説明

シート処理装置及びシート情報読取装置

【課題】複数のシートを区分けして収容するシート収容部のシート収容状態を比較的簡単な構成で検知することができて低コスト化を実現したシート処理装置及びシート情報読取装置を提供する。
【解決手段】装置本体内に給送するためのシート、及び装置本体内から排出されるシートをそれぞれ別々に収容するシート収容部と、このシート収容部に設けられてシートの有無を検知するシート検知手段300とを備えたシート処理装置であって、シート検知手段300は、出力用センサ部(発光部)及び入力用センサ部(受光部)からなる二組のセンサユニットを有し、且つ二組のセンサユニットのうち一方のセンサユニットの出力用センサ部又は入力用センサ部が他方のセンサユニットのセンサ部を兼ねるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ドキュメントスキャナ、チェックスキャナ、プリンタ、ファクシミリ、複合機等に好適に用いられるシート処理装置及びシート情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙媒体等のシートを大量に処理するシート処理装置としては、給送トレイに大量のシートをセットし、シートを搬送処理して、排出トレイに排出する一連の動作を連続的に行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、この特許文献1には、排除用集積部内に排除集積された書留郵便物の取り忘れを確実に防止し、区分処理の前後における総数を一致させることができるようした郵便物処理装置が開示されている。
【0004】
具体的には、この郵便物処理装置は、複数の排除用集積部のそれぞれに共通の連通穴を設け、これら共通の連通穴を挟むように一対の光学センサを配置し、排除用集積部のどこかに取り忘れた郵便物の有無を検知できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−57197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のような郵便物処理装置においては、一対の光学センサによって複数の排除用集積部の全体を検知対象としているため、取り忘れた郵便物を一度に検知することになる。このため、複数の排除用集積部のどこの集積部に取り忘れた郵便物があるのかを区別するのは難しい。この問題に対しては、各排除用集積部のそれぞれに一対の光学センサを個別に配置して監視するようにすれば容易に解決できるかもしれない。しかしながら、これでは、部品点数が多くなってコストアップを招く蓋然性が高い。
【0007】
なお、上述した問題は、郵便物処理装置に限って発生するものではなく、例えば、複数のシートを区分けして収容するシート収容部を有するシート処理装置においてシート収容状態を検知しようとすると同様に発生するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は上述した事情に鑑み、複数のシートを区分けして収容するシート収容部のシート収容状態を比較的簡単な構成で検知することができて低コスト化を実現したシート処理装置及びシート情報読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明のシート処理装置は、装置本体内に給送するためのシート、及び前記装置本体内から排出されるシートをそれぞれ別々に収容するシート収容部と、前記シート収容部に設けられてシートの有無を検知するシート検知手段とを備え、前記シート検知手段は、出力用センサ部及び入力用センサ部からなる二組のセンサユニットを有し、且つ前記二組のセンサユニットのうち一方のセンサユニットの前記出力用センサ部又は前記入力用センサ部が他方のセンサユニットのセンサ部を兼ねていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のシートを区分けして収容するシート収容部のシート収容状態を比較的簡単な構成で検知することができて低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1のシート情報読取システムを示す概略斜視図。
【図2】実施形態1のシート情報読取装置の概略構成を示す平面図。
【図3】シートの一例を示す概略平面図。
【図4】実施形態1のシート情報読取装置のシート検知手段を示す概略断面図。
【図5】実施形態1のシート情報読取装置の制御ブロック図。
【図6】実施形態1のシート情報読取装置の制御動作を示すフローチャート図。
【図7】実施形態1のシート情報読取装置のシート検知制御を示すフローチャート図。
【図8】実施形態2のシート情報読取装置を示す斜視図。
【図9】他の実施形態に係るシート処理装置のセンサユニットを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する本発明の実施の形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を説明するための一例である。したがって、本発明の技術的範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るシート情報読取システムを示す概略斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係るシート情報読取装置の概略構成を示す平面図である。図3は、シートの一例を示す概略平面図である。図4は、本発明の実施形態1に係るシート情報読取装置のシート検知手段の一例を示す概略断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態にかかるシート情報読取システム1は、シート情報を読み取る装置の一例としてのチェックスキャナ100と、このチェックスキャナ100に対して読取り動作制御を行うプログラムとしてアプリケーションとスキャナデバイスドライバ等を備えたホストコンピュータ200とで構成される。
【0015】
また、図2に示すように、本実施形態のチェックスキャナ100は、チェックスキャナ100の動作を制御するための詳細は後述する制御装置101と、読取手段の例として画像を読み取るイメージセンサ102と、同じく読取手段の例として磁気インク文字(例えば、MICR[Magnetic Ink Character Recognition])を読み取るための磁気ヘッド203とを備えている。
【0016】
なお、このような磁気インク文字が印字されたシートの一例を図3に示す。図3に示すように、本実施形態のチェックスキャナ100によって読み取られるシートSは、所定位置に磁気インクによりMICR文字と呼ばれる文字が記録されている。シートSには、特定箇所に図柄や文字が印刷されたり、あるいは所定の文字が記入されている。
【0017】
さらに、このようなシートSを読み取るチェックスキャナ100は、シートSを上記磁気ヘッド102、イメージセンサ101の順で搬送するために、スキャナ本体(装置本体)内にシートを給送するシート給送装置(シート処理装置の一例)を備えている。このシート給送装置は、スキャナ本体内に給送するためのシートと、スキャナ本体内で情報の読み取りが行われた後でスキャナ本体から排出されるシートをそれぞれ別々に収容するシート収容部110を有する。
【0018】
具体的には、本実施形態のシート収容部110は、例えば、スキャナ本体の一端部側に設けられ、且つ複数の壁部110aによって区画された複数の収容部が並設されることで構成されている。そして、このようなシート収容部110の1つの収容部を給送するシートを収容(積載)するための給送部111とし、それ以外の収容部を排出されるシートを収容(積載)するための排出部112,113としている。
【0019】
なお、図2では、シート収容部110の一端側の1つの収容部を給送部111とし、それ以外の2つの収容部を排出部112,113としているが、これら排出部112,113の個数等はこれに限定されるものではない。
【0020】
また、スキャナ本体内にシートを給送する本実施形態のシート給送装置においては、上述したシート収容部110から、シートSをスキャナ本体に自動的に給送するためのADF(自動原稿給送装置)等となる。具体的には、シートSの給送部111には、積載されたシートSをスキャナ本体内へ給送する給送手段の例としての給送ローラ120と、シート束からシートSを一枚ずつ分離するための分離ローラ121,122とがスキャナ本体内への入り口付近に分離給送手段として設けられている。なお、スキャナ本体内のシート搬送は、搬送路に設けられた搬送ローラ150によって行われる。即ち、シートSは、分離給送手段によって給送部111から1枚ずつスキャナ本体に取り込まれた後、搬送ローラ150によってスキャナ本体内で搬送された後に、排出部112,113に排出されることになる。
【0021】
さらに、本実施形態では、搬送路の排出口側においては、スキャナ本体のシート排出口130から各排出部112,113にそれぞれ分岐している。そして、シート排出口130の分岐点には、フラッパ140が設けられ、シートSを各排出部112,113のどちらへ排出するかをフラッパ140によって仕分けられるようになっている。このフラッパ140によるシートSの仕分けは、例えば、磁気インク文字の情報や読取エラー等の読取結果に基づいて、制御装置101がホストコンピュータ200からの指令を受け取り、その制御装置101がフラッパ140の動作を制御することによって行うことができる。
【0022】
このように上述した構成のチェックスキャナ100においては、ホストコンピュータ200に接続されて、このホストコンピュータ200からの指示により動作する。具体的には、給送部111に積載されたシートSは、分離給送手段によってスキャナ本体内に取り込まれた後、磁気ヘッド103によってシートSの磁気情報が読み取られる。これに続いて、シートSを搬送ローラ150によって搬送しながら、イメージセンサ102によってシートSの画像を読み取る。画像情報を読み取ったシートSは、制御装置101がフラッパ140の動作制御を行って各排出部111,112のいずれかへ適宜振り分けられる。
【0023】
ここで、このようなチェックスキャナ100においては、図2に示すように、シート収容部110におけるシートSの有無を検知するシート検知手段300が設けられている。このシート検知手段300は、シートSを検知するものであり、基本的には複数組のセンサユニットによって構成される。即ち、シート検知手段300は、出力用センサと入力用センサとでシートSを挟み込んでシートSの有無を判断する一対のセンサユニットをシート収容部110の各収容部ごとに配置して構成されている。
【0024】
本実施形態では、シート検知手段300を二組のセンサユニットで構成し、シート収容部110を構成する1つの給送部111及び2つの排出部112,113のうち、各センサユニットを排出部112,113に対応してそれぞれ設けている。ここで、シート検知手段300を二組のセンサユニットで構成しているとは、二組のセンサユニットのうち一方のセンサユニットの出力用センサ部又は入力用センサ部が他方のセンサユニットのセンサ部を兼ねていることを意味する。即ち、一組のセンサユニットの構成要素であるセンサ部の一方が、他方のセンサユニットの構成要素であるセンサ部となっており、二組のセンサユニットにおいて1つのセンサ部を共有している。これにより、部品点数を少なくすることができて、装置自体や製造時のコストアップを防ぐことができる。
【0025】
例えば、本実施形態のチェックスキャナ100においては、出力用センサとしての一例である発光部301A,301Bと、入力用センサとしての一例である受光部302とで一組のセンサユニットを構成し、このセンサユニットを二組そろえることによってシート検出手段300を構成し、共有のセンサ部を受光部302としている。即ち、2つの発光部301A,301Bと1つの受光部(共有のセンサ部)302とでシート検出手段300を構成している。
【0026】
なお、これら発光部301A,301B及び受光部302は、シート収容部110を複数の収容部に区画する壁部110aに対向配置されている。本実施形態では、シート収容部110のうち2つの排出部112,113を区切る壁部110aに受光部302を配置し、この受光部302に対して、受光し易くするためにその両側の壁部110aに発光部301A,301Bを対向配置している。これにより、例えば、2つの発光部301A,301Bに対応して2つの受光部302をそれぞれ設けた場合と比べて、部品点数が少なくなりコストアップを防ぐことができる。
【0027】
詳細には、本実施形態のチェックスキャナ100では、図4に示すように、シートを検出するセンサユニットとして、2つの発光素子301a,301b、1つの受光素子302aがそれぞれ設けられている。発光素子301a,301bは、導光体310を介して光を受光部302側に発光し、受光部302側では、受光素子302aが発光部301A,301Bからの光を、導光体320を介して受光する。即ち、受光部302側の導光体320は、発光部301A,301B側がそれぞれに対応して分岐しており、発光素子301a,301bが発光した該光を受光素子302aまで導いている。
【0028】
なお、導光体320は、発光センサ301A,301Bが発光した該光を垂直上方向に導光し、反射を利用して約90°光軸を変更する。このように導光体407に光を導くことで受光センサ302は発光センサ301A,301Bが発光した該光を受光することができる。また、このような構成においては、詳細は後述するが、二組のセンサユニットの各発光部301A,301Bは、発光のタイミングがそれぞれ異なるように制御、即ち、同時点灯しないように制御される。これにより、比較的簡単な構成で、二組のセンサユニットで1つの受光部(受光素子)302を共有部として兼用することができる。これにより、比較的簡単な構成で安価にシートSの有無を各排出部112,113で検知することが可能となる。なお、導光体320の形状や、発光センサ301A,301Bや受光センサ302の配置は上述したものに限定されず、例えば、発光素子を共有化した態様で、各排出部112,113でシートSの有無を検知するような構成としてもよい。
【0029】
ところで、本実施形態のようなチェックスキャナ100においては、例えば、銀行等の金融機関の場合、手形に記録されているMICR文字を読み取ることで、銀行別、口座別、金額別、支払日別等に分類し保管することが多い。また、チェックと呼ばれる小切手等のシートを給送し、MICR文字や画像を読み取った後、排出部(排紙ポケット)に分類して排出されたシート束においてその順番を狂わせることなく、まとめて保管することが多い。
【0030】
そのため、排出部が複数ある場合には、シートが収容できる許容枚数を超えないように、満杯になったことをシート収容量検知手段(シート満載検知手段)400を設けている。即ち、シートSが満杯となった状態の排出部112,113に、さらにシートSが排出されてシートS同士が接触等して詰まってしまう等の不具合を未然に防ぐような工夫をしている。
【0031】
なお、本実施形態のチェックスキャナ100においては、2つの排出部112,113が全て満載と検知して給送動作が停止してしまった場合には、複数の排出部112,113のいずれか一つが空の状況にならないとシートSの給紙動作を開始しないようにしている。
【0032】
ここで、ユーザは、仮に全ての排出部が満載の状況から、空にならない程度でシートを抜き取り、数枚のシートが積載された状態で搬送を開始してしまうことも考えられる。特に、チェックスキャナとしての使用態様では、排出部からシートを細かく抜き取ると、シート束内で給紙前と給紙後の順番が異なってしまう。このため、その後の分類管理が煩雑となり操作者への負担を増大させ、業務効率の低下を招いてしまうという懸念がある。そのため、例えば、複数の排出部を設けるような場合においては、本実施形態のチェックスキャナ100のように、シート収容量検知手段400を設けて管理するのが好ましく、また、各々の排出部112,113でシートSの有無を個別に検知できるようにシート検知手段300を設けるのが好ましい。
【0033】
以下、図5を参照して、シート情報読取装置(チェックスキャナ100)内の制御装置101について詳細に説明する。なお、図5は、本発明の実施形態1に係るシート情報読取装置の制御ブロック図である。
【0034】
図5に示すように、制御装置101は、排紙部112,113でシートの有無を検知するため、ROM、RAM内蔵のワンチップマイクロコンピュータにより構成され、各部を制御する制御部501を有する。この制御部501には、排出部112,113のシート有無検知のための発光部301となる発光ダイオードと、発光ダイオードが発光した光量を受光する受光部302となるフォトダイオードとが接続してある。
【0035】
これらの発光部301は、それぞれ図示しない電源が接続されており、かつLED電源供給制御のトランジスタ502,503に接続される。このトランジスタ502,503は、発光タイミング決定部504により発光タイミングが制御されており、所定タイミングにより各発光部301A,301Bを一定期間発光する。例えば、本実施形態では、受光部302を共有化しているので、発光部301A,301Bが同時に発光しないように制御される。
【0036】
また、発光部301が発光した発光量を受光した受光部302は、受光量に応じた電流Iを流す。流れた電流値は電圧変換部505により電圧値に変換され、変換した電圧値は増幅部506により増幅される。
【0037】
なお、増幅された電圧値は、A/Dポート507に入力され、A/D変換部508によりA/D変換が行われる。このA/D変換を行うタイミングは、A/D変換タイミング決定部509により調整される。また、A/D変換を行うタイミングがきたことでA/D変換を開始し、その時の電圧値をメモリ510に保存する。本実施形態ではメモリ510の(保存領域A)に保存するものとし、排出部の数に比例して保存するためのメモリ及び保存領域も増えていく(保存領域B,C,D)。
【0038】
メモリ510の保存領域Aに保存された値は、比較部511により、閾値となる所定の保存値と比較され、比較した結果をもとにシート検知手段300によりシートの排出部112,113に排出されたシートSの有無検知の判定が行われる。
【0039】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態における画像読取装置(チェックスキャナ100)の正常動作についての一連の流れを一例を挙げて説明する。なお、図6は、本発明の実施形態1に係るシート情報読取装置の制御動作を示すフローチャート図である。
【0040】
図6に示すように、まず、チェックスキャナ100は、排出部112,113に設けられた二組のセンサユニットにより、各排出部112,113にシート又はシート束が存在するかどうか判断する(ステップS801)。そして、シート収容量検知手段400により満載を検知していないかどうかを判断し(ステップS802)、各排出部112,113のいずれもが満載でなければ、積載されたシートSを給送ローラ120および分離機構121,122によって1枚ずつ分離給送し、スキャナ本体内の搬送路へと分離したシートSを突入させる(ステップS803)。即ち、各排出部112、13のシート収容状態に応じてシート給送の開始動作を制御するようになっている。
【0041】
なお、搬送路へ入ったシートSは、磁気ヘッド103によってMICR文字を読み取られる(ステップS804)。チェックスキャナ100は、さらに搬送ローラ150によってシートSを搬送し、シートSがイメージセンサ102に到達したところでイメージセンサ102の駆動を開始し、シートSの画像を読み取って、画像データを画像メモリに蓄える。読み取ったMICR文字および画像データは、ホストコンピュータ200へと所定のタイミングで送出される(ステップS805)
【0042】
シート収容量検知手段400が満載を検知していない間は以上の動作を繰り返し(ステップS801〜S805)、ユーザである操作者が意図的に止めない限り、給送部111に置かれたシートSが無くなるまで行われる。正常に画像を読み取っている間、即ち、シート収容量検知手段400が満載を検知しない間に、給送部111のシートSが無くなった場合には、正常終了のステータスをホストコンピュータ200に送信して終了する(ステップS806)。
【0043】
次いで、シートSの有無を検知するシート検知手段300がシートSを検知した場合について説明する。まず、シートSの給送動作を開始し、給送されたシートSが各排出部112,113に積載されると、各センサユニットはシートSが排出して収容(積載)されたことを検知する。そして、その情報はメモリに保存され、シートSの各排出部112,113が満載になった際の制御選択のための判断材料に使用される。
【0044】
次に、各排出部112,113においてシート収容量検知手段400が満載を検知した場合について説明する。まず、シートSの給送動作中に各排出部112,113がそれぞれ満載状態になった場合、制御部501に満載状況を送信し(ステップS807)、新規給送を行わずに、待機状態に移行する(ステップS808)。ここでの待機状態とは、例えば、画像読取のための設定を保持したまま新規なシート給送を中断し、各排出部112,113でのシートSの有無を検知(ステップS809)し、待機している状態である。
【0045】
また、各排出部112,113に対応して設けた各センサユニットにより、各排出部112,113のいずれかのシートSの有無を判定(ステップS810)し、どれか一つの排出部112,113でも完全にシートSが無くなった場合、解除要因が発生したと判定し保存された設定のまま給送動作を続ける。
【0046】
上記判定結果をもとに、解除要因が発生したと判定したことで通常動作が再開されるため、操作者は大きな負荷を感じることなくスキャン動作を行うことできる。
【0047】
なお、本実施形態では、各排出部112,113に積載されたシートSが満杯になったことを検知するために、シート収容量検知手段400を設けているが、例えば、このシート収容量検知手段400としてフォトインタラプタなどの光学センサを使用した場合、押圧板160がシート収容量検知手段400を遮光したことをトリガにして排出部112,113が満杯状況だと検知するようにしてもよい。
【0048】
以下、図7を参照して、排出部112,113に積載されたシートSを検知するために、2つの排出部112,113に対応して二組のセンサユニットが配置され、例えば、発光部301に赤外線発光ダイオードを使用し、受光部302にフォトダイオードを使用した場合についてセンサ制御について説明する。なお、図7は、本発明の実施形態1に係るシート情報読取装置のシート検知制御の一例に関するフローチャート図である。なお、受光部301に関してはフォトダイオードに限ったものでなく、フォトトランジスタなど赤外光を電気信号に変換できる他の光学センサを使用してもよい。
【0049】
図5及び図7に示すように、発光タイミング決定部504により、所定タイミングがくると発光部301Aは一定期間発光する(ステップS901〜S902)。
【0050】
次に、発光部301Aが発光した後、発光部301Aの該発光量に応じた電圧値をA/D変換するタイミングを待ち、所定のタイミングでA/D変換を開始する(ステップS903〜S904)。このとき、A/D変換を行うタイミングがきたことでA/D変換を開始し、その時の電圧値をメモリ510の保存領域Aに保存する(ステップS905)。
【0051】
次いで、メモリ510の保存領域Aに保存された値と、比較部511が所定の保存値を比較し(ステップS906)、比較した結果を元に、センサユニットは各排出部112,113でのシートの有無を判定する(ステップS907)
【0052】
次に、発光部301Bが発光するタイミングを待ち、発行タイミングがきたら発光する(ステップS908〜S909)。また、発光部301Bが発光した発光量を受光した受光部302は、受光量に応じた電流値を流す。流れた電流値を電圧変換部505により電圧値に変換し、変換した電圧値を増幅部506により増幅するまでの間、制御部501がA/D変換を行うタイミングを調整する(ステップS910)。
【0053】
以後(ステップS910〜S914)は、各排出部112,113でシートSの有無の判定方法と同じ判定方法を行っており、発光部301Bは発光タイミングをずらしているので、発光部301Aと発光部301Bとが同時に発光することがなく、受光部302が受光する該光は合成されることがない。
【0054】
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係るシート情報読取装置の斜視図である。図8に示すように、シート情報読取装置の一例であるチェックスキャナ100Aは、小切手等のシートSの表裏の情報読取等を行うシート処理装置である。チェックスキャナ100Aは、シート分離給送装置としての分離搬送部910を備える。分離搬送部910は、シートSの束(図1のシートSの束に相当)を立てた状態で載置するシート載置部911(図1のシート収容部のうち給送部に相当)を備え、シートSを立てた状態でスリット912を通して処理部20に一枚ずつ搬送する。
【0055】
なお、シートの搬送路内には、1つ又は複数のレジストセンサ(図示しない)が設けられている。レジストセンサは、シートへの各種処理タイミングを図るために、シートの到達及び通過を検知している。
【0056】
シートSを一枚ずつ分離する分離機構部の直後にある処理部920にはシートSの磁気情報を読み取る磁気センサ、及び、シートSの片面の画像の読み取りを行う撮像センサが設けられる。ここでの処理部920では、まず、分離直後のシートSに含まれる磁気情報を磁気センサによって読み取り、例えば、磁気インク文字認識を行う。そして、シートSの磁気情報を読み取った後は、シートSの磁気インク文字付与面の画像を読み取るようにする。もちろん、磁気インク文字の読み取り前に、シートSの磁気インク文字面の画像を読み取るようにしてもよい。処理部920を通過したシートSは、立てた状態で湾曲搬送部930、本実施形態ではM字形状の搬送路に沿って処理部940へ搬送される。同図の矢印はシートSの搬送方向を示している。
【0057】
処理部940はシートSへの印刷を行う印刷ヘッドやシートSの片面の画像の読み取りを行う撮像センサが設けられる。ここでの処理部940では、まず、搬送方向上流側の処理部920での読み取り結果(磁気インク文字認識の判定結果等)に基づいて、所定の印刷処理が行われる。また、画像の読み取り処理は、シートSの印刷処理面面の画像を読み取るようにする。処理部940を通過したシートSは複数の排出部950のいずれかに排出されて一単位の処理が終了する。
【0058】
なお、このような構成のチェックスキャナ100Aの排出部950は、複数設けられており、上述した実施形態1と同様に、図示しないが、各排出部950でのシートの有無を検知するためのシート検知手段やシート収容量検知手段を設けている。また、本実施形態のチェックスキャナ100Aは、上述したように搬送路をM字形状で湾曲搬送している。これにより、チェックスキャナ100Aの本体を大型化させることなく、搬送路の全長を長く確保し、搬送路内でシートSを待機させておくことができる。したがって、シート収容量検知手段によって排出部950のシートSが満杯であると検知した場合には、搬送路内でシートSを待機させておくことができる。また、排出部950のいずれかに空きができた場合には、搬送路内で待機させていたシートの排出を再開することができ、これと共にシートの給送も再開することができる。これにより、シートの処理効率を向上することができる。
【0059】
(他の実施形態)
以上、本発明を実施形態1及び2に基づいて詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態1及び2に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1及び2では、チェックスキャナ100を例示して説明したが、本発明は勿論これに限定されるものでなく、例えば、ドキュメントスキャナ、チェックスキャナ以外のスキャナ(画像読取装置)、プリンタ、ファクシミリ、複合機等に広く適用することができる。
【0060】
また、上述した実施形態1及び2では、いずれも光センサとして、発光センサが赤外線発光ダイオード、受光センサにフォトダイオードを例に説明しているが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、発光素子と受光素子を、導光体を用いて光路を介して結合するようにした各種の光センサ、例えばフォトリフレクタやフォトインタラプタなどを使用しても実施することができる。
【0061】
さらに、上述した実施形態1及び2では、排出部だけにシート検知手段を配置した例について説明したが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、シートの給送部においてもシートの有無を検知できるようにしてもよい。具体的には、図9に示すように、給送部111側の排出部112の発光部301を給送部111の発光部301として共有化し、その共有の発光部301に対向して受光部302を対向配置することにより給送部111についてもシートの有無を検知できるようにしてもよい。この場合でも、給送部111及び排出部112,113において発光部301を共有部として用いることにより、給送部111においてシートの有無を検知できるようにしつつ、部品点数を少なくしてコストアップを防ぐことができる。なお、図9は、本発明の他の実施形態に係るシート処理装置のセンサユニットを示す概略図である。
【0062】
なお、本発明は、装置本体内に給送するためのシート、及び装置本体内から排出されるシートをそれぞれ別々に収容するシート収容部と、シート収容部に設けられてシートの有無を検知するシート検知手段とを備え、シート検知手段は、出力用センサ部及び入力用センサ部からなる二組のセンサユニットを有し、且つこれら二組のセンサユニットのうち一方のセンサユニットの出力用センサ部又は入力用センサ部が他方のセンサユニットのセンサ部を兼ねている点に特徴がある。そして、本発明はこのような構成によって、複数のシートを区分けして収容するシート収容部のシート収容状態を比較的簡単な構成で検知することができて低コスト化を実現したものである。このため、本発明は、上記の趣旨に反しない限り、センサの種類や配置、センサユニットとしての組み合わせ等は適宜、選択したり調整したりすることができる他、シート等の媒体の有無を検出する媒体検出装置及びその制御方法としても適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
S シート(シート束)
1 シート情報読取システム
100 チェックスキャナ
101 制御装置
102 イメージセンサ
103 磁気センサ
110 シート収容部
110a 壁部
111 給送部
112,113 排出部
120 給送ローラ
130 シート排出口
140 フラッパ
150 搬送ローラ
200 ホストコンピュータ
300 シート検知手段
301 発光部
302 受光部
310 導光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に給送するためのシート、及び前記装置本体内から排出されるシートをそれぞれ別々に収容するシート収容部と、
前記シート収容部に設けられてシートの有無を検知するシート検知手段とを備え、
前記シート検知手段は、出力用センサ部及び入力用センサ部からなる二組のセンサユニットを有し、且つ前記二組のセンサユニットのうち一方のセンサユニットの前記出力用センサ部又は前記入力用センサ部が他方のセンサユニットのセンサ部を兼ねていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記シート収容部は、複数の壁部によって区画された複数の収容部が並設されたものからなり、且つ前記出力用センサ及び入力用センサは、前記複数の収容部の両側にある壁部に対向配置されていることを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記装置本体内にシートを給送するシート給送手段と、
前記シート収容部に排出されるシートの収容量を検知するシート収容量検知手段とをさらに備え、
前記シート収容量検知手段の検知結果に基づいて前記シート給送手段によるシート給送動作を制御することを特徴とする請求項1又は2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記シート検知手段は、前記シート収容部内でシートが排出されるシート排出用収容部に設けられ、
前記シート収容量検知手段が前記シート排出用収容部において所定のシート収容量となったことを検知すると、前記シート給送手段によるシート給送を停止する一方、前記シート検知手段が前記シート排出用収容部にシートが無いことを検知すると前記シート給送手段によるシート給送を再開することを特徴とする請求項3記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記センサユニットは、前記出力用センサとしての発光部と、前記入力用センサとしての受光部とを有し、前記発光部又は前記受光部が前記二組のセンサユニットにおいて共通のセンサ部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記受光部が前記二組のセンサユニットにおいて共通の受光部であり、
前記二組のセンサユニットの各発光部と前記共通の受光部との間には、前記各発光部からの光を前記共通の受光部に導くために当該各発光部に対応して二つに分岐した形状の導光体が配置され、前記二組のセンサユニットの各発光部は、発光のタイミングがそれぞれ異なるように制御されることを特徴とする請求項5記載のシート処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート処理装置と、前記シート給送装置から給送されるシートを装置内で搬送するシート搬送手段と、装置内で搬送されるシートの情報を読み取る情報読取部とを備えたことを特徴とするシート情報読取装置。
【請求項8】
装置本体内に給送するためのシート、及び前記装置本体内から排出されるシートをそれぞれ別々に収容するシート収容部と、
前記シート収容部のうちシートが排出されるシート排出用収容部に設けられてシートの有無を検知するシート検知手段と、
前記シート排出用収容部に排出されるシートの収容量を検知するシート収容量検知手段と、
前記装置本体に設けられてシートの情報を読み取るシート情報読取部と、
前記シート収容部から前記装置本体内にシートを給送するシート給送手段と、
前記装置本体内でシートを搬送するシート搬送手段とを備え、
前記シート検知手段は、出力用センサ部及び入力用センサ部からなる二組のセンサユニットを有し、且つ前記二組のセンサユニットのうち一方のセンサユニットの前記出力用センサ部又は前記入力用センサ部が他方のセンサユニットのセンサ部を兼ねており、
前記シート収容量検知手段が前記シート排出用収容部において所定のシート収容量となったことを検知すると、前記シート給送手段によるシート給送を停止する一方、前記シート検知手段が前記シート排出用収容部にシートが無いことを検知すると、前記シート給送手段によるシート給送を再開することを特徴とするシート情報読取装置。
【請求項9】
前記シート給送を再開する場合には、前記シート給送を停止する前の前記シート情報読取部における読取設定でシートの読取を再開することを特徴とする請求項8記載のシート情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−246243(P2011−246243A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122016(P2010−122016)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】