説明

スクリーン印刷機

【課題】 薄板の基板であっても搬送装置に巻きこまれるおそれがなく、確実に基板を搬送して効率的な印刷が可能なスクリーン印刷機を提供すること。
【解決手段】 パターン孔が形成されたマスクプレート70を印刷テーブル30上に保持された基板20に当接させ、マスクプレート70上でスキージングして基板20にペーストPを印刷するスクリーン印刷機10であって、基板20を保持する保持片42を有する外周枠44により構成された搬送枠体40を備えると共に、印刷テーブル30が、基板20を上面に載置して上昇するように保持片42の内周端縁により形成される開口部分46に進入可能に配設されていることを特徴とするスクリーン印刷機10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷機に関し、より詳細には、薄型の基板であっても効率的にはんだペースト等の印刷用ペーストを基板に印刷することが可能なスクリーン印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板の接続電極端子として用いられるにはんだペースト等を印刷するスクリーン印刷機においては、印刷テーブルの印刷位置に基板を搬入し、印刷後の基板を印刷テーブルから搬出する搬送装置が設けられている。このような搬送装置では、基板の送り方向の側面をサイドガイドによりガイドし、コンベアベルト等の搬送機構により基板を搬送するように構成されている。
近年においてはペーストが印刷される基板が年々薄くなっており、基板の厚さが1mm以下の基板が用いられることもある。このような薄い板厚の基板を搬送装置にそのまま載せると、サイドガイドとコンベアベルトとのクリアランス部分に基板が巻きこまれ、基板の搬送ができなくなることがあった。
【0003】
このため、薄い板厚の基板を印刷テーブルに搬送する場合には、搬送装置への基板巻きこみを防止するべく、基板を支持する補助板を使用して、補助板と共に基板を搬送する方式が採られている。基板を補助板に支持する方法としては、両面テープを用いて基板を補助板に貼着する方法によっている。
このように基板を補助板に支持することにより、サイドガイドとコンベアベルトのクリアランスよりも全体厚が厚くなっているため、薄板の基板であっても搬送装置に巻きこまれることなく確実に印刷テーブルに搬送してスクリーン印刷することが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような補助板に基板を支持して搬送する方法の場合は、搬送前に両面テープを用いて補助板に基板を貼着したり、印刷後には補助板から基板を剥離しなければならず、非常に手間がかかり、効率的な生産の妨げになるという課題がある。
【0005】
本発明は、スクリーン印刷機において、薄板の基板であっても搬送装置に巻きこまれるおそれがなく、確実に基板を搬送して効率的な印刷が可能なスクリーン印刷機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パターン孔が形成されたマスクプレートを印刷テーブル上に保持された基板に当接させ、該マスクプレート上でスキージングして基板にペーストを印刷するスクリーン印刷機であって、前記基板を保持する保持片を有する外周枠により構成された搬送枠体を備えると共に、前記印刷テーブルが、前記基板を上面に載置して上昇するように前記保持片の内周端縁により形成される開口部分に進入可能に配置されていることを特徴とするスクリーン印刷機である。
【0007】
また、前記搬送枠体には、前記基板の中途部を支持する支持用桟が設けられ、前記印刷テーブルには、前記支持用桟に対応する位置に、前記支持用桟が進入可能な凹溝が形成されていることを特徴とする。
これにより、搬送中はもちろんのこと、各種処理を実行する際における基板のたわみを可及的に抑えることが可能になり、高精度の製品を提供することができる。
【0008】
また、前記保持片は、前記外周枠の断面形状をL字状に形成することにより、前記搬送枠体と一体に設けられていることを特徴とする。
これにより、保持片を安価に設けることが可能になると共に、保持片の破損のおそれを低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
薄い板厚の基板であっても、搬送装置に巻きこまれることなく、確実に印刷テーブルに搬送することが可能になる。また、搬送する基板毎に、基板と補助板とを貼着する作業が不要になるため、効率的なスクリーン印刷処理が可能になり、低コストで基板にバンプを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかるスクリーン印刷機の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるスクリーン印刷機の構成図である。図2は、搬送装置にセットされた搬送枠体の斜視図である。図3は、図2中のA−A線における断面図である。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機10は、配線基板20の位置決め操作が可能に設けられた印刷用テーブル30と、配線基板20を搬送する搬送枠体40と、搬送枠体40を搬送する搬送装置50と、搬送枠体40を印刷用テーブル30の上部所要位置にセットするために搬送枠体40を誘導するガイド60と、所要の印刷パターンにスリット孔が形成されたパターンマスク70と、パターンマスク70の上に供給されたはんだペースト等をパターンマスク70のスリット孔から配線基板20に塗布するスキージ80と、上記各手段の動作を制御する制御部90を有している。
【0011】
本実施の形態における搬送装置50は、スクリーン印刷機10の外部からスクリーン印刷機10の印刷テーブル30に向かって平行に配設された2本のガイド60の下方に配設されたコンベアベルトにより構成されている。搬送装置50は、ガイド60と接触しないように、上下方向にクリアランスCをとって配設されている。搬送装置50の内周縁は、ガイド60の内周縁より内側部分にはみ出すようにして配設されている。配線基板20を搬送する搬送枠体40は、搬送装置50の上にセットされて、ガイド60により誘導されながらスクリーン印刷機10の印刷テーブル30に搬送される。なお、搬送装置50の動作は、制御部90により制御されている。
【0012】
搬送枠体40は、保持片42を有する外周枠44を矩形に組み合わせることにより構成されている。外周枠44の断面形状は図3に示すように、L字型に形成されている。L字型の水平部分が保持片42として機能する。このように、保持片42は、搬送枠体40と一体に形成されている。搬送枠体40の幅寸法は、ガイド60、60の内周面に当接する幅寸法に形成されている。搬送枠体40の内側には開口部46が形成されている。
【0013】
外周枠44の高さH(すなわち、搬送枠体40の高さ)寸法は、搬送装置50とガイド60間に設けられたクリアランスC寸法よりも大きくなるように形成されている。
また、本実施の形態における搬送枠体40は、長手方向の外周枠44aの中間部分に長手方向の外周枠44aどうしに掛け渡して固定され、開口部46を二分する支持用桟48が設けられている。
【0014】
印刷テーブル30は、制御部90により動作が制御されており、X、Y、Z方向における直線移動およびX−Y平面内における回転移動(以下、θ方向の回転移動ということがある)が可能に設けられている。印刷テーブル30の上面は、配線基板20が吸着可能に設けられている。印刷テーブル30は、配線基板20に形成された位置決め用マークや画像撮影装置(共に図示せず)を用い、制御部90により撮影画像を画像処理し、所定の位置決め手法に基づいて配線基板20の位置決めをする位置決め機能も有している。
【0015】
印刷テーブル30は、印刷テーブル30の上方にセットされた搬送枠体40の開口部46内に進入可能に形成されている。すなわち、印刷テーブル30の外周寸法は、開口部46の寸法以下に形成されている。また、印刷テーブル30の上面には、支持用桟48の配設位置に対応する位置に凹溝32が形成されている。凹溝32は、支持用桟48が進入可能な大きさおよび深さに形成されている。
【0016】
ガイド60は、スクリーン印刷機10の外部から印刷テーブル30に向かって搬送枠体40(配線基板20)を誘導するためのものである。ガイド60には搬送枠体40を所定位置で停止させるためのストッパ62が配設されている。
ストッパ62は、制御部90により、ガイド60の内周縁から搬送枠体40の移動を規制する位置と退避する位置との間で突出入可能に設けられている。
【0017】
パターンマスク70は、合成樹脂製薄板または金属製薄板により形成されている。パターンマスク70には、配線基板20に形成すべきバンプ(例えば、はんだバンプ)の配列パターンと同パターンに形成されたパターン孔(図示せず)が板厚方向に貫通させて形成されている。パターンマスク70は、マスク搬送手段(図示せず)により、印刷テーブル30の上方と印刷位置との間で搬送される。
【0018】
スキージ80は、パターンマスク70の上面に供給されたはんだペーストをパターンマスク70の上面に沿って往復移動させ、パターン孔から配線基板20にはんだペーストを塗布するためのものである。スキージ80は、配線基板20のX方向またはY方向に往復動可能なスキージホルダ82に固定された流体シリンダ84a、84bの下端部に取り付けられている。スキージ80は、流体シリンダ84a、84bに回動可能に取り付けられている。
【0019】
スキージ80の往復動をなすスキージホルダ82の動作と、スキージ80の上下動をなす流体シリンダ84a、84bの伸縮動作は、共に制御部90が制御プログラムに基づいて制御する。制御部90は、CPUまたはマイクロコンピュータ等により構成されている。制御プログラムは図示しない記憶装置に予め記憶されている。
【0020】
以下、本発明にかかるスクリーン印刷機10を用いたスクリーン印刷方法について説明する。図4は、本実施の形態におけるスクリーン印刷の概略工程図である。図5は、基板が印刷テーブルの上方に供給された状態を示す模式図である。図6は、基板にスキージングをしている状態を示す模式図である。図7は、スクリーン印刷によりバンプ(接続電極端子)が形成された基板が後処理に搬送される状態を示す模式図である。なお、図5、図6、図7の各図においては、制御部90の表示を省略している。
【0021】
まず、配線基板20を搬送枠体40にセットする(ステップ1)。配線基板20は、手動または自動で搬送枠体40の上方から配設され、保持片42により下面側外周部分が保持される。保持片42と同じ高さ位置には、支持用桟48が配設されているので、配線基板20の下面中間部分が支持され、配線基板20が薄板構造であってもたわむことなく搬送枠体にセットされる。配線基板20がセットされた搬送枠体40は、手動または自動で印刷テーブル30に誘導すべく配設されたガイド60にセットされる(ステップ2)。ガイド60にセットされた搬送枠体40は、下側面に当接する搬送装置50により印刷テーブル30に向かって搬送される(ステップ3)。
【0022】
図5に示すように、ガイド60に設けられたストッパ62に搬送枠体40が接触すると、センサ(図示せず)により配線基板20が印刷テーブル30に搬送されたことが認識され、搬送装置50が一時停止する(ステップ4)。次に印刷テーブル30が搬送枠体40に向けて上昇し、搬送枠体40の下面の開口部46から印刷テーブル30が搬送枠体40に進入して、配線基板20を真空吸引等により吸着保持する(ステップ5)。印刷テーブル30により吸着保持された配線基板20は、印刷テーブル30の上昇に伴い、搬送枠体40から取り出され、制御部90により位置決め処理がなされた(ステップ6)後、予め所要位置にセットされているパターンマスク70の下面に当接させる(ステップ7)。なお、パターンマスク70の上には、予めはんだペーストPが供給されている。
搬送枠体40には支持用桟48が印刷テーブル30の上面を横切るように設けられているが、印刷テーブル30の上面には、支持用桟48が進入可能な凹溝32が形成されているので、支持用桟48が印刷テーブル30の上面と干渉することはない。
【0023】
配線基板20がパターンマスク70の下面に当接した後、制御部90が一方の流体シリンダ84aを伸長させて、スキージ80aが下降する(ステップ8)。続いて、制御部90が下降したスキージ80aからはんだペーストPの方向(図6における矢印方向)にスキージホルダ82を移動させ、スキージングを実行させる(ステップ9)。
【0024】
スキージングによりはんだペーストPがパターンマスク70の一端側に寄せられた後、制御部90は流体シリンダ84aを縮小し、スキージングしたスキージ80aを上昇させる(ステップ10)と共に、図示しないマスク搬送手段によりパターンマスク70を保持させると共に、印刷テーブル30を下降させる(ステップ11)。印刷テーブル30が下降すると、はんだペーストPが印刷された配線基板20は再び搬送枠体40に保持される(ステップ12)。
この後、図7に示すように制御部90が搬送装置50を再始動させると共にストッパ62をガイド60の内端縁から退避させ(ステップ13)、再び搬送枠体40は搬送装置50によりガイド60に誘導されてリフロー炉等の図示しない後処理装置に搬送(ステップ14)され、所要の後処理がなされ(ステップ15)、配線基板20にバンプパターンが形成される。
【0025】
新たに、搬送枠体40により配線基板20が所定位置に搬送されると、制御部90が印刷テーブル30を上昇させ、配線基板20を位置決めして印刷位置にセットし、パターンマスク70を配線基板20に当接させる。続いて制御部90は、他方の流体シリンダ84bを伸長して他方のスキージ80bを下降させた後、スキージホルダ82を反対方向(図6の矢印と反対方向)に移動させ、はんだペーストPをパターンマスク70の他端側に寄せるようにスキージングさせる。スキージングが完了すると、ステップ10以降の処理を実行し、配線基板20にバンプパターンを形成する。以上の処理が繰り返し行われる。
なお、本実施の形態においては、一回のスキージングで配線基板20へのスクリーン印刷処理を終えているが、一枚の配線基板20に対して複数回のスキージングをすることもできる。
【0026】
以上に、本実施の形態に基づいて、スクリーン印刷機によるスクリーン印刷方法について説明してきたが、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲における変更を施したとしても本願発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
例えば、本実施の形態における支持用桟48は、搬送枠体40に一つだけ配設されているが、搬送枠体30の寸法に合わせて複数箇所に配設することもできる。この際、支持用桟48は縦方向および横方向に配設し、互いに交差するように配設することももちろん可能である。この際、支持用桟48の配設状態に合わせて印刷用テーブル30に凹溝32を配設することはいうまでもない。
【0027】
また、スクリーン印刷をする配線基板20を搬送枠体40に配設した状態でたわまない程度の板厚を有する場合には、支持用桟48を設けない搬送枠体としてもよい。このような形態においては、外周枠44の保持片42の先端部分に支持用桟の配設溝を形成し、支持用桟48の両端部には、支持用桟配設溝に嵌合する配設凸部を形成することが好ましい。これによれば、搬送枠体40に支持用桟48を着脱自在にすることができ、汎用的な搬送枠体40となり好適である。
【0028】
さらに本実施の形態においては、ストッパ62にセンサを配設し、搬送装置50を一時停止させているが、印刷テーブル30と同一平面位置に搬送枠体40が搬送されたことが認識できれば、ストッパ62以外の他の部分にセンサを配設してもよい。
【0029】
本発明にかかるスクリーン印刷機10の搬送枠体40は、スクリーン印刷機10によりバンプパターンが形成された配線基板20をリフロー炉に搬送する際においても有効である。具体的には、保持片42と支持用桟48が配線基板20搬送中に常に配線基板20を保持しているので、リフロー炉内において熱風が吹き付けられても、配線基板20がたわむことを防止し、リフロー炉内において配線基板20を平坦に保持することができ、高精度でバンプが形成されるため好適である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態におけるスクリーン印刷機の構成図である。
【図2】搬送装置にセットされた搬送枠体の斜視図である。
【図3】図2中のA−A線における断面図である。
【図4】本実施の形態におけるスクリーン印刷の概略工程図である。
【図5】基板が印刷テーブルの上方に供給された状態を示す模式図である。
【図6】基板にスキージングをしている状態を示す模式図である。
【図7】スクリーン印刷によりバンプパターンが形成された基板が後処理に搬送される状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0031】
10 スクリーン印刷機
20 配線基板
30 印刷テーブル
32 凹溝
40 搬送枠体40
42 保持片
44 外周枠
46 開口部
48 支持用桟
50 搬送装置
60 ガイド
62 ストッパ
70 パターンマスク
80 スキージ
82 スキージホルダ
84 流体シリンダ
90 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が形成されたマスクプレートを印刷テーブル上に保持された基板に当接させ、該マスクプレート上でスキージングして基板にペーストを印刷するスクリーン印刷機であって、
前記基板を保持する保持片を有する外周枠により構成された搬送枠体を備えると共に、
前記印刷テーブルが、前記基板を上面に載置して上昇するように、前記保持片の内周端縁により形成される開口部分に進入可能に配置されていることを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記搬送枠体には、前記基板の中途部を支持する支持用桟が設けられ、
前記印刷テーブルには、前記支持用桟に対応する位置に、前記支持用桟が進入可能な凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
前記保持片は、前記外周枠の断面形状をL字状に形成することにより、前記搬送枠体と一体に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のスクリーン印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−142763(P2006−142763A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339060(P2004−339060)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】