説明

ジョブ処理装置

【課題】メイン電源からの電力供給が停止した期間が長引いても、バックアップ電源の消耗によって予約ジョブが消滅することがなく、しかも、予約時に指定された実行日時を可能な範囲で尊守できるジョブ処理装置を提供する。
【解決手段】導出手段23aは未実行の予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出し、残量検出手段23bはバックアップ電源22の残量を検出し、判断手段23cはバックアップ電源22の残量が導出手段23aで導出した消費電力の予測値に応じたレベルまで低下したか否かを判断し、該レベルまで低下したと判断された場合に未実行の予約ジョブを実行する。該レベルに低下する前に停電が復旧すれば、予約ジョブは当初の指定日時に実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイン電源からの電力供給が停止した場合に、バックアップ電源によって動作可能なジョブ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置では、停電などによりメイン電源からの電力供給が停止した場合に、バックアップ電源に切り替えて装置の動作を可能にするが、装置が待機状態にある間にも、たとえば、メモリへの通電を維持するなどによってバックアップ電源が次第に消耗するので、長時間に亘ってバックアップすることは難しく、バックアップ可能な時間に制限がある。
【0003】
そこで、停電中はバックアップ電源の電圧レベルを監視し、電圧レベルの低下に応じて、消費電力の多い負荷回路から順にバックアップを停止することで、時計回路などのように一旦停電すると調整作業が煩雑な回路に対しては、できるだけ長くバックアップを継続できるようにした装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−156942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファクシミリ装置などの装置では、読み取った原稿を即座に送信せずに、指定した日時の到来を待ってから送信する、所謂、予約ジョブを投入できるものがある。このような装置では、読み取った原稿の画像データやジョブの設定データをメモリに保存するようになっているので、指定された実行日時が到来する前に停電になり、その停電が長期化すると、バックアップ電源によるメモリのバックアップを継続できなくなり、予約ジョブが消滅してユーザに多大な迷惑をかけてしまう。
【0006】
特許文献1に開示された技術では、時計回路などのバックアップ動作を長く維持するために負荷の大きいメモリなどのバックアップを優先的に停止させるので、予約ジョブの消滅時期が一層早まってしまう。
【0007】
一方、停電になったら、その時点で残っている未実行の予約ジョブを即座に実行させてしまうことも考えられるが、停電は比較的短時間のうちに復旧する場合もあるので、停電と同時に予約ジョブを一律に実行させてしまうと、実行日時を指定できる予約ジョブとしての機能が損なわれてしまう。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、メイン電源からの電力供給が停止した期間が長引いても、予約ジョブがバックアップ電源の消耗によって消滅することがなく、しかも、予約時に指定された実行日時を可能な範囲で尊守することのできるジョブ処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
(1)メイン電源とバックアップ電源とを有し、前記メイン電源からの電力供給が停止した場合に、前記バックアップ電源からの電力供給で装置の動作を可能にしたジョブ処理装置において、
実行日時が指定された予約ジョブの予約を受け付けるジョブ予約手段と、
未実行の前記予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段と、
前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出する切換検出手段と、
前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後、前記バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出する残量検出手段と、
前記残量検出手段で検出した前記バックアップ電源の供給電力の残量が、前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値を下回る時、前記未実行の予約ジョブの実行時期であると判断する判断手段と
を有する
ことを特徴とするジョブ処理装置。
【0011】
上記発明では、未実行の予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出しておく。メイン電源からバックアップ電源への切り換えが行なわれた後は、バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出し、該残量が先に導出した消費電力の予測値を下回ったとき、未実行の予約ジョブの実行時期が到来したと判断する。
【0012】
(2)メイン電源とバックアップ電源とを有し、前記メイン電源からの電力供給が停止した場合に、前記バックアップ電源からの電力供給で装置の動作を可能にしたジョブ処理装置において、
実行日時が指定された予約ジョブの予約を受け付けるジョブ予約手段と、
未実行の前記予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段と、
前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出する切換検出手段と、
前記切換検出手段による前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えの検出に応じて、前記バックアップ電源の供給電力の残量を検出する残量検出手段と、
前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値と前記残量検出手段で検出した前記バックアップ電源の供給電力の残量とに基づいて、前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後の前記未実行の予約ジョブの実行時期を判断する判断手段と
を有する
ことを特徴とするジョブ処理装置。
【0013】
上記発明では、未実行の予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出しておき、メイン電源からバックアップ電源への切り換えが行なわれたときバックアップ電源の供給電力の残量を検出し、該検出した残量と先に導出した消費電力の予測値とに基づいて未実行の予約ジョブの実行時期を判断する。
【0014】
(3)前記バックアップ電源の供給電力の残量に関する特性値を記憶する特性値記憶手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記消費電力の予測値と前記バックアップ電源の供給電力の残量と前記特性値とに基づいて、前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後の前記未実行の予約ジョブの実行時期を判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のジョブ処理装置。
【0015】
上記発明では、バックアップ電源の供給電力の残量に関する特性値を予め記憶しておき、該特性値に基づいて残量の減衰状態を推定して、未実行の予約ジョブの実行時期を判断する。
【0016】
(4)メイン電源とバックアップ電源とを有し、前記メイン電源からの電力供給が停止した場合に、前記バックアップ電源からの電力供給で装置の動作を可能にしたジョブ処理装置において、
実行日時が指定された予約ジョブの予約を受け付けるジョブ予約手段と、
未実行の前記予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段と、
前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値と前記バックアップ電源の供給電力の残量とに基づいて前記メイン電源からの電力供給が停止している間における前記未実行の予約ジョブの実行時期を判断する判断手段と
を有する
ことを特徴とするジョブ処理装置。
【0017】
上記発明では、メイン電源からの電力供給が停止した時点で未実行のまま残っている予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を算出し、該消費電力の予測値とバックアップ電源の残量とに応じて、未実行の予約ジョブの実行時期を判断する。なお、予約ジョブの実行時期は、予約ジョブの実行を完了させることが可能な範囲で極力遅くすることが好ましい。
【0018】
未実行の予約ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値は、消費電力そのものでなくても、消費電力と相関のある値であればよく、たとえば、バックアップ電源の電圧レベルなどでもよいし、予約ジョブの内容やジョブ数など予約ジョブの仕事量を表わすようなものでもかまわない。
【0019】
また、バックアップ電源の残量は、実際にバックアップ電源の電圧レベルなどから検出するほか、フル充電の状態が常時は維持されるような場合には、バックアップ電源の定格の容量を初期の残量として実行時期を判断してもよい。また、バックアップ電源の残量の検出は逐次あるいは所定間隔毎などに行なってもよいし、メイン電源からの電力供給が停止した時点の残量を検出し、以後の残量を予め定めた減衰特性に基づいて予測するなどでもかまわない。
【0020】
(5)前記バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出する残量検出手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記残量検出手段によって検出される前記バックアップ電源の残量が前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値に応じたレベルまで低下した場合に、前記未実行の予約ジョブの実行時期が到来したと判断する
ことを特徴とする(4)に記載のジョブ処理装置。
【0021】
上記発明では、バックアップ電源の残量を検出し、その検出された残量が未実行の予約ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値に応じたレベルまで低下したとき、未実行の予約ジョブの実行時期が到来したと判断する。これにより、バックアップ電源の実際の残量の減衰状況に応じて最適な実行時期が決定され、たとえば、未実行の予約ジョブの実行を完了させ得る範囲内で可能な限り予約ジョブの実行開始時期を遅らせることができる。
【0022】
(6)前記判断手段により判断された前記予約ジョブの実行時期と前記予約ジョブの実行日時のいずれか早い方に基づいて該予約ジョブを実行するジョブ実行手段
をさらに有する
ことを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0023】
上記発明では、バックアップ電源の残量から判断される実行時期が来る前に予約ジョブの実行日時が来たときは指定された実行日時に予約ジョブが実行され、予約ジョブの実行日時が来る前にバックアップ電源の残量から判断される実行時期が来たときは、該残量に基づく実行時期に予約ジョブが実行される。
【0024】
(7)前記判断手段によって前記未実行の予約ジョブの実行時期が到来したと判断された場合に、前記未実行の予約ジョブの実行を開始する
ことを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0025】
上記発明では、バックアップ電源がなくなる前に、予約ジョブの実行を完了させることができ、メイン電源の停止状態が長期化してバックアップ電源が消耗し、予約ジョブがその実行前にメモリから消滅してしまうことが防止される。
【0026】
(8)前記導出手段は、前記未実行の予約ジョブの個数に応じて前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0027】
上記発明では、メイン電源からの電力供給が停止した時点で未実行のまま残っている予約ジョブのジョブ数に応じて、これらの予約ジョブの実行に必要な消費電力の予測値が導出される。
【0028】
(9)前記導出手段は、前記未実行の予約ジョブの実行内容に応じて前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0029】
上記発明では、メイン電源からの電力供給が停止した時点で未実行のまま残っている予約ジョブの実行内容に応じて、これらの予約ジョブの実行に必要な消費電力の予測値が導出される。実行内容とは、ジョブの種類やそのジョブで扱うデータ量などであり、たとえば、ファクシミリ装置や複写機などの画像形成装置においては、ジョブの種類(印刷ジョブなど画像形成を伴うジョブかFAX送信ジョブなど画像形成を伴わないジョブかなど)、ページ数、画像サイズ、解像度、カラー/モノクロ、ステープルで綴じるなどの後処理の有無や種類などの要素がある。
【0030】
(10)前記導出手段は、前記予約ジョブの予約の際に前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0031】
(11)前記導出手段は、前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後に、前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0032】
(12)前記導出手段は、前記消費電力の予測値として、前記未実行の予約ジョブを実行するために必要な前記バックアップ電源の電圧を求める
ことを特徴とする(1)乃至(11)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0033】
上記発明では、未実行の予約ジョブを実行するために必要なバックアップ電源の電圧を消費電力の予測値として求めるので、該求めた電圧と実際のバックアップ電源の電圧とを比較して、未実行の予約ジョブの実行時期が判断される。
【0034】
(13)前記ジョブ予約手段は、前記メイン電源からの電力供給が停止しているときは、新たな予約ジョブを受け付けない
ことを特徴とする(1)乃至(12)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【0035】
上記発明では、メイン電源からの電力供給が停止している間は予約ジョブが増えないので、メイン電源からの電力供給が停止した時点で未実行のまま残っている予約ジョブを対象に実行時期を判断すればよい。
【0036】
(14)前記予約ジョブに関するデータは、前記メイン電源からの電力供給が停止したときは、前記バックアップ電源によって電力供給される揮発性のメモリに保存される
ことを特徴とする(1)乃至(13)のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係わるジョブ処理装置によれば、メイン電源からの電力供給が停止した場合に、未実行の予約ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値を求め、該消費電力の予測値とバックアップ電源の残量とに応じて、未実行の予約ジョブの実行時期を判断するので、メイン電源の停電が長引いた場合でも、バックアップ電源が消耗して予約ジョブが消滅する前に予約ジョブの実行を完了させることができる。
【0038】
また、予約ジョブの実行時期を可能な範囲で遅らせることで、実行時期が来る前にメイン電源が復旧した場合には、予約時に指定された実行日時を守って予約ジョブを実行させることができ、予約ジョブとしての機能を尊守することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施の形態に係わるジョブ処理装置としての画像形成装置10の概略構成を示している。画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙上に形成して出力するコピー機能、画像データを送受信するファクシミリ機能、印刷データや画像データに基づく画像を記録紙上に形成して出力するプリンタ機能などを備えた、所謂、デジタル複合機として構成されている。
【0041】
画像形成装置10は、画像データをファクシミリ送信する送信ジョブや画像データに基づいて印刷する印刷ジョブなどを、その実行日時を指定した予約ジョブとして投入するタイマ予約機能を備えている。予約ジョブは、予約時に指定された日時が到来するまでその実行が保留され、指定の日時が到来した時点で実行が開始される。
【0042】
画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、メモリ13と、操作表示部14と、読取部15と、画像形成部16と、通信部17とをバス18に接続して構成される。さらに、電源管理に関して、メイン電源21と、バックアップ電源22と、これらの電源の切り替えなどを制御する電力供給制御部23とを備え、予約ジョブの実行時期の管理に関して、リアルタイムクロック24と、タイマ予約制御部25とを備えている。
【0043】
CPU11は、当該画像形成装置10の動作を統括制御する機能を果たす。ROM12は、各種プログラムが予め記憶された読み出し専用のメモリである。メモリ13は、CPU11がROM12に格納されたプログラムを実行する際に各種のデータを一時格納するワークメモリや画像データを記憶する画像メモリとして使用される。
【0044】
メモリ13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)などの不揮発メモリで構成されるが、メイン電源21からの電力供給が停止した場合でもバックアップ電源22によってバックアップされることで、該バックアップ期間中はデータを不揮発に記憶することができるように構成されている。メモリ13には、予約ジョブに関するジョブ情報や画像データが記憶される。
【0045】
操作表示部14は、液晶ディスプレイなどの表示装置および液晶ディスプレイの画面上に敷設されたタッチパネルや操作スイッチなどで構成され、設定画面や操作画面などユーザインターフェイス用の各種画面を表示すると共に、各種のユーザ操作を受ける機能を果たす。操作表示部14はCPU11と協働することで、予約ジョブの投入を受け付けるジョブ予約手段としての機能を果たす。
【0046】
読取部15は、原稿画像を光学的に読み取って対応する画像データを出力する機能を果たす。読取部15は、ラインイメージセンサなどで構成される。
【0047】
画像形成部16は、画像データに応じた画像を用紙上に形成する機能を果たす。ここでは、用紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、電子写真プロセスを用いたレーザープリンタとして構成されている。
【0048】
通信部17は、ネットワークや電話回線を通じて各種のデータを送受信したり、ファクシミリ機能に関する画像データや制御データを送受信したりする機能を果たす。
【0049】
メイン電源21は、電力会社から供給される電源であり、通常は電力が安定供給される。メイン電源21からの電力供給が停止する(不可能になる)場合には、たとえば、停電、電源コンセント抜け、スリープモードへの移行などがある。
【0050】
バックアップ電源22は、メイン電源21からの電力供給が停止した場合に使用される電源であり、例えば、2次電池で構成される。2次電池の種類は問わず、大容量コンデンサなどでもかまわない。いずれの場合であっても、供給できる電力が有限のものであればよい。バックアップ電源22の充電はメイン電源21からの電力供給制御部23を介して行なわれる。
【0051】
電力供給制御部23は、各負荷への電力供給をメイン電源21から行なうかバックアップ電源22から行なうかを制御する機能を果たす。メイン電源21からの電力供給が停止した場合は、メモリ13などの負荷への電力供給をバックアップ電源22から行ない、それ以外ではメイン電源21から電力供給するようになっている。
【0052】
また、電力供給制御部23は、未実行の予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段23aと、バックアップ電源22の残量を検出する残量検出手段23bと、導出手段23aで導出した消費電力の予測値とバックアップ電源22の残量とから、メイン電源21からの電力供給が停止している間における未実行の予約ジョブの実行時期を判断する判断手段23cとしての機能を果たす。
【0053】
残量検出手段23bは、バックアップ電源22の電圧レベルを検出する。該電圧レベルからバックアップ電源22の残量(供給可能な電力量)が間接的に認識される。
【0054】
導出手段23aは、メモリ13に保存されている予約ジョブのジョブ数、ジョブの種類、画像データサイズ、ページ数やデータ量などに基づいて、それらの予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を演算する。ここでは、消費電力の予測値をメイン電源21の電圧レベル(以後、規定電圧値とする)として求めるようになっている。
【0055】
CPU11は、予約ジョブが設定された後、その予約ジョブが実行待ちの状態にある間、未実行の予約ジョブが存在することを表わすタイマ予約信号S1を有効にする(出力する)ようになっており、判断手段23cは、タイマ予約信号S1がCPU11から入力されている間、導出手段23aが消費電力の予測値として求めた規定電圧値と、残量検出手段23bが検出するバックアップ電源22の電圧レベルとを比較し、残量検出手段23bによって検出された電圧レベルが規定電圧値以下になると、電力供給停止信号S2を有効にする機能を果たす。この電力供給停止信号S2はタイマ予約制御部25に入力される。なお、タイマ予約信号S1は電力供給制御部23とタイマ予約制御部25とに入力される。
【0056】
電力供給制御部23は、メイン電源21から電力供給が行なわれている通常状態においてはCPU11を含めて画像処理装置10の各部への電力供給を行ない、メイン電源21から電力供給が停止してバックアップ電源22を使用するときは、メモリ13と、電力供給制御部23と、リアルタイムクロック24と、タイマ予約制御部25へ電力供給を行なう。また、メイン電源21から電力供給が停止している間に予約ジョブを実際に実行するとき(後述する、タイマ予約実行信号S3が有効になったとき)は、CPU11などへも電力供給するようになっている。
【0057】
リアルタイムクロック24は、日時を計時する時計機能および設定された日時の到来を監視するタイマ機能を備えている。タイマ機能は、リアルタイムクロック24内に設定されたタイマ日時と時計機能が計時する日時とが一致したときタイマ割込み信号S4を有効にする機能である。タイマ割込み信号S4はタイマ予約制御部25に入力される。
【0058】
タイマ予約制御部25は、予約ジョブの実行開始タイミングが到来したか否かを判断して、予約ジョブの実行開始を制御する機能を果たす。詳細にはタイマ予約信号S1が有効で、電力供給停止信号S2もしくはタイマ割込み信号S4が有効になった場合に、予約ジョブの実行開始を指示するタイマ予約実行信号S3を有効にする機能を果たす。タイマ予約実行信号S3は、CPU11と電力供給制御部23に入力されており、タイマ予約実行信号S3が有効になると電力供給制御部23はCPU11への電力供給を開始する。電力供給を受けて起動したCPU11は、メモリ13内に保存されている予約ジョブを実行するようになっている。
【0059】
次に、予約ジョブの実行管理に関する画像形成装置10の動作を説明する。
【0060】
図2は、予約ジョブが設定された場合の動作の流れを示している。予約ジョブの設定はメイン電源21から電力供給が行なわれている間のみ可能になっている。操作表示部14を通じてユーザが予約ジョブに関する設定を行なって予約ジョブを投入すると(ステップS101)、装置内部への予約ジョブの登録およびリアルタイムクロック24へのタイマ日時の設定動作が行なわれる(ステップS102)。詳細には、セットされた原稿を読み取り、該読み取り動作で取得した画像データを、ジョブの実行を制御するためのジョブ情報と関連付けてメモリ13に保存する。ジョブ情報には、ジョブの種類(印刷かファクシミリ送信かなど)、解像度、原稿サイズ、ページ数、指定された実行日時、さらに送信ジョブの場合は送信宛先などの情報がある。指定された実行日時がタイマ日時としてリアルタイムクロック24に設定される。
【0061】
予約ジョブが設定登録されると、CPU11の制御によりタイマ予約信号S1が有効になり(ステップS103)、これを受けた電力供給制御部23の導出手段23aは、メモリ13に保存されている予約ジョブのジョブ情報などに基づいて、それらの予約ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値(規定電圧値)を演算する(ステップS104)。
【0062】
なお、予約時に指定した実行日時がメイン電源21からの電力供給中に到来した予約ジョブについては、メイン電源21からの電力供給によりジョブが実行される。そして、1つの予約ジョブの実行が完了すると、未実行のまま残っている予約ジョブの実行に必要な消費電力の予測値が再計算され、規定電圧値が更新されるようになっている。また、すべての予約ジョブの実行が完了するとCPU11はタイマ予約信号S1を無効にする。
【0063】
図3は、図2のステップS104に示す処理(規定電圧値導出処理)の詳細を示している。また、図4は、該規定電圧値導出処理で参照する電圧換算テーブル30、40、50の一例を示している。
【0064】
図4(a)の印刷用電圧換算テーブル30は印刷ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値を電圧値として求めるための換算テーブルである。印刷用電圧換算テーブル30は、ページ数に対応付けて、そのページ数を処理するための印刷時間Pa(単位は秒)と、該印刷時間Paだけ印刷動作を行なうために必要な消費電力を電圧レベルで表した印刷電圧Pb(単位はV、ボルト)と、ウォームアップ時間を加えた合計の総印刷時間Pcと、ウォームアップ動作に要する消費電力を加えた総消費電力を電圧レベルで表した総印刷電圧Pdとを、ページ数毎に列挙したものである。ここでは、ウォームアップ時間は15秒、ウォームアップ動作に必要な電圧レベルは0.020ボルトになっている。
【0065】
図4(b)の通信用電圧換算テーブル40は送信ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値を電圧値として求めるための換算テーブルである。通信用電圧換算テーブル40は、印刷用電圧換算テーブル30と同様に、ページ数に対応付けて、そのページ数を処理するために必要な通信時間Ta(単位は秒)と、該通信時間Taの通信を行なうために必要な消費電力を電圧レベルで表したFAX送信電圧Tb(単位はV、ボルト)と、画像データの送信以外の基本通信部分(たとえば、発呼や回線切断処理など)で必要な通信時間をさらに加えた合計の総通信時間Tcと、基本通信部分に要する消費電力を加えた総消費電力を電圧レベルで表した総FAX送信電圧Tdとを、ページ数毎に列挙したものである。ここでは、基本通信時間は10秒、基本通信部分の動作に必要な電圧レベルは0.001ボルトになっている。
【0066】
図4(c)の共通部分電圧換算テーブル50はすべてのジョブで共通に使用される部分での消費電力の予測値を電圧値として求めるための換算テーブルである。共通部分電圧換算テーブル50は、予約ジョブの実行時間Eaに対応付けて、共通使用部分をその実行時間だけ動作させるために必要な消費電力を電圧レベルで表した実行電圧Ebと、システムをスリープモードなどの休止状態から予約ジョブの実行開始可能な状態まで起動するために必要な消費電力をさらに加算した共通使用部分としての総消費電力を電圧レベルで表した総実行電圧Edとを示したものである。
【0067】
電圧換算テーブル30、40、50の各値は、予め画像形成装置10を動作させたりして調べた値である。
【0068】
ここでは、予約ジョブとして10ページの印刷ジョブ(タイマ印刷ジョブ)と、2ページの送信ジョブ(タイマ送信ジョブ)とが設定されている場合をサンプルケースとして、図3の規定電圧値導出処理を説明する。また、図4では、上記サンプルケースの場合に対応する各数値を一点破線で囲って表示してある。
【0069】
電力供給制御部23はCPU11から入力されるタイマ予約信号S1の状態を判別し(図3、ステップS121)、無効ならば(ステップS121;無効)何も処理をせず処理を終了する(エンド)。
【0070】
タイマ予約信号S1が有効の場合は(ステップS121;有効)、電力供給制御部23はメモリ13に保存されている中のいずれか1つ(未計算のもの)の予約ジョブを選択し、該予約ジョブのジョブ種を判別する(ステップS122)。ここでは、予約ジョブとしてタイマ送信ジョブとタイマ印刷ジョブの2種類があり、これらの中でジョブ種を判別するようになっている。
【0071】
ジョブ種がタイマ印刷ジョブの場合は(ステップS122;印刷)、電力供給制御部23は、図4の印刷用電圧換算テーブル30を参照し、当該タイマ印刷ジョブで画像形成するページ数から印刷に要する時間を計算する(ステップS123)。たとえば、印刷枚数が10枚ならば印刷時間Paは10秒となる(図4のA1参照)。さらに、ステップS123で求めた印刷時間Paから、該印刷時間Pa分の印刷動作を実行するために必要な印刷電圧Pbを求める(ステップS124)。ページ数が10枚で印刷時間Paが10秒の場合は、印刷電圧Pbは0.050ボルトとなる(図4のA2参照)。
【0072】
また、さらに定着温度を適正値にするためのウォームアップ分を加算すると、総印刷時間Pcは25秒に(図4のA3参照)、総印刷電圧Pdは0.070ボルトとなる(図4のA4参照)。
【0073】
ジョブ種がタイマ送信ジョブの場合は(ステップS122;通信)、電力供給制御部23は、図4の通信用電圧換算テーブル40を参照し、当該タイマ送信ジョブで送信するページ数から送信に要する通信時間を計算する(ステップS125)。たとえば、送信枚数が2枚ならば通信時間Taは20秒となる(図4のB1参照)。さらに、ステップS125で求めた通信時間Taから、該通信時間Ta分の送信動作を実行するために必要なFAX送信電圧Tbを求める(ステップS126)。ページ数が2枚で通信時間Taが20秒の場合、FAX送信電圧Tbは0.002ボルトとなる(図4のB2参照)。
【0074】
また、さらにダイヤルして呼を確立したりするための基本通信部分を加算すると、総通信時間Tcは30秒に(図4のB3参照)、総FAX送信電圧Tdは0.003ボルトとなる(図4のB4参照)。
【0075】
上記のようにして各ジョブに固有の実行時間および電圧レベルの計算が終了すると、未計算の予約ジョブがメモリ13内に残っているか否かを調べ(ステップS127)、未計算の予約ジョブが存在する場合は(ステップS127;ジョブ有)その予約ジョブについて実行時間および電圧レベルを計算する(ステップS122〜S126)。
【0076】
メモリ13内に保存されているすべての予約ジョブについての計算処理が終了すると(ステップS127;ジョブ無)、タイマ印刷ジョブおよびタイマ送信ジョブの共通使用部分が動作するのに必要な消費電力に対応する電圧レベルの導出を行なう。
【0077】
詳しくは、まず、共通使用部分の実行時間を求める。画像形成装置10はタイマ印刷ジョブとタイマ送信ジョブとを同時並行に処理することができるようになっている。そこで、予約ジョブが1つのみの場合はその予約ジョブの実行時間を共通使用部分の実行時間とし、予約ジョブが複数ある場合は、タイマ印刷ジョブの実行時間Pc(複数ある場合はその合計時間)とタイマ送信ジョブの実行時間Tc(複数ある場合はその合計時間)とを比較し、大きい方の値を、共通使用部分の実行時間として求める。そして、該共通使用部分の実行時間に対応する電圧レベルを、共通部分電圧換算テーブル50を参照して求める(ステップS128)。
【0078】
サンプルケースの場合、タイマ印刷ジョブの総印刷時間Pcは25秒(図4のA3)でタイマ送信ジョブの総通信時間Tcは30秒(図4のB3)なので、長い方の30秒を共通使用部分の実行時間に決定する。該実行時間に基づき共通部分電圧換算テーブル50を参照することで、共通使用部分での総実行電圧Edは2.560ボルト(図4のC4)と求まる。
【0079】
以上の処理により、タイマ印刷ジョブでの総印刷電圧Pdと、タイマ送信ジョブでの総FAX送信電圧Td、共通使用部分での総実行電圧Edが求まったので、これらを加算することで、未実行のまま残っているすべての予約ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値をバックアップ電源22の電圧レベル(規定電圧値)として求め(ステップS129)、処理を終了する(エンド)。
【0080】
サンプルケースの場合、タイマ印刷ジョブでの総印刷電圧0.070ボルト(図4のA4)と、タイマ送信ジョブでの総FAX送信電圧0.003ボルトと(図4のB4)、共通使用部分での総実行電圧2.560ボルト(図4のC4)とを合計した2.633ボルトが規定電圧値として算出される。
【0081】
次に、メイン電源21からの電力供給が停止している間における予約ジョブの実行管理動作を図5に基づいて説明する。
【0082】
停電などによりメイン電源21からの電力供給が停止すると、電力供給制御部23は、メモリ13およびリアルタイムクロック24、タイマ予約制御部25への供給電力源をメイン電源21からバックアップ電源22に切り替えると共に、待機中であっても電力消費が大きいCPU11などへの電力供給を停止する(ステップS201)。この状態では、メモリ13およびリアルタイムクロック24、タイマ予約制御部25への電力供給によりバックアップ電源22が少しずつ消耗し、残量検出手段23bの検出するバックアップ電源22の電圧レベルは僅かずつ減少する。
【0083】
バックアップ電源22の消耗が進み、電力供給制御部23で検出されるバックアップ電源22の電圧レベルが低下し、該電圧レベルが停電前に算出して設定されている規定電圧値以下になると、電力供給制御部23は電力供給停止信号S2を有効にする。サンプルケースの場合、バックアップ電源22の電圧が2.633ボルトになると電力供給停止信号S2が有効になる。
【0084】
タイマ予約制御部25は、メイン電源21からの電力供給が停止している間、電力供給停止信号S2とタイマ割込み信号S4の状態(有効/無効)を観察する。観察中に電力供給停止信号S2が有効になった場合は(ステップS202;有1)、タイマ予約制御部25は、未実行の予約ジョブが存在するか否かをタイマ予約信号S1の有効/無効に基づいて確認する(ステップS203)。
【0085】
タイマ予約信号S1が有効(予約ジョブが存在する)ならば(ステップS203;有効)、タイマ予約制御部25はタイマ予約実行信号S3を有効にする(ステップS204)。タイマ予約実行信号S3が有効になると電力供給制御部23はバックアップ電源22からCPU11などに対して電力供給を開始する(ステップS205)。バックアップ電源22からの電力供給を受けたCPU11は起動した後、メモリ13に残っているすべての予約ジョブを実行する(ステップS206)。
【0086】
その後は、時間経過と共にバックアップ電源22の電圧レベルが低下していき、電力供給制御部23によるバックアップ動作がやがて停止する。これにより、メモリ13の記憶内容は消滅するが、その前に予約ジョブの実行が完了しているので、予約ジョブの実行が確保される。
【0087】
電力供給停止信号S2が有効になる前にタイマ割込み信号S4が有効になった(予約時に指定された実行日時が到来した)場合は(ステップS202;有2)、タイマ予約制御部25はタイマ予約実行信号S3を有効にする(ステップS204)。これにより、電力供給制御部23はバックアップ電源22からCPU11などに対して電力供給を開始し(ステップS205)、該電力供給により起動したCPU11はメモリ13に残っている予約ジョブを実行する(ステップS206)。
【0088】
電力供給停止信号S2、タイマ割込み信号S4が有効になる前にメイン電源21からの電力供給が再開したときは、図5に示す処理はその時点で中断される。すなわち、バックアップ電源22の予約ジョブの実行日時が到来する前でかつ電圧レベルが規定電圧値まで低下する前にメイン電源21が復旧し、電力供給源がメイン電源21に切り替えられたときは、予約ジョブは未実行のままメモリ13に保存された状態が維持され、その後、予約時に指定された実行日時が到来した時に実行される。
【0089】
このように、メイン電源21からの電源供給が停止した場合でも、可能な限り予約ジョブの実行時期を遅らせるようにしたので、メイン電源21の停電が比較的短い場合には、予約時に指定した実行日時を守ることができ、予約ジョブとしての機能が確保される。一方、メイン電源の停電が長引いた場合でも、予約ジョブが消滅することなく実行されるので、実行されずに予約ジョブが消滅してユーザに多大な迷惑をかけることがなく、ユーザは安心して予約ジョブを投入することができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0091】
たとえば、実施の形態では、予約ジョブの実行に必要な電圧レベルを規定電圧値として求め、バックアップ電源22の電圧レベルが規定電圧値と一致した場合に予約ジョブを強制実行するようにしたが、この場合は予約ジョブの実行によりバックアップ電源22を使い切って残量がゼロになり、その後の処理をまったくできなくなってしまう。そこで、規定電圧値に若干の余裕を持たせるようにしてもよい。たとえば、サンプルケースの場合、計算で求めた2.633ボルトに対して、リアルタイムクロック24が1日計時できる程度の電圧値を加算した電圧レベルを規定電圧値に設定してもよい。
【0092】
また、実施の形態では、未実行の予約ジョブを実行するために必要な消費電力の予測値をバックアップ電源22の残量(電圧レベル)として求めたが、消費電力そのものを求めてもよいし、消費電力と相関のある他の指標により求めてもかまわない。
【0093】
また、実施の形態では、ジョブの種類とページ数とから消費電力の予測値(規定電圧値)を導出するようにしたが、予約ジョブの実行に必要な消費電力の予測値を求める方法はこれに限定されず、その他の要因を基準にして求めたり、より多くの要因を組み合わせて求めてもよい。また、共通使用部分と各ジョブに固有の部分とを分けて計算し、その合計により規定電圧値を求めるようにしたが、複数のジョブを同時並行に実行しない場合などには、共通使用部分を分けて計算しなくてもよい。
【0094】
実施の形態では、メイン電源21からの電源供給が停止した後、残量検出手段23bによりバックアップ電源22の残量(電圧レベル)を逐次検知するようにしたが、メイン電源21からの電力供給が停止した時点で(切換検出手段によるメイン電源からバックアップ電源への切り換えの検出に応じて)、バックアップ電源22の残量を検出し、以後の残量は、予め計測された減衰特性(図示しない特性値記憶手段に記憶されたバックアップ電源の供給電力の残量に関する特性値)に基づいてバックアップ電源22の残量を予測してもかまわない。この場合、実行時期を判断する精度は、メイン電源からバックアップ電源への切り換えを検出した後、バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出する場合と比べて、低下するが、装置構成を簡略化することができる。たとえば、メイン電源21からの電源供給が停止した時点でバックアップ電源22の電圧レベルが規定電圧値となる日時を予測できるので、該予測した日時に対してタイマをセットし、該タイマがタイムアップしたとき予約ジョブを実行するように構成するとよい。
【0095】
図6は、バックアップ電源の電圧レベルの減衰特性の一例を示している。縦軸は電圧、横軸は時間であり、電圧Aはバックアップ電源22から電源供給制御部23へ供給される電圧レベルを、電圧Bはバックアップ電源22から電源供給を受けた電源供給制御部23がメモリ13などへ供給する電圧レベルを示している。バックアップ電源22からの電圧Aに対して電圧Bは電源供給制御部23を経ることにより約0.5ボルト減衰している。電源供給制御部23は電圧Aを監視し、電圧Aが所定のしきい値電圧まで低下したとき、電圧Bの供給を停止する。しきい値電圧は概ねバックアップ対象(メモリ13など)へのバックアップ動作を維持できる最低電圧+0.5ボルト程度に設定される。
【0096】
このような減衰特性に基づいてバックアップ電源22の残量を予測する場合、実行時期を判断する精度は、メイン電源からバックアップ電源への切り換えを検出した後、バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出する場合と比べて、低下するが、装置構成を簡略化することができる。たとえば、メイン電源21からの電源供給が停止した時点でバックアップ電源22の電圧レベルが規定電圧値となる日時を予測できるので、該予測した日時に対してタイマをセットし、該タイマがタイムアップしたとき予約ジョブを実行するように構成するとよい。
【0097】
さらに、メイン電源21からの電源供給が停止した時点でバックアップ電源22が常にフル充電されているように装置を構成しておけば、該フル充電された電圧を、メイン電源21からの電源供給が停止したときのバックアップ電源22の初期電圧レベルとみなして予約ジョブの実行時期を判断してもかまわない。こうすれば、予め計測された減衰カーブと組み合わせることで、残量検出手段23bがなくても、予約ジョブの実行時期を判断することができる。
【0098】
前述の実施の形態においては、バックアップ電源22の電圧が、未処理ジョブの消費電力の予測値(規定電圧値)を下回る際に、全ての予約ジョブを実行するようにする例を述べた。しかしながら、予約ジョブに対応付けられた実行日時をより優先的に考え、各ジョブ毎に消費電力の予測値(規定電圧値)を算出し、バックアップ電源22の電圧との比較により、個別にジョブを実行するようにしても良い。
【0099】
このほか、実施の形態では電力供給制御部23で規定電圧値を導出するようにしたが、他の部分、たとえば、CPU11で規定電圧値を導出し、その値を電力供給制御部23の判断手段23cに対してセットするように構成してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】予約ジョブが設定された場合の画像形成装置の動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置が行なう規定電圧値導出処理を示す流れ図である。
【図4】規定電圧値を算出する際に参照される電圧換算テーブルを例示した説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置がメイン電源からの電力供給が停止している間に行なう動作の流れ図である。
【図6】バックアップ電源の電圧減衰特性の一例を示す特性図である。
【符号の説明】
【0101】
S1…タイマ予約信号
S2…電力供給停止信号
S3…タイマ予約実行信号
S4…タイマ割込み信号
10…画像形成装置
11…CPU
12…ROM
13…メモリ
14…操作表示部
15…読取部
16…画像形成部
17…通信部
18…バス
21…メイン電源
22…バックアップ電源
23…電力供給制御部
23a…導出手段
23b…残量検出手段
23c…判断手段
24…リアルタイムクロック
25…タイマ予約制御部
30…印刷用電圧換算テーブル
40…通信用電圧換算テーブル
50…共通部分電圧換算テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン電源とバックアップ電源とを有し、前記メイン電源からの電力供給が停止した場合に、前記バックアップ電源からの電力供給で装置の動作を可能にしたジョブ処理装置において、
実行日時が指定された予約ジョブの予約を受け付けるジョブ予約手段と、
未実行の前記予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段と、
前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出する切換検出手段と、
前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後、前記バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出する残量検出手段と、
前記残量検出手段で検出した前記バックアップ電源の供給電力の残量が、前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値を下回る時、前記未実行の予約ジョブの実行時期であると判断する判断手段と
を有する
ことを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項2】
メイン電源とバックアップ電源とを有し、前記メイン電源からの電力供給が停止した場合に、前記バックアップ電源からの電力供給で装置の動作を可能にしたジョブ処理装置において、
実行日時が指定された予約ジョブの予約を受け付けるジョブ予約手段と、
未実行の前記予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段と、
前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出する切換検出手段と、
前記切換検出手段による前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えの検出に応じて、前記バックアップ電源の供給電力の残量を検出する残量検出手段と、
前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値と前記残量検出手段で検出した前記バックアップ電源の供給電力の残量とに基づいて、前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後の前記未実行の予約ジョブの実行時期を判断する判断手段と
を有する
ことを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項3】
前記バックアップ電源の供給電力の残量に関する特性値を記憶する特性値記憶手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記消費電力の予測値と前記バックアップ電源の供給電力の残量と前記特性値とに基づいて、前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後の前記未実行の予約ジョブの実行時期を判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のジョブ処理装置。
【請求項4】
メイン電源とバックアップ電源とを有し、前記メイン電源からの電力供給が停止した場合に、前記バックアップ電源からの電力供給で装置の動作を可能にしたジョブ処理装置において、
実行日時が指定された予約ジョブの予約を受け付けるジョブ予約手段と、
未実行の前記予約ジョブの実行を完了させるために必要な消費電力の予測値を導出する導出手段と、
前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値と前記バックアップ電源の供給電力の残量とに基づいて前記メイン電源からの電力供給が停止している間における前記未実行の予約ジョブの実行時期を判断する判断手段と
を有する
ことを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項5】
前記バックアップ電源の供給電力の残量を周期的に検出する残量検出手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記残量検出手段によって検出される前記バックアップ電源の残量が前記導出手段で導出した前記消費電力の予測値に応じたレベルまで低下した場合に、前記未実行の予約ジョブの実行時期が到来したと判断する
ことを特徴とする請求項4に記載のジョブ処理装置。
【請求項6】
前記判断手段により判断された前記予約ジョブの実行時期と前記予約ジョブの実行日時のいずれか早い方に基づいて該予約ジョブを実行するジョブ実行手段
をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項7】
前記判断手段によって前記未実行の予約ジョブの実行時期が到来したと判断された場合に、前記未実行の予約ジョブの実行を開始する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項8】
前記導出手段は、前記未実行の予約ジョブの個数に応じて前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項9】
前記導出手段は、前記未実行の予約ジョブの実行内容に応じて前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項10】
前記導出手段は、前記予約ジョブの予約の際に前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項11】
前記導出手段は、前記切換検出手段が前記メイン電源から前記バックアップ電源への切り換えを検出した後に、前記消費電力の予測値を求める
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項12】
前記導出手段は、前記消費電力の予測値として、前記未実行の予約ジョブを実行するために必要な前記バックアップ電源の電圧を求める
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項13】
前記ジョブ予約手段は、前記メイン電源からの電力供給が停止しているときは、新たな予約ジョブを受け付けない
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。
【請求項14】
前記予約ジョブに関するデータは、前記メイン電源からの電力供給が停止したときは、前記バックアップ電源によって電力供給される揮発性のメモリに保存される
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載のジョブ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−288284(P2007−288284A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110286(P2006−110286)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】