説明

シンチレータパネル

【課題】高い感度を維持しながら、鮮鋭度の向上した放射線画像を形成するシンチレータパネルを提供すること。
【解決手段】基板上に蒸着により形成された蛍光体層を少なくとも有するシンチレータシート、該シンチレータシートを被覆する保護フィルムよりなるシンチレータパネルにおいて、該保護フィルムが蛍光体層からの発光光を吸収するように着色された発光光吸収層を有することを特徴とするシンチレータパネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンチレータパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
X線画像のような放射線画像は、医療現場において病状の診断に広く用いられている。近年では、放射線検出器を用いた放射線イメージングシステムが普及してきている。このシステムは、放射線検出器による2次元の放射線による画像データを電気信号として取得し、この信号を処理することでモニタ上へ表示させる。
【0003】
シンチレータパネルは基板側から入射した放射線を光に変換する役割を果たす。1990年代に放射線画像の撮影装置として開発されたFPD(Flat Panel Detector)は、シンチレータパネルと撮像素子を組み合わせた放射線検出器である。この時、シンチレータの材料としてはヨウ化セシウム(CsI)がよく用いられる。CsIはX線から可視光への変換率が比較的高く、蒸着によって容易に柱状結晶構造を形成できるため、光ガイド効果により発光光の散乱が抑えることができる。
【0004】
しかしながら、CsIのみでは発光効率が低いため、例えば、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆積させ、後工程としてアニールを行うことで可視変換効率を向上させ、X線蛍光体として使用している(例えば、特許文献1参照。)。また、最近では、例えば、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)等の賦活物質をスパッタで形成するX線蛍光体作製方法等が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、CsIをベースとしたシンチレータは潮解性があり、経時で特性が劣化するという欠点がある。このような経時劣化を防止するために、CsIシンチレータの表面に防湿性保護層を形成することが提案されている。
【0006】
従来、シンチレータパネルにより得られる画像の鮮鋭度は、保護膜の膜厚が薄ければ薄いほど高くなると考えられていた。一方、保護膜の膜厚が薄いと耐久性が低下しがちである。そこで、保護膜の膜厚をできるだけ薄くして鮮鋭度の低下を抑制しながら、且つ耐久性の必要な機能を有するように保護膜材料として適切なものが選択された。例えば、ポリエチレンテレフタレートのような強度があって透明性が高いものを用いたり、数種類の樹脂を組み合わせたり、あるいは保護膜自体を多層構成とすることが行われている。
【0007】
しかしながら、必要な長期間に亘る搬送耐久性を得るためには、どうしても保護膜が厚くなり鮮鋭性が低下してしまうと言う欠点があった。
【特許文献1】特公昭54−35060号公報
【特許文献2】特開2001−59899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高い感度を維持しながら、鮮鋭度の向上した放射線画像を形成するシンチレータパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0010】
1.基板上に蒸着により形成された蛍光体層を少なくとも有するシンチレータシート、該シンチレータシートを被覆する保護フィルムよりなるシンチレータパネルにおいて、該保護フィルムが蛍光体層からの発光光を吸収するように着色された発光光吸収層を有することを特徴とするシンチレータパネル。
【0011】
2.前記保護フィルムの発光波長における光透過率が50〜97%であることを特徴とする前記1に記載のシンチレータパネル。
【0012】
3.前記保護フィルムの厚さが10〜100μmであることを特徴とする前記1または2に記載のシンチレータパネル。
【0013】
4.前記保護フィルムの透湿度が50g/m2・day以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【0014】
5.前記蛍光体層がCsI(ヨウ化セシウム)であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、高い感度を維持しながら、鮮鋭度の向上した放射線画像を形成するシンチレータパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明は、基板上に蒸着により形成された蛍光体層を少なくとも有するシンチレータシート、該シンチレータシートを被覆する保護フィルムよりなるシンチレータパネルにおいて、該保護フィルムが蛍光体層からの発光光を吸収するように着色された発光光吸収層を有することを特徴とする。
【0018】
保護フィルムとして使用される、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムは、優れた物性を有するにも拘わらず、屈折率が大であるために保護フィルム内部に入射した発光光の一部がフィルムの上下の界面で繰り返し反射して、走査された場所から離れた場所まで伝搬し、鮮鋭性が低下する。本発明に係る発光光吸収層は、この反射光を抑制する効果があると推測される。
【0019】
また、輝度と鮮鋭性の点から、発光光吸収層は発光波長における光透過率が50〜97%であることが好ましい。
【0020】
本発明のシンチレータパネルは、基板上に蒸着により形成された蛍光体層を少なくとも有するシンチレータシート、該シンチレータシートを被覆する保護フィルムよりなる。
【0021】
以下、本発明のシンチレータパネルの各構成について説明する。
【0022】
(蛍光体層)
本発明に係る蛍光体層の蛍光体とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、即ち可視光線を中心に紫外光から赤外光に亘る電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
【0023】
蛍光体を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。CsIのみでは発光効率が低いために各種の賦活剤が添加されることが更に好ましい。
【0024】
例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば、特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを、蒸着でインジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活剤を含有するCsIが好ましい。
【0025】
なお、特に1種類以上のタリウム化合物を含む賦活剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。即ち、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長を持つことから好ましい。本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する賦活剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。本発明において、好ましいタリウム化合物は臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、またはフッ化タリウム(TlF、TlF3)等である。
【0026】
本発明に係る蛍光体において、当該賦活剤の含有量は目的性能等に応じて最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して0.001〜50mol%、更に0.1〜10.0mol%であることが好ましい。ここで、ヨウ化セシウムに対し賦活剤が0.001mol%未満であると、ヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度と大差なく、目的とする発光輝度を得ることができない。また、50mol%を超えるとヨウ化セシウムの性質、機能を保持することができない。
【0027】
(基板)
基板としては高分子フィルムが用いられ、耐熱性の観点からポリイミド(PI)またはポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムが好ましい。
【0028】
更に、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、放射線フラットパネルデテクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して、該基板を厚さ50〜500μmの高分子フィルムとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、放射線フラットパネルデテクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られることが判明した。
【0029】
(保護フィルム)
保護フィルムは蛍光体層を防湿し、蛍光体層の劣化を抑制するためのもので、透湿度の低いフィルムから構成される。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いることができる。PETの他には、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等を用いることができる。また、必要とされる防湿性にあわせて、これらフィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層した構成とすることもできる。
【0030】
また、シンチレータシートの基板側と蛍光体層側の互いに対向する面には、互いを熱融着して封止するための熱融着性の樹脂が用いられることが好ましい。熱融着層としては、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムを使用できる。例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられるが、これに限られたものではない。
【0031】
シンチレータシートを上下の保護フィルムで挟み、減圧雰囲気中で上下の保護フィルムが接触する端部を融着することにより封止することができる。
【0032】
本発明において、保護フィルムの厚さは10〜100μmであることが好ましい。
【0033】
本発明においては、保護フィルムは防湿性が付与されているが、具体的には前記保護層の透湿度(水蒸気透過率ともいう)が50g/m2・day以下であることが好ましく、更に好ましくは10g/m2・day以下であり、特に好ましくは1g/m2・day以下である。ここで、保護層の透湿度はJIS Z 0208により規定された方法を参照して測定することができる。
【0034】
具体的には、本発明における透湿度は以下の方法で測定することができる。40℃において、前記保護フィルムを境界面とし、一方の側を90%RH(相対湿度)、他方の側を吸湿剤を用いて乾燥状態に保つ。この状態で24時間にこの保護フィルムを通過する水蒸気の質量(g)(保護フィルムを1m2に換算する)を本発明における保護フィルムの透湿度と定義する。
【0035】
保護フィルムの透湿度を上記の範囲に調整し、防湿性を向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミナ薄膜を蒸着した蒸着フィルムが好ましく用いられる。
【0036】
保護フィルムの光透過率とは、空気だけの場合の光透過率を100%に設定して各保護フィルムの光透過率を相対値で表した。上記の光透過率は下記式に従って求められる。光透過率(%)=(透過光/入射光)×100。
【0037】
本発明に係るシンチレータシートとして、基板上に下記に示す導電性金属反射層、更にその上に下記に示す保護層を設け、蒸着により形成された蛍光体層を形成してシンチレータシートを作製することもできる。
【0038】
(導電性金属反射層)
導電性金属反射層はシンチレータで変換された光を外部へ出射するため反射層として機能させることが可能であり、発光光の利用効率の面で導電性金属反射層は反射率の高い金属で形成することが好ましい。反射率の高い金属膜層としては、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Mg、Pt、Auからなる群の中の物質を含む材料が挙げられる。本発明に係る導電性金属反射層の形成方法は既知のいかなる方法でも構わないが、例えば、上記原材料を使用したスパッタ処理が挙げられる。
【0039】
導電性金属としては、電気伝導率で6.0S/m(ジーメンス毎メートル)以上のものであることが好ましく、より好ましくは30S/m以上である。具体的にはAl(40S/m)、Ag(67S/m)、Au(46S/m)が反射率や電気伝導率の点で好ましい。
【0040】
(保護層)
保護層は溶剤に溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成することが好ましい。ガラス転位点が30〜100℃のポリマーであることが蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましく、具体的には、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられるが、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0041】
保護層の膜厚としては接着性の点で0.1μm以上が好ましく、保護層表面の平滑性確保の点で3.0μm以下が好ましい。より好ましくは保護層の厚さが0.2〜2.5μmの範囲である。
【0042】
保護層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
(蛍光体層の形成)
本発明に係る蛍光体層は、図2に模式的に示す蒸着装置によって形成することができる。
【0044】
(シンチレータパネルの形成)
基板上に蛍光体層を設けたシンチレータシートは、シンチレータシートを上下の保護フィルムで挟み、減圧雰囲気中で上下の保護フィルムが接触する端部を融着することにより封止し、シンチレータパネルの形成することができる。
【0045】
図1は本発明のシンチレータパネルの一例を示す断面図である。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0047】
実施例1
〔シンチレータパネルの作製〕
(蛍光体層の作製)
10cm角で厚さが0.2mmのポリイミド基板上に蛍光体層として次の手法でヨウ化セシウム(以下、CsI)を蒸着させ、シンチレータシートを得た。
【0048】
図2に模式的CsI蒸着装置の一例の断面図を示す。CsIをMo製抵抗加熱ルツボ4に充填、ポリイミド樹脂の基板1を回転する、1mm厚のAl板の支持体5に設置して、支持体と抵抗加熱ルツボとの間隔を400mmに調節した。続いて、蒸着装置内をポンプPで排気した後、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した。次いで、10rpmの速度で支持体を回転しながら、支持体の温度を200℃に保持し、その後、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体を蒸着し、蛍光体層の膜厚が160μmとなったところで蒸着を終了させた。
【0049】
(保護フィルムの作製)
シンチレータシートの保護フィルムとしては、各種の表面粗さを有する厚さ12μmポリエチレンテレフタレート(PET)を使用した。PETフィルムの蛍光体側に接する側に接着剤(バイロン300:東洋紡(株)製)を塗設乾燥し、接着層(1μm)とした。また、PETフィルムの反対面には下記に記載する各種発光光透過率を有する発光光吸収層を塗設した。
【0050】
(発光光吸収層の調製)
フッ素系樹脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭硝子(株)製ルミフロンLF100、50質量%キシレン溶液)50g、架橋剤:イソシアネート(日本ポリウレタン(株)製コロネートHX、固形分:100質量%)5g、及びアルコール変性シリコーンオリゴマー(ジメチルポリシロキサン骨格を有し、両末端に水酸基(カルビノール基)を有するもの、信越化学工業(株)製、X−22−2809、固形分:66質量%)0.5gをメチルエチルケトン溶媒に添加し、粘度0.1〜0.3psの塗布液を調製した。
【0051】
次いで、この塗布液に予めメチルエチルケトンに分散させた有機系青色着色剤(ザボンファーストブルー3G、ヘキスト(株)製)とシリカ(平均粒径3.0μm)の混合分散液を添加して、PETフィルムの表面にドクターブレードを用いて塗布し、次いで120℃で20分間熱処理して熱硬化させることで発光光吸収層を形成した。
【0052】
このときの着色剤及びシリカの添加量を調節することで、任意の粗さと光線透過率を有する発光光吸収層を作製した(実験No.2〜5)。比較サンプルとして、該発光光吸収層を有しないことだけが異なる保護フィルムも作製した(実験No.1)。
【0053】
(封止)
上記発光光吸収層を有する保護フィルムを用い、減圧1000Pa条件下で融着部からシンチレータシートの周縁部までの距離は1mmとなるように熱融着させた。熱融着に使用したインパルスシーラーのヒータは3mm幅のものを使用した。
【0054】
〔評価〕
得られた各試料に付き、10cm×10cmの大きさのCMOSフラットパネル(ラドアイコン(株)製、X線CMOSカメラシステムShad−o−Box4KEV)にセットした。放射線入射窓のカーボン板とシンチレータパネルの放射線入射側(蛍光体のない側)にスポンジシートを配置し、平面受光素子面とシンチレータパネルを軽く押し付けることで両者を固定した。
【0055】
鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(蛍光体層が形成されていない面)から照射し、画像データをシンチレータを配置したCMOSフラットパネルで検出し、ハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。表中、MTF値が高いほど鮮鋭性に優れていることを示す。MTFはModulation Transfer Functionの略号を示す。
【0056】
(MTF)
◎:空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値が0.9以上
○:空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値が0.7以上、0.9未満
△:空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値が0.6以上、0.7未満
×:空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値が0.6未満。
【0057】
(相対輝度)
相対輝度は次のように求めた。X線(管電圧80ekVp)を照射した際に発光した光強度を測定して、発光光吸収層のないものとの比を相対輝度として算出した。
【0058】
【表1】

【0059】
表1より、発光光吸収層を用いることで、MTF(鮮鋭度)の向上した放射線画像を形成することが確認された。発光光吸収層の透過率が低いと相対輝度が下がり、輝度特性が低下する。また、発光光吸収層の適正な透過率は97〜50%であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のシンチレータパネルの一例を示す断面図である。
【図2】本発明に用いた模式的CsI蒸着装置の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 基板
2 蛍光体層
3 保護フィルム
4 抵抗加熱ルツボ
5 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に蒸着により形成された蛍光体層を少なくとも有するシンチレータシート、該シンチレータシートを被覆する保護フィルムよりなるシンチレータパネルにおいて、該保護フィルムが蛍光体層からの発光光を吸収するように着色された発光光吸収層を有することを特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記保護フィルムの発光波長における光透過率が50〜97%であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記保護フィルムの厚さが10〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記保護フィルムの透湿度が50g/m2・day以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
前記蛍光体層がCsI(ヨウ化セシウム)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−185393(P2008−185393A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17626(P2007−17626)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】