説明

シラン基を有する塩素不含の組成物

【課題】ポリ−α−オレフィンとケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はその水素化反応生成物とを基礎とする組成物であって、特に前処理されていないプラスチック上での被覆剤の非常に良好な付着を室温で既に可能とする組成物を見出す。
【解決手段】A)シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、溶融エンタルピー0〜80J/gの範囲の少なくとも1種のポリ−α−オレフィン1〜98質量%と、B)少なくとも1種のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はその水素化反応生成物1〜98質量%と、C)少なくとも1種の溶剤1〜98質量%と、場合によりD)少なくとも1種の助剤又は添加剤97質量%までを含有し、成分A)〜D)の質量表記の合計が100質量%である組成物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A)シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有するポリ−α−オレフィンと、B)ケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物と、(C)溶剤と、(D)場合により助剤及び/又は添加剤とからなる組成物並びにそれらを、被覆剤、例えばペイント、塗料、接着剤及び封止剤、インク並びに印刷インキの、プラスチック、木材、紙類、金属、ガラス、セラミック及びコンクリートに対する付着性の改善のためのプライマーとして用いる使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート又はコンクリートの混合物とアルデヒドとを塩基性触媒又は酸の存在下で反応させることで樹脂状生成物が得られることは知られている。ここでシクロヘキサノンとメチルシクロヘキサノンとの混合物から樹脂が製造できる(Ullmann、第12巻、第551頁)。ケトンとアルデヒドの反応は、少なくとも硬質樹脂をもたらし、それらの樹脂は、しばしば塗料産業において使用される。
【0003】
工業的に重要なケトン−アルデヒド樹脂は、今日では大部分はホルムアルデヒドを使用して製造される。
【0004】
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂は、既に長い間知られている。その製造方法は、例えばDE102006009080.2号とそこで引用される特許において記載されている。
【0005】
その製造のために、通常は、ケトンとホルムアルデヒドを塩基の存在下で互いに反応させる。
【0006】
ケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂並びにそれらの水素化された反応生成物は、被覆剤中で、例えば皮膜形成性添加成分として、初期乾燥速度、光沢、硬度又は引掻強度といった特定の特性の改善のために使用される。それらの比較的低い分子量のため、通常のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物は、低い溶融粘度と溶液粘度を有するので、被覆剤中で、とりわけ皮膜形成性の機能性充填剤として用いられる。
【0007】
ケトン−アルデヒド樹脂のカルボニル基は、例えば太陽光での、例えば照射によって、例えばNorrishタイプI又はタイプIIのような古典的な分解反応におちいる。
【0008】
従って、変性されていないケトン−アルデヒド樹脂又はケトン樹脂は、質的に高価値の用途、例えば、特に風化及び熱に対して高安定性が必要である屋外範囲では使用することができない。前記の欠点は、カルボニル基の水素化によって改善することができる。ケトン−アルデヒド樹脂の水素化によってカルボニル基を第二級アルコールに変換することは、長い間実施されている(DE870022号)。
【0009】
芳香族基を含有するケトンを基礎とするカルボニル水素化及び核水素化されたケトン−アルデヒド樹脂の製造も、同様に可能である。係る樹脂は、DE102006026758.3号又はDE12006026760.5号に記載されている。
【0010】
シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンの製造と使用は、長い間知られている。それらは、例えばEP827994号及びDE−OS4000695号に記載されている。
【0011】
前記の出願のいずれにも、シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まないポリ−α−オレフィンと、ケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物とを基礎とする、例えば前処理されていないプラスチックに対する被覆剤の非常に良好な付着を可能にするプライマー組成物の使用について指摘はなされていない。
【0012】
非極性のプラスチックの被覆のために、そのプラスチック上での十分に高い被覆の付着性を得るためには、通常は該プラスチックは前処理される。ここで、例えばポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)、変性ポリプロピレン(例えばポリプロピレン−エチレン−コポリマー)、ポリエチレン(PE)、変性PE、混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエン−ブレンド(PP/EPDM)の低いEPDM含有率を有するもの、PP/PE−ブレンド又は特殊なポリエステルからなるプラスチックは、規定の方法によって前処理され、それによって被覆剤は該プラスチック上に付着する。一般的な方法は、火炎処理、コロナ放電、気相フッ素化又はプラズマ処理である。前記の方法によって、プラスチック表面は部分的に酸化されるので、表面張力が高まる。これによって、その支持体に対する後続の被覆物又は接着物は、分子間結合を形成することができ、それによって付着が改善される。前記方法の欠点は、高いコストにあり、かつ前処理の効果が比較的短い期間で弱まる(数日ないし数週間)ことを基礎とする。更に、コロナ前処理されたプラスチックは粘着傾向にあるので、この前処理法は、原則的に、被覆剤の適用のためにインライン式でのみ実施できるに過ぎない。
【0013】
例えばプラスチックの製造の間に付着性の改善のために添加物質を添加するような別の方法も、同様に可能である。係る方法の欠点は、比較的高いコストにあり、かつその低分子の添加物質が、プラスチックの製造に際して問題を引き起こし、そして例えば機械的強度のような物理特性に悪影響を及ぼすことを基礎とする。
【0014】
被覆剤の適用前にプラスチック上にプライマーを適用することは、別の前処理の可能性を提供する。
【0015】
US2003/055163号では、とりわけ塩素化されたCOOHを有するポリオレフィン及びケトン樹脂を含有するバインダー組成物が記載されている。
【0016】
JP46027878号では、同様に、ケトン樹脂の他に、塩素化されたポリオレフィンを含有する組成物が記載されている。
【0017】
有機的に結合された塩素を有する生成物は、塩酸を離脱し、その燃焼に際して、例えば猛毒のダイオキシンを形成しうる。従って、係る方法は、労働災害防止と環境保護の理由から推奨されていない。
【0018】
WO2004/078365号では、シラン変性されたポリオレフィンを基礎とするプライマーが記載されている。ポリオレフィンの低いガラス転移温度と低い結晶化度に基づき、不都合にも、緩慢な初期乾燥と低い耐ブロッキング性がもたらされる。このことは、一方では、緩慢な初期乾燥に基づいて、連続加工(例えば印刷インキ又はコイルコーティングの場合に)での生産性が低いことを意味する。他方では、プライマーによる基体のオフライン被覆とその後の印刷インキ又は塗料での更なる被覆は、不十分な耐ブロッキング性のため不可能である。それというのも耐ブロッキング性が低いため粘着してしまうからである。WO2004/078365号の実施例が引き合いに出されるように、被覆された基体がより高い温度に曝されたときのみに良好な付着が得られる。このことは、熱に不安定な基体については不可能である。
【特許文献1】DE102006009080.2号
【特許文献2】DE870022号
【特許文献3】DE102006026758.3号
【特許文献4】DE12006026760.5号
【特許文献5】EP827994号
【特許文献6】DE−OS4000695号
【特許文献7】US2003/055163号
【特許文献8】JP46027878号
【特許文献9】WO2004/078365号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の課題は、ポリ−α−オレフィンとケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物とを基礎とする組成物であって、特に前処理されていないプラスチック上での被覆剤の非常に良好な付着を室温で既に可能とする組成物を見出すことであった。該組成物は、塩素を含まないことが望ましく、かつ迅速な初期乾燥並びに高い耐ブロッキング性を有することが望ましい。また前処理の効果は、長時間にわたっても保持されることが望ましいので、選択的に前処理は、プラスチックの製造直後にプラスチック製造業者(オフライン)によって可能であるが、又は前処理は被覆剤の適用直前に(インライン)可能である。更に、下地と後続の層に対する付着強度は、高温でも与えられているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の課題は、驚くべきことに、特許請求の範囲に従って、被覆剤の適用前に、シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンとケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物とを基礎とする以下に詳細に記載される組成物を、基体上に施与することによって解決される。
【0021】
本発明による組成物は、先行技術とは反対に、有機的に結合された塩素を含まない。該組成物は、迅速な初期乾燥と高い耐ブロッキング性を有する。前処理の効果は、また長期間にわたっても一定である。
【0022】
従って、本発明による組成物は、特にプラスチック上での被覆剤の付着の改善のために使用することができる。その付着はその際、温度負荷に際しても示されている。
【0023】
本発明の対象は、有機的に結合された塩素を含まない組成物であって、主に
A)シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有する少なくとも1種のポリ−α−オレフィン1〜98質量%と、
B)少なくとも1種のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物1〜98質量%と、
C)少なくとも1種の溶剤1〜98質量%と、場合により
D)少なくとも1種の助剤又は添加剤97質量%まで
を含有し、その際、成分A)〜D)の質量表記の合計が100質量%である組成物である。
【0024】
以下に記載される成分A)〜D)からなる組成物の組み合わせが、全ての必要となる基準を満たすことが判明した。
【0025】
成分A)
本発明に必須の成分A)は、1〜98質量%の量で、有利には1〜49質量%の量で、特に有利には1〜40質量%の量で使用される。
【0026】
シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有するポリ−α−オレフィンの製造のためには、不飽和シランが十分に非晶質のポリオレフィンに対してグラフトされる。
【0027】
十分に非晶質のポリ−α−オレフィンとしては、例えばホモポリマー、例えばアタクチックポリプロピレン(APP)又はアタクチックポリブテン−(1)を使用することができ、又は有利には以下のモノマー組成:
4〜20個の炭素原子を有する1種以上のα−オレフィン0〜95質量%、有利には3〜95質量%と、
プロペン5〜100質量%、有利には5〜97質量%と、
エテン0〜50質量%、有利には0〜20質量%
を有するコポリマー及び/又はターポリマーを使用することができる。
【0028】
4〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンとしては、有利には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、3−メチル−1−ブテン、メチルペンテン、例えば4−メチル−1−ペンテン、メチルヘキセン又はメチルヘプテンが、単独で又は混合物において使用される。
【0029】
係るポリマーの製造は、例えばEP−A−0023249号に記載されている。
【0030】
変性されていない前記の十分に非晶質のポリ−α−オレフィンは、溶融エンタルピーを、0〜80J/gの範囲で、有利には1〜70J/gの範囲で、特に有利には1〜60J/gの範囲で有する。
【0031】
溶融エンタルピーは、ポリマーの結晶化度の尺度である。ポリ−α−オレフィンは、比較的低い結晶化度を有する、すなわち該ポリ−α−オレフィンは、十分に非晶質であるが、完全に非晶質ではない。必要な材料特性に不可欠なある程度の結晶化度は存在する。溶融時に検出可能な結晶性の範囲は、0〜175℃の広い温度範囲にわたっており、それらの強度から見て場所により顕著さは様々である。該ポリ−α−オレフィンは、その結晶化度において、単峰性の溶融ピークと同様に、部分的に鋭く分かれており、部分的に互いに混ざり合っている二峰性及び多峰性の溶融ピークも生ずる点で優れている。ポリマーの溶融エンタルピー(全結晶化度についての尺度としての)は、0J/g〜80J/gにあり、有利には1〜70J/gの範囲にあり、特に有利には1〜60J/gの範囲にある。
【0032】
低い結晶化度によって、一方では、高い透明性が得られ、他方では可撓性の機械的挙動が得られる。しかしながら、より高い結晶化度によって、他方では、好ましい材料特性の特定の組み合わせを達成することができる。本発明による比較的高い結晶化度を有するポリマー、例えばポリブテンもしくは高いブテン割合を有するブテンコポリマーは、例えば非常に良好な引張強度を有する。同時に、該コポリマーは、比較的低い表面粘着性を示す。
【0033】
結晶性成分の溶融エンタルピーの測定は、示差熱測定(DSC)によって加熱速度10K/分でセカンドヒート曲線からDIN53765に従って行われる。
【0034】
グラフト化されるシランは、有利には直接的にケイ素と結合された3つのアルコキシ基を有する。例としては、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン又はビニルメチルジブトキシシランが挙げられる。そのシランは、グラフト化に際して通常は、ポリオレフィンに対して、0.1〜10質量%の量で、有利には0.5〜5質量%の量で使用される。
【0035】
シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有するポリ−α−オレフィンの製造のために、不飽和シランを、先行技術のあらゆる方法に従って、例えば溶液で又は有利には溶融物で、その際、ラジカル供与体を十分な量で存在させて、十分に非晶質のポリオレフィンに対してグラフト化させる。好適な作業様式は、DE−OS4000695号を引き合いに出すことができる。
【0036】
シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まないポリ−α−オレフィンは、未架橋の状態において以下の特性を有する:
・ 質量平均分子量 2000〜250000g/モル、有利には3000〜150000g/モル、特に有利には3000〜125000g/モル、
・ 多分散性PD 2.0〜40、有利には2.5〜20、特に有利には2.5〜15、
・ ガラス転移温度Tg −80〜0℃、有利には−60〜0℃、特に有利には−55〜−10℃、
・ 溶融エンタルピー 0〜80J/gの範囲、有利には1〜60J/gの範囲、特に有利には1〜40J/gの範囲、並びに
・ 非極性溶剤中で十分な可溶性及び/又は膨潤可能性。
【0037】
その際、これらの特性は、上述の値の範囲内であらゆる可能なバリエーションをとることができる、例えば2.5〜15(最小範囲)のPD及び−80〜0℃(最大範囲)のTgをとることができる。
【0038】
分子量と多分散性の測定は、高温GPCによって行われる。その測定は、ASTM D6474−99に従って行われるが、より高い温度(140℃の代わりに160℃)とより低い注入容量(300μlの代わりに150μl)で実施される。溶剤としては、トリクロロベンゼンが使用される。その測定は、160℃のカラム温度で行われる。その際に、溶出曲線の評価のために使用される普遍検量は、ポリオレフィン標準を基礎として実施される。その結果は、検量を異質のポリマー、例えばポリスチレンを基礎として実施された測定又は普遍検量なくして行われている測定と比較不可能である。それというのも、さもなくば種々異なる三次元ポリマー構造もしくは流体力学的径の許容できない比較が行われるからである。また示された溶剤とは別のものを使用した測定との比較も不可能である。それというのも種々異なる溶剤中には、種々異なる三次元ポリマー構造もしくは流体力学的径が存在しうるため、分子量測定において異なる結果が導かれるからである。
【0039】
多分散性PDは、数平均分子量と質量平均分子量との商として定義されている。その多分散性は、特に存在するモル質量分布の幅についての尺度であって、そこから再び存在する重合挙動並びに使用される触媒を推し量ることが可能である。更に多分散性は、他方でポリマー材料の付着特性に影響を有する存在する低分子割合についての尺度でもある。多分散性は、ある程度の限界において、規定の触媒−助触媒の組み合わせについて特徴的である。その際、モル質量分布は、使用される方法様式(例えば1つ、2つ又はそれより多くの撹拌槽もしくは撹拌槽と流管との組み合わせ)に応じて、もしくは反応操作(触媒、助触媒及びモノマーの一回もしくは複数回の配量)に応じて、単峰性、二峰性又は多峰性のいずれかとなりうる。多分散性は、室温での材料の粘着性に対して並びに付着に対して比較的大きな影響を有する。
【0040】
更に、分子量及び多分散性は、とりわけ溶液粘度、機械的特性並びに付着特性に対して大きな影響を有する。分子量が低くなればなるほど、溶液中の粘度は低くなる。しかし、機械的特性は、分子量が低い場合に悪影響を受けることがある。従って、最適な特性を達成するためには、成分A)の質量平均分子量は、2000〜250000g/モル、有利には3000〜150000g/モル、特に有利には3000〜125000g/モルであり、かつ多分散性は、2.0〜40、有利には2.5〜20、特に有利には2.5〜15である。
【0041】
結晶性成分のガラス転移温度及び溶融範囲の測定は、示差熱測定(DSC)によって加熱速度10K/分でセカンドヒート曲線からDIN53765に従って行われる。熱流曲線の変曲点は、ガラス転移温度として評価される。ガラス転移温度は、公知のようにして、モノマー組成と反応条件とを介して制御することができる。一般に、より長鎖のモノマーを使用すると、より低いガラス転移温度がもたらされる。同様に、より短鎖のポリマーが形成される反応条件(例えば比較的高い重合温度)は、所定の範囲において、同様にガラス転移の低下をもたらす。
【0042】
低いガラス転移温度Tgは、(低温)可撓性に良い影響を及ぼすが、耐ブロッキング性と迅速な初期乾燥速度(溶剤保持時間)には悪影響を及ぼす。従って、成分A)のTgは、−80〜0℃、有利には−60〜0℃、特に有利には−55〜−10℃であるように選択される。溶融エンタルピーは、上記のように決定され、そして前記の理由から、0〜80J/gの範囲、有利には1〜60J/gの範囲、特に有利には1〜40J/gの範囲にある。
【0043】
非極性溶剤中での溶解性及び/又は膨潤可能性が望ましく、それにより成分A)を加工することができる。一方では、該成分は、成分B)ないしD)との組み合わせにおいて均質に混合可能であることが望ましく、他方で、A)ないしD)の組成は、通常の方法で、例えば吹き付け、印刷、キャストコーティング、塗被又は塗布で容易に適用することができる。
【0044】
可溶性は、成分A)をその都度の溶剤又は溶剤混合物中に10〜50%希釈で撹拌しつつ還流温度で溶解させて、引き続きその溶液を室温に冷却することによって測定される。成分A)のキシレン中での可溶性は、80〜99.9%、有利には85〜99.5%、特に有利には90〜99.0%である。更に、成分A)は、芳香族溶剤、例えばトルエン、ベンゼン、クレゾール、ナフタリン、テトラヒドロナフタリン中に、及び/又は脂肪族溶剤及び溶剤混合物、例えばデカヒドロナフタリン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、クリスタルオイル、石油溶剤(Testbenzin)、テルペンチン、パラフィン中に、単独で又は混合物において可溶性である。
【0045】
成分B)
本発明に必須の成分B)は、1〜98質量%の量で、有利には1〜49質量%の量で、特に有利には1〜40質量%の量で使用される。
【0046】
この生成物は、特に迅速な初期乾燥速度(改善された溶剤保持)及び高い耐ブロッキング性を担う。更に、成分B)を使用することによって、ウェット・オン・ウェット適用の場合の後続の被覆剤への相容性並びにプライマー層に対する後続の被覆の付着性が改善される。とりわけ、本発明による組成物の成分A)の可溶性は、成分B)の存在により高められ、そして流れと固体割合が改善される。
【0047】
成分B)として適しているのは、ケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂並びにそれらの水素化された反応生成物であって、単独又は混合物におけるものである。
【0048】
一般に、ケトン樹脂及びケトン−アルデヒド樹脂合成について文献中に適しているとして挙げられた全種のケトン、一般に全種のC−H酸性ケトンを使用することができる。
【0049】
ケトン樹脂及びケトン−アルデヒド樹脂(成分B))の製造のためのケトンとして、全てのケトン、特にアセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、ヘプタノン−2、ペンタノン−3、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロドデカノン、2,2,4−と2,4,4−トリメチルシクロペンタノンからなる混合物、シクロペンタノン及びシクロオクタノン、シクロヘキサノン及び合計で1〜8個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基を有する全てのアルキル置換シクロヘキサノンの単独又は混合した形が適している。アルキル置換シクロヘキサノンの例として、4−t−アミルシクロヘキサノン、2−s−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン及び3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンを挙げることができる。
【0050】
ケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン及びヘプタノン系のケトン−アルデヒド樹脂であって、単独又は混合物におけるもの並びにシクロヘキサノンを基礎とするケトン樹脂が好ましい。
【0051】
ケトン−アルデヒド樹脂(成分B))のアルデヒド−成分として、原則として非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド及び/又はイソ−ブチルアルデヒド、バレリアンアルデヒド並びにドデカナールが適している。一般に、ケトン樹脂合成について文献中に適しているとして挙げられた全てのアルデヒドを使用することができる。しかしながら、ホルムアルデヒドを単独で又は混合して使用するのが有利である。
【0052】
必要とされるホルムアルデヒドは、通常、約20〜40質量%の水溶液又はアルコール(メタノール又はブタノール)性溶液として使用される。ホルムアルデヒドの他の使用形態、例えばパラ−ホルムアルデヒド又はトリオキサンの使用が同様に可能である。しかしながら原則的に、あらゆるホルムアルデヒド供与化合物が適している。芳香族アルデヒド、例えばベンズアルデヒドは、ホルムアルデヒドと混合して同様に含有することができる。
【0053】
特に有利に、ケトン−アルデヒド樹脂用の出発化合物として、アセトフェノン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン並びにヘプタノンであって、単独又は混合物におけるもの並びにホルムアルデヒドが使用される。
【0054】
ケトンとアルデヒド成分とのモル比は、1:0.25〜1:15、有利には1:0.9〜1:5、特に有利には1:0.95〜1:4である。
【0055】
ケトン−アルデヒド樹脂の製造方法は、例えばEP1486520号、DE102006009079.9号及びDE102006009080.2号及びそこで引用される文献に記載されている。
【0056】
同様に、成分B)としては、ケトンとアルデヒドからなる樹脂の水素化された反応生成物が使用される。前記のケトン−アルデヒド樹脂は、触媒の存在下で300バールまでの圧力で水素をもって水素化される。この場合、ケトン−アルデヒド樹脂のカルボニル基は第2級ヒドロキシ基に変換される。反応条件に応じて、前記ヒドロキシ基の一部は脱離することができ、メチレン基が生じる。判りやすく示すために、次の反応式を用いる:
【化1】

【0057】
水素化された生成物の製造方法は、例えばDE102006009079.9号及びDE102006009080.2号に記載されている。
【0058】
芳香族構造要素を含むケトンの場合に、水素化条件に応じてこの構造要素も水素化される。好適な樹脂は、例えばDE102006026760.5号及びDE102006026758.3号に記載されている。
【0059】
成分B)としては、更に一般式(i)
【化2】

[式中、Xは、酸素又は硫黄であり、Aは、アルキレン基を意味し、そしてnは、0〜3を表す]で示される尿素と一緒に、1.9(n+1)から2.2(n+1)モルの一般式(ii)
【化3】

[式中、R1及びR2は、それぞれ20個までの炭素原子を有する炭化水素基(例えばアルキル基、アリール基及び/又はアルキルアリール基)を表す]で示されるアルデヒドを使用した尿素−アルデヒド樹脂及び/又はホルムアルデヒド樹脂が使用される。
【0060】
一般式(i)の適当な尿素は、n=0では例えば尿素及びチオ尿素であり、n=1ではメチレン二尿素、エチレン二尿素、テトラメチレン二尿素及び/又はヘキサメチレン二尿素並びにこれらの混合物である。尿素が有利である。
【0061】
一般式(ii)の適当なアルデヒドは、例えばイソブチルアルデヒド、2−メチルペンタナール、2−エチルヘキサナール及び2−フェニルプロパナール並びにこれらの混合物である。イソブチルアルデヒドが有利である。
【0062】
ホルムアルデヒドは、部分的に又は完全にアルコール、例えばメタノール又はエタノールを含有することができる水性の形で、パラホルムアルデヒドとして及び/又はトリオキサンとして使用することができる。
【0063】
一般に、尿素−アルデヒド樹脂B)の製造について文献中に記載された全てのモノマーが適している。特に、尿素、イソブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドが好ましい。
【0064】
典型的な製造様式及び組成は、例えばDE2757220号、DE−OS2757176号並びにEP0271776号に記載されている。商慣習の製品は、BASF AG社製のLaropal(登録商標)A81又はLaropal(登録商標)A101である。
【0065】
成分B)は、以下の点を特徴とする:
・ ヒドロキシル価 0〜450mgKOH/g、有利には0〜375mgKOH/g、特に有利には0〜350mgKOH/g、
・ ガードナーによる色数(酢酸エチル中50質量%) 0〜5、有利には0〜3.0、特に有利には0〜2.0、
・ 樹脂の熱負荷(24時間、150℃)後のガードナーによる色数(酢酸エチル中50質量%) 0〜10.0、有利には0〜7.5、特に有利には0〜5.0、
・ 数平均分子量Mn 300〜10000g/モル、有利には400〜5000g/モル、特に有利には400〜3000g/モル、
・ 多分散性(Mw/Mn) 1.25〜4.0、特に有利には1.3〜3.5、
・ 融点/溶融範囲 20〜180℃、有利には30〜140℃、特に有利には40〜130℃、
・ 非極性有機溶剤中での可溶性。
【0066】
またここではそれらの特性は任意に変更できる。
【0067】
ヒドロキシル価は、樹脂の極性についての尺度である。ヒドロキシル価が、その他の樹脂特性のパラメータ(例えばカルボキシル価、分子量)が一定で高まれば高まるほど、極性は高くなる。成分A)への良好な相容性を保証するためには、非極性溶剤中で可溶性が示されるほど低くヒドロキシル価が選択されるべきである。他方で、後続の層は、プライマーが極性であればあるほどプライマー層上により良好に付着する。最適なヒドロキシル価は、0〜450mgKOH/g、有利には0〜375mgKOH/g、特に有利には0〜350mgKOH/gである。その測定は、DIN53240−2"ヒドロキシル価の測定"に従って行われる。この場合に、3時間のアセチル化時間を厳密に守ることに留意すべきである。
【0068】
ガードナーによる色数の測定は、成分B)を酢酸エチル中に溶かした50質量%溶液中で、DIN ISO4630に従って行われ、それは樹脂の色についての尺度である。色数が低ければ低いほど、樹脂はより無色になる。同様に、前記のように熱負荷後の色数も測定される。この方法は、成分B)の熱安定性に対する示唆を得るために使用することができる。このために、成分B)を、まず空気雰囲気下で150℃において24時間貯蔵する(不揮発成分の測定を参照)。それに続いて、ガードナーによる色数の測定を、熱負荷された樹脂を酢酸エチル中に溶かした50質量%の溶液中で、DIN ISO4630に従って行う。色数が低ければ低いほど、樹脂はより熱安定性になる。
【0069】
成分B)の分子量と多分散性の測定は、標準としてのポリスチレンに対してテトラヒドロフラン中でのゲル透過クロマトグラフィーによって行われる。多分散性(Mw/Mn)は、質量平均(Mw)と数平均(Mn)との比率から計算される。
【0070】
分子量が高ければ高いほど、成分B)の溶融範囲はより高く、かつ初期乾燥速度はより良好であるが、また溶液粘度もより高くなる。所定の分子量(Mn)の場合に、溶解されたポリマーが不均一であればあるほど(高い多分散性)、溶液粘度はより高くなる。
【0071】
理想的には、数平均分子量Mnは、300〜10000g/モル、有利には400〜5000g/モル、特に有利には400〜3000g/モルであり、かつ多分散性(Mw/Mn)は、1.25〜4.0、特に有利には1.3〜3.5である。
【0072】
成分B)の溶融範囲ができる限り高いことが望ましく、それにより例えば本発明による組成物の初期乾燥速度、被覆の硬度及び耐ブロッキング性が可能な限り高くなる。
【0073】
その測定は、キャピラリー型融点測定装置(Buechi B−545)によってDIN53181に従って行われる。成分B)の好ましい融点/溶融範囲は、20〜180℃、有利には30〜140℃、特に有利には40〜130℃である。
【0074】
成分B)の可溶性は、通常の有機溶剤、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、ブタノンなどにおいて与えられる。更に、成分B)は、非極性溶剤中で可溶性である。このことが必ず必要となるのは、その場合にのみ非常に非極性の成分A)と成分B)とを均質に混合することがうまくいくからである。
【0075】
成分B)は、10〜50質量%の希釈において、芳香族溶剤、例えばキシレン、トルエン、ベンゼン、クレゾール、ナフタリン、テトラヒドロナフタリン中に、及び/又は脂肪族溶剤及び溶剤混合物、例えばデカヒドロナフタリン、ヘキサン、ヘプタン、(メチル)シクロヘキサン、クリスタルオイル、石油溶剤、テルペンチン、パラフィン中に、単独で又は混合物において可溶性である。
【0076】
成分C)
本発明に必須の成分C)は、1〜98質量%の量で、有利には2〜98質量%の量で、特に有利には20〜98質量%の量で使用される。
【0077】
成分C)としては、一般に接着剤産業と塗料産業とにおいて使用されるあらゆる有機溶剤である。
【0078】
有利には、例えば芳香族の、脂肪族の及び/又は脂環式の溶剤及び溶剤混合物、例えばキシレン、トルエン、ベンゼン、クレゾール、ナフタリン、テトラヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、ヘキサン、ヘプタン、(メチル)シクロヘキサン、クリスタルオイル、石油溶剤、テルペンチン、パラフィンが、単独又は混合物において好ましい。
【0079】
成分D)
成分D)は、場合により含まれていてよく、かつ0〜97質量%の量で使用される。成分D)としては、助剤及び添加剤、例えば抑制剤、他の有機溶剤、水、捕水物質、界面活性物質、例えば脱泡剤、脱ガス剤、潤滑剤及び均展剤、基体湿潤剤、耐ブロッキング剤、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光保護剤、漂白剤、光増感剤及び光開始剤、レオロジー特性に影響を及ぼす添加剤、例えばチキソトロピー剤及び/又は増粘剤、皮張り防止剤、帯電防止剤、湿潤剤及び分散剤、架橋剤、例えばブロックされた又はブロックされていない(ポリ)イソシアネート、保存剤、例えば殺真菌剤及び/又は殺生剤、熱可塑性添加剤、可塑剤、艶消し剤、難燃剤、内部離型剤、発泡剤及び/又は染料、顔料及び/又は充填剤及び/又はグラフト化されていない易加水分解可能なシラン、例えばヘキサデシルトリメトキシシラン又はヘキサデシルトリエトキシシランが適している。
【0080】
更に、成分D)として、40質量%までの量で、更なるポリマー、例えばポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、カゼイン、セルロースエーテル、セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール及び誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ゴム、天然樹脂、炭化水素樹脂、例えばクマロン樹脂、インデン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、テルペン樹脂、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、フェノール/尿素−アルデヒド樹脂、アミノプラスト(例えばメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、エポキシアクリレート、エポキシ樹脂、ケイ酸エステル及びアルカリケイ酸塩(例えば水ガラス)、シリコーン樹脂及び/又はフッ素含有ポリマーが含まれていてよい。これらのバインダーは、異種架橋性及び/又は自己架橋性であってよく、風乾性(物理的乾燥性)及び/又は酸化硬化性であってよい。
【0081】
成分A)〜D)からなる組成物の製造:
該組成物の製造は、それらの成分を20〜80℃で激しく混合することによって("Lehrbuch der Lacktechnologie",Th.Brock,M.Groteklaes,P.Mischke著、編集者V.Zorll,Vincentz出版、ハノーバー、1998年、229頁以降)、場合により不活性ガス雰囲気下でかつ水の排除下で行われる。このために、成分C)を装入し、そして成分A)、B)及び場合によりD)を添加する。
【0082】
本発明による成分A)〜D)からなる組成物は、塩素を含まない。塩素を含まないとは、有機的に結合された塩素を含まない塩素不含の生成物、例えばクロロゴム、塩素化されたポリオレフィンなどが使用されないことを意味する。無機の塩化物(例えば塩)は、それに対して含まれていてよく、その際、これは一般に毒性学的可能性を有さない。
【0083】
また本発明の対象は、非反応性の組成物を、プラスチックに対する、有利には前処理されていないプラスチックに対する付着性の改善のためのプライマー組成物として用いる使用である。
【0084】
本発明による成分A)〜D)からなる組成物は、プライマー組成物として使用でき、該組成物は前処理されていないプラスチック上での接着剤、封止剤及び/又は被覆剤の非常に良好な付着が可能となるので、プラスチックの前処理のための通常の方法、例えば火炎処理、コロナ放電、プラズマ処理又は気相フッ素化が省かれる。相応して、一般の清浄剤、例えばイソプロパノール及び/又はn−ヘキサンによる基体の簡単な事前清浄化で十分である。
【0085】
特に、本発明による成分A)〜D)からなる組成物は、前処理されていない低エネルギーな、表面張力40mN/m2未満、有利には38mN/m2未満、特に有利には34mN/m2未満を有するプラスチック上での接着剤、封止剤及び/又は被覆剤の付着の改善のためのプライマーとして適している。
【0086】
係る低エネルギーなプラスチックの例としては、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)からなるポリオレフィン、変性ポリプロピレン、例えばポリプロピレン−エチレン−コポリマー(例えばブロックコポリマー又はランダムコポリマー)、ポリ−1−ブテン、ポリエチレン(PE)、変性PE、混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンのブレンド(PP/EPDM)であってEPDM含有率が低いもの、PP/PEのブレンドが挙げられるが、またゴム(天然ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、EPM、EPDM、NBR、SBR、SBS、BR)、ポリ塩化ビニル又は特殊なポリエステルが挙げられる。
【0087】
該プラスチックは、加工品又は成形体、複合物質、例えばプラスチック又はシート上に紙及び/又はアルミニウムを貼り合わせたものであってよい。
【0088】
該プラスチックは、商品分野(例えばビン、缶、手提げ袋、ラベルなど)において又は高価な用途(例えばエレクトロニクス産業、自動車又は飛行機構造において)のために使用することができる。
【0089】
しかしながら、本発明によるプライマー組成物を事前に施与することによって、ガラス、木材、紙、あらゆる種類の板紙、繊維板、金属(例えば鉄、鋼、特殊鋼、アルミニウム、真鍮、銅)、セラミック又はコンクリートに対する後続の層の付着性が改善されることは驚くべきことであった。
【0090】
本発明による成分A)〜D)からなる組成物は、迅速な初期乾燥並びに高い耐ブロッキング性を示す。
【0091】
また前処理の効果は、長時間にわたっても保持されるので、選択的に前処理は、プラスチックの製造直後にプラスチック製造業者(オフライン)によって可能であるが、又は前処理は被覆剤の適用直前に(インライン)可能である。
【0092】
本発明による組成物は、化学的に反応性であり、かつ(空気)湿分とも、場合により該組成物に含まれるヒドロキシ基含有成分とも、もしくは基体もしくは後続の層の官能基とも反応しうるので、複合化は、下地への共有結合及び後続の層への共有結合の形成によって生じうる。これによって、より高い温度でも保持され続ける非常に良好な付着強度が得られる。
【0093】
所望の効果に依存して、成分A)のシラン基は、他の成分の場合により存在するヒドロキシル基と反応することができ、こうして網目構造が生ずる。架橋速度を高めるために、例えば触媒、例えば有機ビスマス、有機亜鉛及び/又は有機スズを使用することができる。例は、オクタン酸ビスマス又はジラウリン酸ジブチルスズである。架橋反応を低下させ、架橋密度を低減するためには、他方で、所望であれば、グラフト化されていない易加水分解可能なシラン、例えばヘキサデシルトリメトキシシラン又はヘキサデシルトリエトキシシランを添加することができる。係る生成物は、場合により内部拡散している水を捕捉することができる。ここではより高分子のシランを使用することが推奨される。それというのも、このシランは、高い沸点を有するため、廃棄処理問題と産業衛生問題が引き起こされないからである。
【0094】
使用目的に応じて、本発明によるプライマー層上に後続の接着剤、封止剤又は被覆剤が適用される。その際、後続の層は、該プライマー上に直接的に"ウェット・オン・ウェット"で適用できる、すなわち溶剤は除去されない。また、プライマーからまず室温又はより高められた温度において揮発性成分を除去し、そして次いで後続の層をその"ドライな"、すなわち溶剤不含のプライマー上に適用することも可能である。
【0095】
本発明による組成物は、通常の方法でプラスチック基体上に適用することができる。このための例は、とりわけ(静電的)噴霧法、吹き付け法、スピンコート、キャストコーティング、浸し塗り、ドラム塗布(Trommeln)、フローコーティング、ローラコーティング、ブレード塗布(Wischen)、ウォッシュ塗布(Waschen)、印刷、ロールコーティング、塗被、押出である。
【0096】
本発明によるプライマー層の層厚は、揮発性成分、例えば溶剤の蒸発後に、0.01〜100μm、有利には0.1〜30μm、特に有利には0.2〜10μmである。
【0097】
後続の被覆剤としては、あらゆる被覆剤を使用することができる、特にあらゆる溶剤含有の水性被覆剤又は溶剤不含の被覆剤(例えば放射線硬化性の被覆剤及び/又は粉末塗料)、例えばプライマーサーフェイサー、サーフェイサー、ベースコート及び/又はトップコート並びに印刷インキ、ボールペン用ペースト、インキ、仕上げ塗り、透明塗料、ラミネート剤(Laminierung)、熱硬化性塗料、化粧品及び/又は封止剤及び絶縁材並びに接着剤を使用することができる。
【0098】
本発明による組成物の基体上でのレベリング性並びに後続の被覆剤の本発明による組成物上でのレベリング性は、十分であり、かつその表面は、例えばクレータ及び濡れ障害のような障害がない。
【0099】
本発明の対象は、また非反応性の組成物を使用して製造された物品である。
【0100】
次の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するが、その適用範囲を制限するものではない:
【実施例】
【0101】
I.)成分A):シラングラフトされたポリオレフィンの製造
シラングラフトされたポリオレフィンの製造のために、以下のモノマー組成:
6質量%のエテン
64質量%のプロペン
30質量%の1−ブテン
の十分に非晶質のポリ−α−オレフィンを使用した。
【0102】
二軸スクリュー押出機(Berstorff ZE40)において、前記のポリ−α−オレフィン92.9質量%と、ビニルトリメトキシシラン(Dynasilan(登録商標)VTMO)6.0質量%と、1.1質量%のジクミルペルオキシドとからなる混合物を、空気と湿分の排除下で、約170℃の温度で混合し、そして約90秒の保持時間にわたって前記温度で保持した。過剰のVTMOを、押出機の最後の帯域において約20ミリバールの真空で蒸発させ、冷却トラップ中で凝縮させた。該生成物を、Irganox 1076を添加することによって安定化させた。溶融粘度は、190℃で6Pa・sであった。その生成物は、例えばキシレン、Solvesso(登録商標)100、そしてShellsol(登録商標)D40中に可溶性である。
【0103】
II.)成分B)
1.ケトン−アルデヒド樹脂の製造
ケトン−アルデヒド樹脂の製造を、EP1486520号A1の実施例GL254に従って実施した。
【0104】
2.水素化されたケトン−アルデヒド樹脂の製造
水素化されたケトン−アルデヒド樹脂の製造を、DE102006026758.3号の実施例2に従って実施した。
【0105】
3.尿素−アルデヒド樹脂の製造
尿素−アルデヒド樹脂の製造を、DE271776号の実施例1に従って実施した。
【0106】
以下の第1表は、樹脂II−1〜樹脂II−3の特性についての概要を示している。
【0107】
第1表.樹脂II−1〜樹脂II−3の特性
【表1】

【0108】
プライマー組成物の製造
以下の第2表に示される物質を、撹拌下に溶解させて、均質化させる。そこに、その都度の溶剤(成分C))を装入し、そしてポリオレフィンI−1並びにその都度の樹脂II−1〜樹脂II−3を、撹拌しつつ室温でゆっくりと添加する。溶解を早めるために、短時間で撹拌しつつ60℃に加熱する。溶解後に、溶液を濾過する。
【0109】
第2表.比較V1及びプライマーP1〜P6の組成(全ての表示はグラム/gである)
【表2】

【0110】
全ての溶液は、澄明ないし軽く混濁であり、無色ないし帯黄色であり、そして水のように希薄である。比較溶液V1では、不溶性成分の割合は、組成物P1〜P8の場合と比べて高かった。それにより、樹脂II−1〜樹脂II−3が溶解媒介剤として作用することを明らかにすることができる。V1は、WO2004/078365号に対する直接的な比較を表す。
【0111】
溶液V1及びP1〜P8を、ドクターブレードを用いて(2μmのウェット層)、事前にエタノールとn−ヘキサンとで清浄化されたシート上に適用した。溶剤の蒸発後に(種々のフラッシュオフ時間、第3表参照)、印刷インキを、ドクターブレードを用いて(2μmのウェット層)、シート上に適用し、そして室温で溶剤を除去した。
【0112】
付着特性の評価は、いわゆる、しわ試験(Knittertest)に従って実施した。このために、被覆されたシートを、印刷インキ適用実施の24時間後に"しわにする"。被覆が無傷であれば、付着は非常に良好(1)である。被覆が損傷を受ける場合に、損傷の度合いが評価される(2:僅かな剥離、…、6:完全な離層)。
【0113】
更に、付着性は、接着テープ剥離法(Tesa試験)によって評価した。そのために、接着テープを、印刷インキの種々異なるフラッシュオフ時間(5分、1時間、24時間)後に、印刷インキ皮膜に接着し、引き続き再び剥がす。被覆が無傷であれば、付着は非常に良好(1)である。被覆が損傷を受ける場合に、損傷の度合いが評価される(2:僅かな剥離、…、6:完全な離層)。
【0114】
以下の組成:
39.0gのエタノール
11.2gの酢酸エチル
40.0gのKunstharz 1201(Degussa AG社)
7.2gのHacolor blau 50423(Hagedorn社)
の印刷インキを使用した。
【0115】
それらの成分を、示される順序で撹拌しつつ一緒に入れ、均質化させた。
【0116】
シート基体(Puetzシート)として、以下のタイプ:Treofan NNA40(PPシート)、Hostaphan RN50(PETシート)、Genotherm EE87(PVCシート)を使用した。
【0117】
以下の第3−1表及び第3−2表において、それぞれのP1〜P8上での印刷インキを、それぞれの未処理のシート上の印刷インキ及び比較プライマーV1上の印刷インキと比較した付着性試験(しわ試験、Tesa試験)の結果が示されている。
【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
それぞれのプラスチック上での印刷インキの付着性は、プライマー層がないと不十分である。このことは、しわ試験とTesa試験からの結果を示している。PVC上では、僅かに良好な付着性(24時間後にTesa試験で3)が見出されるに過ぎない。比較試験V1は、成分B)を有さないプライマーは、それでも基本的に付着性を改善できることを示している。しかし、相対的な改善は、2分間のフラッシュオフ時間後に初めて観察され、あまり高い水準にはない。それに対して、プラスチック基体に対する印刷インキの付着性は、本発明によるプライマー層によって短いフラッシュオフ時間後で既に大きく改善される。
【0121】
それは、より高い濃度の成分B)(P1〜P3)が、短いフラッシュオフ時間後に付着性に良い影響を及ぼすことを示している。全ての前記のプライマー被覆は、30秒後に既に非粘着性なので、高い耐ブロッキング性は非常に短時間後にも保証される。
【0122】
実施例P4〜P6は、P1と比較して大きな差異を示さない。その差異は、相対方法の測定精度の範囲である。従って、使用される溶剤(成分C))の影響は小さい。
【0123】
溶液V1及びP1〜P8を、ドクターブレードを用いて(2μmのウェット層)、事前にエタノールとn−ヘキサンとで清浄化されたKrueppel社製のポリエチレンパネルとポリプロピレンパネル上に適用した。溶剤を蒸発させた後に、印刷インキをドクターブレードを用いて(2μmのウェット層)適用し、そして室温で溶剤を除去した。更に、商慣習の2成分系のポリウレタン塗料を、噴霧適用によって該パネル上に適用し、そして80℃で30分にわたり乾燥させた。
【0124】
印刷インキの付着特性の評価は、接着テープ剥離法(Tesa試験)によって実施した。そのために、接着テープを、印刷インキの種々異なるフラッシュオフ時間(5分、1時間、24時間)後に、印刷インキ皮膜に接着し、引き続き再び剥がした。被覆が無傷であれば、付着は非常に良好(1)である。被覆が損傷を受ける場合に、損傷の度合いが評価される(2:僅かな剥離、…、6:完全な離層)。
【0125】
適用された塗料において、クロスカット試験をDIN EN ISO2409に従って実施した(GT0は非常に良好、GT5は、完全に離層)。
【0126】
結果は、第4表中に示されている。
【0127】
第4表.それぞれのプライマーP1〜P8上での2成分系の塗料(クロスカット試験)及び印刷インキ(Tesa試験)の付着性試験を、それぞれの未処理のパネル上及び比較プライマーV1上での該塗料/該印刷インキと比較した結果
【表5】

【0128】
それぞれのプラスチック上での2成分系のポリウレタン塗料の付着性は、プライマー層がないと不十分である。比較プライマーV1による前処理によって同じ結果が得られる。全ての場合において、付着は示されない(クロスカット試験GT5)。PE上では、付着性は、本発明によるプライマーP1〜P8による前処理によって、プライマーから室温で溶剤を除去した場合に改善された。
【0129】
しかし本発明によるプライマーP1〜P8は、より高温で溶剤を除去した場合に、PE上での2成分系塗料の明らかに改善された付着性結果が得られる。
【0130】
PP上では、本発明によるプライマーP1〜P8は、該塗料の付着性を格別改善する。しかしながら、傾向としては、ここでも、より高められた温度で溶剤を蒸発させることで付着特性を改善できることがはっきりしている。
【0131】
それぞれのプラスチック上での印刷インキの付着性は、プライマー層がないと同様に不十分である(Tesa試験6)。PEのV1での前処理により、室温での溶剤の5分間の蒸発後になんら改善が示されない。それに対して、プライマーの強制的な乾燥後に改善が見られる。PP上では、V1による前処理によって改善が見られる。
【0132】
本発明によるプライマーから室温で溶剤を除去した場合に、PEの場合には、それぞれのプライマー上で印刷インキの改善された付着特性が得られる。それぞれのプライマーの100℃での強制的な乾燥によって、こうして前処理されたPEパネル上での印刷インキの非常に良好な付着特性が見出される。PPの場合に、その付着性は、溶剤の蒸発の間の温度とは無関係に、優れた状態にある。
【0133】
ここでも実施例P4〜P6は、P1と比較して大きな差異を示さない。従って、使用される溶剤(成分C))の影響は小さい。
【0134】
プライマーP1を、上記のようにTreofan NNA40(PPシート)上に適用した。しかしながら、印刷インキは、プライマー適用の3ヶ月もしくは6ヶ月の後に初めて施与した。付着特性の試験により、印刷インキの適用直後の試験と比較して差異は示されなかった。従って、付着改善作用は、長期間にわたっても一定に保たれることが立証される(第5表を参照)。
【0135】
第5表.Treofan NNA40上のプライマーP1に対する、プライマーを適用した2分後と、3ヶ月もしくは6ヶ月後の印刷インキの付着試験(しわ試験、Tesa試験)の結果
【表6】

【0136】
プライマーP1を、上記のようにTreofan NNA40(PPシート)上に適用した。印刷インキを、プライマー適用の2分後に施与した。該シートを、60℃もしくは80℃で1時間貯蔵した。室温で1時間待機した後に、Tesa試験としわ試験を実施した。それらの値は、第3−1表に示される値に相応する。その試験をV1で繰り返した。ここで、印刷インキの付着性は明らかにより低い。それにより、付着性が本発明による組成物によって高温でも維持され続けることが立証される(第6表)。
【0137】
第6表.Treofan NNA40上のプライマーP1及びV1に対する、60℃もしくは80℃での貯蔵後の印刷インキの付着試験(しわ試験、Tesa試験)の結果
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機的に結合された塩素を含まないシラン基を有する組成物であって、主に
A)シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有する少なくとも1種のポリ−α−オレフィン1〜98質量%と、
B)少なくとも1種のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物1〜98質量%と、
C)少なくとも1種の溶剤1〜98質量%と、場合により
D)少なくとも1種の助剤又は添加剤97質量%まで
を含有し、その際、成分A)〜D)の質量表記の合計が100質量%である組成物。
【請求項2】
請求項1記載のシラン基を有する組成物であって、成分A)の製造のために、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ−1−ブテン及び/又は以下のモノマー組成:
4〜20個の炭素原子を有する1種以上のα−オレフィン0〜95質量%、有利には3〜95質量%と、
プロペン5〜100質量%、有利には5〜97質量%と、
エテン0〜50質量%、有利には0〜20質量%
を有するコポリマー及び/又はターポリマーを使用することを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシラン基を有する組成物であって、成分A)の4〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、3−メチル−1−ブテン、メチルペンテン、例えば4−メチル−1−ペンテン、メチルヘキセン又はメチルヘプテンを、単独で又は混合物において使用することを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分A)の製造のためにグラフト化されるべきシランとして、ケイ素と直接的に結合された3個のアルコキシ基を有するシランを使用することを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、3−メタクリルオキシ−プロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン及びビニルメチルジブトキシシランを単独で又は混合物において使用することを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、シランを、ポリオレフィンに対して、0.1〜10質量%の量で、有利には0.5〜5質量%の量で使用することを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の、成分A)として、シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有する少なくとも1種のポリ−α−オレフィンが使用されることを特徴とするシラン基を有する組成物であって、
・ 質量平均分子量 2000〜250000g/モル、有利には3000〜150000g/モル、特に有利には3000〜125000g/モル、
・ 多分散性PD 2.0〜40、有利には2.5〜20、特に有利には2.5〜15、
・ ガラス転移温度Tg −80〜0℃、有利には−60〜0℃、特に有利には−55〜−10℃、
・ 溶融エンタルピー 0〜80J/gの範囲、有利には1〜60J/gの範囲、特に有利には1〜40J/gの範囲、並びに
・ 非極性溶剤中で十分な可溶性及び/又は膨潤可能性
を特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分A)として、グラフト化された十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まない少なくとも1種のポリ−α−オレフィンを、1〜98質量%の量で、有利には1〜49質量%の量で、特に有利には1〜40質量%の量で使用することを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、ケトン樹脂及び/又はケトン−アルデヒド樹脂(成分B))の製造のために、C−H酸性ケトンを使用することを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、ケトン−アルデヒド樹脂(成分B))の製造のために、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、ヘプタノン−2、ペンタノン−3、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロドデカノン、2,2,4−トリメチルシクロペンタノンと2,4,4−トリメチルシクロペンタノンとの混合物、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロヘキサノン、4−t−アミルシクロヘキサノン、2−s−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンから選択されるケトンを、出発化合物として単独で又は混合物において、有利にはアセトフェノン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン及びヘプタノンから選択されるケトンを単独で又は混合物において使用することを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、ケトン樹脂(成分B))の製造のために、シクロヘキサノンを使用することを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、ケトン−アルデヒド樹脂(成分B))の製造のために、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド及び/又はイソ−ブチルアルデヒド、バレリアンアルデヒド、ドデカナールから選択されるアルデヒドを単独で又は混合物において使用することを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、ケトン−アルデヒド樹脂(成分B))の製造のためのアルデヒド成分として、ホルムアルデヒド及び/又はパラホルムアルデヒド及び/又はトリオキサンを使用することを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、アセトフェノン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、ヘプタノンの単独又は混合物とホルムアルデヒドとからなる樹脂を使用することを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、請求項9〜14に記載される樹脂であってその製造後に水素化された樹脂を使用することを特徴とする組成物。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、アセトフェノン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、ヘプタノンの単独又は混合物とホルムアルデヒドとからなる樹脂の水素化された反応生成物を使用することを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、一般式(i)
【化1】

[式中、Xは、酸素又は硫黄であり、Aは、アルキレン基を意味し、そしてnは、0〜3を表す]で示される尿素と一緒に、1.9(n+1)から2.2(n+1)モルの一般式(ii)
【化2】

[式中、R1及びR2は、それぞれ20個までの炭素原子を有する炭化水素基を表す]で示されるアルデヒド及び/又はホルムアルデヒドを使用した尿素−アルデヒド樹脂を使用することを特徴とする組成物。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、尿素、チオ尿素、メチレン二尿素、エチレン二尿素、テトラメチレン二尿素及び/又はヘキサメチレン二尿素又はそれらの混合物を使用して製造された尿素−アルデヒド樹脂を使用することを特徴とする組成物。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、イソブチルアルデヒド、ホルムアルデヒド、2−メチルペンタナール、2−エチルヘキサナール及び2−フェニルプロパナール又はそれらの混合物を使用して製造された尿素−アルデヒド樹脂を使用することを特徴とする組成物。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、尿素、イソブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドを使用して製造された尿素−アルデヒド樹脂を使用することを特徴とする組成物。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか1項記載の、成分B)として少なくとも1種のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂、尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物が使用されることを特徴とするシラン基を有する組成物であって、
・ ヒドロキシル価 0〜450mgKOH/g、有利には0〜375mgKOH/g、特に有利には0〜350mgKOH/g、
・ ガードナーによる色数(酢酸エチル中50質量%) 0〜5、有利には0〜3.0、特に有利には0〜2.0、
・ 樹脂の熱負荷(24時間、150℃)後のガードナーによる色数(酢酸エチル中50質量%) 0〜10.0、有利には0〜7.5、特に有利には0〜5.0、
・ 数平均分子量Mn 300〜10000g/モル、有利には400〜5000g/モル、特に有利には400〜3000g/モル、
・ 多分散性(Mw/Mn) 1.25〜4.0、特に有利には1.3〜3.5、
・ 融点/溶融範囲 20〜180℃、有利には30〜140℃、特に有利には40〜130℃、
・ 非極性有機溶剤中での可溶性
を特徴とする組成物。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分B)として、少なくとも1種のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂、尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物を、1〜98質量%の量で、有利には1〜49質量%の量で、特に有利には1〜40質量%の量で使用することを特徴とする組成物。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、有機溶剤を成分C)として使用することを特徴とする組成物。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、キシレン、トルエン、ベンゼン、クレゾール、ナフタリン、テトラヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、ヘキサン、ヘプタン、(メチル)シクロヘキサン、クリスタルオイル、特殊ベンジン及び石油溶剤、テルペンチン、パラフィンから選択される芳香族、脂肪族及び/又は脂環式の溶剤を単独で又は混合物において成分C)として使用することを特徴とする組成物。
【請求項25】
請求項1から24までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分C)が、該組成物中に、1〜98質量%の量で、有利には2〜98質量%の量で、特に有利には20〜98質量%の量で含まれていることを特徴とする組成物。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分D)として助剤及び添加剤を使用することを特徴とする組成物。
【請求項27】
請求項1から26までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、成分D)として、抑制剤、他の有機溶剤、水、捕水物質、界面活性物質、脱泡剤、脱ガス剤、潤滑剤及び均展剤、基体湿潤剤、耐ブロッキング剤、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光保護剤、漂白剤、光増感剤及び光開始剤、レオロジー特性に影響を及ぼす添加剤(チキソトロピー剤及び/又は増粘剤)、皮張り防止剤、帯電防止剤、湿潤剤及び分散剤、架橋剤(ブロックされた又はブロックされていない(ポリ)イソシアネート)、保存剤(殺真菌剤及び/又は殺生剤)、熱可塑性添加剤、可塑剤、艶消し剤、難燃剤、(内部)離型剤、発泡剤、染料、顔料、充填剤、グラフト化されていない易加水分解可能なシラン、例えばヘキサデシルトリメトキシシラン又はヘキサデシルトリエトキシシラン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、カゼイン、セルロースエーテル、セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールの誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ゴム、天然樹脂、炭化水素樹脂(クマロン樹脂、インデン樹脂、シクロペンタジエン樹脂)、テルペン樹脂、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、フェノール/尿素−アルデヒド樹脂、アミノプラスト(例えばメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、エポキシアクリレート、エポキシ樹脂、ケイ酸エステル及びアルカリケイ酸塩(例えば水ガラス)、シリコーン樹脂、フッ素含有ポリマーから選択される助剤及び添加剤を、単独で又は混合物において使用することを特徴とする組成物。
【請求項28】
請求項1から27までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物であって、迅速な初期乾燥及び高い耐ブロッキング性を特徴とする組成物。
【請求項29】
請求項1から28までのいずれか1項記載の、主に
A)シラングラフトされた十分に非晶質のポリ−α−オレフィンであって有機的に結合された塩素を含まず、かつ溶融エンタルピーを0〜80J/gの範囲で有する少なくとも1種のポリ−α−オレフィン1〜98質量%と、
B)少なくとも1種のケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂及び/又は尿素/アルデヒド樹脂及び/又はそれらの水素化された反応生成物1〜98質量%と、
C)少なくとも1種の溶剤1〜98質量%と、場合により
D)少なくとも1種の助剤又は添加剤97質量%まで
を含有し、その際、成分A)〜D)の質量表記の合計が100質量%であるシラン基を有する組成物の製造方法において、成分A)〜D)を、+20〜+80℃の温度で、場合により不活性ガス雰囲気中で及び水の排除下で撹拌及び/又は分散によって激しく混合し、均質化させることによって、その際、成分C)が装入されて、そして成分A)、B)及び場合によりD)が添加される製造方法。
【請求項30】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物を、プラスチック上での付着性の改善のためのプライマー組成物として用いる使用。
【請求項31】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物を、前処理されていないプラスチック上での付着性の改善のためのプライマー組成物として用いる使用。
【請求項32】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物を、表面張力40mN/m2未満、有利には38mN/m2未満、特に有利には34mN/m2未満を有する前処理されていない低エネルギーなプラスチック上での付着性の改善のためのプライマー組成物として用いる使用。
【請求項33】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物を、ポリプロピレン(PP)、変性ポリプロピレン、例えばポリプロピレン−エチレン−コポリマー(ブロックコポリマー又はランダムコポリマー)、ポリ−1−ブテン、ポリエチレン(PE)、変性PE、混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンのブレンド(PP/EPDM)であってEPDM含有率の低いもの、PP/PEのブレンド、ゴム(天然ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、EPM、EPDM、NBR、SBR、SBS、BR)、ポリ塩化ビニル並びに特殊なポリエステルから選択される、前処理されていない低エネルギーなプラスチック上での付着性の改善のためのプライマー組成物として用いる使用。
【請求項34】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物を、ガラス、木材、紙類、あらゆる種類の板紙、繊維板、金属(例えば鉄、鋼、特殊鋼、アルミニウム、真鍮、銅)、セラミック又はコンクリート上での付着性の改善のためのプライマー組成物として用いる使用。
【請求項35】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、選択的に、前処理をプラスチックの製造直後にプラスチック製造業者によって(オフライン)行うか、又は被覆剤の適用直前に(インライン)行うことを特徴とする使用。
【請求項36】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、該組成物を、(静電的)噴霧法、吹き付け法、スピンコート、キャストコーティング、浸し塗り、ドラム塗布、フローコーティング、ローラコーティング、ブレード塗布、ウォッシュ塗布、印刷、ロールコーティング、塗被、押出でプラスチック基体上に適用することを特徴とする使用。
【請求項37】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、プライマー層上に、後続の接着剤、封止剤及び/又は被覆剤を適用することを特徴とする使用。
【請求項38】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、後続の層を、プライマー層上に直接的に"ウェット・オン・ウェット"で適用するか、又はプライマーから、まず室温又は高められた温度で揮発性成分を除去して、次いで後続の層を、その"ドライな"、すなわち溶剤不含のプライマー上に適用することを特徴とする使用。
【請求項39】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、揮発性成分を蒸発させた後のプライマー層の層厚が、0.01〜100μm、有利には0.1〜30μm、特に有利には0.2〜10μmであることを特徴とする使用。
【請求項40】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、後続の系として、溶剤含有の及び/又は水性の系及び/又は溶剤不含の系から選択される封止剤、接着剤及び被覆剤を使用することを特徴とする使用。
【請求項41】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物をプライマー組成物として用いる使用であって、後続の系として、放射線硬化可能な接着剤、封止剤、被覆剤及び/又は粉末塗料を使用することを特徴とする使用。
【請求項42】
請求項40又は41記載の使用であって、後続の系として、プライマーサーフェイサー、サーフェイサー、ベースコート及び/又はトップコート、印刷インキ、ボールペン用ペースト、インキ、仕上げ塗り、透明塗料、ラミネート剤、熱硬化性塗料、化粧品及び/又は封止剤及び絶縁材並びに接着剤を使用することを特徴とする使用。
【請求項43】
請求項1から28までのいずれか1項記載のシラン基を有する組成物を使用して製造された物品。

【公開番号】特開2008−69354(P2008−69354A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241462(P2007−241462)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】