードの高度に基づいて勾配値を導出する構成であってもよい。また、第一地点は、車両の現在地から所定時間経過後に到達する地点として定めてもよいし、車両の現在地から道なりに所定距離前方の地点として定めてもよい。前者の場合、現在の車速と所定時間とに基づいて、所定時間内に進む距離を導出し、車両の現在地から道なりに当該距離前方の地点を第一地点として定める。所定時間とは、例えばシフトマップ切り換えに伴うシフトチェンジに要する時間等を基に設計可能である。なお、車両の前方を視野に含むように取り付けられたカメラが撮影した画像情報に基づいて、車両の前方の道路の勾配を示す情報を取得する構成を採用してもよい。
【0011】
先地点間平均勾配情報取得手段においては、第一地点からさらに前方の第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得することができればよい。第二地点は、例えば第一地点から道なりに所定距離前方の地点として定められる。所定距離に関しては例えば、わずかな勾配変化の箇所を含む平均勾配がシフトマップ切り換え条件を満たすことを排除できることが考慮される。なお、第二地点を、現在の車速に基づいて第一地点から所定時間経過後に車両が到達する地点として定めてもよい。第一地点から第二地点までの平均勾配は例えば、第一地点と、第二地点と、それらの間の地点に対応する勾配値とを用いて導出可能である。
【0012】
さらに、本発明において、シフトマップ切り換え手段は、現在のシフトマップが平坦路用であって、第一地点における勾配と、第一地点から第二地点までの平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より大きいとき、シフトマップを登坂路用に切り換えてもよい。また、第一地点における勾配と、第一地点から第二地点までの平均勾配とが共に降坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より小さいとき、シフトマップを降坂路用に切り換えてもよい。この構成によると、現在選択されているシフトマップが平坦路用シフトマップであって、車両の前方の第一地点の勾配とその先の平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値を超える場合、シフトマップを登坂路用に切り換えることができる。そして、登坂路に適したシフトマップに基づいて、道路が平坦路から登坂路に変化する区間において、速やかに好適な変速比での車両の走行を実現することができる。道路が平坦路から降坂路に変化する区間においても同様に、速やかに好適な変速比での車両の走行を実現することができる。また、この構成によると、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生する可能性を低減できる。
【0013】
さらに、本発明において、車両の現在地における勾配を示す情報を取得する現在地勾配情報取得手段と、車両の現在地と、前記現在地の前方の第三地点との間の平均勾配を示す情報を取得する平均勾配情報取得手段と、を備えていてもよい。この構成において、シフトマップ切り換え手段は、現在のシフトマップが登坂路用であって、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用解除閾値に相当する勾配より小さいとき、シフトマップを平坦路用に切り換えてもよい。さらに、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に降坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より小さいとき、シフトマップを降坂路用に切り換えてもよい。すなわち、登坂路から平坦路に変化する区間や、登坂路から降坂路に変化する区間においては、車両が登坂路を昇り終えたときにシフトマップを切り換えるようにしてもよい。その結果、登坂の途中でシフトマップが切り換わることによって登坂の途中で必要な駆動力が得られなくなる可能性を低減することができる。また、この構成によると、車両の現在地における勾配と、現在地から第三地点までの間の平均勾配とが共に閾値より小さい場合にシフトマップを切り換える構成であるので、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生する可能性を低減できる。
【0014】
現在地勾配情報取得手段においては、車両の現在地を特定し、当該現在地における勾配を取得することができればよい。車両の現在地を特定する構成は、前述の第一地点勾配情報取得手段と同様の構成を用いることができる。現在地における勾配を取得する構成も、前述と同様に、地図情報を参照して、現在地における勾配値を取得する構成を採用可能である。平均勾配情報取得手段においては、車両の現在地から前方の第三地点を特定し、当該第三地点と現在地との間の平均勾配を取得することができればよい。第三地点は、例えば車両の現在地から道なりに所定距離前方の地点として定められる。所定距離は例えば、わずかな勾配変化の箇所を含む平均勾配がシフトマップ切り換え条件を満たすことを排除できるように考慮される。なお、第三地点を、現在の車速に基づいて現在地から所定時間経過後に車両が到達する地点として定めてもよい。現在地から第三地点までの平均勾配は前述と同様に、現在地と、第三地点と、それらの間の地点に対応する勾配値とを用いて導出可能である。
【0015】
さらに上記の構成において、シフトマップ切り換え手段は、現在のシフトマップが降坂路用であって、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より大きいとき、シフトマップを登坂路用に切り換えてもよい。また、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配の少なくともいずれか一方が前記登坂路用シフトマップ使用開始閾値以下で、かつ前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に降坂路用シフトマップ使用解除閾値に相当する勾配より大きいとき、シフトマップを平坦路用に切り換えてもよい。すなわち、降坂路から平坦路に変化する区間や、降坂路から登坂路に変化する区間においては、車両が降坂路を下り終えたときにシフトマップを切り換えるようにしてもよい。その結果、降坂路の途中でシフトマップが切り換わることによって降坂路の途中で降坂路に適さない変速比で走行する可能性を低減することができる。また、この構成によると、車両の現在地における勾配と、現在地から第三地点までの間の平均勾配とが共に閾値より大きい場合にシフトマップを切り換える構成であるので、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生する可能性を低減できる。
【0016】
なお、本発明のように、車両の前方の第一地点における勾配と、第一地点からさらに前方の第二地点と前記第一地点の間の平均勾配とが、共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換える手法は、この処理を行うプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシフト制御装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシフト制御装置の一部あるいは全部を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、シフト制御装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)シフト制御装置の構成:
(2)シフト制御処理:
(2−1)平坦路走行時マップ切り換え判定処理:
(2−2)登坂路走行時マップ切り換え判定処理:
(2−3)降坂路走行時マップ切り換え判定処理:
(3)他の実施形態:
【0018】
(1)シフト制御装置の構成:
図1は、本発明にかかるシフト制御装置10の構成を示すブロック図である。シフト制御装置10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてシフト制御プログラム21を実行可能であり、当該シフト制御プログラム21はその機能として、道路の勾配に基づいてシフトマップを切り換える機能を備えている。
【0019】
シフト制御プログラム21による機能を実現するために、シフト制御装置10は、ナビゲーション装置42、車速センサ43、スロットル開度センサ44、ブレーキスイッチ45、自動変速機46と協働する。シフト制御装置10とナビゲーション装置42、車速センサ43、スロットル開度センサ44、ブレーキスイッチ45、自動変速機46とは、図示しないインタフェースを介して電気的に接続されている。ナビゲーション装置42は、図示しないCPU、RAM、ROM、記憶媒体を備え、ROMまたは記憶媒体に記憶されているナビゲーションプログラムを実行することができる。ナビゲーションプログラムは、車両の現在地を特定する機能、当該現在地から所定時間経過後の第一地点を特定する機能、当該第一地点から所定距離前方の第二地点を特定する機能、車両の現在地から所定距離前方の第三地点を特定する機能、それぞれの地点の勾配値や地点間の平均勾配値を取得する機能を有している。
【0020】
ナビゲーション装置42の記憶媒体には、前述の各地点の特定や勾配値の取得のために、地図情報が記憶されている。地図情報には、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ等が含まれている。勾配値は、ノードやリンク等と対応付けて地図情報に含まれている。ナビゲーション装置42は、GPS受信部41や車速センサ43、図示しないジャイロセンサ等からの信号、地図情報、路車間通信等によって車両の現在位置を特定し、地図情報に基づいて車両の進行方向前方の地点を決定し、当該地点における勾配値を取得する。勾配値を取得したい地点と直接対応付けられた勾配値が存在しない場合は、当該地点近傍の勾配値情報を有する地点の勾配値に基づいて、勾配値を導出してもよい。
【0021】
勾配値は例えば、100×垂直距離/水平距離[%]で表される。+の勾配値は登坂、−の勾配値は降坂を示しており、絶対値が大きいほど急な坂路であることを示している。本実施形態において平坦路とは、勾配値が0[%]である道路のみを指すものではなく、0[%]±所定値の範囲であって平坦路用のシフトマップにて車両を走行させる程度の勾配の路を平坦路というものとする。なお、ノードごとに高度が記憶され、隣接するノードの高度に基づいて勾配値を導出する構成であってもよい。
【0022】
第一地点から第二地点までの平均勾配値は、例えば、第一地点と、第二地点と、それらの間の地点に対応して記憶されている勾配値とを用いて導出可能である。同様に、現在地から第三地点までの平均勾配は、現在地と、第三地点と、それらの間の地点に対応して記憶されている勾配値とを用いて導出可能である。なお、車両の前方を視野に含むように取り付けられた前方カメラ40が撮影した画像情報に基づいて、車両の前方の道路の勾配を示す情報を取得してもよい。
【0023】
内燃機関47の吸気路に配置された図示しないスロットルバルブの付近には、スロットル開度センサ44が設けられ、アクセルペダル操作によるスロットル開度に応じた信号を出力する。本実施形態において自動変速機46は、前進5速、後進1速等の複数の変速段を有する有段の自動変速機である。図示しないブレーキペダルの付近にはブレーキスイッチ45が設けられ、ブレーキスイッチ45は、フットブレーキ操作が行われたときにブレーキオン信号を出力する。
【0024】
シフト制御プログラム21は、上述の各部と協働してシフト制御を行うため、第一地点勾配情報取得部21a、先地点間平均勾配情報取得部21b、現在地勾配情報取得部21c、平均勾配情報取得部21d、シフトマップ切り換え部21eとを備えている。第一地点勾配情報取得部21aは、車両の現在地より進行方向の前方に第一地点を特定し、当該第一地点における勾配を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。具体的には例えば、上述のようにしてナビゲーション装置42が取得した第一地点における勾配値を、制御部20が取得する。
【0025】
先地点間平均勾配情報取得部21bは、第一地点と、第一地点からさらに前方の第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。具体的には例えば、ナビゲーション装置42が第二地点を特定し、第一地点から第二地点までの間の平均勾配値を導出し、制御部20が導出された平均勾配値を取得する。
【0026】
現在地勾配情報取得部21cは、車両の現在地における勾配を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。具体的には例えば、ナビゲーション装置42が、車両の現在地を特定し、当該現在地における勾配値を取得し、取得した勾配値を制御部20に受け渡す。平均勾配情報取得部21dは、車両の現在地と、前記現在地の前方の第三地点との間の平均勾配を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。具体的には例えば、ナビゲーション装置42が車両の現在地から前方の第三地点を特定し、当該第三地点と現在地との間の平均勾配値を取得し、制御部20が当該平均勾配値を取得する。
【0027】
シフトマップ切り換え部21eは、第一地点における勾配と第一地点から第二地点の間の平均勾配、車両の現在地の勾配と現在地から第三地点までの平均勾配などに基づいてシフトマップを切り換える機能を制御部20に実現させるモジュールである。シフトマップは、自動変速機46において、道路の勾配や道路の形状(屈曲路等)、道路の渋滞状況などに応じて好適な変速を実現するために予め設計されたシフトタイミングを表す情報である。本実施形態では、道路の勾配に応じた登坂路用シフトマップと平坦路用シフトマップと降坂路用シフトマップとが用いられる。シフトマップは例えば、スロットル開度と車速とに対して変速段が対応付けられた2次元テーブルデータで表されたものである。降坂路用のシフトマップは、降坂路勾配と車速とに対して変速段が対応付けられたものであってもよい。各シフトマップとしてのテーブルデータは、シフト制御装置10のROMに予め記憶されている。
【0028】
制御部20は、シフトマップ切り換え部21eの処理を実行することによりシフトマップの選択を切り換えた後、選択されているシフトマップと、スロットル開度センサ44から取得したスロットル開度と、車速センサ43から取得した車両の現在の車速と、現在の変速段などに基づいて、自動変速機46に変速信号を出力する。シフト制御装置10から変速信号が出力されると、自動変速機46は当該変速信号に応じた所定の変速段へのシフトチェンジを実施する。
以上、シフト制御装置10の構成を説明した。
【0029】
(2)シフト制御処理:
次に、以上の構成において本実施形態にかかるシフト制御装置10が実施する処理について説明する。図2は、シフト制御処理の流れを示すフローチャートである。図2に示す処理は、所定時間経過ごとに繰り返し制御部20によって実行される。
【0030】
はじめに、制御部20は、勾配取得処理を実行する(ステップS100)。図3は、勾配取得処理を示すフローチャートである。まず、制御部20は、第一地点勾配情報取得部21aの処理を実行することにより、車両の前方の第一地点を示す情報を取得する(ステップS200)。具体的には例えば、ナビゲーション装置42がGPS受信部41からの信号や地図情報などに基づいて車両の現在地を特定し、車速センサ43からの信号に基づき現在の車速を取得し、現在の車速と予め決められた所定時間とに基づいて当該所定時間内に車両が進む距離を導出し、車両の現在地から道なりに当該距離前方の第一地点を特定する(図4A参照)。道なりとは例えば、ナビゲーション装置42による案内経路上を指す。そして特定された第一地点を示す情報を、制御部20が取得する。所定時間とは例えば2秒程度である。この時間は、例えばシフトマップ切り換えに伴うシフトチェンジに要する時間が考慮されている。なお、第一地点は、車両の現在地から道なりに所定距離前方の地点として定めてもよい。
【0031】
次に、制御部20は、先地点間平均勾配情報取得部21bの処理を実行することにより、第一地点からさらに前方の第二地点を示す情報を取得する(ステップS205)。具体的には、ナビゲーション装置42が地図情報を参照し、第一地点から道なりに予め決められた所定距離だけ先の第二地点を特定する(図4A参照)。制御部20は、特定された第二地点を示す情報をナビゲーション装置42から取得する。所定距離とは例えば50メートル程度である。この距離は、例えば、わずかな勾配変化の箇所を含む平均勾配がシフトマップ切り換え条件を満たすことを排除できるように考慮される。なお、第二地点は、現在の車速に基づいて第一地点から所定時間経過後に車両が到達する地点として定められてもよい。
【0032】
次に、制御部20は、平均勾配情報取得部21dの処理を実行することにより、車両の前方の第三地点を示す情報を取得する(ステップS210)。具体的には、ナビゲーション装置42が地図情報を参照して車両の現在地から道なりに予め決められた所定距離先の第三地点を特定する(図4B参照)。制御部20は、ナビゲーション装置42によって特定された第三地点を示す情報を取得する。所定距離とは例えば50メートル程度である。この距離は、例えば、わずかな勾配変化の箇所を含む平均勾配がシフトマップ切り換え条件を満たすことを排除できるように考慮される。なお、第三地点は、現在の車速に基づいて現在地から所定時間経過後に車両が到達する地点として定められてもよい。
【0033】
次に、制御部20は、第一地点勾配情報取得部21aの処理を実行することにより、第一地点における勾配値(g)を取得する(ステップS215)。具体的には、ナビゲーション装置42が地図情報を参照し第一地点の勾配値を取得し、制御部20がナビゲーション装置42から第一地点の勾配値を取得する。
【0034】
次に、制御部20は、先地点間平均勾配情報取得部21bの処理を実行することにより、第一地点から第二地点における平均勾配値(g)を取得する(ステップS220)。具体的には例えば、ナビゲーション装置42が地図情報を参照し第一地点と第二地点との間の区間に含まれるノードの個数と、当該ノードに対応付けられた勾配値を取得し、勾配値の和をノードの個数で除算して平均勾配値を算出する。制御部20は算出された平均勾配値を取得する。
【0035】
次に、制御部20は、現在地勾配情報取得部21cの処理を実行することにより、車両の現在地の勾配値(gn)を取得する(ステップS225)。具体的には、ナビゲーション装置42が地図情報を参照して現在地の勾配値を取得し、制御部20は当該勾配値を取得する。
【0036】
次に、制御部20は、平均勾配情報取得部21dの処理を実行することにより、現在地と第三地点との間の平均勾配値(gn)を取得する(ステップS230)。具体的には、ナビゲーション装置42が地図情報を参照して、現在地から第三地点までの区間に含まれるノードの個数と、当該ノードに対応付けられた勾配値を取得し、勾配値の和をノードの個数で除算して平均勾配値を算出する。制御部20は算出された平均勾配値を取得する。
以上、勾配取得処理の流れを説明した。シフト制御処理の説明に戻る。
【0037】
制御部20は、シフトマップ切り換え部21eの処理を実行することにより、現在選択されているシフトマップが登坂路用であるか否かを判定する(ステップS105)。現在選択されているシフトマップが登坂路用である場合、制御部20はシフトマップ切り換え部21eの処理のうちの、登坂路走行時マップ切り換え判定処理を実行する(ステップS110)。現在選択されているシフトマップが登坂路用でない場合、制御部20は、シフトマップ切り換え部21eの処理を実行することにより現在選択されているシフトマップが降坂路用であるか否かを判定する(ステップS115)。選択されているシフトマップが降坂路用である場合、制御部20は、シフトマップ切り換え部21eの処理のうちの、降坂路走行時マップ切り換え判定処理を実行する(ステップS125)。ステップS115において、選択されているシフトマップが降坂路用でないと判定された場合、制御部20は、シフトマップ切り換え部21eの処理のうちの、平坦路走行時マップ切り換え判定処理を実行する(ステップS120)。本実施形態では、シフトマップの切り換え判定処理の内容を、道路の勾配変化の態様に応じて変えている。
次に、平坦路走行時マップ切り換え処理(ステップS120)、登坂路走行時マップ切り換え判定処理(ステップS110)、降坂路走行時マップ切り換え判定処理(ステップS125)の処理内容を順に説明する。
【0038】
(2−1)平坦路走行時マップ切り換え判定処理:
図5は、平坦路走行時マップ切り換え判定処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部20は、第一地点における勾配値gが登坂路用シフトマップ使用開始閾値(GUon)より大きいか否かを判定する(ステップS300)。第一地点における勾配値gがGUonより大きい場合、第一地点から第二地点までの平均勾配値gがGUonより大きいか否かを判定する(ステップS305)。平均勾配値gもGUonより大きい場合、制御部20は、シフトマップを登坂路用に切り換える(ステップS310)。
【0039】
本実施形態では、登坂路用シフトマップ使用開始閾値(GUon)は、平坦路用シフトマップまたは降坂路用シフトマップから登坂路用シフトマップに切り換える際の閾値となる勾配値であり、後述する登坂路用シフトマップ使用解除閾値(GUoff)・降坂路用シフトマップ使用解除閾値(GDoff)・降坂路用シフトマップ使用開始閾値(GDon)とは、GUon>GUoff>GDoff>GDonの関係になるように設計されている。登坂路用シフトマップ使用開始閾値(GUon)と登坂路用シフトマップ使用解除閾値(GUoff)とがGUon>GUoffの関係にあること、また、降坂路用シフトマップ使用解除閾値(GDoff)と降坂路用シフトマップ使用開始閾値(GDon)とがGDoff>GDonの関係にあることにより、GUon=GUoffまたGDoff=GDonである場合と比べて、シフトマップ切り換えの閾値付近の勾配を車両が走行しているときに、頻繁にシフトマップが切り換わることを防止する。
【0040】
ステップS300において第一地点における勾配値gが登坂路用シフトマップ使用開始閾値(GUon)より大きいと判定されない場合、または、ステップS305にて平均勾配値gがGUonより大きいと判定されない場合、制御部20は、第一地点における勾配値gが降坂路用シフトマップ使用開始閾値(GDon)より小さいか否かを判定する(ステップS315)。第一地点における勾配値gがGDonより小さいとき、制御部20は、平均勾配値gがGDonより小さいか否かを判定する(ステップS320)。平均勾配値gもGDonより小さい場合、制御部20は、運転者に減速の意思があるか否かを判定する(ステップS325)。具体的には例えばブレーキスイッチ45からブレーキオン信号が出力されているかを判定する。ブレーキオン信号が出力されている場合、運転者が減速意思を持ってフットブレーキ操作をしていると判定される。運転者に減速の意志があると判定された場合、制御部20はシフトマップを降坂路用に切り換える(ステップS330)。なお、ステップ325は省略されてもよい。
【0041】
図6を用いて、平坦路走行時マップ切り換え判定処理の作用を説明する。図6において地点Aは地点Nが車両の現在地であるときの第一地点を示しており、地点Bはそのときの第二地点を示している。平坦路走行時マップ切り換え判定処理によると、車両の現在地より前方の第一地点の勾配と、第一地点からさらに前方の第二地点と第一地点との間の平均勾配とが、共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値(GUon)より大きくなければ、シフトマップを登坂路用に切り換えない。そのため、地点Aのように第一地点の勾配値がGUonより大きい場合であっても、その先の平均勾配値がGUonより大きくなければ、シフトマップは切り換わらないので、地点A前後のように短い区間のみ勾配が変化する箇所においてシフトマップが逐一切り換わる(短い区間の間に平坦路用、登坂路用、平坦路用の順に切り換わる)ことを防止することができる。その結果、地点A前後において不要なシフトチェンジが発生する可能性を低減することができる。
【0042】
図6において地点Aは、地点Nから車両が前方に進行して車両の現在地が地点Nとなったときの第一地点を示しており、地点Bはそのときの第二地点を示している。さらに、平坦路走行時マップ切り換え判定処理によると、車両の前方のある地点(地点A)の勾配とその先の平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値を超える場合、前記ある地点が第一地点となった時点(地点Nを通過した時点)で、シフトマップを登坂路用に切り換えることができる。車速とスロットル開度に基づくシフトマップにおいて、平坦路用シフトマップと登坂路用シフトマップとでは通常、シフトタイミングが後者の方が前者より高速側に設計される。また、内燃機関の回転数とスロットル開度とに基づくシフトマップにおいて、平坦路用シフトマップと登坂路用シフトマップとでは通常、シフトタイミングが後者の方が前者よりも高回転数側に設計される。そのため、登坂路用のシフトマップを参照し、車速とスロットル開度とに基づいて、あるいは内燃機関の回転数とスロットル開度とに基づいて、シフトチェンジするタイミングであればシフトチェンジを開始することができる。すなわち、車両が地点Aを通過する前にシフトダウンを開始することが可能である。その場合、図6の地点N以降のように道路が登坂路に変化する区間において、速やかに好適な変速比での車両の走行を実現することができる。道路が平坦路から登坂路に変化する区間においても同様に、速やかに好適な変速段での車両の走行を実現することができる。
【0043】
(2−2)登坂路走行時マップ切り換え判定処理:
次に、登坂路走行時マップ切り換え判定処理の内容を説明する。図7は、登坂路走行時マップ切り換え判定処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部20は、車両の現在地における勾配値gnが登坂路用シフトマップ解除閾値(GUoff)より小さいか否かを判定する(ステップS400)。勾配値gnがGUoffより小さい場合、車両の現在地から第三地点までの平均勾配値gnがGUoffより小さいか否かを判定する(ステップS405)。平均勾配値gnがGUoffより小さい場合、制御部20は、シフトマップを平坦路用に切り換える(ステップS410)。
【0044】
次に制御部20は、車両の現在地の勾配値gnが降坂路用シフトマップ使用開始閾値(GDon)より小さいか否かを判定する(ステップS415)。勾配値gnがGDonより小さい場合、制御部20は、車両の現在地から第三地点までの平均勾配値gnがGDonより小さいか否かを判定する(ステップS420)。平均勾配値gnがGDonより小さい場合、制御部20は、運転者に減速の意思があるか否かを判定する(ステップS425)。例えば前述のように、ブレーキペダルが操作されているか否かを判定する。運転者に減速の意思があると判定された場合、制御部20はシフトマップを降坂路用に切り換える(ステップS430)。なお、ステップS425は省略されてもよい。
【0045】
以上説明した登坂路走行時マップ切り換え判定処理によると、登坂路から平坦路に変化する区間や、登坂路から降坂路に変化する区間においては、車両が登坂路を昇り終えたときにシフトマップを切り換える。その結果、登坂の途中でシフトマップが切り換わることによって登坂の途中で必要な駆動力が得られなくなる可能性を低減することができる。また、登坂路走行時マップ切り換え判定処理によると、車両の現在地における勾配値gnと、現在地から第三地点までの間の平均勾配値gnとが共にGUoffまたはGDonより小さい場合にシフトマップを切り換える構成であるので、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生する可能性を低減できる。
【0046】
(2−3)降坂路走行時マップ切り換え判定処理:
次に、降坂路走行時マップ切り換え判定処理の内容を説明する。図8は、降坂路走行時マップ切り換え判定処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部20は、車両の現在地における勾配値gnが登坂路用シフトマップ使用開始閾値(GUon)より大きいか否かを判定する(ステップS500)。勾配値gnがGUonより大きい場合、制御部20は、車両の現在地から第三までの平均勾配値gnがGUonより大きいか否かを判定する(ステップS505)。平均勾配値gnがGUonより大きい場合、制御部20はシフトマップを登坂路用に切り換える(ステップS510)。
【0047】
次に制御部20は、車両の現在地における勾配値gnが降坂路用シフトマップ使用解除閾値(GDoff)より大きいか否かを判定する(ステップS515)。勾配値gnがGDoffより大きい場合、制御部20は、車両の現在地から第三地点までの平均勾配値gnがGDoffより大きいか否かを判定する(ステップS520)。平均勾配値gnがGDoffより大きい場合、制御部20はシフトマップを平坦路用に切り換える(ステップS525)。
【0048】
以上説明した降坂路走行時マップ切り換え判定処理によると、降坂路から平坦路に変化する区間や、降坂路から登坂路に変化する区間においては、車両が降坂路を下り終えたときにシフトマップを切り換える。その結果、降坂路の途中でシフトマップが切り換わることによって降坂路の途中で降坂路に適さない変速段で走行する可能性を低減できる。また、この構成によると、車両の現在地における勾配値gnと、現在地から第三地点までの間の平均勾配値gnとが共に閾値より大きい場合にシフトマップを切り換える構成であるので、短い区間のみ勾配が変化する箇所において不要なシフトチェンジが発生することがない。
【0049】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、車両の前方の第一地点における勾配を示す情報を取得し、第一地点と第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得し、第一地点における勾配と、第一地点から第二地点までの平均勾配とが共に、共通する条件を満たす場合に規定の処理を実施する限りにおいて他にも種々の実施形態に適用可能である。
【0050】
上記実施形態のシフト制御装置において、前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換える手法は、平坦路用シフトマップから登坂路用シフトマップまたは降坂路用シフトマップに切り換える際に用いる例を説明したが、登坂路マップから平坦路用シフトマップまたは降坂路用シフトマップに切り換える際や、降坂路用シフトマップから登坂路用シフトマップまたは平坦路用シフトマップに切り換える際にこの手法を用いてもよい。
【0051】
シフトマップ切り換え条件は、例えば、シフトマップを切り換える際の閾値としての勾配値と、第一地点における勾配値および第一地点から第二地点までの平均勾配値との大小関係を示す不等式として定義可能である。すなわちシフトマップ切り換え条件として、第一地点における勾配値と、第一地点から第二地点までの平均勾配値とが、前記閾値である勾配値より大きいか小さいかを判定する。前記閾値より大きければ、当該閾値より大きい場合のシフトマップに切り換え、当該閾値より小さければ、当該閾値より小さい場合のシフトマップに切り換える。
【0052】
さらに、上記実施形態のシフト制御装置においては、登坂路用シフトマップと平坦路用シフトマップと降坂路用シフトマップを用いて、それらを切り換える例を説明したが、さらに細かく、重登坂路用、軽登坂路用、平坦路用、軽降坂路用、重降坂路用のシフトマップを用い、それらを切り換える際に、上記実施形態の切り換え判定手法を用いてもよい。また、上記実施形態においては、予めテーブルデータとして記憶されている複数のシフトマップのうち選択されているシフトマップを切り換える例を説明したが、これに限らず他の変速タイミングを変更する形態でもよい。例えば、シフトマップの変速制御点を、第一地点の勾配とその先の平均勾配とに応じてずらすなどしてもよい。
【0053】
上記実施形態のシフト制御装置において、車両の前方の第一地点や、後述する第二地点、第三地点は、ナビゲーション装置42による案内経路上に設定される例を説明した。経路案内中でない場合であって、車両の前方に道路の分岐がある場合は、運転者による進行方向の意思が決定された(例えばウィンカ操作やステアリング操作)時点で第一地点や第二地点、第三地点が設定されてもよい。また、運転者の走行履歴情報に基づいて第一地点、第二地点、第三地点が設定されてもよい。
【0054】
また、上記実施形態のシフト制御装置は、有段の自動変速機を例に用いて説明したが、無段変速機に本発明が適用されてもよい。すなわち、無段変速機の制御態様を車両前方の道路の勾配に応じて変更する目的で車両前方の勾配の状況を判定する際、上記実施形態で説明したように、車両の前方の第一地点の勾配とその先の平均勾配とが共に制御切り換え条件を満たすか否かを判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】シフト制御装置のブロック図である。
【図2】シフト制御処理を示すフローチャートである。
【図3】勾配取得処理を示すフローチャートである。
【図4】車両の現在地、第一地点、第二地点、第三地点を説明するための図である。
【図5】平坦路走行時マップ切り換え判定処理を示すフローチャートである。
【図6】平坦路走行時のマップ切り換えおよびシフトチェンジのタイミングを説明する図である。
【図7】登坂路走行時マップ切り換え判定処理を示すフローチャートである。
【図8】降坂路走行時マップ切り換え判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10:シフト制御装置、20:制御部、21:シフト制御プログラム、21a:第一地点勾配情報取得部、21b:先地点間平均勾配情報取得部、21c:現在地勾配情報取得部、21d:平均勾配情報取得部、21e:シフトマップ切り換え部、40:前方カメラ、41:GPS受信部、42:ナビゲーション装置、43:車速センサ、44:スロットル開度センサ、45:ブレーキスイッチ、46:自動変速機、47:内燃機関。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の第一地点における勾配を示す情報を取得する第一地点勾配情報取得手段と、
前記第一地点と、前記第一地点からさらに前方にある第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得する先地点間平均勾配情報取得手段と、
前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換えるシフトマップ切り換え手段と、
を備えるシフト制御装置。
【請求項2】
前記シフトマップ切り換え手段は、現在のシフトマップが平坦路用であって、前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より大きいとき、シフトマップを登坂路用に切り換え、前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共に降坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より小さいとき、シフトマップを降坂路用に切り換える、
請求項1に記載のシフト制御装置。
【請求項3】
前記車両の現在地における勾配を示す情報を取得する現在地勾配情報取得手段と、
前記車両の現在地と、前記現在地の前方の第三地点との間の平均勾配を示す情報を取得する平均勾配情報取得手段と、を備え、
前記シフトマップ切り換え手段は、現在のシフトマップが登坂路用であって、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用解除閾値に相当する勾配より小さいとき、シフトマップを平坦路用に切り換え、さらに前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に降坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より小さいとき、シフトマップを降坂路用に切り換える、
請求項1または請求項2に記載のシフト制御装置。
【請求項4】
前記シフトマップ切り換え手段は、現在のシフトマップが降坂路用であって、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に登坂路用シフトマップ使用開始閾値に相当する勾配より大きいとき、シフトマップを登坂路用に切り換え、前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配のいずれか一方が前記登坂路用シフトマップ使用開始閾値以下で、かつ前記現在地における勾配と、前記現在地から前記第三地点までの平均勾配とが共に降坂路用シフトマップ使用解除閾値に相当する勾配より大きいとき、シフトマップを平坦路用に切り換える、
請求項3に記載のシフト制御装置。
【請求項5】
車両の前方の第一地点における勾配を示す情報を取得する第一地点勾配情報取得工程と、
前記第一地点と、前記第一地点からさらに前方にある第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得する先地点間平均勾配情報取得工程と、
前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換えるシフトマップ切り換え工程と、
を含むシフト制御方法。
【請求項6】
車両の前方の第一地点における勾配を示す情報を取得する第一地点勾配情報取得機能と、
前記第一地点と、前記第一地点からさらに前方にある第二地点との間の平均勾配を示す情報を取得する先地点間平均勾配情報取得機能と、
前記第一地点における勾配と、前記第一地点から前記第二地点までの平均勾配とが共にシフトマップ切り換え条件を満たすとき、シフトマップを切り換えるシフトマップ切り換え機能と、
をコンピュータに実現させるシフト制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−121573(P2009−121573A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295296(P2007−295296)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】