説明

シート加工機

【課題】レーザ加工の位置検出の精度を向上させ、穴あけ加工と穴あけ検査とを行うことのできるシート加工機を提供する。
【解決手段】シート加工機50は、ハニカム構造体21を載置する載置部2、載置部2をガイド軸4に沿って移動させるためのモータ3、ハニカム構造体21の端面22を照射するための落射用照明11及び拡散照明12、落射用照明11の発光を反射するためのビームスプリッタ(光分岐部)15を備え、さらに撮影位置と加工位置とが同一の位置として定められており、撮影位置(加工位置)上にレーザ加工を行うレーザ(レーザ発振手段)7、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の軸線外にハニカム構造体21の端面22を撮影するカメラ(撮影手段)6、を備える。また撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の軸線上に可動なミラー16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に添付されたシートに穴あけ加工を行うシート加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、ボイラー等の排気ガス中の微粒子や有害物質は、環境への影響を考慮して排気ガス中から除去する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される微粒子(以下、PMということがある)の除去に関する規制は欧米、日本国内ともに強化される方向にあり、PMを除去するための捕集フィルタ(以下、DPFということがある)にハニカム構造体が用いられている。
【0003】
セラミックハニカム構造体の両端面でセルが交互に封止された構造のセラミック体を得るために、種々の製造方法が知られている。例えば、セラミックハニカム構造体の端面に貼り付けたシートの所定のセルに対応した位置に穴をあけてハニカム構造体毎に対応したマスクを作成し、マスクを貼り付けた面を封止用スラリーに浸漬し、マスクにあけられた穴から封止用スラリーをセル中に充填する方法がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特許第3715174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートの所定のセルに対応した位置に穴をあける方法にて製造する場合に、Φ270mmクラスでは14,000個の穴あけを行う必要があるが、今までは作業者の目視により検査を行っていた。つまり穴あけは自動化されたが、その穴あけ後の検査自動化は実現できていなかった。また穴あけの後に、穴あけ機から製品を移して、検査しようとすると、穴の有無、加工穴の大きさは画像処理で検出可能であるが、加工穴の位置ずれ(それぞれのセル中心に対してのずれ)は、検出困難であった。さらに、穴あけ機において同軸落射光学系を構成することが難しく、照明を確保して穴あけ機上で検査することが困難であった。そして、近年、目封止の品質に対する要求が厳しくなってきており、それに伴い、穴あけに要求される精度が厳しくなってきた。
【0006】
本発明の課題は、レーザ加工の位置検出の精度を向上させ、穴あけ加工と穴あけ検査とを行うことのできるシート加工機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
柱状に形成されたハニカム構造体の一方の端面を予め定められた方向に向けてハニカム構造体を撮影位置と加工位置とに位置決めする位置決め手段と、
ハニカム構造体の端面に貼付されたシートにレーザ光を照射することによりシートの穴あけ加工するためのレーザ発振手段と、
撮影位置に位置決めされたハニカム構造体の端面を斜光にて照射する拡散照明と、
撮影位置に位置決めされたハニカム構造体の長手方向の軸線上に可動な光分岐部と、
軸線外に設置され、軸線上に配置された光分岐部によって反射された反射光にて軸線と同軸に端面を照射する落射用照明と、
端面を撮影する撮影手段とを備え、
ハニカム構造体を撮影位置に位置決めし、光分岐部を軸線外の第一位置に配置して、拡散照明により斜光を端面に照射して撮影手段によって端面の第一画像を撮影し、
第一画像を画像処理することにより、ハニカム構造体のセル位置を認識した後、ハニカム構造体を加工位置に位置決めし、セル位置に基づき端面に貼付されたシートの穴あけ加工をレーザ発振手段によって行い、その後、
軸線上の第二位置に配置された光分岐部により落射用照明からの発光を反射して端面に照射し、光分岐部を透過した端面による反射光によって端面の第二画像を撮影手段により撮影し、第二画像を画像処理することにより穴あけ検査を行うシート加工機が提供される。
【0008】
本発明のシート加工機において、より具体的には、
撮影位置と加工位置とが異なった位置として定められ、
撮影手段は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体の軸線上に配置され、
レーザ発振手段は、加工位置に位置決めされたハニカム構造体の軸線上にレーザ光の光軸が軸線に沿うように配置され、
位置決め手段は、撮影位置にてハニカム構造体の第一画像を撮影後、ハニカム構造体を加工位置に位置決めし、レーザ発振手段によって穴あけ加工を行った後、撮影位置へ戻して第二画像を撮影するという構成を採用することができる。
【0009】
この場合において、位置決め手段によるハニカム構造体の撮影位置から加工位置への移動方向は、軸線と直交する方向に定められているように構成することができる。
【0010】
さらに本発明のシート加工機において、
撮影位置と加工位置とが同一の位置として定められ、
撮影位置に位置決めされたハニカム構造体の軸線上に可動なミラーを備え、
撮影手段は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体の軸線外に配置され、
ミラーを撮影位置に位置決めされたハニカム構造体の軸線上に、光分岐部を第一位置に配置した状態にて、拡散照明の端面による反射光をミラーにて反射して撮影手段によって撮影した端面の第一画像を画像処理し、
ハニカム構造体のセル位置を認識した後、穴あけ加工をミラーを軸線外に配置した状態にてレーザ発振手段によって行い、その後、
軸線上の第二位置に配置された光分岐部により落射用照明からの発光を反射して端面に照射し、光分岐部を透過した端面による反射光をさらに軸線上に配置されたミラーによって反射して、端面の第二画像を撮影手段により撮影し、第二画像を画像処理することにより穴あけ検査を行うという構成を採用することができる。
【0011】
上記の構成において第一画像の暗色系画像部をセル位置として認識することができる。また、第二画像の暗色系画像をレーザ光による穴あけ加工によって形成された穴として認識することができる。さらに光分岐部は、三角プリズム又はハーフミラーによって構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシート加工機は、位置決め手段により、ハニカム構造体を撮影位置に位置決めし、光分岐部を軸線外の第一位置に配置して、拡散照明により斜光を端面に照射して撮影手段によって端面の第一画像を撮影することができる。拡散照明により斜光を端面に照射することにより、ハニカム構造体のセル内を暗色系画像部とし、セルの隔壁を明色系画像部として、撮影することができる。
【0013】
そして、第一画像を画像処理することにより、暗色系画像部と明色系画像部とからハニカム構造体のセル位置を認識した後、ハニカム構造体を加工位置に位置決めし、認識したセル位置に基づき端面に貼付されたシートの穴あけ加工をレーザ発振手段によって行うことができる。
【0014】
さらに、軸線上の第二位置に配置された光分岐部により落射用照明からの発光を反射して端面に照射し、光分岐部を透過した端面による反射光によって端面の第二画像を撮影手段により撮影することができる。同軸落射照明を利用するため、穴と穴以外のコントラストが明瞭となり、精度よく撮影することができる。そして、第二画像を画像処理し、暗色系画像部を穴あけ加工によって形成された穴として認識して、その穴がセル位置に対して予め定められた位置に形成されたか否かを判断して、穴あけ加工による加工が正常に行われたか否かを判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。なお、本明細書にいう「ハニカム構造体」には、焼成体のみならず、未焼成の乾燥体(坏土の押出成形体に乾燥のみを施し、未だ焼成されていないもの)も含まれる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態であるシート加工機1を示す。シート加工機1は、ハニカム構造体21を載置する載置部2、載置部2をガイド軸4に沿って移動させるためのモータ3、ハニカム構造体21の端面22を照射するための落射用照明11及び拡散照明12、落射用照明11の発光を反射するためのビームスプリッタ(光分岐部)15を備え、さらに撮影位置上にハニカム構造体21の端面22を撮影するカメラ(撮影手段)6、加工位置上にレーザ加工を行うレーザ(レーザ発振手段)7を備える。
【0017】
載置部2は、目封止されていないハニカム構造体21を載置して、ガイド軸4に沿ってモータ3によって、撮影位置と加工位置とを移動可能に構成されている。位置決め手段によるハニカム構造体21の撮影位置から加工位置への移動方向は、軸線と直交する方向に定められている。これにより、ハニカム構造体21をそれぞれの位置に位置決めすることができる。すなわち、載置部2、ガイド軸4、モータ3は、柱状に形成されたハニカム構造体21の一方の端面22を予め定められた方向に向けてハニカム構造体21を撮影位置と加工位置とに位置決めする位置決め手段を構成する。
【0018】
レーザ発振手段であるレーザ7は、加工位置に位置決めされたハニカム構造体21の軸線上にレーザ光の光軸が軸線に沿うように配置されており、ハニカム構造体21の端面22に貼付されたシート24にレーザ光を照射することによりシート24の穴あけ加工を行う。
【0019】
本実施の形態のシート加工機1に用いられるレーザ7としては、例えば、YAGレーザ、CO2レーザ、又はUVレーザ等を好適に用いることができる。このようなレーザ7を用いることにより、例えば、ハニカム構造体21の端面に貼付したシート24に穴あけ加工することができる。また、このレーザ7は、市販のレーザマーカ、例えば、ガルバノミラー走査方式のレーザマーカ等を好適に用いることができるため、シート加工機1の低コスト化を実現することができる。また、レーザ加工面を一定にするため、ハニカム構造体21の上端面22の高さ方向を検出し調整する機構を位置決め手段の載置部2に設けることが好ましい。
【0020】
拡散照明12は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の端面を斜光にて照射する。拡散照明は、例えば、光源となるLEDと、LDEからの光を拡散させる光拡散体とを備えて構成される。または、ハロゲンや水銀などのランプ光源や、安価で輝度の安定した蛍光灯を拡散照明として用いることもできる。
【0021】
光分岐部であるビームスプリッタ15は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の長手方向の軸線上に可動に構成されている。すなわち軸線外の第一位置と軸線上の第二位置とを移動することができる。ビームスプリッタ15は、入射光を透過光と反射光に分離させるものであり、三角プリズム、ハーフミラー等によって構成することができる。具体的には、複数の三角プリズムを貼り合わせてキューブ型のビームスプリッタとし、その貼り合わせ面を分割面として、光ビームを反射光と透過光に分割するように構成することもできる。或いは、板状のハーフミラーを用いた場合は、三角プリズムを用いた場合よりも低廉に構成することができる。
【0022】
落射用照明11は、例えば、光源となるLEDを備えて構成される。落射用照明11は、ビームスプリッタ15が第二位置に配置されると、ビームスプリッタ15によって、発光をハニカム構造体21の端面22に照射することができる。また、撮影手段を構成するカメラ6は、CCDカメラを好適に用いることができる。
【0023】
上記シート加工機1によって、ハニカム構造体21の端面22に貼付されたシート24にレーザ光を照射することによりシート24の穴あけ加工するため、まず、図2に示すようなセラミックハニカム構造体21(焼成前のセラミックハニカム構造体)を準備する。セラミックハニカム構造体21としては、従来から知られているコージェライトからなるセラミックハニカム構造体を好適に使用できる。セラミックハニカム構造体21は、原料を混合後口金から押し出すことで従来と同様に作製することができる。
【0024】
図2(a)に示すように、セラミックハニカム構造体21の端面22とほぼ同じ形状のシート24を準備し、図2(b)に示すように、目封止されていないハニカム構造体21の端面22にシート24を貼り付ける。シート24としては市販の粘着シートを使用することができる。そして、ハニカム構造体21を図1に示すように、シート加工機1の載置部2に載置して、レーザ7による穴あけ加工を行う。
【0025】
次に、図3〜図6のフローチャートを用いて、レーザ加工工程について説明する。図3にレーザ加工工程の全体工程を示す。シート加工機1は、載置部2に載置された目封止されていないハニカム構造体21のセル位置確認工程を行い(S1)、その結果に基づいて、穴あけ加工工程を行って、シートに穴を形成する(S2)。続いて、穴あけ検査工程を行い、その穴がセル位置に対して予め定められた位置に形成されたか否かを判断して、穴あけ加工による加工が正常に行われたか否かを判断する(S3)。次に、これら各工程の詳細について、図4〜図6を用いて説明する。
【0026】
まず、S1のセル位置確認工程の詳細について図4を用いて説明する。シート加工機1は、載置部2に載置されたハニカム構造体21をモータ3によって、撮影位置に移動させる(S11:図1参照)。次にビームスプリッタ15を第一位置とし(S12)、拡散照明12をオンとする(S13)。そして、拡散照明12を照射されたハニカム構造体21の端面22の第一画像を撮影する(S14)。
【0027】
図7に拡散照明によって撮影した端面22の第一画像の例を模式的に示す。拡散照明12によって、シート24を透過して、端面22を撮影することができる。端面22は、その隔壁部22aが明色系画像部、セル22b内が暗色系画像部として撮影される。すなわち図4のS15において、シート加工機1は、暗色系画像部をセル22b内として認識することができる。そして、シート24の所定のセル22b内に相当する位置に、穴あけ加工工程(S2)において、穴を形成する。
【0028】
S2の穴あけ加工工程の詳細について図5を用いて説明する。シート加工機1は、載置部2に載置されたハニカム構造体21をモータ3によって、加工位置に移動させる(S21:図1参照)。第一画像を画像処理することにより、ハニカム構造体21のセル位置を認識したその認識結果に基づき、端面22に貼付されたシート24の穴あけ加工を行う(S22)。そして、シート加工機1は、載置部2に載置されたハニカム構造体21をモータ3によって、撮影位置に再び移動させる(S23)。
【0029】
次にS3の穴あけ検査工程の詳細について図6を用いて説明する。シート加工機1は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の長手方向の軸線上の第二位置へビームスプリッタ15を配置し(S31)、落射用照明11をオンとして(S32)、カメラ6にて第二画像を撮影する(S33)。
【0030】
図8に落射照明によって撮影した端面22の第二画像の例を模式的に示す。落射用照明11によって、シート24を透過して、端面22を撮影することができる。つまり、ビームスプリッタ15により軸線と同軸に発光が照射されるため、穴25の外縁を明瞭に撮影することができる。シート24は、明色系画像部、端面22は、その隔壁部22aがシート24よりはやや暗色の明色系画像部として撮影される。また、シート24に形成された穴25は、その後側のセル22bを透過して撮影されるため、穴25は暗色系画像部として撮影される。すなわちS34において、シート加工機1は、暗色系画像部を穴25として認識することができる。
【0031】
図6に戻って、S34にて画像解析を行った後、シート加工機1は、所定セルの穴あけの有無、穴の大きさ、位置ずれが所定の基準以下であるか否かを判断する(S35)。所定の基準以下の場合(S35:YES)、そのハニカム構造体21を不良品として排出する(S36)。一方、所定の基準を満たすと判断した場合(S35:NO)、そのハニカム構造体21を良品として回収し(S36)、次の工程に進む。
【0032】
次にハニカム構造体21の目封止工程について図9(a)、図9(b)及び図10を用いて説明する。前工程において、穴あけが正常に行われたと判断された良品は、図9(a)に示すように、シート24に穴25が形成されている。図9(b)には、図9(a)のA−A断面図を示す。
【0033】
そしてこの良品について、図10(a)に示すように、穴25を明けたシート24を貼付した端面22を容器27内のスラリー26中に浸漬する。スラリー26は、目封じ部を形成する原料である、例えばコージェライト、コージェライト化原料、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネート及びリチウムアルミニウムシリケート等に、バインダー、分散媒等を加えた目封じ剤である。そして、図10(b)に示すように、押圧手段28を利用してセラミックハニカム構造体21を押すことで、スラリー26をシート24の穴25を介してセル22b内に圧入して充填する。その後、図10(c)に示すように、シート24を端面から剥がすことで一端面22に対する目封止を終了する。
【0034】
その後、同様の目封止を他の端面に対しても実施し、両端面の所定のセル22bにスラリー26を充填したセラミックハニカム構造体21を得る。最後に、両端面において所定のセル22bにスラリー26を充填したセラミックハニカム構造体21を焼成することで、目的とするセラミックハニカム構造体21の両端面でセル22bが交互に封止された構造のセラミック体を得ることができる。このようなセラミック体は、主に、ディーゼルエンジンの黒鉛等を除去するために使用されるDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)として利用される。
【0035】
以上のように、拡散照明12を用いて第一画像を撮影することにより、セル位置を明瞭に撮影することができる。また、落射用照明11を用いて同軸落射照明として撮影することにより、穴25を明瞭に撮影することができる。したがって、シート加工機1によって、精度よく穴あけ加工を行うとともに、穴あけ検査を画像処理により自動化して行うことができる。
【0036】
次に、他の実施形態のシート加工機50を図11に示す。シート加工機50は、ハニカム構造体21を載置する載置部2、載置部2をガイド軸4に沿って移動させるためのモータ3、ハニカム構造体21の端面22を照射するための落射用照明11及び拡散照明12、落射用照明11の発光を反射するためのビームスプリッタ(光分岐部)15を備え、さらに撮影位置と加工位置とが同一の位置として定められており、撮影位置(加工位置)上にレーザ加工を行うレーザ(レーザ発振手段)7、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の軸線外にハニカム構造体21の端面22を撮影するカメラ(撮影手段)6、を備える。また撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の軸線上に可動なミラー16を備える。
【0037】
載置部2は、ハニカム構造体21を載置して、ガイド軸4に沿ってモータ3によって移動し、撮影位置(加工位置)にハニカム構造体21を位置決めすることができる。
【0038】
レーザ発振手段であるレーザ7は、加工位置に位置決めされたハニカム構造体21の軸線上にレーザ光の光軸が軸線に沿うように配置されており、ハニカム構造体21の端面22に貼付されたシート24にレーザ光を照射することによりシート24の穴あけ加工を行う。
【0039】
拡散照明12は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の端面22を斜光にて照射する。光分岐部であるビームスプリッタ15は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の長手方向の軸線上に可動に構成されている。すなわち軸線外の第一位置と軸線上の第二位置とを移動することができる。落射用照明11は、ビームスプリッタ15が第二位置に配置されると、ビームスプリッタ15によって、発光をハニカム構造体21の端面22に照射することができる。
【0040】
ミラー16は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の長手方向の軸線上に可動に構成されている。すなわち軸線外の第一位置と軸線上の第二位置とを移動することができる。ミラー16を第二位置に移動することにより、ミラー16の反射によってカメラ6にて端面22の画像を撮影することができる。
【0041】
上記シート加工機50によって、ハニカム構造体21の端面22に貼付されたシート24にレーザ光を照射することによりシート24の穴あけ加工するため、前述の実施形態と同様にハニカム構造体21の端面22にシート24を貼り付け(図2参照)、シート加工機50の載置部2に載置する。
【0042】
次に、図12〜図15のフローチャートを用いて、この実施形態のレーザ加工工程について説明する。図12にレーザ加工工程の全体工程を示す。シート加工機50は、載置部2に載置されたハニカム構造体21の端面22を複数のブロックに分割し、その第一ブロックについてセル位置確認工程を行い(T1)、その結果に基づいて、穴あけ加工工程を行って、シートに穴を形成する(T2)。続いて、穴あけ検査工程を行い、その穴がセル位置に対して予め定められた位置に形成されたか否かを判断して、穴あけ加工による加工が正常に行われたか否かを判断する(T3)。シート加工機50は、全てのブロックについてレーザ加工が終了したかを判断し、終了していないならば(T4:NO)、隣接ブロックに移動して(T5)、T1へ戻る。全てのブロックについて終了していれば(T4:YES)、レーザ加工工程を終了する。次に、これら各工程の詳細について、図13〜図15を用いて説明する。
【0043】
まず、T1のセル位置確認工程の詳細について図13を用いて説明する。シート加工機50は、載置部2に載置されたハニカム構造体21をモータ3によって、撮影位置(この実施形態においては加工位置でもある)に移動させる(T11:図11参照)。次にミラー16を第二位置、ビームスプリッタ15を第一位置とし(T12)、拡散照明12をオンとする(T13)。そして、拡散照明12を照射されたハニカム構造体21の端面22の第一画像をミラー16を介してカメラ6で撮影する(T14)。
【0044】
この実施形態においても、前述の実施形態の図7と同様の拡散照明による第一画像が得られる。すなわち端面22は、その隔壁部22aが明色系画像部、セル22b内が暗色系画像部として撮影される。すなわち図13のT15において、シート加工機50は、暗色系画像部をセル22b内として認識することができる。このとき、端面22の基準点を基に穴あけ加工パターンを決定する。そして、シート24の所定のセル22b内に相当する位置に、穴あけ加工工程(T2)において、穴を形成する。
【0045】
T2の穴あけ加工工程の詳細について図14を用いて説明する。シート加工機50は、ミラー16を軸線外の第一位置、ビームスプリッタ15を軸線外の第一位置へ移動する(T21:図11参照)。第一画像を画像処理することにより、ハニカム構造体21のセル位置を認識したその認識結果に基づき、端面22に貼付されたシート24の穴あけ加工を行う(T22)。
【0046】
次にT3の穴あけ検査工程の詳細について図15を用いて説明する。シート加工機50は、撮影位置に位置決めされたハニカム構造体21の長手方向の軸線上の第二位置へミラー16を配置する。また同様にビームスプリッタ15を軸線上の第二位置に配置する(T31)。落射用照明11をオンとして(T32)、カメラ6にて第二画像を撮影する(T33)。
【0047】
この実施形態においても、前述の実施形態の図8と同様の落射照明による第二画像が得られる。すなわち、ビームスプリッタ15により軸線と同軸に発光が照射されるため、穴25の外縁を明瞭に撮影することができる。シート24は、明色系画像部、端面22は、その隔壁部22aがシート24よりはやや暗色の明色系画像部として撮影される。また、シート24に形成された穴25は、その後側のセル22bを透過して撮影されるため、穴25は暗色系画像部として撮影される。すなわちT34において、シート加工機50は、暗色系画像部を穴25として認識することができる。
【0048】
図15に戻って、T34にて画像解析を行った後、シート加工機50は、セル位置情報と第二画像による穴情報を比較して、所定セルの穴あけの有無、穴の大きさ、位置ずれが所定の基準以下であるか否かを判断する(T35)。所定の基準以下の場合(T35:YES)、そのハニカム構造体21を不良品として排出する(T36)。一方、所定の基準を満たすと判断した場合(T35:NO)、そのハニカム構造体21を良品として回収し(T36)、次の工程に進む。
【0049】
図12のT4にて全てのブロックについて終了していないと判断すると、図16に示すように隣接ブロックに移動して(T5)、同様の工程を実施する。このとき、シート加工機50は、ミラー16とビームスプリッタ15をレーザ7と同軸上のままとした状態で、落射照明により、加工エリアよりわずかに広いカメラエリアのために見える、加工済みの穴25を検出し、穴加工済みセルを特定する。そして、ローアングル照明(拡散照明12)を点灯させセル位置を検出し、加工済みセルを基準に穴あけ加工パターンを決定する。そして、前述の穴あけ加工を同様に行う。
【0050】
全てのブロックを終了すると(T4:YES)、前述の実施形態と同様に、ハニカム構造体21の目封止を行い、両端面の所定のセル3にスラリー6を充填したセラミックハニカム構造体21を得る。最後に、両端面において所定のセル22bにスラリー6を充填したセラミックハニカム構造体21を焼成することで、目的とするセラミックハニカム構造体21の両端面でセル22bが交互に封止された構造のセラミック体を得ることができる。
【0051】
以上のように、拡散照明12を用いて第一画像を撮影することにより、セル位置を明瞭に撮影することができる。また、落射用照明11を用いて同軸落射照明として撮影することにより、穴25を明瞭に撮影することができる。したがって、シート加工機50によって、精度よく穴あけ加工を行うとともに、穴あけ検査を画像処理により自動化して行うことができる。また、この実施形態においては、撮影位置と加工位置とが同一として構成されているため、撮影と加工に要する時間を短縮することができる。さらに、撮影工程と加工工程においてハニカム構造体21を移動しないため、位置決めによる誤差が発生することを防止し、精度よく穴あけ加工、穴あけ検査を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、レーザを用いて所定の位置にレーザ加工を施すシート加工機として利用でき、特に、ディーゼルエンジンの黒鉛等を除去するために使用されるDPFとして利用されるハニカム構造体を製造する際に、ハニカム構造体に添付されたシートに穴あけ加工を行うシート加工機として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態としてのシート加工機を示す図である。
【図2(a)】ハニカム構造体へのシートの貼付を示す図である。
【図2(b)】シートが貼付されたハニカム構造体を示す図である。
【図3】レーザ加工工程を示すフローチャートである。
【図4】セル位置確認工程の詳細を示すフローチャートである。
【図5】穴あけ加工工程の詳細を示すフローチャートである。
【図6】穴あけ検査工程の詳細を示すフローチャートである。
【図7】拡散照明による第一画像の模式図である。
【図8】落射照明による第二画像の模式図である。
【図9(a)】穴あけ工程が終了したハニカム構造体を示す図である。
【図9(b)】図9(a)のA−A断面図である。
【図10】図10(a)は、ハニカム構造体の目封止工程を示す図、図10(b)は、図10(a)に続く工程を示す図、図10(c)は、目封止されたハニカム構造体を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態のシート加工機を示す図である。
【図12】他の実施形態のレーザ加工工程を示すフローチャートである。
【図13】他の実施形態のセル位置確認工程の詳細を示すフローチャートである。
【図14】他の実施形態の穴あけ加工工程の詳細を示すフローチャートである。
【図15】他の実施形態の穴あけ検査工程の詳細を示すフローチャートである。
【図16】ブロックを説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
1:シート加工機、2:載置部、3:モータ、4:ガイド軸、6:カメラ、7:レーザ、11:射用照明、12:拡散照明、15:ビームスプリッタ、16:ミラー、21:ハニカム構造体、22:端面、22a:隔壁部、22b:セル、24:シート、25:穴、26:スラリー、50:シート加工機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状に形成されたハニカム構造体の一方の端面を予め定められた方向に向けて前記ハニカム構造体を撮影位置と加工位置とに位置決めする位置決め手段と、
前記ハニカム構造体の前記端面に貼付されたシートにレーザ光を照射することにより前記シートの穴あけ加工するためのレーザ発振手段と、
前記撮影位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の前記端面を斜光にて照射する拡散照明と、
前記撮影位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の長手方向の軸線上に可動な光分岐部と、
前記軸線外に設置され、前記軸線上に配置された前記光分岐部によって反射された反射光にて前記軸線と同軸に前記端面を照射する落射用照明と、
前記端面を撮影する撮影手段とを備え、
前記ハニカム構造体を前記撮影位置に位置決めし、前記光分岐部を前記軸線外の第一位置に配置して、前記拡散照明により斜光を前記端面に照射して前記撮影手段によって前記端面の第一画像を撮影し、
前記第一画像を画像処理することにより、前記ハニカム構造体のセル位置を認識した後、前記ハニカム構造体を前記加工位置に位置決めし、前記セル位置に基づき前記端面に貼付された前記シートの穴あけ加工を前記レーザ発振手段によって行い、その後、
前記軸線上の第二位置に配置された前記光分岐部により前記落射用照明からの発光を反射して前記端面に照射し、前記光分岐部を透過した前記端面による反射光によって前記端面の第二画像を前記撮影手段により撮影し、前記第二画像を画像処理することにより穴あけ検査を行うシート加工機。
【請求項2】
前記撮影位置と前記加工位置とが異なった位置として定められ、
前記撮影手段は、前記撮影位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の前記軸線上に配置され、
前記レーザ発振手段は、前記加工位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の前記軸線上に前記レーザ光の光軸が前記軸線に沿うように配置され、
前記位置決め手段は、前記撮影位置にて前記ハニカム構造体の前記第一画像を撮影後、前記ハニカム構造体を前記加工位置に位置決めし、前記レーザ発振手段によって前記穴あけ加工を行った後、前記撮影位置へ戻して前記第二画像を撮影する請求項1に記載のシート加工機。
【請求項3】
前記位置決め手段による前記ハニカム構造体の前記撮影位置から前記加工位置への移動方向は、前記軸線と直交する方向に定められている請求項2に記載のシート加工機。
【請求項4】
前記撮影位置と前記加工位置とが同一の位置として定められ、
前記撮影位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の前記軸線上に可動なミラーを備え、
前記撮影手段は、前記撮影位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の前記軸線外に配置され、
前記ミラーを前記撮影位置に位置決めされた前記ハニカム構造体の前記軸線上に、前記光分岐部を前記第一位置に配置した状態にて、前記拡散照明の前記端面による反射光を前記ミラーにて反射して前記撮影手段によって撮影した前記端面の前記第一画像を画像処理し、
前記ハニカム構造体の前記セル位置を認識した後、前記穴あけ加工を前記ミラーを前記軸線外に配置した状態にて前記レーザ発振手段によって行い、その後、
前記軸線上の前記第二位置に配置された前記光分岐部により前記落射用照明からの発光を反射して前記端面に照射し、前記光分岐部を透過した前記端面による反射光をさらに前記軸線上に配置された前記ミラーによって反射して、前記端面の第二画像を前記撮影手段により撮影し、前記第二画像を画像処理することにより前記穴あけ検査を行う請求項1に記載のシート加工機。
【請求項5】
前記第一画像の暗色系画像部を前記セル位置として認識する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート加工機。
【請求項6】
前記第二画像の暗色系画像を前記レーザ光による前記穴あけ加工によって形成された穴として認識する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート加工機。
【請求項7】
前記光分岐部は、三角プリズム又はハーフミラーによって構成された請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート加工機。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−313741(P2007−313741A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145171(P2006−145171)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】