説明

スイッチ

【課題】スイッチの小型化を図る。
【解決手段】ケースの底壁21に電極31、32および33の列を同方向に2列設け、それぞれ電極32に揺動接片37(37a、37b)を支持させて、回転スライダ50の操作子53a、53b内に保持のコイルスプリング55で付勢されたボール56で揺動接片の電極31側を押圧して中立位置とする。回転スライダを中心軸52まわりに時計方向に回動することにより、ボール56が揺動接片37aの電極32による支持位置を越え、当該揺動接片37aが電極31との導通から電極33との導通状態へ切換る。回転スライダを反時計方向に回動すれば、同様にして他方の揺動接片37bが電極31との導通から電極33との導通状態へ切換る。回転スライダは回転するだけであるから、直線方向のスライド代が不要のため、回転スライダを収容するケースのサイズを短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のパワーウインドを操作するなどに適したスイッチとして、操作者がノブの一端を持ち上げ、あるいは押し下げることにより接点を切換えるようにしたスイッチ装置が利用されている。
この種のスイッチ装置では、スイッチ本体として、揺動するノブの所定部位に係合する操作子をスライドさせることにより切換え動作するスイッチが用いられている。
図10はこのような従来のスイッチの構造を示す分解斜視図であり、図11は断面図である。
スイッチの主要部品はアッパケース70とロアケース80からなる樹脂製のケース100内に組み込まれる。
【0003】
とくに図11に示すように、ロアケース80の底壁81には、整列して並べられた電極板31a、32a、33aが配置されている。両端の電極板31a、33aにはそれぞれに接点36a、38aが設けられている。中央の電極板32aは底壁81から立ち上がって揺動接片37aを支持している。揺動接片37aは電極板31a〜33aの並びに沿って配置され、電極板32aは揺動接片37aの略中間位置を支持する。
アッパケース70には、電極板31a〜33aの並び方向にスライド可能にスライダ75が保持される。スライダ75はスライダ本体部76から上方に延びる操作子77を備え、アッパケース70の天壁71には操作子77を通過させる穴73が設けられている。
【0004】
操作子77はスライダ本体部76から揺動接片37a近傍まで下方にも延びるとともに、下端に開口する筒孔78を有している。筒孔78の開口部にはボール56が保持され、筒孔78内に配置されたコイルスプリング55により付勢されたボール56が揺動接片37aを押圧する。
図11の断面において、揺動接片37aは電極板32aによる支持位置と接点36a側との間に山部を有するとともに、接点38a側にも緩やかな山部を有し、電極板32aによる支持位置よりも接点36a側が両山部間の谷の最低部となっている。
【0005】
図11はスライダ75が中立位置にある状態を示しており、このスライダ75の中立位置において、ボール56は揺動接片37aの谷の最低部を押圧し、これにより揺動接片37aは一端が接点36aに着座し、他端は接点38aから離間している。
中立位置から後方(図中右方向)へスライダ75を移動させると、揺動接片37aは接点36aと電極板32aに支持された姿勢が変化することなく、ボール56がコイルスプリング55を圧縮しながら山部の形状に追従する。したがって、接点36aと電極板32a間が導通している電気的接続状態は変化しない。
一方、中立位置から前方(図中左方向)へスライダ75を移動させると、ボール56が揺動接片37a上を接点38a方向へ移動し、電極板32aによる支持位置を越えると揺動接片37aを図11において反時計方向に揺動させるから、揺動接片37の一端は接点36から離れ、他端が接点38に着座する。これにより電気的接続状態が切り換わり、電極板32と接点38とが導通することになる。
【0006】
ケース100内には、図10に示されるように、揺動接片37aとともに揺動接片37bも配置され、揺動接片37bについても図11に示したと同様の電極板31b、32b、33bとコイルスプリング55に付勢されたボール56が設けられている。ただし、揺動接片37aにかかる構成と揺動接片37bにかかる構成とは前後反転している点が異なる。
したがって、図示しないノブと係合して操作子77が中立位置から前方へ移動すると、揺動接片37bは接点36bと接続したまま、揺動接片37aは接点38aと接続し、例えばウインド閉のためにウインドガラス上昇方向のモータ駆動回路をオンとする。逆に、操作子77が中立位置を通って後方へ移動すると、揺動接片37bは接点38bとの接続へ切り換わり、揺動接片37aは接点38aとの接続から接点36aとの接続へ切り換わる。これにより、ウインド開のためにウインドガラス下降方向のモータ駆動回路をオンとする。
出願人は同様のスイッチを例えば特開平8−329773号公報にも提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−329773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、自動車の運転席ドアに以上のようなスイッチ装置を設ける場合、セダンではパワーウインド制御用として少なくとも4個がドアのアームレストに配置されるが、アームレストにはそのほかドアミラーの角度調整や格納/展開用、ドアロック等に多数のスイッチ装置を配置したいという要求が大きくなっている。
アームレストにおけるスイッチ装置設置用のスペースは限定されているため、多数のスイッチ装置を配置するという要求を満たすためにはとくに個数の多いパワーウインド用のスイッチ装置の小型化が有効である。
【0009】
しかしながら、上述した従来のスイッチでは、スライダ75を直線移動させることにより揺動接片37a、37bを押圧するボール56の位置を移動させているので、図10に仮想線で示すように、中立位置を挟んだ前後両方向にスライダ75の移動距離を確保する必要がある。したがってスライダ75を収納するケース100のサイズを小さくするには限度があって、スイッチ装置を多数設置しようとする場合の配置の自由度がいまだに制約されるという課題が残っている。
【0010】
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、さらに小型化されたスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のスイッチは、回動軸まわりに回動可能で、該回動軸から離間した位置に操作子を備えた回転スライダと、それぞれ揺動接片を含んで並列に設けられた2つの電極組とからなり、回転スライダには、上記回動軸を挟んだ両側に揺動接片を押圧する押圧手段が設けられて、操作子を介して回転スライダを一方向または逆方向に回動させることにより、押圧手段が揺動接片を押圧する位置が移動して、電極組の一方または他方の電気的接続状態を切換えるものとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転スライダを回動させることにより押圧手段が揺動接片を押圧する位置を変化させて電気的接続状態を切換えるので、回転スライダの直線方向のスライド代を確保する必要がなく、したがって回転スライダを収容するケース等のサイズを短縮して小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態にかかるスイッチの分解斜視図である。
【図2】スイッチの上面図である。
【図3】スイッチを用いたスイッチ装置の断面図である。
【図4】電極組の配置を示す平面図である。
【図5】ノブの角部を持ち上げたときのスイッチの動作を示す図である。
【図6】ノブの角部を持ち上げたときの回転スライダの回動を示す図である。
【図7】ノブの角部を押し下げたときの回転スライダの回動を示す図である。
【図8】ノブの角部を押し下げたときのスイッチの動作を示す図である。
【図9】スイッチ装置の変形例を示す図である。
【図10】従来のスイッチの分解斜視図である。
【図11】従来のスイッチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は実施の形態にかかるスイッチの分解斜視図、図2は上面図、図3はスイッチを用いたスイッチ装置の断面図で、図2におけるA−A部に相当する。
スイッチ5は、基本形状が直方体のケース8内に後述する揺動接片や電極を配置して構成される。
ケース8はそれぞれ樹脂製のアッパケース10とロアケース20からなっている。アッパケース10とロアケース20は互いに最中(モナカ)状に重ね合わされるようになっているが、ロアケース20の対向する1組の側壁22a、22bは、他の側壁22c、22dよりも上方に高く、アッパケース10とロアケース20を重ねたときにアッパケース10内に延びている。
【0015】
ロアケース20の4面の側壁22(22a〜22d)の外面にはそれぞれ係合突起24が設けられ、アッパケース10の各側壁12からは係合突起24に対応する穴15を備える係合片14が下方に延びている。係合突起24は上部に傾斜面25を有し、ロアケース20に対してアッパケース10を押し下げていったときに、係合片14が傾斜面25を乗り上げて行き、その穴15が係合突起24に整合した際に穴15の下縁が係合突起24の下端面に係合してアッパケース10とロアケース20が結合される。
【0016】
とくに図3に示すように、ロアケース20の基板をなす底壁21には、前後方向に整列して並べられた電極板31、32、33が配置されている。中央の電極板32は底壁21から立ち上がって揺動接片37を支持している。揺動接片37は電極板31、32、33の並びに沿って配置され、電極板32は揺動接片37の略中間位置を支持する。
両端の電極板31、33は底壁21と面一とされ、それぞれに揺動接片37との接触部として接点36、38を備えている。
以上の電極板31、32および33と、揺動接片37とにより1つの電極組30が形成される。なお、以下の記載において、接点36、38は電気的には電極板31、33と同義である。
【0017】
図3に示す断面において、揺動接片37は電極板32による支持位置と接点36側との間に山部41を有するとともに、接点38側にも緩やかな山部42を有し、電極板32による支持位置よりも接点36側が両山部間の谷40の最低部となっている。
図4に示すように、ケース8内には2組の電極組30(30a、30b)が左右並列に設けられている。以下、2組の電極組およびその接点等を個別に特定するときには添え字a、bで区別する。2組の電極組30a、30bの間で、各接点や揺動接片の並び順は従来の図10のものとは異なり、互いに同じである。
なお、図3に示した断面は電極組30aにかかるものではあるが、係合部60との係合の有無を除き、2組の電極組に共通のため、「a」、「b」の添え字は付していない。図1における電極についても同様である。
【0018】
図2に示すように、アッパケース10の天壁11の中心には孔16が設けられ、中心軸52を備えて当該中心軸を孔16に支持させた回転スライダ50がアッパケース10の内側に保持される。
回転スライダ50は、中心軸52を中心とする円盤状のスライダ本体部51(図1参照)と、中心軸52を挟んだ対称位置でスライダ本体部51から上方に延びる円柱状の操作子53a、53bを備える。
そしてアッパケース10の天壁11には孔16を中心にして、さらに操作子53a、53bを通過させる穴18a、18bが設けられている。すなわち、操作子53a、53bはスライダ本体部51から穴18a、18bを通ってケース8の外部へ突出している。
【0019】
回転スライダ50は、操作子53a、53bを結ぶ線が前後方向(電極板31、32、33の並び方向)に対して直角の位置にある状態を中立位置とする。
アッパケース10の穴18a、18bは、図2において操作子53a、53bが実線位置にある中立位置から時計方向および反時計方向に仮想線で示す所定位置になるまで、回転スライダ50の回転を許すように円弧形状となっている。
【0020】
図3に示すように、操作子53はスライダ本体部51から揺動接片37の近傍まで下方にも延びるとともに、下端に開口する筒孔54を有している。筒孔54の開口部にはボール56が保持され、筒孔54内に配置されたコイルスプリング55により付勢されたボール56が揺動接片37を押圧する。
【0021】
スイッチ5はその一方の操作子53が上方の化粧板4に揺動可能に支持されたノブ1と連動するように配置されて、スイッチ装置Sを形成する。
ノブ1は、その揺動軸2よりも下方、スイッチ5側に延びるレバー3を備え、ノブ前端に形成した角(ツノ)部4側を指で持ち上げることにより揺動軸2まわりに時計方向に揺動し、角部4を押し下げることにより反時計方向に揺動する。レバー3は一方の操作子53(53a)にのみ対応して設けられている。揺動軸2は電極組における各電極の配列方向に対して垂直である。
【0022】
レバー3は操作子53を挟むように2股の係合部60を備えている。係合部60は、図3に示すように、操作子53と接触する当接面62、63を有する。当接面62、63は断面円弧状で揺動接片37の延び方向に対しては垂直な直線状である。
2つの当接面62、63間の最短距離は、ノブ1が揺動したときにも操作子53とロックしないように、操作子53の外径よりわずかに大きい所定の値に設定されている。
【0023】
図3は回転スライダ50が中立位置にある状態を示しており、この回転スライダ50の中立位置において、ボール56は揺動接片37の谷40の最低部を押圧し、これにより揺動接片37は一端が接点36に着座し、他端は接点38から離間している。この状態は2組の電極組30a、30bにおいて共通である。
【0024】
以上のように構成されたスイッチ装置Sの動作について、以下説明する
図5の(a)に示すように、ノブ1の角部4側を持ち上げると、レバー3が時計回りに揺動して係合部60の当接面62が操作子53aを前方(左方)へ押す。これにより、回転スライダ50は上から見て図6に示すように時計方向に回動する。
前方へ移動した一方の操作子53aのボール56はコイルスプリング55を圧縮しながら揺動接片37a上を転動して、電極板32aによる支持位置を越える。この結果、一方の電極組30aにおいて、揺動接片37aは反時計方向に揺動して、一端が接点36aから離れ、他端が接点38aに着座する。これにより電気的接続状態が切り換わり、電極板32aと接点38aとが導通することになる。
【0025】
この間、図5の(b)に示すように、他方の操作子53bは、レバー3や係合部60が関連付けられていないので、回転スライダ50の時計方向の回動に伴って後方(右方)へ移動し、そのボール56は接点36bと電極板32b間の揺動接片37b上を転動するだけで、揺動接片37bの姿勢を変えないので、他方の電極組30bにおいては、電気的接続状態は変化しない。
なお、図5の(a)は図6におけるB−B部断面に相当し、図5の(b)は図6におけるC−C部断面に相当する。
【0026】
逆に、ノブ1の角部4側を押し下げると、レバー3は反時計回りに回動し、その係合部60は操作子53aを後方(右方)へ押すから、回転スライダ50は上から見て図7に示すように反時計方向に回動する。
したがって、図8の(a)に示すように、操作子53aは回転スライダ50の反時計方向の回動に伴って後方(右方)へ移動し、そのボール56は接点36aと電極板32a間の揺動接片37a上を転動するだけで、揺動接片37aの姿勢を変えることがなく、一方の電極組30aにおいて電気的接続状態は変化しない。
【0027】
これに対して他方の操作子53bは、図8の(b)に示すように前方(左方)へ回動する。これにより、前方へ移動した操作子53bのボール56はコイルスプリング55を圧縮しながら揺動接片37b上を転動して、電極板32bによる支持位置を越える。この結果、電極組30bにおいては、揺動接片37bが反時計方向に揺動して、一端が接点36bから離れ、他端が接点38bに着座して、電気的接続状態が切り換わり、電極板32bと接点38bとが導通することになる。
なお、図8の(a)は図7におけるD−D部断面に相当し、図8の(b)は図7におけるE−E部断面に相当する。
【0028】
以上のようにして、スイッチ5は、回転スライダ50の一方の操作子53aに対して係合するレバー3を備えて回転スライダ50を時計方向および反時計方向に回動させるノブ1と協働させることにより、2組の電極組30a、30bにおける電気的接続状態を切換えることができる。
【0029】
本実施の形態においては、中心軸52が発明における回転軸に該当し、ロアケースの底壁21が基板に該当し、電極31が第1の電極、電極32が第2の電極、そして電極33が第3の電極にそれぞれ該当する。
また、コイルスプリング55に付勢されたボール56が押圧手段を構成している。
【0030】
本実施例は以上のように構成され、中心軸52まわりに回動可能で、中心軸52から離間した位置に操作子53を備えた回転スライダ50と、それぞれ揺動接片37a、37bを含んで並列に設けられた電極組30a、30bとからなり、回転スライダ50には、中心軸52を挟んだ両側にコイルスプリング55、55に付勢されて揺動接片37a、37bを押圧するボール56、56とが設けられて、操作子53を介して回転スライダ50を一方向または逆方向に回動させることにより、各ボール56が揺動接片37a、37bを押圧する位置が移動して、電極組30a、30bの一方または他方の電気的接続状態を切換えるものとしたので、電気的接続状態を切換えのためには回転スライダ50は回転するだけであり、例えば電極組の電極の並び方向に直線移動することはない。
したがって、スライダのスライド代を考慮しなければならない従来のスイッチに比較して、回転スライダ50を収容するケースのサイズを短縮することができ、全体の小型化が実現できる。
【0031】
とくに電極組30(30a、30b)はそれぞれ、揺動接片37と、ケースの底壁21上に順次配列された電極31、電極32および電極33からなり、いずれの電極組30a、30bも各電極の配列順が同方向であり、揺動接片37は電極32に中間を支持されて、電極31から電極33に対向して配置され、回転スライダ50の回動の中立位置において、ボール56はそれぞれの揺動接片37の電極31と電極32による支持位置の間を押圧しており、回転スライダ50が回動してボール56による押圧位置が上記支持位置を越えて電極33方向へ移動することにより、電極31と電極32の導通状態から電極33と電極32の導通状態へ切換わるものとなっている。したがって、回転スライダ50が中立位置から回動して一方のボール56が揺動接片37の支持位置を越えると、他方のボール56は逆に支持位置から遠ざかる方向に移動するので、一方の電極組30aで電気的接続状態が切換るときは、他方の電極組30bで電気的接続状態が切換ることはなく、必ず交互に一方の電極組のみの電気的接続状態を切換えることができる。
また、いずれの電極組も各電極の配列順が同方向であるため、揺動接片37の配置方向を間違えるおそれもなく、組立も容易である。
【0032】
操作子としては、中心軸52を挟んだ両側にそれぞれ電極組30a、30b側に開口する筒孔54を備えた円柱状の操作子53a、53bの2本が設けられ、筒孔54内に上記のコイルスプリング55が収容され、ボール56は筒孔54の開口部に配置されているので、操作子がコイルスプリングとボールの保持機能を兼ね、回転スライダがコンパクトに形成される。
【0033】
さらに、スイッチにノブ1を連動させ、ノブ1は電極組30a、30bのそれぞれの揺動接片37a、37bを横切る方向の揺動軸2まわりに揺動可能とし、揺動軸2より揺動接片側に延びて一方の操作子53aと連係する係合部60を備えたレバー3を有し、ノブ1を揺動軸2まわりに揺動することにより、回転スライダ50を一方向または逆方向に回動させるように構成してあるので、ノブ1を一方向に揺動させることにより電極組30aの電気的接続状態を切換え、ノブ1を逆方向に揺動させることにより電極組30bの電気的接続状態を切換えることができ、従来と同様に1つのノブの操作で例えばパワーウインドの開閉を制御することができる。
【0034】
なお、実施の形態では、揺動接片37を押圧する押圧手段として、コイルスプリング55が操作子53の筒孔54内に配置され、ボール56が上から見て操作子53と整合しているものとしたが、これに限定されず、押圧手段は各電極組30の揺動接片37に対応させて回転スライダ50の中心軸52を挟んだ両側に設定されていればよく、操作子53と整合している必要はない。
とくに、コイルスプリング55を収容するため2本の操作子53aと53bを設けたが、コイルスプリング55の代わりに小サイズのリーフスプリングなどでボール56を押圧する場合には、操作子は1つあればよい。
【0035】
また、回転スライダ50は回動軸として、スライダ本体部51から突出する中心軸52をアッパケース10の天壁11の孔16に支持させたものとしたが、回転スライダ50は所定の軸線周りに回動可能であればよいので、例えば、天壁11から軸を下方に突出させ、スライダ本体部51の中心に設けた孔を天壁11からの軸に支持させてもよい。
さらに、電極板31、33には揺動接片37との接触部として接点36、38を備えているものとしたが、接点を省いて電極板が直接揺動接片と接触するようにしてもよい。
【0036】
また、実施の形態では、ノブ1の下方において、スイッチ5をその回転スライダ50が略水平面内で回動する姿勢で配置し、ノブ1のレバー3先端の前後方向変位を回転スライダ50の回動に変換するものとしたが、スイッチ5の利用形態としてはこれに限定されず、例えば図9に示すように、回転スライダ50が垂直面内で回動する姿勢でスイッチ5を配置して、中立位置における操作子53を中心軸52から例えば前方に離間した位置に設定して、ノブ1の前端と操作子53をロッドRでリンク連結することによっても、ノブ1の揺動により回転スライダ50を回動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、設置スペースが狭い各種のスイッチ装置に適用することができ、とくに自動車のパワーウインド用のスイッチ装置に利用して有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 ノブ
2 揺動軸
3 レバー
4 角部
5 スイッチ
8 ケース
10 アッパケース
11 天壁
16 孔
18a、18b 穴
20 ロアケース
21 底壁
30、30a、30b 電極組
31、31a、31b 電極板
32、32a、32b 電極板
33、33a、33b 電極板
36、36a、36b 接点
37、37a、37b 揺動接片
38、38a、38b 接点
40 谷
41、42 山部
50 回転スライダ
51 スライダ本体部
52 中心軸
53、53a、53b 操作子
54 筒孔
55 コイルスプリング
56 ボール
60 係合部
62、63 当接面
K 化粧板
R ロッド
S スイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸まわりに回動可能で、該回動軸から離間した位置に操作子を備えた回転スライダと、
それぞれ揺動接片を含んで並列に設けられた2つの電極組とからなり、
前記回転スライダには、前記回動軸を挟んだ両側に前記揺動接片を押圧する押圧手段が設けられて、
前記操作子を介して前記回転スライダを一方向または逆方向に回動させることにより、前記押圧手段が前記揺動接片を押圧する位置が移動して、前記電極組の一方または他方の電気的接続状態を切換えることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記電極組はそれぞれ、基板上に順次配列された第1の電極、第2の電極および第3の電極と、前記揺動接片とからなり、いずれの電極組も前記各電極の配列順が同方向であり、
前記揺動接片は前記第2の電極に中間を支持されて、第1の電極から第3の電極に対向して配置され、
前記回転スライダの回動の中立位置において、前記押圧手段はそれぞれの揺動接片の前記第1の電極と第2の電極による支持位置との間を押圧しており、
前記回転スライダが回動して前記押圧手段による押圧位置が前記支持位置を前記第3の電極方向へ移動することにより、前記第1の電極と第2の電極の導通状態から前記第3の電極と第2の電極の導通状態へ切換わることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記操作子は、それぞれ前記電極組側に開口する筒孔を備えた円柱状で前記回動軸を挟んだ両側に2本設けられ、
前記押圧手段は、各操作子の前記筒孔の開口部に配置されて筒孔内のスプリングに付勢され、前記揺動接片上を転動するボールであることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1に記載のスイッチと、該スイッチに連動させたノブとからなるスイッチ装置であって、
前記ノブは、前記2つの電極組のそれぞれの揺動接片を横切る方向の揺動軸まわりに揺動可能であり、前記揺動軸より揺動接片側に延びて一の前記操作子と連結する係合部を備えたレバーを有し、
前記ノブを揺動軸まわりに揺動することにより、前記回転スライダを前記一方向または逆方向に回動させるように構成したことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−165530(P2010−165530A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6142(P2009−6142)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】