説明

シャッタ装置及びシャッターカーテンの昇降方法

【課題】シャッターカーテンのパネル間のすきまに指等が挟まれるのを確実に防止することができるシャッタ装置を提供する。
【解決手段】シャッターカーテン8の複数枚のパネル2は各パネル2の高さよりも長い取付けピッチで上下方向にチェーン3で連結される。上昇した状態のシャッターカーテン8を下降させるとき、シャッターカーテン8の最下段のパネル2aが開口部9の下端まで移動すると、パネル2間に上下方向にすきまgを空けた状態でシャッターカーテン8の下降を停止する。パネル2間に上下方向にすきまgを空けた状態でシャッターカーテン8の下降を停止した後、パネル2間のすきまを詰めるようにシャッターカーテン8の下降を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の出入口、窓、建築物内の部屋と部屋との境目等の開口部を開閉するシャッタ装置及びシャッターカーテンの昇降方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の開口部を開閉するのに用いられるシャッタ装置として、複数枚のパネルを上下方向にチェーンで連結してシャッターカーテンを形成し、このシャッターカーテンで開口部を開閉するものが知られている。シャッターカーテンは、開口部の左右に設けられるレールによって案内される。開口部の上方には、モータによって回転駆動されるスプロケットが設けられる。チェーンに噛み合うスプロケットを回転させることで、シャッターカーテンが開口部から吊り上げられたり、開口部に吊り下げられたりする。シャッターカーテンを吊り上げたとき、シャッターカーテンはレールの上部の収納空間に収容される。
【0003】
開口部から収納空間へ、又は収納空間から開口部へシャッターカーテンを移動させる際、シャッターカーテンのパネル同士が干渉するのを防止する必要がある。このため、パネル間にはすきまが空けられる。すなわち、複数枚のパネルは各パネルの高さよりも長い取付けピッチで上下方向にチェーンで連結される。パネル間にすきまを空けたシャッタ装置においては、シャッターカーテンを下降させるとき、パネル間にすきまを空けた状態でシャッターカーテンを下降させる。そして、最下段のパネルが開口部の下端に到達してもそのままシャッターカーテンの下降を継続し、すきまを詰めるように残りのパネルを順次下側のパネルに積み重ねていた。
【0004】
しかし、このようにシャッターカーテンを下降させたのでは、パネル間のすきまに指が挟まれるおそれがある。パネルは一枚でも相当重いので、このような事態は避けなければならない。特許文献1には、パネルの間のすきまを横切るように検知光路を形成する光電スイッチを配置し、検知光路が指等の障害物によって遮断されると、すきまに障害物が挟まれていると判断し、開閉機の駆動を停止するシャッタ装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−148077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシャッタ装置にあっては、パネル間のすきまの数に応じた多数の光電スイッチが必要になる。しかも、光電スイッチの検知光路ですきまの全範囲をカバーするのは困難であり、すきまに指が入っていても障害物として検知されないおそれがあるし、逆に、指が入っていなくても回りの障害物に影響されて光電スイッチが誤作動するおそれもある。
【0006】
そこで本発明は、多数の光電スイッチを設けなくても、シャッターカーテンのパネル間のすきまに指等が挟まれるのを確実に防止することができるシャッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数枚のパネルが各パネルの高さよりも長い取付けピッチで上下方向にチェーンで連結されるシャッターカーテンと、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で前記シャッターカーテンを昇降させる開閉機と、前記開閉機を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、上昇した状態の前記シャッターカーテンを下降させるとき、前記シャッターカーテンの最下段の前記パネルが開口部の下端まで移動すると、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で前記シャッターカーテンの下降を停止するシャッタ装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシャッタ装置において、前記制御部は、前記シャッターカーテンの最下段の前記パネルが開口部の下端まで移動すると、前記シャッターカーテンの下降を停止し、その後、前記パネル間のすきまを詰めるように前記シャッターカーテンの下降を再開することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシャッタ装置において、前記制御部は、前記シャッターカーテンの下降を再開するときの前記シャッターカーテンの下降速度を、前記シャッターカーテンの下降を停止する前よりも遅くすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のシャッタ装置において、前記シャッタ装置はさらに、前記シャッターカーテンの前記最下段のパネルが前記開口部の下端に移動した状態を検知する検知器と、オペレータが操作可能なスイッチと、を備え、前記制御部は、上昇した状態の前記シャッターカーテンを下降させるとき、前記シャッターカーテンの前記最下段のパネルが前記開口部の下端まで移動すると、前記検知器からの信号に基づいて、前記シャッターカーテンの下降を停止し、その後、オペレータが手動により前記スイッチを操作すると、前記シャッターカーテンの下降を再開することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシャッタ装置において、前記スイッチは、前記シャッターカーテンを下降させるための押し釦を含み、前記制御部は、前記シャッターカーテンの下降を再開するとき、オペレータが前記スイッチの前記押し釦を押し続けている間にのみ、前記開閉機による前記シャッターカーテンの下降を続けることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、複数枚のパネルが各パネルの高さよりも長い取付けピッチで上下方向にチェーンで連結されるシャッターカーテンを、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で昇降させるシャッターカーテンの昇降方法であって、前記シャッターカーテンを下降させるとき、前記シャッターカーテンの最下段のパネルが開口部の下端まで移動すると、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で前記シャッターカーテンの下降を停止するシャッターカーテンの昇降方法である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のシャッターカーテンの昇降方法において、前記シャッターカーテンの前記最下段のパネルが開口部の下端まで移動すると、前記シャッターカーテンの下降を停止し、その後、前記パネル間のすきまを詰めるように前記シャッターカーテンの下降を再開することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
最下段のパネルが開口部の下端に移動したとき、シャッターカーテンのパネル間にすきまを空けた状態でシャッターカーテンの下降が停止するので、パネル間のすきまに指等が挟まるのを防止できる。また、シャッターカーテンの下降を一旦停止した後、パネル間のすきまを詰めるようにシャッターカーテンの下降を再開することで、シャッターカーテンを閉じたときの外観を良好にできると共に、パネル間のすきまからごみ等が内部に投入されるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面に基づいて、本発明のシャッタ装置の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態のシャッタ装置の全体図を示す。シャッタ装置は建築物の出入口、窓、建築物内の部屋と部屋との境目等の開口部を開閉するのに用いられる。シャッタ装置は、互いに平行に伸びる左右一対のレール1と、左右一対のレール1間に配置される複数枚のパネル2と、を備える。上下方向に多段に並べられる複数枚のパネル2は、レール1に上下方向にスライドできるように組み付けられる。各パネル2は、矩形状のパネル本体6と、パネル本体6の左右方向の両端部に設けられる受け具7とから構成される。上下方向に延びる左右一対のレール1の対向面には、垂直方向に細長く伸びるスリット1a1が形成される。受け具7はこのスリット1a1を介してレール1から突き出る。レール1から突き出る受け具7には、パネル本体6が着脱可能に取り付けられる。パネル本体6の外形は、左右方向に細長い矩形形状に形成される。パネル本体6の材質は、ガラス、陶磁器、セラミックス、金属、木、樹脂、等である。デザインを良くするためにパネル本体6の表面に化粧を施してもよいし、パネル本体6を装飾が施された鉄製の枠にしてもよい。
【0016】
レール1は、垂直方向に伸びる垂直部1aと、垂直部1aの上方に設けられる収納部1bとに分けられる。レール1の収納部1bは垂直部1aに対して奥側にほぼ水平方向に折り曲げられる。レール1の収納部1bは、上側に配置される上側レール1b1と、下側に配置される下側レール1b2と、から構成される。上側レール1b1は垂直部1aの上端から上方に直線状に伸びた後、スプロケット4の周囲で約90度折れ曲がり、その後、水平方向からやや下方に向けて直線状に伸びる。下側レール1b2は、垂直部1aの上端で円弧形状に曲げられる。
【0017】
図2に示されるように、左右一対のレール1間には開口部9が形成される。開口部9は複数枚のパネル2から構成されるシャッターカーテン8によって開閉される。図3に示されるように、受け具7には連結軸25が取り付けられる。連結軸25には、複数枚のパネル2を上下方向に一連に連結するためのチェーン3が連結される。パネル2のチェーン3への取付けピッチP(連結軸25間のピッチ)は、パネル2の上下方向の高さよりも大きい。このため、パネル2間には例えば10mm〜30mm程度のすきまgが空く。パネル2間にすきまgを空けることで、垂直部1aから収納部1bへ移動するパネル2が回転しても、パネル2同士の干渉を避けることができる。
【0018】
図1に示されるように、チェーン3には開閉機のスプロケット4が噛み合う。スプロケット4は、レール1の垂直部1aの上方に配置される。モータ5の回転は中間スプロケット46を介してスプロケット4に伝達される。スプロケット4及び中間スプロケット46はパネル2の幅方向の両側に設けられる。中間スプロケット46は図示しない結合軸によって連結される。モータ5と中間スプロケット46との間には第一のベルト47が掛けられ、モータ5の回転は減速して中間スプロケット46に伝達される。中間スプロケット46とスプロケット4との間には第二のベルト48が掛けられ、中間スプロケット46の回転はさらに減速してスプロケット4に伝達される。スプロケット4はモータ5によって正逆に回転駆動される。モータ5がスプロケット4を一方向に回転させると、シャッターカーテン8が引き上げられ、レール1の収納部1bに収納される。一方、モータ5がスプロケット4を反対方向に回転させると、収納部1bに収納されたシャッターカーテン8が収納部1bから繰り出され、レール1にガイドされながらシャッターカーテン8が降下し、開口部9が閉じた状態になる。
【0019】
図1に示されるように、最下段のパネル2aには、検知器として座板スイッチ11が設けられる。最下段のパネル2aの下部には、座板本体12a、及び座板本体12aに対して上下方向に移動可能な当り板12bが設けられる。最下段のパネル2aが開口部9の下端まで移動すると、座板本体12aに対して当り板12bが上昇する。座板スイッチ11は、座板本体12aに対する当り板12bの上昇を検知し、赤外線信号を送出する。まぐさの下部に設けられる受光器13は、座板スイッチ11からのディジタルの赤外線信号を電気信号に変換して、後述する制御部に検知信号を送る。
【0020】
図4に示されるように、受け具7は、レール1のスリット1a1から突出する取付け部14と、レール内に収容される本体部10とから構成される。取付け部14と本体部10とはボルト15によって結合される。図3に示されるように、受け具7の本体部10の上下方向の高さは、パネル本体6の高さと略等しい。本体部10の上部には、ローラ支持プレート21が取り付けられる。ローラ支持プレート21の一方の側面には、第一のローラ18が回転可能に取り付けられる。ローラ支持プレート21の他方の側面には、サポートローラ19が回転可能に取り付けられる。本体部10の下部には連結軸25を介して第二のローラ20が回転可能に取り付けられる。
【0021】
図4に示されるように、第一のローラ18は軸線方向の両端に鍔を有して、全体形状がH字形状に形成される。この第一のローラ18は、レール1の突状軌道23上を走行する。外周面が円筒形に形成されるサポートローラ19は、突状軌道23に対向するレール1の内壁面24上を走行する。第二のローラ20は受け具7の本体部10から突出する連結軸25に回転可能に支持されている。外周面が円筒形に形成される第二のローラ20は、垂直方向に伸びる一対の対向面26間に挟まれている。パネル2がレール1の垂直部1aに沿ってスライドするとき、パネル2の高さ方向の上側では、第一のローラ18がレール1の突状軌道23上を走行し、サポートローラ19が突状軌道23に対向するレール1の内壁面24上を走行する。そして、パネル2の高さ方向の下側では、第二のローラ20がレール1の一対の対向面26間の軌道上を走行する。レール1の垂直部1aにおけるパネル2の垂直姿勢は、パネル2の高さ方向の上側のサポートローラ19及び下側の第二のローラ20で保たれる。
【0022】
図5は、レール1の収納部1bを示す。レール1の垂直部1aの上方に設けられるブラケット40には、収納部1bの上側レール1b1及び下側レール1b2が取り付けられる。上側レール1b1は、レールの垂直部1aの対向面26間の軌道(図4参照)に連続する。上側レール1b1は、垂直部1aの上端から上方にスプロケット4に向かって直線状に伸びた後、スプロケット4の周囲で約90度折れ曲がり、その後、水平方向からやや下方に向けて直線状に伸びる。この上側レール1b1をパネル2の第二のローラ20が走行する。第二のローラ20は、上側レール1b1を走行する間、上側レール1b1の一対の対向する対向面38の間に上下方向に挟まれる。
【0023】
下側レール1b2は、レール1の垂直部1aの突状軌道23(図4参照)に連続する。下側レール1b2は、垂直部1aの上端で円弧形状に曲げられた後、水平方向から下方に向けて直線状に伸びる。下側レール1b2の先端部では、傾斜角度が緩やかになっている。プレート状の下側レール1b2は、ブラケット40に支持棒39を介して取り付けられる。下側レール1b2には下側レール1b2に沿って細長く伸びるスリット37が形成される。このスリット37をパネル2の第一のローラ18が走行する。図4に示されるように、第一のローラ18には下側レール1b2を挟む鍔が形成されるので、第一のローラ18が下側レール1b2から脱輪することはない。
【0024】
図6ないし図9は、レール1を移動するシャッターカーテン8のパネル2の動作図を示す。図6に示されるように、レール1の垂直部1aにおいて、複数枚のパネル2は垂直面内に配置される。第一のローラ18はレール1の垂直部1aの上側に、第二のローラ20はレール1の垂直部1aの下側に配置される。
【0025】
図7に示されるように、スプロケット4を回転させ、シャッターカーテン8を上昇させると、パネル2がレール1の垂直部1aから引き上げられて収納部1bへ移動する。このとき、第一のローラ18は垂直部1aから収納部1bの下側レール1b2へと移行し、パネル2の上部がシャッタ装置の奥側(図中右側)に傾く。スプロケット4がさらにパネル2を引き上げると、パネル2の傾斜角度が除々に大きくなり、第二のローラ20が収納部1bの上側レール1b1へと移行する。パネル2が収納部1bの奥に移動するにしたがって第一のローラ18と第二のローラ20の上下方向の位置が反転し、第二のローラ20が第一のローラ18よりも上側に配置されるようになる。パネル2の反転姿勢は、収納部1bの上側レール1b1を走行する第二のローラ20、及び収納部1bの下側レール1b2を走行する第一のローラ18によって保たれる。
【0026】
図8に示されるように、上側レール1b1及び下側レール1b2は収納部1bの奥に向かって下側に傾いているので、スプロケット4がパネル2を最上部まで引き上げた後は、パネル2はその自重によって収納部1bの奥の方に移動する。パネル2が収納部1bの奥の方に移動するとき、パネル2の回転角度はさらに大きくなる。図9に示されるように、収納部1bの奥では、隣り合うパネル2同士が接近し、かつ平行になる。このとき、パネル2同士を連結するチェーン3はU字状に撓んでいる。パネル2の平行姿勢は、収納部1bの上側レール1b1を走行する第二のローラ20、及び収納部1bの下側レール1b2を走行する第一のローラ18によって保たれる。スプロケット4がすべてのパネル2を引き上げ終わった状態では、最下段のパネル2aがレール1の垂直部1aの上端に位置する。なお、この図9においては、最下段のパネル2aの上下方向の高さが残りのパネル2の上下方向の高さよりも小さく示されているが、図1に示されるように等しくてもよい。
【0027】
上昇した状態のシャッターカーテンを下降させるときは、スプロケット4を反対方向に回転させ、レール1の収納部1bに収容されている複数枚のパネル2をレール1の垂直部1aに順次移動させる。
【0028】
図10は、シャッタ装置の制御系の構成図を示す。シャッタ装置は、オペレータが操作するスイッチである携帯型無線送信機41によって制御される。携帯型無線送信機41は、例えば車両に保管され、送信波として電波や赤外線を用い、ディジタル信号の送信を行う。携帯型無線送信機41は、ユーザの必要に応じて複数個設けられる。携帯型無線送信機41に併用して、屋内の壁等に取り付けられる屋内用無線送信機や、外壁に取り付けられる屋外用無線送信機を用いてもよい。携帯型無線送信機41は、「上昇」「下降」「停止」のそれぞれの動作を指令する押し釦41aを有する。携帯型無線送信機41から送出されるディジタル信号はアンテナ42を介して制御部に送信される。シャッターカーテン8を昇降させる開閉機44は、制御部43によって制御される。制御部43の制御信号は開閉機44を駆動するドライバ45に送信される。
【0029】
図11は、制御部43のブロック図を示す。図中符号43aは中央処理装置(CPU)、43bはプログラムを記憶したROM、43cはRAM、43dは入力部、43eは出力部である。入力部43dはアンテナ42から受信した電波信号を復調する復調器を有する。復調されたディジタル信号はRAM43cに格納される。入力部43fは座板スイッチ11からの出力信号を受信する。座板スイッチ11が出力したディジタル信号はRAM43cに格納される。入力部43gは開閉機44の上限リミットスイッチ及び下限リミットスイッチからの信号を受信する。開閉機44の上限リミットスイッチ及び下限リミットスイッチは、開閉機44の回転数を検出し、開閉機44の回転数が所定の回転数になったとき、シャッターカーテン8の上限位置信号及び下限位置信号を出力する。出力部43eは、制御部43が作成した制御信号をドライバ45に伝達するインターフェースである。
【0030】
図12は、制御部43で実行されるプログラムのフローチャートを示す。制御部43が作動している待機状態において、S1及びS2がループしていて、シャッターカーテン8は停止状態にある。制御部43が携帯型無線送信機41から上昇信号を受信したときは、S1からS3へ移行して上昇動作を行う。上昇信号を受信すると(S1,YES)、制御部43は上昇信号があったことを記憶し、携帯型無線送信機41からの上昇信号が途絶えても継続して上昇動作を行う(S3)。したがって、オペレータが一時的に上昇の押し釦41aを押せば、上昇の押し釦41aから手を離しても上昇動作は継続して行われる。制御部43が開閉機44の上限リミットスイッチからの信号を受信すると(S5,YES)、S6へ移行して、停止動作を行い、待機状態のループに戻る。上昇動作中に停止信号を受信すると(S4,YES)、S7へ移行して、停止動作を行い、待機状態のループに戻る。
【0031】
待機状態のループで、制御部43が携帯型無線送信機41からの下降信号を受信したとき(S2,YES)、S2からS8へ移行して下降動作を行う。下降信号を受信すると、制御部43は下降信号があったことを記憶し、携帯型無線送信機41からの下降信号が途絶えても継続して下降動作を行う。したがって、オペレータが一時的に下降の押し釦41aを押せば、下降の押し釦41aから手を離しても下降動作が継続される。
【0032】
図13に示されるように、シャッターカーテン8を下降させるとき、シャッターカーテン8のパネル2間にはすきまgが空く。パネル2の上下方向の高さよりも長い取付けピッチで複数枚のパネル2がチェーン3に連結されているからである。スプロケット4に吊り下げられるチェーン3は、パネル2の自重によって延びきっている。
【0033】
シャッターカーテン8の最下段のパネル2aが開口部9の下端(床面)まで移動すると、座板スイッチ11が信号を出力する。制御部43は座板スイッチからの信号を受信すると(S10,YES)、図12に示されるように、ステップS11へ移行してシャッターカーテン8の下降を停止する。
【0034】
図14に示されるように、シャッターカーテン8の最下段のパネル2aが開口部9の下端まで移動したとき、パネル2間にはすきまgが空けられている。パネル2間にすきまgを空けた状態でシャッターカーテン8の下降を停止することで、パネル2間のすきまに指等が挟まるのを防止することができる。
【0035】
図12に示されるように、制御部43はパネル2の下降を一旦停止した後、ステップS12において押切りの下降動作を行う。この押切りの下降動作によって、シャッターカーテン8の下降が再開される。押切りの下降動作とは、オペレータが携帯型無線送信機41の下降の押し釦41aを押し続けている間にのみ、シャッターカーテン8の下降を続けるものである。オペレータが下降の押し釦41aから手を離せば、シャッターカーテン8の下降動作が停止される。この押切りの下降動作においては、制御部43はシャッターカーテン8の下降を停止する前の下降速度よりも小さい下降速度、例えば1/3の下降速度の指令をドライバ45に出力する。ドライバ45はインバータ制御等により開閉機44による下降速度を例えば1/3に低減する。なお、下降の押し釦41aを押し続けてもシャッターカーテン8が開閉機44の下限リミットスイッチの位置まで下降すると、下限リミットスイッチからの信号が下降の押し釦41aからの信号に優先して下降動作が終了するが、そのときのフローは省略されている。
【0036】
図15に示されるように、シャッターカーテン8の下降を再開することで、シャッターカーテン8のパネル2間のすきまが詰められる。まず、最下段のパネル2aと下から二枚目のパネル2との間のすきまが詰められ、次に、下から二枚目のパネル2と下から三枚目のパネル2との間のすきまが詰められる。その後は下側のすきまから順番に詰められる。
【0037】
図16に示されるように、パネル2間のすきまが小さくなった状態では、上下のパネル2の受け具7が接触する。その一方、パネル本体6の小口同士が接触して疵が付くのを防止するため、パネル本体6間には僅かな例えば数mm程度のすきまg1が空けられる。パネル2間のすきまを詰めた状態では、チェーン3は僅かにたわむ。
【0038】
シャッターカーテン8の下降を一旦停止した後、パネル2間のすきまを詰めるようにシャッターカーテン8の下降を再開することで、シャッターカーテン8を閉じたときの外観を良好にできると共に、パネル2間のすきまからごみ等が内部に投入されるのを防止できる。パネル2間のすきまを詰める押切り動作は、オペレータが携帯型無線送信機41の押し釦41aを押している間のみ行われる。シャッタ装置の近くにいるオペレータがすきま間に指等が挟まれていないのを確認しながら、オペレータの意思によってパネル2間のすきまgを詰めることができるので、すきまgに指等が挟まれるのを確実に防止することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限られることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更できる。例えば、シャッターカーテンの最下段のパネルを開口部の下端で停止する検知器を座板スイッチとしたが、位置信号であれば良いので、開閉機の回転数を検出するリミットスイッチであっても良い。また、シャッターカーテンの下端停止後の下降を再開する動作は、押切り動作に限られず、オペレータがスイッチの押し釦を一旦押せば、パネル間のすきまが自動的に詰まるようにし、下限リミットスイッチにより下降動作を停止してもよい。さらに、上記実施形態では、オペレータからの操作指令を無線送信機を用いて行うようにしているが、有線で接続されたスイッチを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態のシャッタ装置の全体図(図中(A)は正面図を示し、(B)は断面図を示す)
【図2】開口部の正面図
【図3】チェーンに取り付けられるパネルを示す図(図中(A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す)
【図4】レールに収容された受け具を示す水平方向断面図
【図5】レールの収納部の組立図(図中(A)は正面図を示し、(B)は(A)のB−B線断面図を示す)
【図6】パネルの動作図(1/4)
【図7】パネルの動作図(2/4)
【図8】パネルの動作図(3/4)
【図9】パネルの動作図(4/4)
【図10】シャッタ装置の制御系の構成図
【図11】制御部のブロック図
【図12】制御部で実行されるプログラムのフローチャート
【図13】開口部を閉じ途中のシャッターカーテンの正面図
【図14】開口部を閉じたときのシャッターカーテンの正面図
【図15】開口部を完全に閉じたときのシャッターカーテンの正面図
【図16】開口部を完全に閉じたときのシャッターカーテンのパネルの詳細図(図中(A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す)
【符号の説明】
【0041】
2…パネル
2a…最下段のパネル
3…チェーン
4…スプロケット(開閉機)
5…モータ(開閉機)
6…パネル本体
7…受け具
8…シャッターカーテン
9…開口部
11…座板スイッチ(検知器)
41…携帯型無線送信機(スイッチ)
41a…押し釦
43…制御部
44…開閉機
g…すきま

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルが各パネルの高さよりも長い取付けピッチで上下方向にチェーンで連結されるシャッターカーテンと、
前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で前記シャッターカーテンを昇降させる開閉機と、
前記開閉機を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、上昇した状態の前記シャッターカーテンを下降させるとき、前記シャッターカーテンの最下段の前記パネルが開口部の下端まで移動すると、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で前記シャッターカーテンの下降を停止するシャッタ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シャッターカーテンの最下段の前記パネルが開口部の下端まで移動すると、前記シャッターカーテンの下降を停止し、その後、前記パネル間のすきまを詰めるように前記シャッターカーテンの下降を再開することを特徴とする請求項1に記載のシャッタ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シャッターカーテンの下降を再開するときの前記シャッターカーテンの下降速度を、前記シャッターカーテンの下降を停止する前よりも遅くすることを特徴とする請求項2に記載のシャッタ装置。
【請求項4】
前記シャッタ装置はさらに、
前記シャッターカーテンの前記最下段のパネルが前記開口部の下端に移動した状態を検知する検知器と、
オペレータが操作可能なスイッチと、を備え、
前記制御部は、上昇した状態の前記シャッターカーテンを下降させるとき、前記シャッターカーテンの前記最下段のパネルが前記開口部の下端まで移動すると、前記検知器からの信号に基づいて、前記シャッターカーテンの下降を停止し、その後、オペレータが手動により前記スイッチを操作すると、前記シャッターカーテンの下降を再開することを特徴とする請求項2又は3に記載のシャッタ装置。
【請求項5】
前記スイッチは、前記シャッターカーテンを下降させるための押し釦を含み、
前記制御部は、前記シャッターカーテンの下降を再開するとき、オペレータが前記スイッチの前記押し釦を押し続けている間にのみ、前記開閉機による前記シャッターカーテンの下降を続けることを特徴とする請求項4に記載のシャッタ装置。
【請求項6】
複数枚のパネルが各パネルの高さよりも長い取付けピッチで上下方向にチェーンで連結されるシャッターカーテンを、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で昇降させるシャッターカーテンの昇降方法であって、
前記シャッターカーテンを下降させるとき、前記シャッターカーテンの最下段のパネルが開口部の下端まで移動すると、前記パネル間に上下方向にすきまを空けた状態で前記シャッターカーテンの下降を停止するシャッターカーテンの昇降方法。
【請求項7】
前記シャッターカーテンの前記最下段のパネルが開口部の下端まで移動すると、前記シャッターカーテンの下降を停止し、その後、前記パネル間のすきまを詰めるように前記シャッターカーテンの下降を再開することを特徴とする請求項6に記載のシャッターカーテンの昇降方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−47917(P2010−47917A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211091(P2008−211091)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000107572)スガツネ工業株式会社 (153)
【出願人】(000222325)東洋シヤッター株式会社 (5)
【Fターム(参考)】