スクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法
【課題】マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき検出されるスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得する一方、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が同じ所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する。そして、これら両下降量S1,S2の差分からマスク13のテンションを算出する。
【解決手段】一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき検出されるスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得する一方、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が同じ所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する。そして、これら両下降量S1,S2の差分からマスク13のテンションを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に半田等のペーストの印刷を行うスクリーン印刷機は、基板の電極の配置に応じた配置で設けられた開口部を有するマスクを電極と開口部とが合致するようにして基板をマスクに接触させた後、ペーストが供給されたマスク上でスキージを摺動させてペーストを掻き寄せることにより、マスクの開口部にペーストを押し込んで電極にペーストを転写させるようになっている。
【0003】
このようなスクリーン印刷機では、マスクは通常、矩形のマスク枠に周囲が固定された樹脂(例えばポリエステル)製のシート状部材の中央に基板の電極の配置に応じた開口部が設けられた薄厚の金属板が取り付けられて成り、マスク全体はマスク枠にシート状部材の四辺が支持されることによって生じるテンションによってほぼフラットな状態となっているが、マスクの使用回数が増えてくると、金属板の部分の自重や、基板との版離れのときに下方への引っ張り荷重を受けること等によってマスク全体のテンション(或いは金属板の部分の局部的なテンション)が低下し、版離れ時における基板のマスクの離間のタイミングが遅れて印刷不良が生じる場合がでてくる。このためスクリーン印刷作業を開始する前にはマスク全体のテンション(更には金属板の部分の局部的なテンション)を計測し、これらマスクのテンションの低下の度合いが所定の基準を超えた場合にはマスクの交換を行うようにしている。従来、このようなマスクのテンションの低下の度合いを調べる方法としては、例えば、基板に接触させる前のマスクに分銅を取り付けてマスクに一定の下方荷重を与え、その下方荷重の値とマスクの下方変位量との関係に基づいてマスクのテンションを求める方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−62996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにマスクに分銅を取り付けてマスクのテンションを求める場合には、マスクをスクリーン印刷機内とは異なる別の場所に移動させて専用のマスク保持治具によりマスクを保持して行う必要があり、作業性の面でも設備的な面でもコスト高となるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段と、一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得し、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する下降量取得手段と、下降量取得手段が取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出するテンション算出手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷機は、請求項1に記載のスクリーン印刷機であって、前記荷重測定手段は、スキージ軸とスキージとの間に介装された弾性体に取り付けられたロードセルから成る。
【0009】
請求項3に記載のスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法は、基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段とを備えたスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法であって、一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得する工程と、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する工程と、取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出する工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、スキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに検出されるスキージ軸の下降量(第1の下降量)と、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、スキージ軸の軸方向荷重が同じ所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに検出されるスキージ軸の下降量(第2の下降量)を求めてこれら両下降量の差分からマスクのテンション(マスク全体のテンション若しくは金属板の部分の局部的なテンション)を算出するようになっており、マスクのテンションの計測の間、マスクをスクリーン印刷機から取り外す必要がないので、マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の要部斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクホルダ及びマスクホルダに保持されたマスクの平面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージの近傍部分の斜視図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージの近傍部分の正面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作手順を示すメインルーチンのフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作手順を示すサブルーチンのフローチャート
【図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機のマスクのテンションの計測作業の手順の説明図
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機のマスクのテンションの計測作業の手順の説明図
【図10】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機のマスクのテンションの算出過程を説明するグラフ
【図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の手順の説明図
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の手順の説明図
【図13】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の手順の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、スクリーン印刷機1は、基板2上に設けられた多数の電極3のそれぞれに半田等のペーストPtをスクリーン印刷するスクリーン印刷作業を実行するものであり、基台10(図2参照)上に設けられた基板保持ユニット11、基板保持ユニット11の上方を水平かつ平行に延びるように基台10に対して固定して設けられた一対のマスクホルダ12、一対のマスクホルダ12によって水平姿勢に保持されたマスク13、マスク13の上方に設けられたスキージヘッド14、基板保持ユニット11とマスク13の間の領域に設けられたカメラユニット15、ディスプレイ装置16及びこれら各部の作動制御を行う制御装置17を備えている。
【0013】
図1及び図2において、基板保持ユニット11は、XYZロボットから成るユニット移動機構11Mによって水平面内(XY面内)の方向への移動(回転も含む)及び上下方向(Z軸方向)の移動が自在なユニットベース21、ユニットベース21に取り付けられて水平面内の一の方向(X軸方向)に基板2を搬送する一対のコンベア22、ユニットベース21に設けられた下受け部昇降シリンダ23によって昇降され、コンベア22によって所定の作業位置(図1に示す位置)に搬送及び位置決めされた基板2の両端がコンベア22から上方に離間するように基板2を下方から持ち上げ支持(図2参照)する下受け部24及び基板2の搬送方向(X軸方向)と直交する水平面内方向(Y軸方向)に開閉自在に設けられ、下受け部24により持ち上げ支持された基板2の両側部をY軸方向から挟んで(クランプして)保持する一対のクランプ部材25を備えている。
【0014】
図3において、マスク13は、矩形枠状のマスク枠13Wによって四辺が支持された樹脂(例えばポリエステル)製のシート状部材13aとこのシート状部材13aの中央に設けられた薄板の金属板13bから成り、金属板13bには基板2上の各電極3に対応した多数の開口部13h(図1も参照)と、基板2のひとつの対角線上に設けられた2つの基板側マーク2m(図1)に対応した2つのマスク側マーク13mが設けられている。マスク13は、X軸方向に対向して配置された一対のマスクホルダ12によってX軸方向に対向する2辺が下方から支持される(図1も参照)。
【0015】
図4及び図5において、スキージヘッド14は、図示しないアクチュエータ等から成るベース部材移動機構14M(図1)によってマスクホルダ12に保持されたマスク13に対して水平方向(Y軸方向)に移動されるプレート状のベース部材31、ベース部材31から下方に延び、ベース部材31に設けられたスキージ軸上下動機構32によってベース部材31に対して上下動が自在に設けられた一対の(2つの)スキージ軸33及び各スキージ軸33の下端に取り付けられたスキージユニット34を備えている。
【0016】
各スキージユニット34はスキージ軸33に取り付けられたスキージホルダ41及びスキージホルダ41に取り付けられてX軸方向に延びる薄板部材から成るスキージ42から成る。すなわち各スキージ42は、スキージホルダ41を介してスキージ軸33の下端に取り付けられており、一対のスキージ42はそれぞれのペースト掻き寄せ面42a(図2)をY軸方向に対向させている。
【0017】
スクリーン印刷機1の操作を行うオペレータ(図示せず)は通常、2つのスキージ42が対向する方向(Y軸方向)の一方側に位置しており、以下の説明では、オペレータが位置する側をスクリーン印刷機1の前方、その反対側をスクリーン印刷機1の後方とする。
【0018】
図4及び図5において、スキージホルダ41の上面のスキージ軸33を挟む位置には、一対のガイドロッド51が上下方向に延びて設けられている。これら一対のガイドロッド51はそれぞれベース部材31及びベース部材31の上面に設けられた筒状のロッド案内部31aを上下方向に貫通して延びている。
【0019】
図4及び図5において、各スキージ軸33はボール螺子から成り、ベース部材31及びベース部材31の上面に設けられた筒状のスキージ軸案内部31bを上下方向に貫通して延び、スキージ軸案内部31b内に設けられたベアリング31c(図5中に示す拡大図参照)によって上下軸回りに回転自在に保持されている。
【0020】
図4及び図5において、スキージ軸上下動機構32は、スキージ軸案内部31bの上方に設けられてスキージ軸33が上下方向に貫通して螺合して延びる筒状のナット部材61と、ナット部材61の上部に固定されてスキージ軸33が貫通して(遊嵌して)延びたリング状の従動プーリ62と、ベース部材31の上面に2つのスキージ軸案内部31bをX軸方向に挟む位置に設けられ、駆動軸63aを上方に向けて設けられた2つのスキージ軸駆動モータ63と、各スキージ軸駆動モータ63の駆動軸63aに取り付けられた2つの駆動プーリ64と、2つの駆動プーリ64のうちの一方と2つの従動プーリ62のうちの一方との間及び2つの駆動プーリ64のうちの他方と2つの従動プーリ62のうちの他方との間に掛け渡された2つの伝動ベルト65から成る。
【0021】
スキージ軸駆動モータ63の駆動軸63aの回転駆動により駆動プーリ64が回転すると、伝動ベルト65を介して従動プーリ62がその上下軸(この軸はスキージ軸33の上下軸と一致する)回りに回転してナット部材61が従動プーリ62と一体となって回転するので、スキージ軸33がナット部材61に対して(すなわちベース部材31に対して)昇降する。これによりスキージ軸33の下端に取り付けられたスキージホルダ41は、一対のガイドロッド51にガイドされてX軸方向に延びた姿勢のまま昇降し、これに伴ってスキージホルダ41に取り付けられたスキージ42が、X軸方向に延びた姿勢を保持したまま、ベース部材31に対して昇降する。なお、マスク13とベース部材31の上下方向の相対位置は変化しないので、各スキージ軸33をベース部材31に対して下降させることで、スキージ42をマスク13に上方から当接させることができる。
【0022】
上述のように、スキージ軸33の下端はスキージホルダ41の上面に取り付けられているが、図4及び図5に示すように、スキージ軸33とスキージホルダ41との間には起歪体としての弾性体66が介装されており、この弾性体66には歪みゲージ式のロードセルから成る荷重測定器67(荷重測定手段)が取り付けられている。この荷重測定器67は、スキージ42を介してスキージ軸33に上下方向の軸方向荷重(圧縮荷重又は引っ張り荷重)が作用すると、その荷重を受けて弾性変形する弾性体66の歪みから、スキージ軸33の軸方向荷重を測定(検出)する。
【0023】
図4及び図5に示すように、各スキージ軸駆動モータ63には、そのスキージ軸駆動モータ63の駆動軸63aの回転数(回転位置)から、スキージ軸33を下動させたときのスキージ軸33のベース部材31に対する下降量を検出するエンコーダから成る下降量検出器68(下降量検出手段)が設けられている(図1も参照)。
【0024】
図1及び図2において、カメラユニット15は撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ15aと撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ15bを備えて成る。カメラユニット15は、図示しないアクチュエータ等から成るカメラユニット移動機構15Mによって基板保持ユニット11とマスク13との間の領域を水平面内方向に移動される。
【0025】
基板保持ユニット11のコンベア22による基板2の搬送及び作業位置への位置決め動作、作業位置に位置した基板2に対する下受け部24による下受け動作及び一対のクランプ部材25によるクランプ動作は、制御装置17が前述の下受け部昇降シリンダ23を含むアクチュエータ等から成る基板保持機構71(図1)の作動制御を行うことによってなされ、基板2を保持した基板保持ユニット11の水平面内方向及び上下方向の移動動作は制御装置17が前述のユニット移動機構11Mの作動制御を行うことによってなされる。
【0026】
図1において、スキージヘッド14(ベース部材31)のY軸方向への往復移動動作は制御装置17が前述のベース部材移動機構14Mの作動制御を行うことによってなされ、各スキージ軸33の(したがってスキージユニット34の)ベース部材31に対する昇降動作は、制御装置17が2つのスキージ軸駆動モータ63の作動制御を行うことによってなされる。
【0027】
図1において、カメラユニット15の水平面内での移動動作は、制御装置17が前述のカメラユニット移動機構15Mの作動制御を行うことによってなされる。下方撮像カメラ15aによる撮像動作の制御と上方撮像カメラ15bによる撮像動作の制御はそれぞれ制御装置17によってなされ、下方撮像カメラ15aの撮像動作によって得られた画像データと上方撮像カメラ15bの撮像動作によって得られた画像データはそれぞれ制御装置17に送信されて制御装置17の画像認識部17aにおいて画像認識処理される。
【0028】
図1において、各荷重測定器67によって測定される2つのスキージ軸33の軸方向荷重の値も制御装置17に入力され、各下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33のベース部材31に対する下降量の値も制御装置17に入力される。
【0029】
次に、図6、図7のフローチャート及び図8〜図13の説明図を加えてスクリーン印刷機1の動作手順(基板2に対するスクリーン印刷作業及びスクリーン印刷作業の前に行われるマスク13のテンションの計測作業)について説明する。ここで、図6はスクリーン印刷機1の動作のメインルーチンのフローチャートであってスクリーン印刷作業の手順を示し、図7はそのメインルーチンにおけるサブルーチンのフローチャートであって、マスク13のテンションの計測作業(マスク13のテンションの計測方法)の手順を示す。
【0030】
スクリーン印刷機1の制御装置17は、基板2に対するスクリーン印刷作業を実行する前に、マスク13のテンションの計測作業を行う(図6に示すステップST1→図7に示すサブルーチン)。マスク13のテンションの計測では、制御装置17の下降量取得動作制御部17b(図1)は先ず、一対のクランプ部材25によって基板2を保持していない状態の基板保持ユニット11をユニット移動機構11Mによって上昇させて、一対のクランプ部材25の上面をマスク13の下面に下方から接触させる(図7に示すステップST21)。
【0031】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、一対のクランプ部材25の上面をマスク13の下面に接触させたら、ベース部材移動機構14Mの作動制御を行って一方のスキージ42が一方のクランプ部材25の直上に位置するようにしたうえで(図8(a))、そのスキージ42が取り付けられているスキージ軸33に対応するスキージ軸駆動モータ63の作動制御を行ってスキージ軸33を下動させ(図8(a)中に示す矢印A1)、スキージ42の下縁をその直下に位置する一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させる(図8(b)。図7に示すステップST22)。
【0032】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、スキージ42の下縁を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させたら、そのスキージ42が取り付けられたスキージ軸33の軸方向荷重を測定する荷重測定器67からの出力(スキージ軸33の軸方向荷重)が予め定めた所定の値P(図10)になるまでスキージ軸駆動モータ63を作動させてスキージ軸33を下動させ(図8(c)中に示す矢印A2)、そのとき(荷重測定器67からの出力が所定の値Pになったとき)のスキージ軸33の下降量を下降量検出器68の出力から読み取ってこれを第1の下降量S1(図10)として記憶部17c(図1)に記憶させる。すなわち、制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、スキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させて、そのときのスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得する(図7に示すステップST23)。
【0033】
このように本実施の形態において、ステップST23は、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得する工程となっている。
【0034】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、第1の下降量S1を取得したら、下動させていたスキージ軸33を上動させる(図7に示すステップST24)。そして、ユニット移動機構11Mを作動させて、一対のクランプ部材25の上面をマスク13の下面から離間させる(図7に示すステップST25)。
【0035】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、一対のクランプ部材25をマスク13から離間させたら、今度は一対のクランプ部材25をマスク13に接触させていない状態で、先ほど第1の下降量S1を取得したときのスキージ42がマスク13のほぼ中央の直上に位置するようにスキージヘッド14を移動させたうえで(図9(a))、そのスキージ42が取り付けられているスキージ軸33に対応するスキージ軸駆動モータ63の作動制御を行ってスキージ軸33を下動させ(図9(a)中に示す矢印B1)、スキージ42の下縁をマスク13の中央部に接触させる(図9(b)。図7に示すステップST26)。
【0036】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、スキージ42の下縁をマスク13の中央部に接触させたら、そのスキージ42が取り付けられたスキージ軸33の軸方向荷重を測定する荷重測定器67からの出力(スキージ軸33の軸方向荷重)がステップST23の場合と同じ所定の値Pになるまでスキージ軸駆動モータ63を作動させてスキージ軸33を下動させ(図9(c)。図中に示す矢印B2)、そのとき(荷重測定器67からの出力が所定の値Pになったとき)のスキージ軸33の下降量を下降量検出器68の出力から読み取ってこれを第2の下降量S2(図10)として記憶部17cに記憶させる。すなわち、スキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させて、そのときのスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する(図7に示すステップST27)。
【0037】
このように本実施の形態において、ステップST27は、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する工程となっている。
【0038】
なお、第1の下降量S1を取得するときにスキージ軸33に作用する軸方向荷重と第2の下降量S2を取得するときにスキージ軸33に作用する軸方向荷重は同じであるが、第2の下降量S2を取得する際、マスク13はスキージ42に押されて下方に撓むことから、第2の下降量S2は第1の下降量S1よりも大きくなる。制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、第2の下降量S2を取得したら、下動させていたスキージ軸33を上動させる(図7に示すステップST28)。
【0039】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bが、第2の下降量S2を取得した後、下動させていたスキージ軸33を上動させたら、制御装置17のテンション算出部17d(図1)は、下降量取得動作制御部17bがステップST23で取得して記憶部17cに記憶させた第1の下降量S1と、下降量取得動作制御部17bがステップST27で取得して記憶部17cに記憶させた第2の下降量S2との差分から、マスク13のテンションを算出する(図7に示すステップST29)。これにより、マスク13のテンションの値TがT=S2−S1という下方撓みの量で求められる(図10)。
【0040】
このように本実施の形態において、ステップST28は、取得した第1の下降量S1と第2の下降量S2との差分からマスク13のテンションを算出する工程となっている。
【0041】
制御装置17の記憶部17cには、マスク13のテンションの正常範囲の上限値(T0とする)が記憶されており、制御装置17は、ステップST29で算出したマスク13のテンションの値Tをマスク13のテンションの正常範囲の上限値T0と比較し、算出したマスク13のテンションが正常であるかどうかの判断を行う(図7に示すステップST30)。この判断では、算出したマスク13のテンションが正常範囲の上限値T0以下であれば正常と判断し、算出したマスク13のテンションの値Tが上限値T0を超えていれば非正常と判断する。
【0042】
制御装置17は、マスク13のテンションが正常であると判断した場合には、前述のディスプレイ装置16にマスク13のテンションが正常である旨の報知を行ったうえで(図7に示すステップST31)、メインルーチンに戻る。
【0043】
一方、制御装置17は、マスク13のテンションが非正常であると判断した場合には、ディスプレイ装置16にマスク13のテンションが非正常である旨の報知を行ったうえで(図7に示すステップST32)、待機状態に入る(図7に示すステップST33)。そして、制御装置17は、ディスプレイ装置16においてマスク13のテンションが非正常である旨の報知を受けたオペレータがマスク13の交換を行ったうえで操作する動作再開ボタン69(図1)の操作信号の出力に基づいて、オペレータが動作再開ボタン69の操作を行ったかどうかの判断を一定時間おきに繰り返し実行する(図7に示すステップST34)。その結果、制御装置17は、オペレータが動作再開ボタン69の操作を行ったと判断した場合には、ステップST21に戻ってマスク13のテンションの計測を再実行する。
【0044】
これにより、マスク13のテンションが非正常な状態のまま(下方撓みの量が大きいまま)、スクリーン印刷作業が実行されて不良基板が生産されることが防止される。
【0045】
このように、本実施の形態において、制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得し、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が同じ所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する下降量取得手段となっている。
【0046】
また、制御装置17のテンション算出部17dは、下降量取得手段としての下降量取得動作制御部17bが取得した第1の下降量S1と第2の下降量S2との差分からマスク13のテンションを算出するテンション算出手段となっている。
【0047】
上記のようにして、制御装置17の下降量取得動作制御部17bとテンション算出部17dによるマスク13のテンションの計測(ステップST1)が終了したら、制御装置17の転写動作制御部17e(図1)は、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置等(図示せず)から基板2が送られてきたことを検知したところで基板保持ユニット11のコンベア22を作動させて、スクリーン印刷機1内に基板2を搬入する(図6に示すステップST2)。
【0048】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2の搬入を行ったら、基板保持機構71の作動制御を行って基板2を保持する(図6に示すステップST3)。基板2の保持は、具体的には、下受け部昇降シリンダ23で下受け部24を押し上げて基板2をコンベア22から浮いた状態に持ち上げる一方(図11(a)中に示す矢印C1)、一対のクランプ部材25を閉じる方向に駆動して基板2の両端を挟み込む(図11(a)中に示す矢印D1)ことによって行う(図11(a))。
【0049】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2を保持したら、カメラユニット移動機構15Mの作動制御を行い、下方撮像カメラ15aを基板2に設けられた基板側マーク2mの直上に位置させて下方撮像カメラ15aに基板側マーク2mの撮像を行わせる一方、上方撮像カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側マーク13mの直下に位置させて上方撮像カメラ15bにマスク側マーク13mの撮像を行わせる。そして制御装置17の転写動作制御部17eは、得られた基板側マーク2mの画像データから基板2の位置を把握するとともに、得られたマスク側マーク13mの画像データからマスク13の位置を把握し、基板保持ユニット11を水平面内方向に移動させ、基板側マーク2mとマスク側マーク13mとが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置合わせを行う(図6に示すステップST4)。
【0050】
制御装置17の転写動作制御部17eは、マスク13に対する基板2の位置合わせが終わったら、ユニット移動機構11Mの作動制御を行って基板保持ユニット11を基台10に対して上昇させ(図11(b)中に示す矢印E1)、基板2を保持した一対のクランプ部材25がマスク13の下面に相対的に下方から押し当てられるようにすることにより、一対のクランプ部材25及び基板2それぞれの上面をマスク13の下面に接触させる(図11(b)。図6に示すステップST5)。これにより基板2上の電極3とマスク13の開口部13hとが合致した状態となる。
【0051】
なお、このように一対のクランプ部材25及び基板2それぞれの上面がマスク13の下面に接触した状態では、マスク13上には、コンベア22による基板2の搬送方向(X軸方向)と直交する水平面内方向(Y軸方向)において、基板2と接触した領域(基板2上のマスク領域R1)と、各クランプ部材25と接触した2つの領域(クランプ部材25上のマスク領域R2)とが形成される。
【0052】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2をマスク13に接触させたら、ディスプレイ装置16に、オペレータにペーストPtの供給を促すメッセージを表示する(図6に示すステップST6)。これに対してオペレータは、現在、マスク13上に残っているペーストPtを目視し、そのペーストPtの量に基づいてペーストPtの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行う。そして、ペーストPtの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ80(図12(a))により、マスク13上にペーストPtの供給を行う。そして、ペーストPtの供給が終わったら、前述の動作再開ボタン69の操作を行う。オペレータは、ペーストPtの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタン69の操作を行う。
【0053】
制御装置17の転写動作制御部17eは、ステップST6において、ディスプレイ装置16にペーストPtの供給を促すメッセージを表示した後、動作再開ボタン69の操作がなされたか否かの判断を一定時間おきに行い(図6に示すステップST7)、動作再開ボタン69からの信号出力に基づいて、オペレータによって動作再開ボタン69の操作がなされたことを検知したときには、スキージヘッド14を一対のクランプ部材25の一方の上方に位置させたうえで、2つのスキージ42のうちの一方を下降させて、そのスキージ42の下縁をクランプ部材25と接触しているマスク13の上面(クランプ部材25上のマスク領域R2)に当接させる(図6に示すステップST8)。
【0054】
なお、このとき下降させる(マスク13に当接させる)スキージ42は、スキージヘッド14を前側のクランプ部材25の上方に位置させたときには前側のスキージ42であり、スキージヘッド14を後側のクランプ部材25の上方に位置させたときには後側のスキージ42である。
【0055】
制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ軸33の下動によってクランプ部材25上のマスク領域R2の上面にスキージ42を当接させたら、ベース部材移動機構14Mを作動させて、スキージ42をマスク13の上面に当接させた状態でベース部材31を(すなわちスキージ42を)マスク13に対して水平方向(Y軸方向)に移動させることにより(図12(b)中に示す矢印F)、マスク13上に供給したペーストPtをスキージ42によって掻き寄せてマスク13の開口部13h内に押し込み、電極3にペーストPtを転写させる(図6に示すステップST9)。
【0056】
このように制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ軸33の下動によってマスク13の上面にスキージ42を当接させた状態でベース部材31をマスク13に対して水平方向に移動させることにより、マスク13上に供給されたペーストPtをスキージ42で掻き寄せて基板2に転写させる転写動作制御手段となっている。
【0057】
このステップST9では、制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ42を、一方のクランプ部材25上のマスク領域R2から基板2上のマスク領域R1を通って他方のクランプ部材25上のマスク領域R2まで移動させる。具体的には、前側のスキージ42については、前側のクランプ部材25上のマスク領域R2から後側のクランプ部材25上のマスク領域R2まで移動させ、後側のスキージ42については、後側のクランプ部材25上のマスク領域R2から前側のクランプ部材25上のマスク領域R2まで移動させる。
【0058】
制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ42が一方のクランプ部材25上のマスク領域R1から他方のクランプ部材25上のマスク領域R2に達してペーストPtの転写が終了したことを検知したら、ベース部材31の移動を停止させたうえで、マスク13に当接させていたスキージ42のスキージ軸33をベース部材31に対して上動させてスキージ42をマスク13から離間させる(図6に示すステップST10)。
【0059】
制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ42をマスク13から離間させたら、ユニット移動機構11Mを作動させて基板保持ユニット11を下降させ(図13(a)中に示す矢印E2)、マスク13から基板2及び一対のクランプ部材25を離間させて版離れを行う(図13(a)。図6に示すステップST11)。
【0060】
制御装置17の転写動作制御部17eは、版離れが終了したら、基板保持機構71を作動させて一対のクランプ部材25を開かせたうえで(図13(b)中に示す矢印D2)、下受け部24を下降させて(図13(b)中に示す矢印C2)、基板2の両端を一対のコンベア22上に降ろす(図13(b))。これにより基板保持ユニット11による基板2の保持が解除される(図6に示すステップST12)。
【0061】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2の保持を解除したら、ユニット移動機構11Mを作動させて基板保持ユニット11を水平面内で移動させ、コンベア22の向きを整えたうえで、コンベア22を作動させて基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図6に示すステップST13)。
【0062】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2を搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図6に示すステップST14)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST2に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0063】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷機1のマスク13のテンション計測方法)によれば、マスク13全体のテンションを計測することができるが、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態で、スキージ42を一対のクランプ部材25と接触していない部分のマスク13(基板2上のマスク領域R1)に接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得するようにすることによって、金属板13bの部分の局部的なテンションを計測することができる。これは、具体的には、マスク13のテンション計測作業のサブルーチン(図7)のステップST25で、一対のクランプ部材25をマスク13から離間させることなく(ステップST25を実行することなく)ステップST26以下の工程を実行すれば実現できる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、スキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに検出されるスキージ軸33の下降量(第1の下降量S1)と、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、スキージ軸33の軸方向荷重が同じ所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに検出されるスキージ軸33の下降量(第2の下降量S2)を求めてこれら両下降量S1,S2の差分からマスク13のテンション(マスク13全体のテンション若しくは金属板13bの部分の局部的なテンション)を算出するようになっており、マスク13のテンションの計測の間、マスク13をスクリーン印刷機1から取り外す必要がないので、マスク13のテンションを簡便かつ迅速に求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法を提供する。
【符号の説明】
【0066】
1 スクリーン印刷機
2 基板
13 マスク
17b 下降量取得動作制御部(下降量取得手段)
17d テンション算出部(テンション算出手段)
17e 転写動作制御部(転写動作制御手段)
25 クランプ部材
31 ベース部材
33 スキージ軸
42 スキージ
66 弾性体
67 荷重測定器(荷重測定手段)
68 下降量検出器(下降量検出手段)
Pt ペースト
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に半田等のペーストの印刷を行うスクリーン印刷機は、基板の電極の配置に応じた配置で設けられた開口部を有するマスクを電極と開口部とが合致するようにして基板をマスクに接触させた後、ペーストが供給されたマスク上でスキージを摺動させてペーストを掻き寄せることにより、マスクの開口部にペーストを押し込んで電極にペーストを転写させるようになっている。
【0003】
このようなスクリーン印刷機では、マスクは通常、矩形のマスク枠に周囲が固定された樹脂(例えばポリエステル)製のシート状部材の中央に基板の電極の配置に応じた開口部が設けられた薄厚の金属板が取り付けられて成り、マスク全体はマスク枠にシート状部材の四辺が支持されることによって生じるテンションによってほぼフラットな状態となっているが、マスクの使用回数が増えてくると、金属板の部分の自重や、基板との版離れのときに下方への引っ張り荷重を受けること等によってマスク全体のテンション(或いは金属板の部分の局部的なテンション)が低下し、版離れ時における基板のマスクの離間のタイミングが遅れて印刷不良が生じる場合がでてくる。このためスクリーン印刷作業を開始する前にはマスク全体のテンション(更には金属板の部分の局部的なテンション)を計測し、これらマスクのテンションの低下の度合いが所定の基準を超えた場合にはマスクの交換を行うようにしている。従来、このようなマスクのテンションの低下の度合いを調べる方法としては、例えば、基板に接触させる前のマスクに分銅を取り付けてマスクに一定の下方荷重を与え、その下方荷重の値とマスクの下方変位量との関係に基づいてマスクのテンションを求める方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−62996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにマスクに分銅を取り付けてマスクのテンションを求める場合には、マスクをスクリーン印刷機内とは異なる別の場所に移動させて専用のマスク保持治具によりマスクを保持して行う必要があり、作業性の面でも設備的な面でもコスト高となるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段と、一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得し、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する下降量取得手段と、下降量取得手段が取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出するテンション算出手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷機は、請求項1に記載のスクリーン印刷機であって、前記荷重測定手段は、スキージ軸とスキージとの間に介装された弾性体に取り付けられたロードセルから成る。
【0009】
請求項3に記載のスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法は、基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段とを備えたスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法であって、一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得する工程と、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する工程と、取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出する工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、スキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに検出されるスキージ軸の下降量(第1の下降量)と、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、スキージ軸の軸方向荷重が同じ所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに検出されるスキージ軸の下降量(第2の下降量)を求めてこれら両下降量の差分からマスクのテンション(マスク全体のテンション若しくは金属板の部分の局部的なテンション)を算出するようになっており、マスクのテンションの計測の間、マスクをスクリーン印刷機から取り外す必要がないので、マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の要部斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクホルダ及びマスクホルダに保持されたマスクの平面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージの近傍部分の斜視図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージの近傍部分の正面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作手順を示すメインルーチンのフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作手順を示すサブルーチンのフローチャート
【図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機のマスクのテンションの計測作業の手順の説明図
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機のマスクのテンションの計測作業の手順の説明図
【図10】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機のマスクのテンションの算出過程を説明するグラフ
【図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の手順の説明図
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の手順の説明図
【図13】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の手順の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、スクリーン印刷機1は、基板2上に設けられた多数の電極3のそれぞれに半田等のペーストPtをスクリーン印刷するスクリーン印刷作業を実行するものであり、基台10(図2参照)上に設けられた基板保持ユニット11、基板保持ユニット11の上方を水平かつ平行に延びるように基台10に対して固定して設けられた一対のマスクホルダ12、一対のマスクホルダ12によって水平姿勢に保持されたマスク13、マスク13の上方に設けられたスキージヘッド14、基板保持ユニット11とマスク13の間の領域に設けられたカメラユニット15、ディスプレイ装置16及びこれら各部の作動制御を行う制御装置17を備えている。
【0013】
図1及び図2において、基板保持ユニット11は、XYZロボットから成るユニット移動機構11Mによって水平面内(XY面内)の方向への移動(回転も含む)及び上下方向(Z軸方向)の移動が自在なユニットベース21、ユニットベース21に取り付けられて水平面内の一の方向(X軸方向)に基板2を搬送する一対のコンベア22、ユニットベース21に設けられた下受け部昇降シリンダ23によって昇降され、コンベア22によって所定の作業位置(図1に示す位置)に搬送及び位置決めされた基板2の両端がコンベア22から上方に離間するように基板2を下方から持ち上げ支持(図2参照)する下受け部24及び基板2の搬送方向(X軸方向)と直交する水平面内方向(Y軸方向)に開閉自在に設けられ、下受け部24により持ち上げ支持された基板2の両側部をY軸方向から挟んで(クランプして)保持する一対のクランプ部材25を備えている。
【0014】
図3において、マスク13は、矩形枠状のマスク枠13Wによって四辺が支持された樹脂(例えばポリエステル)製のシート状部材13aとこのシート状部材13aの中央に設けられた薄板の金属板13bから成り、金属板13bには基板2上の各電極3に対応した多数の開口部13h(図1も参照)と、基板2のひとつの対角線上に設けられた2つの基板側マーク2m(図1)に対応した2つのマスク側マーク13mが設けられている。マスク13は、X軸方向に対向して配置された一対のマスクホルダ12によってX軸方向に対向する2辺が下方から支持される(図1も参照)。
【0015】
図4及び図5において、スキージヘッド14は、図示しないアクチュエータ等から成るベース部材移動機構14M(図1)によってマスクホルダ12に保持されたマスク13に対して水平方向(Y軸方向)に移動されるプレート状のベース部材31、ベース部材31から下方に延び、ベース部材31に設けられたスキージ軸上下動機構32によってベース部材31に対して上下動が自在に設けられた一対の(2つの)スキージ軸33及び各スキージ軸33の下端に取り付けられたスキージユニット34を備えている。
【0016】
各スキージユニット34はスキージ軸33に取り付けられたスキージホルダ41及びスキージホルダ41に取り付けられてX軸方向に延びる薄板部材から成るスキージ42から成る。すなわち各スキージ42は、スキージホルダ41を介してスキージ軸33の下端に取り付けられており、一対のスキージ42はそれぞれのペースト掻き寄せ面42a(図2)をY軸方向に対向させている。
【0017】
スクリーン印刷機1の操作を行うオペレータ(図示せず)は通常、2つのスキージ42が対向する方向(Y軸方向)の一方側に位置しており、以下の説明では、オペレータが位置する側をスクリーン印刷機1の前方、その反対側をスクリーン印刷機1の後方とする。
【0018】
図4及び図5において、スキージホルダ41の上面のスキージ軸33を挟む位置には、一対のガイドロッド51が上下方向に延びて設けられている。これら一対のガイドロッド51はそれぞれベース部材31及びベース部材31の上面に設けられた筒状のロッド案内部31aを上下方向に貫通して延びている。
【0019】
図4及び図5において、各スキージ軸33はボール螺子から成り、ベース部材31及びベース部材31の上面に設けられた筒状のスキージ軸案内部31bを上下方向に貫通して延び、スキージ軸案内部31b内に設けられたベアリング31c(図5中に示す拡大図参照)によって上下軸回りに回転自在に保持されている。
【0020】
図4及び図5において、スキージ軸上下動機構32は、スキージ軸案内部31bの上方に設けられてスキージ軸33が上下方向に貫通して螺合して延びる筒状のナット部材61と、ナット部材61の上部に固定されてスキージ軸33が貫通して(遊嵌して)延びたリング状の従動プーリ62と、ベース部材31の上面に2つのスキージ軸案内部31bをX軸方向に挟む位置に設けられ、駆動軸63aを上方に向けて設けられた2つのスキージ軸駆動モータ63と、各スキージ軸駆動モータ63の駆動軸63aに取り付けられた2つの駆動プーリ64と、2つの駆動プーリ64のうちの一方と2つの従動プーリ62のうちの一方との間及び2つの駆動プーリ64のうちの他方と2つの従動プーリ62のうちの他方との間に掛け渡された2つの伝動ベルト65から成る。
【0021】
スキージ軸駆動モータ63の駆動軸63aの回転駆動により駆動プーリ64が回転すると、伝動ベルト65を介して従動プーリ62がその上下軸(この軸はスキージ軸33の上下軸と一致する)回りに回転してナット部材61が従動プーリ62と一体となって回転するので、スキージ軸33がナット部材61に対して(すなわちベース部材31に対して)昇降する。これによりスキージ軸33の下端に取り付けられたスキージホルダ41は、一対のガイドロッド51にガイドされてX軸方向に延びた姿勢のまま昇降し、これに伴ってスキージホルダ41に取り付けられたスキージ42が、X軸方向に延びた姿勢を保持したまま、ベース部材31に対して昇降する。なお、マスク13とベース部材31の上下方向の相対位置は変化しないので、各スキージ軸33をベース部材31に対して下降させることで、スキージ42をマスク13に上方から当接させることができる。
【0022】
上述のように、スキージ軸33の下端はスキージホルダ41の上面に取り付けられているが、図4及び図5に示すように、スキージ軸33とスキージホルダ41との間には起歪体としての弾性体66が介装されており、この弾性体66には歪みゲージ式のロードセルから成る荷重測定器67(荷重測定手段)が取り付けられている。この荷重測定器67は、スキージ42を介してスキージ軸33に上下方向の軸方向荷重(圧縮荷重又は引っ張り荷重)が作用すると、その荷重を受けて弾性変形する弾性体66の歪みから、スキージ軸33の軸方向荷重を測定(検出)する。
【0023】
図4及び図5に示すように、各スキージ軸駆動モータ63には、そのスキージ軸駆動モータ63の駆動軸63aの回転数(回転位置)から、スキージ軸33を下動させたときのスキージ軸33のベース部材31に対する下降量を検出するエンコーダから成る下降量検出器68(下降量検出手段)が設けられている(図1も参照)。
【0024】
図1及び図2において、カメラユニット15は撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ15aと撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ15bを備えて成る。カメラユニット15は、図示しないアクチュエータ等から成るカメラユニット移動機構15Mによって基板保持ユニット11とマスク13との間の領域を水平面内方向に移動される。
【0025】
基板保持ユニット11のコンベア22による基板2の搬送及び作業位置への位置決め動作、作業位置に位置した基板2に対する下受け部24による下受け動作及び一対のクランプ部材25によるクランプ動作は、制御装置17が前述の下受け部昇降シリンダ23を含むアクチュエータ等から成る基板保持機構71(図1)の作動制御を行うことによってなされ、基板2を保持した基板保持ユニット11の水平面内方向及び上下方向の移動動作は制御装置17が前述のユニット移動機構11Mの作動制御を行うことによってなされる。
【0026】
図1において、スキージヘッド14(ベース部材31)のY軸方向への往復移動動作は制御装置17が前述のベース部材移動機構14Mの作動制御を行うことによってなされ、各スキージ軸33の(したがってスキージユニット34の)ベース部材31に対する昇降動作は、制御装置17が2つのスキージ軸駆動モータ63の作動制御を行うことによってなされる。
【0027】
図1において、カメラユニット15の水平面内での移動動作は、制御装置17が前述のカメラユニット移動機構15Mの作動制御を行うことによってなされる。下方撮像カメラ15aによる撮像動作の制御と上方撮像カメラ15bによる撮像動作の制御はそれぞれ制御装置17によってなされ、下方撮像カメラ15aの撮像動作によって得られた画像データと上方撮像カメラ15bの撮像動作によって得られた画像データはそれぞれ制御装置17に送信されて制御装置17の画像認識部17aにおいて画像認識処理される。
【0028】
図1において、各荷重測定器67によって測定される2つのスキージ軸33の軸方向荷重の値も制御装置17に入力され、各下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33のベース部材31に対する下降量の値も制御装置17に入力される。
【0029】
次に、図6、図7のフローチャート及び図8〜図13の説明図を加えてスクリーン印刷機1の動作手順(基板2に対するスクリーン印刷作業及びスクリーン印刷作業の前に行われるマスク13のテンションの計測作業)について説明する。ここで、図6はスクリーン印刷機1の動作のメインルーチンのフローチャートであってスクリーン印刷作業の手順を示し、図7はそのメインルーチンにおけるサブルーチンのフローチャートであって、マスク13のテンションの計測作業(マスク13のテンションの計測方法)の手順を示す。
【0030】
スクリーン印刷機1の制御装置17は、基板2に対するスクリーン印刷作業を実行する前に、マスク13のテンションの計測作業を行う(図6に示すステップST1→図7に示すサブルーチン)。マスク13のテンションの計測では、制御装置17の下降量取得動作制御部17b(図1)は先ず、一対のクランプ部材25によって基板2を保持していない状態の基板保持ユニット11をユニット移動機構11Mによって上昇させて、一対のクランプ部材25の上面をマスク13の下面に下方から接触させる(図7に示すステップST21)。
【0031】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、一対のクランプ部材25の上面をマスク13の下面に接触させたら、ベース部材移動機構14Mの作動制御を行って一方のスキージ42が一方のクランプ部材25の直上に位置するようにしたうえで(図8(a))、そのスキージ42が取り付けられているスキージ軸33に対応するスキージ軸駆動モータ63の作動制御を行ってスキージ軸33を下動させ(図8(a)中に示す矢印A1)、スキージ42の下縁をその直下に位置する一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させる(図8(b)。図7に示すステップST22)。
【0032】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、スキージ42の下縁を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させたら、そのスキージ42が取り付けられたスキージ軸33の軸方向荷重を測定する荷重測定器67からの出力(スキージ軸33の軸方向荷重)が予め定めた所定の値P(図10)になるまでスキージ軸駆動モータ63を作動させてスキージ軸33を下動させ(図8(c)中に示す矢印A2)、そのとき(荷重測定器67からの出力が所定の値Pになったとき)のスキージ軸33の下降量を下降量検出器68の出力から読み取ってこれを第1の下降量S1(図10)として記憶部17c(図1)に記憶させる。すなわち、制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、スキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させて、そのときのスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得する(図7に示すステップST23)。
【0033】
このように本実施の形態において、ステップST23は、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得する工程となっている。
【0034】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、第1の下降量S1を取得したら、下動させていたスキージ軸33を上動させる(図7に示すステップST24)。そして、ユニット移動機構11Mを作動させて、一対のクランプ部材25の上面をマスク13の下面から離間させる(図7に示すステップST25)。
【0035】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、一対のクランプ部材25をマスク13から離間させたら、今度は一対のクランプ部材25をマスク13に接触させていない状態で、先ほど第1の下降量S1を取得したときのスキージ42がマスク13のほぼ中央の直上に位置するようにスキージヘッド14を移動させたうえで(図9(a))、そのスキージ42が取り付けられているスキージ軸33に対応するスキージ軸駆動モータ63の作動制御を行ってスキージ軸33を下動させ(図9(a)中に示す矢印B1)、スキージ42の下縁をマスク13の中央部に接触させる(図9(b)。図7に示すステップST26)。
【0036】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、スキージ42の下縁をマスク13の中央部に接触させたら、そのスキージ42が取り付けられたスキージ軸33の軸方向荷重を測定する荷重測定器67からの出力(スキージ軸33の軸方向荷重)がステップST23の場合と同じ所定の値Pになるまでスキージ軸駆動モータ63を作動させてスキージ軸33を下動させ(図9(c)。図中に示す矢印B2)、そのとき(荷重測定器67からの出力が所定の値Pになったとき)のスキージ軸33の下降量を下降量検出器68の出力から読み取ってこれを第2の下降量S2(図10)として記憶部17cに記憶させる。すなわち、スキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させて、そのときのスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する(図7に示すステップST27)。
【0037】
このように本実施の形態において、ステップST27は、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させ、そのとき下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する工程となっている。
【0038】
なお、第1の下降量S1を取得するときにスキージ軸33に作用する軸方向荷重と第2の下降量S2を取得するときにスキージ軸33に作用する軸方向荷重は同じであるが、第2の下降量S2を取得する際、マスク13はスキージ42に押されて下方に撓むことから、第2の下降量S2は第1の下降量S1よりも大きくなる。制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、第2の下降量S2を取得したら、下動させていたスキージ軸33を上動させる(図7に示すステップST28)。
【0039】
制御装置17の下降量取得動作制御部17bが、第2の下降量S2を取得した後、下動させていたスキージ軸33を上動させたら、制御装置17のテンション算出部17d(図1)は、下降量取得動作制御部17bがステップST23で取得して記憶部17cに記憶させた第1の下降量S1と、下降量取得動作制御部17bがステップST27で取得して記憶部17cに記憶させた第2の下降量S2との差分から、マスク13のテンションを算出する(図7に示すステップST29)。これにより、マスク13のテンションの値TがT=S2−S1という下方撓みの量で求められる(図10)。
【0040】
このように本実施の形態において、ステップST28は、取得した第1の下降量S1と第2の下降量S2との差分からマスク13のテンションを算出する工程となっている。
【0041】
制御装置17の記憶部17cには、マスク13のテンションの正常範囲の上限値(T0とする)が記憶されており、制御装置17は、ステップST29で算出したマスク13のテンションの値Tをマスク13のテンションの正常範囲の上限値T0と比較し、算出したマスク13のテンションが正常であるかどうかの判断を行う(図7に示すステップST30)。この判断では、算出したマスク13のテンションが正常範囲の上限値T0以下であれば正常と判断し、算出したマスク13のテンションの値Tが上限値T0を超えていれば非正常と判断する。
【0042】
制御装置17は、マスク13のテンションが正常であると判断した場合には、前述のディスプレイ装置16にマスク13のテンションが正常である旨の報知を行ったうえで(図7に示すステップST31)、メインルーチンに戻る。
【0043】
一方、制御装置17は、マスク13のテンションが非正常であると判断した場合には、ディスプレイ装置16にマスク13のテンションが非正常である旨の報知を行ったうえで(図7に示すステップST32)、待機状態に入る(図7に示すステップST33)。そして、制御装置17は、ディスプレイ装置16においてマスク13のテンションが非正常である旨の報知を受けたオペレータがマスク13の交換を行ったうえで操作する動作再開ボタン69(図1)の操作信号の出力に基づいて、オペレータが動作再開ボタン69の操作を行ったかどうかの判断を一定時間おきに繰り返し実行する(図7に示すステップST34)。その結果、制御装置17は、オペレータが動作再開ボタン69の操作を行ったと判断した場合には、ステップST21に戻ってマスク13のテンションの計測を再実行する。
【0044】
これにより、マスク13のテンションが非正常な状態のまま(下方撓みの量が大きいまま)、スクリーン印刷作業が実行されて不良基板が生産されることが防止される。
【0045】
このように、本実施の形態において、制御装置17の下降量取得動作制御部17bは、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第1の下降量S1として取得し、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が同じ所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得する下降量取得手段となっている。
【0046】
また、制御装置17のテンション算出部17dは、下降量取得手段としての下降量取得動作制御部17bが取得した第1の下降量S1と第2の下降量S2との差分からマスク13のテンションを算出するテンション算出手段となっている。
【0047】
上記のようにして、制御装置17の下降量取得動作制御部17bとテンション算出部17dによるマスク13のテンションの計測(ステップST1)が終了したら、制御装置17の転写動作制御部17e(図1)は、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置等(図示せず)から基板2が送られてきたことを検知したところで基板保持ユニット11のコンベア22を作動させて、スクリーン印刷機1内に基板2を搬入する(図6に示すステップST2)。
【0048】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2の搬入を行ったら、基板保持機構71の作動制御を行って基板2を保持する(図6に示すステップST3)。基板2の保持は、具体的には、下受け部昇降シリンダ23で下受け部24を押し上げて基板2をコンベア22から浮いた状態に持ち上げる一方(図11(a)中に示す矢印C1)、一対のクランプ部材25を閉じる方向に駆動して基板2の両端を挟み込む(図11(a)中に示す矢印D1)ことによって行う(図11(a))。
【0049】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2を保持したら、カメラユニット移動機構15Mの作動制御を行い、下方撮像カメラ15aを基板2に設けられた基板側マーク2mの直上に位置させて下方撮像カメラ15aに基板側マーク2mの撮像を行わせる一方、上方撮像カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側マーク13mの直下に位置させて上方撮像カメラ15bにマスク側マーク13mの撮像を行わせる。そして制御装置17の転写動作制御部17eは、得られた基板側マーク2mの画像データから基板2の位置を把握するとともに、得られたマスク側マーク13mの画像データからマスク13の位置を把握し、基板保持ユニット11を水平面内方向に移動させ、基板側マーク2mとマスク側マーク13mとが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置合わせを行う(図6に示すステップST4)。
【0050】
制御装置17の転写動作制御部17eは、マスク13に対する基板2の位置合わせが終わったら、ユニット移動機構11Mの作動制御を行って基板保持ユニット11を基台10に対して上昇させ(図11(b)中に示す矢印E1)、基板2を保持した一対のクランプ部材25がマスク13の下面に相対的に下方から押し当てられるようにすることにより、一対のクランプ部材25及び基板2それぞれの上面をマスク13の下面に接触させる(図11(b)。図6に示すステップST5)。これにより基板2上の電極3とマスク13の開口部13hとが合致した状態となる。
【0051】
なお、このように一対のクランプ部材25及び基板2それぞれの上面がマスク13の下面に接触した状態では、マスク13上には、コンベア22による基板2の搬送方向(X軸方向)と直交する水平面内方向(Y軸方向)において、基板2と接触した領域(基板2上のマスク領域R1)と、各クランプ部材25と接触した2つの領域(クランプ部材25上のマスク領域R2)とが形成される。
【0052】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2をマスク13に接触させたら、ディスプレイ装置16に、オペレータにペーストPtの供給を促すメッセージを表示する(図6に示すステップST6)。これに対してオペレータは、現在、マスク13上に残っているペーストPtを目視し、そのペーストPtの量に基づいてペーストPtの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行う。そして、ペーストPtの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ80(図12(a))により、マスク13上にペーストPtの供給を行う。そして、ペーストPtの供給が終わったら、前述の動作再開ボタン69の操作を行う。オペレータは、ペーストPtの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタン69の操作を行う。
【0053】
制御装置17の転写動作制御部17eは、ステップST6において、ディスプレイ装置16にペーストPtの供給を促すメッセージを表示した後、動作再開ボタン69の操作がなされたか否かの判断を一定時間おきに行い(図6に示すステップST7)、動作再開ボタン69からの信号出力に基づいて、オペレータによって動作再開ボタン69の操作がなされたことを検知したときには、スキージヘッド14を一対のクランプ部材25の一方の上方に位置させたうえで、2つのスキージ42のうちの一方を下降させて、そのスキージ42の下縁をクランプ部材25と接触しているマスク13の上面(クランプ部材25上のマスク領域R2)に当接させる(図6に示すステップST8)。
【0054】
なお、このとき下降させる(マスク13に当接させる)スキージ42は、スキージヘッド14を前側のクランプ部材25の上方に位置させたときには前側のスキージ42であり、スキージヘッド14を後側のクランプ部材25の上方に位置させたときには後側のスキージ42である。
【0055】
制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ軸33の下動によってクランプ部材25上のマスク領域R2の上面にスキージ42を当接させたら、ベース部材移動機構14Mを作動させて、スキージ42をマスク13の上面に当接させた状態でベース部材31を(すなわちスキージ42を)マスク13に対して水平方向(Y軸方向)に移動させることにより(図12(b)中に示す矢印F)、マスク13上に供給したペーストPtをスキージ42によって掻き寄せてマスク13の開口部13h内に押し込み、電極3にペーストPtを転写させる(図6に示すステップST9)。
【0056】
このように制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ軸33の下動によってマスク13の上面にスキージ42を当接させた状態でベース部材31をマスク13に対して水平方向に移動させることにより、マスク13上に供給されたペーストPtをスキージ42で掻き寄せて基板2に転写させる転写動作制御手段となっている。
【0057】
このステップST9では、制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ42を、一方のクランプ部材25上のマスク領域R2から基板2上のマスク領域R1を通って他方のクランプ部材25上のマスク領域R2まで移動させる。具体的には、前側のスキージ42については、前側のクランプ部材25上のマスク領域R2から後側のクランプ部材25上のマスク領域R2まで移動させ、後側のスキージ42については、後側のクランプ部材25上のマスク領域R2から前側のクランプ部材25上のマスク領域R2まで移動させる。
【0058】
制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ42が一方のクランプ部材25上のマスク領域R1から他方のクランプ部材25上のマスク領域R2に達してペーストPtの転写が終了したことを検知したら、ベース部材31の移動を停止させたうえで、マスク13に当接させていたスキージ42のスキージ軸33をベース部材31に対して上動させてスキージ42をマスク13から離間させる(図6に示すステップST10)。
【0059】
制御装置17の転写動作制御部17eは、スキージ42をマスク13から離間させたら、ユニット移動機構11Mを作動させて基板保持ユニット11を下降させ(図13(a)中に示す矢印E2)、マスク13から基板2及び一対のクランプ部材25を離間させて版離れを行う(図13(a)。図6に示すステップST11)。
【0060】
制御装置17の転写動作制御部17eは、版離れが終了したら、基板保持機構71を作動させて一対のクランプ部材25を開かせたうえで(図13(b)中に示す矢印D2)、下受け部24を下降させて(図13(b)中に示す矢印C2)、基板2の両端を一対のコンベア22上に降ろす(図13(b))。これにより基板保持ユニット11による基板2の保持が解除される(図6に示すステップST12)。
【0061】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2の保持を解除したら、ユニット移動機構11Mを作動させて基板保持ユニット11を水平面内で移動させ、コンベア22の向きを整えたうえで、コンベア22を作動させて基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図6に示すステップST13)。
【0062】
制御装置17の転写動作制御部17eは、基板2を搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図6に示すステップST14)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST2に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0063】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷機1のマスク13のテンション計測方法)によれば、マスク13全体のテンションを計測することができるが、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態で、スキージ42を一対のクランプ部材25と接触していない部分のマスク13(基板2上のマスク領域R1)に接触させた後、荷重測定器67によって測定されるスキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに下降量検出器68によって検出されるスキージ軸33の下降量を第2の下降量S2として取得するようにすることによって、金属板13bの部分の局部的なテンションを計測することができる。これは、具体的には、マスク13のテンション計測作業のサブルーチン(図7)のステップST25で、一対のクランプ部材25をマスク13から離間させることなく(ステップST25を実行することなく)ステップST26以下の工程を実行すれば実現できる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、一対のクランプ部材25をマスク13に接触させた状態でスキージ42を一方のクランプ部材25上のマスク13に接触させた後、スキージ軸33の軸方向荷重が所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに検出されるスキージ軸33の下降量(第1の下降量S1)と、マスク13の一対のクランプ部材25と接触していない部分にスキージ42を接触させた後、スキージ軸33の軸方向荷重が同じ所定の値Pになるまでスキージ軸33を下動させたときに検出されるスキージ軸33の下降量(第2の下降量S2)を求めてこれら両下降量S1,S2の差分からマスク13のテンション(マスク13全体のテンション若しくは金属板13bの部分の局部的なテンション)を算出するようになっており、マスク13のテンションの計測の間、マスク13をスクリーン印刷機1から取り外す必要がないので、マスク13のテンションを簡便かつ迅速に求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
マスクのテンションを簡便かつ迅速に求めることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法を提供する。
【符号の説明】
【0066】
1 スクリーン印刷機
2 基板
13 マスク
17b 下降量取得動作制御部(下降量取得手段)
17d テンション算出部(テンション算出手段)
17e 転写動作制御部(転写動作制御手段)
25 クランプ部材
31 ベース部材
33 スキージ軸
42 スキージ
66 弾性体
67 荷重測定器(荷重測定手段)
68 下降量検出器(下降量検出手段)
Pt ペースト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、
基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、
マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、
ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、
スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、
スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、
スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、
スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段と、
一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得し、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する下降量取得手段と、
下降量取得手段が取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出するテンション算出手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記荷重測定手段は、スキージ軸とスキージとの間に介装された弾性体に取り付けられたロードセルから成ることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段とを備えたスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法であって、
一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得する工程と、
マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する工程と、
取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出する工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法。
【請求項1】
基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、
基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、
マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、
ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、
スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、
スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、
スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、
スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段と、
一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得し、マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させたときに下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する下降量取得手段と、
下降量取得手段が取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出するテンション算出手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記荷重測定手段は、スキージ軸とスキージとの間に介装された弾性体に取り付けられたロードセルから成ることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
基板の両側部を挟んで保持する一対のクランプ部材と、基板を保持した一対のクランプ部材が相対的に下方から押し当てられることにより、一対のクランプ部材及び基板それぞれの上面と接触するマスクと、マスクに対して水平方向に移動されるベース部材と、ベース部材から下方に延び、ベース部材に対して上下動自在に設けられたスキージ軸と、スキージ軸の下端に取り付けられたスキージと、スキージ軸の下動によってマスクの上面にスキージを当接させた状態でベース部材をマスクに対して水平方向に移動させることにより、マスク上に供給されたペーストをスキージで掻き寄せて基板に転写させる転写動作制御手段と、スキージ軸を下動させたときのスキージ軸の下降量を検出する下降量検出手段と、スキージ軸の軸方向荷重を測定する荷重測定手段とを備えたスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法であって、
一対のクランプ部材をマスクに接触させた状態でスキージを一方のクランプ部材上のマスクに接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第1の下降量として取得する工程と、
マスクの一対のクランプ部材と接触していない部分にスキージを接触させた後、荷重測定手段によって測定されるスキージ軸の軸方向荷重が前記所定の値になるまでスキージ軸を下動させ、そのとき下降量検出手段によって検出されるスキージ軸の下降量を第2の下降量として取得する工程と、
取得した第1の下降量と第2の下降量との差分からマスクのテンションを算出する工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷機のマスクのテンション計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−22743(P2013−22743A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156418(P2011−156418)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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