説明

シリカ

本発明は、熱分解法シリカと−[O[Si(R2)]n−タイプの環状ポリシロキサン(この場合、RはC1〜C6アルキル基であり、かつnは3〜9である)との反応およびそれに続く得られたシラン化シリカの構造変性により得られる、熱分解により製造され構造変性されたシリカを提供する。本発明はさらに、熱分解により製造され構造変性されたシリカを含む接着剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ポリシロキサンでシラン化された、構造変性された(フュームド)熱分解法シリカを提供する。本発明はさらに、これらのシリカを含む接着剤を提供する。
【0002】
シラン化シリカは、先行技術により公知である。それらは、例えば、DE10239424A1またはDE102004010756A1に記載されている。
【0003】
オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状ポリシロキサンによる微粒子状酸化物の処理についても、先行技術により公知である(GB−A英国特許第887,257、GB−A932,753、US2,803,617A)。
【0004】
これまでに知られている方法は、環状ポリシロキサンが酸化物の表面に完全には結合しないという欠点がある。その上、先行技術に記載のシリカは、構造変性されていない。
【0005】
したがって、本発明の第一の目的は、環状ポリシロキサンによりシラン化されるときにシリル基が可能な限り完全にシリカの表面に結合する、構造変性されたシラン化シリカを提供することである。
【0006】
その上、記載のシラン化シリカは、さらに構造変性される。これらの構造変性されたシリカは、より効果的に接着剤に組み込むことができ、それにより、接着剤のレオロジー特性の改善に貢献するという、従来のシリカに優る利点を有している。
【0007】
したがって、本発明のさらなる技術的な目的は、接着剤の高粘度化を生じることなくレオロジー特性を改善するためにかなりの量を接着剤に組み込むことができ、その後も接着剤の加工性が維持される、構造変性され熱分解により製造されたシラン化シリカを提供することである。
【0008】
本発明の技術的な目的は、熱分解法シリカと−[O−Si(R2)]n−タイプの環状ポリシロキサン(この場合、RはC1〜C6アルキル基であり、nは3〜9である)との反応およびそれに続く得られたシラン化シリカの構造変性によって得られる、熱分解により製造され構造変性されたシリカにより達成される。
【0009】
好ましい一実施形態において、−[O−Si(R2n]−タイプの環状ポリシロキサンは、一般式のnが、3、4、または5であることを特徴とする。特に好ましくは、Rは、メチル基またはエチル基であり、nは、3、4、または5である。nが、3、4、または5であり、Rがメチル基であるポリシロキサンが、非常に好ましく使用される。非常に特に好ましいのは、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)の使用である。
【0010】
さらなる好ましい実施形態において、シラン化シリカの表面上のジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率は、100:0〜50:50であり、好ましくは100:0〜70:30である。
【0011】
表面改質は、シリカに対して、好ましい場合には、最初に水を噴霧し、続いて表面改質剤を噴霧することによって実施することができる。また、当該噴霧は、水と表面改質剤を、反対の順序で、または同時に噴霧してもよい。使用される水は、酸、例えば塩酸により、pH1〜6に酸性化してもよい。使用される水は、塩基、例えばアンモニアにより、pH8〜14にアルカリ化されていてもよい。二種以上の表面改質剤を使用する場合、それらは、別々に連続して適用してもよいし、あるいは混合物として同時に適用してもよい。
【0012】
表面改質剤または改質剤は、好適な溶媒中に溶解していてもよい。噴霧の終了後、混合を5〜30分以上続けてもよい。
【0013】
続く混合の終了後に、エージング期間を設けることも可能である。
【0014】
続いて、当該混合物は、20〜600℃の温度で、0.1〜6時間、加熱処理される。当該加熱処理は、例えば、窒素などの不活性ガス下で実施してもよい。
【0015】
または、当該温度処理は、複数の段階において、様々な温度で実施してもよい。表面改質剤または改質剤は、1流体ノズル、2流体ノズル、または超音波ノズルを使用して適用することができる。
【0016】
表面変性は、噴霧装置を備えた加熱可能なミキサーおよび乾燥機において、連続的に、またはバッチ式に実施できる。好適な装置としては、例えば、プラウシェアミキサー、プレート乾燥機、流動層乾燥機または流動床乾燥機などが挙げられる。
【0017】
シリカとして、全ての熱分解により製造された二酸化ケイ素を使用することが可能である。熱分解により製造された二酸化ケイ素(フュームドシリカ)は、Ullmann’s Encyklopaedie der technischen Chemie,4th edition,volume 21,page 462により公知である。好ましくは、第1表によるシリカは、非酸性化形態だけでなく、非酸性化されていない形態でも使用することができる。
【0018】
本発明のシリカにおけるジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率は、好ましくは100:0〜50:50、より好ましくは100:0〜70:30である。
【0019】
ジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率は、Si−29固体NMR分光法により特定する。
【0020】
ジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率の調整において重要なのは、疎水化工程中の温度条件である。
【0021】
200m2/gの親水性表面積を有する熱分解法シリカを350℃〜450℃の温度で処理することにより、シリカ表面上に100%のジメチルシリル基を有する生成物が得られる。温度を550℃〜600℃に上げた場合、モノメチルシリルの割合が、約30%増加する。したがって、ジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率は、70:30である。
【0022】
当該シリカは、出発物質として、蒸気あるいは加水分解作用および/または酸化作用を有するガスの存在下における気化状態のケイ素の揮発性化合物の熱分解によって得られる熱分解により製造されたシリカを使用して製造することができる。これらのシリカは、その表面に、好適な疎水化剤と反応する遊離OH基を有する。この処理は、その製造の直後に、流動層において、当該シリカにおけるジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率が100:0〜50:50、好ましくは100:0〜70:30になるまで実施され、依然として酸性である当該シリカを、事前に気化させた疎水化剤とできるだけ均一に混合し、流動層において、酸素不在下で、(適切であれば不活性ガスを含む)少量の蒸気と一緒に、連続操作において約200〜約800℃、好ましくは約400〜約600℃の温度で処理する。続いて、当該固体反応生成物を、適切であれば、非酸性化して乾燥する。その場合に、約200℃以下に冷却されるまで酸素との接触を避けるように考慮する。使用される疎水化剤は、非ハロゲン化された連鎖シロキサン、単環式メチル−ジメチル−シクロシロキサン混合物D3〜D9、好ましくはオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)である。
【0023】
ポリジメチルシクロシロキサンD3〜D9は、一般実験式−[(CH32SiO]n(ここで、nは3〜9であってもよい)の公知の化合物である。この名称は、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie (1982),volume 21,page 515、およびW.Noll,Chemie und Technologie der Silicone(1968),Verlag Chemie,page 237に記載されている。
【0024】
親水性の出発材料として、火炎加水分解によってSiCl4から熱分解により製造された、20〜400m2/g、好ましくは50〜380m2/gのBET表面積を有するシリカを使用することが好ましい。適切であれば、これらのシリカを、脱水工程において蒸気処理してもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)と混合されたシリカは、ビヒクル媒体と共に流動層に供給され、好ましくは静穏領域を通過させた後に、上部から連続的に取り出すことができる。さらに、当該処理は、内部加熱される流動層において実施してもよい。必要とされる熱は、蒸気の形態で、および/または熱不活性ガスとして部分的に供給してもよい。それ自体公知の方法において、当該蒸気および/または不活性ガスは、反応剤の空気輸送のために同時に使用してもよい。
【0026】
本発明の方法において疎水化された、熱分解により製造されたシリカ上のジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率は、疎水化処理中の温度条件によって制御することができる。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態において、当該温度は、500〜600℃の範囲で変更することができ、0.5時間±0.2時間の滞留時間が観測され得る。
【0028】
好ましく使用されるオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)疎水化剤は、蒸気の形態で供給してもよい。
【0029】
依然として付着している任意の塩酸および任意の過剰な疎水化剤は、下流の、戻された逆流流動層において、250〜350℃の温度、0.5時間±0.2時間の滞留時間で除去することができる。戻しとそれによる脱酸化流動床の充満量は、生成物排出弁の絞りによって達成される。静圧によって生じる流動床のドームと底部の間に生じる圧力差は、生成物排出弁の制御によって、流動床から排出される位置において20〜40mm水柱に維持され得る。
【0030】
本工程は、逆流工程として、または、より賢明には、並流工程によって実施され得る。流動床の寸法は、シリカおよび疎水化剤の流動化懸濁液が、連続的に上方に移動し、空間の頂部から、好ましくは静穏領域を通過した後に、連続的に流出できるような寸法であり得る。
【0031】
有利なことに、得られる生成物のジメチルシリル−モノメチルシリルの比率を選択的に設定することは、疎水化流動床における温度を変更することによって可能である。
【0032】
シリカ表面に化学的に結合していない余分な疎水化剤を、流動床の頂部において除去することが可能である。
【0033】
本方法では、連結して利用される装置において疎水化および脱酸を実施することも可能である。その場合、この装置は、疎水化が並流(内側のジャケット)において実施され、脱酸が逆流(外側のジャケット)において実施されるように設計され得る。
【0034】
本方法は、有利には、熱分解法酸化物の製造方法の直後に実施できる。本発明の連続する方法では、疎水化が、非酸性化されていない熱分解により製造されたシリカに対して実施される場合、ヒドロシリル化反応において、通常、触媒として使用される酸または塩基を添加する必要がない。
【0035】
シリカの製造方法をシリル化反応(疎水化)と直接連結することによって、酸性副産物の割合が非常に少ない生成物を得ることが可能である。例えばHClなどの酸性の副産物が形成されないため、Le Chatelier原理による、遊離シラノール基と非ハロゲン化シロキサンとの反応における制限も存在しない。このことによって、結果として得られる、より迅速で最適化された反応速度は、公知の方法とは対照的に、高表面積の熱分解により製造されたシリカの疎水化を可能にする。
【0036】
以下の第1表に、環状ポリシロキサンによるシラン化において出発物質として使用される熱分解法シリカの特性を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
続いて、このようにして製造されたシリカの構造変性を機械的作用によって実施する。適切であれば、構造変性の後に後粉砕を行ってもよい。適切であれば、構造変性および/または後粉砕の後に熱処理を行ってもよい。
【0039】
当該構造変性は、例えばボールミル、または連続稼動するボールミルを用いて実施してもよい。後粉砕は、例えば、エアジェットミル、歯付きディスクミル、またはピン付きディスクミルによって実施してもよい。熱処理は、例えば、乾燥オーブンにおいて、バッチ式で、あるいは、例えば、流動床もしくは流動化層において連続的に実施してもよい。加熱処理は、例えば窒素などの不活性ガス下で実施してもよい。
【0040】
好ましい一実施形態において、熱分解により製造され構造変性されたシリカは、以下:
DIN66131に従って測定されたBET比表面積[m2/g]:100〜300、好ましくは115〜290、非常に好ましくは125〜280m2/g
DIN ISO787/XI、JIS K 5101/18(未篩別)に従って測定されたタップ密度:110〜290、好ましくは120〜280、より好ましくは130〜270g/l
DIN ISO787/II、ASTM D280、JIS K 5101/21に従って測定された乾燥減量:0.01%〜2%、好ましくは0.05%〜1.5%、より好ましくは0.09%〜1.2%
pH:3〜7.5、好ましくは3.5〜6、より好ましくは3.5〜5.5
炭素含量:0.1%〜5%、好ましくは0.5%〜4%、より好ましくは1.0%〜3.0%
の物理化学特性を有する。
【0041】
環状ポリシロキサンによってシラン化され構造変性された、本発明の熱分解により製造され構造変性されたシリカは、特に、接着剤における使用において好適である。
【0042】
したがって、本発明は、さらに、本発明の構造変性されたシリカを含む接着剤を提供する。
【0043】
接着剤は、表面接着性および内部強度(凝集力)によって被着体を接着することができる非金属材料として定義される。先行技術においては、多数の様々な接着剤が公知であり、使用される接着剤の大多数は、有機化合物をベースとする組成を有する。本質的には、物理的に硬化する接着剤と化学的に硬化する接着剤に分けられる。物理的に接着する接着剤は、最終的な接着物質(多くの場合、ポリマーである)が、そのまま使用され、自然現象によって接着剤が固化するものである。
【0044】
したがって、例えば、ホットメルト接着剤、分散液型接着剤、有機溶媒を含有する湿性接着剤、およびコンタクト型接着剤が公知である。これらのタイプの接着剤のすべてに共通の特徴は、最初に、接着剤が加工可能な形態で適用され、次に、例えば、溶媒の蒸発または冷却の結果として固化が生じることである。
【0045】
化学的に硬化する接着剤の場合、個々の構築ブロックが適用され、続いて、個々構築ブロックの化学反応によって、新たな生成物が形成されて固化が生じる。反応性接着剤は、2成分系と1成分系に分けられる。2成分系の場合、接着剤は、別々の成分から適用され、化学反応により固化する。1成分系の接着剤の場合、接着剤は、周囲条件における変化(例えば、温度の上昇、空気の進入、蒸発、湿気、または大気中の酸素)の結果として、化学反応により硬化する。
【0046】
化学的に硬化する接着剤の群としては、例えば、シアノアクリレート接着剤、メチルメタクリレート接着剤、嫌気性硬化接着剤、放射線硬化性接着剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、シリコーン、シラン架橋ポリマー接着剤、ポリイミド接着剤、エポキシ樹脂接着剤、および、ポリウレタン接着剤が挙げられる。様々な接着剤の概要については、Ullmann’s Enzyklopaedie der Chemie,4th edition,volume 14,page 227 ff(1997)に見出され得る。
【0047】
または、接着剤における様々な添加剤の使用についても公知であり、中でも、例えば、効果的なチキソトロープ剤である熱分解法(フュームド)シリカが、エポキシ樹脂をベースとする接着剤において使用されている(Degussa Pigments brochure series(2001)Nos.27and54)。
【0048】
シラン化表面を有する熱分解により製造されシリカは、先行技術において公知である。EP0672731A1に、シラン化シリカについて記載されている。そこに記載のシリカも、構造変性されていない。
【0049】
そのようなシリカの使用に関連した欠点は、低濃度でしかそれらを使用することができないという点であり、さもなければ、十分な加工性を得ることができないほど、接着剤が高粘度化してしまう。このことは、接着剤において少量の熱分解法シリカしか使用することができず、したがって、所望のチキソトロピー効果が十分には得ることができないことを意味している。
【0050】
この欠点は、接着剤の特性、例えば、破砕強度、衝撃強度、耐スクラッチ性および耐磨耗性、収縮特性、熱膨張性、並びに熱安定性を改良するために、接着剤中への高濃度の充填を達成することが目的の場合に特に重要である。そのような状況では、接着剤が高粘度になり加工できなくなってしまうため、不十分量の熱分解法シリカしか添加できない。
【0051】
したがって、本発明が取り組むさらなる技術的問題は、接着剤の高粘度化を生じることなく、接着剤の加工性を維持しながら、レオロジー特性を改良するために、かなりの量の熱分解法シリカを組み込むことができる接着剤を提供することである。
【0052】
この技術的問題は、本発明による、熱分解により製造され構造変性されたシリカを含む接着剤によって解決される。
【0053】
シラン化シリカは、先行技術のDE10239424A1により公知であり、それらは、コーティング材料において、コーティング表面の耐スクラッチ性を改良するために使用されている。同様に、EP0672731A1は、シラン化熱分解法シリカについて開示しているが、それらのシリカは、構造変性されておらず、コーティング材料および樹脂の増粘剤として使用されている。
【0054】
驚いたことに、本発明による、熱分解により製造され構造変性されたシリカは、EP0672731A1に記載の先行技術とは対照的に、接着剤における高粘度化の原因とはならず、著しい増粘効果を生じることなく、かなりの量を接着剤に組み込むことができることが観察された。特に構造変性が、特定のシラン化基との組み合わせにおいて、この効果を得るための要因であることがわかっている。
【0055】
熱分解により製造されたシリカは、通常、四塩化ケイ素、水素、および酸素から、高温での加水分解よって製造される。本発明の接着剤には、高温加水分解によって製造された、第1表に示す物理化学データを有するシリカを使用している。この種類の熱分解法シリカは、例えば、DE10239424A1により公知である。熱分解法シリカは、Winnacker−Kuechler,Chemische Technologie,volume 3(1983),4th edition,page 77およびUllmann’s Enzyklopaedie der technischen Chemie,4th edition(1982),volume 21,page 462 ffにも記載されている。
【0056】
当該接着剤は、有利には、1質量%〜40質量%、好ましくは2質量%〜30質量%、より好ましくは4質量%〜10質量%の、熱分解により製造され構造変性されたシリカを含有する。
【0057】
好ましい一実施形態において、本発明の接着剤は、1質量%〜40質量%、好ましくは2質量%〜30質量%、より好ましくは4質量%〜10質量%の熱分解により製造され構造変性されたシリカを含有する。
【0058】
好ましい一実施形態において、当該接着剤は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、シラン末端ポリマー、ビニルエステル樹脂、アクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ブタジエンスチレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化炭化水素、ポリアミド、飽和ポリエステルおよびコポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂/レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリスルホン、あるいはそれらの混合物から成る群から選択される化合物をベースポリマーとして含む。
【0059】
好ましい一実施形態において、熱分解により製造され構造変性されたシリカは、エポキシ樹脂中に組み入れ、次いでこの樹脂を接着剤と混合してもよい。
【0060】
接着剤は、被着体への適用時点でのそれぞれの化学的組成および物理状態により、表面の濡れを可能にし、それらの接着部分において、被着体間での力の伝達に必要な接着層を形成する生成物である。シーラントと同様に、接着剤は、ベースポリマーに加えて、同様の成分、例えば、溶媒(例えば、ケトン)など、水、充填材(例えば、チョーク)、チキソトロープ剤(例えば、熱分解法シリカ)、接着促進剤(例えば、シラン)、カラーペースト(例えば、顔料グレードのカーボンブラック)、さらなる添加剤(例えば、触媒、老化抑制剤)を含む。
【0061】
シーラントと比較して、接着剤は、より高い引張剪断強度およびより低い伸張値を有する。換言すれば、接着剤は、硬性〜弾性であり、シーラントは弾性〜塑性である。
【0062】
エポキシ樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。エポキシ樹脂は、例えば、塩基性媒体中において2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとエピクロロヒドリンとを縮合させることによって製造される。採用される両方の等価物の同等物に応じて、様々なモル質量を有するグリシジルエーテルが生成する。近年、また、ビスフェノールFからのエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、並びに脂環式および複素環式エポキシ樹脂も、重要性を帯びてきた。
【0063】
エポキシ樹脂は、それ自身は塗膜形成要素が乏しいため、好適な架橋剤による分子拡大が必要である。エポキシ樹脂に使用される架橋剤の例としては、ポリアミン、ポリアミノアミド、カルボン酸無水物、およびジシアンジアミドが挙げられる。アミン硬化剤では、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、および芳香脂肪族ポリアミンに分けられる。硬化は、反応生成物の除去なしで実施される。それは、一般的に、水酸基の形成を伴う、反応性水素原子のエポキシ基への付加を含む。
【0064】
不飽和ポリエステル樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。それらは、不飽和および飽和のジカルボン酸またはポリカルボン酸とアルコールとの重縮合によって得られる。好適な反応条件では、二重結合が酸および/またはアルコール中に残っており、例えばスチレンなどの不飽和モノマーとの重合反応が可能である。好ましく使用される不飽和ジカルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
【0065】
好ましく使用される飽和ジカルボン酸としては、オルト−フタル酸およびオルト−無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸が挙げられる。
【0066】
好ましく使用されるグリコールとしては、プロピレン−1,2−グリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ジブロモネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0067】
好ましく使用される、架橋のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メタ−およびパラ−メチルスチレン、メチルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートが挙げられる。
【0068】
この列挙は、可能な出発物質の数を網羅してはいない。当業者であれば、原料状況に応じて、他の化合物も使用することができるであろう。さらに、ジシクロペンタジエンの付加は、一般的であり、その結果、樹脂の反応性が変更される。生成された「不飽和ポリエステル樹脂」は、そのままで、または反応性モノマーで希釈して使用することができる。反応性モノマーとしては、スチレン、スチルベン、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、ジアリルフタレート、および他の不飽和化合物が挙げられるが、ただし、それらが十分に低い粘度および不飽和ポリエステル樹脂との適切な混和性を有する場合に限る。
【0069】
ポリウレタン樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリウレタンは、イソシアン酸から誘導される。非常に反応性の高い化合物の場合、活性水素原子を有する化合物によって非常に容易に付加される。この反応過程において、窒素と炭素の間の二重結合が開裂し、活性水素が窒素に、並びに酸素結合基が炭素に結合できるようになり、ウレタン基が形成される。接着剤およびシーラント層に必要な種類の、より高分子量の架橋ポリウレタンを得るためには、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートなどのような少なくとも2つの官能基を有する出発生成物である反応相手、例えば、ポリマー部分を有するジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート(MDI)、またはトリレンジイソシアネート(TDI)とポリオールとの反応生成物、多価アルコール(ジオールまたはポリオール、分子中に2つ以上のヒドロキシル官能基を有する化合物)、を提供することが必要である。また、この種類のアルコールも、例えば、過剰の多価アルコールによって製造される飽和ポリエステルの形態で存在していてもよい。
【0070】
2成分反応性接着剤は、低分子量のポリイソシアネートおよび同様に比較的低分子量のポリエステルポリオール、例えばポリアルキレンポリアジペートで構成される。2つの成分を混合すると、接着剤または接着層中においてウレタン基が形成される。
【0071】
1成分反応性接着剤は、大気中の湿気と反応することによって硬化する比較的高分子質量のポリウレタンで構成される。原則として、この状況も、2つの相互反応化学成分の1種であるが、一方の物理的成分だけが、接着方法に供給される。湿気との反応では、単純な低分子量ポリイソシアネートは、強度値の低い、比較的硬くかつ脆い接着層を形成するため、1成分系は、プレポリマーとして知られる前架橋されたポリマーから開始される。これらの化合物は、比較的高分子量のポリオールと、化学量論的に過剰なイソシアネートとから製造される。このように、存在する化合物は、すでにウレタン結合を有しているが、さらに、湿気と反応しやすい反応イソシアネート基も有している。水との反応により尿素結合の形成が進行する。分解反応中に形成された第一級アミンは、ただちに、さらなるイソシアネート基と反応してポリ尿素を形成する。したがって、1成分系の場合、完全に硬化したポリマーはウレタン化合物だけでなく、尿素化合物も含有する。
【0072】
溶媒型ポリウレタン接着剤は、物理的に硬化する系としても化学的に反応する系としても利用することができる。物理的に硬化する系の場合、当該ポリマーは、高分子量ヒドロキシポリウレタンの形態を取り、使用される溶媒としては、例えば、メチルエチルケトンが挙げられる。化学的に反応する系は、架橋剤として、および第二成分として、追加的にヒドロキシポリウレタン、さらにはポリイソシアネートを含む。
【0073】
分散液型接着剤は、水中に分散させた高分子量ポリウレタンを含む。
【0074】
熱活性ポリウレタン接着剤の場合、イソシアネート成分は、比較的高温でしかイソシアネート成分を除去できない化合物に「キャップされた」または「ブロックされた」形態である。
【0075】
反応性ポリウレタンのホットメルト接着剤は、比較的高分子量の結晶性で可溶なジオールおよびイソシアネート成分を使用して製造される。これらの成分は、ホットメルト接着剤として、約70℃〜120℃の温度で被着体に適用される。冷却後、当該結着は、十分な初期強度を獲得し、それが、急速なさらなる処理を可能にする。続いて、依然として存在する反応性イソシアネート基のさらなる湿気への暴露の結果として、尿素結合を介して架橋が生じ、接着層ポリマーを形成する。
【0076】
シラン末端ポリマーが、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。
【0077】
「シラン末端ポリマー」または「シラン修飾ポリマー」なる用語は、少なくとも1つの加水分解可能な結合を有するシリル基を、鎖の末端またはペンダント状のいずれかに有し、ポリマー主鎖中にはシロキサンの典型であるシロキサン結合を含有しない、すべてのプレポリマーを包含する。
【0078】
一般的に、任意のシラン修飾ポリマーは、その化学構造に関係なく、複合体としての品質を有する、すなわち、硬化は、シリコーンの硬化と同様であり、他の特性は、シリル基間の様々な可能なポリマー主鎖によって形成されることが想定され得る。シラン末端ポリマーまたはシラン修飾ポリマーは、ポリウレタンとシリコーン間のそれらの構造によって分類することができる。
【0079】
シラン修飾ポリマーの合成は、多くの段階を包含する。初期基材は、二価または三価のポリオキシプロピレングリコールであり、これは、対応するビスアリル化合物に変換される。この化合物が反応して、所望される最終生成物であるビス(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ポリオキシプロピレンを形成する。
【0080】
これにより、シリル基が、シリコーン化学において公知の種類のメカニズムを介して、すなわち、少量の水またはメタノールの除去により、お互いに架橋した鎖に導入され、弾性かつ不溶性の網目構造が得られる。
【0081】
シリコーン修飾ポリマーをベースとするシーラントおよび接着剤を得るためのさらなる可能な方法として、例えば、NCO末端プレポリマーと、対応する反応性アミノシランまたはメルカプトシランとの反応が挙げられる。ポリマー主鎖は、すべての考えられる合理的な構造要素、例えば、エーテル架橋、エステル架橋、チオエーテル架橋、またはジスルフィド架橋などを含み得る。NH2−、SH−、もしくはOH−末端プレポリマーが、イソシアネートシランと反応し得るような逆の場合も考えられる。プレポリマーまたはシランのいずれかにおける末端メルカプト基の、C−C二重結合への付加は、技術的に興味のある方法を提供する。
【0082】
ビニルエステル樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。化学的には、ビニルエステル樹脂は、UP樹脂に対してある特定の関係性を有し、特に硬化反応に関する限りは、加工技術および適用分野に関係している。この場合、当該樹脂は、液体エポキシ樹脂およびアクリル酸の付加重合物である。分子鎖中のエステル基の還元の結果として、これらの樹脂は、有効な弾性および耐衝撃性と共に、より良好な耐加水分解性を有する。架橋のために使用されるモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂、特にスチレンのために使用されるモノマーと同じである。
【0083】
アクリレートは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。「アクリレート系接着剤」なる集合語は、硬化が、アクリル酸基の炭素−炭素二重結合を介して生じる反応性接着剤の全てを包含する。
【0084】
接着剤配合において特に重要なのは、メタクリル酸エステルおよびα−シアノアクリル酸エステルである。アクリレート接着剤の硬化は、その過程で開始剤によって接着剤の連続硬化につながる連鎖反応が引き起こされる付加重合によって達成される。「アクリレート」接着剤の重合は、フリーラジカルによって開始され得、あるいは、α−シアノアクリレートの場合、アニオンによって開始され得る。硬化に利用される重合メカニズムにより、アクリレート接着剤も、以下の群に細分される。
【0085】
アニオン硬化性接着剤:α−シアノアクリレートの1成分の接着剤、フリーラジカル硬化性接着剤:嫌気性1成分接着剤、フリーラジカル硬化性接着剤:2成分接着剤
ポリアクリル酸エステルもしくはアクリル酸エステルコポリマーおよびポリメタクリル酸エステルをベースとするシーラントの場合、溶剤型と水溶液型とに分けられる。ポリアクリレート封着剤は、溶媒または分散水の蒸発除去により物理的に硬化する。
【0086】
ポリ酢酸ビニルは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルの重合による生成物である。分子中に存在する強い極性のアセテート基のために、ポリ酢酸ビニルは、多くの被接着面に対して非常に良好な接着特性を有する。主に、約50%〜60%の固形分を有する分散液型接着剤として、場合によっては、(例えば、塩化ビニルとの)酢酸ビニルコポリマーをベースとする接着剤として使用される。
【0087】
ポリビニルアルコールは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。
【0088】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルおよび他の同様のポリエステルの加水分解の生成物として得られる。分子量に応じて、ポリビニルアルコールは、多少高い粘性を有する液体の形態を取る。それは、例えば、紙、段ボール、木などのセルロース系材料を接着するために、あるいは、例えば、分散液型接着剤の硬化速度を安定化し増加するための保護コロイドとして使用される。
【0089】
ポリビニルエーテルは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリビニルエーテルの中では、特に、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルの3つのポリマーが、接着剤のための基材として興味深い。
【0090】
中程度の重合度のポリビニルエーテルは、多孔質表面および平滑表面に対して非常に良好な接着特性を有する粘着性の可塑性樹脂である。ポリビニルメチルエーテルは、水可溶性を有するために、再び湿潤することが可能であり、したがって、例えば、デキストリンまたは動物膠との混合物として、ラベル用紙のゴムとして使用され、接着性の改善に寄与するという事実に対して特に注目に値する。さらに、その永久的な粘着性のために、ポリビニルエーテルは、感圧接着剤においても利用される。
【0091】
エチレン−酢酸ビニルは、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーであり、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。分子構造において、酢酸ビニル分子は、エチレン鎖中にランダムに組み込まれている。温度負荷において、酢酸の除去はポリ酢酸ビニルを比較的不安定にするが、一方、エチレンとのコポリマーは、酸化および熱分解の点においてかなり耐性が高い。この理由から、約40%の酢酸ビニル部分を有するEVAコポリマーは、ホットメルト接着剤の基材の重要な群に属する。
【0092】
エチレンアクリル酸コポリマーは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。それらは、エチレンとアクリル酸および/またはアクリル酸エステルとのコポリマーである。
【0093】
ポリエチレンの耐薬品性と酸および/またはエステル部分の良好な特性とを併せ持つこれらのコポリマーは、ホットメルト接着剤の重要なベースポリマーを代表する。使用されるエステル成分は、好ましくはアクリル酸エチルである。
【0094】
ポリビニルアセタールは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリビニルアセタールは、アルコールへのアルデヒドの作用により得られる。接着剤製造において最も重要なアセタールは、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラールである。両方とも、フェノール樹脂系接着剤の可塑化成分として機能する。そのうえ、ポリビニルブチラールは、ラミネートされた積層安全ガラスにおける接着膜としての用途が見出されている。
【0095】
ポリスチレンは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。当該モノマーは、可塑化モノマー、特に、スチレン−ブタジエン分散液の製造のためのブタジエンとのコポリマーとして、並びに、不飽和ポリエステルとの共重合のための「重合可能な」溶媒として、主にこの2つの分野において接着剤の基材の成分として使用されている。
【0096】
ポリ塩化ビニルは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。それらはとりわけ、プラスチゾル接着剤に、および溶媒型接着剤、分散液型接着剤、ヒートシール接着剤における塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーを得るための酢酸ビニルとのコポリマーとして、並びに高周波溶接補助剤として使用される。
【0097】
スチレンブタジエンゴムは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。スチレン−ブタジエンゴムは、熱可塑性エラストマーの典型例であり、エラストマーの塗布特性と熱可塑性樹脂の塗布特性を併せ持つ。スチレン−ブタジエンコポリマー(SBS)およびスチレン−イソプレンコポリマー(SIS)は、いわゆるトリブロックコポリマーと呼ばれるもので、個々のブロックにおいて、連続する同一のモノマー単位が直鎖状に構築されている。末端ブロックは、ポリスチレンセグメントであり、一方、中央ブロックは、ポリブタジエン(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、SBS)またはイソプレン(スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、SID)である。
【0098】
スチレン部分とブタジエン部分の比率またはスチレン部分とイソプレン部分の比率は、約1:3である。自身の弾性特性を可塑剤の添加に頼っている接着層ポリマーとは異なって、この場合、「内部可塑化」が達成される。これらのゴムコポリマーの利点は、特に良好な接着特性および高い柔軟性を有する接着層を形成する能力である。したがって、重要な用途は、接着接合された被着体が、例えば、履物において、またはゴム/ゴムもしくはゴム/金属接合に関して、強い変形応力を受ける実際の用途に使用される状況である。
【0099】
クロロプレンゴム(CR)は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。クロロプレンゴムは、クロロプレン(2−クロロブタジエン)の重合生成物および共重合生成物として得られる。直鎖状のマクロ分子は、良好な接着特性の他に、強い結晶化傾向を有し、接合層の一部において比較的高い強度に貢献している。これらのポリマーおよびコポリマーは、コンタクト型接着剤の重要な基材である。ポリクロロプレン分子内に存在する二重結合により、対応する反応性分子群とのさらなる架橋を実施することが可能である。このために使用される熱硬化性成分としては、イソシアネートおよびフェノール性樹脂が挙げられる。
【0100】
ニトリルゴム(NBR)は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ニトリルゴムは、約20%〜40%のアクリロニトリル部分を有するブタジエンのコポリマーである。高いアクリロニトリル分率が、これらのポリマーの有効な可塑剤耐性に寄与し、このことが、これらのポリマーを、例えば可塑化プラスチックの接着に対して、非常に好適にしている。
【0101】
ブチルゴムは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ブチルゴムは、主に、イソプレンを有するイソブチレンから構成されるコポリマーである。この直鎖状分子内には、さらなる架橋が不可能な飽和特性を有する鎖が、長いポリイソブチレンセグメントの形態で、高い割合で存在する。唯一の架橋性成分は、イソプレン分子であり、そのために、ブチルゴムの特性全体は、イソプレンによって予め決まる二重結合の数の割合で決定される。当該反応性は、さらに、塩素または臭素を含有するモノマーの組み込みによって影響され得る。
【0102】
ポリスルフィドは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリスルフィドシーラントの原料は、Thiokol(登録商標)という商品名で長年知られている。ポリスルフィドポリマーは、ジクロロエチルホルマールとナトリウムポリスルフィドとの反応によって得られる。当該液体ポリマーの分子量は、3000〜4000である。酸化剤、例えば、二酸化マンガンとの反応により、これらは、最終的にゴム弾性状態に変換することができる。
【0103】
ポリエチレンは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。2〜2000g/10分の範囲のメルトインデックスを有する低分子量タイプは、粘着付与樹脂およびミクロワックスと組み合わせて、紙および段ボール産業においてホットメルト接着剤として使用されている。
【0104】
ポリプロピレンは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリプロピレンは、中程度の強度特性を有するホットメルト接着剤用基材として、特に、アタクチックポリプロピレンの形態で使用されている。
【0105】
フッ素化炭化水素は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリフルオロエチレンプロピレンは、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーであり、ホットメルト接着剤の基材として研究されてきた。これらの生成物の利点は、長期の温度耐久性にある。
【0106】
ポリアミドは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリアミドは、物理的に硬化するホットメルト接着剤の最も重要な基材の幾つかを代表する。ポリアミドの製造に好適なのは、通常、窒素雰囲気下で溶融状態において実施される、以下に記載された反応の、ジカルボン酸によるジアミンの重縮合、アミノカルボン酸の重縮合、ラクタムからの重縮合、二量体化脂肪酸によるジアンミンの重縮合である。
【0107】
飽和ポリエステルおよび飽和コポリエステルは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。飽和ポリエステルおよび飽和コポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとの重縮合によって得られる。これらは、ホットメルト接着剤の重要な基材である。
【0108】
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。これらのポリマーは、フェノールとホルムアルデヒドとの間の重縮合反応によって得られ、高度に架橋されたフェノール樹脂を形成し、例えば航空機製造用接着剤の基材として使用される。純粋なフェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、一般的に非常に脆い。この理由から、これらは、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、エポキシ樹脂、あるいはエラストマー、例えば、ポリクロロプレンおよびニトリルゴムとの共重合または共縮合による熱可塑性ポリマーによって改質される。
【0109】
クレゾール−/レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ホルムアルデヒド縮合の出発モノマーとしてのフェノール以外に、クレゾールやレゾルシノールなどのフェノール誘導体も共反応剤として使用される。
【0110】
尿素ホルムアルデヒド樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。多くの窒素含有有機化合物は、アルデヒドと重縮合することができる。接着剤としての用途に対して、特に尿素およびメラミンが重要である。尿素ホルムアルデヒド樹脂において、一連の反応は、弱酸性溶液における付加反応の形態で開始される。ポリマー性接着層を形成する実際の重縮合反応により、結果として、エーテル架橋またはメチレン架橋のいずれかの形成を介して高度に架橋されたポリマーを生じる。
【0111】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。尿素と同様に、メラミンも、ホルムアルデヒドと反応してメチロール化合物を形成する。尿素反応の場合と同様に、これらの化合物との重縮合は、メチレン結合基またはメチレンエーテル結合基を介して進行しすぎるため、高分子量で高度に架橋された、硬質の、場合によっては脆い、接着層を形成することができない。
【0112】
ポリイミドは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリイミドの使用に関する実験は、有機系接着剤を、高温においても利用可能にするための関心から実施される。技術的に利用可能なポリイミドの製造は、四塩基酸の無水物、例えばピロメリト酸無水物と、芳香族ジアミン、例えばジアミノジフェニルオキシドとの反応によって達成される。接着剤としての使用は、溶液または膜の形態の前縮合物から開始して達成される。
【0113】
ポリベンゾイミダゾールは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。
【0114】
ポリベンゾイミダゾールも同様に、高耐熱性接着剤として分類される。それらは、芳香族テトラアミンからジカルボン酸との重縮合反応から得られる。
【0115】
ポリスルホンは、接着剤のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリスルホンも同様に、耐熱性接着剤の群に属する。それらは、例えば、ジヒドロキシジフェニルスルホンからビスフェノールAとの重縮合反応によって得られる。
【0116】
本発明の接着剤は、コーティングとして電気および電子産業においてコーティングとして使用される注型用材料において、好ましく使用される。
【0117】
記載のシリカは、本発明の接着剤中により急速に組み込むことができ、高濃度の充填にもかかわらず、接着剤の粘度および加工性において欠点が観察されないということは驚くべきことである。
【0118】
以下の実施例により、本発明を詳細に説明する。
【0119】
実施例
実施例1:シラン化シリカ1の製造
疎水性シリカ1(第1表からの、熱分解により製造されたシリカのAerosil200をベースとする)を、DE−B116378に従って、完全に連続的に製造する。
【0120】
熱分解法によって製造されたAerosil 200またはAerosil 300シリカは、同じユニットのインジェクターにおいて、先の脱酸処理および一時貯蔵なしで、オクタメチルシクロテトラシロキサン蒸気(D4)と十分に混合され、窒素により不活性化されている並流流動床に供給される。
【0121】
当該流動床において、500〜600℃の温度、滞留時間0.5時間で蒸気により処理することによって、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)が、Aerosilの表面に化学的に結合する。流動床の温度を変えることによって、表面のジメチルシリル基/モノメチルシリル基の比率を制御することが可能である。まだ付着している塩酸と余分なオクタメチルシクロテトラシロキサンは、下流の、戻された逆流流動床において、250〜350℃の温度(滞留時間は約0.5時間)で除去される。戻しとそれによる脱酸化流動床の充満量は、生成物排出弁の絞りによって達成される。熱分解法シリカの静圧の結果として流動床のドームと底部との間に生じる圧力差は、排出弁の自動調整により、流動床から排出される位置において20〜40mm水柱(WC)に維持される。ジメチルシリルとモノメチルシリルの比率は、両方の疎水性シリカに対して70:30である。
【0122】
実施例2:シラン化シリカ2の製造
当該方法は、実施例1と同様に、出発材料として第1表のAerosil 300を使用して実施する。しかしながら、当該製造方法では、疎水化流動床と脱酸化流動床の間に中間バンカーが設けられている。下記の第2表に、シリカ1およびシリカ2の製造のプロセスパラメータを示す。
【0123】
【表2】

【0124】
下記の第3表に、シラン化後かつ構造変性前のシリカの物理化学パラメータを示す。
【0125】
【表3】

【0126】
シリカ1およびシリカ2のメタノール湿潤度は、
シリカ1に対して40%〜>45%
シリカ2に対して35%〜>40%
である。
【0127】
実施例3:構造変性されたシラン化シリカの製造
シラン化シリカの構造変性は、連続稼働するボールミルにおける機械的作用により実施し、必要に応じて後粉砕を行う。粉砕後に、熱処理を実施してもよい。後粉砕は、エアジェットミル、歯付きディスクミル、またはピン付きディスクミルによって実施する。熱処理は、乾燥オーブンにおいてバッチ式で実施してもよく、あるいは流動床または流動層乾燥機において連続的に実施してもよい。下記の第4表に、第1表から使用された個々のシリカの反応条件を示す。第5表に、構造変性されたシラン化シリカの物理化学データを示す。
【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
実施例4:レオロジー特性
実施例4において、構造変性された使用される熱分解法シリカのレオロジー特性は、エポキシ樹脂のRenlam M1(Huntsman社)中において特定した。実施例2からの構造変性されていないシリカSL1およびSL2と、実施例3からの構造変性されたシリカSL1およびSL2のそれぞれの粘度について確認する。
【0131】
レオロジー特性の特定は、下記に記載の方法に従って実施する。
【0132】
167.5gのRenlam M−1と10gのシリカを、350mlピーカーに秤量し、ディソルバーディスクを完全に浸漬する。次いで、蓋を閉じて、完全に組み込むまで当該シリカをn1=1000rpmで均質化する。シリカが完全に組み込まれられたら、直ちに、速度をn2=3000rpmまで上げ、真空下で3分間、分散を実施する。粘度は、Brookfield DV IIIレオメーターを使用して測定する。粘度値は、室温25℃で得られた値である。測定は、2.5rpmでno.7スピンドルを使用して行う。
【0133】
第6表に結果を示す。
【0134】
【表6】

【0135】
この表から、比較例のシリカの添加により、エポキシ樹脂の粘度が著しく増加していることが明白である。これと比較して、構造変性されたシリカの添加では、エポキシ樹脂の粘度はわずかしか増加していない。当該実験は、高充填量でさえエポキシ樹脂のレオロジー特性は悪影響を受けず、当業者が先行技術から予想するであろう高粘度化も生じないことを示している。
【0136】
実施例5:ポリエステル接着剤樹脂への組み込み挙動
100gのPalatal A 410(Buefaポリエステル樹脂)を、350mlのビーカーに秤量し、水浴において25℃に調整する。当該ビーカーに、アルミニウム製のディソルバー取り付け台に設置する。当該スターラーを、ビーカー底面からt=10mmの目標レベルまで浸漬し、500min1の速度nで電源を入れる。3gのシリカを樹脂表面上に均一に投入し、ストップウォッチをスタートさせる。シリカが樹脂中に均質化するのに必要な時間を測定する。
【0137】
第7表に結果を示す。
【0138】
【表7】

【0139】
実施例5および6からの本発明のシリカは、Palatal A 410中に非常に急速に取り込まれ得る。対照的に、比較例は、完全に取り込むまでにかなり長い時間を必要とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解法シリカと−[O−Si(R2)]n−タイプの環状ポリシロキサン(この場合、RはC1〜C6アルキル基であり、nは3〜9である)との反応およびそれに続く得られたシラン化シリカの構造変性によって得られる、熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項2】
前記構造変性が粉砕によって達成される、請求項1に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項3】
前記構造変性が、ボールミルにおける粉砕によって達成される、請求項2に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項4】
以下の特性:
BET比表面積[m2/g]:110〜280
タップ密度[g/l]:110〜290
乾燥減量[%]:0.01〜2
強熱減量[%]:0.1〜4.0
pH:3〜7
炭素含有量[%]:0.5〜4
を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項5】
一般式−[O−Si(R2)]n−のnが3、4、または5である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項6】
Rが、メチル基またはエチル基であり、nが、3、4、または5である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項7】
ジメチルシリル基とモノメチルシリル基の比率が、100:0〜50:50、好ましくは100:0〜70:30である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の、熱分解により製造され構造変性されたシリカを含む接着剤。
【請求項9】
前記接着剤が、1質量%〜40質量%の熱分解により製造され構造変性されたシリカを含有する、請求項8に記載の接着剤。
【請求項10】
前記接着剤が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、シラン末端ポリマー、ビニルエステル樹脂、アクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化炭化水素、ポリアミド、飽和ポリエステルおよびコポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂/レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリスルホン、あるいはそれらの混合物から成る群から選択される化合物を前記接着剤のベースポリマーとして含む、請求項8から9までのいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項11】
熱分解により製造され構造変性されたシリカがエポキシ樹脂をベースとする注型用コンパウンド中に含まれ、該コンパウンドが接着剤に混合されている、請求項8から10までのいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項12】
さらに、溶媒、水、充填材、チキソトロープ剤、接着促進剤、カラーペースト、触媒、および/または老化抑制剤を含む、請求項8から11までのいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項13】
電気または電子産業におけるコーティングのための注型用コンパウンドとして使用される、請求項8から12までのいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項14】
シラン化された、請求項1から7までのいずれか1項に記載の熱分解により製造され構造変性されたシリカの、接着剤における使用。

【公表番号】特表2010−527881(P2010−527881A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508775(P2010−508775)
【出願日】平成20年5月6日(2008.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055551
【国際公開番号】WO2008/141921
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】