説明

ジスピロ1,2,4−トリオキソラン抗マラリア剤

スピロ又はジスピロ1,2,4−トリオキソランを使用するマラリア、住血吸虫症及び癌を治療する手段及び方法が記載されている。好ましい1,2,4−トリオキソランは、トリオキソラン基の一方の側面にスピロアダマンタン基、トリオキソラン基の他方の側面にスピロシクロヘキシルを含む。アルテミシニン半合成誘導体と比較すると、本発明の化合物は、構造的に簡素であり、合成するのが容易であり、非毒性であり、マラリア寄生虫に対して効力がある。本発明の化合物は、予想外なことに、マラリアに対する単回用量治癒を提供し、またマラリアに対する予防活性を提供する。化合物は、住血吸虫症及び癌に対しても活性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マラリアを治療する組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、ジスピロトリオキソランを含む医薬組成物、並びにそれらの使用及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアは、赤血球内の寄生原虫の存在によりもたらされる急性、多くの場合には慢性の感染症である。プラスモディウム属の単細胞寄生虫に引き起こされると、マラリアは、雌の蚊の刺傷によりヒトからヒトに伝染する。
【0003】
かつては北米及び世界の温帯地域で流行したが、現在では、マラリアは主に熱帯及び亜熱帯の国々において発生している。毎年、4億から6億人がこの疾患に罹患し、1千5百万から2千7百万人が、この疾患で死亡している。
【0004】
三日熱マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫を含む4種のプラスモディウム属寄生原虫が一般にマラリアの原因である。この4種のうち、熱帯熱マラリア原虫が最も危険であり、マラリアの全臨床症例の半数を占め、この疾患による死亡の90%を占める。
【0005】
マラリアの伝染は、雌の蚊が、既にマラリア寄生虫に感染しているヒトを刺傷したときに始まる。感染した蚊が別のヒトを刺傷したとき、蚊の唾液中のスポロゾイトが血中に移り、次に肝臓まで移動する。肝臓では、スポロゾイトは急速に分裂し、次に血流に進入し、そこで赤血球に侵入する。これらの血球の中では、メロゾイトが、赤血球を破裂させるまで急速に増殖し、血流に新たな世代のメロゾイトを放出し、次にそれらが他の赤血球を感染する。
【0006】
マラリアに関連する症状は、一般に赤血球の破裂に関連する。赤血球の破壊は、廃棄物、毒素及び他の細片を血中にまき散らす。このことは次に、感染した個人を消耗させ寝たきりにさせうる高熱を引き起こす。反復感染及び/又は熱帯熱マラリア原虫による感染に関連するより重篤な症状には、貧血、重篤な頭痛、痙攣、せん妄、幾つかの場合では死が含まれる。
【0007】
マラリアの治療は、マラリア寄生虫が薬剤耐性を生じる能力のために特に困難である。南米キナの樹皮から抽出される抗マラリア化合物であるキニーネは、存在する最も古く最も効果的な医薬の一つである。キニーネの欠点は、短時間作用性であり、疾患の再発を防止できないことである。更に、キニーネは、眩暈から聴覚消失までの副作用に関連する。
【0008】
クロロキンは、キニーネに類似している合成化学物質である。1940年代に開発されたときには、その有効性、製造の容易さ及び副作用の全般的な欠如によってマラリアの選択薬となった。しかし、この数十年間、世界の多くに地域においてマラリア寄生虫はクロロキンに対して耐性になってきた。
【0009】
メフロキンはキニーネの別の合成類似体であり、マラリアの治療に使用されてきた。しかし、マラリア寄生虫はメフロキンにも耐性を生じている。メフロキンは、また、一部の患者において幻覚及び鮮明な悪夢を含む望ましくない中枢神経副作用に関連する。
【0010】
抗葉酸薬は、生殖を阻害することによりマラリア寄生虫に対して有効である。寄生虫は、抗葉酸薬にも耐性を生じるが、それでもこの薬剤を他の種類の抗マラリア剤と組み合わせて有効に使用することができる。しかし、マラリアの治療における併用療法の使用は、不便であり高価であるという欠点を有する。
【0011】
マラリアの治療におけるより最近の進展は、特有の1,2,4−トリオキソラン複素環ファルマコフォアを含有する薬剤アルテミシニンにより例示される、ペルオキシド官能基の使用を伴う。アルテミシニンの抗マラリア作用は、マラリア寄生虫における遊離ヘム分子の鉄と反応して、細胞破壊をもたらすフリーラジカルを生成することに起因すると考えられる。
【0012】
天然に生じるエンドペルオキシドセスキテルペンラクトンであるアルテミシニン(青蒿素)の発見(Meshnick et al., 1996; Vroman et al. 1999; Dhingra et al., 2000)によって、その作用分子構造を解明する(Jefford, 1997; Cumming et al., 1997)及び新規抗マラリアペルオキシドを同定する(Dong and Vennerstrom, 2001)ための鋭意努力が開始された。多くの合成1,2,4−トリオキサン、1,2,4,5−テトラオキサン及び他のエンドペルオキシドが調製された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
臨床的に有用な半合成アルテミシニン誘導体は、急速に作用し、潜在的な抗マラリア薬であるが、再発、神経毒性(Wesche et al., 1994)及び代謝不安定性(White, 1994)を含む幾つかの欠点を有する。これらの化合物の相当数はインビトロで大いに活性であるが、大部分は低い経口活性という欠点がある(White, 1994; van Agtmael et al., 1999)。多くの合成抗マラリア1,2,4−トリオキサンが調製されてきたが(Cumming et al., 1996; Jefford, 1997)、新たなペルオキシド抗マラリア剤、特に、容易に合成され、神経毒性を回避し、改善された薬物動態特性、例えば改善された安定性、経口吸収性などを有するものを同定する必要性が当該技術において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ジスピロ1,2,4−トリオキソラン、これらのプロドラッグ及び類似体によるマラリアを治療するための方法及び組成物を記載する。幾つかの例外として、本発明の好ましいトリオキソランは、シクロヘキシル環にシス−8′−フェニル置換を含有する。本発明の化合物は、以下の3つの構造部類のうちの1つに分類される:
【0015】
第1部類:
【0016】
【化1】

【0017】
第2部類:
【0018】
【化2】

【0019】
第3部類:
【0020】
【化3】

【0021】
本発明は、化合物の類似体、アキラル、アキラルジアステレオマー、ラセミ混合物、また鏡像形態を包含する。
【0022】
本発明のトリオキソランは、プラスモディウム属の寄生虫に対して優れた効力及び効能を有する。加えて、以前の合成トリオキソランと比較して、本発明の化合物は、マラリアに対して予防活性を実証し、多くの場合に1用量有効性を提供する。更に、幾つかのトリオキソランは、経口投与に適している。更に、アルテミシニン半合成誘導体と比較すると、本発明の化合物は、構造的に簡素であり、合成するのが容易及び安価であり、単独で又は他の抗マラリア剤と一緒に効果的に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、マラリアの予防及び治療に使用されるスピロ及びジスピロ1,2,4−トリオキソランの開発に関する。本発明は、トリオキソラン複素環の1つの側面に特定の置換基を有するトリオキソランが、トリオキソラン環に代謝及び化学安定性をもたらし、それによって、特に経口投与に関してより良好なインビボ活性をもたらすという予想外の発見に基づいている。以前の既知のトリオキソランと異なり、本発明の化合物は、予想外に良好な抗マラリア予防特性をもたらし、また、多くに場合において疾患に対して単回用量治癒をもたらす。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「予防有効量」は、マラリア寄生虫による感染及び続く疾患を抑制する、その可能性を減少させる、又は予防するのに有効な本発明の化合物の濃度を意味する。同様に、用語「治療有効量」は、マラリア寄生虫の濃度の増加を予防する、マラリア寄生虫の濃度を減少する及び/又はマラリア感染を「治癒する」(即ち、マラリアの標準マウスモデルにおいて、このことは感染後30日間生存したことに等しい)という観点から、マラリアの治療に有効である化合物の濃度を意味する。
【0025】
以前の出願では、本発明者は、以下の構造式:
【0026】
【化4】

【0027】
〔式中、R、R、R及びRは、トリオキソラン環の周りに十分な立体障害を提供して環に化学及び代謝安定性を与える、環系、非環系及び官能基の組み合わせを表す〕を有する特定の新規四置換トリオキソランを開示した。
【0028】
本発明のトリオキソラン化合物は、驚くべきことに鉄安定性であり、予想外に良好な抗マラリア活性を提供することが見出されている。この構造の化合物は、経口活性であり、特定の代表的な化合物は、単回用量でマラリア治癒性でさえあることが見出されている。更に、本発明の好ましい化合物は、以前に開示されたトリオキソラン化合物と比較して、改善された安定性プロフィールを有する。
【0029】
本発明の一つの実施態様において、化合物は、以下の一般構造を有し、下記に提示されているR基が主要構造である。「OZ」(「オゾニド」を表す)は、便宜上、本出願の残りの部分の全体にわたって使用されるこれらの化合物の内部名称である。
【0030】
【化5】

【0031】
本発明の第2実施態様において、化合物は以下の構造を有する:
【0032】
【化6】

【0033】
本発明の第3実施態様において、化合物は以下の構造を有する:
【0034】
【化7】

【0035】
これまで同定された本発明の好ましい化合物には、以下が含まれる:
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ439);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(4′−モルホリニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ461);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(4′−チオモルホリニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ462);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(1′−オキシド−4′−モルホリニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ466);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−〔4′−(メチルスルホニル)−1′−ピペラジニル〕プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ482);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(シス−4′−アミノシクロヘキシルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ493);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−モルホリニル)シクロヘキシル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ499);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−(4′−ヒドロキシシクロヘキシル)−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(OZ508);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕メチル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ527);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(トランス−4′−アミノシクロヘキシルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ537);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(3′−アミノ−3′−メチルブトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ539);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(テトラヒドロー1′,4′−オキサゼピン−4′(5′H)−イル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ543);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔(トランス−4′−アミノシクロヘキシル)メトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ545);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔4′−(4′−モルホリニル)ブトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ555);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔4′−〔4′−(1′−ヒドロキシ−1′−メチルエチル)−1′−ピペリジニル〕ブトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ571);
−シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔1′−(2′−ヒドロキシ−2′−メチルプロピル)−4′−ピペリジニルオキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ572)。
【0036】
これらの化合物のうちで最も好ましいものは、OZ439、OZ466、OZ493、OZ527、OZ537、OZ539及びOZ555であり、これらは幾つかの場合において単回用量でマラリア治癒性であることが見出されている。
【0037】
アルテミシニン半合成誘導体と比較したこれらのスピロ及びジスピロ1,2,4−トリオキソランの注目すべき特徴は、これらの構造の簡素さ及び合成の容易さである。例えば、ジスピロトリオキソランは、対称ジスピロシクロヘキシルトリオキソランについて下記に例示されているように、Griesbaumらの方法(1997a;1997b)に従って必須シクロアルカノン誘導体の存在下でのシクロアルカノンのO−メチルオキシムの共オゾン分解によって容易に合成することができる。
【0038】
【化8】

【0039】
この共オゾン分解反応において収量が低い場合、収量は、O−メチルオキシム及びケトンを「逆」にすると著しく改善することができる。この新規手順は、スピロ及びジスピロトリオキソランを合成する独特の好都合な方法を提供する。アルケン手法に対するオキシムエーテル経路の利点には、出発物質の簡便合成(オキシムエーテル対四置換アルケン)、高い収量及び対反応基質の賢明な選択により所望のトリオキソランを形成する選択性が含まれる。トリオキソランを、結晶化又はフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。これらの構造及び純度を、分析HPLC、H及び13C NMR、IR、融点及び元素分析により確認することができる。
【0040】
オキシムエーテル及びケトンからのトリオキソランの形成は、3工程プロセスであると推定される。シーケンスは、オキシム二重結合にオゾンを求電子付加して一次オゾニドを形成することによって始まる。2番目に、非常に不安定な一次付加物画分の、反応性カルボニルオキシドへの付加は、部分的には比較的安定した亜硝酸メチルの同時の放逐により駆動される。3番目に、カルボニルオキシドは、ケトンと〔3+2〕付加環化して、二次オゾニド又は1,2,4−トリオキソランを得る。
【0041】
【化9】

【0042】
これが段階的又は協調的な組み換えプロセスであるかは、依然として決定されていない。
【0043】
大部分の新たなジスピロトリオキソランは、スピロアダマンタンを含有し、必須のシクロアルカノン誘導体の存在下でのアダマンタノンO−メチルオキシムの共オゾン分解によって合成することができる。共オゾン分解反応に好ましい反応溶媒は、ペンタン又はシクロヘキサンのような炭化水素溶媒であり、より極性のある溶媒は反応の収量を減少する傾向がある。ケトンがペンタン又はシクロヘキサンに容易に可溶性ではない場合、混合溶媒(ペンタン/塩化メチレン)又は塩化メチレン単独を使用することができる。幾つかの要因がオキシムエーテルとケトンの比率を決定する。幾つかの反応において、ジペルオキシド(1,2,4,5−テトラオキサン)の形成を回避するため、ジケトンからのジオゾニドの形成を除外するため及び容易にペンタンに溶解しうるケトンとの反応を促進するため、過剰量のケトン(2:1)が使用される。最も一般的には、本発見の合成段階において、特にケトンがペンタンに容易に可溶性ではないか、高価であるか又は反応処理から除去するのが困難である場合、ケトンとオキシムエーテルの1:1の比率を使用することができる。大規模トリオキソラン合成では、1.5倍の過剰量のオキシムエーテルを使用して、精製についての問題を起こすことなく、ケトンの所望生成物トリオキソランへのより高い変換を達成することができる。
【0044】
本発明のジスピロトリオキソラン組成物を一般にマラリアの予防及び治療に使用することができる。本発明のトリオキソラン組成物を薬学的に許容される担体とともに投与することができる。任意の薬学的に許容される担体を、担体が本発明のトリオキソラン化合物の安定性又は生物学的利用能に有意に干渉しない限り、一般にこの目的に使用することができる。
【0045】
本発明のトリオキソランを、任意の有効な薬学的に許容される形態、例えば、局所剤、バッカル剤、舌下剤若しくは鼻腔スプレー剤として、局所、洗浄、経口、坐剤、非経口又は注入投与形態又は作用物質を送達する他の任意の有効な方法により、ヒト及び他の動物被験者を含む温血動物に投与することができる。投与経路は、好ましくは標的細胞への作用物質の送達及び/又は局在化を最適化するように設計される。
【0046】
活性化合物、即ちトリオキソランに加えて、本発明の医薬組成物は、活性化合物の、薬学的に使用することができる調合剤への加工を促進する適切な賦形剤及び佐剤を含有することができる。経口投与形態は、錠剤、カプセル剤及び顆粒剤を包含する。直腸投与することができる調合剤には坐剤が含まれる。他の投与形態には、非経口又は経口投与に適した液剤及び口腔内又は舌下投与することができる組成物が含まれる。
【0047】
本発明の医薬調合剤は、それ自体当該技術において周知の方法により製造される。例えば、医薬調合剤は、従来の混合、造粒、糖衣錠製剤、溶解、凍結乾燥法により作製することができる。使用される方法は、最終的には使用される活性成分の物理的特性によって決まる。
【0048】
特に適切な賦形剤は、糖類、例えばラクトース又はスクロースマンニトール又はソルビトールのような充填剤、セルロース調製物及び/又はリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム、並びにデンプン、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドンを使用したペーストのような結合剤である。望ましい場合、上記に記述されたデンプン、またカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩壊剤を加えることができる。佐剤は、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムのようなその塩、及び/又はポリエチレングリコールのような流動性調節剤及び潤滑剤である。経口投与形態には、望ましい場合は胃液に抵抗できるように適切な被覆を備えることができる。
【0049】
この目的のために、糖濃縮液を使用することができ、これは場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有することができる。胃液に抵抗性の被覆を製造するために、アセチルセルロースフタレート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのような適切なセルロース調製物の溶液、染料及び顔料を、例えば、識別のため又は化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるため、錠剤被覆に加えることができる。
【0050】
経口用に使用できる他の医薬調合剤には、ゼラチンから作られる押し込み式カプセル剤、またゼラチンと、グリセロール又はソルビトールのような可塑剤から作られる軟質密閉カプセル剤が含まれる。押し込み式カプセル剤は、活性化合物を、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、場合により安定剤と混合してもよい、顆粒の形態で含有することができる。軟質カプセル剤では、活性化合物を、好ましくは脂肪油、液体パラフィン又は液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解又は懸濁することができる。加えて、安定剤を添加してもよい。直腸に使用することができる可能な医薬調合剤には、例えば、活性化合物と坐剤基剤の組み合わせから構成される坐剤が含まれる。適切な坐剤基剤は、例えば、天然又は合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコール又は高級アルカノールである。加えて、活性化合物と基剤の組み合わせから構成されるゼラチン直腸カプセル剤を使用することも可能である。可能な基剤材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール又はパラフィン炭化水素が含まれる。
【0051】
非経口投与に適した製剤には、水溶性又は水分散性形態の活性化合物の水性液剤が含まれる。加えて、活性化合物の懸濁剤を適切な油状注射用懸濁剤として投与することができる。適切な親油性溶媒又はビヒクルには、脂肪油、例えばゴマ油又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリドが含まれる。水性注射用懸濁剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、懸濁剤の粘度を増加する物質を含有することができる。そのような組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような補助剤を含むこともできる。また、例えば細菌保持フィルターによる濾過又は組成物への滅菌剤の組み込みによって滅菌することもできる。また、投与前に滅菌水、食塩水又は他の注射用媒質に溶解又は懸濁することができる、滅菌固体組成物の形態で製造することもできる。
【0052】
従来の担体とともに投与することに加えて、活性成分を、携帯用注入ポンプのような当業者に既知の多様な薬剤特殊送達技術により投与することができる。
【0053】
本発明のトリオキソラン組成物は、薬学的に許容される担体とともに、マラリア感染を予防する及び/又は活動性感染を治療するのに有効な量で投与される。本発明のトリオキソラン化合物は、高用量であっても顕著に低い毒性及び低い程度の副作用を有する。トリオキソラン組成物の投与範囲は、活動性感染の予防に使用するか又は治療に使用するか、投与経路、投与スケジュールなどのような多数の要因に応じて変わる。一般に、トリオキソランの治療用量は、約0.1〜1000mg/kg/日の範囲であることができ、約1〜100mg/kg/日が好ましい。前記の用量を、単回用量として投与することができるか又は多回用量に分けて投与することができる。単回投与では、可能な投与範囲は約0.5〜5.0mg/kgである。しかし、投与範囲を更に大きく広げることができる。
【0054】
トリオキソラン組成物を1日に1回から数回投与することができる。マラリアの予防では、展開的な投与スケジュールは、例えば(単回用量治癒を除いて)、マラリアに暴露される1〜2週間前から始まり暴露された1〜2週間後まで、毎週2.0〜1000mg/kgであることができる。
【0055】
本発明のスピロ及びジスピロトリオキソランを、薬学的に有効な任意の塩形態で投与することができる。そのような塩は当該技術において周知であり、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホネート、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオネート、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。好ましい塩は、トリオキソラン化合物の生物学的利用能を増加するものである。これは、トリオキソランの化学構造、それらが組み込まれる担体、投与経路などを含む多数の要因によって決まる。
【0056】
原則として、本発明の化合物、並びに他の抗マラリア剤を、耐性を防止するために併用療法の一部として投与することが好ましい。マラリアを治療するそのような併用療法の利点は、当該技術において良く知られている。抗マラリア薬を伴う併用療法は、独立した作用様式及び寄生虫において異なる生化学的標的を有する2つ以上の血液中殺シゾント薬との同時使用である。併用療法の概念は、治療効果を改善する及び組み合わせの個別の構成要素に対する耐性の発生も遅延する、2つ以上の薬剤の相乗的又は付加的な可能性に基づいている。現行の抗マラリア薬組み合わせの例には、アルテミシニンとクロロキン及びメフロキンとの組み合わせ、並びにキニーネに基づいたテトラサイクリンとクリンダマイシンの組み合わせが挙げられる。本発明のトリオキソランは、アルテメテル、クロロキン、メフロキン、ピペラキン及びピロナリジンが含まれるが、これらに限定されない多様な他の抗マラリア剤と組み合わせて投与されることが予想される。
【0057】
本発明のスピロ及びジスピロトリオキソランは、住血吸虫症の治療に効果があることが見出されている。住血吸虫症は、熱帯及び亜熱帯地域の社会経済上及び公衆衛生の観点からマラリアに次いで2番目を占めている。この疾患は、74か国の発展途上国において風土病であり、農村及び都市周辺地域において2億人を超える人々に感染している。世界中で推定5〜6億人がこの疾患の危険にさらされている。
【0058】
ヒト住血吸虫症の主な形態は、5種類の水媒介性の扁形動物又は住血吸虫と呼ばれる血管寄生吸虫により引き起こされる。これらの種のうちの1つがマンソン住血吸虫であり、アフリカ、地中海東部、カリブ海及び南米の53か国で報告されている。寄生虫は、主に農業及び漁業に従事している人々の間で、感染した地表水との接触を介して体内に入る。寄生虫は、通常セルカリア又は幼虫期の間に宿主に感染する。宿主の中に入ると、セルカリアは成虫又は住血吸虫に成長する。
【0059】
住血吸虫症の現行の処置は、主に予防、即ちセルカリアによる宿主感染の防止に焦点を当てている。現在、プラジカンテルが住血吸虫症の治療に最も広く使用されている薬剤である。アルテメテルは住血吸虫症の予防に活性があることを実証したが、成虫のマンソン住血吸虫に対して活性を全く示していない。
【0060】
予想外なことに、現在、本発明のスピロ及びジスピロトリオキソランは、マラリア寄生虫の治療に関して上記に概説された投与量及び方法で投与されたとき、マンソン住血吸虫と日本住血吸虫のセルカリアと成虫の両方に対して活性であることが発見されている。本発明のトリオキソランは、また、ビルハルツ住血吸虫に対して活性であると考えられている。本発明のジスピロトリオキソランの好ましい投与レベルは、約100〜200mg/kg/日の経口である。
【0061】
担体成分と適合するトリオキソラン以外の他の薬剤も、担体に組み込むことができる。そのような薬剤は当業者によって容易に確認することができ、例えば、抗生物質、他の抗マラリア剤、抗炎症剤などを含むことができる。
【0062】
本発明は、上記に記述されたトリオキソラン化合物それ自体の使用のみならず、代謝して化合物になるそのプロドラッグ、その類似体及び生物学的に活性な塩形態、並びに同じ薬学的な結果をもたらす光学異性体の使用も考慮されることが理解される。
【0063】
以下の実施例は、例示のために提供され、本発明の範囲を制限しない。したがって、これらは、多様な製剤の変更、並びに送達方法の変更を行うことができ、依然として本発明の範囲内でありうるという理解の下で提示されている。
【0064】
実施例1
抗マラリア活性
インビトロでの熱帯熱マラリア原虫に対する1,2,4−トリオキソランの活性。トリオキソランを、それぞれ、インビトロで熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性K1株及びクロロキン感受性NF54株に対してスクリーニングした。
【0065】
インビボでのプラスモディウムベルゲイに対する1,2,4−トリオキソランの活性。単回用量インビボスクリーニングでは、プラスモディウムベルゲイのANKA株で感染させたNMRIマウス(マウス5匹の群)を、標準懸濁ビヒクル(SSV)に溶解又は懸濁したトリオキソランにより、感染1日後に処置した。SSVは、水中の0.5%w/vのカルボメチルセルロース、0.5%v/vのベンジルアルコール、0.4%v/vのツイーン80及び0.9%w/vの塩化ナトリウム又は水中の0.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.4%v/vのツイーン80及び0.5%v/vのベンジルアルコールのいずれかにより構成されている。トリオキソランを単回経口30mg/kg用量で投与した。抗マラリア活性は、未処置対照群と比較した、感染後3日目の寄生虫血症の低減率及び生存期間によって測定した。感染後30日目の生存は、このモデルでは治癒であると考慮した。
【0066】
抗マラリア対照薬のアルテスネート(AS)、アルテメテル(AM)、クロロキン(CQ)及びメフロキン(MQ)の比較データも含まれる。
【0067】
【表1】

【0068】
表1のデータは、プラスモディウムベルゲイ感染マウスモデルにおけるこれらの新たなトリオキソランの予想外の単回用量治癒特性を実証している。これらの実験において、化合物を、感染の24時間後に単回30mg/kg用量でSSVビヒクルによって経口投与した。OZ277(本発明者の先願特許に記載されている)及び全ての対照抗マラリア薬と比較すると、これらの新たなトリオキソランは、感染マウスの1/5匹〜5/5匹を治癒した。OZ439、OZ461、OZ462、OZ464、OZ466、OZ482、OZ493、OZ527、OZ537及びOZ555は、その摂取者の5匹全てにおいて疾患の治癒に成功した。
【0069】
実施例2
抗マラリア活性
インビトロでの熱帯熱マラリア原虫に対する1,2,4−トリオキソランの活性。トリオキソランを、それぞれ、インビトロで熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性K1株及びクロロキン感受性NF54株に対してスクリーニングした。
【0070】
インビボでのプラスモディウムベルゲイに対する1,2,4−トリオキソランの活性。単回用量インビボスクリーニングでは、プラスモディウムベルゲイのANKA株で感染させたNMRIマウス(マウス5匹の群)を、標準懸濁ビヒクル(SSV)に溶解又は懸濁したトリオキソランにより、感染1日後に処置した。SSVは、水中の0.5%w/vのCMC、0.5%v/vのベンジルアルコール、0.4%v/vのツイーン80及び0.9%w/vの塩化ナトリウムから構成されている。トリオキソランを単回経口10mg/kg用量で投与した。抗マラリア活性は、未処置対照群と比較した、感染後3日目の寄生虫血症の低減率及び生存期間によって測定した。感染後30日目の生存は、治癒であると考慮した。
【0071】
抗マラリア対照薬のアルテスネート(AS)、アルテメテル(AM)、クロロキン(CQ)及びメフロキン(MQ)の比較データも含まれる。
【0072】
【表2】

【0073】
【化10】

【0074】
【表3】

【0075】
【化11】

【0076】
これらの表のデータは、OZ439及びOZ493の異なる塩形態が良好な抗マラリア活性を有すること及び活性が塩形態と無関係であることを実証している。
【0077】
実施例3
マラリア感染の治療及び予防における選択されたOZ化合物の有効性
インビボでのプラスモディウムベルゲイに対する1,2,4−トリオキソランの予防活性:化合物を実施例1に記載されたSSVビヒクルによりマウスに経口投与した。化合物を、感染の48、72又は96時間前に単回100mg/kg経口用量投与として又は感染の24時間前に単回30mg/kg経口用量として投与した。未処置対照群を含む全ての群(n=1群あたり5匹のマウス)を同時に感染させ、寄生虫血症は、感染後3日目にそれぞれの動物で決定し、対照動物の寄生虫血症とレベルを比較した。
【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
表2及び3のデータにより実証されているように、本発明者は、これらの新たなトリオキソランの予想外の予防可能性を発見した。先行出願の特許に記載されたより活性のあるトリオキソランのうちの幾つか(OZ277、OZ323、OZ401)と比較すると、新たなトリオキソランのうちの幾つかは、対照抗マラリア薬よりも優れた予防特性を有し、強力な予防特性が知られている薬剤であるメフロキンでさえも超えていた。
【0081】
血中安定性研究: 化合物を、新たに収集したラット血液の中で37℃でインキュベートした。選択した時点で、全血の二重アリコートを試料採取し、遠心分離し、血漿をLC−MSにより親化合物についてアッセイした。
【0082】
ラットにおける薬物動態研究:化合物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ツイーン80、ベンジルアルコール及び水を含有する懸濁製剤により10mg/kgの用量でラット(n=2)に経口投与した。血液試料を48時間の間に周期的に採取し、収集した直後に遠心分離し、血漿をLC−MSにより親化合物についてアッセイした。各化合物の経口での生物学的利用能を、適切なビヒクルによる各化合物の静注用量に対して計算した。
【0083】
【表6】

【0084】
表4のデータは、シクロヘキシル環にシス−8′−フェニル置換基を含有するトリオキソランが、シス−8′−アルキル置換基を含有する先願化合物と比較して、37℃でラット血中において驚くほど改善された安定性を実証したことを示す。代謝的に不安定であることが見出されたOZ462を除いて、試験した全てのシス−8′−フェニル化合物は、シス−8′−アルキル置換基を含有する化合物と比較して、経口投与後にラットにおいて顕著に長い半減期を有し、それに応じて高い経口生物学的利用能を有した。
【0085】
【化12】

【0086】
実施例4
化合物の調製の好ましい手順
以下に本発明の化合物の好ましい合成方法を記載する。幾つかの場合において、本発明者の以前のOZ化合物が参照され、その主題は米国特許第6,486,199号、同第6,825,230号及び同第6,906,205号、並びに米国特許出願第11/121,451号の1つ以上に開示されており、その開示は、全て明確に参照として本明細書に組み込まれる。
【0087】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−ピペリジニルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ429)。THF(50ml)中のOZ288(1.426g、4mmol)、1−Boc−4−ヒドロキシピペリジン(0.966g、4.8mmol)及びトリフェニルホスフィン(2.10g、8mmol)の溶液に、室温で、DIPAD(1.618g、8mmol)を滴加した。反応混合物を室温で72時間撹拌し、濃縮した。残渣を、トリエチルアミン(404mg)を含有するエタノール(30ml)から結晶化させて、Boc−保護トリオキソラン中間体を得た。THF(1.5M、12ml)中のメタンスルホン酸溶液を上記の中間体に加えた。混合物を室温で24時間撹拌してから、エーテル(100ml)で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集し、エーテル(100ml)及びEtOAc(50ml)で洗浄し、乾燥して、トリオキソランOZ429(0.79g、37%)を白色の固体として得た。融点148〜150℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.61−2.29(m,26H),2.44−2.53(m,1H),2.81(s,3H),3.21−3.45(m,4H),4.58(s,1H),6.81(d,J=8.8Hz,2H),7.12(d,J=8.8Hz,2H),8.65(brs,1H),8.86(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.48,26.68,26.89,31.59,34.71,34.81,36.41,36.80,39.33,39.96,42.06,67.72,108.36,111.40,115.88,127.94,139.50,154.66。分析 C2841NOSの計算値:C62.78;H7.71;N2.61。実測値:C62.94;H7.63;N2.75。
【0088】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ439)。無水アセトニトリル(50ml)中のOZ288(1.0g、2.81mmol)の溶液に、粉末NaOH(0.45g、11.23mmol)及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.19g、0.562mmol)を加えた。混合物を25℃で30分間撹拌してから、N−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(1.05g、5.62mmol)を加えた。添加の後、60℃で一晩撹拌した。無機固体を濾取し、CHClで洗浄した。溶媒を除去した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解した。有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去することによって、遊離塩基を無色の固体として得た。CHCl(10ml)中の上記の遊離塩基の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.216g、2.25mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ439(1.09g、78%)を無色の固体として得た。融点152〜154℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.61−2.11(m,22H),2.46−2.56(m,1H),2.81(s,3H),3.09(brs,2H),3.52−3.56(m,2H),3.61−3.68(m,2H),3.97−4.19(m,4H),4.45−4.50(m,2H),6.84(d,J=8.8Hz,2H),7.14(d,J=8.8Hz,2H),11.74(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.43,26.83,31.54,34.63,34.75,36.36,36.75,39.37,41.98,52.85,56.74,62.81,63.79,108.28,111.38,114.43,127.94,139.96,155.34。分析 C2943NOSの計算値:C61.57;H7.66;N2.48。実測値:C61.80;H7.48;N2.48。
【0089】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(2′−アミノ−1′,1′−ジメチルエトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ453)。工程1.アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.36ml、1.83mmol)を、THF(12ml)中のOZ450(0.31g、0.72mmol)、フタルイミド(0.22g、1.49mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.48g、1.83mmol)の混合物にN下、0℃で滴加した。得られた混合物を室温で2日間撹拌し、次に5%NaHCO水溶液(10ml)で停止させた。固体を濾過により収集し、水、THF及びエーテルで洗浄して、フタルイミド中間体(0.30g、75%)を無色の固体として得た。融点162〜163℃。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.31(s,6H),1.60−2.08(m,22H),2.46−2.56(m,1H),3.94(s,2H),6.92(d,J=8.5Hz,2H),7.06(d,J=8.5Hz,2H),7.70−7.76(m,2H),7.85−7.91(m,2H)。工程2.クロロホルム(20ml)及びメタノール(3ml)中の上記のフタルイミド中間体(0.21g、0.38mmol)及びヒドラジン一水和物(1.0ml)の混合物を、50℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過して固体副産物を除去し、濃縮した。残渣をCHCl(30ml)に溶解し、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をCHCl(5ml)に溶解し、次にエーテル(20ml)中のメタンスルホン酸(40mg、0.42mmol)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ453(0.15g、75%)を無色の固体として得た。融点146〜148℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.25(s,6H),1.47−1.62(m,2H),1.63−1.99(m,20H),2.31(s,3H),2.47−2.67(m,1H),3.04(q,J=5.8Hz,2H),6.97(d,J=8.3Hz,2H),7.17(d,J=8.3Hz,2H),7.94(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ23.95,25.98,26.39,31.33,34.26,34.43,35.96,36.25,39.94,40.12,41.03,48.07,77.24,108.27,110.73,123.90,127.37,141.70,151.84。分析 C2741NOSの計算値:C61.92;H7.89;N2.67。実測値:C62.14;H7.98;N2.81。
【0090】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−チオモルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ460)。工程1.アセトニトリル(50ml)中のチオモルホリン(2.0g、19.4mmol)及び2−ブロモエタノール(2.9g、23.3mmol)の溶液に、粉末KCO(13.4g、96.9mmol)を加えた。反応混合物を一晩還流した後、濾過し、濃縮した。残渣を水(50ml)に溶解し、EtOAc(2×25ml)で抽出した。水層を濾過した後、水を真空下で除去した。残渣を1,2−ジクロロエタン(50ml)に溶解してから、塩化チオニル(5ml)を加えた。反応混合物を3時間環流した後、得られた沈殿物を濾過し、エーテル(3×25ml)で洗浄し、50℃で乾燥して、4−(2−クロロエチル)チオモルホリン塩酸塩(2.2g、87%)を無色の固体として得た。 H NMR(500MHz,DMSO−d)δ2.78−2.86(m,2H),3.16−3.30(m,4H),3.49(t,J=6.8Hz,2H),3.70−3.78(m,2H),4.08(t,J=7.1Hz,2H),11.8(brs,1H)。工程2.無水アセトニトリル(50ml)中のOZ288(0.50g、1.40mmol)の溶液に、粉末NaOH(0.225g、5.61mmol)及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.10g、0.28mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した後、4−(2−クロロエチル)チオモルホリン塩酸塩(0.25g、1.26mmol)を加えた。混合物を60℃で一晩撹拌してから、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去することによって、OZ460遊離塩基(0.60g、88%)を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中のOZ460遊離塩基(0.60g、1.23mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.14g、1.4mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ460(0.56g、78%)を無色の固体として得た。融点155〜157℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.61−2.08(m,22H),2.46−2.55(m,1H),2.70(d,J=14.6Hz,2H),2.81(s,3H),3.12−3.24(m,2H),3.44(t,J=13.3Hz,2H),3.52−3.60(m,2H),3.95(d,J=12.2Hz,2H),4.42−4.49(m,2H),6.83(d,J=8.8Hz,2H),7.14(d,J=8.8Hz,2H),11.42(s,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ24.98,26.44,26.84,31.55,34.63,34.76,36.37,36.75,39.39,41.98,54.76,57.13,62.58,108.28,111.40,114.42,127.96,139.99,155.33。分析 C2943NOの計算値:C59.87;H7.45;N2.41。実測値:C60.03;H7.59;N2.32。
【0091】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(4′−モルホリニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ461)。工程1.無水THF(30ml)中のモルホリン(1.0g、11.47mmol)及び1−クロロ−3−ヨードプロパン(2.35g、11.5mmol)の溶液に、活性亜鉛末(0.75g、11.47mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した後、濾過し、EtOAc(20ml)で洗浄し、濃縮した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、10%NaHCO水溶液(10ml)、水(2×10ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。残渣をエーテル(20ml)に溶解してから、1Mエーテル性HCl溶液(11.5ml、11.5mmol)を0℃で滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(2×10ml)で洗浄し、乾燥して、4−(3−クロロプロピル)モルホリン塩酸塩(0.70g、31%)を無色の固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ2.17−2.28(m,2H),3.01−3.09(m,2H),3.15−3.19(m,2H),3.39−3.42(m,2H),3.76(t,J=6.4Hz,2H),3.81−3.86(m,2H),3.92−3.96(m,2H),11.46(brs,1H)。工程2.無水アセトニトリル(50ml)中のOZ288(0.50g、1.40mmol)の溶液に、粉末NaOH(0.225g、5.61mmol)及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.1g、0.28mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した後、4−(3−クロロプロピル)モルホリン塩酸塩(0.25g、1.26mmol)を加えた。混合物を60℃で一晩撹拌してから、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解した。有機層を、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をEtOAc(20ml)に溶解した後、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.14g、1.40mmol)の溶液を0℃で滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ461(0.475g、58%)を無色の固体として得た。融点158〜160℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.61−2.07(m,22H),2.32−2.40(m,2H),2.44−2.55(m,1H),2.79(s,3H),2.88−2.98(m,2H),3.22−3.31(m,2H),3.57(d,J=12.2Hz,2H),3.97−4.18(m,6H),6.79(d,J=8.8Hz,2H),7.11(d,J=8.8Hz,2H),11.39(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ23.63,26.41,26.80,31.54,34.63,34.73,36.34,36.72,39.37,41.93,52.23,55.81,63.69,64.51,108.29,111.32,114.20,127.71,139.10,156.40。分析 C3045NOSの計算値:C62.15;H7.82;N2.42。実測値:C62.05;H7.63;N2.51。
【0092】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(4′−チオモルホリニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ462)。工程1.無水THF(30ml)中のチオモルホリン(1.0g、9.7mmol)及び1−クロロ−3−ヨードプロパン(1.98g、9.7mmol)の溶液に、活性亜鉛末(0.64g、9.7g原子)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した後、濾過し、EtOAc(20ml)で洗浄し、濃縮した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、10%NaHCO水溶液(10ml)、水(2×10ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をエーテル(20ml)に溶解してから、1Mエーテル性HCl溶液(9.7ml、9.7mmol)を0℃で滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(2×10ml)で洗浄し、乾燥して、4−(3−クロロプロピル)チオモルホリン塩酸塩(0.40g、19%)を無色の固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ2.20−2.25(m,2H),2.78−2.81(m,2H),3.09−3.27(m,6H),3.68−3.71(m,2H),3.74(t,J=6.4Hz,2H),11.20(brs,1H)。工程2.無水アセトニトリル(50ml)中のOZ288(0.38g、1.07mmol)の溶液に、粉末NaOH(0.09g、2.13mmol)及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.07g、0.21mmol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した後、4−(3−クロロプロピル)チオモルホリン塩酸塩(0.23g、1.07mmol)を加えた。混合物を60℃で一晩撹拌してから、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解した。有機層を、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して、OZ462遊離塩基(0.433g、81%)を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中の上記の遊離塩基(0.41g、0.82mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.08g、0.82mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ462(0.42g、86%)を無色の固体として得た。融点156〜158℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.64−2.08(m,22H),2.32−2.41(m,2H),2.46−2.54(m,1H),2.70(d,J=14.7Hz,2H),2.80(s,3H),2.96−3.07(m,2H),3.24−3.34(m,2H),3.45−3.54(m,2H),3.87(d,J=11.8Hz,2H),4.06(t,J=5.4Hz,2H),6.79(d,J=8.8Hz,2H),7.12(d,J=8.3Hz,2H),11.19(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ23.66,24.86,26.44,26.84,31.57,34.66,34.76,36.37,36.75,39.42,41.97,54.35,56.23,64.61,108.32,111.36,114.22,127.74,139.14,156.40。分析 C3045NOの計算値:C60.48;H7.61;N2.35。実測値:C60.60;H7.54;N2.17。
【0093】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(1′−オキシド−4′−チオモルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ464)。工程1.水(20ml)中のエタノールアミン(0.54g、8.82mmol)の溶液に、ジビニルスルホキシド(1.0g、9.8mmol)を加えた。反応混合物を0.5時間環流した後、混合物を濃縮し、50℃で乾燥して、4−(2−ヒドロキシエチル)チオモルホリン1−オキシド(1.50g、94%)を無色の液体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ2.65(t,J=5.4Hz,2H),2.75−3.02(m,6H),3.05−3.31(m,3H),3.66(t,J=5.4Hz,2H)。工程2.無水THF(50ml)中のOZ288(0.50g、1.4mmol)、4−(2−ヒドロキシエチル)チオモルホリン1−オキシド(0.34g、2.1mmol)、トリフェニルホスフィン(0.55g、2.1mmol)及びトリエチルアミン(0.29ml、2.1mmol)の溶液に、0℃で、THF(10ml)中のDIAD(0.43g、2.1mmol)の溶液を滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc中50%EtOH)により精製して、OZ464遊離塩基(0.51g、73%)を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中のOZ464遊離塩基(0.51g、1.0mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.14g、1.4mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ464(0.51g、85%)を無色の固体として得た。融点139〜141℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.45−1.98(m,22H),2.37(s,3H),2.53−2.64(m,1H),3.08−3.26(m,4H),3.41−3.92(m,6H),4.36(brs,2H),6.95(J=8.8Hz,2H),7.17(J=8.3Hz,2H),10.06(s,1H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ26.00,26.41,31.47,34.26,34.44,35.97,36.27,39.90,40.90,42.09,42.46,55.80,62.12,108.29,110.72,114.89,127.72,139.13,155.99。分析 C2943NOの計算値:C58.27;H7.25;N2.34。実測値:C58.46;H7.14;N2.36。
【0094】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(1′−オキシド−4′−モルホリニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ466)。工程1.水(30ml)中の3−アミノ−1−プロパノール(1.33g、17.64mmol)の溶液に、ジビニルスルホキシド(2.0g、19.6mmol)を加えた。反応混合物を0.5時間環流した後、濃縮し、真空下、50℃で乾燥して、4−(3−ヒドロキシプロピル)チオモルホリン1−オキシド(3.0g、96%)を無色の液体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.71−1.85(m,2H),2.65(t,J=6.4Hz,2H),2.75−2.99(m,6H),3.01−3.27(m,2H),3.73(t,J=5.9Hz,2H),4.22(brs,1H)。工程2.無水THF(50ml)中のOZ288(0.50g、1.4mmol)、4−(3−ヒドロキシプロピル)チオモルホリン1−オキシド(0.50g、2.8mmol)、トリフェニルホスフィン(0.74g、2.8mmol)及びトリエチルアミン(0.4ml、2.8mmol)の溶液に、0℃で、THF(10ml)中のDIAD(0.57g、2.8mmol)の溶液を滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc中50%EtOH)により精製して、OZ466遊離塩基(0.47g、65%)を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中のOZ466遊離塩基(0.47g、0.91mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.09g、0.91mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ466(0.50g、90%)を無色の固体として得た。融点156〜158℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.45−1.98(m,22H),2.12−2.21(m,2H),2.39(s,3H),2.51−2.61(m,1H),3.04−3.85(m,10H),4.02(t,J=6.1Hz,2H),6.87(d,J=8.8Hz,2H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),9.78(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ23.50,26.01,26.42,31.49,34.29,34.45,35.98,36.28,40.89,42.13,54.50,64.91,108.32,110.73,114.63,127.65,138.48,156.68。分析 C3045NOの計算値:C58.89;H7.41;N2.29。実測値:C57.47;H6.94;N2.23。
【0095】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−〔4′−(メチルスルホニル)−1′−ピペラジニル〕プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ482)。工程1.CHCl(50ml)中の1−(3−クロロプロピル)ピペラジン二塩酸塩(2.0g、8.18mmol)の懸濁液に、0℃で、トリエチルアミン(11.4ml、81.8mmol)、続いてCHCl(10ml)中のメタンスルホニルクロリド(0.8ml、9.81mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、水で停止させた。有機層を、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をエーテル(50ml)に溶解し、エーテル性HCl(6.0ml、エーテル中1M、6.0mmol)を0℃で滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、40℃で乾燥して、1−(3−クロロプロピル)−4−(メタンスルホニル)ピペラジン塩酸塩(1.35g、60%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ2.18−2.26(m,2H),3.00(s,3H),3.04−3.18(m,2H),3.18−3.23(m,2H),3.32(t,J=12.2Hz,2H),3.55−3.58(m,2H),3.67−3.69(m,2H),3.76(t,J=6.4Hz,2H),11.6(brs,1H)。工程2.無水アセトニトリル(50ml)中のOZ288(0.50g、1.4mmol)の溶液に、粉末NaOH(0.225g、5.61mmol)及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.095g、0.28mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した後、1−(3−クロロプロピル)−4−(メタンスルホニル)ピペラジン塩酸塩(0.39g、1.4mmol)を加えた。反応混合物を60℃で一晩撹拌し、室温に冷却した。無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解した。有機層を、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc中50%EtOH)により精製して、遊離塩基(0.17g、22%)を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中の上記の遊離塩基(0.17g、0.30mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.060g、0.30mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(25ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ482(0.20g、88%)を無色の固体として得た。融点148〜150℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.48−1.59(m,2H),1.62−1.96(m,20H),2.06−2.15(m,2H),2.29(s,3H),2.51−2.59(m,1H),3.02(s,3H),3.05−3.21(m,4H),3.26−3.36(m,2H),3.59−3.78(m,4H),4.01(t,J=5.8Hz,2H),6.86(d,J=8.8Hz,2H),7.12(d,J=7.8Hz,2H),7.13(d,J=8.3Hz,2H),7.49(d,J=7.8Hz,2H),9.51(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ20.95,23.69,25.98,26.39,31.48,34.26,34.43,35.27,35.96,36.25,40.86,42.70,50.77,53.32,64.82,108.30,110.72,114.59,125.66,127.65,128.27,137.89,138.49,145.72,156.64。分析 C3752の計算値:C60.63;H7.15;N3.82。実験値:C60.50;H7.31;N3.40。
【0096】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−〔4′−(メチルスルホニル)−1′−ピペラジニル〕エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ485)。工程1.1,2−ジクロロエタン(50ml)中のN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(2.00g、15.36mmol)の溶液に、0℃で、1,2−ジクロロエタン(5ml)中の塩化チオニル(5ml)の溶液を滴加した。添加の後、反応混合物を4時間環流し、室温に冷却した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をエーテル(50ml)で粉砕した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(3×25ml)で洗浄し、50℃乾燥して、N−(2−クロロエチル)ピペラジン二塩酸塩(3.20g、95%)を無色の固体として得た。工程2.1,2−ジクロロエタン(25ml)中のN−(2−クロロエチル)ピペラジン二塩酸塩(1.00g、4.54mmol)及びトリエチルアミン(6.3ml、45.5mmol)の溶液に、0℃で、1,2−ジクロロエタン(10ml)中のメタンスルホニルクロリド(1.04g、9.08mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、水(25ml)で停止させた。有機層を、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去することによって、1−(2−クロロエチル)−4−(メタンスルホニル)ピペラジン(0.87g、85%)を粘性の油状物として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ2.63−2.65(m,4H),2.77−2.8(m,5H),3.27(t,J=4.9Hz,4H),3.59(t,J=6.8Hz,2H)。工程3.無水アセトニトリル(50ml)中のOZ288(0.50g、1.40mmol)の溶液に、粉末NaOH(0.17g、4.21mmol)及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.10g、0.28mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した後、アセトニトリル(5ml)中の1−(2−クロロエチル)−4−(メタンスルホニル)ピペラジン(0.48g、2.10mmol)の溶液を加えた。混合物を60℃で一晩撹拌し、室温に冷却した後、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。濾液を濃縮した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解した。有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc中50%EtOH)により精製して、遊離塩基(0.49g、64%)を無色の固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.62−2.04(m,22H),2.46−2.54(m,1H),2.69(t,J=4.9Hz,4H),2.77(s,3H),2.84(t,J=5.4Hz,2H),3.26(t,J=4.9Hz,4H),4.07(t,J=5.4Hz,2H),6.82(d,J=8.8Hz,2H),7.11(d,J=8.3Hz,2H)。EtOAc(10ml)中の上記の遊離塩基(0.49g、0.9mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.08g、0.81mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ485(0.52g、90%)を無色の固体として得た。融点140〜142℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.48−1.59(m,2H),1.61−1.96(m,20H),2.37(s,3H),2.52−2.62(m,1H),3.02(s,3H),3.11−3.34(m,4H),3.57−3.79(m,6H),4.33(brs,2H),6.95(d,J=7.8Hz,2H),7.17(d,J=7.8Hz,2H),9.95(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ25.99,26.40,31.47,34.26,34.44,35.26,35.97,36.26,39.94,40.89,42.52,51.21,54.73,62.24,108.30,110.74,114.89,127.74,139.14,155.99。分析 C3046・0.3HOの計算値:C56.05;H7.21;N4.36。実測値:C55.48;H7.25;N4.04。
【0097】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(シス−4′−アミノシクロヘキシルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ493)。工程1.アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.69ml、3.51mmol)を、THF(50ml)中のOZ288(1.00g、2.81mmol)、N−(トランス−4−ヒドロキシシクロヘキシル)フタルイミド(0.85g、3.47mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.92g、3.51mmol)の混合物にN下、0℃で滴加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を除去した後、粗生成物をEtOHからの結晶化により精製して、所望のフェノールエーテル(0.95g、58%)を無色の固体として得た。融点145〜146℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.51−2.08(m,26H),2.16−2.25(m,2H),2.44−2.54(m,1H),2.66−2.78(m,2H),4.15−4.24(m,1H),4.53−4.58(m,1H),6.90−6.96(m,2H),7.09−7.15(m,2H),7.67−7.73(m,2H),7.79−7.86(m,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ23.95,26.50,26.89,29.27,31.65,34.77,34.81,36.41,36.82,42.10,50.17,69.55,108.48,111.34,116.26,123.03,127.61,132.07,133.79,138.40,155.60,168.33。工程2.クロロホルム(40ml)及びメタノール(6ml)中の上記のフェノールエーテル(1.45g、2.49mmol)及びヒドラジン一水和物(2ml)の混合物を50℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過して固体副産物を除去した後、濾液を、水(2×20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をCHCl(5ml)に溶解し、次に酢酸エチル(20ml)中のメタンスルホン酸(0.23g、2.4mmol)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ493(1.11g、81%)を無色の固体として得た。融点158〜159℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.48−1.96(m,30H),2.32(s,3H),2.51−2.60(m,1H),3.04−3.17(m,1H),4.52(s,1H),6.86(d,J=8.3Hz,2H),7.12(d,J=8.3Hz,2H),7.78(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ24.93,25.98,26.39,27.14,31.46,34.28,34.43,35.95,36.25,40.88,48.51,69.73,108.30,110.71,116.11,127.72,138.32,155.31。分析 C2943NOSの計算値:C63.36;H7.88;N2.55。実測値:C64.26;H7.88;N2.26。
【0098】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−(4′−オキソシクロヘキシル)−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(OZ495)。シクロヘキサン(150ml)及びCHCl(75ml)中のO−メチル2−アダマンタノンオキシム(2.00g、11.2mmol)及び4,4′−ビシクロヘキサノン(4.34g、22.4mmol)の溶液を、一般的な手順に従ってオゾンで処理した。溶媒を除去した後、粗生成物をEtOH/HO(10:3)からの結晶化により精製して、トリオキソランOZ495(2.50g、63%)を無色の固体として得た。融点90〜91℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.05−2.11(m,28H),2.21−2.49(m,4H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.47,26.87,27.28,29.87,34.39,34.79,36.39,36.79,40.42,40.84,41.02,108.68,111.34,212.17。分析 C2232の計算値:C73.30;H8.95。実測値:C73.80;H8.92。
【0099】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(5′−アミノペントキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ498)。工程1.トルエン(20ml)中の無水フタル酸(1.48g、10mmol)及び5−アミノ−1−ペンタノール(1.03g、10mmol)の混合物を環流下で一晩加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、N−(5−ヒドロキシペンチル)フタルイミド(2.00g、88%)を無色の油状物として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.37−1.48(m,2H),1.56−1.67(m,2H),1.67−1.79(m,2H),3.64(t,J=6.5Hz,2H),3.70(t,J=7.5Hz,2H),7.66−7.76(m,2H),7.80−7.99(m,2H)。工程2.アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.69ml、3.51mmol)を、THF(50ml)中のOZ288(0.50g、1.4mmol)、N−(5−ヒドロキシペンチル)フタルイミド(0.65g、2.79mmol)、トリフェニルホスフィン(0.92g、3.51mmol)及びトリエチルアミン(0.5ml、3.51mmol)の混合物にN雰囲気下、0℃で滴加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を除去した後、粗生成物をEtOHからの結晶化により精製して、所望のフェノールエーテル(0.35g、44%)を無色の固体として得た。融点115〜116℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.46−2.08(m,28H),2.43−2.53(m,1H),3.71(t,J=7.0Hz,2H),3.92(t,J=6.5Hz,2H),6.79(d,J=9.0Hz,2H),7.09(d,J=9.0Hz,2H),7.67−7.75(m,2H),7.80−7.99(m,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ23.42,26.49,26.89,28.33,28.85,31.65,34.76,34.81,36.41,36.81,37.85,42.05,67.55,108.46,111.34,114.34,123.18,127.56,132.15,133.86,138.20,157.34,168.43。工程3.クロロホルム(30ml)及びメタノール(3ml)中の上記のフェノールエーテル(0.30g、0.53mmol)及びヒドラジン一水和物(1ml)の混合物を、50℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過して固体副産物を除去した後、濾液を、水(2×10ml)及びブライン(10ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をCHCl(5ml)に溶解し、酢酸エチル(20ml)中のメタンスルホン酸(0.05g、0.52mmol)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ498(0.19g、68%)を無色の固体として得た。融点155〜156℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.38−1.98(m,28H),2.30(brs,3H),2.50−2.59(m,1H),2.76−2.85(m,2H),3.92(t,J=6.3Hz,2H),6.83(d,J=8.8Hz,2H),7.11(d,=8.3Hz,2H),7.63(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ22.72,25.98,26.39,26.90,28.35,31.49,34.28,34.44,35.96,36.25,38.97,40.86,67.22,108.32,110.71,114.44,127.58,138.04,157.08。分析 C2843NOSの計算値:C62.54;H8.06;N2.60。実測値:C62.55;H7.93;N2.76。
【0100】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−モルホリニル)シクロヘキシル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ499)。CHCl(10ml)及びClCHCHCl(10ml)中のOZ495(0.23g、0.64mmol)の溶液に、モルホリン(10ml、 mmol)及び酢酸(2.5ml)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌してから、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.22g、1.03mmol)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、次に、1M NaOH水溶液(2ml)で停止させた。有機層を分離し、水(10ml)及びブライン(10ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をCHCl(5ml)に溶解し、酢酸エチル(20ml)中のメタンスルホン酸(0.06g、0.63mmol)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ499(0.11g、32%)を無色の固体として得た。融点150〜152℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.02−1.51(m,6H),1.61−2.08(m,26H),2.82(s,3H),2.83−2.94(m,2H),2.99−3.09(m,1H),3.49(d,J=11.2Hz,2H),4.00(dd,J=13.2,2.9Hz,2H),4.23(t,J=12.0Hz,2H),11.05(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.87,26.15,26.49,26.87,27.98,33.41,33.99,34.78,36.40,36.51,36.80,39.58,48.99,63.82,66.51,108.59,111.34。分析 C2745NOSの計算値:C61.45;H8.60;N2.65。実測値:C61.53;H8.44;N2.57。
【0101】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−〔(2′−ヒドロキシ−2′−メチルプロピル)アミノ〕プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ505)。エタノール(10ml)中の1,2−エポキシ−2−メチルプロパン(1ml、11mmol)及び遊離塩基OZ401(620mg、1.5mmol)の溶液を、Ar下、室温で2日間撹拌し、次に蒸発乾固した。残渣をDCM(30ml)に溶解し、水(5×30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固した。粗生成物をDCM(10ml)に溶解し、氷水浴で冷却し、エチルエーテル(30ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(250mg、1.3mmol)の溶液で処理した。得られた沈殿物を濾過により収集し、エーテルで洗浄し、風乾して、トリオキソランOZ505(660mg、67%)を、黄色を帯びた固体として得た。融点160〜162℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.20(s,6H),1.45−1.61(m,2H),1.62−1.98(m,20H),2.04−2.13(m,2H),2.29(s,3H),2.50−2.63(m,1H),2.89−2.95(m,2H),3.02−3.12(m,2H),4.02(t,J=5.9Hz,2H),5.17(s,1H),6.85(d,J=8.8Hz,2H),7.11(d,J=8.3Hz,2H),7.13(d,J=9.3Hz,2H),7.48(d,J=7.8Hz,2H),8.20(brs,2H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ20.95,25.13,25.99,26.39,27.54,31.49,34.27,34.44,35.96,36.26,40.86,45.95,57.15,64.98,67.25,108.31,110.72,114.54,125.66,127.64,128.21,137.75,138.41,145.93,156.67。分析 C3651NOSの計算値:C65.73;H7.81;N2.13。実測値:C65.60;H7.63;N2.30。
【0102】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−(4′−ヒドロキシシクロヘキシル)−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(OZ508)。3滴の1.0M NaOH水溶液を含有するエタノール(10ml)中のNaBH(42mg、1.1mmol)の溶液を、THF(5ml)中のOZ495(0.36g、1.0mmol)の溶液に0℃で5分間かけて加えた。反応を室温で1時間撹拌してから、EtOAc(10ml)で停止させた。溶媒を除去した後、残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、飽和NaHCO水溶性(10ml)、水(10ml)及びブライン(10ml)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、トリオキソランOZ508(0.30g,83%、2つのジアステレオマーの10:1混合物)を無色の固体として得た。融点138〜140℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ0.98−2.05(m,33H),3.48−3.55(m,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.48,26.88,27.21,28.15,34.52,34.79,35.77,36.38,36.81,41.18,41.35,71.08,108.94,111.18。分析 C2234の計算値:C72.89;H9.45。実測値:C73.02;H9.22。
【0103】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−ヒドロキシ−1′−ピペリジニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(OZ513)。無水アセトニトリル(80ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(2′−ブロモエトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.50g、1.08mmol)、4−ヒドロキシピペリジン(0.25g、2.5mmol)及びKCO(2.0g)の混合物を60℃で2日間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過して固体物質を除去した後、濾液を濃縮した。残渣を水(50ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、トリオキソランOZ513(0.46g、88%)を無色の固体として得た。融点89〜90℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.59−2.09(m,27H),2.25−2.35(m,2H),2.44−2.56(m,1H),2.79(t,J=6.1Hz,2H),2.81−2.89(m,2H),3.65−3.77(m,1H),4.07(t,J=5.8Hz,2H),6.83(d,J=8.8Hz,2H),7.11(d,J=8.8Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.49,26.89,31.65,34.47,34.75,34.81,36.41,36.82,42.06,51.52,57.10,66.08,108.44,111.37,114.46,127.61,138.49,157.10。分析 C2941NOの計算値:C72.02;H8.54;N2.90。実測値:C69.37;H8.06;N2.58。
【0104】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕メチル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ527)。MeCN(65ml)中のOZ514(780mg、1.81mmol)、NaOH(504mg、12.6mmol)及びBuNHSO(150mg、0.42mmol)の混合物を室温で30分間撹拌してから、N−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(1.18g、6.3mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で16時間撹拌し、氷水(75ml)で停止させ、DCM(6×30ml)で抽出した。DCM層を合わせ、10%EtOH水溶液(2×30ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固した。残渣をMeOHから結晶化して、所望の遊離塩基(510mg、58%)を針として得た。融点105〜106℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.17−1.26(m,2H),1.45−1.98(m,21H),2.44(d,J=6.8Hz,2H),2.58(t,J=4.4Hz,4H),2.79(t,J=5.9Hz,2H),3.73(t,J=4.6Hz,4H),4.09(d,J=5.8Hz,2H)6.82(d,J=8.3Hz,2H),7.03(d,J=8.3Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.5,26.9,29.9,34.2,34.775,34.782,36.4,36.8,38.3,41.9,54.1,57.7,65.7,66.9,109.0,111.2,114.3,125.9,130.0,133.2,156.9。DCM(10ml)及びエーテル(10ml)中の上記の遊離塩基(310mg、0.64mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(123mg、0.64mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。沈殿物を濾過により収集し、エーテル(10ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、トリオキソランOZ527(350mg、83%)を無色の固体として得た。融点146〜147℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.16−1.31(m,2H),1.42−2.06(m,21H),2.38(s,3H),2.46(d,J=6.8Hz,2H),3.02−3.16(m,2H),3.52−3.62(m,2H),3.70(d,J=12.2Hz,2H),3.92−4.03(m,2H),4.10(t,J=12.0Hz,2H),4.39−4.49(m,2H),6.75(d,J=8.3Hz,2H),7.04(d,J=8.3Hz,2H),7.21(d,J=7.8Hz,2H),7.79(d,J=8.3Hz,2H),11.73(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.35,26.46,26.85,29.80,34.11,34.77,36.36,36.78,38.20,41.88,53.04,56.97,62.89,63.85,108.90,111.24,114.21,125.88,128.93,130.25,134.50,140.38,141.78,155.21。分析 C3649NOSの計算値:C65.93;H7.53;N2.14。実測値:C65.76;H7.38;N2.13。
【0105】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(4′−ホルミル−1′−ピペラジニル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ534)。アセトニトリル(50ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(3′−ブロモプロポキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.60g、1.26mmol)及び炭酸カリウム(2.00g)の撹拌混合物に、室温で、1−ピペラジンカルボキサルデヒド(0.29g、2.52mmol)を加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌し、室温に冷却した。無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した。溶媒を除去することによって、所望の遊離塩基を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中の上記の遊離塩基の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.12g、1.26mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ534(0.65g、85%)を無色の固体として得た。融点156〜158℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.45−1.59(m,2H),1.61−1.96(m,20H),2.08−2.17(m,2H),2.34(s,3H),2.48−2.60(m,1H),2.91−3.09(m,3H),3.24−3.33(m,2H),3.34−3.44(m,1H),3.51−3.64(m,2H),3.96(d,J=14.1Hz,1H),4.02(t,J=6.1Hz,2H),4.28(d,J=12.2Hz,1H),6.86(d,J=8.8Hz,2H),7.14(d,J=8.8Hz,2H),8.08(s,1H),9.70(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ23.63,26.00,26.40,31.48,34.27,34.44,35.97,36.13,36.27,39.93,40.87,41.64,50.68,51.51,53.63,64.86,108.31,110.72,114.60,127.65,138.48,156.67,161.30。分析 C3146Sの計算値:C61.36;H7.64;N4.62。実測値:C59.91;H7.43;N3.76。
【0106】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−〔(トランス−4′−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ〕プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ535)。アセトニトリル(50ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(3′−ブロモプロポキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.60g、1.26mmol)及び炭酸カリウム(2.00g)の撹拌混合物に、室温で、トランス−4−アミノシクロヘキサノール(0.29g、2.52mmol)を加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌し、室温に冷却した。無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した。溶媒を除去することによって、所望の遊離塩基を無色の固体として得た。EtOAc(10ml)中の上記の遊離塩基の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.24g、1.26mmol)の溶液を滴加した。得られた沈殿物を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ535(0.79g、92%)を無色の固体として得た。融点138〜140℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.11−1.23(m,2H),1.24−1.38(m,2H),1.45−1.59(m,2H),1.61−1.96(m,27H),2.29(s,3H),2.47−2.60(m,1H),2.91−3.12(m,3H),4.01(brs,2H),4.70(brs,1H),6.85(d,J=8.3Hz,2H),7.12(d,J=6.8Hz,2H),7.13(d,J=6.8Hz,2H),7.49(d,J=7.8Hz,2H),8.32(brs,2H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ20.99,25.93,26.03,26.44,26.87,31.53,33.06,34.31,34.47,36.00,36.29,40.91,41.84,55.48,64.70,67.82,108.34,110.75,114.58,125.68,127.66,128.37,138.13,138.40,145.48,156.73。分析 C3853NOSの計算値:C66.74;H7.81;N2.05。実測値:C66.67;H7.92;N2.07。
【0107】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(トランス−4′−アミノシクロヘキシルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ537)。工程1.CHCl(25ml)中のシス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩(1.0g、6.6mmol)及びトリエチルアミン(2ml)の撹拌溶液に、BocO(1.44g、6.6mmol)を加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を水(30ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、シス−4−ヒドロキシシクロヘキシルカルバミン酸tert−ブチル(0.80g、56%)を無色の固体として得た。融点85〜86℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.30−1.74(m,8H),1.45(s,9H),3.48−3.60(m,1H),3.86−3.94(m,1H),4.46−4.60(m,1H)。工程2.アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.32ml、1.68mmol)を、THF(50ml)中のOZ288(0.5g、1.4mmol)、シス−4−ヒドロキシシクロヘキシルカルバミン酸tert−ブチル(0.3g、1.4mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.44g、1.68mmol)の混合物にN雰囲気下、0℃で滴加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を除去した後、粗生成物をEtOHからの結晶化により精製して、所望のフェノールエーテル(0.60g、77%)を無色の固体として得た。融点150〜151℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.18−1.30(m,2H),1.45(s,9H),1.48−2.16(m,30H),2.43−2.54(m,1H),3.45−3.58(m,1H),4.07−4.17(m,1H),4.34−4.48(m,1H),6.80(d,J=9.0Hz,2H),7.09(d,J=9.0Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.47,26.87,28.40,30.27,30.86,31.62,34.74,34.79,36.39,36.79,42.05,48.76,75.07,108.44,111.36,115.90,127.64,138.54,155.94,162.77。工程3.THF(6ml)中の上記のフェノールエーテル(0.50g、0.90mmol)及び1.5M MsOHの混合物を室温で6時間撹拌した。得られた沈殿物を濾取し、エーテル(30ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、トリオキソランOZ537(0.48g、96%)を無色の固体として得た。融点167〜168℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.35−1.59(m,6H),1.61−1.96(m,22H),2.02−2.15(m,2H),2.31(s,3H),2.47−2.60(m,1H),3.01−3.15(m,1H),4.17−4.27(m,1H),6.86(d,J=8.8Hz,2H),7.10(d,J=8.8Hz,2H),7.78(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ25.99,26.40,28.16,29.31,31.49,34.29,34.45,35.96,36.27,40.88,48.57,73.81,108.34,110.73,115.85,127.70,138.27,155.60。分析 C2943NOSの計算値:C63.36;H7.88;N2.55。実測値:C63.76;H7.78;N2.31。
【0108】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(3′−アミノ−3′−メチルブトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ539)。工程1.HSO(60ml、98%、1.10mol)の溶液に、−5℃で、MeCN(25ml、0.48mol)、続いて3−メチル−1,3−ブタンジオール(48ml、0.40mol)を滴加した。得られた溶液を0℃で1時間撹拌し、次に氷(300ml)に注ぎ、エーテル(2×50ml)で洗浄した。水層を15M NaOH水溶液(150ml)でpH=12にアルカリ化し、エーテル(3×150ml)で抽出した。エーテル層を合わせ、飽和NaCl(2×50ml)で洗浄し、KCOで乾燥し、蒸発乾固して、2,4,4−トリメチル−5,6−ジヒドロ−1,3(4H)−オキサジン(46.5g、91.4%)を無色の油状物として得た(不安定)。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.18(s,6H),1.69(t,J=5.9Hz,2H),1.86(s,3H),4.11(t,J=5.9Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.0,29.7,33.1,47.2,61.0,154.8。工程2.2,4,4−トリメチル−5,6−ジヒドロ−1,3(4H)−オキサジン(46.0g、0.362mol)を、6M NaOH水溶液(150ml)に室温で滴加した。得られた混合物を80℃で20時間撹拌し、次に室温に冷却し、DCM(3×100ml)で抽出した。DCM層を合わせ、ブライン(3×100ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させて、3−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(11.0g、29%)を褐色の油状物として得た。〔注:ブライン溶液をDCM(5g×100ml)で抽出して、3−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(10.0g、27%)を回収した〕。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.20(s,6H),1.59(t,J=5.6Hz,2H),2.81(brs,3H),3.83(t,J=5.6Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ30.9,42.6,50.6,60.2。工程3.DCM(40ml)中の3−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(7.20g、70mmol)及びEtN(8ml)の溶液に、0℃で、DCM(20ml)中のBocO(15.2g、70mmol)の溶液を滴加した。得られた混合物を室温で2日間撹拌し、水(3×20ml)で抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0〜50%EtOAc)により精製して、3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチル−1−ブタノール(2.20g、15%)を無色の油状物として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.32(s,6H),1.43(s,9H),1.87(t,J=6.3Hz,2H),2.33(brs,1H),3.76(t,J=6.3Hz,2H),4.98(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ27.7,28.4,43.2,51.8,59.3,78.9(br),155.0(br)。工程4.DCM(30ml)中のOZ288(890mg、2.50mmol)、トリフェニルホスフィン(986mg、3.75mmol)、3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチル−1−ブタノール(761mg、3.75mmol)及びEtN(0.83ml、6.00mmol)の溶液に、0℃で、DCM(10ml)中のアゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.80ml、3.75mmol)を滴加した。得られた混合物を一晩撹拌し、次に水(3×20ml)で洗浄し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0〜9%エーテル)により精製して、フェノールエーテル(0.77g、57%)を白色の半固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.35(s,6H),1.43(s,9H),1.66−2.04(m,22H),2.11(t,J=6.1Hz,2H),2.46−2.51(m,1H),4.04(t,J=6.1Hz,2H),4.88(brs,1H),6.82(d,J=8.3Hz,2H),7.11(d,J=8.3Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.4,26.8,27.5(br),28.4,31.6,34.6,34.7,36.3,36.7,39.2(br),41.9,51.7,64.6,78.5(br),108.3,111.2,114.2,127.5,138.3,154.4(br),157.0。工程5.THF(10ml)中の上記のフェノールエーテル(410mg、0.757mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(3.10g、15mmol)の混合物を室温で9時間撹拌し、次に5℃に冷却し、0.5M NaOH水溶液でpH=12にアルカリ化した。THFを真空下で除去した後、水懸濁液をDCM(3×30ml)で抽出した。DCM層を合わせ、水(2×20ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させて、所望の遊離塩基を得た。エーテル(20ml)中の遊離塩基(350mg、純度80%、0.637mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(123mg、0.637mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。沈殿物を濾過により収集し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥して、トリオキソランOZ529(340mg、73%)を白色の粉末として得た。融点152〜153℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.38(s,6H),1.61−2.03(m,22H),2.07(t,J=6.1Hz,2H),2.32(s,3H),2.41−2.50(m,1H),3.98(t,J=6.1Hz,2H),6.73(d,J=8.8Hz,2H),7.01(d,J=8.8Hz,2H),7.11(d,J=7.8Hz,2H),7.74(d,J=7.8Hz,2H),7.86(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.32,25.76,26.50,26.89,31.64,34.74,34.81,36.41,36.82,38.75,42.02,54.25,63.60,108.40,111.33,114.39,125.98,127.51,128.96,138.51,140.45,141.51,156.71。分析 C3447NOSの計算値:C66.53;H7.72;N2.28、実測値:C66.73;H7.90;N2.02。
【0109】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(テトラヒドロー1′,4′−オキサゼピン−4′(5′H)−イル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ543)。無水アセトニトリル(80ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(2′−ブロモエトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.50g、1.08mmol)、ホモモルホリン塩酸塩(0.25g、1.82mmol)及びKCO(2.00g、14.5mmol)の混合物を60℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過して固体物質を除去した後、濾液を濃縮した。残渣を水(50ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。粗生成物(0.50g)をCHCl(5ml)に溶解し、次に酢酸エチル(20ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.20g、1.1mmol)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ543(0.51g、72%)を無色の固体として得た。融点140〜141℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.54−2.16(m,23H),2.37(s,3H),2.46−2.54(m,1H),2.56−2.69(m,1H),3.16−3.26(m,1H),3.32−3.42(m,1H),3.59−3.68(m,2H),3.72−4.08(m,6H),4.37−4.44(m,2H),6.76(d,J=8.0Hz,2H),7.11(d,J=8.0Hz,2H),7.18(d,J=7.5Hz,2H),7.77(d,J=7.5Hz,2H),11.31(br,s,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.35,25.35,26.48,26.88,31.59,34.68,34.80,36.41,36.79,42.04,53.89,56.68,58.02,63.02,63.27,67.28,108.32,111.44,114.42,125.90,127.93,128.89,139.93,140.25,141.93,155.40。
【0110】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔(トランス−4′−アミノシクロヘキシル)メトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ545)。工程1.CHCl(30ml)中のトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル塩酸塩(1.0g、5.17mmol)及びトリエチルアミン(2ml)の撹拌溶液に、BocO(1.20g、5.50mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を水(30ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、トランス−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(1.10g、83%)を無色の固体として得た。融点80〜81℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.05−1.16(m,2H),1.46−1.58(m,2H),1.44(s,9H),1.97−2.11(m,4H),2.18−2.27(m,1H),3.41(brs,1H),3.66(s,3H),4.38(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ27.79,28.39,32.53,42.35,48.95,51.63,79.22,155.13,175.86。工程2.エーテル(40ml)及びTHF(8ml)中のトランス−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(1.00g、3.89mmol)の溶液に、THF(1.95ml、3.89mmol)中の2M水素化ホウ素リチウム、続いてTHF(0.40ml、0.39mmol)中の1Mトリエチル水素化ホウ素リチウムを滴加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌し、次にエーテル(30ml)で希釈した。混合物を、2M NaOH水溶液(2×5ml)、水(2×5ml)及びブライン(5ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、トランス−(4−ヒドロキシメチル)シクロヘキシルカルバミン酸tert−ブチルを無色の固体として得た(0.89g、99%)。融点124〜125℃。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.00−1.15(m,2H),1.44(s,9H),1.50−1.64(m,2H),1.79−1.86(m,2H),2.02−2.08(m,2H),3.39(brs,1H),3.46(d,J=6.0Hz,2H),4.39(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ28.18,28.40,32.89,39.58,49.84,68.06,79.07,155.20。工程3.アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.69ml、3.24mmol)を、THF(50ml)中のOZ288(1.00g、2.80mmol)、トランス−(4−ヒドロキシメチル)シクロヘキシルカルバミン酸tert−ブチル(0.64g、2.80mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.85g、3.24mmol)の混合物にAr下、0℃で滴加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を除去した後、粗生成物をEtOHからの結晶化により精製して、所望のBOC誘導体(0.52g、33%)を無色の固体として得た。融点157〜158℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.07−1.20(m,2H),1.44(s,9H),1.64−2.10(m,29H),2.44−2.54(m,1H),3.42(brs,1H),3.72(d,J=6.0Hz,2H),4.39(brs,1H),6.80(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.0Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.46,26.87,28.42,28.54,31.65,32.90,34.74,34.79,36.38,36.79,36.93,42.04,49.79,72.78,79.11,108.45,111.36,114.26,127.58,138.22,155.20,157.43。工程4.BOC誘導体(0.40g、0.71mmol)及びMsOH(THF中1.5M、12ml、180mol)の混合物を室温で4時間撹拌した。得られた沈殿物を濾取し、エーテル(30ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、トリオキソランOZ545(0.32g、81%)を無色の固体として得た。融点168〜169℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.11−1.27(m,2H),1.45−1.59(m,2H),1.64−2.25(m,27H),2.44−2.54(m,1H),2.80(s,3H),3.04−3.16(m,1H),3.73(d,J=6.0Hz,2H),6.79(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.0Hz,2H),7.61(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.48,26.88,27.65,30.20,31.65,34.74,34.80,36.40,36.80,42.04,72.24,108.44,111.36,114.29,127.62,138.39,157.30。
【0111】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−〔4′−(エトキシカルボニル)−1′−ピペラジニル〕エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ547)。無水アセトニトリル(80ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(2′−ブロモエトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.50g、1.08mmol)、1−ピペラジン−カルボン酸エチル(0.40g、 mmol)及びKCO(2g)の混合物を60℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過して固体を除去し、濃縮した。残渣をEtOH/HO(1:1)からの結晶化により精製して、純粋な遊離塩基を無色の固体として得た(0.40g)。遊離塩基をエーテル(10ml)に溶解した後、酢酸エチル(30ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.15g)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ547を無色の固体として得た(0.42g、52%)。融点154〜155℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.27(t,J=7.5Hz,3H),1.56−2.10(m,22H),2.37(s,3H),2.46−2.56(m,1H),2.84−3.02(m,2H),3.44−3.64(m,4H),3.66−3.84(m,2H),4.10−4.34(m,4H),4.38−4.48(m,2H),6.75(d,J=8.5Hz,2H),7.11(d,J=8.5Hz,2H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),7.76(d,J=8.0Hz,2H),11.77(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ14.54,21.36,26.46,26.85,31.58,34.66,34.79,36.39,36.77,40.72,42.01,52.78,56.68,62.33,62.85,108.32,111.43,114.38,125.84,127.94,128.95,139.97,140.41,141.69,154.63,155.26。分析 C3852Sの計算値:C64.02;H7.35;N3.93。実測値:C63.93;H7.15;N3.62。
【0112】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔3′−(テトラヒドロー1′,4′−オキサゼピン−4′(5′H)−イル)プロポキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ549)。アセトニトリル(50ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(3′−ブロモプロポキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.60g、1.26mmol)及び炭酸カリウム(2.0g)の撹拌混合物に、ホモモルホリン塩酸塩(0.345g、2.52mmol)を室温で加えた。混合物を60℃で48時間撹拌した後、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。EtOAc(10ml)中の粗生成物の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.23g、1.25mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ549を無色の固体として得た(0.68g、82%)。融点158〜160℃。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.65−2.05(m,25H),2.28−2.32(m,2H),2.35(s,3H),2.47−2.52(m,3H),3.32−3.35(m,3H),3.82(t,J=5.9Hz,2H),3.97(t,J=5.4Hz,4H),6.75(d,J=8.8Hz,2H),7.10(d,J=8.8Hz,2H),7.17(d,J=7.8Hz,2H),7.77(d,J=8.3Hz,2H),10.81(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.28,24.48,25.11,26.40,26.79,31.56,34.63,34.72,36.32,36.71,41.93,53.14,55.63,57.33,63.22,64.56,67.28,108.31,111.34,114.16,125.79,127.67,128.83,138.97,140.13,142.01,156.43。分析 C3751NOSの計算値:C66.34;H7.67;N2.09。実測値:C66.57;H7.69;N1.98。
【0113】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔4′−(4′−モルホリニル)ブトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ555)。工程1.無水THF(75ml)中のOZ288(3.00g、8.42mmol)、4−ブロモ−1−ブタノール(1.94g、12.64mmol)、トリフェニルホスフィン(3.32g、12.64mmol)及びトリエチルアミン(1.76ml、12.64mmol)の溶液に、0℃で、THF(25ml)中のDIAD(2.56g、12.64mmol)の溶液を滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をEtOAc(100ml)に溶解し、水(3×50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をEtOH(75ml)から結晶化して、シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−ブロモブトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンを無色の固体として得た(3.60g、87%)。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.66−2.09(m,26H),2.47−2.51(m,1H),3.48(t,J=6.4Hz,2H),3.96(t,J=6.4Hz,2H),6.81(d,J=8.3Hz,2H),7.11(d,J=8.3Hz,2H)。工程2.アセトニトリル(50ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−ブロモブトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.6g、1.22mmol)及び炭酸カリウム(2.0g)の撹拌混合物に、モルホリン(0.533g、6.12mmol)を室温で加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌した後、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、遊離塩基を得た。EtOAc(10ml)中の上記の粗生成物の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.12g、1.22mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ555を無色の固体として得た(0.55g、76%)。融点146〜148℃。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.64−2.08(m,26H),2.44−2.52(m,1H),2.78(s,3H),2.83−2.92(m,2H),3.12−3.16(m,2H),3.48−3.54(m,2H),3.94−4.01(m,4H),4.11(t,J=12.2Hz,2H),6.77(d,J=8.3Hz,2H),7.09(d,J=8.8Hz,2H),11.30(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ20.62,26.25,26.38,26.78,31.55,34.63,34.71,36.30,36.70,39.38,41.91,51.90,57.55,63.65,66.63,108.31,111.31,114.19,127.64,138.69,156.75。分析 C3147NOSの計算値:C62.71;H7.98;N2.36。実測値:C62.69;H7.80;N2.15。
【0114】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(シス−4′−アミノシクロヘキシルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン塩酸塩(OZ556)。OZ493遊離塩基(0.40g、0.88mmol)を酢酸エチル(20ml)に溶解した後、1Mエーテル性HCl溶液(0.60g、0.60mmol)を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ556を無色の固体として得た(0.28g、97%)。融点138〜139℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.47−1.97(m,30H),2.46−2.60(m,1H),3.04−3.17(m,1H),4.49−4.56(m,1H),6.86(d,J=8.0Hz,2H),7.12(d,J=8.0Hz,2H),7.93(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ24.97,26.00,26.41,27.16,31.50,34.30,34.45,35.97,36.28,40.91,48.46,69.75,108.34,110.74,116.13,127.79,138.33,155.33。分析 C2840ClNOの計算値:C68.62;H8.23;N2.86。実測値:C68.40;H8.19;N2.74。
【0115】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(シス−4′−アミノシクロヘキシルオキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンマレイン酸水素塩(OZ557)。OZ493遊離塩基(0.40g、0.88mmol)を酢酸エチル(20ml)に溶解した後、酢酸エチル(10ml)中のマレイン酸(0.10g、0.86mmol)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ557を無色の固体として得た(0.26g、53%)。融点146〜147℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.46−1.98(m,30H),2.46−2.60(m,1H),3.06−3.17(m,1H),4.49−4.55(m,1H),6.02(s,2H),6.86(d,J=8.5Hz,2H),7.12(d,J=8.5Hz,2H),7.78(brs,3H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ24.97,26.00,26.41,27.16,31.50,34.31,34.45,35.98,36.27,40.91,48.53,69.69,108.34,110.74,116.11,127.77,136.18,138.34,155.33,167.35。分析 C3243NOの計算値:C67.47;H7.61;N2.46。実測値:C67.25;H7.53;N2.56。
【0116】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ558)。EtOAc(20ml)中のOZ439遊離塩基(0.60g、1.28mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.22g、1.15mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ558を無色の固体として得た(0.66g、81%)。融点149〜151℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.65−2.05(m,22H),2.37(s,3H),2.47−2.52(m,1H),3.04−3.12(m,2H),3.52−3.58(m,2H),3.64−3.7(m,2H),3.94−4.00(m,2H),4.04−4.12(m,2H),4.40(t,J=3.7Hz,2H),6.74(d,J=8.3Hz,2H),7.1(d,J=8.3Hz,2H),7.18(d,J=7.8Hz,2H),7.77(d,J=7.8Hz,2H),11.60(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.29,26.38,26.78,31.52,34.59,34.71,36.31,36.69,41.91,52.82,56.67,62.69,63.73,108.25,111.34,114.33,125.76,127.79,128.88,139.71,140.25,141.93,155.31。分析 C3547NOSの計算値:C65.50;H7.38;N2.18。実測値:C65.72;H7.42;N2.13。
【0117】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンマレイン酸水素塩(OZ559)。EtOAc(20ml)中のOZ439遊離塩基(0.60g、1.28mmol)の溶液に、0℃で、EtOAc(20ml)中のマレイン酸(0.15g、1.28mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、EtOAc(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ559を無色の固体として得た(0.60g、80%)。融点155〜157℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.69−2.08(m,22H),2.48−2.53(m,1H),2.90−3.60(brs,4H),3.48(t,J=4.2Hz,2H),3.96−4.04(m,4H),4.36(t,J=4.2Hz,2H),6.29(s,2H),6.8(d,J=8.8Hz,2H),7.14(d,J=8.3Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.39,26.78,31.51,34.59,34.72,36.32,36.70,41.92,52.45,56.30,62.57,63.89,108.26,111.36,114.29,127.91,135.50,139.88,155.35,169.38。分析 C3243NOの計算値:C65.62;H7.40;N2.39。実測値:C65.38;H7.28;N2.32。
【0118】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン塩酸塩(OZ560)。EtOAc(50ml)中のOZ439遊離塩基(0.80g、1.71mmol)の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中の1Mエーテル性HCl(1.2ml、1.19mmol)を滴加した。得られた固体を濾過し、EtOAc(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ560を無色の固体として得た(0.59g、69%)。融点150〜152℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.64−2.05(m,22H),2.48−2.53(m,1H),3.11−3.2(m,2H),3.44−3.68(m,4H),3.92−4.06(m,2H),4.20−4.34(m,2H),4.52−4.60(m,2H),6.83(d,J=8.24Hz,2H),7.13(d,J=8.24Hz,2H),13.31(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.36,26.75,31.48,34.56,34.69,36.28,36.67,41.90,52.56,56.60,62.60,63.62,108.23,111.32,114.36,127.85,139.83,155.25。分析 C2840ClNOの計算値:C66.45;H7.97;N2.77。実測値:C66.64;H7.74;N2.59。
【0119】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンイセチオン酸塩(OZ561)。エーテル(10ml)中のイソチオン酸(80%、0.22g、1.71mmol)の溶液に、EtOAc(25ml)中のOZ439遊離塩基(0.80g、1.71mmol)の溶液を滴加した。混合物を一晩撹拌した後、得られた固体を濾過し、EtOAc(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ561を無色の固体として得た(0.15g、15%)。融点112〜115℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.65−2.05(m,22H),2.48−2.53(m,1H),3.06−3.18(m,5H),3.52−3.58(m,2H),3.62−3.72(m,2H),3.98−4.12(m,6H),4.44−4.52(m,2H),6.84(d,J=8.3Hz,2H),7.14(d,J=8.3Hz,2H),11.30(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.41,26.81,31.53,34.61,34.75,36.34,36.73,41.96,52.95,53.09,56.82,58.31,62.68,63.79,108.27,111.39,114.37,127.98,140.02,155.26。
【0120】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンフマル酸水素塩(OZ562)。EtOAc(25ml)中のOZ439遊離塩基(0.60g、1.28mmol)の溶液に、0℃で、EtOH(2ml)中のフマル酸(0.15g、1.28mmol)の溶液を滴加した。室温で0.5時間撹拌した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をEtOAc(50ml)で粉砕した。得られた固体を濾過し、EtOAc(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ562を無色の固体として得た(0.65g、87%)。融点148〜150℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.48−1.6(m,2H),1.64−1.98(m,20H),2.48−2.58(m,5H),2.71(t,J=5.1Hz,2H),3.59(brs,4H),4.05(t,J=5.1Hz,2H),6.62(brs,2H),6.83(d,J=7.7Hz,2H),7.09(d,J=7.7Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ26.01,26.41,31.45,34.29,34.42,35.95,36.31,41.01,53.69,57.13,65.28,66.21,108.18,110.64,114.42,127.50,134.18,138.07,156.83,166.21。分析 C3243NOの計算値:C65.62;H7.40;N2.39。実測値:C65.89;H7.12;N2.36。
【0121】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンリン酸二水素塩(OZ563)。無水ベンゼン(25ml)中のオルトリン酸(85%、0.125g、1.28mmol)の溶液に、0℃で、無水ベンゼン(25ml)中のOZ439遊離塩基(0.60g、1.28mmol)の溶液を滴加した。混合物を0℃で一晩撹拌した後、得られた固体を濾過し、ベンゼン(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ563を無色の固体として得た(0.55g、76%)。融点142〜144℃;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.50−1.60(m,2H),1.64−1.96(m,20H),2.51−2.58(m,1H),2.62−2.68(brs,4H),2.86(t,J=5.1Hz,2H),3.65(t,J=4.0Hz,4H),4.11(t,J=5.5Hz,2H),6.84(d,J=8.1Hz,2H),6.98(brs,3H),7.10(d,J=8.4Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,DMSO−d)δ26.00,26.41,31.43,34.28,34.42,35.95,36.31,41.04,53.30,56.73,64.73,65.65,108.13,110.63,114.44,127.49,138.21,156.63。
【0122】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔2′−(4′−モルホリニル)エトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンL酒石酸水素塩(OZ568)。OZ493遊離塩基(0.93g、1.98mmol)を酢酸エチル(20ml)に溶解した後、エタノール(20ml)中の酒石酸(0.30g、2.0mmol)の溶液を加えた。溶媒を除去した後、残渣をEtOHから結晶化して、トリオキソランOZ568を無色の固体として得た(1.00g、81%)。融点145〜146℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.46−1.58(m,2H),1.62−1.96(m,20H),2.46−2.60(m,5H),2.68−2.78(m,2H),3.54−3.64(m,4H),4.02−4.08(m,2H),4.28(s,2H),6.85(d,J=8.0Hz,2H),7.11(d,J=8.0Hz,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ26.00,26.42,31.51,34.30,34.46,35.97,36.28,40.89,53.69,57.12,65.21,66.18,72.27,108.34,110.73,114.56,127.64,138.19,156.88,173.39。分析 C3245NO11の計算値:C62.02;H7.32;N2.26。実測値:C61.88;H7.34;N2.17。
【0123】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔4′−〔4′−(1′−ヒドロキシ−1′−メチルエチル)−1′−ピペリジニル〕ブトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ571)。アセトニトリル(50ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−ブロモブトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.70g、1.43mmol)及び炭酸カリウム(2.0g)の撹拌混合物に、2−(4−ピペリジル)−2−プロパノール(0.41g、2.86mmol)を室温で加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌した後、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。EtOAc(20ml)中の上記の粗生成物の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.22g、1.14mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ571を無色の固体として得た(0.79g、76%)。融点152〜154℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.11(s,6H),1.62−2.06(m,30H),2.30(s,3H),2.46−2.54(m,1H),2.62−2.70(m,2H),2.74−2.86(m,1H),2.96−3.04(m,2H),3.52−3.60(m,2H),3.83(t,J=5.9Hz,2H),6.75(d,J=8.8Hz,2H),7.09(d,J=8.3Hz,2H),7.12(d,J=7.8Hz,2H),7.74(d,J=7.8Hz,2H),9.81(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ20.95,21.20,24.14,26.33,26.38,26.65,26.77,31.56,34.62,34.70,36.30,36.69,41.89,44.54,53.19,57.00,66.69,71.12,108.32,111.29,114.21,125.76,127.56,128.72,138.48,139.91,142.49,156.86。分析 C4159NOSの計算値:C67.83;H8.19;N1.93。実測値:C67.60;H7.96;N1.77。
【0124】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔1′−(2′−ヒドロキシ−2′−メチルプロピル)−4′−ピペリジニルオキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンp−トシレート(OZ572)。工程1.EtOH(15ml)中の4−ヒドロキシピペリジン(1.0g、10mmol)の溶液に、イソブチレンオキシド(1.5ml、16.7mmol)を加えた。得られた混合物を室温で24時間撹拌し、濃縮して、4−ヒドロキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ピペリジン(1.70g、99%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.15(s,6H),1.54−1.64(m,2H),1.83−1.92(m,2H),2.31(s,2H),2.40−2.48(m,2H),2.81−2.90(m,2H),3.65−3.76(m,1H)。工程2.アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.20ml、5.9mmol)を、THF(50ml)中のOZ288(1.0g、2.81mmol)、4−ヒドロキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ピペリジン(1.0g、5.8mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.55g、5.9mmol)の混合物にN下、0℃で滴加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をEtOH/HO(1:1)からの結晶化により精製して、純粋な遊離塩基を無色の固体として得た(0.50g)。遊離塩基をエーテル(10ml)に溶解した後、エーテル(10ml)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.19g)の溶液を加えた。沈殿物を濾過により収集して、トリオキソランOZ572を無色の固体として得た(0.58g、30%)。融点152〜153℃。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.45(s,6H),1.66−2.16(m,24H),2.36(s,3H),2.46−2.54(m,1H),2.56−2.67(m,2H),3.04−3.10(m,2H),3.17−3.28(m,2H),3.65−3.73(m,2H),4.61−4.65(m,1H),6.80(d,J=8.5Hz,2H),7.13(d,J=8.5Hz,2H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),7.78(d,J=8.0Hz,2H),9.75(brs,1H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ21.34,26.44,26.80,26.84,29.26,31.57,34.66,34.77,36.37,36.76,42.00,51.05,65.96,68.08,68.65,108.30,111.43,115.57,125.91,128.04,128.85,139.60,140.26,141.69,154.45。分析 C3853NOSの計算値:C66.74;H7.81;N2.05、実測値:C66.49;H7.69;N1.88。
【0125】
シス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−〔4′−〔(トランス−4′−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ〕ブトキシ〕フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカンメシレート(OZ575)。アセトニトリル(50ml)中のシス−アダマンタン−2−スピロ−3′−8′−〔4′−(4′−ブロモブトキシ)フェニル〕−1′,2′,4′−トリオキサスピロ〔4.5〕デカン(0.60g、1.22mmol)及び炭酸カリウム(2.0g)の撹拌混合物に、トランス−4−アミノシクロヘキサノール(0.21g、1.84mmol)を室温で加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌した後、無機固体を濾取し、EtOAc(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、水(3×25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。EtOAc(20ml)中の上記の粗生成物の溶液に、0℃で、エーテル(10ml)中のメタンスルホン酸(0.12g、1.22mmol)の溶液を滴加した。得られた固体を濾過し、エーテル(3×10ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥して、トリオキソランOZ575を無色の固体として得た(0.60g、79%)。融点152〜154℃;H NMR(500MHz,CDCl)δ1.24−1.36(m,2H),1.60−2.06(m,30H),2.15−2.17(m,2H),2.45−2.50(m,1H),2.72(s,3H),2.78−2.88(m,1H),2.92−3.02(m,3H),3.56−3.64(m,1H),3.91(t,J=5.9Hz,2H),6.77(d,J=8.3Hz,2H),7.08(d,J=8.8Hz,2H),8.44(brs,2H);13C NMR(125.7MHz,CDCl)δ23.07,26.43,26.75,26.83,31.60,32.92,34.67,34.76,36.35,36.76,39.64,41.94,44.88,56.05,66.92,68.56,108.36,111.32,114.25,127.63,138.55,156.95。分析 C3351NOSの計算値:C63.74;H8.27;N2.25。実測値:C63.60;H8.06;N2.15。
【0126】
実施例5
胚毒性データ
幾つかの1,2,4−トリオキソラン(OZ)をラットの全胚培養(WEC)モデル(Longo et al., 2006)において試験し、ジヒドロアルテミシニン及びアルテミシニンと同様の方法で発育に影響を与えることが見出されたが、無毒性量(NOAEL)は、OZ277と比較すると新たなOZ化合物の方が有意に高かった。胚赤血球(RBC)は、胚組織における貧血、続く低酸素状態につながる主要な標的であった。胚RBCのNOAELは、ジヒドロアルテミシニンでは0.01μg/mL、アルテミシニンでは0.1μg/mL、そしてOZ277では0.2μg/mLであったが、新たなOZ化合物では著しく高かった(OZ439では5μg/mLであり、OZ493では1μg/mLであった)。
Longo, M.; Zanoncelli, S.; Manera, D.; Brughera, M.; Colombo, P.; Lansen J.; Mazue, G.; Gomes, M.; Taylor W. R. J.; Olliaro, P. Effects of the Antimalarial Drug Dihydroartemisinin (DHA) on Rat Embryos In Vitro. Repro. Tox. 2006, 21, 83-93。
【0127】
本発明のスピロ及びジスピロ1,2,4−トリオキソラン組成物は、上記に記載された式の範囲内のトリオキソラン又はそれらの化合物のプロドラッグ若しくは類似体又はD若しくはL形態のラセミ混合物を含有しうることが理解されるべきである。本発明は化合物の生物学的に活性な塩形態を全て含むことも意図される。また、本明細書に述べられている組成物及び範囲の投与量及び処方の僅かな変更を行うことができ、それでも依然として本発明の精神及び範囲内でありうる。
【0128】
特定の組成物、有効性の理論などを参照して本発明を記載してきたが、本発明がそのような例示された実施態様又は機構に限定されることが意図されないこと及び変更を添付の請求項に定義されている本発明の範囲及び精神から逸脱することなく実施できることが、当業者には明白である。そのような明白な変更及び変形は、添付の請求項に定義されている本発明の範囲内に含まれることが意図される。請求項は、特に文脈から示されない限り、請求される構成要素及び工程を、意図される目的を満たすのに有効な任意の順番で網羅することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OZ429、OZ439、OZ453、OZ460、OZ461、OZ462、OZ464、OZ466、OZ482、OZ485、OZ493、OZ495、OZ498、OZ499、OZ505、OZ508、OZ513、OZ527、OZ534、OZ535、OZ537、OZ539、OZ543、OZ545、OZ547、OZ549、OZ555、OZ571、OZ572、OZ575、これらの薬学的に許容される塩、並びにこれらのプロドラッグ及び類似体からなる群より選択されるジスピロ1,2,4−トリオキソラン。
【請求項2】
OZ439、OZ461、OZ462、OZ466、OZ482、OZ493、OZ499、OZ527、OZ537、OZ539、OZ543、OZ545、OZ555、OZ571及びOZ572からなる群より選択される、請求項1記載のジスピロ1,2,4−トリオキソラン。
【請求項3】
薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1記載のジスピロ1,2,4−トリオキソラン。
【請求項4】
マラリアの発症を低減する又はマラリアを治療する方法であって、
薬学的に許容される担体中のジスピロ1,2,4−トリオキソランのマラリア発症低減又はマラリア治療有効量を投与することを含み、前記トリオキソランが、OZ429、OZ439、OZ453、OZ460、OZ461、OZ462、OZ464、OZ466、OZ482、OZ485、OZ493、OZ495、OZ498、OZ499、OZ505、OZ508、OZ513、OZ527、OZ534、OZ535、OZ537、OZ539、OZ543、OZ545、OZ547、OZ549、OZ555、OZ571、OZ571、OZ575、これらの薬学的に許容される塩、これらのプロドラッグ及び類似体、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
【請求項5】
トリオキソランが単回用量で投与される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
トリオキソランがマラリアへの暴露前又は後に投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
トリオキソランが、約0.5〜5.0mg/kgの投与範囲で投与される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
トリオキソランが、約0.1〜1000mg/kg/日の用量範囲で2回以上投与される、請求項4記載の方法。
【請求項9】
トリオキソランが、約1〜100mg/kg/日の用量範囲で投与される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
塩が、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホネート、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオネート、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩からなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項11】
トリオキソランが、併用療法の一部として別の抗マラリア剤とともに投与される、請求項7記載の方法。
【請求項12】
トリオキソランが経口投与される、請求項7記載の方法。
【請求項13】
マラリアの予防又は治療のための組成物を製造する方法であって、マラリア予防又はマラリア治療有効量のジスピロ1,2,4−トリオキソラン、そのプロドラッグ及び光学異性体と薬学的に許容される担体とを混合することを含み、前記トリオキソランが、OZ429、OZ439、OZ453、OZ460、OZ461、OZ462、OZ464、OZ466、OZ482、OZ485、OZ493、OZ495、OZ498、OZ499、OZ505、OZ508、OZ513、OZ527、OZ534、OZ535、OZ537、OZ539、OZ543、OZ545、OZ547、OZ549、OZ555、OZ571、OZ572、OZ575、これらの薬学的に許容される塩、これらのプロドラッグ及び類似体、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
【請求項14】
住血吸虫症の発生を低減する又は住血吸虫症を治療する方法であって、
薬学的に許容される担体中のジスピロ1,2,4−トリオキソランの住血吸虫症予防又は治療有効量を投与することを含み、前記トリオキソランが、OZ429、OZ439、OZ453、OZ460、OZ461、OZ462、OZ464、OZ466、OZ482、OZ485、OZ493、OZ495、OZ498、OZ499、OZ505、OZ508、OZ513、OZ527、OZ534、OZ535、OZ537、OZ539、OZ543、OZ545、OZ547、OZ549、OZ555、OZ571、OZ571、OZ575、これらの薬学的に許容される塩、これらのプロドラッグ及び類似体、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。

【公表番号】特表2011−502131(P2011−502131A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531331(P2010−531331)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081579
【国際公開番号】WO2009/058859
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510109109)
【Fターム(参考)】