説明

シリンジ用外筒、シリンジ、シリンジ用外筒の射出成形用金型およびシリンジ用外筒の製造方法

【課題】 本発明は、キャビティとコアとの間の溶融樹脂の流れをコントロールして均質な樹脂成形品を得ることができるシリンジ用外筒の射出成形用金型及びシリンジ用外筒の製造方法および十分な強度を備えるシリンジ用外筒を提供するものである。
【解決手段】 本発明のシリンジ用外筒31は、基端部内面に設けられた環状溝部42cを備え、かつメルトインデックスが20以下の低流動性樹脂により形成されている。さらに、シリンジ用外筒31は、フランジ部39より所定長先端側となる外筒の側面に成形時の溶融樹脂注入ゲート位置44を備え、さらに、外筒31の内面には、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒31の内面位置から溝部42c,59もしくはリブ61,63まで延びる基端側テーパー部42bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ用外筒、シリンジ、シリンジ用外筒の射出成形用金型およびシリンジ用外筒の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリンジ用外筒を形成する場合、シリンジ用外筒の外面形状を形成するための外側金型(キャビティ)と、シリンジ用外筒の内面形状及び基端形状を成形するためのコアからなる射出成形用金型を用いて、これらの金型の間に溶融樹脂を注入する射出成形方法により行われている。
このような射出成形に使用される金型としては、特開平7−100862号公報(特許文献1)には、固定金型22と、この固定金型22に対して進退可能な可動金型23と、固定金型22に設けられ樹脂注入口26と連通するランナー27と、固定金型22に設けられ筒状成形品の外周壁を形成する周面部29および底壁を形成する端面部30有し、周面部と端面部との境界部にランナーと連通するゲート(樹脂注入口)32を有したキャビティ28と、可動金型に設けられ先端部がキャビティの内部に同心的に挿入されるとともに軸方向に進退自在なコア35と、このコア35を軸方向に進退させ、その先端面をキャビティ28の端面部に当接させる第1の位置と先端面をキャビティの端面部から離間させ筒状成形品の底壁空間を形成する第2の位置とに切り替える油圧シリンダ41とから構成したものが記載されている。このような金型を用いて射出成形することにより、注射器のように薄肉で細長い筒状成形品の偏肉を防止することができ、品質の高い成形品を得ることができる。
【0003】
しかしながら、上記金型を用いた射出成形においては、キャビティ28とコア35との間に溶融樹脂の流れを適切にコントロールできないため十分に均質な樹脂成形品を得ることができない。
また、最近では、予め薬剤が充填されたプレフィルドシリンジが使用されている。しかし、ニトログリセリンやシクロスポリンおよびベンゾジアゼピン系薬物などの脂溶性の高い多くの医薬品は各種医薬品容器中で含量低下をおこすことが報告されており、注射液と医療用具との相互作用が問題となっている。
そこで、シリンジ用外筒として、環状ポリオレフィンのような薬剤吸着性の低い樹脂が使用されるようになってきている。しかし、このような薬剤吸着性の低い樹脂は、溶融時における流動性が悪く、射出成形時の樹脂流動性の悪さに起因するウェルド、フローマークなどが形成されることがあった。
【特許文献1】特開平7−100862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、キャビティとコアとの間の溶融樹脂の流れをコントロールして均質な樹脂成形品を得ることができるシリンジ用外筒の射出成形用金型及びシリンジ用外筒の製造方法および十分な強度を備えるシリンジ用外筒、シリンジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは以下のものである。
(1) 先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備え、かつメルトインデックスが20以下の低流動性樹脂により形成されたシリンジ用外筒であって、該シリンジ用外筒は、前記フランジ部より所定長先端側となる外筒の側面に成形時の溶融樹脂注入ゲート位置を備え、さらに、該外筒の内面には、該溶融樹脂注入ゲート位置に対応する外筒の内面位置から溝部もしくはリブまで延びる外筒基端側テーパー部が形成されているシリンジ用外筒。
(2) 前記溝部もしくは前記リブは、環状溝部または環状リブである上記(1)に記載のシリンジ用外筒。
(3) 前記外筒基端側テーパー部より先端側かつガスケットの使用時の摺動領域の内面は、実質的にテーパーを持たないほぼ同一内径の円筒状となっている上記(1)または(2)に記載のシリンジ用外筒。
(4) 前記外筒基端側テーパー部は、基端に向かって拡径するテーパー部である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(5) 前記外筒基端側テーパー部は、基端に向かって縮径するテーパー部である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(6) 前記メルトインデックスが20以下の低流動性樹脂は、環状ポリオレフィンである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(7) 前記外筒基端側テーパー部の勾配の傾きは、前記外筒の中心軸に対して0.3〜2°となるように形成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
また、上記目的を達成するものは以下のものである。
(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とを備えることを特徴とするシリンジ。
【0006】
また、上記目的を達成するものは以下のものである。
(9) 先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられたリブもしくは溝部とを備えるシリンジ用外筒の射出成形用金型であって、該射出成形用金型は、前記外筒の外側形状を形成するための外側金型部と、該外側金型部内に挿入され、前記外筒の内側形状を形成するためのコアとを備え、前記外側金型部は、該外側金型部の前記フランジ部形成部より所定長先端側となる位置より、前記外側金型部と前記コア間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲートを備え、前記コアは、前記外側金型部内に挿入した状態において該溶融樹脂注入ゲートより基端側に位置しかつ前記フランジ部形成部より先端側に位置するリブもしくは溝部と、前記溶融樹脂注入ゲート付近から前記リブもしくは前記溝部まで延びるコア基端側テーパー部を備えていることを特徴とするシリンジ用外筒の射出成形用金型。
(10) 前記リブもしくは前記溝部は、環状リブもしくは環状溝部である上記(9)に記載のシリンジ用外筒の射出成形金型。
(11) 前記コアの前記基端側テーパー部より先端側は、実質的にテーパーを持たないほぼ同一外径となっている上記(9)または(10)に記載の射出成形用金型。
(12) 前記コア基端側テーパー部は、基端に向かって拡径するテーパー部である上記(9)ないし(11)のいずれかに記載のシリンジ用外筒の射出成形用金型。
(13) 前記コア基端側テーパー部は、基端に向かって縮径するテーパー部である上記(9)ないし(11)のいずれかに記載のシリンジ用外筒の射出成形用金型。
(14) 前記コア基端側テーパー部の勾配の傾きは、前記コアの軸に対して0.3〜2°となるように形成されている上記(9)ないし(13)のいずれかに記載のシリンジ用外筒の射出成形用金型。
【0007】
また、上記目的を達成するものは以下のものである。
(15) 先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備えるシリンジ用外筒の製造方法であって、該製造方法は、前記外筒の外側形状を形成するための外側金型部と、該外側金型部内に挿入され、前記外筒の内側形状を形成するためのコアとを備え、前記外側金型部は、前記外側金型部の前記フランジ部形成部より所定長先端側となる位置より、前記外側金型部と前記コア間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲートを備え、前記コアは、前記外側金型内に挿入した状態において前記フランジ部形成部より先端側に位置するリブもしくは溝部と、前記溶融樹脂注入ゲート付近から外筒の基端側に向かって前記リブもしくは前記溝部まで延びるコア基端側テーパー部を備えている射出成形用金を用いて、前記射出成形溶融樹脂注入ゲートより溶融樹脂を注入することにより形成するものであるシリンジ用外筒の製造方法。
(16) 前記コアの溝部もしくは前記リブは、環状溝部もしくは環状リブである上記(15)に記載のシリンジ用外筒の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシリンジ用外筒は、先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備え、かつメルトインデックスが20以下の低流動性樹脂により形成されたシリンジ用外筒であって、該シリンジ用外筒は、前記フランジ部より所定長先端側となる外筒の側面に成形時の溶融樹脂注入ゲート位置を備え、さらに、該外筒の内面には、該溶融樹脂注入ゲート位置に対応する外筒の内面位置から溝部もしくは前記リブまで延びる基端側テーパー部が形成されているシリンジ用外筒である。
このシリンジ用外筒によれば、上記のようなゲート位置および溶融樹脂注入ゲート位置に対応する外筒の内面位置から溝部もしくはリブまで延びる外筒基端側テーパー部を備えることにより、均一な肉厚の外筒となり十分な強度を備える。また、特に、シリンジ用外筒の内面に溝部を備えることにより、ガスケットの挿入も容易である。特に、プレフィルドシリンジに用いた場合に、真空打栓によるガスケットの挿入が容易である。
【0009】
また、本発明のシリンジ用外筒の射出成形用金型は、先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備えるシリンジ用外筒の射出成形用金型であって、該射出成形用金型は、前記外筒の外側形状を形成するための外側金型部と、該外側金型部内に挿入され、前記外筒の内側形状を形成するためのコアとを備え、前記外側金型部は、前記外側金型部の前記フランジ部形成部より所定長先端側となる位置より、前記外側金型部と前記コア間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲートを備え、前記コアは、前記外側金型内に挿入した状態において該溶融樹脂注入ゲートより基端側に位置しかつ前記フランジ部形成部より先端側に位置するリブもしくは溝部と、前記溶融樹脂注入ゲート付近から前記リブもしくは前記溝部まで延びるコア基端側テーパー部を備えているシリンジ用外筒の射出成形用金型である。
このため、本発明の金型によれば、溶融樹脂注入ゲートから注入された溶融樹脂の流れをコントロールすることができるため、均質な樹脂成形品を製造することができる。
【0010】
また、本発明のシリンジ用外筒の製造方法は、先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備えるシリンジ用外筒の製造方法であって、該製造方法は、前記外筒の外側形状を形成するための外側金型部と、該外側金型部内に挿入され、前記外筒の内側形状を形成するためのコアとを備え、前記外側金型部は、前記外側金型部の前記フランジ部形成部より所定長先端側となる位置より、前記外側金型部と前記コア間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲートを備え、前記コアは、前記外側金型内に挿入した状態において前記フランジ部形成部より先端側に位置するリブもしくは溝部と、前記溶融樹脂注入ゲート付近から外筒の基端側に向かって前記リブもしくは前記溝部まで延びるコア基端側テーパー部を備えている射出成形用金型を用いて、前記溶融樹脂注入ゲートより溶融樹脂を注入することにより形成するものである。
本発明の製造方法によれば、溶融樹脂注入ゲートから注入された溶融樹脂の流れを十分にコントロールすることができるため、均質なシリンジ用外筒を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例であるシリンジ用外筒の射出成形用金型およびシリンジ用外筒の製造方法、シリンジ用外筒およびシリンジについて添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例であるシリンジ用外筒の射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型部を破断し、コアを破断しない図)であり、図2は、図1に示す射出成形用金型の基端部付近の部分拡大図であり、図3から図5は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型部を破断し、コアを破断しない図)であり、図6は、本発明の実施例であるシリンジの正面図であり、図7は、図6に示すシリンジのシリンジ用外筒の断面図であり、図8は、図7に示すシリンジ用外筒の基端部付近の部分拡大図であり、図9から図11は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【0012】
最初に、本発明のシリンジ用外筒の射出成形用金型について説明する。
本発明のシリンジ用外筒の射出成形用金型1は、先端に設けられた液体排出口38cと、基端部外面に設けられたフランジ部39と、基端部内面に設けられた溝部42c,59もしくはリブ61,63とを備えるシリンジ用外筒31の射出成形用金型である。射出成形用金型1は、外筒31の外側形状を形成するための外側金型部2(言い換えれば、キャビティ)と、外側金型部2内に挿入され、外筒31の内側形状を形成するためのコア3とを備える。外側金型部2は、外側金型部2のフランジ部形成部9より所定長先端側となる位置より、外側金型部2とコア3間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲート5を備える。コア3は、外側金型2内に挿入した状態において溶融樹脂注入ゲート5より基端側に位置しかつフランジ部形成部9より先端側に位置するリブ13,53もしくは溝部55,57と、溶融樹脂注入ゲート5付近からリブ13,53もしくは溝部55,57まで延びるコア基端側テーパー部7を備えている。
【0013】
そして、図1および図2に示す実施例のシリンジ用外筒の射出成形用金型1では、コア基端側テーパー部7は、基端側拡径テーパー部となっている。つまり、コア基端側テーパー部7は、図2に示すように、脱型方向の勾配となっている。このような基端側拡径テーパー部7を設けることにより、溶融樹脂を注入した際に発生するコールドスラッグが流れる方向を規制することができる。また、拡径テーパー部を設けることにより、ヘジテーション(樹脂の滞留、安定しない流れ)を抑制して、ウェルド、フローマーク等の発生を防止できる。
射出成形用金型1は、図1,図2に示すように、外側金型部2、14と、コア3とを備えている。外側金型部内(具体的には、外側金型部2および外側金型部14内)にコア3を挿入することにより外側金型部2の内面とコア3の外面との間にはシリンジ用外筒成形物が成形される空隙10が形成される。
【0014】
外側金型部2は、図1に示すように、外筒本体部形成部4と、ノズル部形成部8と、フランジ部形成部9と、溶融樹脂注入ゲート5とを備えている。
ノズル部形成部8は、本体部形成部4の先端側に設けられ、先端に液体排出口を有するノズル部38の外面形状を形成する部分である。ノズル部形成部8は、本発明の実施例においては、先端側に向かってテーパー状に縮径するように形成され、先端部には、液体排出口38cの形成部8cが設けられ、基端部には、先端側から順にノズル部側係合部38aの形成部8aと、ノズル部側螺合部38bの形成部8bが設けられている。
【0015】
本体部形成部4は、上述したような外筒31の外筒本体部37の外面形状を形成する部分である。本体部形成部4は、図1に示す実施例では、先端部及び基端部を除いて略同一内径に形成されている。本体部形成部4の先端部の内径は、先端側に向かってテーパー状に縮径している。また、本発明の実施例の本体部形成部4には、溶融樹脂注入ゲート5が設けられている。本発明の実施例において、溶融樹脂注入ゲート5は、本体部形成部4の基端部に設けられている。溶融樹脂注入ゲート5が基端側部分に設けられていることにより、溶融樹脂注入ゲート5から射出される溶融樹脂の樹脂圧によりコア3が傾きにくくなる。また、溶融樹脂注入ゲート5は、溶融樹脂注入ゲート5から注入される樹脂が基端側拡径テーパー部7に直接当たるような位置に設けられていることが好ましい。具体的には、図1,図2に示す実施例に示すように、溶融樹脂注入ゲート5は、基端に向かって拡径するテーパー部(以下、「基端側拡径テーパー部」という)7が形成された部分の側面付近に設けられていることが好ましい。これにより、射出された溶融樹脂が基端側拡径テーパー部7に直接当たるので溶融樹脂の流れを適切にコントロールすることができる。
【0016】
言い換えると、溶融樹脂注入ゲート5から射出された溶融樹脂は基端側拡径テーパー部7に直接当たり基端側拡径テーパー部7に沿ってスムースに流れ滞留しにくくなるので、均質な樹脂成形品を成形することができる。また、本発明の実施例において、溶融樹脂注入ゲート5(及びランナー26)は、溶融樹脂が外側金型部の本体部形成部4の内面に対してほぼ垂直に射出されるような構成を有していることが好ましい。なお、本発明の実施例において、溶融樹脂注入ゲート5は、本体部形成部4の基端側部分に一つ設けられているが複数設けられていてもよい。
溶融樹脂注入ゲート5は、シリンジ用外筒31の外筒本体部(外筒胴体部)37の全長に対して本体部37の下から3〜25%、さらには3〜10%の長さに対応する位置に形成されていることが好ましい。
【0017】
フランジ部形成部9は、本体部形成部4の基端部に形成され上述したようなフランジ部39の外面形状を形成する部分となっている。
また、外側金型部2には、金型内のエアもしくはガスがスムースに抜けるようにエアベントを設けることが好ましい(図示せず)。また、外側金型部14は、フランジ部形成部12を備えている。フランジ部形成部12は、外筒31のフランジ部39の基端形状を形成する部分である。なお、外側金型部2と外側金型14は、一体に形成されてもよい。また、この例では、外側金型部14は、後述するコア3を挿通するための開口を備えている。
【0018】
コア3は、図1,図2に示すように、外筒本体部形成部6と、ノズル部形成部11と、フランジ部形成部12とを備えている。
ノズル部形成部11は、本体部形成部6の先端側に形成されノズル部38の内面形状を形成する部分である。
本体部形成部6は、外筒31の外筒本体部37の内面形状を形成する部分である。
本体部形成部6は、図1,図2に示すように、先端側から順に基端側に向かって形成された縮径部6aと、同一外径部6b、基端側拡径テーパー部7、リブ13,53もしくは溝部55,57とを備えている。
【0019】
縮径部6aは、外筒31の外筒本体部37の縮径部41の内面を形成する部分である。縮径部6aは、先端側に向かってテーパー状に縮径している。また、同一外径部6bは、外筒31の外筒本体部37の円筒部42の基端部を除く内面を形成するための部分である。同一外径部6bは、縮径部6aと連続して基端部付近まで形成されている。なお、同一外径部6bは、溶融樹脂注入ゲート位置に対応する位置の若干先端側の位置から先端側に向かって、なだらかに僅かに縮径するものであってもよい。
【0020】
基端側拡径テーパー部7は、図1,図2に示すように、本体部形成部6の溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置もしくはその付近から基端側に向けて形成されている。図1,図2に示すように、基端側拡径テーパー部7は、外側金型部2の溶融樹脂注入ゲート5(言い換えれば、溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置)もしくはこの位置より若干先端側の位置から基端側に向けて形成されており、リブ13,53もしくは溝部55,57まで延びている。本発明の実施例において、基端側拡径テーパー部7は、離型方向の勾配である。基端側拡径テーパー部7は、本体部形成部6の外径が基端側に向かって緩やかに拡径することにより形成されている。基端側拡径テーパー部7を有することにより、溶融樹脂注入ゲート5から注入される溶融樹脂は、基端側拡径テーパー部7からリブ13,53もしくは溝部55,57への移行時においてリブ13,53もしくは溝部55,57に急激に突き当たることがないため、流れが阻害されることがない。
【0021】
具体的には、基端側拡径テーパー部7が形成されることにより、溶融樹脂注入ゲート5付近からリブ13,53もしくは溝部55,57までは緩やかな勾配で結ばれるため、注入された溶融樹脂がリブ13,53もしくは溝部55,57に突き当たった際のショックを小さくすることができる。以上より、溶融樹脂注入ゲートから注入された溶融樹脂の流れを十分にコントロールすることができるため、均質なシリンジ用外筒を製造することができる。
また、溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置もしくはその付近から基端側に向けて基端側拡径テーパー部7が形成されていることにより、溶融樹脂を注入した際に発生するコールドスラッグが流れる方向を規制することができる。
【0022】
また、コア基端側テーパー部7は、シリンジ用外筒内面においてガスケット可動領域より基端側に形成されていることが好ましい。このような構成により、ガスケットが基端側に脱落しにくくなる。
また、コア基端側テーパー部7の軸方向の長さは、2〜10mmであることが好ましい。
また、本体部形成部6に設けられたリブ13は、本体部形成部6の円周上に形成された環状リブ13であることが好ましい。環状リブ13は、本発明の実施例においては、断面が台形状となっている。また、環状リブ13は、断面が略円形状もしくは略楕円形状であってもよい。また、コア3の環状リブ13より基端側は基端側に向かって拡径している。
【0023】
また、図3に示すように、コア3の本体部形成部6の外面には、環状リブ13の代わりに、複数のリブ53が設けられていてもよい。本発明の実施例においてリブ53は、円弧状のリブ53であり、本体部形成部6の外面に環状に配置されている。リブ53の断面形状は、環状リブ13と同様であることが好ましい。
コアの本体部形成部の基端部外面にリブを備えた金型を用いて作製したシリンジ用外筒の基端部内面には、後述するように溝部が形成される。このようにシリンジ用外筒31の基端部内面に溝部が形成されることにより、ガスケットの挿入、特に、真空打栓が容易となる。リブの形状としては、上述したものに限定されるものではなく、シリンジ外筒にガスケットが挿入容易な溝部形状を作製可能なものであればいかなる形状であってもよい。
【0024】
また、コア3の本体部形成部6には、図4に示すように、環状リブ13の代わりに溝部が形成されていてもよい。この実施例において溝部は、環状溝部55である。また、コアの本体部形成部の基端部内面には、図5に示すように、環状リブ13の代わりに複数の円弧状の溝部57が形成されていてもよい。本発明の実施例において円弧状の溝部57は、本体部形成部の外面に環状に配置されている。溝部の断面形状は、台形状となっていることが好ましい。また、溝部の断面形状は、略半円形状もしくは略半楕円形状となっていてもよい。
コアの本体部形成部の外面に溝部を備えた金型を用いて作製したシリンジ用外筒の基端部内面には、リブが形成される。このようにシリンジ用外筒の基端部内面にリブが形成されることにより、ガスケット35の脱落が防止される。溝部の形状としては、上述したものに限定されるものではなく、シリンジ外筒内面にガスケットの脱落防止のためのリブを作製可能なものであればいかなる形状であってもよい。
【0025】
また、図1,図3に示すように、基端側拡径テーパー部7は、上述したリブ13,53と接触する部分の径がリブ13,53の最大径より小さくなっている。
基端側拡径テーパー部7を有することにより、溶融樹脂注入ゲート5から注入された溶融樹脂が基端側拡径テーパー部7に沿ってスムースに流れる。そして、リブ13,53もしくは溝部55,57により形成される縮径部分もしくは拡径部分において流れが阻害される現象が抑制される。
【0026】
そして、コア3の外筒本体部形成部6には、外側金型部2の溶融樹脂注入ゲート5より基端側にリブ13,53もしくは溝部55,57が設けられ、コア3の溶融樹脂注入ゲート5もしくはその付近からリブ13,53もしくは溝部55,57の先端側端部までが、上述したように基端側拡径テーパー部7となっている。また、溶融樹脂注入ゲート5は、外側金型部2の本体部形成部4の基端側部分に設けられ、リブ13,53もしくは溝部55,57は、溶融樹脂注入ゲート5の延長線上より基端側に設けられている。具体的に、コア3の外径は、溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置もしくはこの位置より若干先端側の位置からリブ13,53もしくは溝部55,57まで緩やかに拡径する。このような構成により、溶融樹脂注入ゲート5から注入された溶融樹脂の流れがコア3に設けられたリブ13,53もしくは溝部55,57により阻害されることがないため、ウェルド、フローマーク等の外観不良等の発生を防止することができる。
【0027】
脱型方向の基端側拡径テーパー部7の傾きθ1(同一外径部6bの延長線と基端側拡径テーパー部7間の角度)は、コア3の軸に対して0.3〜2°、特に、0.5〜1°となるように形成されていることが好ましい。溶融樹脂注入ゲート5と、リブ13,53もしくは溝部55,57との距離は、2〜10mm、特に、3〜6mmであることが好ましい。
さらに、コア3の本体部形成部6の同一外径部は、基端側拡径テーパー部より先端側に基端側拡径テーパー部より極めてなだらかな抜き勾配を有しているものであってもよい。例えば、1/1000〜5/1000程度である。尚、プレフィルドシリンジ用の外筒として用いる場合は、抜き勾配を設定しない(抜き勾配=0)ことが好ましい。
【0028】
そして、本発明のシリンジ用外筒の製造方法は、上述した外筒の射出成形用金型を用いて、外側金型部内にコアを挿入した状態にて、射出成形溶融樹脂注入ゲートより溶融樹脂を注入することにより行うことができる。そして、溶融樹脂の固化後に金型より、成形物である外筒が取り出される。
そして、本発明のシリンジ用外筒31は、先端に設けられた液体排出口38cと、基端部外面に設けられたフランジ部39と、基端部内面に設けられた溝部42c,59もしくはリブ61,63とを備え、かつメルトインデックスが20以下の低流動性樹脂により形成されている。さらに、シリンジ用外筒31は、フランジ部39より所定長先端側となる外筒の側面に成形時の溶融樹脂注入ゲート位置44を備え、さらに、外筒31の内面には、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒31の内面位置から溝部42c,59もしくはリブ61,63まで延びる基端側テーパー部42bが形成されている。
【0029】
そして、この実施例のシリンジ用外筒31では、基端側テーパー部は、基端側に向かって拡径するテーパー部(以下、「基端側拡径テーパー部」という)42bとなっている。さらに、外筒31の内面は、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒31の内面位置から先端側に向かって、基端側拡径テーパー部42bに比べてなだらかに僅かに縮径するテーパー部となっているものであってもよい。例えば、1/1000〜5/1000程度である。尚、プレフィルドシリンジ用の外筒として用いる場合は、抜き勾配を設定しない(抜き勾配=0)ことが好ましい。
具体的には、図6,図7に示すように、外筒31は、外筒本体部37と、外筒本体部37の先端部に設けられたノズル部38と、外筒本体部37の基端部に設けられたフランジ部39とを備える。ノズル部38は、その先端に液体排出口38cを備えている。
【0030】
外筒本体部37は、図6,図7に示すように、縮径部41と、円筒部42とを備えている。縮径部41は、外筒本体部37の先端部に設けられ先端側に向かってテーパー状に縮径している。また、円筒部42の内面には、先端から基端側部分付近まで設けられた同一内径部42aと、同一内径部42aの基端側でありゲート位置より基端側に設けられた基端側拡径テーパー部42bと、基端側拡径テーパー部42bの基端側に設けられた溝部42c,59もしくはリブ61,63とが設けられている。同一内径部42aは、円筒部42の基端部を除いた部分に設けられている。基端側拡径テーパー部42bは、同一内径部42aと連続して溝部42c,59もしくはリブ61,63まで緩やかに拡径することにより形成されている。環状溝部42cは、本発明の実施例では、基端側拡径テーパー部42bの基端側に基端側拡径テーパー部42bと連続して設けられている。溝部42c、59もしくはリブ61,63は、具体的に、円筒部42の内周面上に設けられている。
【0031】
溝部42cは、環状溝部である。溝部42cの断面形状は台形状である。また、溝部42cの断面形状は、略半円形状もしくは略半楕円形状であってもよい。シリンジ用外筒31に溝部が形成されていることにより、シリンジ用外筒31内にガスケット35を容易に挿入可能なものに、特に、真空打栓によりガスケット35を容易に挿入可能なものとなる。
【0032】
また、上述したような複数の円弧状のリブ53を備えるコアを用いてシリンジ用外筒を作製する場合、シリンジ用外筒の円筒部内面には、環状溝部42cの代わりに複数の円弧状の溝部59が形成される。円弧状の溝部59は、シリンジ用外筒の内面に環状に配置されている。溝部59の断面形状としては、溝部と同様であることが好ましい。また、上述したような環状溝部55を備えるコアを用いてシリンジ用外筒を作製する場合、シリンジ用外筒の円筒部内面には、環状溝部42cの代わりに環状リブ61が形成される。また、上述したような円弧状の複数の溝部57を備えるコアを用いてシリンジ用外筒を作製する場合、シリンジ用外筒の円筒部内面には、環状溝部42cの代わりに複数の円弧状のリブ63が形成される。円弧状のリブ63は、シリンジ用外筒の内面に環状に配置されている。リブ61,63の断面形状は、台形状であることが好ましい。また、リブ61,63の断面形状は、略半円形状もしくは略楕円形状であってもよい。
【0033】
基端側拡径テーパー部42bは、図8,図9,図10,図11に示すように、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒31の内面位置付近から環状溝部42c、円弧状溝部59、環状リブ61、円弧状リブ63まで延びている。基端側拡径テーパー部42bの傾きθ2(同一内径部42aの延長線と基端側拡径テーパー部42b間の角度)は、0.3〜2°、特に、0.5〜1°となるように形成されていることが好ましい。溶融樹脂注入ゲート位置44と溝部42c,59もしくはリブ61,63との間の距離は、2〜10mm、特に、3〜6mmであることが好ましい。
また、基端側拡径テーパー部42bが形成されている部分は、図8に示すように、同一内径部42aより若干肉厚部となっていることが好ましい。両者の肉厚差としては、0.01〜0.35mmが好ましい。
【0034】
ノズル部38は、図6,図7に示すように、外筒本体部37より小径の筒状部となっている。ノズル部38は、先端側に向かって縮径するテーパー部となっている。ノズル部38は、外筒31内の薬液等を排出するための開口を備えるとともに先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。また、本発明の実施例において、ノズル部38の基端部には、シールキャップ32が螺合するためのノズル部側螺合部38aが設けられている。また、ノズル部側螺合部38aの基端側には、シールキャップ32と係合するためのノズル部側係合部38bが設けられている。また、ノズル部38は、注射針を取り付け可能な形状となっていることが好ましい。
【0035】
また、フランジ部39は、図6,図7,図8に示す実施例において、外筒本体部37の基端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ部39は、図6,図7に示すように、幅広となった2つの把持部39a,39bを備え、さらに、把持部39a,39bの先端面側には、複数のリブが形成されている。また、図6,図7に示すように、フランジ部39の基端面は、周縁および外筒基端のリブ部分以外となる部分は凹部となっている。また、フランジ部39の内面形状は、基端側に向かって拡径している。
【0036】
外筒31の形成材料としては、薬剤吸着性、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料、また、耐γ性、耐オートクレーブ性など耐滅菌性に優れているものが好ましい。また、本発明の外筒31では、形成材料として、メルトインデックスが20以下の低流動性樹脂が用いられる。メルトインデックスは、一定温度および圧力でオリフィスから熱可塑性樹脂を押出し、押出された量を10分間当たりのグラム数に換算して表された数値である。このようなメルトインデックスを持ち、薬剤吸着性が少ない樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン、ポリプロピレンなどが好ましい。
本発明のシリンジ用外筒は、上述した構成を備えるため、低流動性樹脂により形成されていても均質な樹脂成形品であり、ウェルド、フローマーク等の外観不良もしくは偏肉を持たないものとなっている。
【0037】
そして、本発明のシリンジ30は、図6に示すように、本発明の実施例ではシリンジ用外筒31と、外筒31の先端部に取り付けられるシールキャップ32と、外筒31内部を液密に摺動可能なガスケット35と、ガスケット35に取り付けられるプランジャー36と、外筒31内部に収納された薬液40とを備えている。
シールキャップ32は、公知のものを用いることが好ましい。シールキャップ32は、シールキャップ本体33とシール部材34とからなる。
【0038】
シールキャップ本体33は、キャップ状に作製され、先端が開口している。キャップ本体33は、ノズル部38を収納する収納部と、外筒31に設けられたノズル部側螺合部38aと螺合するキャップ側螺合部と、外筒31に設けられたノズル部側係合部38bと係合するキャップ側係合部とを備えている。そして、先端開口部には、シール部材34とが配置されている。ノズル部38の先端開口がシール部材34に当接することによりノズル部38は液密に密封される。また、シール部材34は、通液針等により刺通可能な弾性材料により形成されている。シール部材34の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、SBSエラストマー、SEBSエラストマーなどのスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。なお、シールキャップとしては、このような通液針による刺通が可能なものに限定されるものではない。シールキャップ32の形成材料としては、外筒31と同様のものを使用することが好ましい。
【0039】
ガスケット35は、ほぼ同一外径に延びる本体部35aと、本体部35aに設けられた複数の環状リブ35bとを備えている。環状リブ35bは、外筒31の内面に液密に接触する。環状リブ35bは、この実施例では2つであるが、液密性と摺動性を満足するものであれば適宜数としてもよい。また、ガスケット35の先端部は、外筒31の先端内面に当接したときに、両者間に極力隙間が形成されないように、テーパー状に縮径している。
ガスケット35としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなど)により形成されている。
【0040】
そして、ガスケット35には、その後端部より内部に延びる凹部が設けられている。凹部は、雌ネジ部となっている。凹部は、プランジャー36の先端部に形成された雄ネジ部と螺合可能となっている。なお、プランジャー36は、組み立て段階では取り外しておき、使用時に取り付けるようにしてもよい。
プランジャー36は、本体部36aと、本体部36aの先端部に設けられた雄ねじ部とを備えている。本体部36aは、断面が十字状で軸方向に延びており、基端部には、押圧用の円盤部36bと、本体部36aの途中に設けられたリブ36cとを備えている。プランジャー36の形成材料としては、外筒31と同様のものを使用することが好ましい。
【0041】
シールキャップ32、ガスケット35、プランジャー36とは、上述した樹脂により射出成形により作製されることが好ましい。
薬液40としては、生理食塩水、高濃度塩化ナトリウム注射液、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質などの薬液、さらには、粉末状もしくは凍結乾燥薬剤が使用される。
これらを用いて、外筒31のノズル部38にシールキャップ32を取り付ける。そして、シールキャップ32を外筒31のノズル部38に取り付ける。そして、減圧条件下、シリンジ用外筒内に薬液40を充填してガスケット35を基端開口部から打栓する。その後、ガスケット35にプランジャー36を取り付け本発明のシリンジ30の製造が完了する。
【0042】
次に、本発明の他の実施例であるシリンジ用外筒の射出成形用金型およびシリンジ用外筒の製造方法、シリンジ用外筒およびシリンジについて添付図面を参照して説明する。
図12は、本発明の他の実施例であるシリンジ用外筒の射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)であり、図13は、図12に示すシ射出成形用金型の部分拡大図、図14から図16は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)、図17は、本発明の他の実施例であるシリンジの正面図であり、図18は、図17に示すシリンジのシリンジ用外筒の断面図であり、図19は、図18のシリンジ用外筒の断面図の基端部付近の部分拡大図であり、図20から図22は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の図である。
【0043】
この実施例のシリンジ用外筒の射出成形用金型15と上述した実施例のシリンジ用外筒の射出成形用金型1との相違は、コア16に形成された基端側テーパー部の形態のみである。上述の射出成形用金型1では、コア3は、溶融樹脂注入ゲート5付近からリブ13,53もしくは溝部55,57まで延びる基端側拡径テーパー部7を備えていたのに対し、この射出成形用金型15では、コア16は、溶融樹脂注入ゲート5付近から環状リブ13まで延びる基端に向かって縮径するテーパー部(以下、「基端側縮径テーパー部」という)25を備えている。つまり、この実施例の射出成形用金型15では、コア16は、いわゆるアンダーカット勾配を持っている。その他の基本構成は上記と同様であるため上記説明を参照して相違点を中心に説明する。上記構成と同様の部分については同じ符号を付すものとする。
【0044】
射出成形用金型15は、先端に設けられた液体排出口38cと、基端部外面に設けられたフランジ部39と、基端部内面に設けられた溝部42c,59もしくはリブ61,63とを備えるシリンジ用外筒46の射出成形用金型である。射出成形用金型15は、外筒46の外側形状を形成するための外側金型部2(言い換えれば、キャビティ)と、外側金型部2内に挿入され、外筒46の内側形状を形成するためのコア16とを備える。外側金型部2は、外側金型部2のフランジ部形成部9より所定長先端側となる位置より、外側金型部2とコア16間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲート5を備える。コア16は、外側金型2内に挿入した状態においてフランジ部形成部9より先端側に位置するリブ13,53もしくは溝部55,57と、溶融樹脂注入ゲート5付近からリブ13,53もしくは溝部55,57まで延びる基端側縮径テーパー部25を備えている。このため、本発明の射出成形用金型15によれば、溶融樹脂注入ゲート5から注入された溶融樹脂の流れをコントロールすることができるため、均質な樹脂成形品を製造することができる。
【0045】
また、本発明の実施例の射出成形用金型15のコア16の基端側縮径テーパー部25は、図12,図13に示すように、アンダーカット方向の勾配である。
射出成形用金型15は、図12,図13に示すように、外側金型部2と、コア16とを備えている。外側金型部2内にコア16を挿入することにより外側金型部2の内面とコア16の外面との間にはシリンジ用外筒成形物が成形される空隙17が形成される。
【0046】
この射出成形用金型15の外側金型部2は、図1に示すものと同様に、図12に示すように、外筒本体部形成部4と、ノズル部形成部8と、フランジ部形成部9と、溶融樹脂注入ゲート5とを備えている。筒状本体部形成部4、ノズル部形成部8、フランジ部形成部9、溶融樹脂注入ゲート5は、上述したとおりであるため、上記説明を参照する。外側金型部2は、上述した通りである。また、外側金型部14は、外筒のフランジ部の基端面を形成するものである。なお、外側金型部2と外側金型部14は、一体に形成されてもよい。また、この例では、外側金型部14は、後述するコア16を挿通するための開口を備えている。外側金型部2,14は、図1に示したものと同じである。外側金型部14は、フランジ部形成部12を備えている。フランジ部形成部12は、上述したとおりであるため上記説明を参照する。
【0047】
コア16は、図12,図13に示すように、外筒本体部形成部19と、ノズル部形成部11とを備えている。ノズル部形成部11は、上述したとおりであるため、上記説明を参照する。
本体部形成部19は、シリンジ用外筒46の外筒本体部47の内面形状を形成する部分である。
本体部形成部19は、図12,図13に示すように、先端側から順に基端側に向かって形成された縮径部6aと、同一外径部6b、基端側縮径テーパー部25、リブ13,53もしくは溝部55,57とを備えている。
【0048】
縮径部6aは、シリンジ用外筒46の外筒本体部47の縮径部41の内面を形成する部分である。縮径部6aは、先端側に向かってテーパー状に縮径している。また、同一外径部6bは、シリンジ用外筒46の外筒本体部47の円筒部48の基端部を除く内面を形成するための部分である。同一外径部6bは、縮径部6aと連続して基端部付近まで形成されている。なお、同一外径部6bは、溶融樹脂注入ゲート位置に対応する位置の若干先端側の位置から先端側に向かって、なだらかに僅かに縮径するものであってもよい。
【0049】
基端側縮径テーパー部25は、図12,図13に示すように、本体部形成部19の溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置もしくはその付近から基端側に向けて形成されている。具体的に、基端側縮径テーパー部25は、外側金型部2の溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置もしくはこの位置より若干先端側の位置から基端側に向けて形成されている。本発明の実施例の製造方法に用いられるコア16の基端側縮径テーパー部25は、アンダーカット方向の勾配である。このような構成により、射出された溶融樹脂がシリンジ用外筒の基端側(本発明の実施例ではフランジ部側)に先行して流れるので、樹脂圧力によりコアの傾きもしくはコアが傾くことによる筒状成形品の偏肉を緩和することができる。基端側縮径テーパー部25は、本体部形成部19の外径が基端側に向かって緩やかに縮径することにより形成されている。
【0050】
本発明のシリンジの製造方法によれば、溶融樹脂注入ゲート5から注入された溶融樹脂が基端側縮径テーパー部25に沿ってスムースに流れ、樹脂の流れが阻害されることがないため均質な樹脂成形品を製造することができる。具体的に、溶融樹脂注入ゲート5から注入された溶融樹脂は、基端側縮径テーパー部25に沿ってスムースにコア16の外周面に行き渡るため樹脂の流れが阻害されず、均質な樹脂成形品を成形することができる。また、溶融樹脂注入ゲート5の延長線上の位置もしくはその付近から基端側に向けて基端側縮径テーパー部25が形成されていることにより、溶融樹脂を注入した際に発生するコールドスラッグが流れる方向を規制することができる。
【0051】
また、コア16の外筒本体部形成部19の外面には、リブ13,53もしくは溝部55,57が設けられている。リブ13,53もしくは溝部55,57は、上述した通りである。リブ13は、本体部形成部19の外面に設けられた環状リブ13である。また、リブ53は、上述したように環状に配置された複数の円弧状リブである。リブ13,53は、本発明の実施例においては、断面が台形状となっている。また、リブ13,53は、断面が略半円形状もしくは略半楕円形状であってもよい。
溝部55は、本体部形成部19の外面に設けられた環状溝部であり、溝部57は、本体部形成部19の外面に環状に配置された複数の円弧状溝部である。溝部55,57の断面形状は台形状となっている。また、溝部55,57は、断面が略半楕円形状もしくは略半円形状であってもよい。また、コア16のリブ13,53もしくは溝部55,57より基端側は緩やかに拡径していることが好ましい。
【0052】
そして、コア16の外筒本体部形成部19には、上述のようにリブ13,53もしくは溝部55,57が設けられ、さらに、コア16の溶融樹脂注入ゲート5付近からリブ13,53もしくは溝部55,57まで基端側縮径テーパー部25が設けられている。また、溶融樹脂注入ゲート5は、外側金型部2の本体部形成部4の基端側部分に設けられ、リブ13,53もしくは溝部55,57は、溶融樹脂注入ゲート5直下付近より基端側に設けられている。具体的に、コア16の外径は、溶融樹脂注入ゲート5の直下より先端側からリブ13,53もしくは溝部55,57まで緩やかに拡径する。このような構成により、溶融樹脂注入ゲート5から注入された溶融樹脂の流れがコア16に設けられたリブ13,53もしくは溝部55,57により阻害されることがないため、ウェルド、フローマーク等の外観不良等の発生を防止することができる。
【0053】
離型方向の基端側縮径テーパー部25の傾きθ3(同一外径部6bの延長線と基端側縮径テーパー部25間の角度)は、0.3〜2°、特に、0.5〜1°となっていることが好ましい。溶融樹脂注入ゲート5と、リブ13,53もしくは溝部55,57との距離は、2〜10mm、特に、3〜6mmであることが好ましい。
また、コア16の本体部形成部19の同一外径部(基端側縮径テーパー部の先端)の外径は、2〜50mm、特に、5〜40mmであることが好ましい。また、コア16の本体部形成部19のリブ13,53もしくは溝部55,57の先端(リブ13,53もしくは溝部55,57と基端側縮径テーパー部25との交点部分)の外径は、2〜50mm、特に、5〜41mmであることが好ましい。リブ13,53もしくは溝部55,57の形成部の外径は、1.5〜51mm、特に、4.5〜41mmであることが好ましい。さらに、コア16の本体部形成部19の同一外径部は、基端側拡径テーパー部より先端側に基端側拡径テーパー部よりなだらかな抜き勾配を有しているものであってもよい。
【0054】
そして、本発明のシリンジ用外筒の製造方法は、上述した外筒の射出成形用金型を用いて、外側金型部内にコアを挿入した状態にて、射出成形溶融樹脂注入ゲートより溶融樹脂を注入することにより行うことができる。そして、溶融樹脂の固化後に金型より、成形物である外筒が取り出される。
そして、本発明のシリンジ用外筒46は、先端に設けられた液体排出口38cと、基端部外面に設けられたフランジ部39と、基端部内面に設けられた環状溝部42cとを備え、かつメルトインデックスが20以下の低流動性樹脂により形成されている。さらに、シリンジ用外筒46は、フランジ部39より所定長先端側となる外筒の側面に成形時の溶融樹脂注入ゲート位置44を備え、さらに、外筒46の内面には、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒46の内面位置から溝部42c,59もしくはリブ61,63まで延びる基端側テーパー部43が形成されている。
【0055】
そして、この実施例のシリンジ用外筒46では、基端側テーパー部は、基端側に向かって縮径するテーパー部(以下、「基端側縮径テーパー部」という)43となっている。さらに、外筒46の内面は、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒46の内面位置から先端側に向かって、基端側縮径テーパー部43に比べてなだらかに僅かに縮径するテーパー部となっているものであってもよい。
本発明のシリンジ用外筒46は、図17,図18に示すように、外筒本体部47と、外筒本体部47の先端側に設けられたノズル部38と、外筒本体部47の基端側に設けられたフランジ部39とを備えている。実施例のシリンジ用外筒46は、透明若しくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成されたシリンジ用外筒であることが好ましい。ノズル部38とフランジ部39は上述したとおりであるため上記説明を参照する。
【0056】
具体的には、図18,図19に示すように、外筒46は、外筒本体部47と、外筒本体部47の先端部に設けられたノズル部38と、外筒本体部47の基端部に設けられたフランジ部39とを備える。ノズル部38は、その先端に液体排出口38cを備えている。
【0057】
外筒本体部47は、図18,図19に示すように、縮径部41と、円筒部42とを備えている。縮径部41は、外筒本体部47の先端部に設けられ先端側に向かってテーパー状に縮径している。また、円筒部42の内面には、先端から基端側部分付近まで設けられた同一内径部42aと、同一内径部42aの基端側でありゲート位置より基端側に設けられた基端側縮径テーパー部43と、基端側縮径テーパー部43の基端側に設けられた溝部42c,59もしくはリブ61,63とが設けられている。同一内径部42aは、円筒部42の基端部を除いた部分に設けられている。基端側縮径テーパー部43は、同一内径部42aと連続して溝部42c,59もしくはリブ61,63まで緩やかに縮径することにより形成されている。環状溝部42c,59もしくはリブ61,63は、本発明の実施例では、基端側縮径テーパー部43の基端側に基端側縮径テーパー部43と連続して設けられている。溝部42c,59もしくはリブ61,63は、円筒部42の内周面上に設けられている。また、溝部42c,59もしくはリブ61,63は、シリンジ用外筒47内へのガスケット35の挿入を容易にする。
【0058】
基端側縮径テーパー部43は、図18,図19に示すように、溶融樹脂注入ゲート位置44に対応する外筒46の内面位置から溝部42c,59もしくはリブ61.63まで延びている。基端側縮径テーパー部43の傾きθ4(同一内径部42aの延長線と基端側縮径テーパー部43間の角度)は、0.3〜2°、特に、0.5〜1°となるように形成されていることが好ましい。溶融樹脂注入ゲート位置44と溝部42c,59もしくはリブ61,63との間の距離は、2〜10mm、特に、3〜6mmであることが好ましい。
【0059】
また、外筒46の本体部42の同一内径部42a(勾配の先端)の内径は、2〜50mm、特に、5〜40mmであることが好ましい。また、溝部42c,59もしくはリブ61,63の先端(溝部42c,59もしくはリブ61,63と基端側拡径テーパー部との交点部分)の内径は、2〜51mm、特に、5〜41mmであることが好ましい。また、溝部42c、59もしくはリブ61,63の内径は、1.5〜51mm、特に、4.5〜41mmであることが好ましい。また、基端側縮径テーパー部43形成されている部分は、図19に示すように、同一内径部42aより若干肉厚部となっていることが好ましい。両者の肉厚差としては、0.01〜0.35mmが好ましい。
【0060】
ノズル部38は、図17,図18に示すように、外筒本体部47より小径の筒状部となっている。ノズル部38は、先端側に向かって縮径するテーパー部となっている。ノズル部38は、外筒46内の薬液等を排出するための開口を備えるとともに先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。また、本発明の実施例において、ノズル部38の基端部には、シールキャップ32が螺合するためのノズル部側螺合部38aが設けられている。また、ノズル部側螺合部38aの基端側には、シールキャップ32と係合するためのノズル部側係合部38bが設けられている。また、ノズル部38は、注射針を取り付け可能な形状となっていることが好ましい。
【0061】
また、フランジ部39は、図17,図18に示す実施例において、外筒本体部47の基端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ部39は、図17,図18に示すように、幅広となった2つの把持部39a,39bを備え、さらに、把持部39a,39bの先端面側には、複数のリブが形成されている。また、図17,図18に示すように、フランジ部39の基端面は、周縁および外筒基端のリブ部分以外となる部分は凹部となっている。また、フランジ部39の内面形状は、基端側に向かって拡径している。外筒46の形成材料としては、上述したものが使用される。
本発明のシリンジ用外筒は、上述した構成を備えるため、低流動性樹脂により形成されていても均質な樹脂成形品であり、ウェルド、フローマーク等の外観不良もしくは偏肉を持たないものとなっている。
【0062】
そして、シリンジ用外筒46とともに、シールキャップ32と、ガスケット35と、プランジャー36と、薬液40とを準備する。そして、シリンジ用外筒46のノズル部38にシールキャップ32を取り付け、減圧条件下、シリンジ用外筒内に薬液40を充填してガスケット35を基端開口部から打栓して取り付け、ガスケット35にプランジャー36を取り付けることにより、本発明の実施例であるシリンジ45が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の実施例であるシリンジ用外筒の射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図2】図2は、図1に示す射出成形用金型の基端部付近の部分拡大図である。
【図3】図3は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図4】図4は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図5】図5は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図6】図6は、本発明の実施例であるシリンジの正面図である。
【図7】図7は、図6に示すシリンジのシリンジ用外筒の断面図である。
【図8】図8は、図7に示すシリンジ用外筒の基端部付近の部分拡大図である。
【図9】図9は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【図10】図10は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【図11】図11は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施例であるシリンジ用外筒の射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図13】図13は、図12に示す射出成形用金型の基端部付近の部分拡大図である。
【図14】図14は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図15】図15は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図16】図16は、他の実施例の射出成形用金型を説明するための射出成形用金型を部分的に破断した図(外側金型を破断し、コアを破断しない図)である。
【図17】図17は、本発明の実施例であるシリンジの正面図である。
【図18】図18は、図17に示すシリンジのシリンジ用外筒の断面図である。
【図19】図19は、図18に示すシリンジ用外筒の基端部付近の部分拡大図である。
【図20】図20は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【図21】図21は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【図22】図22は、他の実施例のシリンジ用外筒を説明するためのシリンジ用外筒の基端部付近の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 射出成形用金型
2 外側金型部
3 コア
4 外側金型部の外筒本体部形成部
5 溶融樹脂注入ゲート
6 コアの外筒本体部形成部
10 空隙
30 シリンジ
31 シリンジ用外筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備え、かつメルトインデックスが20以下の低流動性樹脂により形成されたシリンジ用外筒であって、該シリンジ用外筒は、前記フランジ部より所定長先端側となる外筒の側面に成形時の溶融樹脂注入ゲート位置を備え、さらに、該外筒の内面には、該溶融樹脂注入ゲート位置に対応する外筒の内面位置から溝部もしくはリブまで延びる外筒基端側テーパー部が形成されていることを特徴とするシリンジ用外筒。
【請求項2】
前記溝部もしくは前記リブは、環状溝部または環状リブである請求項1に記載のシリンジ用外筒。
【請求項3】
前記外筒基端側テーパー部より先端側かつガスケットの使用時の摺動領域の内面は、実質的にテーパーを持たないほぼ同一内径の円筒状となっている請求項1または2に記載のシリンジ用外筒。
【請求項4】
前記外筒基端側テーパー部は、基端に向かって拡径するテーパー部である請求項1ないし3のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
【請求項5】
前記外筒基端側テーパー部は、基端に向かって縮径するテーパー部である請求項1ないし3のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
【請求項6】
前記メルトインデックスが20以下の低流動性樹脂は、環状ポリオレフィンである請求項1ないし5のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
【請求項7】
前記外筒基端側テーパー部の勾配の傾きは、前記外筒の中心軸に対して0.3〜2°となるように形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とを備えることを特徴とするシリンジ。
【請求項9】
先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられたリブもしくは溝部とを備えるシリンジ用外筒の射出成形用金型であって、該射出成形用金型は、前記外筒の外側形状を形成するための外側金型部と、該外側金型部内に挿入され、前記外筒の内側形状を形成するためのコアとを備え、前記外側金型部は、該外側金型部の前記フランジ部形成部より所定長先端側となる位置より、前記外側金型部と前記コア間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲートを備え、前記コアは、前記外側金型部内に挿入した状態において該溶融樹脂注入ゲートより基端側に位置しかつ前記フランジ部形成部より先端側に位置するリブもしくは溝部と、前記溶融樹脂注入ゲート付近から前記リブもしくは前記溝部まで延びるコア基端側テーパー部を備えていることを特徴とするシリンジ用外筒の射出成形用金型。
【請求項10】
前記リブもしくは前記溝部は、環状リブもしくは環状溝部である請求項9に記載のシリンジ用外筒の射出成形金型。
【請求項11】
前記コアの前記基端側テーパー部より先端側は、実質的にテーパーを持たないほぼ同一外径となっている請求項9または10に記載の射出成形用金型。
【請求項12】
前記コア基端側テーパー部は、基端に向かって拡径するテーパー部である請求項9ないし11のいずれかに記載のシリンジ用外筒の射出成形用金型。
【請求項13】
前記コア基端側テーパー部は、基端に向かって縮径するテーパー部である請求項9ないし11のいずれかに記載のシリンジ用外筒の射出成形用金型。
【請求項14】
前記コア基端側テーパー部の勾配の傾きは、前記コアの軸に対して0.3〜2°となるように形成されている請求項9ないし13のいずれかに記載のシリンジ用外筒の射出成形用金型。
【請求項15】
先端に設けられた液体排出口と、基端部外面に設けられたフランジ部と、基端部内面に設けられた溝部もしくはリブとを備えるシリンジ用外筒の製造方法であって、該製造方法は、前記外筒の外側形状を形成するための外側金型部と、該外側金型部内に挿入され、前記外筒の内側形状を形成するためのコアとを備え、前記外側金型部は、前記外側金型部の前記フランジ部形成部より所定長先端側となる位置より、前記外側金型部と前記コア間の空隙に溶融樹脂を注入するための溶融樹脂注入ゲートを備え、前記コアは、前記外側金型内に挿入した状態において前記フランジ部形成部より先端側に位置するリブもしくは溝部と、前記溶融樹脂注入ゲート付近から外筒の基端側に向かって前記リブもしくは前記溝部まで延びるコア基端側テーパー部を備えている射出成形用金を用いて、前記射出成形溶融樹脂注入ゲートより溶融樹脂を注入することにより形成するものであることを特徴とするシリンジ用外筒の製造方法。
【請求項16】
前記コアの溝部もしくは前記リブは、環状溝部もしくは環状リブである請求項15に記載のシリンジ用外筒の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−271665(P2006−271665A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94724(P2005−94724)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】