説明

シルセスキオキサン樹脂の安定化

親水性抑制剤で安定させるフリーラジカル硬化性官能基を含有するシルセスキオキサン樹脂組成物について開示する。樹脂を安定させるのに、アスコルビン酸又はサリチル酸のようなフリーラジカルを捕捉する能力を有する親水性抑制剤を用いる。樹脂は反射防止塗膜、硬質マスク又はフォトレジスト層のような半導体形成において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月4日出願の米国仮特許出願第61/266,572号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
シルセスキオキサン樹脂及び他のシリコーン系樹脂は、電子産業及び他の産業における幅広い用途を有することを見出した。硬化を促進し、樹脂の特性を制御するため、樹脂は一般的には、アクリレート官能基、メタクリレート官能基、エポキシ官能基、等のような、いくつかのシラノール及び/又は熱硬化性若しくはUV硬化性官能基を含有する。電子産業では、末端顧客は輸送及び約3〜6か月間の保存のため、樹脂を周囲温度で保つことを好む。あいにく、それらの性質のため、これらの樹脂、とくにシラノール及び/又はフリーラジカル硬化性官能基を有する樹脂は、一般的には周囲温度で十分に安定ではない。これらの官能基を有する物質を安定させる1つの方法は、有機抑制剤、例えばtert−ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)を添加することによるものだった。しかしながら、シルセスキオキサン樹脂では、この有機抑制剤は、おそらく不均等分布のため、必ずしも機能するとは限らない。従って、他の抑制剤が望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、シラノール及び/又はフリーラジカル硬化性官能基を含有するシルセスキオキサン樹脂の安定化に関する。樹脂を安定させるのに、アスコルビン酸、サリチル酸又は無水マレイン酸のようなフリーラジカルを捕捉する能力を有する親水性抑制剤が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】半導体デバイス上のパターン化されたフォトレジスト層を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ビタミンC(L−アスコルビン酸)、D−アスコルビン酸、サリチル酸、及び無水マレイン酸のような親水性物質は、シルセスキオキサン樹脂溶液中に溶解される場合、安定化剤として機能することが見出された。理論に縛られることは望まないが、これらの抑制剤は、比較的親水性であり、シラノール基及び/又はフリーラジカル硬化性官能基によって強い水素結合を形成し、さらなるシラノール縮合を抑制できるため、効果的であると考えられる。さらに、シラノール基及び/又はフリーラジカル硬化性官能基を有する水素結合であるため、抑制剤は生成されたフリーラジカルのいずれも捕捉し、分子量増加を防止するために容易に使用できると考えられる。
【0006】
本発明は、
(I)(a)単位(RSiO(3−x)/2(OR’)、及び
(ここで、Rは、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、又はスチレン官能基のような、アクリロキシ官能を含有する基から選択される反応性有機基であり、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基である。)
(b)任意に、以下の単位の1つ又はいずれかの組み合わせ、
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(Ph(CHSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO)
(SiO(4−x)/2(OR’)
(ここで、Rは1〜4個の炭素を有する脂肪族基、例えばメチル、エチル、ビニルであり、Rは親水性基であり、R及びRは独立してメチル又はフェニルから選択される基であり、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Phはフェニル基を表し、sは0、1、2、3、又は4の値を有し、xは0、1又は2の値を有する。)
を含有し、
樹脂中、mは0.025〜1の値を有し、nは0〜0.95の値を有し、oは0.0〜0.20の値を有し、pは0.0〜0.75の値を有し、qは0〜0.75の値を有し、m+n+o+p+q+r=1である、シルセスキオキサン樹脂、
(II)強い水素結合基を有する親水性抑制剤、
(III)極性有機溶媒、並びに、
(IV)任意に、熱フリーラジカル開始剤又は光フリーラジカル開始剤、
を含む、安定シルセスキオキサン樹脂組成物に関する。
シルセスキオキサン樹脂の調製
例となるシルセスキオキサン樹脂は、合成経路及び出発物質に応じて、6〜60モル%の−OR’基を含有する単位を含有する。−OR’基を含有するシルセスキオキサン樹脂中の単位の総量が70モル%を超える場合、樹脂のゲル化及び不安定性が起こり得る。シルセスキオキサン樹脂は、RI検出及びポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーにより測定されるように、500〜200,000の範囲内、あるいは500〜100,000の範囲内、あるいは700〜30,000の範囲内の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0007】
一般的には、本発明のシルセスキオキサン樹脂は、適当なシランの加水分解及び縮合により生成される。この方法により、残留−OH及び/又はOR’が不完全な加水分解又は縮合の結果としてシルセスキオキサン樹脂中に残る可能性がある。
【0008】
シルセスキオキサン樹脂は一般的には溶媒の存在下で生成される。シルセスキオキサン樹脂を生成するのに、アルコール以外の加水分解及び/又は縮合反応に関与し得る官能基を含有しないいずれかの適切な有機又はシリコーン溶媒を用いることができる。溶媒は一般的には溶媒及びシラン反応剤の総重量に対して40〜98重量パーセント、あるいは70〜90重量パーセントの量で用いられる。反応は二相又は単相系として行うことができる。
【0009】
有用な有機溶媒の例としては、これらに限定されないが、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン及びイソオクタンのような飽和脂肪族化合物;シクロペンタン及びシクロヘキサンのような脂環式化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンのような芳香族化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル及びエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノンのようなケトン;トリクロロエタンのようなハロゲン置換アルカン;ブロモベンゼン及びクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、イソブチルイソブチレート及びプロピルプロピオネートのようなエステル;メタノール、エタノール及びイソプロパノールのようなアルコールが挙げられる。有用なシリコーン溶媒の例としては、これらに限定されないが、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及びデカメチルシクロペンタシロキサンのような環状シロキサンを挙げることができる。単一溶媒を用いてもよく、又は溶媒の混合物を用いてもよい。
【0010】
シルセスキオキサン樹脂を生成する反応は、シルセスキオキサン樹脂の顕著なゲル化も硬化も引き起こさない限り、いずれの温度でも行うことができる。一般的には、反応は5℃〜150℃の範囲内の温度で行われ、15℃〜110℃が推奨される。
【0011】
シルセスキオキサン樹脂を形成する時間は、温度、シラン反応剤のタイプ及び量、並びに触媒の量のような多数の要因によって決まる。一般的には、反応時間は数分〜数時間である。当業者であれば、反応を完了するのに必要な時間を容易に決定することができるだろう。反応を促進するのに用いることができる酸触媒としては、これらに限定されないが、硝酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、酢酸、等が挙げられる。反応を促進するのに用いることができる塩基触媒としては、これらに限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、トリエチルアミン、等が挙げられる。
【0012】
反応の完了後、触媒を任意で除去することができる。触媒の除去方法は当技術分野において周知であり、中和、揮散若しくは水洗又はこれらの組み合わせが挙げられるだろう。多量の触媒は、とくに溶液中でシリコーン樹脂の保存寿命に悪影響を及ぼし得、よってその除去が推奨される。
【0013】
シルセスキオキサン樹脂の生成プロセスでは、反応が完了した後、揮発物はシルセスキオキサン樹脂溶液から減圧下で除去することができる。こうした揮発物としては、アルコール副生成物、過剰水、触媒、塩酸(クロロシラン経路)及び溶媒が挙げられる。揮発物の除去方法は当技術分野において知られ、例えば、蒸留が挙げられる。
安定化樹脂組成物
各種用途、とくにコーティング組成物において有用な組成物は、上述のように調製されたシルセスキオキサン樹脂を含む。シルセスキオキサン樹脂を生成する反応後、多数の任意のステップを行い、望ましい形態又は望ましい濃度のシルセスキオキサン樹脂を得ることができる。例えば、シルセスキオキサン樹脂は溶媒を除去することにより濃縮することができる。溶媒除去方法は重要でなく、多数の方法が当技術分野において周知である(例えば加熱及び/又は真空下での蒸留)。シルセスキオキサン樹脂の濃度が特定の濃度に達すると、樹脂は特定の用途のため同じ又は別の溶媒で希釈することができる。あるいは、反応において用いられた溶媒以外の異なる溶媒が最終製品について望ましい場合、溶媒交換は第2溶媒を添加し、第1溶媒を、例えば蒸留によって除去することにより行うことができる。さらに、溶媒中の樹脂濃度はいくつかの溶媒を除去することにより、又は追加の量の溶媒を添加することにより、調節することができる。
【0014】
組成物は一般的には溶媒を含有する。有用な溶媒としては、これらに限定されないが、1−メトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート、γ−ブチロールアクトン、シクロヘキサノン、等が挙げられる。1つの実施形態では、コーティング組成物は、コーティング組成物の総重量に対して10〜99.9重量%の溶媒を含む。特定の実施形態では、溶媒量は80〜98重量%である。
【0015】
コーティング組成物は、安定剤をコーティング組成物の総重量に対して最大50,000ppm、あるいは10〜10,000ppm、あるいは100〜500ppmの量でさらに含む。安定剤はコーティング組成物の保存中にフリーラジカルを捕捉することができる化合物である。安定剤としては、これらに限定されないが、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、D−アスコルビン酸、サリチル酸、及び無水マレイン酸が挙げられる。
【0016】
コーティング組成物は、硬化温度及び必要な架橋密度に応じて活性剤を任意で含む。シルセスキオキサン樹脂がアクリレート又はメタクリレート官能性又はスチレン基を含む場合、活性剤はフリーラジカル熱開始剤又は光ラジカル開始剤から選択される。
【0017】
フリーラジカル熱開始剤は、焼成ステップ中に加熱される場合フリーラジカルを生成することができる化合物である。適切なフリーラジカル熱開始剤としては、これらに限定されないが、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、等が挙げられる。溶液に添加する熱開始剤は、単一開始剤又は熱開始剤の2つ以上の混合物とすることができる。
【0018】
フリーラジカル光開始剤は、焼成ステップ中にUVに露出される場合フリーラジカルを生成することができる化合物である。適切な光開始剤としては、これらに限定されないが、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ジ−(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィンオキシド、ベンゾイン誘導体、メチロールベンゾイン誘導体、4−ベンジル−1,3−ジオキソラン誘導体、ベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレートが挙げられる。
【0019】
一般的には、活性剤は、コーティング組成物の総重量に対して最大20,000ppm、あるいは10〜10,000ppmの量でコーティング組成物中に存在する。
【0020】
安定剤を含有する本発明のコーティング組成物は、安定剤を含まないすでに市販されている組成物と同じ方法で用いることができる。使用時、コーティング組成物はその上にパターンを有する基板上に塗布する。基板の非限定的な例は、半導体部品の製造に用いられるシリコン系デバイス及びヒ化ガリウム系デバイスのような半導体デバイスである。一般的には、デバイスは少なくとも1つの半導電層及び各種導電、半導電、又は絶縁物質を含む複数の他の層を含む。
【0021】
半導体デバイス上のパターンは一般的には塗布及びパターン化されたフォトレジスト層である。一般的にはパターン化フォトレジストは、図1に示すような硬質マスク上に形成される反射防止塗膜上に形成される。フォトレジスト、反射防止塗膜及び硬質マスク層の塗布方法は当技術分野において知られている。フォトレジスト層におけるパターン生成方法も当技術分野において知られている。
【0022】
基板へのコーティング組成物の塗布の具体的な方法としては、これらに限定されないが、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スクリーン印刷、等が挙げられる。一般的な塗布方法はスピンコーティングである。一般的には、コーティングは電子デバイスを1,000〜2,000RPMで回転させるステップ、及びコーティング組成物を回転する電子デバイスの表面に添加するステップを含む。
【0023】
コーティング組成物を塗布した後、いずれかの溶媒を除去し、コーティング組成物を硬化メカニズムに露出し、反転パターン化コーティング層中の活性剤を活性化させ、コーティング組成物を硬化させる。組成物中のシルセスキオキサン樹脂及び活性剤上の官能基に応じて、硬化メカニズムは熱的又は放射線によるものであってもよい。
【0024】
コーティング組成物を熱硬化させるため、硬化をもたらすのに十分な温度まで十分な時間、コーティングされた基板を加熱する。硬化はコーティングされた電子デバイスを80℃〜450℃で0.1〜60分間、あるいは150℃〜275℃で0.5〜5分間、あるいは200℃〜250℃で0.5〜2分間、又は80〜450℃から選択される基板及びコーティング組成物に適したいずれかの温度で0.1〜60分から選択される時間加熱することにより行うことができ、温度が高いほど、硬化時間は短い。いずれかの加熱方法は硬化ステップ中に用いることができる。例えば、コーティングされた電子デバイスは石英管状炉、対流式オーブンに入れてもよく、又は熱板上に置いてもよい。
【0025】
放射線硬化は、コーティング組成物をUV、X線、電子ビーム、EUV、等のような放射線源に露出した場合に起きる。一般的には193nm〜365nmの波長を有する紫外線が用いられ、あるいは246nm又は365nmの波長を有する紫外線が用いられる。適切な放射線源としては、水銀、水銀/キセノン、及びキセノンランプが挙げられる。より長い波長、例えば、365nmで放射線を用い、増感剤をコーティング組成物に添加し、放射線の吸収を向上させることが推奨されている。コーティング組成物の完全露出は、一般的には100mJ/cm未満の放射線、あるいは50mJ/cm未満の放射線で達成される。
【実施例】
【0026】
以下の実施例は本発明の実施形態を示すために含む。当業者であれば、以下の実施例において開示する技術が本発明の実施において十分に機能することが本発明者により見出された技術を表すと理解されるべきである。一方、当業者であれば、本開示を踏まえて、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示する具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、さらに同様又は類似の結果が得られることを理解すべきである。すべての割合は重量%である。
実施例1:
以下の単位式を有するシルセスキオキサン樹脂の調製
Me0.80R10.20、R1=−CHCHCHO−CO−C(CH)=CH
上記単位式中、Tは一般構造RSiO3/2を有する「T単位」であり、Meはメチルである。従って、TMeはCH−SiO3/2である。R1は上で示した。
【0027】
150gのトルエン、109.0gのメチルトリメトキシシラン(0.80mol)、49.6gの(3−メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン(0.20mol)、294gのメタノール、71gの水、0.345gの10%の水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液を混合した。5ペレットの2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(BHT)を混合物に添加した。混合物を2時間室温で撹拌した後、2時間還流した。次に、3gの0.1Nの硝酸をフラスコ中で組み合わせ、混合物を5分間撹拌した。約350gの溶媒をDean−Stark装置から除去し、温度を72℃まで上昇させた。その後、150gのトルエンを反応器に添加し、溶媒をDean−Starkトラップから継続的に除去することにより温度を86℃まで上昇させた。温度が86℃に達すると、反応を停止した。透明な溶液を別のフラスコに移し、溶媒を回転蒸発器上、40℃で除去した。無色の粘性液体を4−メチル−2−ペンタノールで10重量%まで希釈した。残留トルエンを回転蒸発器上、40℃で、溶液が約30重量%まで濃縮されるまで継続的に除去した。溶液を再度4−メチル−2−ペンタノールで10重量%まで希釈した。
実施例2:
以下の単位式を有するシルセスキオキサン組成物の調製
Me0.60R10.200.20、R1=−CHCHCHO−CO−C(CH)=CH
Qは一般構造SiO4/2を有する「Q単位」である。
【0028】
270gのトルエン、61.3gのメチルトリメトキシシラン、37.25gの(3−メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン、31.25gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、362gのメタノール、54gの水、0.345gの10%の水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液を混合した。混合物を2時間室温で撹拌した後、5ペレットの2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(BHT)を混合物に添加した後、3時間還流した。10gの酢酸を混合物に添加し、混合物を5分間撹拌した。約350gの溶媒をDean−Stark装置から除去した後、温度を72℃まで上昇させた。その後、150gのトルエンを反応器に添加し、溶媒をDean−Starkトラップから継続的に除去することにより温度を86℃まで上昇させた。温度が86℃に達すると、反応を停止した。透明な溶液を別のフラスコに移し、溶媒を回転蒸発器上、40℃で除去した。無色の粘性液体を4−メチル−2−ペンタノールで10重量%まで希釈した。残留トルエンを回転蒸発器上、40℃で、溶液が約30重量%まで濃縮されるまで継続的に除去した。溶液を再度4−メチル−2−ペンタノールで10重量%まで希釈した。
実施例3:
実施例1のシルセスキオキサン樹脂溶液の安定性に対するアスコルビン酸の効果
6つの250mLのHDPE瓶を入手した。プラスチック瓶のそれぞれに、200gの実施例1において生成されたシルセスキオキサン溶液を添加した。次に、0.010g、0.020g、0.050g、0.100gのアスコルビン酸を溶液の4つにそれぞれ添加した。対照として、溶液の1つはブランケットとして残した。比較のため、残りの溶液に、0.100gのtert−ブチル化ヒドロキシルトルエンを添加した。ろ過前に溶液を振り、48時間保持した。その後、ろ過した溶液の分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。樹脂溶液の安定性を分子量測定により観測した。溶液を35℃の換気オーブン中に保持し、分子量を観測するため、いくつかの試料をGPC分析のために約1週間、2週間、及び4週間で取り出した。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例4:
実施例1のシルセスキオキサン樹脂溶液の安定性に対するサリチル酸の効果
4つの250mLのHDPE瓶を入手した。プラスチック瓶のそれぞれに、200gの実施例1において生成されたシルセスキオキサン溶液を添加した。次に、0.020g、0.050g、0.100gのサリチル酸を溶液の3つにそれぞれ添加した。対照として、溶液の1つはブランケットとして残した。ろ過前に溶液を振り、48時間保持した。その後、ろ過した溶液の分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。樹脂溶液の安定性を分子量測定により観測した。次に、残った溶液を35℃の換気オーブン中に保持し、分子量を観測するため、いくつかの試料をGPC分析のために約1週間、2週間、及び4週間で取り出した。
【0031】
【表2】

【0032】
実施例5:
実施例1のシルセスキオキサン樹脂溶液の安定性に対する各種抑制剤の効果
4つの250mLのHDPE瓶を入手した。プラスチック瓶のそれぞれに、200gの実施例1において生成されたシルセスキオキサン溶液を添加した。次に、0.100gのL−アスコルビン酸、サリチル酸、及び無水マレイン酸を3つの溶液にそれぞれ添加した。対照として、溶液の1つはブランケットとして残した。ろ過前に溶液を振り、48時間保持した。その後、ろ過した溶液の分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。樹脂溶液の安定性を分子量測定により観測した。次に、残った溶液を35℃の換気オーブン中に保持し、分子量を観測するため、いくつかの試料をGPC分析のために約1週間、2週間、及び4週間で取り出した。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例6:
実施例2のシルセスキオキサン樹脂溶液の安定性に対する各種抑制剤の効果
5つの250mLのHDPE瓶を入手した。プラスチック瓶のそれぞれに、200gの実施例2において生成されたシルセスキオキサン溶液を添加した。次に、0.100gのBHT、L−アスコルビン酸、サリチル酸、及び無水マレイン酸を溶液の4つにそれぞれ添加した。対照として、溶液の1つはブランケットとして残した。ろ過前に溶液を振り、48時間保持した。その後、ろ過した溶液の分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。樹脂溶液の安定性を分子量測定により観測した。次に、残った溶液を35℃の換気オーブン中に保持し、分子量を観測するため、いくつかの試料をGPC分析のために約1週間、2週間、及び4週間で取り出した。
【0035】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)(a)単位(RSiO(3−x)/2(OR’)、及び
(ここで、Rは、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、又はスチレン官能基のような、アクリロキシ官能を含有する基から選択される反応性有機基であり、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基である。)
(b)任意に、以下の単位の1つ又はいずれかの組み合わせ、
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(Ph(CHSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO)
(SiO(4−x)/2(OR’)
(ここで、Rは1〜4個の炭素を有する脂肪族基、例えばメチル、エチル、ビニルであり、Rは親水性基であり、R及びRは独立してメチル又はフェニルから選択される基であり、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Phはフェニル基を表し、sは0、1、2、3、又は4の値を有し、xは0、1又は2の値を有する。)
を含有し、
樹脂中、mは0.025〜1の値を有し、nは0〜0.95の値を有し、oは0.0〜0.20の値を有し、pは0.0〜0.75の値を有し、qは0〜0.75の値を有し、m+n+o+p+q+r=1である、シルセスキオキサン樹脂、
(II)強い水素結合基を有する親水性抑制剤、
(III)極性有機溶媒、並びに、
(IV)任意に、熱フリーラジカル開始剤又は光フリーラジカル開始剤、
を含む、安定シルセスキオキサン樹脂組成物。
【請求項2】
前記親水性阻害剤が、L−アスコルビン酸、D−アスコルビン酸、無水マレイン酸及びサリチル酸から選択される、請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記極性有機溶媒が、4−メチル−2−ペンタオール、1−ペンタオール、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)から選択される、請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂組成物。
【請求項4】
熱フリーラジカル開始剤又は光フリーラジカル開始剤を含む、請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2013−512994(P2013−512994A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542120(P2012−542120)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058251
【国際公開番号】WO2011/068766
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】