説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】ペーストのスムーズなローリングを実現して印刷不良の発生を低減し得るようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】マスク5に対してスキージ32を摺動させて基板2にペーストPsを転写させるにおいて、スキージホルダ31に設けた漏れ防止部材33をスキージ32とともにマスク5上を摺動させることによってマスク5上でローリング中のペーストPsがスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出ることを防止する。このとき、マスク5上のペーストPsの高さH0がマスク5の上面からの漏れ防止部材33の高さHmよりも高く、漏れ防止部材33の高さHmよりも高い位置に位置するペーストPsが漏れ防止部材33を超えてスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に流出しない状態でペーストPsのローリングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上面に接触させたマスクに対してスキージを摺動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによりマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させて印刷するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、基板上に設けられた複数の電極のそれぞれに半田ペーストや導電性ペースト等のペーストを転写させて印刷する装置であり、基板の電極配置に応じて形成された開口部を有したマスクを開口部と電極とが合致するようにして基板の上面に接触させ、マスク上にペーストを供給したうえで、箆状のスキージをマスク上で摺動させる。これによりペーストはマスクとスキージの間で回転(ローリング)させられながらマスク上を移動してマスクの開口部に充填されて基板上の電極にペーストが転写され、その後マスクを基板から離間させて版離れさせると、電極上にペーストが残って電極にペーストが印刷された状態となる。
【0003】
このようなスクリーン印刷機の中には、マスク上でローリングされるペーストが効率的にマスクの開口部内に充填されるようにするため、スキージを保持するスキージホルダに設けた一対の漏れ防止部材をスキージとともにマスク上を摺動させることによってマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−34638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のスクリーン印刷機では、ペーストがスキージ及び漏れ防止部材によって形成される区画内に収まった状態でローリングされるようにするため、ペーストの最大高さが漏れ防止部材の高さを超えない状態でペーストのローリングを行っていたことから、ローリング中のペースト(このローリング中のペーストは全体として、スキージの長手方向に延びた柱形状とみなすことができる)の両端部には漏れ防止部材からの摩擦抵抗が作用し、これがペースト全体のスムーズなローリングの妨げとなって印刷状態が不良になる場合があるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、ペーストのスムーズなローリングを実現して印刷不良の発生を低減し得るようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスクに対して摺動し、マスク上に供給されたペーストをマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、スキージを保持するスキージホルダに設けられ、スキージとともにマスク上を摺動してマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止する漏れ防止部材を有し、マスク上のペーストの高さがマスクの上面からの漏れ防止部材の高さよりも高く、漏れ防止部材の高さよりも高い位置に位置するペーストが漏れ防止部材を超えてスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に流出しない状態でペーストのローリングを行う。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷方法は、マスクを基板の上面に接触させる工程と、基板の上面に接触されたマスクに対してスキージを摺動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによりマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させる工程とを含み、スキージを保持するスキージホルダに設けられた漏れ防止部材をスキージとともにマスク上を摺動させることによってマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止するようにしたスクリーン印刷方法であって、マスク上のペーストの高さがマスクの上面からの漏れ防止部材の高さよりも高く、漏れ防止部材の高さよりも高い位置に位置するペーストが漏れ防止部材を超えてスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に流出しない状態でペーストのローリングを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、マスク上のペーストの高さがマスクの上面からの漏れ防止部材の高さよりも高く、漏れ防止部材の高さよりも高い位置に位置するペーストが漏れ防止部材を超えてスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に流出しない状態でペーストのローリングを行うようになっており、漏れ防止部材によるスキージのからのペーストの漏れを防止しつつ、ローリング中のペーストの両端部に作用する漏れ防止部材からの摩擦抵抗を小さくすることができるので、ペースト全体のスムーズなローリングを実現でき、印刷不良の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の概略構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの(a)斜視図(b)分解斜視図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの部分拡大図
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの(a)部分側面図(b)部分正面図
【図8】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷方法の実行手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1、図2及び図3に示すスクリーン印刷機1は、基板2を搬入する動作、搬入した基板2上に設けられた複数の電極2a(図4)のそれぞれに半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPsを印刷する動作及びペーストPsを印刷した基板2を搬出する動作から成る一連の工程を繰り返し実行する装置である。
【0012】
図1、図2及び図3において、スクリーン印刷機1は基台3上に設けられて基板2の搬送、位置決め及び保持を行う基板保持部及び保持した基板2の移動を行う基板移動部としての基板保持移動ユニット4、基板保持移動ユニット4に保持された基板2上の電極2aに開口部5a(図4)を合致させて基板2の上面に接触されるマスク5、基板2の上面に接触されたマスク5上を摺動してマスク5上に供給されたペーストPsをマスク5上で掻き寄せてローリング(回転)させることにより、マスク5の開口部5aを介して基板2上の電極2aにペーストPsを転写させるスキージング機構6、撮像動作を行うカメラユニット7及び各部の作動制御を行う制御装置8を備えている。
【0013】
以下、説明の便宜上、スクリーン印刷機1において基板2を搬送する水平面内方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向をスクリーン印刷機1の横(左右)方向とし、前後方向のうち、スクリーン印刷機1に対してオペレータ(図示せず)が作業を行う側(図1及び図2の紙面右側)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1及び図2の紙面左側)を後方とする。
【0014】
図2及び図3において、基板保持移動ユニット4は、基台3上に段積みされたYテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13の相対移動による基台3に対する水平面内での移動とθテーブル13に対する上下動によって基台3に対する昇降移動が可能なベース部14を備え、ベース部14の上面にY軸方向に対向して設けられた一対の支柱15には、X軸方向に延びた一対の搬送コンベア16とY軸方向に開閉自在な一対のクランプ部材17(図4も参照)が設けられている。また、ベース部14の中央部には、ベース部14に対して昇降自在な下受け部材18が設けられている。
【0015】
図2、図3及び図4において、一対の搬送コンベア16は基板2のY軸方向の両端を下方から支持してX軸方向に搬送し、位置決めする。一対のクランプ部材17はY軸方向に開閉し、搬送コンベア16によって位置決めされた基板2のY軸方向の両端部をクランプする。下受け部材18はベース部14に対して昇降し、クランプ部材17によってクランプされた基板2の中央部を下方から支持(下受け)する。
【0016】
図4において、マスク5は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠5Wによって四辺が支持されており、開口部5aはマスク枠5Wによって囲まれた矩形の領域内に設けられている。
【0017】
図4において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側マーク2mが設けられており(図4には一方の基板側マーク2mのみが図示されている)、マスク5には基板側マーク2mに対応して配置された2つ一組のマスク側マーク5mが設けられている(図4には一方のマスク側マーク5mのみが図示されている)。これら基板側マーク2mとマスク側マーク5mとが平面視において一致する状態で基板2をマスク5に接触させると、基板2の電極2aとマスク5の開口部5aとが合致する。
【0018】
図2及び図3において、スキージング機構6はY軸方向に移動自在に設けられたスキージベース21と、スキージベース21の上面側に取り付けられた一対のスキージ昇降シリンダ22と、これら一対のスキージ昇降シリンダ22によってスキージベース21の下方で互いに独立して昇降される一対のスキージユニット23から成る。
【0019】
図2、図3及び図5(a),(b)おいて、スキージユニット23は、スキージ昇降シリンダ22のロッド22aの下端に取り付けられてX軸方向に延びたスキージホルダ31と、X軸方向に延びた平板状の部材から成り、上部がスキージホルダ31に保持されて下部がスキージホルダ31の斜め下方に延出した箆状のスキージ32と、スキージホルダ31に設けられた一対の漏れ防止部材33を備えている。ここで、一対の漏れ防止部材33は、本実施の形態では、スキージ32をその長手方向(X軸方向)の両端側から挟む位置に設けられている。
【0020】
漏れ防止部材33は図5(a),(b)及び図6に示すように、Z軸方向(垂直方向)に延びた垂直部33a及び垂直部33aの下端からY軸方向(水平方向)に延びた水平部33bを有して全体としてL字状に形成されており、垂直部33aの上端からは漏れ防止部材33をスキージホルダ31の背面(2つのスキージユニット23と向かい合う側とは反対側の面)に取り付けるための取り付け部33cがX軸方向に延びて設けられている。
【0021】
図2及び図3において、カメラユニット7は撮像視野を下方に向けた第1カメラ7aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ7bを備えている。
【0022】
基板保持移動ユニット4が備えるベース部14の水平面内での移動動作及び上下動動作は、制御装置8が図示しないアクチュエータ等から成る基板保持移動ユニット作動機構41(図1)の作動制御を行ってYテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13の水平面内方向での相対移動動作及びθテーブル13に対するベース部14のZ軸回りの回転動作を行うことによってなされる。また、搬送コンベア16による基板2の搬送及び位置決め動作、クランプ部材17による位置決めされた基板2のクランプ動作並びに下受け部材18による基板2の下受け動作も制御装置8が基板保持移動ユニット作動機構41の作動制御を行うことによってなされる。
【0023】
スキージング機構6が備えるスキージベース21のY軸方向への移動は制御装置8が図示しないアクチュエータ等から成るスキージユニット移動機構42(図1)の作動制御を行うことによってなされ、スキージベース21に対する各スキージユニット23の昇降動作は、制御装置8が昇降させようとするスキージユニット23に対応するスキージ昇降シリンダ22の作動制御を行うことによってなされる。
【0024】
カメラユニット7の移動動作は制御装置8が図示しないアクチュエータ等から成るカメラ移動機構43(図1)の作動制御を行うことによってなされ、カメラユニット7が備える第1カメラ7a及び第2カメラ7bによる撮像動作の制御は制御装置8によってなされる。第1カメラ7a及び第2カメラ7bの撮像動作によって得られた画像データは制御装置8に入力される(図1)。
【0025】
このような構成のスクリーン印刷機1では、基板2の上面に接触されたマスク5上でスキージユニット23を水平面内方向に移動させると(図6及び図7(a)中に示す矢印A)、スキージ32がマスク5に対して摺動し、マスク5上に供給されたペーストPsがスキージ32によって掻き寄せられてローリングする(図6及び図7(a)。これらの図中に示す矢印B)。これによりマスク5の開口部5aにペーストPsが充填されて基板2上の電極2aにペーストPsが転写される。そして、その後にマスク5から基板2を離間させる版離れを行うと、基板2の電極2aにペーストPsが印刷された状態となる。
【0026】
このようなスクリーン印刷の過程において、スキージユニット23が(すなわちスキージ32が)マスク5上で摺動されるとスキージ32を両端側から挟む位置に設けられた一対の漏れ防止部材33もマスク5上を摺動するので、マスク5上でローリング中のペーストPsは、スキージ32の中央からスキージ32の幅方向(X軸方向)に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出ようとするところを一対の漏れ防止部材33によって堰き止められる。このため、マスク5上をローリング中のペーストPsはスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出る(流出する)ことが防止され、ペーストPsは効率的にマスク5の開口部5a内に充填される。
【0027】
ここで、スキージ32及び一対の漏れ防止部材33によって区画される領域内でローリングするペーストPsは、全体としてスキージ32の長手方向(X軸方向)に延びた柱形状とみなすことができるが、その両端部(X軸方向の両端部)には漏れ防止部材33からの摩擦抵抗が作用し、これがペーストPs全体のスムーズなローリングの妨げとなるところである。
【0028】
しかし、ローリング中の柱形状のペーストPsでは、図7(a),(b)に示すように、マスク5の上面から一定の高さ(図7(b)中に示す高さH)までの部分にはスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方(幅方向の外側)へ向けて流れ出ようとする力が働く(したがって漏れ防止部材33から反力を受ける)ものの、高さHよりも上の部分には、スキージ32の端部からその側方へ向けて流れ出ようとする力は働かず(図7(b)中に示す水平方向に向く複数の矢印参照)、したがって高さHよりも上の部分の側方に漏れ防止部材33が存在していなくても、ローリング中のペーストPsがスキージ32の側方に流れ出ることはない。
【0029】
すなわち、スキージ32をその両端側から挟む位置に設けられてスキージ32とともにマスク5上を摺動し、マスク5上でローリング中のペーストPsがスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出る(流出する)ことを防止する漏れ防止部材33を備えたスクリーン印刷機1では、漏れ防止部材33の高さ(詳細には水平部33bの高さ。図7(a))Hmは、ローリング中のペーストPsがスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に流れ出ようとする力がなくなる高さH、換言すると、ペーストPsの流出を防止するためにローリング中のペーストPsの幅方向の側方を支持しなければならない高さH(以下、最小漏れ防止高さHsと称する。図7(b))以上の高さを有しているのであれば、必ずしもローリング中のペーストPsの高さ(最大高さ)H0(図7(a))を超えている必要はない。
【0030】
このため本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、実際にマスク5上でペーストPsをローリングさせる等してペーストPsの最小漏れ防止高さHsを求め、その求めた最小漏れ防止高さHsよりも高く、かつ、ローリング中のペーストPsの高さH0よりも低くなる高さHmを有するものとして作製された漏れ防止部材33がスキージホルダ31に取り付けられている。
【0031】
このようにして作製された漏れ防止部材33を備えたスキージユニット23を用いたスクリーン印刷では、マスク5上のペーストPsの高さH0はマスク5の上面からの漏れ防止部材33の高さHmよりも高く、かつ漏れ防止部材33の高さHmよりも高い位置に位置するペーストPsが漏れ防止部材33を超えてスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に流出しない状態でペーストPsがローリングされることになる。
【0032】
このようなスクリーン印刷では、漏れ防止部材33によるスキージ32からのペーストPsの漏れを防止しつつ、ローリング中のペーストPsの両端部に作用する漏れ防止部材33からの摩擦抵抗を小さくしてペーストPs全体のスムーズなローリングを実現することができる。
【0033】
次に、図8を参照して本実施の形態におけるスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法を説明する。スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法では、制御装置8は先ず、基板保持移動ユニット4の作動制御を行い、搬送コンベア16によってスクリーン印刷機1の上流工程側の装置から送られてきた基板2を受け取って搬入し、作業位置に位置決めする。そして、基板2を作業位置に位置決めしたら、一対のクランプ部材17によって基板2の両側部を挟んでクランプするとともに、下受け部材18を上昇させて基板2の下面に接触させ、基板2を保持する(図8に示すステップST1)。
【0034】
制御装置8は基板2を保持したら、カメラ移動機構43の作動制御を行ってカメラユニット7を基板保持移動ユニット4に保持されている基板2とマスク5の間の領域に進出させたうえで、第1カメラ7aによって基板側マーク2mを上方から撮像するとともに、第2カメラ7bによってマスク側マーク5mを上方から撮像する。そして、得られた両画像の画像認識を行って基板2とマスク5の位置関係を算出し、基板側マーク2mがマスク側マーク5mの直下に位置するように基板保持移動ユニット4を移動させてマスク5に対する基板2の位置合わせを行う(図8に示すステップST2)。
【0035】
制御装置8は、マスク5に対する基板2の位置合わせを行ったら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行ってベース部14を上昇させ、基板2の上面をマスク5の下面に接触させる。これにより基板2上の電極2aとマスク5の開口部5aが合致した状態となる(図8に示すステップST3)。
【0036】
このようにステップST3は、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法において、マスク5を基板2の上面に接触させる工程となっている。
【0037】
制御装置8は、基板2の上面をマスク5の下面に接触させたら、オペレータによるマスク5上へのペーストPsの供給待ちの状態に入り、オペレータが別途用意したペースト供給装置によってマスク5上にペーストPsの供給を行って所定の操作を行うと、制御装置8はスキージング機構6によるペーストPsのスキージング作業を行う(図8に示すステップST4)。
【0038】
このスキージング作業は、スキージベース21に対して下降させた一方のスキージユニット23が備えるスキージ32の下端部をマスク5上に当接させたうえでスキージベース21を水平方向(Y軸方向)に移動させ、スキージ32をマスク5上で摺動させることによって行う(図1参照)。これによりペーストPsはマスク5上でローリングし、ペーストPsがマスク5の開口部5a内に充填される。
【0039】
ここで、スキージベース21をスクリーン印刷機1の前方から後方に(図1及び図2では紙面の右方から左方に)移動させるときには前方に位置するスキージ32をマスク5上に当接させてスキージングを行い、スキージベース21をスクリーン印刷機1の後方から前方に(図1及び図2では紙面の左方から右方に)移動させるときには後方に位置するスキージ32をマスク5上に当接させてスキージングを行う。
【0040】
このようにスキージ32は、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1において、基板2の上面に接触されたマスク5に対して摺動し、マスク5上に供給されたペーストPsをマスク5上でローリングさせることによって基板2にペーストPsを転写させるものとなっている。
【0041】
また、ステップST4は、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法において、基板2の上面に接触されたマスク5に対してスキージ32を摺動させ、マスク5上に供給されたペーストPsをスキージ32によりマスク5上でローリングさせることによって基板2にペーストPsを転写させる工程となっている。
【0042】
制御装置8は上記スキージング作業が終了したら、ベース部14を下降させて、基板2をマスク5から離間させる。これにより版離れが行われ、基板2上の電極2aにペーストPsが印刷された状態となる(図8に示すステップST5)。
【0043】
制御装置8は上記版離れが終了したら、クランプ部材17による基板2のクランプを解除したうえで下受け部材18を下降させることによって基板2の保持を解除する(図8に示すステップST6)。そして、搬送コンベア16を作動させて、スクリーン印刷機1の下流工程側の装置(例えば基板2に部品を装着する部品装着機)に搬出する(図8に示すステップST7)。これにより基板2の1枚当たりのスクリーン印刷工程が終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びスクリーン印刷方法では、マスク5上のペーストPsの高さがマスク5の上面からの漏れ防止部材33の高さHmよりも高く、漏れ防止部材33の高さHmよりも高い位置に位置するペーストPsが漏れ防止部材33を超えてスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に流出しない状態でペーストPsのローリングを行うようになっており、漏れ防止部材33によるスキージ32からのペーストPsの漏れを防止しつつ、ローリング中のペーストPsの両端部に作用する漏れ防止部材33からの摩擦抵抗を小さくすることができるので、ペーストPs全体のスムーズなローリングを実現することができ、これにより印刷不良の発生を低減することができる。
【0045】
なお、上述した漏れ防止部材33の形状は一例に過ぎず、スキージ32とともにマスク5上を摺動してマスク5上でローリング中のペーストPsがスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出ることを防止することができるものであれば、その形状は限定されない。
【0046】
また、本実施の形態では、一対の漏れ防止部材33が、スキージ32をその長手方向(X軸方向)の両端側から挟む位置に設けられた構成となっていたが、一対の漏れ防止部材33は、スキージ32の端部よりも中央側に寄った位置に設けられているのであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
ペーストのスムーズなローリングを実現して印刷不良の発生を低減し得るようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供する。
【符号の説明】
【0048】
1 スクリーン印刷機
2 基板
5 マスク
31 スキージホルダ
32 スキージ
33 漏れ防止部材
Ps ペースト
Hm 漏れ防止部材の高さ
H0 ペーストの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスクに対して摺動し、マスク上に供給されたペーストをマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、
スキージを保持するスキージホルダに設けられ、スキージとともにマスク上を摺動してマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止する漏れ防止部材を有し、
マスク上のペーストの高さがマスクの上面からの漏れ防止部材の高さよりも高く、漏れ防止部材の高さよりも高い位置に位置するペーストが漏れ防止部材を超えてスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に流出しない状態でペーストのローリングを行うことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
マスクを基板の上面に接触させる工程と、基板の上面に接触されたマスクに対してスキージを摺動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによりマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させる工程とを含み、スキージを保持するスキージホルダに設けられた漏れ防止部材をスキージとともにマスク上を摺動させることによってマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止するようにしたスクリーン印刷方法であって、
マスク上のペーストの高さがマスクの上面からの漏れ防止部材の高さよりも高く、漏れ防止部材の高さよりも高い位置に位置するペーストが漏れ防止部材を超えてスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に流出しない状態でペーストのローリングを行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−171154(P2012−171154A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34089(P2011−34089)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】