シフト変更制御方法
【課題】 出力分岐を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御において、ドライバが感じる振動を防止する。
【解決手段】 第1作動モード(A)で閉鎖され、第2作動モード(B)で開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなり、2つのカプラがシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖され、シフトするために閉鎖すべきカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が予め設定された第1閾値(SNb,SPa)を超える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを特徴とする複数の作動モード(A,B)を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御方法。
【解決手段】 第1作動モード(A)で閉鎖され、第2作動モード(B)で開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなり、2つのカプラがシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖され、シフトするために閉鎖すべきカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が予め設定された第1閾値(SNb,SPa)を超える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを特徴とする複数の作動モード(A,B)を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速または無限変速オートマチックトランスミッションの操作に関するものである。
【0002】
より詳細には、本発明は、第1作動モードで閉鎖され、第2作動モードで開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなる複数の作動モードを有する無限変速トランスミッションのシフト制御に関するものであり、2つのカプラはシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖される。
【0003】
本発明は、一定減速ドライブラインを含む回路と、2つの電気機械で構成される無段変速機を含む回路との少なくとも2つの並列パワートランスミッション回路からなる型のトランスミッション装置に特に有効であるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0004】
各回路が熱機関のような機械エネルギー源に接続される機械的入力分配器と、車両の車輪に接続される機械的出力分配器とに接続される上述の型の装置は、特許文献1で公知である。機械的入力分配器と機械的出力分配器とは、好ましくは遊星歯車装置であるが、遊星歯車装置に限定されない。
【0005】
この種のトランスミッションは、2つのカップリング回路のいずれか一方を使用する2つの主要作動モードを備える。各モードでは、使用しないカップリング回路のカップリング手段またはカプラは開放されるが、使用するカップリング回路のカップリング手段またはカプラは閉鎖される。
【0006】
特許文献1によれば、シフトは設定された変速比閾値の超過に対応するトランスミッションの幾つかの特殊作動ポイントで行なわれる。トランスミッションシフトは、特に各作動モードに、設定された変速比幅を割り当てて、トランスミッションアッセンブリの可動部分に応じて変更される。従って、トランスミッションの各作動ポイントにおいて、トランスミッションは適切な作動モードにある。
【0007】
従って、トランスミッションモードがコンピュータにより定められた作動ポイントにおいてトランスミッションの可動部分と常に適合するように、この種のトランスミッションのシフトは行なわれる。
【0008】
各瞬間に最も適切な作動モードを採用することにより、トランスミッションの作動の最適化が実際に可能である。
【0009】
【特許文献1】フランス特許公報第2823281号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、シフト変更の制御が悪い場合、デカップリングシステムまたはカプラにおいてドライバが感じる不用な振動が起こりえる。なお、コンピュータにより定められた作動ポイントから見れば、幾つかのシフトは明らかに不要である。
【0011】
本発明は、出力分岐を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御において、ドライバが感じる振動を防止することができるシフト変更制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明においては、第1作動モード(A)で閉鎖され、第2作動モード(B)で開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなり、2つのカプラがシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖され、シフトするために閉鎖すベきカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が予め設定された第1閾値(SNb,SPa)を越える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを特徴とする。
【0013】
また、アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が第1閾値の反対符号である予め設定された第2閾値(SPb,SNa)を越える場合、上記モードがそのまま保存されることを特徴とする。
【0014】
また、2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間で、開放されたカプラの速度差予測値(CDWb,CDWa)にシフト変更が依存することを特徴とする。
【0015】
また、アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が最初の2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間に位置し、上記速度差の予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、シフト変更が課せられることを特徴とする。
【0016】
また、シフトが実行中で、閉鎖すべきカプラの端子間の速度差予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、実行中のシフトが中断することを特徴とする。
【0017】
また、シフト操作が、第1モードで開放されているカプラを閉鎖し始める前に上記カプラの入出力間の速度差(DWa,DWb)をなくすための準備段階(1a,1b)を備えることを特徴とする。
【0018】
また、シフト操作が、第1カプラが閉鎖され(2a,2b)、2つのカプラが同時に閉鎖されたままの位置にあり(3a,3b)、上記第1カプラが閉鎖されたままの位置で第2カプラが開放される(4a,4b)過渡的段階を伴った前記第1カプラの内側で滑らない準備段階(1a,1b)を有することを特徴とする。
【0019】
また、第1カプラの入出力間の速度差がその閉鎖段階(2a,2b)においてゼロに調整されることを特徴とする。
【0020】
また、2つのカプラがそれらの同時閉鎖段階において全く滑らないことを特徴とする。
【0021】
また、シフト指示が変更されると直ぐにシフト操作制御ループが初期設定されることを特徴とする。
【0022】
また、カプラの閉鎖段階(2a,2b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの開放段階(4b,4a)への直接移行となって現れることを特徴とする。
【0023】
また、カプラの開放段階(4a,4b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの閉鎖段階(2b,2a)への直接移行となって現れることを特徴とする。
【0024】
また、予め設定されたxa,xb時間後に現在のモードで開放されているカプラの端子間の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が現在のモードの範囲を離れれば、シフトが瞬間tにおいて前もって変更されることを特徴とする。
【0025】
また、xa,xb時間後の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が瞬間tにおける上記速度差の反対符号である場合、シフトが変更されることを特徴とする。
【0026】
また、瞬間tと瞬間t+a,t+bとの間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第1変動閾値(SG1CDWa,SG1CDWb)に等しいかそれ以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする。
【0027】
また、新たにターゲットに定められたモードで閉鎖すべきカプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第1予測速度閾値(S1CDWa,S1CDWb)以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする。
【0028】
また、再び上記モードにするために閉鎖すべきカプラの端子間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第2変動閾値(SG2CDWa,SG2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする。
【0029】
また、上記カプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第2予測速度閾値(S2CDWa,S2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする。
【0030】
すなわち、本発明によれば、シフト変更制御は、トランスミッションのカプラの端子間の差動速度計算と、これらの差動速度の予測値計算とに基づく。
【0031】
これらの変数計算には、トランスミッションの入出力速度に応じた各カプラの入出力間の速度差と、トランスミッションのコンピュータにより一定の瞬間にターゲットに定められた作動ポイントにおけるトランスミッションの入力速度設定値との書き込みが可能なマトリックス係数を特に用いることができる。
【0032】
本発明は、シフトするために閉鎖すベきカプラの端子間の速度差が予め設定された第1閾値を超える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを提案する。
【0033】
好ましくは、アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差が第1閾値の反対符号である予め設定された第2閾値を越える場合、このモードはそのまま保存される。
【0034】
特許文献1によれば、カプラが同時に閉鎖する時間の間にトランスミッションのために同一総減速比を保存することが可能な作動状態が各カップリング回路で制御される。そのために、変速機の入出力比がシフト中に一定のままであるように、変速機はカプラの入出力間の速度差を制御するための速度同期装置と協動する。
【0035】
しかしながら、トランスミッションの2つの連続モード間の移行は、ドライバが不規則な動きを感じることなく、また熱機関の作動状態にトラブルが発生することなく、速やかに行なわれなければならない。
【0036】
このために、本発明は、シフト操作中における2つの作動モードを有する無限変速トランスミッションのカップリング手段の操作を最適化する。
【0037】
より詳細には、本発明は、シフト操作が、第1モードで開放されているカプラを閉鎖し始める前にこのカプラの入出力間の速度差をなくすための準備段階を備えることを提案する。
【0038】
好ましくは、第1カプラの入出力間の速度差は、その閉鎖段階においてゼロに調整され、また2つのカプラはそれらの同時閉鎖段階において全く滑らない。
【0039】
しかしながら、これらの処置はシフト操作の流れを最適化するには十分ではない。
【0040】
この最終目的に到達し、特にシフト時間を短縮するために、本発明は、カプラに関する動力学の知識を活用することを提案する。
【0041】
より詳細には、本発明は、シフト操作時間を短縮するように、出力分岐を有する無限変速トランスミッションのシフト変更を前もって制御することを想定している。
【0042】
本発明によれば、設定された時間後にこのカプラの端子間の差動速度変動が、例えばこの時間内に符号を変えて、現在のモードの範囲を離れれば、シフトは、一定の瞬間に前もって変更される。
【0043】
好ましくは、このカプラの端子間の差動速度変動が予め設定された第1変動閾値以下で、差動速度予測値が予め設定された第1予測差閾値以下の場合のみ、シフトは変更される。
【0044】
本発明のその他の特徴および利点については、添付図面を参照しつつ、本発明の無制限な実施方法に関する後述の明細書を読むことにより明らかになってくる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係るシフト変更制御方法においては、カプラの端子間の速度差が小さい状態でカプラが閉鎖されるから、ドライバが感じる振動を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
上記のように、本発明は、トランスミッションの可動部分により定められたシフト制約を守って、第1作動モードと第2作動モードとで各々閉鎖される2つのカプラを備えた2つの作動モードの出力分岐を有する無限変速トランスミッションに適用される。
【0047】
次の各変数すなわちトランスミッションの入力速度Win、トランスミッションの出力速度Wout、カプラの端子間の差動回転速度DWa、DWbに対して、トランスミッションのコンピュータは、ターゲットに定められた作動ポイントにおける設定値または予測値、すなわちトランスミッションの入力速度設定値または予測値CWin、カプラの端子間の差動速度設定値または予測値CDWa、CDWbに対応するそれらの値をマトリックス計算により算出することができる。
【0048】
従って、マトリックス係数により定められた関数をFa、Fbとすると、次の関係式が成り立つ。
【0049】
DWa=Fa(Win,Wout)
DWb=Fb(Win,Wout)
CDWa=Fa(CWin,Wout)
CDWb=Fb(CWin,Wout)
最適シフトポイントが、DWaとDWbとがゼロであるとすると、各作動モードでトランスミッションの可動部分により許容される範囲は、次のように構成される。すなわち、モードAにおいてはDWa=0、DWb>0であり、モードBにおいてはDWa<0、DWb=0である。しかしながら、DWaとDWbとは、全く慣用的であり、本発明が次式が成り立つと考えられるトランスミッションに同じ条件で適用されることを考慮しなければならならず、モードAにおいてはDWb<0とし、モードBにおいてはDWa>0としてもよい。
【0050】
また、図3〜図6は、提案された制御方法で考慮される各閾値すなわちモードAの正閾値SPa、モードAの設定閾値SCa、モードAの負閾値SNa、モードBの正閾値SPb、モードBの設定閾値SCb、モードBの負閾値SNbを示す。
【0051】
コンピュータがターゲットに定めた作動ポイントに応じて設定されたまたは予測されるモードがモードAかモードBであるかどうかによって、図1はターゲットモード=モードAとターゲットモード=モードBと呼ばれる2つの状況を区別している。この図によれば、DWb<SNbのとき、つまり開放されたカプラの端子間の速度差DWbがモードBの負閾値と呼ばれる第1閾値SNb以下のとき、ターゲットモードAからターゲットモードBへの移行が予定されることが分かる。
【0052】
もしそうでなければ、DWb>SNbのとき、同じ速度差DWbの予測値CDWbがモードBの予測閾値または設定閾値SCb以下で、DWbがモードBの正閾値と呼ばれる第2閾値SPb以下の場合、ターゲットモードAからBへのシフトが同様に予定される。予測値CDWbがSCb以下で、DWbがSPb以上で、またBからAへのシフトが実行中のとき、ターゲットモードAからBへのシフトが第3の状況において同様に予定される。図1の右の部分に同様に示すターゲットモードBからAへのシフト条件は、酷似している。
【0053】
図2は、コンピュータが定めたターゲットモードに応じたターゲットモードシフトと実際のシフト変更との区別を明示する。入力情報は、図1に従ってコンピュータがターゲットに定めたモードである。前のターゲットはBであるが、ある一定の瞬間にターゲットがAである場合、BAシフト変更(BからAへの移行)が行なわれる。逆に、ターゲットモードがAからBに変わったばかりの場合、ABシフト変更(AからBへの移行)が行なわれる。また、ターゲットモードが変化しない場合、現在のモードが保存される。
【0054】
図3および図4は、アクティブモードAからシフト変更が行なわれる条件を示す。
【0055】
最初の瞬間(t=0)におけるアクティブモードがモードAであるから、後でDWbがSPb以上のままである場合、作動ポイントは、ゾーンAに位置し、従って、モードAが保存される。DWbが閾値SNbを越える(DWbが図上において閾値SNb以下になる)場合、ゾーンBに移行し、従って、モードBがターゲットに定められ、ABシフト変更が行なわれる。
【0056】
SPbとSNbの2つの閾値の間に位置するゾーンABにおいて、シフト変更はシフトするために閉鎖すべきカプラの速度差DWbの予測値CDWbに依存する。
【0057】
閉鎖すべき(従ってアクティブモードで開放されている)カプラの端子間の速度差DWbが予め設定されたSNbとSPbの2つの閾値の間にあり、その予測値CDWbが図4のゾーンCにある(CDWbが予め設定された閾値SCb以下にある)場合、ABシフトが課せられる。
【0058】
また、BAシフトが既に実行中で、CDWbが閾値SCbの下に位置するゾーンCに入る場合、ターゲットモードは、再びBになり、BAシフトは、中断する。従って、予測値CDWbが閾値SCbを越える(予測値CDWbが図上において閾値SCb以下になる)とき、BAシフトは、中断する。
【0059】
図5および図6は、BAシフトを示し、AをBに、BをAに替えて、図3および図4と同じように読むことができる。
【0060】
図7および図8には、特許文献1に記載されているような無限変速トランスミッションの2つのカプラの状態を時間に応じて示した。この特許文献1によれば、モードAでは、第1カップリング回路のカプラAは閉鎖されるが、第2カップリング回路のカプラBは開放される。逆に、モードBでは、カプラBは閉鎖され、カプラAは開放される。
【0061】
DWaとDWbとは、各々カプラAとカプラBとの入出力間の速度差であり、トランスミッションの入力速度Winと出力速度Woutとからマトリックス計算により得られる。
【0062】
FaとFbとを(例えば特許文献1に記載されているような)マトリックス係数Zにより定められた関数とすると、次の関係式が成り立つ。
【0063】
DWa=Fa(Win,Wout)
DWb=Fb(Win,Wout)
また、モードシフトが、2つのカプラの滑らない同時閉鎖段階を含むことから、本発明の方法は、次のように想定する。すなわち、2つのカプラが閉鎖される段階を経る。また、シフト時間中にDWa=DWb=0が成り立つように、予めカプラの位置決めをする。
【0064】
図7によれば、トランスミッションが閉鎖されたデカップリングシステムAと開放されたデカップリングシステムBとで設定されたモ−ドAにある瞬間t=0からのAからBへのシフト操作の各段階1b〜4bは、次の通りである。すなわち、段階1bはカプラAを閉鎖したままにして、現在値のDWbからDWbを0の近くに修正する段階であり、段階2bはカプラAを閉鎖したままにして、カプラBを閉鎖して、DWbを0に調整する段階であり、段階3bはカプラAとカプラBとを閉鎖したままにして、DWa、DWbを0に調整する段階であり、段階4bはカプラBを閉鎖したままにして、カプラAを開放して、DWaを0に調整する段階である。そして、2つのカプラはそれらの同時閉鎖段階において全く滑らない。
【0065】
従って、カプラAが完全に開放されると、モードBは、段階4bの後で設定される。段階1bはカプラBを閉鎖し始める前に、このカプラの端子間の速度差DWbを閾値Sbに近い0に下げるための準備段階である。カプラBの閉鎖段階2bにおいて、DWbは機械的に完全に0に下げられる。また、段階2b,段階3b,段階4bは、いわゆるシフト操作、つまり逆のカプラとなる。
【0066】
図8は、モードBからAへのシフトを示し、前図に酷似している。この図には、図7の段階1b〜段階4bに相当する段階1a〜段階4aが示されており、段階1aは現在値のDWaからDWaを0の近くに修正する段階であり、段階2aはDWaを0に調整する段階であり、段階3aは2つのカプラを同時に閉鎖して、DWa、DWbを0に調整する段階であり、段階4aはカプラAを閉鎖したままにして、カプラBを開放して、DWbを0に調整する段階である。そして、2つのカプラはそれらの同時閉鎖段階において全く滑らない。
【0067】
図9のフローチャートは、左の部分にAB(AからBへの)シフトが要求された時点(シフトTOP)からの各段階1b〜4bにおけるこのシフトの編成を示す。その際、コンピュータは、BA(BからAへの)シフトが実行中であるかないかを確認する。BAシフトが実行中で、段階1aが実行中の場合、コンピュータは、トランスミッションをモードA(段階0=シフト変更待ち)に戻す。
【0068】
もしそうでなければ、段階4aが実行中で、この場合コンピュータはABシフトの流れを直接段階2bで再開するか、BAシフトのもう1つの段階が実行中で、その場合コンピュータはABシフトの流れを段階4bで再開する。
【0069】
ABシフト要求時にBAシフトが実行中でないとき、ABシフトが実行される(段階1b)。速度差DWbが閾値Sb以下になると、段階2b(カプラBの閉鎖)に移行し、これが実際に閉鎖されると、段階3bに移行する。
【0070】
予め設定された待機時間(ゼロになりえる)後に、カプラAの開放が始まる(段階4b)。カプラAが完全に開放されると、シフト操作が完了する。
【0071】
図9の右の部分は、BAシフトの変更操作を詳細に示し、左の部分と同様に読むことができる。
【0072】
本発明によれば、シフト指示が変更されると直ぐに図9の制御ループが中断できるように再度初期設定されなければならない。なお、ABシフトからBAシフトに切り替えられるが、その逆もある。特に、指示変更が段階1bまたは段階1aで行なわれる場合、段階0に戻る。ただし、図1および図2を対応させれば、段階2bから段階4aに、段階4bから段階2aに、段階2aから段階4bに、段階4aから段階2bに、段階3aから段階4bに、また段階3bから段階4aに直接移行できることが分かる。
【0073】
結論として、本発明は、シフトの実行に必要な各段階の編成に基づく無限変速トランスミッションのシフト制御方法を明確にしており、カプラの端子間の速度差が小さい状態でカプラが閉鎖されるから、ドライバが感じる振動を防止することができる。この方法は、特に特許文献1に記載されている条件を尊重している。本発明により、次の制約に従って、望みどおりのシフトを速やかにかつ円滑に実行することが可能である。すなわち、2つのモードの同時作動によるホイールトルクの連続性、シフトの過渡的段階における変速比の維持、予めカプラを位置決めし、シフト時間中それらの位置を制御するためのカプラの端子間の差動速度調整、逆モードへのシフト変更が送信された場合におけるシフトプロセスの中断の可能性という制約である。
【0074】
現在のトランスミッションモードがトランスミッションアッセンブリの可動部分にとって許容できる範囲に常にあり、また各瞬間においてトランスミッションの作動ポイントが例えば特許文献1に記載されているようなシフト制約に従った作動ポイントに近くなるように、1つのトランスミッションモードからもう一方への移行は、特に時宜を得て行なわれなければならない。
【0075】
次の各変数すなわちトランスミッションの入力速度Win、トランスミッションの出力速度Wout、カプラAとカプラBとの端子間の差動回転速度DWa、DWbに対して、トランスミッションのコンピュータは、ターゲットに定められた作動ポイントにおける設定値または予測値に対応するそれらの値すなわち、トランスミッションの入力速度設定値または予測値CWin、カプラAとカプラBとの端子間の差動速度設定値または予測値CDWa、CDWbをマトリックス計算により算出することができる。
【0076】
従って、FaとFbとをマトリックス係数により定められた関数とすると、次の関係式が成り立つ。
【0077】
DWa=Fa(Win,Wout)
DWb=Fb(Win,Wout)
CDWa=Fa(CWin,Wout)
CDWb=Fb(CWin,Wout)
本発明によれば、シフト変更制御には、次の変数すなわちカプラAとカプラBとの端子間の予測差動速度値変動(導関数、勾配、スライディンググラジェントなど)gradCDWa、gradCDWb、カプラAとカプラBとの端子間の差動速度変動(導関数、勾配、スライディンググラジェントなど)gradDWa、gradDWb、カプラAとカプラBとの閉鎖時間xa、xb、現在の瞬間tからxaとxb秒後に達するカプラAとカプラBとの端子間の予測差動回転速度DWa(t+xa)とDWb(t+xb)も活用される。
【0078】
DWa(t+xa)=DWa(t)+grad(DWa)*xa
最適シフトポイントが、DWaとDWbとがゼロであるとすると、各作動モードでトランスミッションの可動部分により許容される範囲は、次のように構成される。すなわち、モードAにおいてはDWa=0、DWb>0であり、モードBにおいてはDWa<0、DWb=0である。しかしながら、DWaとDWbとは自由に選択されており、逆式も同様に採り入れることができ、次のように構成してもよい。すなわち、モードAにおいてはDWb<0とし、モードBにおいてはDWa>0としてもよい。
【0079】
図10は、提案された制御方法で考慮される各閾値すなわちカプラAとカプラBとの端子間の第1差動速度予測値変動閾値SG1CDWa、SG1CDWb、カプラAとカプラBとの端子間の第2差動速度予測値変動閾値SG2CDWa、SG2CDWb、カプラAとカプラBとの端子間の第1予測差動速度閾値S1CDWa、S1CDWb、カプラAとカプラBとの端子間の第2予測差動速度閾値S2CDWa、S2CDWbを同様に示す。
【0080】
設定されたまたは設定中のモード(実行中のABまたはBAシフト)がモードAかモードBであるかどうかによって、図10は、ターゲットモード=モードAとターゲットモード=モードBと呼ばれる2つの状況を区別している。
【0081】
ある瞬間tにおいて、ターゲットモードがモードAの場合、制御ループの一次確認が、このモードが実際に設定されている(現在のモード)かいない(BAシフト実行中)かを知ることであることが分かる。
【0082】
最初の場合、次の3つの条件が満たされる限り、ターゲットモードまたはモード指示は、この瞬間に前もってAからBに変わる。この3つの条件とは、瞬間tにおけるカプラBの端子間の速度差の反対符号である、現在のモードで開放されている同一カプラの端子間の瞬間t+xbにおける速度差DWb(t+xb)がモードAの範囲を離れること、カプラBの端子間の瞬間tにおける予測差動速度変動gradCDWbが予め設定された第1差動速度予測値変動閾値SG1CDWb以下であること、カプラBの端子間の差動速度予測値CDWbが予め設定された第1予測差動速度閾値S1CDWb以下であることである。
【0083】
もう一方の場合、つまりBAシフトが実行中の場合、次の2つの条件が満たされると、タゲーットモードがAからBに移行する。この2つの条件とは、再びモードBにするために閉鎖すべきカプラの端子間の予測差動速度値変動gradCDWbが予め設定された第2差動速度予測値変動閾値SG2CDWb以下であること、カプラBの端子間の差動速度予測値CDWbが予め設定された第2予測差動速度閾値S2CDWb以下であることである。
【0084】
また、BAシフトが実行中で、これらの2つの条件が同時に満たされないと、逆の指示にはならず、ターゲットモードは、モードAのままとなり、つまりそれはBAシフトが続行されるということである。
【0085】
本発明によれば、図10の右の部分に示すモードB指示からのターゲットモードのシフト条件は、対称的に前述の条件に酷似している。
【0086】
図11は、コンピュータが定めたターゲットモードに応じた、ターゲットモードシフトと実際のシフト変更との区別を簡単に明示する。入力情報は図10に従ってコンピュータがターゲットに定めたモードである。前のターゲットはBであるが、ある一定の瞬間にターゲットがAである場合、BAシフト変更(BからAへの移行)が行なわれる。逆に、ターゲットモードがAからBに変わったばかりの場合、ABシフト変更(AからBへの移行)が行なわれる。また、ターゲットモードが変化しない場合、現在のモードが保存される。図10のように、図11はモードAとモードBとの指示を逆にして同じように読むことができる。
【0087】
結論として、本発明に従って、シフト指示の生成作成が次の項目すなわちデカップリングシステムの端子間の差動速度の算出、これらの同じ差動速度の設定値の算出、対象となったカプラの閉鎖時間の推算に基づくことが分かる。
【0088】
従って、実際のシフト時間を短縮し、トランスミッションの作動ポイントが最適なシフト作動ポイントに近いとき、シフト指示の変動を回避するように、本発明により提案された制御方法は、カプラに関する動力学の知識を活用する。
【0089】
従って、本発明により、現在のモードで開放されているカプラの変化と、このカプラの端子間の速度差がなくなる瞬間とを予測して、シフト変更を早期に行なうことが可能である。
【0090】
本発明により、対象となったカプラの端子間の速度差がなくなる時間は、その閉鎖時間に一致するので、シフト操作の合計時間は、現在のモードで開放されているカプラを閉鎖し始める前に、このカプラの端子間の速度を同じにするために通常必要な時間だけ削減される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】作動モードまたは「ターゲットモード」の指示決定を示す。
【図2】ターゲットモードから変更するまでの流れを示す。
【図3】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図4】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図5】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図6】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図7】本発明が提案するモードAからモードBへの移行を示す。
【図8】本発明が提案するモードBからモードAへの移行を示す。
【図9】本発明の方法のフローチャートである。
【図10】作動モードまたは「ターゲットモード」の指示決定を示す。
【図11】ターゲットモードから実際にシフト変更するまでの移行条件を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速または無限変速オートマチックトランスミッションの操作に関するものである。
【0002】
より詳細には、本発明は、第1作動モードで閉鎖され、第2作動モードで開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなる複数の作動モードを有する無限変速トランスミッションのシフト制御に関するものであり、2つのカプラはシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖される。
【0003】
本発明は、一定減速ドライブラインを含む回路と、2つの電気機械で構成される無段変速機を含む回路との少なくとも2つの並列パワートランスミッション回路からなる型のトランスミッション装置に特に有効であるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0004】
各回路が熱機関のような機械エネルギー源に接続される機械的入力分配器と、車両の車輪に接続される機械的出力分配器とに接続される上述の型の装置は、特許文献1で公知である。機械的入力分配器と機械的出力分配器とは、好ましくは遊星歯車装置であるが、遊星歯車装置に限定されない。
【0005】
この種のトランスミッションは、2つのカップリング回路のいずれか一方を使用する2つの主要作動モードを備える。各モードでは、使用しないカップリング回路のカップリング手段またはカプラは開放されるが、使用するカップリング回路のカップリング手段またはカプラは閉鎖される。
【0006】
特許文献1によれば、シフトは設定された変速比閾値の超過に対応するトランスミッションの幾つかの特殊作動ポイントで行なわれる。トランスミッションシフトは、特に各作動モードに、設定された変速比幅を割り当てて、トランスミッションアッセンブリの可動部分に応じて変更される。従って、トランスミッションの各作動ポイントにおいて、トランスミッションは適切な作動モードにある。
【0007】
従って、トランスミッションモードがコンピュータにより定められた作動ポイントにおいてトランスミッションの可動部分と常に適合するように、この種のトランスミッションのシフトは行なわれる。
【0008】
各瞬間に最も適切な作動モードを採用することにより、トランスミッションの作動の最適化が実際に可能である。
【0009】
【特許文献1】フランス特許公報第2823281号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、シフト変更の制御が悪い場合、デカップリングシステムまたはカプラにおいてドライバが感じる不用な振動が起こりえる。なお、コンピュータにより定められた作動ポイントから見れば、幾つかのシフトは明らかに不要である。
【0011】
本発明は、出力分岐を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御において、ドライバが感じる振動を防止することができるシフト変更制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明においては、第1作動モード(A)で閉鎖され、第2作動モード(B)で開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなり、2つのカプラがシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖され、シフトするために閉鎖すベきカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が予め設定された第1閾値(SNb,SPa)を越える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを特徴とする。
【0013】
また、アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が第1閾値の反対符号である予め設定された第2閾値(SPb,SNa)を越える場合、上記モードがそのまま保存されることを特徴とする。
【0014】
また、2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間で、開放されたカプラの速度差予測値(CDWb,CDWa)にシフト変更が依存することを特徴とする。
【0015】
また、アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が最初の2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間に位置し、上記速度差の予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、シフト変更が課せられることを特徴とする。
【0016】
また、シフトが実行中で、閉鎖すべきカプラの端子間の速度差予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、実行中のシフトが中断することを特徴とする。
【0017】
また、シフト操作が、第1モードで開放されているカプラを閉鎖し始める前に上記カプラの入出力間の速度差(DWa,DWb)をなくすための準備段階(1a,1b)を備えることを特徴とする。
【0018】
また、シフト操作が、第1カプラが閉鎖され(2a,2b)、2つのカプラが同時に閉鎖されたままの位置にあり(3a,3b)、上記第1カプラが閉鎖されたままの位置で第2カプラが開放される(4a,4b)過渡的段階を伴った前記第1カプラの内側で滑らない準備段階(1a,1b)を有することを特徴とする。
【0019】
また、第1カプラの入出力間の速度差がその閉鎖段階(2a,2b)においてゼロに調整されることを特徴とする。
【0020】
また、2つのカプラがそれらの同時閉鎖段階において全く滑らないことを特徴とする。
【0021】
また、シフト指示が変更されると直ぐにシフト操作制御ループが初期設定されることを特徴とする。
【0022】
また、カプラの閉鎖段階(2a,2b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの開放段階(4b,4a)への直接移行となって現れることを特徴とする。
【0023】
また、カプラの開放段階(4a,4b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの閉鎖段階(2b,2a)への直接移行となって現れることを特徴とする。
【0024】
また、予め設定されたxa,xb時間後に現在のモードで開放されているカプラの端子間の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が現在のモードの範囲を離れれば、シフトが瞬間tにおいて前もって変更されることを特徴とする。
【0025】
また、xa,xb時間後の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が瞬間tにおける上記速度差の反対符号である場合、シフトが変更されることを特徴とする。
【0026】
また、瞬間tと瞬間t+a,t+bとの間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第1変動閾値(SG1CDWa,SG1CDWb)に等しいかそれ以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする。
【0027】
また、新たにターゲットに定められたモードで閉鎖すべきカプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第1予測速度閾値(S1CDWa,S1CDWb)以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする。
【0028】
また、再び上記モードにするために閉鎖すべきカプラの端子間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第2変動閾値(SG2CDWa,SG2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする。
【0029】
また、上記カプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第2予測速度閾値(S2CDWa,S2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする。
【0030】
すなわち、本発明によれば、シフト変更制御は、トランスミッションのカプラの端子間の差動速度計算と、これらの差動速度の予測値計算とに基づく。
【0031】
これらの変数計算には、トランスミッションの入出力速度に応じた各カプラの入出力間の速度差と、トランスミッションのコンピュータにより一定の瞬間にターゲットに定められた作動ポイントにおけるトランスミッションの入力速度設定値との書き込みが可能なマトリックス係数を特に用いることができる。
【0032】
本発明は、シフトするために閉鎖すベきカプラの端子間の速度差が予め設定された第1閾値を超える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを提案する。
【0033】
好ましくは、アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差が第1閾値の反対符号である予め設定された第2閾値を越える場合、このモードはそのまま保存される。
【0034】
特許文献1によれば、カプラが同時に閉鎖する時間の間にトランスミッションのために同一総減速比を保存することが可能な作動状態が各カップリング回路で制御される。そのために、変速機の入出力比がシフト中に一定のままであるように、変速機はカプラの入出力間の速度差を制御するための速度同期装置と協動する。
【0035】
しかしながら、トランスミッションの2つの連続モード間の移行は、ドライバが不規則な動きを感じることなく、また熱機関の作動状態にトラブルが発生することなく、速やかに行なわれなければならない。
【0036】
このために、本発明は、シフト操作中における2つの作動モードを有する無限変速トランスミッションのカップリング手段の操作を最適化する。
【0037】
より詳細には、本発明は、シフト操作が、第1モードで開放されているカプラを閉鎖し始める前にこのカプラの入出力間の速度差をなくすための準備段階を備えることを提案する。
【0038】
好ましくは、第1カプラの入出力間の速度差は、その閉鎖段階においてゼロに調整され、また2つのカプラはそれらの同時閉鎖段階において全く滑らない。
【0039】
しかしながら、これらの処置はシフト操作の流れを最適化するには十分ではない。
【0040】
この最終目的に到達し、特にシフト時間を短縮するために、本発明は、カプラに関する動力学の知識を活用することを提案する。
【0041】
より詳細には、本発明は、シフト操作時間を短縮するように、出力分岐を有する無限変速トランスミッションのシフト変更を前もって制御することを想定している。
【0042】
本発明によれば、設定された時間後にこのカプラの端子間の差動速度変動が、例えばこの時間内に符号を変えて、現在のモードの範囲を離れれば、シフトは、一定の瞬間に前もって変更される。
【0043】
好ましくは、このカプラの端子間の差動速度変動が予め設定された第1変動閾値以下で、差動速度予測値が予め設定された第1予測差閾値以下の場合のみ、シフトは変更される。
【0044】
本発明のその他の特徴および利点については、添付図面を参照しつつ、本発明の無制限な実施方法に関する後述の明細書を読むことにより明らかになってくる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係るシフト変更制御方法においては、カプラの端子間の速度差が小さい状態でカプラが閉鎖されるから、ドライバが感じる振動を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
上記のように、本発明は、トランスミッションの可動部分により定められたシフト制約を守って、第1作動モードと第2作動モードとで各々閉鎖される2つのカプラを備えた2つの作動モードの出力分岐を有する無限変速トランスミッションに適用される。
【0047】
次の各変数すなわちトランスミッションの入力速度Win、トランスミッションの出力速度Wout、カプラの端子間の差動回転速度DWa、DWbに対して、トランスミッションのコンピュータは、ターゲットに定められた作動ポイントにおける設定値または予測値、すなわちトランスミッションの入力速度設定値または予測値CWin、カプラの端子間の差動速度設定値または予測値CDWa、CDWbに対応するそれらの値をマトリックス計算により算出することができる。
【0048】
従って、マトリックス係数により定められた関数をFa、Fbとすると、次の関係式が成り立つ。
【0049】
DWa=Fa(Win,Wout)
DWb=Fb(Win,Wout)
CDWa=Fa(CWin,Wout)
CDWb=Fb(CWin,Wout)
最適シフトポイントが、DWaとDWbとがゼロであるとすると、各作動モードでトランスミッションの可動部分により許容される範囲は、次のように構成される。すなわち、モードAにおいてはDWa=0、DWb>0であり、モードBにおいてはDWa<0、DWb=0である。しかしながら、DWaとDWbとは、全く慣用的であり、本発明が次式が成り立つと考えられるトランスミッションに同じ条件で適用されることを考慮しなければならならず、モードAにおいてはDWb<0とし、モードBにおいてはDWa>0としてもよい。
【0050】
また、図3〜図6は、提案された制御方法で考慮される各閾値すなわちモードAの正閾値SPa、モードAの設定閾値SCa、モードAの負閾値SNa、モードBの正閾値SPb、モードBの設定閾値SCb、モードBの負閾値SNbを示す。
【0051】
コンピュータがターゲットに定めた作動ポイントに応じて設定されたまたは予測されるモードがモードAかモードBであるかどうかによって、図1はターゲットモード=モードAとターゲットモード=モードBと呼ばれる2つの状況を区別している。この図によれば、DWb<SNbのとき、つまり開放されたカプラの端子間の速度差DWbがモードBの負閾値と呼ばれる第1閾値SNb以下のとき、ターゲットモードAからターゲットモードBへの移行が予定されることが分かる。
【0052】
もしそうでなければ、DWb>SNbのとき、同じ速度差DWbの予測値CDWbがモードBの予測閾値または設定閾値SCb以下で、DWbがモードBの正閾値と呼ばれる第2閾値SPb以下の場合、ターゲットモードAからBへのシフトが同様に予定される。予測値CDWbがSCb以下で、DWbがSPb以上で、またBからAへのシフトが実行中のとき、ターゲットモードAからBへのシフトが第3の状況において同様に予定される。図1の右の部分に同様に示すターゲットモードBからAへのシフト条件は、酷似している。
【0053】
図2は、コンピュータが定めたターゲットモードに応じたターゲットモードシフトと実際のシフト変更との区別を明示する。入力情報は、図1に従ってコンピュータがターゲットに定めたモードである。前のターゲットはBであるが、ある一定の瞬間にターゲットがAである場合、BAシフト変更(BからAへの移行)が行なわれる。逆に、ターゲットモードがAからBに変わったばかりの場合、ABシフト変更(AからBへの移行)が行なわれる。また、ターゲットモードが変化しない場合、現在のモードが保存される。
【0054】
図3および図4は、アクティブモードAからシフト変更が行なわれる条件を示す。
【0055】
最初の瞬間(t=0)におけるアクティブモードがモードAであるから、後でDWbがSPb以上のままである場合、作動ポイントは、ゾーンAに位置し、従って、モードAが保存される。DWbが閾値SNbを越える(DWbが図上において閾値SNb以下になる)場合、ゾーンBに移行し、従って、モードBがターゲットに定められ、ABシフト変更が行なわれる。
【0056】
SPbとSNbの2つの閾値の間に位置するゾーンABにおいて、シフト変更はシフトするために閉鎖すべきカプラの速度差DWbの予測値CDWbに依存する。
【0057】
閉鎖すべき(従ってアクティブモードで開放されている)カプラの端子間の速度差DWbが予め設定されたSNbとSPbの2つの閾値の間にあり、その予測値CDWbが図4のゾーンCにある(CDWbが予め設定された閾値SCb以下にある)場合、ABシフトが課せられる。
【0058】
また、BAシフトが既に実行中で、CDWbが閾値SCbの下に位置するゾーンCに入る場合、ターゲットモードは、再びBになり、BAシフトは、中断する。従って、予測値CDWbが閾値SCbを越える(予測値CDWbが図上において閾値SCb以下になる)とき、BAシフトは、中断する。
【0059】
図5および図6は、BAシフトを示し、AをBに、BをAに替えて、図3および図4と同じように読むことができる。
【0060】
図7および図8には、特許文献1に記載されているような無限変速トランスミッションの2つのカプラの状態を時間に応じて示した。この特許文献1によれば、モードAでは、第1カップリング回路のカプラAは閉鎖されるが、第2カップリング回路のカプラBは開放される。逆に、モードBでは、カプラBは閉鎖され、カプラAは開放される。
【0061】
DWaとDWbとは、各々カプラAとカプラBとの入出力間の速度差であり、トランスミッションの入力速度Winと出力速度Woutとからマトリックス計算により得られる。
【0062】
FaとFbとを(例えば特許文献1に記載されているような)マトリックス係数Zにより定められた関数とすると、次の関係式が成り立つ。
【0063】
DWa=Fa(Win,Wout)
DWb=Fb(Win,Wout)
また、モードシフトが、2つのカプラの滑らない同時閉鎖段階を含むことから、本発明の方法は、次のように想定する。すなわち、2つのカプラが閉鎖される段階を経る。また、シフト時間中にDWa=DWb=0が成り立つように、予めカプラの位置決めをする。
【0064】
図7によれば、トランスミッションが閉鎖されたデカップリングシステムAと開放されたデカップリングシステムBとで設定されたモ−ドAにある瞬間t=0からのAからBへのシフト操作の各段階1b〜4bは、次の通りである。すなわち、段階1bはカプラAを閉鎖したままにして、現在値のDWbからDWbを0の近くに修正する段階であり、段階2bはカプラAを閉鎖したままにして、カプラBを閉鎖して、DWbを0に調整する段階であり、段階3bはカプラAとカプラBとを閉鎖したままにして、DWa、DWbを0に調整する段階であり、段階4bはカプラBを閉鎖したままにして、カプラAを開放して、DWaを0に調整する段階である。そして、2つのカプラはそれらの同時閉鎖段階において全く滑らない。
【0065】
従って、カプラAが完全に開放されると、モードBは、段階4bの後で設定される。段階1bはカプラBを閉鎖し始める前に、このカプラの端子間の速度差DWbを閾値Sbに近い0に下げるための準備段階である。カプラBの閉鎖段階2bにおいて、DWbは機械的に完全に0に下げられる。また、段階2b,段階3b,段階4bは、いわゆるシフト操作、つまり逆のカプラとなる。
【0066】
図8は、モードBからAへのシフトを示し、前図に酷似している。この図には、図7の段階1b〜段階4bに相当する段階1a〜段階4aが示されており、段階1aは現在値のDWaからDWaを0の近くに修正する段階であり、段階2aはDWaを0に調整する段階であり、段階3aは2つのカプラを同時に閉鎖して、DWa、DWbを0に調整する段階であり、段階4aはカプラAを閉鎖したままにして、カプラBを開放して、DWbを0に調整する段階である。そして、2つのカプラはそれらの同時閉鎖段階において全く滑らない。
【0067】
図9のフローチャートは、左の部分にAB(AからBへの)シフトが要求された時点(シフトTOP)からの各段階1b〜4bにおけるこのシフトの編成を示す。その際、コンピュータは、BA(BからAへの)シフトが実行中であるかないかを確認する。BAシフトが実行中で、段階1aが実行中の場合、コンピュータは、トランスミッションをモードA(段階0=シフト変更待ち)に戻す。
【0068】
もしそうでなければ、段階4aが実行中で、この場合コンピュータはABシフトの流れを直接段階2bで再開するか、BAシフトのもう1つの段階が実行中で、その場合コンピュータはABシフトの流れを段階4bで再開する。
【0069】
ABシフト要求時にBAシフトが実行中でないとき、ABシフトが実行される(段階1b)。速度差DWbが閾値Sb以下になると、段階2b(カプラBの閉鎖)に移行し、これが実際に閉鎖されると、段階3bに移行する。
【0070】
予め設定された待機時間(ゼロになりえる)後に、カプラAの開放が始まる(段階4b)。カプラAが完全に開放されると、シフト操作が完了する。
【0071】
図9の右の部分は、BAシフトの変更操作を詳細に示し、左の部分と同様に読むことができる。
【0072】
本発明によれば、シフト指示が変更されると直ぐに図9の制御ループが中断できるように再度初期設定されなければならない。なお、ABシフトからBAシフトに切り替えられるが、その逆もある。特に、指示変更が段階1bまたは段階1aで行なわれる場合、段階0に戻る。ただし、図1および図2を対応させれば、段階2bから段階4aに、段階4bから段階2aに、段階2aから段階4bに、段階4aから段階2bに、段階3aから段階4bに、また段階3bから段階4aに直接移行できることが分かる。
【0073】
結論として、本発明は、シフトの実行に必要な各段階の編成に基づく無限変速トランスミッションのシフト制御方法を明確にしており、カプラの端子間の速度差が小さい状態でカプラが閉鎖されるから、ドライバが感じる振動を防止することができる。この方法は、特に特許文献1に記載されている条件を尊重している。本発明により、次の制約に従って、望みどおりのシフトを速やかにかつ円滑に実行することが可能である。すなわち、2つのモードの同時作動によるホイールトルクの連続性、シフトの過渡的段階における変速比の維持、予めカプラを位置決めし、シフト時間中それらの位置を制御するためのカプラの端子間の差動速度調整、逆モードへのシフト変更が送信された場合におけるシフトプロセスの中断の可能性という制約である。
【0074】
現在のトランスミッションモードがトランスミッションアッセンブリの可動部分にとって許容できる範囲に常にあり、また各瞬間においてトランスミッションの作動ポイントが例えば特許文献1に記載されているようなシフト制約に従った作動ポイントに近くなるように、1つのトランスミッションモードからもう一方への移行は、特に時宜を得て行なわれなければならない。
【0075】
次の各変数すなわちトランスミッションの入力速度Win、トランスミッションの出力速度Wout、カプラAとカプラBとの端子間の差動回転速度DWa、DWbに対して、トランスミッションのコンピュータは、ターゲットに定められた作動ポイントにおける設定値または予測値に対応するそれらの値すなわち、トランスミッションの入力速度設定値または予測値CWin、カプラAとカプラBとの端子間の差動速度設定値または予測値CDWa、CDWbをマトリックス計算により算出することができる。
【0076】
従って、FaとFbとをマトリックス係数により定められた関数とすると、次の関係式が成り立つ。
【0077】
DWa=Fa(Win,Wout)
DWb=Fb(Win,Wout)
CDWa=Fa(CWin,Wout)
CDWb=Fb(CWin,Wout)
本発明によれば、シフト変更制御には、次の変数すなわちカプラAとカプラBとの端子間の予測差動速度値変動(導関数、勾配、スライディンググラジェントなど)gradCDWa、gradCDWb、カプラAとカプラBとの端子間の差動速度変動(導関数、勾配、スライディンググラジェントなど)gradDWa、gradDWb、カプラAとカプラBとの閉鎖時間xa、xb、現在の瞬間tからxaとxb秒後に達するカプラAとカプラBとの端子間の予測差動回転速度DWa(t+xa)とDWb(t+xb)も活用される。
【0078】
DWa(t+xa)=DWa(t)+grad(DWa)*xa
最適シフトポイントが、DWaとDWbとがゼロであるとすると、各作動モードでトランスミッションの可動部分により許容される範囲は、次のように構成される。すなわち、モードAにおいてはDWa=0、DWb>0であり、モードBにおいてはDWa<0、DWb=0である。しかしながら、DWaとDWbとは自由に選択されており、逆式も同様に採り入れることができ、次のように構成してもよい。すなわち、モードAにおいてはDWb<0とし、モードBにおいてはDWa>0としてもよい。
【0079】
図10は、提案された制御方法で考慮される各閾値すなわちカプラAとカプラBとの端子間の第1差動速度予測値変動閾値SG1CDWa、SG1CDWb、カプラAとカプラBとの端子間の第2差動速度予測値変動閾値SG2CDWa、SG2CDWb、カプラAとカプラBとの端子間の第1予測差動速度閾値S1CDWa、S1CDWb、カプラAとカプラBとの端子間の第2予測差動速度閾値S2CDWa、S2CDWbを同様に示す。
【0080】
設定されたまたは設定中のモード(実行中のABまたはBAシフト)がモードAかモードBであるかどうかによって、図10は、ターゲットモード=モードAとターゲットモード=モードBと呼ばれる2つの状況を区別している。
【0081】
ある瞬間tにおいて、ターゲットモードがモードAの場合、制御ループの一次確認が、このモードが実際に設定されている(現在のモード)かいない(BAシフト実行中)かを知ることであることが分かる。
【0082】
最初の場合、次の3つの条件が満たされる限り、ターゲットモードまたはモード指示は、この瞬間に前もってAからBに変わる。この3つの条件とは、瞬間tにおけるカプラBの端子間の速度差の反対符号である、現在のモードで開放されている同一カプラの端子間の瞬間t+xbにおける速度差DWb(t+xb)がモードAの範囲を離れること、カプラBの端子間の瞬間tにおける予測差動速度変動gradCDWbが予め設定された第1差動速度予測値変動閾値SG1CDWb以下であること、カプラBの端子間の差動速度予測値CDWbが予め設定された第1予測差動速度閾値S1CDWb以下であることである。
【0083】
もう一方の場合、つまりBAシフトが実行中の場合、次の2つの条件が満たされると、タゲーットモードがAからBに移行する。この2つの条件とは、再びモードBにするために閉鎖すべきカプラの端子間の予測差動速度値変動gradCDWbが予め設定された第2差動速度予測値変動閾値SG2CDWb以下であること、カプラBの端子間の差動速度予測値CDWbが予め設定された第2予測差動速度閾値S2CDWb以下であることである。
【0084】
また、BAシフトが実行中で、これらの2つの条件が同時に満たされないと、逆の指示にはならず、ターゲットモードは、モードAのままとなり、つまりそれはBAシフトが続行されるということである。
【0085】
本発明によれば、図10の右の部分に示すモードB指示からのターゲットモードのシフト条件は、対称的に前述の条件に酷似している。
【0086】
図11は、コンピュータが定めたターゲットモードに応じた、ターゲットモードシフトと実際のシフト変更との区別を簡単に明示する。入力情報は図10に従ってコンピュータがターゲットに定めたモードである。前のターゲットはBであるが、ある一定の瞬間にターゲットがAである場合、BAシフト変更(BからAへの移行)が行なわれる。逆に、ターゲットモードがAからBに変わったばかりの場合、ABシフト変更(AからBへの移行)が行なわれる。また、ターゲットモードが変化しない場合、現在のモードが保存される。図10のように、図11はモードAとモードBとの指示を逆にして同じように読むことができる。
【0087】
結論として、本発明に従って、シフト指示の生成作成が次の項目すなわちデカップリングシステムの端子間の差動速度の算出、これらの同じ差動速度の設定値の算出、対象となったカプラの閉鎖時間の推算に基づくことが分かる。
【0088】
従って、実際のシフト時間を短縮し、トランスミッションの作動ポイントが最適なシフト作動ポイントに近いとき、シフト指示の変動を回避するように、本発明により提案された制御方法は、カプラに関する動力学の知識を活用する。
【0089】
従って、本発明により、現在のモードで開放されているカプラの変化と、このカプラの端子間の速度差がなくなる瞬間とを予測して、シフト変更を早期に行なうことが可能である。
【0090】
本発明により、対象となったカプラの端子間の速度差がなくなる時間は、その閉鎖時間に一致するので、シフト操作の合計時間は、現在のモードで開放されているカプラを閉鎖し始める前に、このカプラの端子間の速度を同じにするために通常必要な時間だけ削減される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】作動モードまたは「ターゲットモード」の指示決定を示す。
【図2】ターゲットモードから変更するまでの流れを示す。
【図3】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図4】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図5】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図6】グラフ上の設定値範囲を示す。
【図7】本発明が提案するモードAからモードBへの移行を示す。
【図8】本発明が提案するモードBからモードAへの移行を示す。
【図9】本発明の方法のフローチャートである。
【図10】作動モードまたは「ターゲットモード」の指示決定を示す。
【図11】ターゲットモードから実際にシフト変更するまでの移行条件を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1作動モード(A)で閉鎖され、第2作動モード(B)で開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなり、2つのカプラがシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖され、シフトするために閉鎖すベきカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が予め設定された第1閾値(SNb,SPa)を越える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを特徴とする複数の作動モード(A,B)を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御方法。
【請求項2】
アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が第1閾値の反対符号である予め設定された第2閾値(SPb,SNa)を越える場合、上記モードがそのまま保存されることを特徴とする請求項1に記載のシフト変更制御方法。
【請求項3】
2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間で、開放されたカプラの速度差予測値(CDWb,CDWa)にシフト変更が依存することを特徴とする請求項2に記載のシフト変更制御方法。
【請求項4】
アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が最初の2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間に位置し、上記速度差の予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、シフト変更が課せられることを特徴とする請求項3に記載のシフト変更制御方法。
【請求項5】
シフトが実行中で、閉鎖すべきカプラの端子間の速度差予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、実行中のシフトが中断することを特徴とする請求項3または4に記載のシフト変更制御方法。
【請求項6】
シフト操作が、第1モードで開放されているカプラを閉鎖し始める前に上記カプラの入出力間の速度差(DWa,DWb)をなくすための準備段階(1a,1b)を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項7】
シフト操作が、第1カプラが閉鎖され(2a,2b)、2つのカプラが同時に閉鎖されたままの位置にあり(3a,3b)、上記第1カプラが閉鎖されたままの位置で第2カプラが開放される(4a,4b)過渡的段階を伴った前記第1カプラの内側で滑らない準備段階(1a,1b)を有することを特徴とする請求項6に記載のシフト変更制御方法。
【請求項8】
第1カプラの入出力間の速度差がその閉鎖段階(2a,2b)においてゼロに調整されることを特徴とする請求項7に記載のシフト変更制御方法。
【請求項9】
2つのカプラがそれらの同時閉鎖段階において全く滑らないことを特徴とする請求項6、7または8に記載のシフト変更制御方法。
【請求項10】
シフト指示が変更されると直ぐにシフト操作制御ループが初期設定されることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項11】
カプラの閉鎖段階(2a,2b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの開放段階(4b,4a)への直接移行となって現れることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項12】
カプラの開放段階(4a,4b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの閉鎖段階(2b,2a)への直接移行となって現れることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項13】
予め設定されたxa,xb時間後に現在のモードで開放されているカプラの端子間の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が現在のモードの範囲を離れれば、シフトが瞬間tにおいて前もって変更されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項14】
xa,xb時間後の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が瞬間tにおける上記速度差の反対符号である場合、シフトが変更されることを特徴とする請求項13に記載のシフト変更制御方法。
【請求項15】
瞬間tと瞬間t+a,t+bとの間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第1変動閾値(SG1CDWa,SG1CDWb)に等しいかそれ以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする請求項13または14に記載のシフト変更制御方法。
【請求項16】
新たにターゲットに定められたモードで閉鎖すべきカプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第1予測速度閾値(S1CDWa,S1CDWb)以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする請求項15に記載のシフト変更制御方法。
【請求項17】
再び上記モードにするために閉鎖すべきカプラの端子間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第2変動閾値(SG2CDWa,SG2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項18】
上記カプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第2予測速度閾値(S2CDWa,S2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする請求項17に記載のシフト変更制御方法。
【請求項1】
第1作動モード(A)で閉鎖され、第2作動モード(B)で開放されるカプラを各々含む少なくとも2つの並列カップリング回路からなり、2つのカプラがシフトにおける待機時間中に同時に閉鎖され、シフトするために閉鎖すベきカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が予め設定された第1閾値(SNb,SPa)を越える場合、シフト変更がトランスミッションに課せられることを特徴とする複数の作動モード(A,B)を有する無限変速トランスミッションのシフト変更制御方法。
【請求項2】
アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が第1閾値の反対符号である予め設定された第2閾値(SPb,SNa)を越える場合、上記モードがそのまま保存されることを特徴とする請求項1に記載のシフト変更制御方法。
【請求項3】
2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間で、開放されたカプラの速度差予測値(CDWb,CDWa)にシフト変更が依存することを特徴とする請求項2に記載のシフト変更制御方法。
【請求項4】
アクティブモードで開放されるカプラの端子間の速度差(DWb,DWa)が最初の2つの閾値(SNb,SPa;SPb,SNa)の間に位置し、上記速度差の予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、シフト変更が課せられることを特徴とする請求項3に記載のシフト変更制御方法。
【請求項5】
シフトが実行中で、閉鎖すべきカプラの端子間の速度差予測値(CDWb,CDWa)が予め設定された第3閾値(SCb,SCa)を越える場合、実行中のシフトが中断することを特徴とする請求項3または4に記載のシフト変更制御方法。
【請求項6】
シフト操作が、第1モードで開放されているカプラを閉鎖し始める前に上記カプラの入出力間の速度差(DWa,DWb)をなくすための準備段階(1a,1b)を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項7】
シフト操作が、第1カプラが閉鎖され(2a,2b)、2つのカプラが同時に閉鎖されたままの位置にあり(3a,3b)、上記第1カプラが閉鎖されたままの位置で第2カプラが開放される(4a,4b)過渡的段階を伴った前記第1カプラの内側で滑らない準備段階(1a,1b)を有することを特徴とする請求項6に記載のシフト変更制御方法。
【請求項8】
第1カプラの入出力間の速度差がその閉鎖段階(2a,2b)においてゼロに調整されることを特徴とする請求項7に記載のシフト変更制御方法。
【請求項9】
2つのカプラがそれらの同時閉鎖段階において全く滑らないことを特徴とする請求項6、7または8に記載のシフト変更制御方法。
【請求項10】
シフト指示が変更されると直ぐにシフト操作制御ループが初期設定されることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項11】
カプラの閉鎖段階(2a,2b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの開放段階(4b,4a)への直接移行となって現れることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項12】
カプラの開放段階(4a,4b)における逆のシフト指示が逆のシフト操作における同一カプラの閉鎖段階(2b,2a)への直接移行となって現れることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項13】
予め設定されたxa,xb時間後に現在のモードで開放されているカプラの端子間の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が現在のモードの範囲を離れれば、シフトが瞬間tにおいて前もって変更されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項14】
xa,xb時間後の速度差[DWa(t+xa),DWb(t+xb)]が瞬間tにおける上記速度差の反対符号である場合、シフトが変更されることを特徴とする請求項13に記載のシフト変更制御方法。
【請求項15】
瞬間tと瞬間t+a,t+bとの間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第1変動閾値(SG1CDWa,SG1CDWb)に等しいかそれ以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする請求項13または14に記載のシフト変更制御方法。
【請求項16】
新たにターゲットに定められたモードで閉鎖すべきカプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第1予測速度閾値(S1CDWa,S1CDWb)以下の場合、シフトが変更されることを特徴とする請求項15に記載のシフト変更制御方法。
【請求項17】
再び上記モードにするために閉鎖すべきカプラの端子間の予測速度差変動(gradCDWa,gradCDWb)が予め設定された第2変動閾値(SG2CDWa,SG2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載のシフト変更制御方法。
【請求項18】
上記カプラの端子間の差動速度予測値(CDWa,CDWb)が予め設定された第2予測速度閾値(S2CDWa,S2CDWb)以下の場合、逆のシフト変更になることを特徴とする請求項17に記載のシフト変更制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−349085(P2006−349085A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177557(P2005−177557)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】
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