説明

スクリーン印刷装置

【課題】搬入されたワークの反りをその搬入方向のみならず、搬入方向に対して直角方向であってワークの幅方向の反りをも修正することによって印刷精度を向上させる。
【解決手段】押え爪によってワークの幅方向の両側を上方から押えた状態で反り修正手段によってワークの中間位置を上方から押圧して反りの修正を行なうように構成する。これにより、ワークの反りを有効に修正することができ、スキージの摺動時や版離れ時の基板の動きを低減でき、高精度な印刷が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷装置に係り、とくにスクリーンの下面にワークを重合わせてペースト状物質をワークの表面に印刷するようにしたスクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路装置を組立てる場合には、回路基板上に電子部品を実装することにより行なう。ここで回路基板として絶縁材料から成る基板が用いられる。基板の表面に銅箔が接合されるとともに、エッチングによって所定の配線パターンが形成される。そしてその上に電子部品を実装し、電子部品の電極や端子を回路基板の配線パターンの接続用ランドに半田付けする。
【0003】
上記のような電子部品の電極と回路基板の接続用ランドとの半田付けのために、クリーム半田が用いられる。すなわち配線を施した回路基板の表面の所定の位置に、スクリーン印刷の方法によってクリーム半田を印刷して付着させる。そしてその上に電子部品を位置決めした状態で実装する。そして電子部品が搭載された回路基板をリフロー炉内に静かに導入する。リフロー炉内の熱によってクリーム半田が溶融し、これによって電子部品の電極が回路基板の接続用ランドに半田付けされる。従って電子回路の製造の際に、回路基板上にスクリーン印刷の方法によってクリーム半田を塗布するためのスクリーン印刷装置が必要になる。
【0004】
一般にスクリーン印刷装置は、スクリーンに設けられた孔から成るパターンを通してクリーム半田を基板のランドに印刷する装置であって、次のようなユニットを必要とする。すなわちクリーム半田をスクリーンのパターンに押込むためのスキージユニット、スクリーンの裏側やパターンに残留したクリーム半田を清掃するクリーニングユニット、基板上に設けられたアライメントマークを検出して基板の位置を認識するカメラユニット、印刷がその表面に行なわれる基板を固定してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向のそれぞれの位置決めをする位置決めテーブル等から構成される。本願はこのようなクリーム半田印刷機の改良に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−236489号公報
【特許文献2】特開平5−185580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなスクリーン印刷装置によって印刷される基板は、この装置に搬入されるときに若干の反りを有する。このような反りは基板それ自身の変形や片面に電子部品をマウントすることによって生ずる。反りがある状態では、基板を正確に位置決めすることができない。また基板に反りがあるとスクリーンに対して基板の全面を密着できないばかりか、たとえできたとしてもスクリーンの一部を変形させたり、版離れ時にスクリーンに対して基板がX軸方向あるいはY軸方向に動くことで、基板のランドに印刷されたクリーム半田の変形や欠け、割れ等の原因になる。
【0007】
このような不具合を解消するために、所定の位置へ搬入された基板の両側端の上部へほぼ基板の長さに近い押え爪を押当てて基板の下に位置する部品でその押え爪に押付けて反りを一時的になくした状態で基板を下側から吸着し、これによって吸着治具に固定する等の方法を採用していた。しかしこのような今までの方法では、押え爪の長さ方向であるX軸方向の反りに対しては有効であっても、Y軸方向、すなわち基板の搬送方向と直角方向であって幅方向の反りに対しては必ずしも十分な効果を発揮しなかった。
【0008】
本願の発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、印刷装置に搬入されたワークの反りをその搬入方向のみならず、搬入方向に対して直角方向であってワークの幅方向の反りをも修正することによって印刷精度を向上させるようにしたスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の主要な発明は、スクリーンの下面にワークを重合わせてペースト状物質を前記ワークの表面に印刷するようにしたスクリーン印刷装置において、
前記ワークを前記スクリーンの下面に対して重合わせる昇降可能な位置決めユニットと、
前記ワークの幅方向の両側を押える押え爪とを具備し、
印刷に先立って、前記押え爪によって前記ワークを押えた状態で前記ワークの反りの修正を行ない、反りの修正後に前記押え爪がスクリーンと干渉しない位置へ退避することを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記ワークの中間位置を押圧して前記ワークの反りの修正を行なう反り修正手段をさらに具備するものであってもよい。また前記ワークの表面のアライメントマークを画像認識する画像認識カメラを具備し、該画像認識カメラとともに前記反り修正手段が共通のキャリッジに支持されて移動するようにしてよい。
【0011】
またワークが回路基板であってよい。またペースト状物質がクリーム半田であってよい。
【0012】
本願に含まれる発明の好ましい態様は、上記の基板を両側から挟着する両側のガイド間に位置し、最上部のZ軸テーブルに搭載されて基板の下面を吸着する基板取付け治具と、この基板取付け治具が上昇して基板を持上げたときに基板の幅方向の両端の部分を上から押えるとともに、印刷時にスクリーンと干渉しない位置へ移動可能な押え爪と、基板のアライメントマークを認識する画像認識カメラを載置したキャリッジに取付けられて基板を下方に向けて押す反り修正手段を有するクリーム半田印刷装置である。
【0013】
画像認識カメラを移動させるキャリッジに取付けた反りの修正手段によって基板の反りを修正するようにした構成によれば、基板のX軸方向およびY軸方向の反りに対して有効な働きをし、スキージの摺動時や版離れ時の基板の動きを低減でき、高精度な印刷が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本願の主要な発明によれば、印刷に先立ってワークの反りの修正を行なうことが可能になり、この後に印刷が行なわれるために高精度の印刷が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】スクリーン印刷装置の全体の構成を示す正面図である。
【図2】同スクリーン印刷装置の側面図である。
【図3】スクリーン印刷装置の原理的な構成を示す正面図である。
【図4】同側面図である。
【図5】基板の位置決めユニットの構造を示す正面図である。
【図6】同原理的な構成を示す正面図である。
【図7】基板の反りの修正のための構成を示す側面図である。
【図8】基板の反りの修正の動作を示す正面図である。
【図9】同側面図である。
【図10】印刷を終った状態の要部正面図である。
【図11】同要部側面図である。
【図12】スクリーンの下側への基板の搬入および位置決めの動作を示す側面図である。
【図13】基板の平面図である。
【図14】基板の画像認識を示す正面図である。
【図15】スキージの支持構造を示す分解斜視図である。
【図16】同要部正面図である。
【図17】同要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本願の発明の一実施の形態を図面によって説明する。図1および図2はこのスクリーン印刷装置の正面図および側面図を示しており、図3および図4はこのような装置を原理的に示した正面図および側面図を示している。これらの図によってスクリーン印刷装置の概要を説明する。
【0017】
このスクリーン印刷装置は背面側に直立する支持ベース10を備えている。そしてこの支持ベース10上にはその下側の前面に横方向に延びる上下に所定の間隔を隔てた案内レール11、12を有しており、これらの案内レール11、12によってキャリッジ13を移動自在に支持している。キャリッジ13はカメラユニット14を支持しており、このカメラユニット14によって画像認識カメラ15が支持されるようになっている。なおこの画像認識カメラ15は後述する基板の画像認識を行なうためのものである。
【0018】
上記一対の案内レール11、12によってさらに別のキャリッジ18が支持されるようになっている。キャリッジ18にはクリーニングユニット19が支持されている。クリーニングユニット19は図3に示すようにクリーニングテープ20によって後述するスクリーンの下面をクリーニングするためのものである。そしてクリーニングテープ20がこのクリーニングユニット19の繰出しローラ21から繰出され、クリーニングを終ったクリーニングテープ20が巻取りローラ22によって巻採られるようになっている。
【0019】
上記カメラユニット14およびクリーニングユニット19の移動範囲の上側にスクリーン25が配設される。スクリーン25は枠体26によってその4辺が固定された状態で張設されている。そして枠体26が取付けフレーム27によってこの印刷装置の所定の位置に固定される。
【0020】
スクリーン25上には一対のスキージ31、32が配設される。スキージ31、32はそれぞれ支持体33、34に支持されるとともに、支持体33、34がそれぞれエアシリンダ35、36によって支持されるようになっている。
【0021】
上記支持ベース10の表面側であってその上側の部分には横方向に延びる一対の案内レール37、38が配列されており、これらの案内レール37、38によってキャリッジ39が移動可能に支持されている。そしてこのようなキャリッジ39によって上記スキージ31、32が横方向に移動されるようになっている。
【0022】
次に上記スクリーン25の下側においてワークを構成する基板を位置決めするための位置決め装置について説明する。図5はこの位置決め装置の具体的な構成を示しており、図6はその原理図を示している。図5および図6に示すようにこの装置はベース43を備え、ベース43上に4本のZ軸ガイド44が直立して設けられている。そしてZ軸ガイド44によって下側のZ軸テーブル45がZ軸方向、すなわち垂直方向に移動可能に支持されている。Z軸テーブル45はベース43の下側に取付けられているエアシリンダ46のロッド47によって押上げられるようになっており、Z軸ガイド44によって昇降自在に移動されるようになっている。そしてZ軸ガイド44に設けられているストッパ48によって上方の移動位置が規制される。
【0023】
Z軸テーブル45上にはY軸テーブル51が搭載され、このY軸テーブル51の上にX軸テーブル52が搭載されている。そしてX軸テーブル52の上にθ軸テーブル53が搭載されている。そしてθ軸テーブル53上に取付け板54が取付けられている。
【0024】
上記取付け板54上には4本のZ軸ガイド55が上方に延びるように配設されており、これらのガイド55によってZ軸テーブル56が昇降自在に支持されている。そして図示を省略したモータとZ軸テーブル56のボールねじ58とが連動されており、これによってZ軸テーブル56の昇降動作が行なわれるようになっている。そしてZ軸テーブル56上には基板取付け治具60が取付けられており、この基板取付け治具60によって基板61の吸着保持を行なうようにしている。これによってスクリーン25の下側に基板61の位置決めユニット50が配置されることになる。
【0025】
次に上記取付け板54に設けられている基板61の保持のための機構について説明すると、取付け板54上にはその両側にそれぞれ支持体65、66が設けられている。そして左側の支持体65には図6に示すようにその上端に固定ガイド67が固定されている。これに対して右側の支持体66の上端にはベース68を介して移動ガイド69が取付けられている。またこれらのガイド67、69によってコンベアベルト70が支持されている。
【0026】
上記支持体65、66にはそれぞれ図6および図11に示すように側方に延びるようにアーム73、74が設けられ、これらのアーム73、74に支持部材75、76を介して押え爪77、78が設けられている。これらの押え爪77、78が後述するように、この位置決め装置の上へ導入された基板61の幅方向の両側を上から押えるようになっている。
【0027】
上記固定ガイド67および移動ガイド69によってそれぞれ支持されているコンベアベルト70の上流側と下流側とにはそれぞれ図5に示すように搬入コンベア81と排出コンベア82とが配設され、これらのコンベア81、70によって基板61を位置決めユニット50の基板取付け治具60上に導入し、印刷を終った後に排出コンベア82によって排出するようにしている。
【0028】
上記画像認識カメラ15を備えるカメラユニット14には、図7に示すようにその下部に下方に向けてシリンダ85が取付けられている。このシリンダ85のロッドが修正ピン86を構成しており、このような修正ピン86によって図10および図11に示すように、基板取付け治具60に載置された基板61の上面のほぼ中央部を押圧することによって、基板61の反りの修正を行なうようになっている。
【0029】
このように本実施の形態のスクリーン印刷装置はスクリーン25を備え、枠体26を介して取付けフレーム27によって固定されている。そしてスクリーン25の真下の位置に基板61が配され、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動可能な位置決めユニット50に搭載されている基板取付け治具60によって固定されるようになっている(図1および図3参照)。
【0030】
図1〜図4に示すようにキャリッジ13にカメラユニット14が取付けられており、このカメラユニット14に画像認識カメラ15が搭載されている。そしてキャリッジ13はここで図示を省略しているが、サーボモータとボールねじを介して駆動される構成をとる。キャリッジ13は支持ベース10上に横方向に延びる上下一対の案内レール11、12によって支持されるようになっており、このような構成によって省スペース化と剛性の向上とを図っている。
【0031】
しかもこのような案内レール11、12によってクリーニングユニット19を搭載したキャリッジ18を案内するようにしている。すなわちここではクリーニングユニット19のキャリッジ18の案内レールがカメラユニット14の案内レール11、12と共用されている。
【0032】
スクリーン25上にはスキージ31、32から成るスキージユニットを配設している。すなわち一対のスキージ31、32を有し、それぞれが別々にエアシリンダ35、36によって上下に移動可能な構成になっている。そしてこれらのスキージ31、32はキャリッジ39に搭載されており、キャリッジ39が図示を省略したモータとボールねじとによって移動されるようになっている。キャリッジ39の移動のための案内機構は支持ベース10上に設けられている上下2本の横方向に延びる案内レール37であって、上記カメラユニット14の案内機構と同様の構成になっている。
【0033】
スクリーン25の下側に配されておりかつ基板61を位置決めする位置決めユニット50は図5および図6に示すように、搬入コンベア81によってその上に基板61が搬入されるようになっている。図5および図6は基板61が搬入されて基板取付け治具60上に載置された状態を示している。なお搬入コンベア81によって搬入された基板61はコンベアベルト70によって受け渡され、図示を省略したストッパによって基板取付け治具60上に停止させるようにしている。
【0034】
基板取付け治具60は上側のZ軸テーブル56上に取付けられており、4本のZ軸ガイド55によって案内されてZ軸方向に移動できるようになっている。そしてZ軸テーブル56の移動のためにボールねじ58とモータ(図示せず)とが設けられており、これによって上側のZ軸テーブル56の昇降機構を構成している。
【0035】
上記Z軸ガイド55を支持する取付け板54はθ軸テーブル53上に取付けられており、このテーブル53が回転方向の運動を行なうようなっている。なおここでθ軸テーブル53の駆動装置は図示していないが、例えば回転軸を設けたシリンダやモータで揺動させたり、駆動装置付きの回転テーブルから構成すればよい。そしてその下側にX軸テーブル52が配されており、X軸方向へ移動できるようにモータとボールねじとを使った駆動機構で移動されるようにしている。そしてその下側にY軸テーブル51が配されており、Y軸方向へ移動できるようにモータとボールねじとを使った駆動機構が設けられている。
【0036】
Y軸テーブル51の下側にZ軸テーブル45が配されており、4本のガイド軸44によってZ軸方向に案内され、このテーブル45上に上記のY軸テーブル51、X軸テーブル52、θ軸テーブル53、Z軸テーブル56が総てZ軸方向に移動できるようにしている。なお下側のZ軸テーブル45はシリンダ46によって昇降動作の駆動が行なわれるようになっている。
【0037】
以上のような構成によって、この位置決めユニット50は、全体がX軸、Y軸、Z軸、θ軸の4軸方向の移動が可能であって、しかもZ軸方向は2軸から構成され、全体で5軸の位置決めユニット50を構成している。
【0038】
とくに本実施の形態のスクリーン印刷装置において、最上部のZ軸テーブル56を図示を省略したモータとボールねじ58とによって駆動し、下側のZ軸テーブル45をシリンダ46によって駆動する構成を採用しているために、コンパクトでしかも高い剛性を有する位置決めユニット50が得られるようになる。
【0039】
このような位置決めユニット50の基板取付け治具60上に導入される基板61はスクリーン25の真下に位置するとともに、その幅方向の両側からガイド67、69によって位置規制が行なわれるようになっている。これらのガイド67、69はコンベアベルト70を支持するとともに、導入される基板61の両端の下側にコンベアベルト70が位置するようになっている。そして上記ガイド67、69の外側であってその両側にそれぞれ押え爪77、78が配される。これらの押え爪77、78は基板61の幅方向の両端を上から押えるためのものである。
【0040】
基板61が載置された位置決めユニット50を上昇させると図11に示すように、基板61がスクリーン25の下面に押付けられた状態になる。ここで右側のガイド69は基板61の幅方向に移動可能に構成されており、基板61を反対側の固定ガイド67に押付けて固定するようにしている。両側のガイド67、69はθ軸テーブル53上の取付け板54上に搭載されている。またここでガイド67、69にコンベアベルト70が設けられている。これらのコンベアベルト70はそのガイドが複数のローラから構成されており、しかもモータによって駆動されるコンベアベルトになっている。このようなコンベアベルト70が両側のガイド67、69の下面に取付けられている。
【0041】
基板61をその上に載置して保持する基板取付け用治具60は真空吸着用の孔が面上に多数設けられている。この基板取付け用治具60は上側のZ軸テーブル56上に取付けられている。
【0042】
このように基板61がスクリーン25の下面に圧着した状態で図10に示すスキージ31,32が移動すると印刷動作が行なわれる。すなわちスクリーン25上をスキージ31、32が摺動するとクリーム半田が撹かれて印刷が行なわれる。ここで一対のスキージ31、32が設けられ、往復動で2つのスキージ31、32を交互に使い分けることによって2枚の基板61の印刷が行なわれるようにしている。
【0043】
このような印刷に先立って図7に示す機構によって、基板61の反りの修正が行なわれる。図7においてスクリーン25は枠体26を介して本体に固定されている。そしてスクリーン25の下側にコンベア81、70によって基板61が導入される。このような基板61の反りを修正するための反り修正ピン86を備えるエアシリンダ85が画像認識カメラ15とともにカメラユニット14に取付けられており、キャリッジ13によってX軸方向に回動可能に支持されている。
【0044】
図7に示す基板61をその両側の上部から押える押え爪77、78はコンベアベルト70の両側にそれぞれ位置しており、ヒンジ91、92を介して回動可能に支持されている。そして押え爪77、78の固定側はそれぞれY軸方向に移動可能な摺動板95、96に支持されている。また押え爪77、78は引張りばねによって閉じる方向すなわち下方へ押えられており、エアシリンダ93、94によって開閉動作が行なわれるようになっている。
【0045】
左側の押え爪77の下側の摺動板95は支持体66を介して位置決めユニット50の取付け板54に支持されている。これに対して右側の爪78の下側の摺動板96は支持体66に支持されるとともに、この支持体66がY軸方向に移動可能な摺動板98上に支持されている。
【0046】
次にスクリーン25上を摺動してクリーム半田の印刷を行なうスキージ31、32の支持構造について説明する。図15〜図17に示すようにスキージ31は支持体33に連結用ブラケット106およびスキージホルダ107を介して取付けられるようになっている。そしてスキージホルダ107に取付けられたスキージ31を反対側から押え板108によって押えるようにしている。
【0047】
上記支持体33の下端側であって幅方向の両側にはそれぞれ小さな係止用切欠き111が形成されている。また支持体33の下端側にはその幅方向のほぼ中央部に凹部112が形成されている。さらにこの凹部112の両側に位置するように支持体33の下端側であってその前面側には一対の雌ねじ孔113が形成されている。
【0048】
これに対して連結用ブラケット106はその上面に挿入穴116を備えるとともに、この挿入穴116の両側にそれぞれフックレバー117が配されている。フックレバー117はその先端部に爪118を備え、これらの爪118が上記支持体33の係止用切欠き111に係止される構造になっている。
【0049】
さらに連結用ブラケット106はその正面側に一対の切欠き119を有しており、これらの切欠き119を挿通する本締め用ねじ120が上記支持体33の雌ねじ孔113に螺着されるようになっており、これによって連結用ブラケット106が支持体33の下端に連結された状態で固定されるようになっている。
【0050】
スキージホルダ107はその長さ方向の中間位置、すなわちスキージ31の幅方向の中間部分と対応する位置に上方に突出する突部123を備え、この突部123に挿通孔124が形成されている。そしてこの挿通孔124に対応して連結用ブラケット106には挿通孔125が形成されている。これらの挿通孔124、125を挿通するようにピン126が組込まれる。そしてピン126と連結用ブラケット106の挿通孔125との間にはボールベアリング127が介装されるようになっている。このような回動機構によってスキージホルダ107に取付けられるスキージ31のイコライズ機構が達成される。なお上記スキージホルダ107の長さ方向の両端にはそれぞれ合成樹脂製のエンドプレート130が固定される。
【0051】
次にこのような構成に係るスクリーン印刷装置の動作を説明する。まずこの印刷装置の動作の全体の概要を説明すると、図5に示すコンベアベルト70上に基板61が存在しない場合に、位置決めユニット50のY軸テーブル51とX軸テーブル52とが作動し、この位置決めユニット50の上側の部分が搬入コンベア81側に移動する。そして搬入コンベア81およびコンベアベルト70を作動させて基板61をコンベアベルト70上に導入し、所定の位置で停止させるとともに、コンベア70も停止する。図5は基板61がこの位置で停止した状態が示されている。
【0052】
次に上側のZ軸テーブル56が図外のモータおよびボールねじ58によって上昇され、基板61をコンベア70から持上げる。そしてこの後に基板61の固定と反りの修正とが行なわれる。これらの動作につては後述する。基板61の反りを修正して基板61を位置決めユニット50の基板取付け治具60に固定した後に、カメラユニット14がキャリッジ13によって案内レール11、12に沿って移動され、画像認識カメラ15が基板61の上方に移動し、基板61上のアライメントマークの認識を行なう。
【0053】
このような画像認識カメラ15による基板61のアライメントマークの検出に連動して、制御ユニットによってX軸テーブル52、Y軸テーブル51、θ軸テーブル53を駆動して基板61の位置ずれを修正する。そしてこの後にエアシリンダ46を作動させ、位置決めユニット50の全体を上昇させてスクリーン25の下面に基板61を接触させる位置まで上方に移動させる。
【0054】
そしてこのような状態でスキージ31、32がスクリーン25上を摺動してクリーム半田の印刷を行なう。一連の印刷作業が終了した後に、ボールねじ58によって上側のZ軸テーブル56を下方に移動させ、これによって基板61をスクリーン25から版離れさせる。そしてこの後に下側のZ軸テーブル45をエアシリンダ46によって降下させる。次に基板取付け治具60による基板61の吸着固定を解除する。そしてこの後にX軸テーブル52とY軸テーブル51とを駆動し、この位置決めユニット50を排出コンベア82側へ移動させ、コンベアベルト70と排出コンベア82とをともに移動させて基板61を排出コンベア82に
よって排出する。
【0055】
上記のような印刷動作を行なう際に、位置決めユニット50上に基板61を固定し、基板61の反りを修正してクランプを行なうようにしている。この動作を図12によって説明する。図12Aにおいてスクリーン25のほぼ真下の位置へコンベア70によって基板61が導入される。すなわち基板61が両側のベルト70によってスクリーンの下側に移動される。このときに基板61の両側にそれぞれガイド67、68が位置している。なおこれらのガイド67、68によってコンベアベルト70が支持されている。またこれらのガイド67、68の外側にはそれぞれ押え爪77、78が位置している。
【0056】
ここで図12Aは基板61が印刷装置に搬入された状態を示し、この後順次印刷前の各種の動作が行なわれる。図12Bにおいて右側のガイド68が左方に前進し、基板61の反対側のガイド67に押当てるようにベルト70上の基板61を左右の方向からクランプする。なおこのときに押え爪78も同方向に前進する。
【0057】
次いで図12Cに示すように、両側の押え爪77、78がそれぞれ上昇し、この後に互いに近接するように基板61の幅方向に移動し、これによって基板61の両端の上側の位置へ移動してその位置で押え爪77、78が停止する。次いで図12Dに示すように、基板取付け治具60が上昇して上側で待機する押え爪77、78に基板61の上面であって両側端の部分を押付ける。そしてこの後に上側のZ軸テーブル56が上昇する。そしてこの動作の直後に基板取付け治具60が基板61を真空吸着して固定する。
【0058】
次に図12Eに示すように両側の押え爪77、78が一旦上方へ退避した後に側方に移行し、この後下降してこれらの押え爪77、78による基板61の拘束を解除する。そしてこの状態で基板61とスクリーン25との間にカメラユニット14が導入され、基板61上のアライメントマークを画像認識カメラ15によって認識する。しかも上記カメラユニット14には図7に示すような修正ピン86を備えるエアシリンダ85が設けられており、このようなエアシリンダ85を作動させて修正ピン86によって基板61の所定の位置を下方へ押圧し、これによって基板61の反りを修正し、基板取付け治具60に対する密着性を良好にする。
【0059】
一般に印刷装置に導入される基板61には反りがある場合が多い。反りがある状態で基板61上にクリーム半田をそのまま印刷すると正確な印刷が行ない難い。また版合わせ時にスクリーン25のパターン孔と基板61のランドとを正確に合わすことができない。また反りがある場合には版離れのときにスクリーン25に対して基板61がX軸方向あるいはY軸方向に移動し、基板61のランドに印刷されたクリーム半田のずれや抜け、あるいは割れを起し易く、不具合を生じ易い。
【0060】
ところがこのような不具合が、上記のような基板61の反りの修正によって解消される。この後に位置決めユニット50がX軸方向、Y軸方向、およびθ軸方向に移動することによって基板61の位置の修正を行なう。そしてこの後に図12Fに示すように最下段のZ軸テーブル45がシリンダ46によって上方に移動され、基板61をスクリーン25の下面に密着させて印刷を行なうようにしている。
【0061】
次に印刷に先立って行なわれる基板61の画像認識の動作を説明する。図14においてスクリーン25が枠体26に張設された状態で取付けフレーム27を介して固定配置されている。そしてこの上を移動するようにスキージ31が配されている。ここで画像認識が行なわれる基板61は位置決めユニット50の基板取付け治具60に固定された状態でスクリーン25の下側に導入される。すなわち印刷装置に搬入された基板61は基板取付け治具60に固定されており、スクリーン25のほぼ真下の位置に位置決めされる。
【0062】
ここで高精度な印刷を行なうためには、基板61上の2個所のアライメントマークを画像認識カメラ15で画像認識する必要がある。アライメントマークは基板の表面の対角線上の両端のように離れた位置に設けられており、このために印刷前に画像認識カメラ15をX軸方向およびY軸方向に移動してアライメントマークの認識を行なう。
【0063】
ここでカメラ15から取込まれたデータが処理され、スクリーン25に対する基板61のX軸方向、Y軸方向、およびθ軸方向の位置補正量の計算が行なわれる。この位置補正量のデータを制御装置に取込み、演算処理し、これによって位置決めユニット50のX軸テーブル52、Y軸テーブル51、およびθ軸テーブル53を作動させて基板61の補正を行なう。これによってスクリーン25に対して基板61を正確な位置に移動させる。
【0064】
とくに本実施の形態のスクリーン印刷装置の特徴は、図1〜図4および図14に示すようにスクリーン25のほぼ真下にある基板61に対して、スクリーン25と基板61との間に画像認識カメラ15をキャリッジ13によってX軸方向およびY軸方向に動かして基板61上のアライメントマークの認識を行なうようにしたものである。
【0065】
このことによってスクリーン25から水平方向に離れた位置でカメラ15または基板61を移動させて基板61上のアライメントマークを認識する場合に比べて、とくに水平面方向のスペースを大幅に縮小し、これによってスクリーン印刷装置の大幅な小型化を実現することが可能になる。また移動量が少ないために、位置決めユニット50の小型化も同時に達成される。
【0066】
このように本実施の形態のスクリーン印刷装置は、この装置に搬入された基板61が所定の動作の後に、位置決めユニット50の基板取付け治具60上に固定された状態で、画像認識カメラ15がX軸方向およびY軸方向に移動して基板61上に予め設定されたアライメントマークを認識する。そしてこの後に画像認識カメラ15を有するカメラユニット14は位置決めユニット50が上昇した際に干渉しないように図1および図3に示す右側の位置、すなわち原点位置へ戻って停止する。
【0067】
このように画像認識によってスクリーン25に設けられたパターンと基板61に設けられたランドのずれをX軸方向、Y軸方向、θ軸方向の3方向について算出する。そして位置決めユニット50が算出されたずれ量だけX軸方向、Y軸方向、およびθ軸方向にそれぞれ移動し、これによって位置ずれが修正される。この後に位置決めユニット50はさらに上昇し、基板61がスクリーン25の下面に接触した位置で停止する。この後にスキージ31、32がスクリーン25上を摺動してクリーム半田の基板61上への印刷が行なわれる。
【0068】
このように基板61の上面がスクリーン25の下面に押付けられた状態でスキージ31、32がスクリーン25上を摺動することによって基板61に対するクリーム半田の印刷が行なわれる。そしてこの後にスキージ31は図10に示すように、基板61から右方に外れた位置で停止する。スキージ31はスクリーン25上を摺動する際にスクリーン25に対して適正な印刷力を印加する。従ってスキージ31が基板61から右方に外れて停止している状態においては、このスキージ31のスクリーン25に対する印加力が図11に示す両側のガイド67、69によって受けられている。
【0069】
このときに図10に示すようにスクリーン25は微小量下方に撓んだ状態にある。なおこのときのスクリーン25の高さ方向の撓み量は例えば約0.1mm程度に設定される。この撓み量の設定は、位置決めユニット50によってZ軸方向、すなわち上下方向に基板61を上昇させたときの基板61の上面と両側のガイド67、69の上面との間のギャップによって任意に調整可能である。
【0070】
図10に示すようにスキージ31が基板61から離れてスクリーン25上で停止している状態において、上側のZ軸テーブル56を図外のモータおよびボールねじ58によって下降させ、これによって基板取付け治具60とともに基板61を下方に移動させてスクリーン25に対する版離れを行なう。
【0071】
この版離れの動作によってスクリーン25が下方に引張られる。その主な理由はスクリーン25の孔に入ったクリーム半田が基板61の表面のランドに印刷されており、上記のスクリーン25のパターンの孔の側面に発生する粘性でクリーム半田がスクリーン25を下方に引張ることによる。このような版離れのときに発生するスクリーン25を下方に引張る力が、ガイド67、69の上面で受けられるために、スクリーン25の下方への撓み量を非常に微小に抑えることが可能になる。そしてこのような版離れの後に、スキージ31、32がエアシリンダ35、36によって上昇される。
【0072】
このような版離れの動作によって、基板61のランドの部分にクリーム半田を印刷した後の版離れの際におけるスクリーン25の動きや振動を微小にかつ最小限に抑えることが可能になる。このことから基板61上へのクリーム半田の高精度なスクリーン印刷を可能にする。
【0073】
このようにしてクリーム半田のスクリーン印刷を行なうスクリーン印刷装置は、図15〜図17に示すような機構によってイコライズするスキージ31、32を備えている。すなわちスキージ31はスキージホルダ107に取付けられ、背面側から押え板108によって押えられて固定されている。そしてスキージホルダ107の長さ方向のほぼ中央部分にピン126から成る回転機構を有し、これによってスキージホルダ107が連結用ブラケット106に対して所定の角度揺動可能にしている。この回動機構は例えばピン126とボールベアリング127とを用い、スキージ31がスクリーン25の表面に対して軽くイコライズする構成になっている。
【0074】
ここで連結用ブラケット106は一対のフックレバー117をその挿入穴116に内蔵しており、しかもねじりコイルばねによって図16において矢印で示したように、フックレバー117の先端側の爪118が支持体33の側面の係止用切欠き111に係合する方向に回動付勢されている。
【0075】
連結用ブラケット106はその挿入穴116にインロウ構造で支持体33を受入れるようになっており、このときに上記フックレバー117の爪118が係止用切欠き111に係止するようになっている。そして連結用ブラケット106と支持体33とを連結した後に、連結用ブラケット106の切欠き119を通して本締め用ねじ120を上記支持体33の雌ねじ孔113に締付けることによって連結用ブラケット106と支持体33とが再現性よく確実に結合固定されるようになる。
【0076】
以上本願の発明を図示の一実施の形態によって説明したが、本願の発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態はクリーム半田の印刷装置に関するものであるが、本願の発明はその他各種のペースト状物質の印刷装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10‥‥支持ベース、11、12‥‥案内レール、13‥‥キャリッジ、14‥‥カメラユニット、15‥‥画像認識カメラ、18‥‥キャリッジ、19‥‥クリーニングユニット、20‥‥クリーニングテープ、21‥‥繰出しローラ、22‥‥巻取りローラ、25‥‥スクリーン、26‥‥枠体、27‥‥取付けフレーム、31、32‥‥スキージ、33、34‥‥支持体、35、36‥‥エアシリンダ、37、38‥‥案内レール、39‥‥キャリッジ、43‥‥ベース、44‥‥Z軸ガイド、45‥‥Z軸テーブル、46‥‥エアシリンダ、47‥‥ロッド、48‥‥ストッパ、50‥‥位置決めユニット、51‥‥Y軸テーブル、52‥‥X軸テーブル、53‥‥θ軸テーブル、54‥‥取付け板、55‥‥Z軸ガイド、56‥‥Z軸テーブル、58‥‥ボールねじ、60‥‥基板取付け治具、61‥‥基板、65、66‥‥支持体、67‥‥固定ガイド、68‥‥ベース、69‥‥移動ガイド、70‥‥コンベアベルト、73、74‥‥アーム、75、76‥‥支持部材、77、78‥‥押え爪、81‥‥搬入コンベア、82‥‥搬出コンベア、85‥‥シリンダ、86‥‥修正ピン、91、92‥‥ヒンジ、93、94‥‥エアシリンダ、95、96‥‥摺動板、98‥‥摺動板、106‥‥連結用ブラケット、107‥‥スキージホルダ、108‥‥押え板、111‥‥係止用切欠き、112‥‥凹部、113‥‥雌ねじ孔、116‥‥挿入穴、117‥‥フックレバー、118‥‥爪、119‥‥切欠き、120‥‥本締め用ねじ、123‥‥突部、124、125‥‥挿通孔、126‥‥ピン、127‥‥ボールベアリング、130‥‥エンドプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンの下面にワークを重合わせてペースト状物質を前記ワークの表面に印刷するようにしたスクリーン印刷装置において、
前記ワークを前記スクリーンの下面に対して重合わせる昇降可能な位置決めユニットと、
前記ワークの幅方向の両側を押える押え爪とを具備し、
印刷に先立って、前記押え爪によって前記ワークを押えた状態で前記ワークの反りの修正を行ない、反りの修正後に前記押え爪がスクリーンと干渉しない位置へ退避することを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記ワークの中間位置を押圧して前記ワークの反りの修正を行なう反り修正手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記ワークの表面のアライメントマークを画像認識する画像認識カメラを具備し、該画像認識カメラとともに前記反り修正手段が共通のキャリッジに支持されて移動することを特徴とする請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
ワークが回路基板であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
ペースト状物質がクリーム半田であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−247545(P2010−247545A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171903(P2010−171903)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【分割の表示】特願2001−34715(P2001−34715)の分割
【原出願日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】