説明

スクリーン印刷装置

【課題】複雑な基板供給システムを必要とせず、異種の基板に対するスクリーン印刷を同時進行で実行することができるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】部品実装ライン3の上流側から基板4が搬入される基板搬入部12、搬入された基板4にスクリーン印刷を実行する印刷実行部13、スクリーン印刷が実行された基板4が下流側に搬出される基板搬出部14及び搬入された基板4を受け取って印刷実行部13に対する基板4の位置決め及びスクリーン印刷が実行された基板4の基板搬出部14への移動を行う基板移動ステージ15を備えた2基のスクリーン印刷機11A,11Bを有する。2つの基板搬入部12、2つの印刷実行部13及び2つの基板搬出部14はそれぞれ部品実装ライン3の基板4の搬送方向に延びた垂直対称面Sに対して対称な位置に設けられ、印刷実行部13は基板搬出部14よりも垂直対称面Sから離れた位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装ラインに組み込まれ、上流側から送られてきた基板にスクリーン印刷を施して下流側に送り出すスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷装置は部品実装装置や接着装置等とともに部品実装ラインに組み込まれ、上流側から送られてきた基板にクリーム半田や導電性ペースト等のスクリーン印刷を施して下流側の装置に送り出す。このスクリーン印刷装置は通常、部品実装装置の上流側に配置され、スクリーン印刷が施された基板はスクリーン印刷装置の基板搬出部から部品実装装置の基板搬送路へ直接或いは間接的に受け渡される。部品実装装置はスクリーン印刷装置から受け取った基板に対して部品の実装を行った後、その基板を基板搬送路によって下流の装置へ送り出す。
【0003】
ところで、近年の部品実装装置の中には、平行に配置された2つの基板搬送路を有し、これら2つの基板搬送路を用いた2つの実装ラインで部品実装を同時進行で(並行して)行えるようにした部品実装装置が用いられている。このように部品実装装置が2つの基板搬送路を備えている場合、スクリーン印刷装置の基板搬出部から搬出された基板は、部品実装装置との間に設けられた基板振り分け装置により、部品実装装置の2つの基板搬送路に振り分けられる(特許文献1)。
【特許文献1】特開平4−129630号公報
【特許文献2】特開2000−168040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように2つの実装ラインを有する部品実装装置では、同種の基板に対する部品実装を並行して行うだけでなく、異種の基板(基板そのものが異種である場合のほか、同種の基板であっても表裏を別とした場合も含む)に対する部品実装を並行して行う場合もある。この場合、スクリーン印刷装置は異種の基板に対するスクリーン印刷を連続的に行うことはできないので、部品実装装置の上流側にスクリーン印刷装置を2台並設(並列的に設置)せざるを得ないが、部品実装装置が備える2つの基板搬送路の間隔は非常に狭いため、各スクリーン印刷装置の基板搬出部が部品実装装置の2つの基板搬送路と対向するように2つのスクリーン印刷装置を並設することは非常に困難であった。
【0005】
また、このような方法に代えて、スクリーン印刷装置が備える1つの基板搬送路の上方に2種のマスクプレートを基板搬送路の延びる方向に並べて設置し(特許文献2)、基板搬送路上の基板に対して異種のスクリーン印刷を行うことができるようすることも考えられるが、2種のマスクはスクリーン印刷装置の1つの基板搬送路に対して直列的に設けられることになるので、その基板搬送路には異種の基板を交互或いは数個おきに供給する複雑な基板供給システムが必要となる。
【0006】
そこで本発明は、複雑な基板供給システムを必要とせず、異種の基板に対するスクリーン印刷を同時進行で実行することができるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置は、部品実装ラインに組み込まれて用いられるスクリーン印刷装置であって、部品実装ラインの上流側から基板が搬入される基板搬入部、
基板搬入部より搬入された基板にスクリーン印刷を実行する印刷実行部、印刷実行部によりスクリーン印刷が実行された基板が部品実装ラインの下流側に搬出される基板搬出部及び基板搬入部より搬入された基板を受け取って印刷実行部に対する基板の位置決め及び印刷実行部でスクリーン印刷が実行された基板の基板搬出部への移動を行う基板移動ステージを備えた2基のスクリーン印刷機を有し、これら2基のスクリーン印刷機の2つの基板搬入部、2つの印刷実行部及び2つの基板搬出部はそれぞれ部品実装ラインの基板の搬送方向に延びた垂直対称面に対して対称な位置に設けられており、各スクリーン印刷機において印刷実行部は基板搬出部よりも垂直対称面から離れた位置に設けられている。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷装置は、請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、2つの基板搬出部は、部品実装ラインの下流側に設置された部品実装装置が備える2つの平行な基板搬送路と基板の搬送方向に対向する位置に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスクリーン印刷装置では、基板搬入部、印刷実行部、基板搬出部及び基板移動ステージを備えて独立してスクリーン印刷を実行できる2基のスクリーン印刷機を有しているので、異種の基板に対するスクリーン印刷を同時進行で実行することができ、しかも、下流側の装置が2つの基板搬送路を備えている場合であっても、基板振り分け装置を必要とせずに、それぞれの基板搬送路にスクリーン印刷を施した基板を送り出すことができる。
【0010】
また、2基のスクリーン印刷機が備える2つの基板搬入部、2つの印刷実行部及び2つの基板搬出部はそれぞれ部品実装ラインの基板の搬送方向に延びた垂直対称面に対して対称な位置に設けられるのでスクリーン印刷機各部の配置構成が行い易く、更に、各スクリーン印刷機において印刷実行部は基板搬出部よりも垂直対称面から離れた位置に設けられるので、下流側の装置が備える2つの基板搬送路の間隔に合わせて2つの基板搬出部の間隔を狭く設定せざるを得ない場合であっても、2つの印刷実行部を互いに干渉させることなく対称位置に配置することができる。
【0011】
また、2つのスクリーン印刷機は並列的に設けられており、それぞれ専用の基板搬入部を有しているので、異種の基板に対するスクリーン印刷を同時進行で実行する場合には2つのスクリーン印刷機の間で基板の種類を変えればよく、各スクリーン印刷機には同種の基板を連続的に供給すればよいので、従来のように異種の基板を交互或いは数個おきに供給するような複雑な基板供給システムを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態における部品実装ラインの平面図、図2は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の正面図、図3は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備えるスクリーン印刷機の正面図、図4は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備えるスクリーン印刷機の側面図、図5(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスクリーン印刷機の動作説明図、図6(a)〜(f)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図である。
【0013】
図1において、スクリーン印刷装置1は複数の部品実装装置2や図示しない接着装置等とともに部品実装ライン3に組み込まれており、上流側から送られてきた基板4にスクリーン印刷を実行して下流側の部品実装装置2に送り出す。
【0014】
図1及び図2において、スクリーン印刷装置1は基台10上に2つのスクリーン印刷機11A,11Bを備えている。2つのスクリーン印刷機11A,11Bはそれぞれ、部品
実装ライン3の上流側から基板4が基台10上に搬入される基板搬入部12、基板搬入部12から基台10上に搬入された基板4にスクリーン印刷を実行する印刷実行部13、印刷実行部13によりスクリーン印刷が実行された基板4が部品実装ライン3の下流側に搬出される基板搬出部14及び基板搬入部12から搬入された基板4を受け取って印刷実行部13に対する位置決め及び印刷実行部13でスクリーン印刷が実行された基板4の基板搬出部14への移動を行う基板移動ステージ15を備えている。
【0015】
各スクリーン印刷機11A,11Bが備える基板搬入部12には部品実装ライン3の基板4の搬送方向(X軸方向)に延びた2本の平行な搬送レールから成る基板搬入路12aが設けられており、各スクリーン印刷機11A,11Bが備える基板搬出部14には同じくX軸方向に延びた2本の平行な搬送レールから成る基板搬出路14aが設けられている。
【0016】
図1及び図2に示すように、2つのスクリーン印刷機11A,11Bが備える2つの基板搬入部12(基板搬入部12に設けられた基板搬入路12a)と2つの基板搬出部14(基板搬出部14に設けられた基板搬出路14a)はそれぞれ部品実装ライン3の基板4の搬送方向であるX軸方向に延びた垂直対称面Sに対して対称な位置に設けられている。また、2つの印刷実行部13も垂直対称面Sに対して対称な位置に設けられており、各印刷実行部13の垂直対称面Sからの水平距離Dは各基板搬出部14の垂直対称面Sからの水平距離dよりも大きくなっている(図2)。すなわち、各スクリーン印刷機11A,11Bにおいて印刷実行部13は基板搬出部14よりも垂直対称面Sから離れた位置に設けられている。
【0017】
図3及び図4において、各スクリーン印刷機11A,11Bが備える基板移動ステージ15は、基台10上をX軸方向と直交する水平方向(Y軸方向)に移動自在なY軸ステージ21、Y軸ステージ21上をX軸方向に移動自在なX軸ステージ22、X軸ステージ22上を上下軸まわりに移動自在なθステージ23、θステージ23の上面に固定されたベースプレート24、ベースプレート24に対して昇降自在に設けられた第1昇降プレート25、第1昇降プレート25に対して昇降自在に設けられた第2昇降プレート26を備えている。
【0018】
第1昇降プレート25の上面には複数のガイド部材27が立設されており、これら複数のガイド部材27の上端部には基板4の搬送方向であるX軸方向に平行に延びた2本の平行な搬送レール28が支持されている。第2昇降プレート26の上面には基板支持部材29が設けられており、2本の搬送レール28の上方には一対のクランプ部材30が設けられている。2本の搬送レール28は、各基板搬入路12aを構成する2本の搬送レール及び各基板搬出路14aを構成する2本の搬送レールとともに互いに等間隔の幅に設けられている。
【0019】
Y軸ステージ21はY軸ステージ駆動モータ21aによって回転駆動される送り螺子(図示せず)と螺合しており、基台10内に設置された制御装置31に制御されてY軸ステージ駆動モータ21aが回転すると、Y軸ステージ21が送り螺子に送られてY軸方向に移動する。X軸ステージ22はX軸ステージ駆動モータ22aによって回転駆動される送り螺子(図示せず)と螺合しており、制御装置31に制御されてX軸ステージ駆動モータ22aが回転するとX軸ステージ22が送り螺子に送られてX軸方向に移動する。θステージ23はθステージ駆動モータ(図示せず)と連結されており、制御装置31に制御されてθステージ駆動モータが回転するとθステージ23が上下軸まわりに回転する。
【0020】
図3及び図4において、ベースプレート24には第1昇降モータ25aが固定されており、第1昇降プレート25には第1送り螺子25bが螺合されている。第1昇降モータ2
5aの駆動軸と第1送り螺子25bの間には第1ベルト25cが掛け渡されており、制御装置31に制御されて第1昇降モータ25aが回転すると、第1ベルト25cを介して第1送り螺子25bが回転し、第1昇降プレート25が第1送り螺子25bに送られて昇降する。また、第1昇降プレート25には第2昇降モータ26aが固定されており、第2昇降プレート26には第2送り螺子26bが螺合されている。第2昇降モータ26aの駆動軸と第2送り螺子26bとの間には第2ベルト26cが掛け渡されており、制御装置31に制御されて第2昇降モータ26aが回転すると、第2ベルト26cを介して第2送り螺子26bが回転し、第2昇降プレート26が第2送り螺子26bに送られて昇降する。
【0021】
クランプ部材30はガイド部材27のひとつに固定されたクランプシリンダ30aに連結されており、制御装置31に制御されてクランプシリンダ30aが突没すると搬送レール28上でクランプ部材30がY軸方向に開閉する。これにより、基板4を基板支持部材29の直上に位置させた状態で第2昇降プレート26を上昇させ、基板支持部材29を基板4の下面に当接させた状態からクランプ部材30を閉じて基板4をクランプすれば、基板4を搬送レール28上に固定することができる。
【0022】
図3及び図4において、印刷実行部13は、基板移動ステージ15の上方に設けられたマスクプレート41、マスクプレート41の上方に設けられたスキージヘッド42、スキージヘッド42を水平面内で移動させるスキージヘッド移動機構43、基板移動ステージ15とマスクプレート41の間に設けられたカメラ44及びカメラ44を水平面内で移動させるカメラ移動機構45を備えている。
【0023】
マスクプレート41は矩形のマスク枠41aによって四辺が支持されて搬送レール28の上方に水平姿勢に設けられている。マスクプレート41には基板4の電極(図示せず)の形状や位置等に応じた多数のパターン孔(図示せず)が設けられている。
【0024】
図4において、基台10にはX軸方向に対向する2つの縦フレーム46が立設されており、これら縦フレーム46の上端部のそれぞれにはY軸方向に延びた第1ガイドレール47が設けられている。これら一対の第1ガイドレール47には下面にスライダ48を有したブロック部材49が第1ガイドレール47に沿ってY軸方向に移動自在に設けられており、これら両ブロック部材49をX軸方向に掛け渡すように移動プレート50が設けられている。
【0025】
スキージヘッド42は移動プレート50のX軸方向の中間部に固定されており、移動プレート50と一体となってマスクプレート41の上方をY軸方向に移動自在になっている。図3及び図4において、スキージヘッド42はX軸方向に延びてY軸方向に対向した一対のスキージ51と、各スキージ51を昇降させるスキージ昇降シリンダ52を有している。各スキージ昇降シリンダ52は制御装置31から作動制御がなされる。
【0026】
スキージヘッド移動機構43は上記縦フレーム46、第1ガイドレール47、スライダ48、ブロック部材49、移動プレート50から成る。移動プレート50はスキージヘッド移動モータ(図示せず)によって回転駆動される送り螺子(図示せず)と螺合しており、制御装置31に制御されてスキージヘッド移動モータが回転すると移動プレート50が送り螺子に送られて第1ガイドレール47上をY軸方向に移動する。これによりスキージヘッド42に取り付けられたスキージ51をY軸方向に往復動させることができる。
【0027】
図4において、カメラ移動機構45は、2つの縦フレーム46の上端部のそれぞれにY軸方向に延びて設けられた2つの第2ガイドレール53と、これら2つの第2ガイドレール53に跨って設けられ、搬送レール28とマスクプレート41の間をX軸方向に延びるとともに2つの第2ガイドレール53に沿ってY軸方向に移動自在なカメラ保持ステージ
54と、カメラ保持ステージ54に沿ってX軸方向に移動自在なカメラステージ55(図3)から成り、カメラ44はカメラステージ55に取り付けられている。
【0028】
図3に示すようにカメラ44は、撮像面を下方に向けた基板認識カメラ44aと、撮像面を上方に向けたマスク認識カメラ44bから成る。基板認識カメラ44a及びマスク認識カメラ44bは制御装置31からその作動制御がなされ、これら基板認識カメラカメラ44a及びマスク認識カメラ44bによる撮像結果は制御装置31に入力される。
【0029】
カメラ保持ステージ54はカメラ保持ステージ移動モータ(図示せず)によって回転駆動される送り螺子(図示せず)と螺合しており、制御装置31に制御されてカメラ保持ステージ移動モータが回転するとカメラ保持ステージ54が送り螺子に送られてY軸方向に移動する。また、カメラステージ55はカメラステージ移動モータ55a(図3)によって回転駆動される送り螺子(図示せず)と螺合しており、制御装置31に制御されてカメラステージ移動モータ55aが回転するとカメラステージ55が送り螺子に送られてX軸方向に移動する。これによりカメラステージ55を水平面内で移動させることができる。
【0030】
次に、図5(a),(b)を用いてスクリーン印刷機11A,11Bにより基板4にスクリーン印刷を実行する手順について説明する。部品実装ライン3におけるスクリーン印刷装置1の上流側に備えられた装置よりスクリーン印刷機11A(若しくは11B)の基板搬入部12に基板4が送り出されると、制御装置31はその基板搬入部12に備えられた基板搬入路12aの作動制御を行って基板4を基台10内に引き込み、基板4を基板搬入路12aから基板移動ステージ15の搬送レール28に載せ替える。基板4が搬送レール28に載せ替えられたら、制御装置31は搬送レール28の作動制御を行って基板4を基板支持部材29の直上位置まで搬送し、前述の手順により基板4を搬送レール28上にクランプする(図5(a))。そして、カメラステージ55を水平面内で移動させて基板認識カメラ44aにより基板4の位置を認識するとともに、マスク認識カメラ44bによりマスクプレート41の位置を認識しながら、Y軸ステージ21、X軸ステージ22及びθステージ23を移動させ、クランプした基板4をマスクプレート41の直下の所定位置に位置合わせする。
【0031】
基板4の位置合わせが終了したら、制御装置31は第1昇降プレート25をベースプレート24に対して上昇させて基板4の上面とマスクプレート41の下面とを接触させ、図示しないディスペンサ等により、クリーム半田や導電性ペースト等のペースト56をマスクプレート41の上面に供給する。そして、一方のスキージ昇降シリンダ52を下方に伸長させてそのスキージ昇降シリンダ52に取り付けられたスキージ51の下縁をマスクプレート41の上面に当接させる。
【0032】
スキージ51の下縁がマスクプレート41の上面に当接したら、制御装置31はスキージヘッド移動機構43を作動させて移動プレート50全体を基板4と平行な方向(Y軸方向)に移動させ、ペースト56をスキージ51によってかき寄せて、ペースト56をマスクプレート41のパターン孔から基板4の電極に転写させる(図5(b))。
【0033】
ペースト56を基板4に転写させたら、制御装置31は第1昇降プレート25をベースプレート24に対して下降させ、基板4の上面とマスクプレート41の下面とを離間させる。そして、Y軸ステージ21(場合によってはX軸ステージ22及びθステージ23も)をY軸方向に移動させ、搬送レール28と基板搬出路14aの位置合わせを行う。これにより基板4が基板搬出部14に移動される。
【0034】
制御装置31は、基板4が基板搬出部14に移動したところでクランプ部材30を開き、搬送レール28及び基板搬出路14aの作動制御を行って基板4を基板搬出部14から
下流側の部品実装装置2に送り出す。これによりスクリーン印刷装置11A,11Bによる基板4へのスクリーン印刷が終了する。
【0035】
ここで、部品実装装置2の構成について簡単に説明する。部品実装装置2は、図1に示すように、基台61上にX軸方向に延びた2本の平行な搬送レールから成る2つの基板搬送路62a,62bを備えており、これら2つの基板搬送路62a,62bは互いに平行になっている。基台61上にはY軸テーブル63がY軸方向に延びて設けられており、Y軸テーブル63にはX軸方向に延びて一端部がY軸テーブル63に支持された2つのX軸テーブル64が設けられている。各X軸テーブル64にはX軸テーブル64に沿って(X軸方向に)移動自在な移動テーブル65が設けられている。
【0036】
各X軸テーブル64はY軸テーブル63に沿ってY軸方向に移動自在であり、各移動テーブル65はX軸テーブル64に沿ってX軸方向に移動自在であるので、各移動テーブル65はX軸テーブル64の移動動作と移動テーブル65自身の移動動作との組み合わせによって水平面内の任意の位置に移動することができる。また、基台61のY軸方向両側には複数のパーツフィーダ66がX軸方向に並んで設けられている。
【0037】
各移動テーブル65には下方に延びた複数の吸着ノズル(図示せず)を備えた移載ヘッド67が設けられており、移動テーブル65の移動と吸着ノズルの吸着動作によってパーツフィーダ66から部品(図示せず)をピックアップし、その部品(図示せず)をスクリーン印刷装置1から基板搬送路62a,62b上に受け取って所定位置に位置決めした基板4に搭載する。そして、基板4への部品の搭載が終わったら、その基板4を基板搬送路62a,62bによって下流側の装置に送り出す。
【0038】
ここで、スクリーン印刷装置1が備える2つの基板搬出路14aは、部品実装装置2が備える2つの基板搬送路62a,62bと基板4の搬送方向(X軸方向)に対向する位置に設けられている。すなわち、スクリーン印刷装置1の2つの基板搬出部14の間隔は、その下流側に設置された部品実装装置2の2つの基板搬送路62a,62bの間隔に合わせて設定されている。
【0039】
次に、図6(a)〜(f)を用いて本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1により異種(2種)の基板(符号を4a,4bとする)に対するスクリーン印刷を同時進行で実行する手順について説明する。ここで、「異種」とは、基板4そのものが異種である場合のほか、同種の基板4であっても表裏を別とした場合も含む。
【0040】
部品実装ライン3におけるスクリーン印刷装置1の上流側に備えられた装置よりスクリーン印刷機11Aの基板搬入部12から基板4aが搬入されると、制御装置31はその基板4aをスクリーン印刷機11Aの基板移動ステージ15の搬送レール28に載せ替えて印刷実行部13に対して位置決めし、その基板4aにスクリーン印刷を実行する(図6(a),(b))。
【0041】
スクリーン印刷機11Aにおける基板4aへのスクリーン印刷が終了したら、制御装置31はスクリーン印刷機11Aの基板移動ステージ15を作動させて基板4aを基板搬出部14に移動させ(図6(c))、その基板搬出部14から基板4aを搬出する(図6(d))。このスクリーン印刷機11Aの基板搬出部14から搬出された基板4aは、下流側の部品実装装置2が備える2つの基板搬送路62a,62bのうち、スクリーン印刷機11Aの基板搬出部14と対向する方の基板搬送路62aに受け渡される。
【0042】
一方、スクリーン印刷機11Bではこの間、基板搬入部12から搬入された基板4bを基板移動ステージ15の搬送レール28に載せ替えて印刷実行部13に対して位置決めし
、その基板4bにスクリーン印刷を実行する(図6(b),(c))。
【0043】
スクリーン印刷機11Bにおける基板4bへのスクリーン印刷が終了したら、制御装置31はスクリーン印刷機11Bの基板移動ステージ15を作動させて基板4bを基板搬出部14に移動させ(図6(d))、その基板搬送部14から基板4bを搬出する(図6(e))。このスクリーン印刷機11Bの基板搬出部14から搬出された基板4bは、下流側の部品実装装置2が備える2つの基板搬送路62a,62bのうち、スクリーン印刷機11Bの基板搬出部14と対向する方の基板搬送路62bに受け渡される。
【0044】
スクリーン印刷機11Aではこの間、基板搬入部12から搬入された基板4aを基板移動ステージ15の搬送レール28に載せ替えて印刷実行部13に対して位置決めし、その基板4aにスクリーン印刷を実行する(図6(c),(d))。そして、基板4aへのスクリーン印刷が終了したら、スクリーン印刷機11Aの基板移動ステージ15を作動させて基板4aを基板搬出部14に移動させ(図6(e))、その基板搬出部14から基板4aを搬出する(図6(f))。以下、この動作を繰り返すことで、異種の基板4a,4bに対するスクリーン印刷を同時進行で実行することができる。
【0045】
上記のように、本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1では、基板搬入部12、印刷実行部13、基板搬出部14及び基板移動ステージ15を備えて独立してスクリーン印刷を実行できる2基のスクリーン印刷機(スクリーン印刷機11A,11B)を有しているので、異種の基板に対するスクリーン印刷を同時進行で実行することができ、本実施の形態のように、下流側の部品実装装置2が2つの基板搬送路62a,62bを備えている場合であっても、基板振り分け装置を必要とせずに、それぞれの基板搬送路62a,62bにスクリーン印刷を施した基板4(基板4a,4b)を送り出すことができる。
【0046】
また、2基のスクリーン印刷機11A,11Bが備える2つの基板搬入部12、2つの印刷実行部13及び2つの基板搬出部14はそれぞれ部品実装ライン3の基板4の搬送方向(X軸方向)に延びた垂直対称面Sに対して対称な位置に設けられているのでスクリーン印刷機11A,11B各部の配置構成が行い易く、更に、各スクリーン印刷機11A,11Bにおいて印刷実行部13は基板搬出部14よりも垂直対称面Sから離れた位置に設けられているので、下流側の装置である部品実装装置2が備える2つの基板搬送路62a,62bの間隔に合わせて2つの基板搬出部14の間隔を狭く設定せざるを得ない場合であっても、2つの印刷実行部13を互いに干渉させることなく対称位置に配置することができる。
【0047】
また、2つのスクリーン印刷機11A,11Bは並列的に設けられており、それぞれ専用の基板搬入部12を有しているので、異種の基板4に対するスクリーン印刷を同時進行で実行する場合には2つのスクリーン印刷機11A,11Bの間で基板4の種類を変えればよく、各スクリーン印刷機11A,11Bには同種の基板4を連続的に供給すればよいので、従来のように異種の基板を交互或いは数個おきに供給するような複雑な基板供給システムを必要としない。
【0048】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、スクリーン印刷装置1が備える2つの基板搬出部14から搬出された基板4はその下流に設置された部品実装装置2が備える2つの基板搬送路62a,62bに直接受け渡される構成となっていたが、スクリーン印刷装置1と部品実装装置2の間に別途基板搬送路を設けてスクリーン印刷装置1と部品実装装置2の間で基板4が間接的に受け渡されるようにしてもよい。
【0049】
また、別途設けた基板搬送路をY軸方向に移動自在とすることにより、スクリーン印刷
装置1の2つの基板搬出部14の一方側から搬出された基板4を部品実装装置1の2つの基板搬送路62a,62bの一方側に選択的に振り分けることができるようにしてもよい。
【0050】
また、上述の実施の形態では、基板搬入部12に2本の平行な搬送レールから成る基板搬入路12aが設けられるとともに、基板搬出部14に2本の平行な搬送レールから成る基板搬出路14aが設けられていたが、基板移動ステージ15が備える2本の搬送レール28を部品実装ライン3の基板4の搬送方向(X軸方向)に延長すれば基板移動ステージ15の搬送レール28がこれら基板搬入路12a及び基板搬出路14aの役割を兼ねることができる。したがってこのような構成を採る場合には基板搬入路12a及び基板搬出路14aは不要である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
複雑な基板供給システムを必要とせず、異種の基板に対するスクリーン印刷を同時進行で実行することができるスクリーン印刷装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備えるスクリーン印刷機の正面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備えるスクリーン印刷機の側面図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスクリーン印刷機の動作説明図
【図6】(a)〜(f)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【符号の説明】
【0053】
1 スクリーン印刷装置
2 部品実装装置
3 部品実装ライン
4 基板
11A,11B スクリーン印刷機
12 基板搬入部
13 印刷実行部
14 基板搬出部
15 基板移動ステージ
62a,62b 基板搬送路
S 垂直対称面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装ラインに組み込まれて用いられるスクリーン印刷装置であって、部品実装ラインの上流側から基板が搬入される基板搬入部、基板搬入部より搬入された基板にスクリーン印刷を実行する印刷実行部、印刷実行部によりスクリーン印刷が実行された基板が部品実装ラインの下流側に搬出される基板搬出部及び基板搬入部より搬入された基板を受け取って印刷実行部に対する基板の位置決め及び印刷実行部でスクリーン印刷が実行された基板の基板搬出部への移動を行う基板移動ステージを備えた2基のスクリーン印刷機を有し、これら2基のスクリーン印刷機の2つの基板搬入部、2つの印刷実行部及び2つの基板搬出部はそれぞれ部品実装ラインの基板の搬送方向に延びた垂直対称面に対して対称な位置に設けられており、各スクリーン印刷機において印刷実行部は基板搬出部よりも垂直対称面から離れた位置に設けられていることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
2つの基板搬出部は、部品実装ラインの下流側に設置された部品実装装置が備える2つの平行な基板搬送路と基板の搬送方向に対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−70867(P2009−70867A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234928(P2007−234928)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】