説明

シール部材、現像装置、及び、画像形成装置

【課題】シール部材と現像剤担持体との接触面に侵入した現像剤を接触面から取り除く。
【解決手段】現像装置200に用いられるシール部材20であって、現像剤を現像剤担持体(現像ローラ4)に供給する現像剤供給部材(供給ローラ5)の端面と接触して現像剤の外部への漏れを防止する封止部材(サイドスポンジ19)の、現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面に、貼り付けられる粘着面20bと、現像剤担持体の外周に沿って現像剤担持体の端部と接触する接触面20aとを有しており、接触面は、1乃至複数の溝23を備え、1乃至複数の溝は、現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置の現像剤担持体とその端部の周面を封止する封止部材との間に設けられるシール部材、現像装置、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像装置は、像担持体である感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤(トナー)を付着させて現像する現像剤担持体としての現像ローラと、現像剤を現像ローラに供給する現像剤供給部材としての供給ローラと、現像剤を貯蔵する貯蔵室とを有している。
【0003】
現像装置は、貯蔵室の両サイドに、サイドスポンジと称される、ウレタンフォーム(polyurethane foam)等の弾性部材によって構成された部材を有している。サイドスポンジは、現像剤供給部材である供給ローラの端面と接触しており、これにより、現像剤が供給ローラの端面部分から貯蔵室の外部に漏れるのを防止する封止部材として機能する。また、サイドスポンジは、現像剤担持体である現像ローラの端部の周面と接触しており、これにより、現像剤が現像ローラの周面部分から貯蔵室の外部に漏れるのを防止する封止部材としても機能する。
【0004】
サイドスポンジは、現像剤担持体である現像ローラの端部の周面と対向する面(以下、「対向面」と称する)を備えている。この対向面は、現像ローラの周面と好適に接触するように、円弧状に形成されている。現像装置の中には、その対向面に、シール部材が貼り付けられているものがある(特許文献1参照)。
【0005】
このシール部材は、現像ローラとサイドスポンジとの間のシール性(密封性)を向上させるためのものである。すなわち、このシール部材は、現像ローラの端部の周面に沿って現像ローラの端部と接触することにより、現像ローラの周面部分のシール性(密封性)を向上させ、もって、現像装置の現像剤漏れ防止能力を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−121989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の現像装置は、現像剤がシール部材と現像ローラとの間の接触面に侵入すると、現像剤が周囲の熱によって溶融し、その後、放熱して固化する。これにより、現像剤が、接触面に固着する。
【0008】
この接触面に固着した現像剤は、現像ローラが回転すると、現像ローラを削ってゆく。
そのため、従来の現像装置は、この接触面に固着した現像剤の影響により、現像剤漏れが発生する場合がある、という課題があった。
【0009】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、シール部材と現像剤担持体との間の接触面に侵入する現像剤を接触面から取り除く機能を果たすシール部材を提供すること、また、このシール部材を用いる現像装置、及び、その現像装置を用いる画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、第1発明は、現像装置に用いられるシール部材であって、現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材の端面と接触して当該現像剤の外部への漏れを防止する封止部材の、当該現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面に、貼り付けられる粘着面と、前記現像剤担持体の端部の周面に沿って前記現像剤担持体の端部と接触する接触面とを有しており、前記接触面は、1乃至複数の溝を備え、前記1乃至複数の溝は、前記現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成されている構成とする。
【0011】
このシール部材は、1乃至複数の溝によって、シール部材と現像剤担持体との間の接触面に侵入する現像剤を、所定の方向(好ましくは、接触面の内側)に向けて誘導する。そのため、このシール部材は、現像剤を接触面から取り除く機能を果たすことができる。
【0012】
また、第2発明は、現像剤を担持する現像剤担持体と、当該現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、当該現像剤を貯蔵する貯蔵室とを有する現像装置であって、前記現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面を備えるとともに、前記現像剤供給部材の端面と接触して前記現像剤の外部への漏れを防止する、前記貯蔵室の両サイドに設けられた封止部材と、前記封止部材の前記対向面に貼り付けられたシール部材とを有し、前記シール部材は、前記現像剤担持体の端部の周面に沿って前記現像剤担持体の端部と接触する接触面に、1乃至複数の溝を備え、前記1乃至複数の溝は、前記現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成されている構成とする。
【0013】
この現像装置は、第1発明のシール部材が封止部材の対向面に貼り付けられた構成となっている。そのため、この現像装置は、第1発明のシール部材による機能(すなわち、現像剤を接触面から取り除く機能)を果たすことができる。
【0014】
また、第3発明は、現像剤を担持する現像剤担持体と、当該現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、当該現像剤を貯蔵する貯蔵室とを有する現像装置であって、前記現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面を備えるとともに、前記現像剤供給部材の端面と接触して前記現像剤の外部への漏れを防止する、前記貯蔵室の両サイドに設けられた封止部材と、前記封止部材の前記対向面に貼り付けられたシール部材とを有し、前記封止部材は、前記対向面に、前記現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成された、1乃至複数の溝を備え、前記シール部材は、前記現像剤担持体の周面に沿って前記現像剤担持体の端部と接触するように、前記1乃至複数の溝に沿って前記封止部材の前記対向面に貼り付けられている構成とする。
【0015】
この現像装置は、シール部材が封止部材の対向面に形成された溝に沿って貼り付けられている。そのため、シール部材の表面は、封止部材の対向面の形状に応じて、1乃至複数の溝を備えた形状となる。その結果、この現像装置は、第1発明のシール部材を用いた場合と同様の機能(すなわち、現像剤を接触面から取り除く機能)を果たすことができる。
【0016】
また、第4発明は、画像形成装置であって、第2発明及び第3発明のいずれか一方の現像装置を用いる構成とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、シール部材と現像剤担持体との間の接触面に侵入する現像剤を接触面から取り除く機能を果たすシール部材を提供することができる。
また、第2発明によれば、第1発明のシール部材を用いる現像装置を提供することができる。
また、第3発明によれば、第1発明のシール部材を用いた場合と同様の機能(すなわち、現像剤をシール部材と現像剤担持体との間の接触面から取り除く機能)を有する現像装置を提供することができる。
また、第4発明によれば、第2発明及び第3発明のいずれか一方の現像装置を用いる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの構成を示す図である。
【図3】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(1)である。
【図4】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(2)である。
【図5】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(3)である。
【図6】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(4)である。
【図7】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(5)である。
【図8】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(6)である。
【図9】実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図(7)である。
【図10】実施形態1に係るシール部材の構成を示す図である。
【図11】実施形態1に係るシール部材の説明図(1)である。
【図12】実施形態1に係るシール部材の説明図(2)である。
【図13】実施形態1に係るシール部材の説明図(3)である。
【図14】実施形態2に係るシール部材の説明図である。
【図15】実施形態3に係るシール部材の説明図(1)である。
【図16】実施形態3に係るシール部材の説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0020】
[実施形態1]
<画像形成装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る画像形成装置の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。図1は、本実施形態1に係る画像形成装置201の断面構成を示している。ここでは、画像形成装置201は、電子写真方式のプリンタであるものとして説明する。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置201は、画像形成ユニット1、露光装置17、用紙トレイ202、搬送ベルト203、転写ローラ205、定着器210、スタッカ212等を有している。ここでは、画像形成装置201は、図1に示すフロント側に、図示せぬ操作部や、記録媒体を手差しで画像形成装置201内に取り入れるための図示せぬ手差し用トレイ等を有しているものとして、説明する。
【0022】
画像形成ユニット1は、後記する感光体ドラム2の表面に現像剤像であるトナー像を形成する機構である。本実施形態では、画像形成ユニット1は、搬送ベルト203の上に、搬送ベルト203に沿って4つ設けられている。各画像形成ユニット1は、同じ構造となっている。ただし、各画像形成ユニット1は、異なる色の現像剤であるトナーを内部に収容しており、それぞれに対応する色の画像を形成する。画像形成ユニット1は、後記する現像装置200を内部に有している。画像形成ユニット1の詳細については、「現像装置を含む画像形成ユニットの構成」の章で説明する。
【0023】
露光装置17は、感光体ドラム2の表面を露光して、感光体ドラム2の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段である。露光装置17は、各感光体ドラム2と対向するように、画像形成ユニット1毎に、合計4つ設けられている。露光装置17によって静電潜像が形成された感光体ドラム2は、表面に、トナーが付着することにより、静電潜像がトナー像として顕像化(現像)される。露光装置17は、例えばデジタルLEDヘッド(図2参照)等によって構成されている。
【0024】
用紙トレイ202は、記録媒体を予め収容する収容部である。記録媒体は、用紙トレイ202から繰り出されて、搬送ベルト203まで搬送され、搬送ベルト203によって4つの画像形成ユニット1の各感光体ドラム2と接触しながら定着器210まで搬送される。その際に、記録媒体には、各感光体ドラム2の表面に形成されたトナー像が転写される。
【0025】
搬送ベルト203は、記録媒体を定着器210まで搬送する搬送手段である。搬送ベルト203は、記録媒体が4つの画像形成ユニット1の各感光体ドラム2と接触するように、記録媒体を搬送する。
【0026】
転写ローラ205は、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段である。転写ローラ205は、搬送ベルト203を介して各感光体ドラム2と対向するように、搬送ベルト203の内周に、画像形成ユニット1毎に、合計4つ設けられている。各転写ローラ205は、搬送ベルト203が記録媒体を搬送する際に、各感光体ドラム2の表面に形成されたトナー像と異なる極性に帯電することにより、各感光体ドラム2の表面に形成されたトナー像を引き寄せて、トナー像を記録媒体に転写する。
【0027】
定着器210は、記録媒体に転写されたトナー像を加熱・加圧して溶融させることにより、トナー像を記録媒体に定着させる定着手段である。
スタッカ212は、定着器210によって画像が定着された記録媒体を収容する収容部である。
【0028】
<現像装置を含む画像形成ユニットの構成>
以下、図2を参照して、本実施形態1に係る現像装置200を含む画像形成ユニット1の構成につき説明する。図2は、実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの構成を示す図である。図2は、画像形成ユニット1の断面構成を示している。
【0029】
図2に示すように、画像形成ユニット1は、感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像ローラ4、供給ローラ5、現像ブレード6、ベースフレーム7、トナー貯蔵室10、トナーカートリッジ11、アッパフレーム12、ロアフィルム13、シールスポンジ14、攪拌バー15、クリーニング部16等を有している。これらの構成要素の中で、現像ローラ4、供給ローラ5、現像ブレード6、ベースフレーム7、トナー貯蔵室10、トナーカートリッジ11、アッパフレーム12、ロアフィルム13、シールスポンジ14、攪拌バー15等の構成要素は、感光体ドラム2に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置200を構成している。
【0030】
感光体ドラム2は、外周表面に、静電潜像及びトナー像が形成される像担持体である。
帯電ローラ3は、感光体ドラム2の外周表面を一様に帯電させる部材である。帯電ローラ3は、感光体ドラム2と接触しており、帯電した状態で感光体ドラム2の回転に従動して回転することにより、感光体ドラム2の外周表面を一様に帯電させる。表面が帯電された感光体ドラム2は、露光装置17によって部分的に露光されることによって、表面に、静電潜像が形成される。
【0031】
現像ローラ4は、現像剤であるトナーを担持する現像剤担持体である。現像ローラ4は、感光体ドラム2と接触しており、トナーを担持した状態で回転して、トナーを感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像に付着させる。これにより、現像ローラ4は、静電潜像をトナー像として顕像化(現像)させる。
【0032】
供給ローラ5は、トナーを現像ローラ4に供給する現像剤供給部材である。供給ローラ5は、現像ローラ4の側方の外周と接触するように、トナー貯蔵室10内に設けられている。供給ローラ5は、回転して、トナー貯蔵室10内のトナーを現像ローラ4に供給する。
【0033】
現像ブレード6は、現像ローラ4に圧接して、現像ローラ4の表面に付着したトナーの層厚を規制する部材である。
ベースフレーム7は、各部材が取り付けられる支持部材である。
トナー貯蔵室10は、トナーを貯蔵する貯蔵部である。
トナーカートリッジ11は、トナーが予め収容された収容部である。トナーカートリッジ11は、トナー貯蔵室10の上方に着脱自在に装着され、トナーをトナー貯蔵室10内に供給する。
【0034】
アッパフレーム12は、トナーカートリッジ11が取り付けられる支持部材である。アッパフレーム12は、トナー貯蔵部10の上方に設けられており、上に、トナーカートリッジ11が着脱自在に装着される。アッパフレーム12は、開口12aが設けられている。トナーカートリッジ11に収容されたトナーは、この開口12aを通って、トナー貯蔵部10内に供給される。以下、開口12aを「トナー供給口12a」と称する。
【0035】
ロアフィルム13は、トナー貯蔵室10内のトナーが感光体ドラム2側に漏れるのを防止する封止部材である。ロアフィルム13は、現像ローラ4の下方の外周に一様に接触するように、現像ローラ4の長手方向に沿って配設されている。ロアフィルム13は、例えば熱可塑性ウレタンによって構成されており、現像ローラ4に圧接されて、トナー漏れ防止用の帯状体として機能する。
【0036】
シールスポンジ14は、トナー貯蔵室10とトナーカートリッジ11とを区画する部材である。シールスポンジ14は、トナー貯蔵室10の上方に位置するトナー供給口12aの周囲を囲むように、アッパフレーム12の上に取り付けられている。
攪拌バー15は、トナー貯蔵室10内のトナーを攪拌する部材である。攪拌バー15は、トナー貯蔵室10内のトナーを攪拌することにより、トナー貯蔵室10内のトナーを粒状に保ち、トナーが塊となるのを防止する。
【0037】
クリーニング部16は、感光体ドラム2の表面をクリーニングする機構である。クリーニング部16は、転写処理後に、ブレード部材を感光体ドラム2の表面に接触させることにより、感光体ドラム2の表面に残ったトナーを掻き落とす。これにより、クリーニング部16は、感光体ドラム2の表面をクリーニングする。
【0038】
画像形成ユニット1は、例えば図3〜図9に示す手順で組み立てられる。図3〜図9は、それぞれ、実施形態1に係る現像装置を含む画像形成ユニットの組み立て工程を示す図である。
【0039】
ここでは、画像形成ユニット1を構成する各構成要素に対し、画像形成ユニット1のフロント側から見て中央部よりも右側に配置された構成要素と左側に配置された構成要素とを区別する場合に、各構成要素を表す符号の末尾に、右側に配置された構成要素であることを表す記号「−R」及び左側に配置された構成要素であることを表す記号「−L」のいずれか一方を付すものとして、説明する。符号の末尾に記号「−R」が付された構成要素(右側に配置された構成要素)と符号の末尾に記号「−L」が付された構成要素(左側に配置された構成要素)とは、互いに、線対称な構成、又は、同一な構成となっている。
【0040】
なお、図3〜図9は、図1に示す矢印A方向(すなわち、リア側方向)から見た構成を示している。そのため、各図において、符号の末尾に記号「−R」が付された構成要素と符号の末尾に記号「−L」が付された構成要素とが、フロント側方向(図1及び図2参照)から見て逆向きに、示されている。
【0041】
まず、図3に示すように、供給ローラアセンブリ8が組み立てられる。この供給ローラアセンブリ8は、供給ローラ5とその周囲の部材が一体化された組み立て体である。図3に示す例では、供給ローラアセンブリ8は、供給ローラ5、撹拌バー15、及び、シールユニット9−R/Lによって、構成されている。
【0042】
シールユニット9−R/Lは、トナーがトナー貯蔵室10(図2及び図8参照)から外部に漏れるのを防止するためのユニットである。シールユニット9−R/Lは、トナー貯蔵室10の両サイドを封止するために、トナー貯蔵室10の両サイドに設けられている。
各シールユニット9は、それぞれ、サイドプレート18、サイドスポンジ19、シール部材20、サイドスポンジ26(図11参照)等によって、構成されている。
【0043】
サイドプレート18は、供給ローラ5、撹拌バー15、サイドスポンジ19、シール部材20、及びサイドスポンジ26(図11参照)を支持する支持部材である。サイドプレート18は、供給ローラ5、及び撹拌バー15を回転自在に支持する。また、サイドプレート18は、サイドスポンジ19、シール部材20、及びサイドスポンジ26を固定的に支持する。サイドプレート18は、例えばプラスチック等の樹脂によって構成されている。
【0044】
サイドスポンジ19は、供給ローラ5の端面と接触して、トナーが供給ローラ5の端面部分からトナー貯蔵室10の外部に漏れるのを防止する封止部材である。サイドスポンジ19は、ウレタンフォーム等の弾性を有するフォーム部材によって構成されている。サイドスポンジ19は、現像ローラ4の端部の周面と対向する対向面19a(図11参照)を備えている。対向面19aは、現像ローラ4の周面の形状に合わせて、曲率半径が現像ローラ4の半径に略等しい円弧状に形成されている。サイドスポンジ19は、この対向面19aで現像ローラ4の端部の周面と接触する。
【0045】
シール部材20は、現像ローラ4とサイドスポンジ19との間のシール性(密封性)を向上させる部材である。シール部材20は、サイドスポンジ19の対向面19a(厳密には、サイドスポンジ19の対向面19a及びサイドプレート18の内壁面18a(図11参照))に貼り付けられている。シール部材20の詳細については、「シール部材の構成」の章で説明する。
【0046】
サイドスポンジ26(図11参照)は、現像ローラ4及びシール部材20の端面と接触して、トナーが現像ローラ4及びシール部材20の端面部分からトナー貯蔵室10の外部に漏れるのを防止する封止部材である。以下、サイドスポンジ19を「第1封止部材」と称し、サイドスポンジ26を「第2封止部材」と称する場合もある。サイドスポンジ26は、サイドスポンジ19と同様に、ウレタンフォーム等の弾性を有するフォーム部材によって構成されている。サイドスポンジ19は、例えば図11に示すように、サイドプレートの内壁面18aに接着される面と、サイドプレートに形成された湾曲ガイド29の内径面29aに接着される面と、現像ローラ4の回転軸の周面と接触する面と、現像ローラ4及びシール部材20の端面と接触する面とを備えた形状となっている。
【0047】
供給ローラアセンブリ8は、ベースフレーム7の内部に搭載される。そのベースフレーム7の供給ローラアセンブリ8が搭載される位置には、供給ローラアセンブリ8の長手方向に沿って、フィルム貼り付け斜面7aが設けられている。そのフィルム貼り付け斜面7aには、ロアフィルム13が、貼り付けられている。ロアフィルム13は、供給ローラアセンブリ8のシールユニット9−Rのシール部材20−Rが挿入される位置からシールユニット9−Lのシール部材20−Lが挿入される位置に亘って、例えば両面接着テープ等の接着部材により、フィルム貼り付け斜面7aに貼り付けられている。
【0048】
図4は、供給ローラアセンブリ8がベースフレーム7の内部に搭載された状態を示している。また、図5は、図4に示す要部Aaを拡大して示している。図5に示すように、供給ローラアセンブリ8は、シール部材20の下端がロアフィルム13の下側に潜り込むように、搭載される。
【0049】
次に、図6に示すように、感光体ドラム2、帯電ローラ3、及び現像ローラ4がベースフレーム7の内部に搭載される。
さらに、図7に示すように、サイドフレーム36がシールユニット9−Rの外側となるように、また、サイドフレーム37がシールユニット9−Lの外側となるように、サイドフレーム36,37がベースフレーム7に取り付けられる。なお、サイドフレーム36,37は、現像ブレード6(図2及び図8参照)やトナーカートリッジ11(図2参照)等の構成要素を支持する支持部材である。サイドフレーム36,37は、図示せぬ各種ローラの軸受けを有しており、各種ローラの位置決めを行うことができる。
【0050】
次に、図8に示すように、現像ブレード6がサイドフレーム36,37に取り付けられる。これにより、現像ブレード6と現像ローラ4との間及び現像ブレード6と両端のシールユニット9−R/Lとの間が密閉されて、トナー貯蔵室10が形成される。
【0051】
最後に、図9に示すように、アッパフレーム12が、トナー貯蔵室10の上方を覆うように、シールユニット9−R/Lの上に取り付けられる。したがって、トナー貯蔵室10は、上部をアッパフレーム12、下部をロアフィルム13、両サイドをシールユニット9−R/Lによって、封止される。なお、アッパフレーム12には、トナー供給口12aが設けられている。
【0052】
この後、シールスポンジ14が、トナー供給口12aの周囲を囲むように、アッパフレーム14の上に取り付けられる。また、トナーカートリッジ11(図2参照)が、アッパフレーム12及びシールスポンジ14の上に装着される。これにより、画像形成ユニット1の組み立てが完了する。
【0053】
<シール部材の構成>
以下、図10を参照して、シール部材20の構成につき説明する。図10は、実施形態1に係るシール部材の構成を示す図である。図10(a)は、シール部材20−Rの接触面20a側の構成を示しており、図10(b)は、内側方向(図10(a)参照)から見たシール部材20−Rの構成を示している。また、図10(c)は、内側方向(図10(d)参照)から見たシール部材20−Lの構成を示しており、図10(d)は、シール部材20−Lの接触面20a側の構成を示している。
【0054】
図10に示すように、シール部材20は、弾性部材21を中心にして、接触面20aにフィルム部材24が配置され、その接触面20aの裏面である粘着面20bに粘着部材25が配置されている。図10に示す例では、弾性部材21がウレタンフォームによって構成されており、フィルム部材24がテフロン(登録商標)フィルムによって構成されており、粘着部材25がハクリ紙付きの両面粘着テープによって構成されている。
【0055】
ウレタンフォーム21は、縦が25mm程度、横が5mm程度、厚さが3mm程度の平板状の形状となっている。ウレタンフォーム21の表面(接触面20a側の面)は、平坦な面に、外側から内側に亘って、複数(図示例では、4つ)の突起22が形成された形状となっている。一方、ウレタンフォーム21の裏面(粘着面20b側の面)は、平坦な面となっている。
【0056】
各突起22は、高さが0.5mm程度、幅が1mm程度の大きさに形成されている。各突起22は、隣接する突起22との間に、溝23を形成している。そのため、ウレタンフォーム21の表面は、複数(図示例では、4つ)の突起22と1乃至複数の溝23とを有する形状となっている。なお、溝23の数は、突起22の数から「1」減じた数(図示例では、3つ)となる。ウレタンフォーム21の突起22及び溝23を含む形状は、フォーム成型又は機械加工によって形成される。
【0057】
複数の突起22と1乃至複数の溝23とは、それぞれ、現像ローラ4の回転方向Bの上流側から下流側に向かうにつれて、現像ローラ4の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている。すなわち、複数の突起22と1乃至複数の溝23とは、それぞれ、外側が現像ローラ4の回転方向Bの上流側となり、内側が現像ローラ4の回転方向Bの下流側となるように、傾斜して形成されている。突起22及び溝23の傾斜角度は、好ましくは、それぞれ、15〜30度であるとよい。
【0058】
テフロンフィルム24は、フッ素樹脂によって形成された薄膜部材であり、縦が20mm程度、横が5mm程度、厚さが0.05mm程度の平板状の形状となっている。テフロンフィルム24は、ウレタンフォーム21の各突起22及び各溝23に沿って、ウレタンフォーム21の表面に貼り付けられている。そのため、テフロンフィルム24の表面は、ウレタンフォーム21の表面と同様に、複数(図示例では、4つ)の突起22と1乃至複数(図示例では、3つ)の溝23とを有する形状となっている。テフロンフィルム24は、ウレタンフォーム21が変形すると、これに合わせて変形する。なお、テフロンフィルム24は、ウレタンフォーム21よりも硬質な部材となっている。このテフロンフィルム24は、シール部材20が現像ローラ4と接触して現像ローラ4から圧力を受けても、トナーが流動するのに十分な空間が確保されるように、突起22及び溝23の形状を維持する。
【0059】
両面粘着テープ25は、縦が25mm程度、横が5mm程度、厚さが0.1mm程度の平板状の形状となっている。両面粘着テープ25は、ウレタンフォーム21の平坦な裏面に貼り付けられている。そのため、両面粘着テープ25の粘着面20b側の面は、平坦な面となっている。両面粘着テープ25は、ウレタンフォーム21が変形すると、これに合わせて変形する。
【0060】
<シール部材の使用方法>
以下、図11〜図13を参照して、シール部材20の使用方法につき説明する。図11〜図13は、それぞれ、実施形態1に係るシール部材の説明図である。図11は、シール部材20が貼り付けられたサイドスポンジ19を含む、分解された状態のシールユニット9の構成を示している。また、図12は、組み立てられた状態のシールユニット9の構成を示している。図12(a)は、シールユニット9−Rの接触面20a側の構成を示しており、図12(b)は、内側方向(図10(a)参照)から見たシールユニット9−Rの構成を示している。また、図12(c)は、内側方向(図10(d)参照)から見たシールユニット9−Lの構成を示しており、図12(d)は、シールユニット9−Lの接触面20a側の構成を示している。図13は、シールユニット9と現像ローラ4との位置関係を示している。図13(a)は、リア側方向(図2参照)から見たシールユニット9と現像ローラ4との位置関係を示している。また、図13(b)は、内側方向(図10(a)参照)から見たシールユニット9と現像ローラ4との位置関係を示している。
【0061】
図11に示すように、シールユニット9は、サイドプレート18、第1封止部材であるサイドスポンジ19、シール部材20、及び、第2封止部材であるサイドスポンジ26によって構成される。なお、図11は、右側のシールユニット9−Rの構成を示しているが、左側のシールユニット9−Lの構成も同様である。
【0062】
サイドプレート18は、現像ローラ4(図2参照)の回転軸と接触する切り欠き、供給ローラ5(図2参照)の回転軸が挿入される孔、攪拌バー15(図2参照)の回転軸が挿入される孔等が設けられている。また、サイドプレート18は、内側の面に、湾曲ガイド29や1乃至複数の突起31等が設けられている。湾曲ガイド29は、現像ローラ4の端部の周面と対向して、現像ローラ4を支持する支持部である。湾曲ガイド29の、現像ローラ4の端部の周面と対向する面(以下、「内径面29a」と称する)は、現像ローラ4の周面の形状に合わせて、曲率半径が現像ローラ4の半径に略等しい円弧状に形成されている。突起31は、サイドスポンジ19に設けられた孔32に挿入されて、サイドプレート18とサイドスポンジ19とを位置決めする位置決め部である。
【0063】
サイドスポンジ19は、サイドプレート18の内側の、湾曲ガイド29よりもフロント側(図2参照)の位置に配置される。なお、図11は、リア側(図2参照)から見たシールユニット9の構成を示している。そのため、図11では、フロント側は、図の奥側となり、リア側は、図の手前側となっている。サイドスポンジ19は、現像ローラ4(図2参照)の胴体部と対向する対向面19a、供給ローラ5(図2参照)の回転軸が挿入される孔30、サイドプレート18の1乃至複数の突起31が挿入される1乃至複数の孔32、対向面19aに形成された、サイドプレート18の湾曲ガイド29が嵌合される溝33、攪拌バー15(図2参照)の回転軸が挿入される孔34等が設けられている。サイドスポンジ19は、サイドプレート18の湾曲ガイド29が溝33に嵌合され、サイドプレート18の突起31がサイドスポンジ19の孔32に挿入されることにより、サイドプレート18に対して位置決めされる。
【0064】
シール部材20は、両面粘着テープ25により、サイドスポンジ19の対向面19aに貼り付けられる。なお、サイドスポンジ19の対向面19aには、溝33が設けられている。そのため、シール部材20の粘着面20bは、サイドスポンジ19の溝33に対向する部分が、未粘着な状態となる。サイドスポンジ19は、サイドプレート18に取り付けられる。このとき、サイドプレート18の湾曲ガイド29が、サイドスポンジ19の溝33に嵌合する。シール部材20の未粘着な部分は、そのサイドプレート18の湾曲ガイド29の内径面29aに貼り付けられる。
【0065】
サイドスポンジ26は、サイドプレート18の内側の、湾曲ガイド29よりもリア側(図2参照)の位置に配置される。サイドスポンジ26は、現像ローラ4(図2参照)の回転軸と接触する接触面、サイドプレート18の湾曲ガイド29の内径面29aに貼り付けられる貼り付け面等が設けられている。サイドスポンジ26は、貼り付け面がサイドプレート18の湾曲ガイド29の内径面29aに貼り付けられることにより、サイドプレート18に対して位置決めされる。
これらの部材によって組み立てられたシールユニット9は、図12に示す形状となる。
【0066】
このシールユニット9は、図3に示すように、供給ローラ5及び攪拌バー15の両端に取り付けられて、供給ローラ5及び攪拌バー15とともに、供給ローラアセンブリ8を構成する。その供給ローラアセンブリ8は、ベースフレーム7の内部に搭載されて、画像形成ユニット1(図2及び図9参照)を構成する。この画像形成ユニット1は、図1に示すように、画像形成装置201の所定の位置に実装される。
【0067】
画像形成装置201は、図2に示すように、画像形成時に、感光体ドラム2を矢印方向に回転させる。現像ローラ4及び供給ローラ5は、感光体ドラム2の回転に合わせて、回転する。このとき、供給ローラ5が、トナー貯蔵室10からトナーを現像ローラ4に供給するとともに、現像ブレード6が、現像ローラ4の表面に付着したトナーの層厚を規制する。これにより、現像ローラ4の胴体部の表面には、所定の厚さのトナー層が形成される。
【0068】
ところで、現像ローラ4の両端は、図13に示すように、シールユニット9−R/Lのシール部材20−R/Lに所定の圧力で押圧されている。これにより、画像形成装置201は、トナーがシール部材20の接触面20a(図12参照)に侵入するのを防いでいる。しかしながら、トナーは、微量ながら、シール部材20と現像ローラ4との間の隙間をすり抜けて、図13に示す矢印Iに沿って、シール部材20の接触面20aに侵入するものがある。
【0069】
接触面20aには、突起22と溝23とが設けられている。突起22が設けられた部分(以下、「突起22部分」と称する)と溝23が設けられた部分(以下、「溝23部分」と称する)とを比較すると、現像ローラ4から受ける圧力は、突起22部分の方が溝23部分よりも強い。そのため、接触面20aに侵入したトナーは、圧力の弱い溝23に沿って、誘導される。
【0070】
なお、突起22及び溝23は、前記した通り、それぞれ、現像ローラ4の回転方向Bの上流側から下流側に向かうにつれて、現像ローラ4の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている(図10参照)。そのため、接触面20aに侵入したトナーは、接触面20aの外側から内側に向けて(すなわち、図13に示す矢印F方向に向けて)誘導される。その接触面20aの内側方向には、トナー貯蔵室10が設けられている。したがって、シール部材20は、接触面20aに侵入したトナーを、トナー貯蔵室10内に誘導する。
【0071】
このように、シール部材20は、フィルム部材(ここでは、テフロンフィルム24)を、弾性部材(ここでは、ウレタンフォーム21)の突起22及び溝23が形成された略平坦な面に貼り付けることによって、形成される。このシール部材20は、突起22及び溝23の外側が現像ローラ4の回転方向Bの上流(図10参照)側となり、内側が現像ローラ4の回転方向Bの下流(図10参照)側となるように、サイドスポンジ19の対向面19a及びサイドプレート18の湾曲ガイド29の内径面29aに貼り付けられる。
【0072】
以上の通り、本実施形態1に係るシール部材20によれば、対向する現像ローラ4が回転することにより、接触面20aに侵入するトナーを、外部に漏らさずに、溝23に沿って、接触面20aの外側から内側に向けて誘導する。そのため、このシール部材20によれば、トナーを接触面20aから取り除く機能を果たすことができる。
なお、トナーは、接触面20aから取り除かれるため、接触面20aに固着することがない。そのため、このシール部材20によれば、現像ローラ4がトナーによって削られるのを防止することができ、これにより、現像剤(トナー)漏れの発生を防止することもできる。
【0073】
また、シール部材20は、フォーム成型又は機械加工によって、突起22及び溝23を有するように弾性部材(ここでは、ウレタンフォーム21)を形成するだけであり、フィルム部材(ここでは、テフロンフィルム24)には特殊な加工を施す必要がない。したがって、シール部材20は、従来のシール部材とほぼ同様の材料によって、また、従来のシール部材と同様の製造工程によって、製造することができる。そのため、このシール部材20によれば、従来のシール部材と同程度のコストで、トナーを接触面20aから取り除く機能を実現することができる。
【0074】
[実施形態2]
実施形態1に係るシール部材20は、サイドスポンジ19の対向面19a及びサイドプレート18の湾曲ガイド29の内径面29aに貼り付けられる際に、平板状の形状から円弧状の形状に変形される。そのため、シール部材20は、内径側のテフロンフィルム24にシワが発生する可能性があり、このシワから現像剤(トナー)漏れが発生する可能性がある。そこで、本実施形態2は、テフロンフィルム24にシワが発生するのを防止するシール部材40を提供する。
【0075】
以下、図14を参照して、本実施形態2に係るシール部材40の構成につき説明する。ここでは、実施形態1に係るシール部材20と相違する構成を重点的に説明し、実施形態1に係るシール部材20と同様の構成(図10参照)については、詳細な説明を省略する。
【0076】
図14は、実施形態2に係るシール部材の構成を示す図である。図14(a)は、シール部材40−Rの接触面20a側の構成を示しており、図14(b)は、内側方向(図14(a)参照)から見たシール部材40−Rの構成を示している。また、図14(c)は、内側方向(図14(d)参照)から見たシール部材40−Lの構成を示しており、図14(d)は、シール部材40−Lの接触面20a側の構成を示している。
【0077】
図14に示すように、本実施形態2に係るシール部材40は、実施形態1に係るシール部材20と比較すると、弾性部材であるウレタンフォーム41の曲率半径が、対向する現像ローラ4の周面の形状に合わせて、現像ローラ4の半径に略等しい円弧状に形成されている点で相違している。
【0078】
ウレタンフォーム41の表面(接触面20a側の面)は、実施形態1に係るシール部材20のウレタンフォーム21と同様に、複数(図示例では、4つ)の突起22及び1乃至複数(図示例では、3つ)の溝23が設けられている。ウレタンフォーム41の突起22及び溝23を含む形状は、フォーム成型又は機械加工によって形成される。
【0079】
複数の突起22と1乃至複数の溝23とは、それぞれ、現像ローラ4の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、現像ローラ4の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている。
【0080】
ウレタンフォーム41の表面は、実施形態1に係るシール部材20のウレタンフォーム21と同様に、例えば厚さ0.05mmのテフロンフィルム24が貼り付けられている。テフロンフィルム24は、ウレタンフォーム41の各突起22及び各溝23に沿って、ウレタンフォーム41の表面に貼り付けられている。そのため、テフロンフィルム24の表面は、ウレタンフォーム41の表面と同様に、複数(図示例では、4つ)の突起22と1乃至複数(図示例では、3つ)の溝23とを有する形状となっている。
【0081】
また、ウレタンフォーム41の裏面(粘着面20b側の面)は、実施形態1に係るシール部材20のウレタンフォーム21と同様に、粘着部材であるハクリ紙付きの両面粘着テープ25が貼り付けられている。
【0082】
このシール部材40は、実施形態1に係るシール部材20と同様に、サイドスポンジ19の対向面19a及びサイドプレート18の湾曲ガイド29の内径面29aに貼り付けられる(図11参照)。その結果、シール部材40は、実施形態1に係るシール部材20に代わり、図12及び図13に示すシールユニット9を構成する。このシール部材40を含むシールユニット9は、実施形態1に係るシール部材20を含む場合と同様に、機能する。そのため、シールユニット9の動作については、詳細な説明を省略する。
【0083】
以上の通り、本実施形態2に係るシール部材40によれば、実施形態1に係るシール部材20と同様に、対向する現像ローラ4が回転することにより、接触面20aに侵入するトナーを、外部に漏らさずに、溝23に沿って、接触面20aの外側から内側に向けて誘導する。そのため、このシール部材40によれば、トナーを接触面20aから取り除く機能を果たすことができる。
また、このシール部材40によれば、現像ローラ4がトナーによって削られるのを防止することができ、これにより、現像剤(トナー)漏れの発生を防止することもできる。
【0084】
また、このシール部材40によれば、フォーム成型又は機械加工によって、突起22及び溝23を有するようにかつ円弧状の形状に弾性部材(ここでは、ウレタンフォーム21)を形成するだけであるため、実施形態1に係るシール部材20と同様に、従来のシール部材と同程度のコストで、トナーを接触面20aから取り除く機能を実現することができる。
【0085】
さらに、このシール部材40によれば、対向する現像ローラ4の周面の形状に合わせて、曲率半径が現像ローラ4の半径に略等しい円弧状に形成されているため、サイドスポンジ19の対向面19aに貼り付けられる際に、実施形態1のシール部材20と異なり、平板状の形状から円弧状の形状に変形しない。そのため、このシール部材40によれば、テフロンフィルム24にシワが発生するのを防止することができ、シワから現像剤(トナー)漏れが発生するのを防止することができる。
【0086】
[実施形態3]
本実施形態3は、突起及び溝がサイドスポンジに設けられ、そのサイドスポンジに貼り付けられるシール部材を提供する。以下、図15及び図16を参照して、本実施形態3に係るシール部材50の構成につき説明する。ここでは、実施形態1に係るシール部材20と相違する構成を重点的に説明し、実施形態1に係るシール部材20と同様の構成(図10参照)については、詳細な説明を省略する。
【0087】
図15及び図16は、実施形態3に係るシール部材の構成を示す図である。
図15(a)及び図15(b)は、シール部材50−Rが貼り付けられたサイドスポンジ51−Rの構成を示しており、図15(c)及び図15(d)は、シール部材50−Lが貼り付けられたサイドスポンジ51−Lの構成を示している。具体的には、図15(a)は、サイドスポンジ51−Rの対向面51a(図15(b)参照)側の構成を示しており、図15(b)は、内側方向(図15(a)参照)から見たサイドスポンジ51−Rの構成を示している。また、図15(c)は、内側方向(図15(d)参照)から見たサイドスポンジ51−Lの構成を示しており、図15(d)は、サイドスポンジ51−Lの対向面51a(図15(c)参照)側の構成を示している。
【0088】
一方、図16(a)及び図16(b)は、サイドスポンジ51−Rを用いるシールユニット59−Rの構成を示しており、図16(c)及び図16(d)は、サイドスポンジ51−Lを用いるシールユニット59−Lの構成を示している。具体的には、図16(a)は、シールユニット59−Rの対向面51a(図16(b)参照)側の構成を示しており、図16(b)は、内側方向(図16(a)参照)から見たシールユニット59−Rの構成を示している。また、図16(c)は、内側方向(図16(d)参照)から見たシールユニット59−Lの構成を示しており、図16(d)は、シールユニット59−Lの対向面51a(図16(c)参照)側の構成を示している。
【0089】
図15及び図16に示すように、本実施形態3に係るシール部材50が貼り付けられるサイドスポンジ51は、現像ローラ4の端部の周面と対向する対向面51aを備えている。対向面51aは、現像ローラ4の周面の形状に合わせて、曲率半径が現像ローラ4の半径に略等しい円弧状に形成されている。対向面51aは、平坦な面に、外側から内側に亘って、複数(図示例では、4つ)の突起52が形成された形状となっている。
【0090】
各突起52は、高さが0.5mm程度、幅が1mm程度の大きさに形成されている。各突起52は、隣接する突起52との間に、溝53を形成している。そのため、サイドスポンジ51の表面は、複数(図示例では、4つ)の突起52と1乃至複数の溝53とを有する形状となっている。なお、溝53の数は、突起52の数から「1」減じた数(図示例では、3つ)となる。
【0091】
また、サイドスポンジ51は、対向面51aの内側に、サイドプレート18の湾曲ガイド29が挿入される孔54を有している。サイドスポンジ51は、サイドプレート18に取り付けられる際に、図16に示すように、サイドプレート18の湾曲ガイド29が孔54に挿入される。これにより、サイドスポンジ51は、サイドプレート18に対して位置決めされる。
サイドスポンジ51の突起52、溝53、及び孔54を含む形状は、フォーム成型又は機械加工によって形成される。このサイドスポンジ51は、いわば、テフロンフィルム24を貼り付けるフォーム材(具体的には、実施形態2に係るシール部材40の弾性部材41(図14参照))と一体化された構成となっている。
【0092】
複数の突起52と1乃至複数の溝53とは、それぞれ、現像ローラ4の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、現像ローラ4の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている。すなわち、複数の突起52と1乃至複数の溝53とは、それぞれ、外側が現像ローラ4の回転方向Bの上流側となり、内側が現像ローラ4の回転方向Bの下流側となるように、傾斜して形成されている。突起52及び溝53の傾斜角度は、好ましくは、それぞれ、15〜30度であるとよい。
【0093】
一方、本実施形態3に係るシール部材50は、フィルム部材(例えば、厚さ0.05mmのテフロンフィルム24)のみで構成されている。シール部材50は、サイドスポンジ51の各突起52及び各溝53に沿って、サイドスポンジ51の対向面51aに貼り付けられる。そのため、シール部材50の表面は、サイドスポンジ51の表面と同様に、複数(図示例では、4つ)の突起52と1乃至複数(図示例では、3つ)の溝53とを有する形状となる。なお、シール部材50を構成するテフロンフィルム24は、サイドスポンジ51よりも硬質な部材となっている。このテフロンフィルム24は、シール部材50が現像ローラ4と接触して現像ローラ4から圧力を受けても、トナーが流動するのに十分な空間が確保されるように、突起52及び溝53の形状を維持する。
【0094】
シール部材50が貼り付けられたサイドスポンジ51は、図16に示すように、サイドスポンジ26とともに、サイドプレート18に取り付けられて、シールユニット59を構成する。このシールユニット59は、実施形態1に係るシールユニット9と同様に、機能する。そのため、シールユニット59の動作については、詳細な説明を省略する。
【0095】
以上の通り、本実施形態3に係るシール部材50によれば、シール部材50の表面が、サイドスポンジ51の表面と同様に、複数(図示例では、4つ)の突起52と1乃至複数(図示例では、3つ)の溝53とを有する形状となるため、トナーを接触面20aから取り除く機能を果たすことができる。
また、このシール部材50によれば、現像ローラ4がトナーによって削られるのを防止することができ、これにより、現像剤(トナー)漏れの発生を防止することもできる。
【0096】
また、このシール部材50によれば、テフロンフィルム24がサイドスポンジ51の対向面51aに直接貼り付けられる構成となるため、サイドスポンジ51の対向面51aに貼り付けられる際に、テフロンフィルム24にシワが発生するのを防止することができ、シワから現像剤(トナー)漏れが発生するのを防止することができる。
【0097】
さらに、このシール部材50によれば、貼り付けの対象となるサイドスポンジ51が、いわば、テフロンフィルム24を貼り付けるフォーム材(具体的には、実施形態2に係るシール部材40の弾性部材41(図14参照))と一体化された構成となっている。そのため、このシール部材50によれば、実施形態2に係るシール部材40と比較すると、両面粘着テープ25が不要となり、部材の点数及び部材の製造コストの低減と、作業工数の削減とを実現することができる。
【0098】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、シール部材20,40,50は、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置、MFP等の、電子写真方式の画像形成装置に用いることができる。なお、「MFP」とは、Multi Function Peripheralの略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
【0099】
また、例えば、実施形態1及び実施形態2では、シール部材20,40の弾性部材21,41がウレタンフォームによって構成され、フィルム部材24がテフロンフィルムによって構成され、さらに、粘着部材25が両面粘着テープによって構成されている。しかしながら、シール部材20,40の各部材は、前記したウレタンフォーム、テフロンフィルム、両面粘着テープ以外の部材によって構成されていてもよい。
【0100】
また、例えば、実施形態1では、シール部材20の溝23は、突起22が弾性部材21の表面に設けられることにより、形成されている。しかしながら、溝23は、弾性部材21の表面に直接形成することも可能である。同様に、実施形態2に係るシール部材40の溝23は、弾性部材41の表面に直接形成することも可能である。また、実施形態3に係るシール部材50の溝53は、サイドスポンジ51の対向面51aに直接形成することも可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 画像形成ユニット
2 感光体ドラム(像担持体)
3 帯電ローラ
4 現像ローラ(現像剤担持体)
5 供給ローラ(現像剤供給部材)
6 現像ブレード
7 ベースフレーム
8 供給ローラアセンブリ
9 シールユニット
10 トナー貯蔵室(貯蔵室)
11 トナーカートリッジ
12 アッパフレーム
12a トナー供給口
13 ロアフィルム
14 シールスポンジ
15 攪拌バー
16 クリーニング部
17 露光部(LEDヘッド)
18 サイドプレート
19,26,51 サイドスポンジ(ぶれ抑制部材)
20,40,50 シール部材
21,41 ウレタンフォーム(弾性部材)
22,52 突起
23,53 溝
24 テフロンフィルム(フィルム部材)
25 両面粘着テープ
29 湾曲ガイド
30,32,34,54 孔
36,37 サイドフレーム
200 現像装置
201 画像形成装置
202 用紙トレイ
203 搬送ベルト
205 転写ローラ
210 定着器
212 スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置に用いるシール部材であって、
現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材の端面と接触して当該現像剤の外部への漏れを防止する封止部材の、当該現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面に、貼り付けられる粘着面と、
前記現像剤担持体の端部の周面に沿って前記現像剤担持体の端部と接触する接触面とを有しており、
前記接触面は、1乃至複数の溝を備え、
前記1乃至複数の溝は、前記現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成されている
ことを特徴とするシール部材。
【請求項2】
請求項1に記載のシール部材において、
前記1乃至複数の溝は、前記現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、前記現像剤担持体の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている
ことを特徴とするシール部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシール部材において、
前記1乃至複数の溝が表面に形成された、弾性を有する弾性部材と、
前記1乃至複数の溝に沿って前記弾性部材の前記表面に貼り付けられた、前記接触面を構成するフィルム部材と、
前記弾性部材の裏面に貼り付けられた、前記粘着面を構成する粘着部材とを備える
ことを特徴とするシール部材。
【請求項4】
請求項3に記載のシール部材において、
前記フィルム部材は、前記弾性部材よりも硬質の部材が用いられている
ことを特徴とするシール部材。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のシール部材において、
前記弾性部材は、略平面状に形成されており、
前記封止部材の前記対向面への貼り付け時に、前記弾性部材が前記封止部材の前記対向面の形状に合わせて円弧状に変形されるとともに、前記フィルム部材及び前記粘着部材が前記弾性部材の変形に伴って変形される
ことを特徴とするシール部材。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載のシール部材において、
前記弾性部材は、前記封止部材の前記対向面の形状に合わせて円弧状に形成されており、
前記フィルム部材及び前記粘着部材は、前記弾性部材の円弧状の形状に沿って前記弾性部材に貼り付けられている
ことを特徴とするシール部材。
【請求項7】
現像剤を担持する現像剤担持体と、当該現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、当該現像剤を貯蔵する貯蔵室とを有する現像装置において、
前記現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面を備えるとともに、前記現像剤供給部材の端面と接触して前記現像剤の外部への漏れを防止する、前記貯蔵室の両サイドに設けられた封止部材と、
前記封止部材の前記対向面に貼り付けられたシール部材とを有し、
前記シール部材は、前記現像剤担持体の端部の周面に沿って前記現像剤担持体の端部と接触する接触面に、1乃至複数の溝を備え、
前記1乃至複数の溝は、前記現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成されている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の現像装置において、
前記シール部材は、
前記1乃至複数の溝が、前記現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、前記現像剤担持体の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の現像装置において、
前記シール部材は、
前記1乃至複数の溝が表面に形成された、弾性を有する弾性部材と、
前記1乃至複数の溝に沿って前記弾性部材の前記表面に貼り付けられた、前記接触面を構成するフィルム部材と、
前記弾性部材の裏面に貼り付けられた、前記封止部材の前記対向面に貼り付けられる粘着面を構成する粘着部材とを備える
ことを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の現像装置において、
前記封止部材は、前記対向面の形状が円弧状に形成されており、かつ、
前記シール部材は、
前記弾性部材が、略平面状に形成されており、
前記封止部材の前記対向面への貼り付け時に、前記弾性部材が前記封止部材の前記対向面の形状に合わせて円弧状に変形されるとともに、前記フィルム部材及び前記粘着部材が前記弾性部材の変形に伴って円弧状に変形される
ことを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項9に記載の現像装置において、
前記封止部材は、前記対向面の形状が円弧状に形成されており、かつ、
前記シール部材は、
前記弾性部材が、前記封止部材の前記対向面の形状に合わせて円弧状に形成されており、
前記フィルム部材及び前記粘着部材が、前記弾性部材の円弧状の形状に沿って前記弾性部材に貼り付けられている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項12】
現像剤を担持する現像剤担持体と、当該現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、当該現像剤を貯蔵する貯蔵室とを有する現像装置において、
前記現像剤担持体の端部の周面と対向する対向面を備えるとともに、前記現像剤供給部材の端面と接触して前記現像剤の外部への漏れを防止する、前記貯蔵室の両サイドに設けられた封止部材と、
前記封止部材の前記対向面に貼り付けられたシール部材とを有し、
前記封止部材は、前記対向面に、前記現像剤担持体の回転方向に対して傾斜して形成された、1乃至複数の溝を備え、
前記シール部材は、前記現像剤担持体の周面に沿って前記現像剤担持体の端部と接触するように、前記1乃至複数の溝に沿って前記封止部材の前記対向面に貼り付けられている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12に記載の現像装置において、
前記1乃至複数の溝は、前記現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、前記現像剤担持体の長手方向の外側から内側に、傾斜して形成されている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項7乃至請求項13のいずれか一項に記載の現像装置において、
さらに、前記シール部材の外側に、前記現像剤担持体の端面と接触して前記現像剤の外部への流出を防止する他の封止部材を有する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項7乃至請求項14のいずれか一項に記載の現像装置を用いる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−95323(P2011−95323A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246620(P2009−246620)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】