説明

ジョイスティック

機械及び/または車両の機能を制御するためのジョイスティック(10)が、2自由度を有していることが好ましい継手によって種々の方向へ動かすことのできるアクチュエータ(11)を具備しており、第一の平面内で生じるアクチュエータ(11)の前後の動きが電動機(16)及び減速機の形をとる能動的力フィードバックを受け、第一の平面に垂直な第二の平面内で生じるアクチュエータ(11)の前後の動きがばね作用復帰装置の形をとる受動的力フィードバックを受ける。低費用の連続生産を考慮に入れているその様なジョイスティックを製造するために、減速機(23、24)が、低バックラッシで設計され且つ、好ましくは、揺動アーム(25)を継手部(29)に接続する板ばね組立体(26、28)を経由して、出力側でアクチュエータ(11)に接続されることを、本発明が提案している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の通りに機械及び/または車両の機能を制御するためのジョイスティックに関する。
【背景技術】
【0002】
機械及び/または車両の機能を制御するために、中心点へのばね作用復帰かまたは摩擦による任意の位置での固定保持かの形をとる受動的力フィードバックを有する、ジョイスティックつまり制御レバーが知られている。しかし、受動的力フィードバックを有する制御レバーは、その機械または車両の状態に関する情報を全く提供しない。
【0003】
独国特許公開第103 43 141号明細書は、二つの電動機を備えており、能動的力フィードバックを達成するための減速機を各々の電動機が有している、ジョイスティックつまり制御レバーを開示している。二つの減速機とそれらの電動機とは、互いに反対に作動する。減速機を有する二つの電動機は捩じりばねによってジョイスティックの握りレバーに接続されているので、例えば操舵角に一致する位置にこれら二つの電動機が制御レバーを置く。
【0004】
上述の能動的力フィードバックを有するこの種のジョイスティックつまり制御レバーは、非常に高価な機構と高価な光感知器とを有しており、その結果として費用が著しく高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許公開第103 43 141号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、もっと経済的な連続製造を考慮に入れている、機械及び/または車両の機能を制御するための上述の種類のジョイスティックつまり制御レバーを、創作することである。機械及び/または車両の機能を制御するためのジョイスティックに関してこの目的を達成するために、請求項1中に示されている特徴が与えられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う手段の結果として、減速機を有する電動機が一つしか備えられていないので、ジョイスティックつまり制御レバーのもっと費用対効果の大きい実施例が達成されており、その他の手段は簡単なばね装置によって達成されている。本発明に従うジョイスティックは能動的フィードバックと受動的フィードバックとの混合を使用し、ジョイスティックの左右の動きが操舵を生じて能動的力フィードバックを与えられ、ジョイスティックの前後の動きが加速及び減速を生じ、ジョイスティックはばね力によってゼロ位置へ戻されるので前後の動きは受動的でしかない様に設計されている。
【0008】
ジョイスティックの一つの好ましい実施例が、請求項2に従う特徴によって示されている。この実施例では、減速機としての歯車が、外歯環状歯車として設計することもできる内歯環状歯車のセグメントに作用し、従って歯車列には十分に小さな程度のバックラッシしかない。更に正確な位置決めが必要な場合には、例えば第二のばね搭載歯車が、内歯環状歯車もっと具体的に述べると第一の歯車の軸と同じ軸に作用することができ、第二の歯車は回転可能に第一の歯車に支持されている。また、第二の歯車の代わりに、ばねを搭載しており且つ軸の周りに支持されている追加の環状歯車を使用することによってバックラッシの均等化が達成されてもよい。第二の歯車がばねによって第一の歯車に抗して軸の周りへ付勢されるので、歯車のバックラッシがばね作用によって除去される。通常の捩じりばねの代わりに、回転軸の外側に取り付けられる板ばねをばね要素として使用することができる。これは、更に経済的に且つ更に速く製造することができる。
【0009】
請求項3に従う特徴と、該当する場合には、請求項4に従う特徴とによって、ハンドルが特定の位置に更に容易に位置決めされる。
【0010】
旋回レバー及び/または継手部並びにそれらの可動接続の有利な実施例が、請求項5〜7のうちの一つ以上の特徴から引き出される。
【0011】
アクチュエータと継手部との間の接続の有利な実施例が、請求項8、請求項9の特徴または請求項10の特徴から引き出される。
【0012】
感知器の有利な配置と実施例とが、請求項11または請求項12の特徴に従って提供される。
【0013】
本発明の更なる細部は、本発明がもっと詳細に記述されており且つ図面中に描かれている代表的実施例に基づいて説明されている以下の記述から引き出されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一つの好ましい代表的実施例の通りに機械及び/または車両の機能を制御するためのジョイスティックの概略斜視図である。
【図2】図1のジョイスティックの中心縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい代表的実施例として描かれているジョイスティックつまり制御レバー10は、例として、左右への操舵や加減速の様な車両機能を制御する。この様な状況において、図示されていない握りに接続されており2自由度でつまり第一の平面内とこの第一の平面に対して垂直な第二の平面内とで前後に動くことのできるアクチュエータ11を制御レバー10が備えている。車両の操舵が第一の平面内(左右)の動きによって影響されるのに対して、車両の加速または減速はこの第一の平面に垂直な平面内(前後)のアクチュエータ11の動きによって達成される。
【0016】
第一の平面内で制御レバー10を操作つまり旋回させるために、図1の通りのアクチュエータ11が回転軸12の周りに前後に動かされる。制御レバー10及びアクチュエータ11の位置を評価するために、直径方向に磁化されている環状磁石13が、図4の通りに回転軸12に取り付けられている。環状磁石13の南北分離位置に備えられているホール感知器14が、変動磁界に基づいて電気信号を発生させる。感知器14に冗長性が必要であれば、感知器を並列に配置することもできる。
【0017】
環状磁石13とホール感知器14とによるアクチュエータ11の位置の評価は、アクチュエータ11の回転軸12から離隔して且つこの回転軸12に平行に回転軸17が配置されている電動機16を有しているアクチュエータ15へ、送られる。この様な状況において、電動機16の回転軸17がアクチュエータ11の回転軸12の下方に位置している、つまり、軸受枠18に関してジョイスティック10の図示されていない握りとは反対側の領域内に回転軸17が配置されている。アクチュエータ11とは反対側の電動機16の一端部に電気ロックブレーキ21が接続されており、電動機16が故障していればこの電気ロックブレーキ21が動かされる。電動機16の回転軸17のロックブレーキ21とは反対側に、内歯環状歯車24のセグメントに作用する歯車23が取り付けられている。この様にして、低バックラッシ状態で電動機16の回転速度が低減される。
【0018】
内歯環状歯車24は旋回レバー25に取り付けられており、この旋回レバー25の旋回軸はアクチュエータ11の回転軸12と一致している。旋回レバー25は内歯環状歯車24とは反対側に延長アーム22を有しており、この延長アーム22に第一の板ばね26の一端部が取り付けられている。第一の板ばね26の他端部つまり反対側は、ばね作用(図4)の方向へ動くことのできるパッド27に取り付けられている。パッド27の他の取付側で、つまり第一の板ばね26用の取付側とは反対側で、このパッドが第二の板ばね28の一端部に固定的に結合されている。第一の板ばね26と略平行に延びている第二の板ばね28の他端部つまり反対側は、継手部29のフォーク状端部31に接続されている。旋回レバー25の延長アーム22は継手部29のフォーク状端部31の間に係合しており、このフォーク状端部31の一方のピンに第二の板ばね28が取り付けられている。継手部29の旋回軸は、制御レバー10のアクチュエータ11の回転軸12と一致している。継手部29は、前後の動きの方向の第一の平面内で一緒に動く様に、アクチュエータ11に接続されている。この様にして、ジョイスティックつまり制御レバー10は、使用者の手によって、つまりアクチュエータ15を経由する能動的力フィードバックによって、指示された通りの位置に留まる。
【0019】
図示されていない方法では、バックラッシが殆どない状態で更にもっと正確な位置決めを達成するために、歯車23に隣接している第二の歯車が内歯環状歯車24に作用してもよく、この第二の歯車は第一の歯車23と同じ軸上にしかし回転可能な様に配置されている。第一の歯車23に抗して第二の歯車をばねが軸の周りへ付勢するので、ばね作用によって歯車のバックラッシを除去する。しかし、軸の周りに支持されている追加のばね駆動環状歯車を使用してバックラッシを均等にすることも可能である。この環状歯車及び環状歯車24は、内歯環状歯車または外歯環状歯車として設計されてもよい。
【0020】
ジョイスティックつまり制御レバー10を容易に特定の位置に置くために、図示されている代表的実施例では、摩擦車(図3)が歯車23の前方で電動機16の回転軸17に搭載されており、二つのばね支持ブレーキパッド36が摩擦車に押し付けられている。両方のブレーキパッド36は共にねじ37で押し付けられており、このねじの頭部38の下にばね、例えば渦巻ばねが図示されていない方法で配置されているので、ねじ37を回転させることによって摩擦を停止させることができる。
【0021】
第一の平面に対して垂直な第二の平面内におけるジョイスティック10のアクチュエータ11の動きは、図2から分かるであろう。アクチュエータ11は、板ばね42によって両側で継手部29に取り付けられている。この様にして、アクチュエータ11は前後に旋回可能な様に継手部29に支持されている。この第二の平面内の一方の方向または他方の方向へジョイスティックつまり制御レバー10に使用者によって力が加えられると、アクチュエータ11は上記の一方の方向または他方の方向へ対応範囲内でばね作用によって動くことができる。この動きは、継手部29に取り付けられているホール感知器44で分析される。この領域の継手部29は環として構成されており、この環を貫通してアクチュエータ11が延びている。従って、両方のホール感知器44が直径方向に互いに反対側に位置しているので、アクチュエータ11の動きを両方の方向で検出することができる。第二の平面内におけるアクチュエータ11の任意の旋回を第一の平面内におけるアクチュエータ11の総ての旋回位置で検出することができる様に、ホール感知器44が継手部29と一緒に旋回されてよい。第二の平面内における旋回に応答して、アクチュエータ11の方かまたは反対方向へ磁石が動くので、感知器における磁界が変化し、それに応じて感知器信号が変化する。
【0022】
アクチュエータ11を継手部29で支持するために、板ばね42の代わりに自在軸受を備えてもよく、その場合にはばね作用を、例として、捩じりばねで達成する。
【0023】
上述の代表的実施例に加えて、その他の等価な代表的実施例も可能であることは、明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2自由度を有していることが好ましい継手によって種々の方向へ動かすことのできるアクチュエータ(11)を有しており、それによって第一の平面内で生じる前記アクチュエータ(11)の前後の動きが電動機(16)及び減速機の形をとる能動的力フィードバックを受け、前記第一の平面に垂直な第二の平面内で生じる前記アクチュエータ(11)の前後の動きがばね作用復帰装置の形をとる受動的力フィードバックを受け、前記減速機(23、24)が、低バックラッシで設計されており且つ、好ましくは、旋回レバー(25)を継手部(29)に接続する板ばね装置(26、28)を経由して、出力側で前記アクチュエータ(11)に接続されている、機械及び/または車両の機能を制御するためのジョイスティック(10)。
【請求項2】
前記電動機(16)の出力軸に回転不能に支持されており、且つ前記旋回レバー(25)に取り付けられている内歯環状歯車セグメント(24)に作用する、歯車(23)を前記減速機が有している、請求項1に記載のジョイスティック。
【請求項3】
前記電動機(16)の出力軸に摩擦車(35)が回転不能に搭載されており、二つのばねで支持されているブレーキパッドつまり摩擦パッド(36)を前記摩擦車に押し付け可能であることが好ましい、請求項1または2に記載のジョイスティック。
【請求項4】
ばねによって軸の周りへ付勢されている調節ねじ(37)によって前記ブレーキパッド(36)が作用させられてよい、請求項3に記載のジョイスティック。
【請求項5】
前記旋回レバー(25)が延長アーム(22)を有しており、この延長アーム(22)に第一の板ばね(26)が取り付けられており、第二の板ばね(28)が取り付けられている構成要素(27)に前記第一の板ばね(26)がその反対端部において接続されており、前記第二の板ばね(26)がその反対端部において前記継手部(29)に接続されている、請求項1〜4の何れか一項に記載のジョイスティック。
【請求項6】
前記旋回レバー(25)の軸が前記アクチュエータ(11)の回転軸(12)内に位置づけられている、請求項5に記載のジョイスティック。
【請求項7】
前記継手部(29)の軸が前記アクチュエータ(11)の回転軸(12)内に位置づけられている、請求項5または6に記載のジョイスティック。
【請求項8】
前記アクチュエータ(11)が動きの一つの平面内で前記継手部(29)に固定的に結合されている、請求項1〜7の何れか一項に記載のジョイスティック。
【請求項9】
前記アクチュエータ(11)が動きの別の平面内で前記継手部(29)に対してばね弾性方式で動いてよい、請求項1〜8の何れか一項に記載のジョイスティック。
【請求項10】
前記アクチュエータ(11)が板ばね(42)によって前記継手部(29)に支持されている、請求項9に記載のジョイスティック。
【請求項11】
直径方向に磁化されておりホール感知器(14)と連係する環状磁石(13)が前記アクチュエータ(11)の回転軸(12)上の一つの平面内に配置されている、請求項1〜10の何れか一項に記載のジョイスティック。
【請求項12】
前記アクチュエータ(11)の動きに応答して、前記継手部(29)上に配置されていることが好ましいホール感知器(44)と連係する、永久磁石が前記アクチュエータ(11)上に設けられている、請求項1〜11の何れか一項に記載のジョイスティック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−521027(P2010−521027A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552090(P2009−552090)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001396
【国際公開番号】WO2008/110255
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(509239495)コアクティヴ・テクノロジーズ・インコーポレイティッド (3)
【Fターム(参考)】