スターリングエンジンの防振支持装置
【課題】コイルばねのサージングを抑えて振動伝達を効果的に低下させることのできるスターリングエンジンの防振支持装置を提供する。
【解決手段】スターリングエンジン10の防振支持装置を、上下方向の吊り棒20と、剛性のブラケット56と、ブラケット56と支持プレート14とで上下方向に圧縮状態に挟まれ、スターリングエンジン10の荷重を弾性支持する圧縮コイルばねと、ブラケット56と支持プレート14との間に圧縮コイルばねと並列配置され、ブラケット56と支持プレート14とを弾性接続する防振ゴム部材74とを含んだ構成とする。
【解決手段】スターリングエンジン10の防振支持装置を、上下方向の吊り棒20と、剛性のブラケット56と、ブラケット56と支持プレート14とで上下方向に圧縮状態に挟まれ、スターリングエンジン10の荷重を弾性支持する圧縮コイルばねと、ブラケット56と支持プレート14との間に圧縮コイルばねと並列配置され、ブラケット56と支持プレート14とを弾性接続する防振ゴム部材74とを含んだ構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスターリングエンジンの防振支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スターリングエンジンは古くから知られているエンジンで、容器の内部でディスプレーサピストンを高温部と低温部とで往復移動させ、これにより容器内部で生じる圧力変化を利用して出力ピストンを往復移動させる外燃機関であり、高い効率を有しながらも製作上の困難さ等から今まで利用が遅れていたが、近年における地球環境保護の観点等から注目を集めつつあるエンジンである。
【0003】
このスターリングエンジンの用途として発電用やボイラに代わる用途等が考えられているが、このスターリングエンジンはエンジン自身が振動源となるため、これを家庭に設置する場合にはエンジン自体の振動をできるだけ抑制し、またエンジンからの振動がこれを覆うケーシングや床その他に伝達されるのをできるだけ抑制することが求められる。
具体的には、家庭用に設置されるスターリングエンジンは鉛直方向(上下方向)に例えば±1mm程度の振幅(周波数は例えば50Hz)で振動を生じるが、その支持体やケーシング等における振動は±0.03mm程度以下の振幅に抑制することが望ましい。
【0004】
スターリングエンジンを防振支持するための防振支持装置には従来様々なものが提案されている。
例えば下記特許文献1には、スターリングエンジンを引張コイルばねにて吊下状態に支持し、引張コイルばねの弾性変形に基づいて振動吸収し、防振支持するようになしたものが提案されている。
図17はその具体例を示している。
【0005】
同図において200はスターリングエンジンで、202はその支持体、204はスターリングエンジン200を吊下状態に弾性支持する引張コイルばねである。
即ちスターリングエンジン200は、引張コイルばね204にて吊下状態に弾性支持されており、スターリングエンジン200で発生した振動は引張コイルばね204の弾性変形に基づいて吸収され、支持体202への振動伝達が抑制される。
【0006】
スターリングエンジンの動作周波数(ここでは50Hz)での振動振幅を例えば±1mmとしたとき、支持体ないしケーシング等における振動振幅を±0.03mm程度まで抑制するには、動作周波数及び近傍周波数での振動伝達を著しく下げなければならない。
そのためにはスターリングエンジン200をできるだけ軟らかいばねを用いて支持することが必要で、そのために特許文献1に開示のものでは、長さの長い引張コイルばねを用いてスターリングエンジン200を軟らかく支持するようにしている。
例えば図17の引張コイルばね204は自由長が150mm程度の長いものであり、そしてスターリングエンジン200を吊下げ支持したときには、この引張コイルばね204は長さが250mm程度の長いものとなる。
【0007】
しかしながらこのような引張コイルばね204を用いた防振支持では、引張コイルばね204がサージングを起こす問題があって、そのサージングのために、目的とするエンジン動作周波数での振動伝達率を十分に低くすることが難しい。
図6のBは引張コイルばね204を用いてスターリングエンジン200を防振支持した場合の振動伝達特性を示したものであるが、図に示しているように周波数の変化に伴ってサージングに起因するピークが発生している。
【0008】
ここでサージングとは、引張コイルばね204に対する外力振動の振動数が引張コイルばね204自身の固有振動数に近づいたときに、引張コイルばね204の共振に基づいて一種の自励振動を起こし、引張コイルばね204自体が激しく振動したり、引張コイルばね204の中で波が往復するような振動を生じる現象で、このようなサージングが生じると図6のBで示しているように伝達率(伝達倍率)が大きくなってしまい、目的とする防振領域において伝達率を十分に低くすることが難しい。
【0009】
また軟らかく(ばね定数が小さく)長い引張コイルばね204を用いた吊下げ支持の場合、引張コイルばね204自身に常時大きな歪が発生しており、そのような中で絶えず引張コイルばね204が振動を生ずるため、耐久性の点でも問題があり、また引張コイルばね204が万一破断してしまうとスターリングエンジン200が支持を失って落下してしまう問題を生ずる。
【0010】
またその他にこの防振支持装置の場合、スターリングエンジン200を覆うケーシング等に外力が横向きに加わったとき、その横力によってスターリングエンジン200が左右方向に揺れを生じ、その左右方向の揺れ(振動)と上下振動とが重なって、即ち縦振動と横振動とが合成されて、スターリングエンジン200が上下振動と左右振動とを伴った複雑且つ不規則な振動を起こしてしまい、而してこのような振動が生ずるとスターリングエンジン200の熱効率が低下してしまう問題を生ずる。
【0011】
この場合、例えばバンド等にてスターリングエンジン200の横揺れを抑制することも考えられるが、このようにするとバンドを介してスターリングエンジン200の振動がケーシング等に伝達されてしまい、ケーシング等の振動増大に繋がる問題を生ずる。
【0012】
スターリングエンジンの防振支持装置としては下記特許文献2や特許文献3に開示されたものがあるが、これらもまたスターリングエンジンを引張コイルばねを用いて支持する方式であり、基本的に特許文献1に開示のものと同じ延長線上にあるものである。
【0013】
【特許文献1】特表2005−509789号公報
【特許文献2】特開2005−326087号公報
【特許文献3】特開2003−90670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、コイルばねのサージングを抑えて振動伝達を効果的に低下させることのできるスターリングエンジンの防振支持装置を提供することを目的としてなされたものである。
また他の目的として、スターリングエンジンの横揺れを防止して、安定した支持を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1のものは、スターリングエンジンと支持体との間に介装されて、該スターリングエンジンを防振支持するスターリングエンジンの防振支持装置であって、(イ)ばね受部を有し、該ばね受部を前記支持体における支持部の上側に位置させる状態に設けられて前記スターリングエンジンの被支持部に結合された剛性のブラケットと、(ロ)該ブラケットの該ばね受部と前記支持部とで上下方向に圧縮状態に挟まれ、前記スターリングエンジンの荷重を弾性支持する金属製の圧縮コイルばねと、(ハ)前記ブラケットと前記支持体との間に前記圧縮コイルばねとともに並列配置され、該圧縮コイルばねにて前記スターリングエンジンの荷重を支持した状態の下で一端側が該ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定状態とされて、該ブラケットと該支持体とを弾性接続するゴム弾性体を主要素とした防振ゴム部材と、を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項2のものは、請求項1において、前記防振ゴム部材は、前記支持部上で上下方向の縦向きに対して軸心を横向きにして配置され、該軸心方向の一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3のものは、請求項2において、前記防振ゴム部材は軸心が水平向きとなる状態で設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項4のものは、請求項2において、前記防振ゴム部材は、軸心が前記ブラケットに向けて小角度で斜め上向きに傾斜した状態で設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れにおいて、前記防振ゴム部材がソリッドゴムにて構成してあることを特徴とする。
【0020】
請求項6のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記防振ゴム部材が、ゴム弾性体の容器の内部に液体を封入した液封のものであることを特徴とする。
【0021】
請求項7のものは、請求項2〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねを間にして水平方向の両側に前記防振ゴム部材が平面視において直線状をなすように互いに対向して一対配置されており、該一対の防振ゴム部材の各一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体に固定されており、それら圧縮コイルばね,ブラケット及び一対の防振ゴム部材が全体として1組の防振ユニットを成していることを特徴とする。
【0022】
請求項8のものは、請求項7において、前記一対の防振ゴム部材の前記他端側が取付具を介して前記支持体に固定されており、前記防振ゴム部材の前記ゴム弾性体が、それらブラケット及び取付具に対して一体に加硫接着されていることを特徴とする。
【0023】
請求項9のものは、請求項8において、前記ブラケットの前記ばね受部に形成した挿通孔の周りの部分を除いた全体及び前記取付具の前記支持体への固定部を除いた全体が、前記ゴム弾性体と一体のゴム被膜にて被覆してあることを特徴とする。
【0024】
請求項10のものは、請求項7〜9の何れかにおいて、前記ブラケットは、前記ばね受部から垂下する前記一対の防振ゴム部材に対応した一対の垂下部を有しており、各垂下部に各防振ゴム部材のそれぞれの一端側が固定してあることを特徴とする。
【0025】
請求項11のものは、請求項7〜10の何れかにおいて、前記防振ユニットが前記スターリングエンジン周りに複数組設けてあり、且つ各防振ユニットは水平方向において異なった向きで配置されていることを特徴とする。
【0026】
請求項12のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねとして、前記スターリングエンジンの周りを取り巻くように巻回されたコイルばねが用いられていることを特徴とする。
【0027】
請求項13のものは、請求項12において、前記圧縮コイルばねの周方向に沿った複数個所に前記防振ゴム部材が配置されていることを特徴とする。
【0028】
請求項14のものは、請求項1〜13の何れかにおいて、前記被支持部を、前記スターリングエンジンの外周面から外方に突出した突出部及び上下方向に配向されて下端側が該突出部に固定された吊り棒を有するものとなし、該吊り棒の上端側を前記ブラケットに結合して、前記スターリングエンジンを吊下状態で支持するようになしてあることを特徴とする。
【0029】
請求項15のものは、請求項1〜14の何れかにおいて、前記スターリングエンジンと前記ブラケットとの間には、該スターリングエンジンの荷重を受けて弾性変形する防振ゴムパッドが前記圧縮コイルばねに対し直列接続の関係で介在させてあり、該スターリングエンジンの荷重が該防振ゴムパッド,前記ブラケット及び前記圧縮コイルばねを経て前記支持体の前記支持部に作用するようになしてあることを特徴とする。
【0030】
請求項16のものは、請求項1〜15の何れかにおいて、前記スターリングエンジンの下端部には水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパが設けてあるとともに、該ゴムストッパを水平方向に当接させる当接部が設けてあり、且つ該ゴムストッパのストッパ作用時に該当接部に当る部分が、先端側に向って漸次細くなる断面山形状のリップ部となしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0031】
以上のように請求項1のものは、ばね受部を支持体における支持部の上側に位置させる状態に設けられてスターリングエンジンの被支持部に結合されたブラケットと、そのブラケットのばね受部と支持部とで上下に圧縮状態に挟まれてスターリングエンジンの荷重を弾性支持する金属製の圧縮コイルばねと、圧縮コイルばねとともにブラケットと支持体との間に並列配置されてブラケットと支持体とを弾性接続するゴム弾性体を主要素とした防振ゴム部材と、を含んでスターリングエンジンの防振支持装置を構成したものである。
【0032】
この請求項1の防振支持装置では、圧縮コイルばねに対して防振ゴム部材が並列配置されていて、それら圧縮コイルばねと防振ゴム部材とが協働してスターリングエンジンを防振支持するため、防振ゴム部材の有する減衰作用に基づいてコイルばね(圧縮コイルばね)のサージングの現象を抑制でき、このことによってスターリングエンジンの動作周波数帯及びその近傍周波数帯における振動伝達率を効果的に低く抑制することができる。
【0033】
またこの請求項1の防振支持装置において、ゴム弾性体を主要素とする防振ゴム部材はスターリングエンジンの荷重を支持する役割は担っておらず、従ってこの防振ゴム部材は、上下方向のばね定数を可及的に小さくし、ばね特性を軟らかいものとなすことができる。
それ故、防振ゴム部材をブラケットと支持体との間に介在させ、かかる防振ゴム部材を圧縮コイルばねと並列配置して、全体でスターリングエンジンを防振支持するようになした場合においても、防振支持装置全体のばね特性を軟らかいものとなすことができ、上記サージングの抑制効果と相俟って振動伝達を良好に抑制し得て、目的とする防振領域における振動伝達率を低くすることができる。
【0034】
更に防振ゴム部材の減衰作用に基づいて、エンジン始動時や外部から衝撃が加わったとき等に低周波で発生する共振時の共振倍率、即ち伝達特性曲線のピーク値(共振振幅)を低く抑えることができる。
また防振ゴム部材はスターリングエンジンの荷重を支持しておらず、従って防振ゴム部材に常時発生する歪も小さく抑え得て、その耐久寿命を高めることができ、またコイルばねについても圧縮コイルばねを用いているため、コイルばねに発生する歪も小さく抑え得て耐久寿命を高めることができる。
【0035】
本発明では、上記防振ゴム部材を支持部上で横向きに配置して、軸心方向の一端側をブラケットに、他端側を支持体にそれぞれ固定しておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、防振ゴム部材における上下方向のばね定数を小さくすることができ、スターリングエンジンの上下方向の振動に対する防振性能を高めることができる。
【0036】
特に請求項3に従って防振ゴム部材を、その軸心が水平向きとなるように設けておいた場合、スターリングエンジンの上下振動を防振ゴム部材における剪断弾性変形によって吸収でき、防振ゴム部材の上下方向のばね定数を可及的に小さくし得て、そのことにより振動伝達率を効果的に低くすることができる。
即ち、圧縮コイルばねに防振ゴム部材を付加して防振支持装置を構成した場合においても、防振支持装置の上下方向のばね定数に対する防振ゴム部材の影響を少なくし、防振支持装置のばね定数を防振ゴム部材が高めてしまうといったことを良好に抑制することができる。
【0037】
本発明ではまた、防振ゴム部材をその軸心がブラケットに向けて小角度で斜め上向きに傾斜した状態で設けておくこともできる(請求項4)。
ここで小角度とは水平方向に対し20°以下の角度を意味する。
【0038】
本発明ではまた、防振ゴム部材としてソリッドゴムを用いることができる(請求項5)。
或いはかかる防振ゴム部材として、ゴム弾性体の容器の内部に液体を封入した液封のものを用いることができる(請求項6)。
このように液封の防振ゴム部材を用いた場合、ソリッドゴムの防振ゴム部材を用いた場合に比べて防振ゴム部材における減衰特性を高めることができる。
【0039】
次に請求項7は、圧縮コイルばねを間にして水平方向の両側に一対の防振ゴム部材を平面視において直線状をなすように対向して配置し、それら圧縮コイルばね,ブラケット及び一対の防振ゴム部材が全体として一組の防振ユニットを構成するようになしたもので、この請求項7によれば、スターリングエンジンの水平方向且つ防振ユニットの配向方向(圧縮コイルばねを間にした一対の防振ゴム部材の配置の方向)の揺れに対し大きな抵抗力を付与することができ、スターリングエンジンが同方向に揺れを生ずるのを効果的に抑制することができる。
【0040】
この場合において、上記一対の防振ゴム部材の他端側を取付具を介して支持体に固定し、そして防振ゴム部材のゴム弾性体を、それらブラケット及び取付具に対して一体に加硫接着しておくことができる(請求項8)。
このようにすれば、一対の防振ゴム部材,ブラケット及び取付具の全体を一つの加硫品となすことができ、防振支持装置の所要部品点数を少なくできるとともに、防振支持装置の組付けの工数を低減することができる。
【0041】
更にこの場合において、ブラケットの挿通孔の周りを除いた全体及び取付具の支持体への固定部を除いた全体を、ゴム弾性体と一体のゴム被膜にて被覆しておくことができる(請求項9)。
このようにすれば、ブラケット,取付具を金具で構成した場合において、ゴム被膜による被覆によって防錆を図ることができる。
またゴム弾性体とブラケット,取付具とが接着剥離するのを有効に防止することができる。
【0042】
上記ブラケットには、ばね受部から垂下する一対の垂下部を設けておき、それら垂下部に対し各防振ゴム部材のそれぞれの一旦側を固定しておくことができる(請求項10)。
【0043】
請求項11は、上記の防振ユニットをスターリングエンジン周りに複数組設け、且つ各防振ユニットを水平方向において異なった向きで配置したもので、この請求項11によれば、スターリングエンジンの水平方向における多方向の揺れを、異なった向きで配置した複数の防振ユニットにより良好に抑制することができる。
【0044】
この請求項11では、水平方向において鉛直軸心周りの360度の何れも方向にも防振ユニットによる揺れの抵抗を均等に与えるように、各防振ユニットを配置しておくことができ、このようにすることで、スターリングエンジンの水平方向における何れの方向への揺れも良好に抑制することができる。
【0045】
請求項12は、圧縮コイルばねとしてスターリングエンジンの周りを取り巻くように巻回された大径のコイルばねを用いたものである。
本発明で用いる圧縮コイルばねのばね定数を小さくしようとすると、軸方向の長さを長くしておくことが望ましい。
しかしながらそのようにすると圧縮コイルばねが座屈を起す恐れが生ずる。
【0046】
しかるに請求項12に従って圧縮コイルばねを構成した場合、圧縮コイルばねにおける座屈の問題を解消することができる。
この場合においてその大径のコイルばねの周方向に沿った複数箇所に上記の防振ゴム部材を圧縮コイルばねに対し並列接続状態となるように配置しておくことができる(請求項13)。
【0047】
本発明では、上記被支持部を、スターリングエンジンの外周面から外方に突出した突出部及び上下方向に配向されて下端側が突出部に固定された吊り棒を有するものとなし、その吊り棒の上端側をブラケットに結合して、スターリングエンジンを吊り棒を介し吊下状態で支持するようになしておくことができる(請求項14)。
このようにすることでスターリングエンジンの支持を安定化することができる。
【0048】
次に請求項15は、スターリングエンジンとブラケットとの間に、スターリングエンジンの荷重を受けて弾性変形する防振ゴムパッドを圧縮コイルばねに対し直列接続の関係で介在させ、スターリングエンジンの荷重をこの防振ゴムパッド,上記ブラケット及び圧縮コイルばねを経て上記支持体の支持部に作用させるようになしたものである。
この請求項15によれば、スターリングエンジンから支持体に伝わる高周波(スターリングエンジンの動作周波数よりも高い周波数)の振動を、防振ゴムパッドの防振作用で良好に抑制することができる。
【0049】
請求項16は、スターリングエンジンの下端部に、水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパを設けるとともに、これを水平方向に当接させる当接部を設けたもので、この請求項16によれば、スターリングエンジンにおける下端部の横揺れをも良好に抑制することができる。
【0050】
この請求項16において、ゴムストッパは、水平方向のストッパ作用時に上記当接部に当る部分が先端側に向って漸次細くなる断面山形状のリップ部となしてあり、従ってこのようなゴムストッパを設けたことによって、かかるゴムストッパを介してスターリングエンジンの上下方向の振動が支持体側に伝わってしまうのを抑制ないし防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はスターリングエンジンで、12はその支持体である。支持体12は、ここでは支持フレームを備えたケーシングからなっている。
支持体12には、中央部に挿通孔16を有する円板状の支持プレート(支持部)14が備えられており、この支持プレート14に対してスターリングエンジン10が、その外周面から外方に突出した状態でスターリングエンジン10に固設されたリング(突出部)18,上下方向に延びる吊り棒20及び後述の防振ユニット22を有する防振支持装置を介して吊持状態に取り付けられている。
ここでリング18及び吊り棒20は全体としてスターリングエンジン10の被支持部を成すものである。
図示のようにこの実施形態において、スターリングエンジン10は、その上部が支持プレート14の挿通孔16を図中上向きに挿通して突き出している。
【0052】
図2は、スターリングエンジン10の内部の概略構成を示している。
同図において、24はスターリングエンジン10のハウジングで円筒形状をなしている。
ハウジング24の上部の容器部24Aの内部空間にはヘリウムガスが充填されている。
【0053】
この容器部24Aの内部には、シリンダ26とその内面を上下方向に摺動するディスプレーサピストン28が設けられている。
シリンダ26の外面と容器部24Aの内面との間には環状の隙間が形成されていて、その環状の隙間に再生器30が設けられ、この再生器30にて容器部24Aの内部空間が上側の加熱側作動空間32-1と、下側の冷却側作動空間32-2とに区画されている。
但し再生器30はヘリウムガスが通過可能で、加熱側作動空間32-1と冷却側作動空間32-2とは再生器30を介して連通しており、上側の加熱側作動空間32-1内のヘリウムガスと冷却側作動空間32-2内のヘリウムガスとは再生器30を上下に通過可能である。
【0054】
34は固定プレート36を介してハウジング24に固定されたロッドで、ディスプレーサピストン28は、このロッド34に対して上下に摺動運動する。
尚、固定プレート36には上下の貫通孔38が設けられている。
【0055】
40は加熱側作動空間32-1を加熱する加熱器で、44は冷却側作動空間32-2を冷却する冷却器である。ここで冷却器44はハウジング24に固定状態に設けられており、また一方加熱器40はハウジング24とは切離し状態で上記の支持体12に固定的に設けられている。
従ってスターリングエンジン10は加熱器40に対して相対運動する。
【0056】
加熱器40にはバーナ42が設けられており、このバーナ42により加熱器40の内部空間、更に加熱側作動空間32-1が加熱される。
尚、図2では加熱器40とスターリングエンジン10との間に隙間が生じているが、実際にはその隙間にはシール材が設けられており、加熱器40内の高温の燃焼ガスがその隙間から外部へと漏れることはない。
但しシール材は可撓性を有するもので、従ってスターリングエンジン10は、位置固定に設けられた加熱器40に対し相対運動可能である。
【0057】
詳細な構造及び機能についての図示及び説明は省略するが、この実施形態ではディスプレーサピストン28が、加熱器40による加熱側作動空間32-1の加熱と、冷却器44による冷却側作動空間32-2の冷却に基づいて、シリンダ26内部を上下に周期往復運動する。
ここではディスプレーサピストン28が後述の出力ピストン45と同じ周期(ここでは50Hz)で上下に往復運動するようにその周期が調節されている。
【0058】
このスターリングエンジン10にはまた、上記の冷却側作動空間32-2に面して出力ピストン45が設けられていて、この出力ピストン45からロッド46が下向きに延び出している。
ロッド46にはマグネット48が上下に一体移動する状態で設けられており、また一方ハウジング24側には、対応する位置に鉄芯50とコイル52とが固定状態に設けられている。
ハウジング24の内部にはまた、上下に板ばね等から成るばね54が設けられていて、その中心部がロッド46に、また外周部がハウジング24に固定されている。
【0059】
この実施形態のスターリングエンジン10では、ディスプレーサピストン28の周期的な上下の往復運動によって、容器部24A内部の空間全体の圧力が大小変化する。
そしてその圧力の変化に基づいて、冷却側作動空間32-2に面した出力ピストン45が、ばね54の付勢力との協働作用でディスプレーサピストン28と同じ周期で上下に往復運動する。
そしてこの出力ピストン45の上下運動に基づいて、マグネット48,鉄芯50,コイル52等から成る発電機で交流電力が生じる。
この交流電力の周波数はディスプレーサピストン28,出力ピストン45の上下振動(上下移動)の周波数と同じ周波数で、ここでは50Hzである。
【0060】
図3及び図4に、本実施形態の防振支持装置の要部構成が示してある。
これらの図において、56は支持プレート14の上側に配置された金属製且つ断面逆U字形状を成すブラケットで、上部に水平なばね受部58を有し、そのばね受部58の両端から垂下部60が図中下向きに垂下した形態をなしている。
【0061】
上記吊り棒20は、上端側が支持プレート14の挿通孔62を挿通して上側に突き出し、更にブラケット56の中心部の挿通孔64を通じて上端部が上向きに突き出している。
この吊り棒20の上端部には雄ねじ部66が設けられていて、そこにナット70,71が螺合され、それら雄ねじ部66及びナット70,71にて吊り棒20の上端部がブラケット56に締結(結合)されている。
【0062】
ここでナット70と71とは、吊り棒20の上端部に嵌着されたリング状且つ板状のばねガイド73を、ブラケット56のばね受部58とともに上下両側から挟み込んでおり、このばねガイド73にて、後述の圧縮コイルばね72の上端が水平方向に位置決めされるようになっている。
【0063】
このブラケット56におけるばね受部58と支持プレート14との間には、金属製の圧縮コイルばね72が介装されており、この圧縮コイルばね72が、ばね受部58と支持プレート14とにより上下に圧縮状態に挟まれ、スターリングエンジン10の荷重を弾性支持している。
尚圧縮コイルばね72の下端は、図3の部分拡大図に明らかに示しているようにフランジ状のばね座128付きのばねガイド130及びナット132にて、水平方向に位置決めされるようになっている。
【0064】
ここでばねガイド130は、圧縮コイルばね72への上向きの嵌入部134と、支持プレート14における挿通孔62への下向きの嵌入部136とを有しており、またナット132はばねガイド130に対して内部に上向きに嵌入する嵌入部138と、フランジ部140とを有している。
【0065】
ナット132は、フランジ部140を挿通孔62に内嵌させることによって、吊り棒20の上端側を支持プレート14に対し水平方向に位置決めするとともに、嵌入部138をばねガイド130の内部に嵌入させることによって、同時にばねガイド130を水平方向に位置決めする。
その結果として圧縮コイルばね72の下端位置が水平方向に位置決めされる。
尚ナット142は、ナット132をロックするロックナットとしてのものである。
【0066】
以上のようにして圧縮コイルばね72の上端と下端とが水平方向に位置決めされることで、かかる圧縮コイルばね72が傾きを生じたり、位置ずれしたりするのが防止され、このことによって圧縮コイルばね72の座屈が有効に防止される。
また併せて吊り棒20の上端側が水平方向において予め定めた適正位置に位置決めされることで、スターリングエンジン10自体が傾き防止され、これらによって防振支持装置の耐久性も高められる。
【0067】
圧縮コイルばね72を間にして水平方向両側には一対の防振ゴム部材74が配置され、それら防振ゴム部材74が、ブラケット56と支持プレート14との間に圧縮コイルばね72とともに並列配置され、ブラケット56と支持プレート14とを弾性的に連結している。
【0068】
これら防振ゴム部材74は、円柱形状をなすソリッドゴムからなるゴム弾性体76と、その両端に加硫接着にて一体に固着された各一対の端部金具78,80とを有している。
そして一方の端部金具78において、これに固設されたボルト82及びナット84により、ブラケット56の垂下部60に固定されている。
【0069】
また他方の端部金具80において、同じくこれに固設されたボルト82及びナット84により、L字状をなす取付金具86に固定され、かかる取付金具86を介して支持プレート14に固定されている。
ここで各防振ゴム部材74は、ゴム弾性体76の軸心が水平向きとなる状態に横向きに配置され、またこれら一対の防振ゴム部材74は、互いに180°隔たった位置で同軸状に互いに対向する位置関係で配置されている。
【0070】
従って圧縮コイルばね72,ブラケット56及び一対の防振ゴム部材74全体で構成された防振ユニット22は、平面視において一直線状をなしている(図5参照)。
ここで防振ゴム部材74は、ゴム弾性体76を軸方向(水平方向)に一定量予圧縮(1〜5%程度)した状態で取り付けられている。
【0071】
尚これら防振ゴム部材74は、圧縮コイルばね72にてスターリングエンジン10の荷重を支持した状態の下で、ブラケット56と支持プレート14とを連結する状態に取り付けられており、従って静的状態において防振ゴム部材74のゴム弾性体76には上下方向の荷重は作用していない。
そしてスターリングエンジン10が上下方向に振動を生じたときに、これに伴って防振ゴム部材74のゴム弾性体76が剪断方向に弾性変形し、振動吸収作用をなす。
【0072】
図5(A)に示しているようにこの実施形態では、防振ユニット22と対応する吊り棒20とが、スターリングエンジン10周りに4組設けてあり、それら全体にてスターリングエンジン10を防振支持している。
ここで各防振ユニット22及び吊り棒20は周方向に90°間隔で設けられており、且つそれぞれの向きもまた90°毎異なった向きで支持プレート14上に配置されている。
【0073】
但し図5(A)の例では、各防振ユニット22がスターリングエンジン10の中心を基準として放射方向に配置されているが、図5(B)に示しているように各防振ユニット22を図5(A)とは異なった向き、具体的にはスターリングエンジン10の外周円に対し接線方向と平行方向に配向するように、それらを90°毎隔たって位置に且つ90°毎異なった向きで配置しておくことも可能である。
【0074】
或いは図5(A)において、防振ユニット22を120°の間隔でスターリングエンジン10の周りに3組設けておいたり、又は周方向に等間隔で5組ないしそれ以上設けておくといったことも可能であるなど、他の様々な配置パターンでそれらを設けておくことが可能である。
但し何れの場合においても、スターリングエンジン10に対し横向きの力が加わったときに、その向きが水平方向において何れの向きであっても均等な力で抵抗を及ぼし、水平方向移動を抑制するようになしておくことが望ましい。
【0075】
図3に示しているように、吊り棒20の下端部にはスターリングエンジン10に固設されたリング18の下側において、スターリングエンジン10の荷重を受けて圧縮弾性変形する円筒形状の防振ゴムパッド88が外嵌され、ナット90にて吊り棒20の下端部の雄ねじ部86に固定されている。
即ち防振ゴムパッド88が、スターリングエンジン10とブラケットとの間に、詳しくはここではリング18と吊り棒20との間に介在させられ、かかる防振ゴムパッド88が吊り棒20に対し圧縮コイルばね72と直列接続の関係で取り付けられている。
従ってスターリングエンジン10の荷重はリング18,防振ゴムパッド88,吊り棒20,ブラケット56及び圧縮コイルばね72を経て上記の支持プレート14に作用せしめられる。
尚、雄ねじ部86にはリング18の上側においてナット90が締め込まれている。
【0076】
以上のような本実施形態の防振支持装置では、圧縮コイルばね72に対して防振ゴム部材74が並列配置されていて、それら圧縮コイルばね72と防振ゴム部材74とが協働してスターリングエンジン10を防振支持するため、防振ゴム部材74の有する減衰作用に基づいて、圧縮コイルスプリング72のサージングの現象を良好に抑制することができる。
【0077】
そしてこのことによって、スターリングエンジン10の動作周波数帯及びその近傍周波数帯における振動伝達率を効果的に低く抑制することができる。
加えてこの防振支持装置においては、防振ゴム部材74がスターリングエンジン10の荷重を支持する役割を担っておらず、従ってこの防振ゴム部材74はばね定数を可及的に小さくし、ばね特性を軟らかいものとなしておくことができる。
【0078】
そのためこの実施形態では、防振ゴム部材74、具体的にはゴム弾性体76をその軸心が水平向きとなる状態に横向き配置し、スターリングエンジン10の上下方向の振動時に、ゴム弾性体76を剪断弾性変形させ、その剪断弾性変形による軟らかなばね特性に基づいてスターリングエンジン10の上下振動を吸収し、抑制するようになっている。
【0079】
そしてこの防振ゴム部材74の軟らかなばね特性とサージングの抑制効果とが相俟って、スターリングエンジン10から支持プレート14への振動伝達を良好に抑制し得、目的とする周波数帯(50Hz及びその近傍)において振動伝達率を低く抑制することができる。
【0080】
更にまた、防振ゴム部材74の減衰作用に基づいて、エンジン始動時や外部から衝撃が加わったとき等に、低周波で発生する共振時の共振倍率、即ち伝達特性曲線の共振時のピーク値(共振振幅)を低く抑えることができる。
【0081】
因みに、図6中のAは本実施形態の防振支持装置の振動伝達特性を表したもので、図示のように本実施形態のものでは、スターリングエンジン10の動作時の周波数である50Hzにおいて低い伝達率を達成しており、スターリングエンジン10から支持体12への振動伝達の抑制を実現している。
また数Hzの周波数帯で共振が生じているが、防振ゴム部材74の有する減衰作用に基づいてその共振時のピーク値を低く抑制している。
【0082】
上記のように本実施形態では、防振ゴム部材74はスターリングエンジン10の荷重を支持しておらず、スターリングエンジン10の振動抑制に対してのみ作用を及ぼしている。
従って防振ゴム部材74に常時発生する歪はほとんど無く、その耐久寿命を高くすることができ、またコイルばねについてもこの実施形態では圧縮コイルばね72を用いているため、そこに発生する歪も小さく抑え得、防振支持装置全体の耐久寿命を高めることができる。
【0083】
この実施形態では、圧縮コイルばね72を間にして水平方向の両側に一対の防振ゴム部材74を全体が一直線状となるように対向して配置し、そしてそれらから成る防振ユニット22を、スターリングエンジン10の周りに異なった向きで、具体的には90°毎隔たった位置に且つ互いに90°向きを異ならせた状態で配置しているため(図5(A)の場合)、スターリングエンジン10に対して横方向の力が働いた場合においても、スターリングエンジン10の横揺れに対し各防振ユニット22にて高い抵抗力を働かせることができ、スターリングエンジン10、特にその上部が水平方向に揺れを生じるのを効果的に抑制することができる。
【0084】
尚この効果は、図5(B)に示す配置で各防振ユニット22を配置した場合、その他においてもスターリングエンジン10の360°周りの何れの向きにも均等に抵抗力を及ぼす状態で防振ユニット22を配置した場合においても得られるものである。
【0085】
この実施形態ではまた、吊り棒20の下端部に防振ゴムパッド88を圧縮コイルばね72と直列状態に取り付け、スターリングエンジン10の荷重を防止ゴムパッド88,吊り棒20,ブラケット56及び圧縮コイルばね72を経て支持プレート14に作用させるようになしていることから、スターリングエンジン10からの高周波振動をこの防振ゴムパッド88にて吸収し、その高周波振動が支持プレート14に伝達されるのを抑制することができる。
またこの実施形態では、万一圧縮コイルスプリング72や防振ゴム部材74が破断を生じた場合においても、スターリングエンジン10が支持を失って落下してしまうことがない利点も有している。
【0086】
図7及び図8は本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態は、上記防振部材74に代えて液封の防振ゴム部材92を用いた例である。
ここで防振ゴム部材92は、薄い膜状で高い可撓性を有する可撓部94と、これよりも僅かに厚肉をなす周壁部96と、可撓部94とは反対側の底部98と、可撓部94の中心部に設けられた筒状部100とを有する容器状のゴム弾性体102の内部に液104を封入した形態のもので、軸心を水平向きとする状態で配置されている。そしてその筒状部100にシャフト105が内嵌され、シャフト104の雄ねじ部82とナット84とでブラケット56の垂下部60に固定されている。
また反対側の底部98の側において、取付金具86により支持プレート14に取り付けられている。
【0087】
この実施形態では、防振ゴム部材92におけるゴム弾性体102のばね特性をより一層軟らかくすることができ、一方で内部に封入した液104に基づいて大きな減衰特性を防振ゴム部材92に持たせることができる。
【0088】
図9及び図10は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、スターリングエンジン10の底面の中心部からストッパ取付部106を下向きに突出させ、そしてそこに水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパ110を取り付ける一方、対応する剛性の当接部112を固定状態に設けて、その凹所114内にゴムストッパ110を挿入し、スターリングエンジン10の下端部が水平方向に横揺れを生じようとしたときに、ゴムストッパ110にて横揺れを抑制するようになしたものである。
【0089】
ここで凹所114は平面形状が円形状をなしており、またゴムストッパ110も外周が円形状をなしている。
このゴムストッパ110の外周面には、ゴムストッパ110の当り面となる凹所114の円形の内周面に向って突出し、且つ先端側に向って上下の肉厚が漸次小となるリップ部118が設けられ、それらリップ部118を凹所114の内周面116に対し水平方向に当てるようになしてある。
【0090】
ここでリップ部118は上下に複数段(ここでは3段)に設けられており、且つ各リップ部118は、切欠き120で周方向に複数に分断されている。
また上下の各段のリップ部118は、切欠き120の周方向位置が異ならせてあり、リップ部118の周方向位置が上下の各段で互いに異ならせてある。
【0091】
この実施形態では、スターリングエンジン10に対し、ケーシング等を介し外力が横向きに作用して、スターリングエンジン10の下部が横揺れを生じようとしたとき、ゴムストッパ110が当接部112に当接してストッパ作用をなすことにより、スターリングエンジン10の下部の横揺れが抑制される。
【0092】
一方でこのゴムストッパ110における当接部112への当り部となる部分がリップ部118とされ、且つ通常の状態ではそのリップ部118の先端が、当接部112の当り面となる凹所114の内周面116に実質僅かに接触するか若しくは接触しない程度とされているため、スターリングエンジン10の上下振動が、かかるゴムストッパ110を介して支持体12側に伝達されるのを抑制ないし防止することができる。
【0093】
図11及び図12は、本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、圧縮コイルばねとしてスターリングエンジン10の周りを取り巻くように巻回された大径のコイル径を有する単一の圧縮ばね124を用いた例である。
図12に示しているように、この実施形態ではブラケット56が円環状のプレート部材からなる第1部材122と、L字状をなす第2部材123とで構成され、それらが吊り棒20の雄ねじ部66にねじ込まれた一対のナット70,71にて吊り棒20に固定されている。
【0094】
図12に示しているように、ブラケット56の水平なばね受部58と支持プレート14とには、それぞれ断面コ字形状をなすばね受部材126がそれぞれ下向き,上向きに固定状態に取り付けられていて、それらによって大径をなす単一の圧縮コイルばね124の上端と下端とが水平方向に位置決め状態で受けられている。
そしてこの単一の圧縮コイルばね124の周方向に沿って90°毎異なった4箇所で、防振ゴム部材74がブラケット56の垂下部60に一端側が固定されている。
尚防振ゴム部材74の構成は図3に示したものと同様である。但しかかる防振ゴム部材74に代えて図6及び図7に示す防振ゴム部材92その他のものを用いることも可能である。
【0095】
この実施形態では、圧縮コイルばね124がコイル径の大きなものであり、従って圧縮コイルばね124における座屈の問題を解消し、かかる圧縮コイルばね124と防振ゴム部材74とを含む防振支持装置によるスターリングエンジン10の防振支持を安定したものとなすことができる。
【0096】
図13及び図14は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、挿通孔144を有する円板状の支持プレート(支持部)146を支持体12側に備え、そしてその支持プレート146とリング18との間に防振ユニット22を配して、上記のような吊り棒20を介することなくスターリングエンジン10を直接的に防振支持するようになした例である。
尚防振ユニット22によるスターリングエンジン10の支持構造については第1の実施形態で示したのと基本的に同様である。
但しこの実施形態では、図14に示しているように防振ゴムパッド88がリング18とブラケット56との間に介在させてある。
【0097】
ここで防振ゴムパッド88は、圧縮コイルスプリング72に対し直列接続の関係でリング18とブラケット56との間に介在させてあり、スターリングエンジン10の荷重はこのリング18から防振ゴムパッド88,ブラケット56及び圧縮コイルばね72を経て支持体12側の支持プレート146に作用せしめられる。
【0098】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では防振ゴム部材の一端側を支持部となる支持プレート14に固定しているが、場合によって支持体における上記支持部以外の他の個所にこれを連結するようになすことも可能であるし、また防振ゴム部材を、その軸心が厳密な水平向きでなく、若干の傾斜を持たせて配置しておくことも可能である。
【0099】
図15はその具体例を示している。
この例では、図3の防振ユニット22における一対の防振ゴム部材74における端部金具78,80が省略されて、ゴム弾性体76が直接的にブラケット56及びL字状をなす取付金具86に対し加硫接着にて一体に接着固定されている。
従って図15に示す防振ユニット22は、その全体が一つの加硫品を成している。
【0100】
そしてここでは、各ゴム弾性体76の軸心が水平方向に対して僅かな傾斜角度θで傾斜する状態で、具体的にはブラケット56に向って僅かに上向きに傾斜する状態で、各ゴム弾性体76が配置されている。即ちゴム弾性体76の形状がそれぞれが僅かに傾斜した形状で形成されている。
尚角度θは最大でも20°以下となしておく。
【0101】
このようになした場合においても、各防振ゴム部材74におけるゴム弾性体76は、防振作用時において実質的に上下の剪断方向に弾性変形し、振動減衰作用をなす。
この実施形態では、防振ユニット22が単一の加硫品で構成してあるため、防振支持装置の所要部品点数が少なくて済み、また組付けの工数も少なくすることができる。
尚防振ゴム部材74の取付けは、圧縮コイルばね72にてスターリングエンジン10の荷重を支持した状態で、取付金具86を図3の支持プレート14或いは図14の支持プレート146等に固定することにより行う。
このときゴム弾性体76に対して所定の予圧縮を与える。
【0102】
図3に示しているようにゴム弾性体76の軸心が水平向きとなっている場合、ゴム弾性体76に対して軸方向の予圧縮を与えたとき、ブラケット56側の端部が内部応力を緩和しようとして下向きに逃げ、変位してしまうことが起り得る。そうなるとゴム弾性体76に目的とする所定の予圧縮が付加されない。
【0103】
しかるにこの図15に示す実施形態では、ゴム弾性体76に予圧縮を加えたときにブラケット56側の端部が上向きに変位しようとする。ところがブラケット56にはスターリングエンジン10の荷重が下向きに働いているため、ゴム弾性体76のブラケット56側の端部は上向きに変位することはできず、ゴム弾性体76に対して確実に目的とする所定の予圧縮を付加することができる。
【0104】
図16は更に他の例を示したもので、この例においても防振ユニット22における一対の防振ゴム部材74のそれぞれのゴム弾性体76が、上記と同様の向きで傾斜した形状とされている。
尚図15及び図16は、各防振ゴム部材74を何れもスターリングエンジン10を取り付けた状態で示している。即ち圧縮コイルばね72にてスターリングエンジン10の荷重が支持した状態での形状を示している。
【0105】
図16に示す実施形態では、ブラケット56におけるばね受部58の挿通孔64周りの部分を除いた全体、及びL字状をなす取付金具86の支持体への固定部(図中水平方向に折れ曲った下端部)を除いた全体が、ゴム弾性体76と一体のゴム被膜148にて被覆されている。
またブラケット56及び取付金具86には貫通の連結孔150が形成されており、これら連結孔150においてゴム弾性体76とゴム被膜148とが一体に連結状態とされている。
【0106】
図15の実施形態の場合、ゴム弾性体76のブラケット56又は取付金具86への接着面の外周部位に応力が集中し易く、そこからゴム弾性体76とブラケット56又は取付金具86とが接着剥離を起す恐れがあるが、図16に示す実施形態の場合、ゴム被膜148の存在によってそのような接着剥離の発生を有効に防止することができる利点がある。
またブラケット56及び取付金具86の大部分をゴム被膜148にて被覆してあることによって、それらを防錆することができる。
【0107】
以上の他、本発明では防振ゴム部材として上例以外の他の形態のものを用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態であるスターリングエンジンの防振支持装置を、スターリングエンジンを支持した状態で示した図である。
【図2】スターリングエンジンの内部の概略構成を示した図である。
【図3】同実施形態の防振支持装置の要部を示す断面図である。
【図4】同実施形態の防振支持装置の要部の斜視図である。
【図5】同実施形態における防振ユニットの配置例を示す平面図である。
【図6】同実施形態の防振支持装置の防振特性を従来の防振支持装置との比較で示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図8】同実施形態の要部の斜視図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図10】同実施形態の要部を示す図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図12】同実施形態の要部を示す図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図14】同実施形態の要部を示す図である。
【図15】本発明の更に他の実施形態の要部を示す図である。
【図16】本発明の更に他の実施形態の要部を示す図である。
【図17】従来公知のスターリングエンジンの防振支持装置を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
10 スターリングエンジン
12 支持体
14,146 支持プレート(支持部)
20 吊り棒
22 防振ユニット
56 ブラケット
58 ばね受部
60 垂下部
72,124 圧縮コイルばね
74,92 防振ゴム部材
76 ゴム弾性体
88 防振ゴムパッド
104 液
110 ゴムストッパ
112 当接部
118 リップ部
【技術分野】
【0001】
この発明はスターリングエンジンの防振支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スターリングエンジンは古くから知られているエンジンで、容器の内部でディスプレーサピストンを高温部と低温部とで往復移動させ、これにより容器内部で生じる圧力変化を利用して出力ピストンを往復移動させる外燃機関であり、高い効率を有しながらも製作上の困難さ等から今まで利用が遅れていたが、近年における地球環境保護の観点等から注目を集めつつあるエンジンである。
【0003】
このスターリングエンジンの用途として発電用やボイラに代わる用途等が考えられているが、このスターリングエンジンはエンジン自身が振動源となるため、これを家庭に設置する場合にはエンジン自体の振動をできるだけ抑制し、またエンジンからの振動がこれを覆うケーシングや床その他に伝達されるのをできるだけ抑制することが求められる。
具体的には、家庭用に設置されるスターリングエンジンは鉛直方向(上下方向)に例えば±1mm程度の振幅(周波数は例えば50Hz)で振動を生じるが、その支持体やケーシング等における振動は±0.03mm程度以下の振幅に抑制することが望ましい。
【0004】
スターリングエンジンを防振支持するための防振支持装置には従来様々なものが提案されている。
例えば下記特許文献1には、スターリングエンジンを引張コイルばねにて吊下状態に支持し、引張コイルばねの弾性変形に基づいて振動吸収し、防振支持するようになしたものが提案されている。
図17はその具体例を示している。
【0005】
同図において200はスターリングエンジンで、202はその支持体、204はスターリングエンジン200を吊下状態に弾性支持する引張コイルばねである。
即ちスターリングエンジン200は、引張コイルばね204にて吊下状態に弾性支持されており、スターリングエンジン200で発生した振動は引張コイルばね204の弾性変形に基づいて吸収され、支持体202への振動伝達が抑制される。
【0006】
スターリングエンジンの動作周波数(ここでは50Hz)での振動振幅を例えば±1mmとしたとき、支持体ないしケーシング等における振動振幅を±0.03mm程度まで抑制するには、動作周波数及び近傍周波数での振動伝達を著しく下げなければならない。
そのためにはスターリングエンジン200をできるだけ軟らかいばねを用いて支持することが必要で、そのために特許文献1に開示のものでは、長さの長い引張コイルばねを用いてスターリングエンジン200を軟らかく支持するようにしている。
例えば図17の引張コイルばね204は自由長が150mm程度の長いものであり、そしてスターリングエンジン200を吊下げ支持したときには、この引張コイルばね204は長さが250mm程度の長いものとなる。
【0007】
しかしながらこのような引張コイルばね204を用いた防振支持では、引張コイルばね204がサージングを起こす問題があって、そのサージングのために、目的とするエンジン動作周波数での振動伝達率を十分に低くすることが難しい。
図6のBは引張コイルばね204を用いてスターリングエンジン200を防振支持した場合の振動伝達特性を示したものであるが、図に示しているように周波数の変化に伴ってサージングに起因するピークが発生している。
【0008】
ここでサージングとは、引張コイルばね204に対する外力振動の振動数が引張コイルばね204自身の固有振動数に近づいたときに、引張コイルばね204の共振に基づいて一種の自励振動を起こし、引張コイルばね204自体が激しく振動したり、引張コイルばね204の中で波が往復するような振動を生じる現象で、このようなサージングが生じると図6のBで示しているように伝達率(伝達倍率)が大きくなってしまい、目的とする防振領域において伝達率を十分に低くすることが難しい。
【0009】
また軟らかく(ばね定数が小さく)長い引張コイルばね204を用いた吊下げ支持の場合、引張コイルばね204自身に常時大きな歪が発生しており、そのような中で絶えず引張コイルばね204が振動を生ずるため、耐久性の点でも問題があり、また引張コイルばね204が万一破断してしまうとスターリングエンジン200が支持を失って落下してしまう問題を生ずる。
【0010】
またその他にこの防振支持装置の場合、スターリングエンジン200を覆うケーシング等に外力が横向きに加わったとき、その横力によってスターリングエンジン200が左右方向に揺れを生じ、その左右方向の揺れ(振動)と上下振動とが重なって、即ち縦振動と横振動とが合成されて、スターリングエンジン200が上下振動と左右振動とを伴った複雑且つ不規則な振動を起こしてしまい、而してこのような振動が生ずるとスターリングエンジン200の熱効率が低下してしまう問題を生ずる。
【0011】
この場合、例えばバンド等にてスターリングエンジン200の横揺れを抑制することも考えられるが、このようにするとバンドを介してスターリングエンジン200の振動がケーシング等に伝達されてしまい、ケーシング等の振動増大に繋がる問題を生ずる。
【0012】
スターリングエンジンの防振支持装置としては下記特許文献2や特許文献3に開示されたものがあるが、これらもまたスターリングエンジンを引張コイルばねを用いて支持する方式であり、基本的に特許文献1に開示のものと同じ延長線上にあるものである。
【0013】
【特許文献1】特表2005−509789号公報
【特許文献2】特開2005−326087号公報
【特許文献3】特開2003−90670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、コイルばねのサージングを抑えて振動伝達を効果的に低下させることのできるスターリングエンジンの防振支持装置を提供することを目的としてなされたものである。
また他の目的として、スターリングエンジンの横揺れを防止して、安定した支持を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1のものは、スターリングエンジンと支持体との間に介装されて、該スターリングエンジンを防振支持するスターリングエンジンの防振支持装置であって、(イ)ばね受部を有し、該ばね受部を前記支持体における支持部の上側に位置させる状態に設けられて前記スターリングエンジンの被支持部に結合された剛性のブラケットと、(ロ)該ブラケットの該ばね受部と前記支持部とで上下方向に圧縮状態に挟まれ、前記スターリングエンジンの荷重を弾性支持する金属製の圧縮コイルばねと、(ハ)前記ブラケットと前記支持体との間に前記圧縮コイルばねとともに並列配置され、該圧縮コイルばねにて前記スターリングエンジンの荷重を支持した状態の下で一端側が該ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定状態とされて、該ブラケットと該支持体とを弾性接続するゴム弾性体を主要素とした防振ゴム部材と、を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項2のものは、請求項1において、前記防振ゴム部材は、前記支持部上で上下方向の縦向きに対して軸心を横向きにして配置され、該軸心方向の一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3のものは、請求項2において、前記防振ゴム部材は軸心が水平向きとなる状態で設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項4のものは、請求項2において、前記防振ゴム部材は、軸心が前記ブラケットに向けて小角度で斜め上向きに傾斜した状態で設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れにおいて、前記防振ゴム部材がソリッドゴムにて構成してあることを特徴とする。
【0020】
請求項6のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記防振ゴム部材が、ゴム弾性体の容器の内部に液体を封入した液封のものであることを特徴とする。
【0021】
請求項7のものは、請求項2〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねを間にして水平方向の両側に前記防振ゴム部材が平面視において直線状をなすように互いに対向して一対配置されており、該一対の防振ゴム部材の各一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体に固定されており、それら圧縮コイルばね,ブラケット及び一対の防振ゴム部材が全体として1組の防振ユニットを成していることを特徴とする。
【0022】
請求項8のものは、請求項7において、前記一対の防振ゴム部材の前記他端側が取付具を介して前記支持体に固定されており、前記防振ゴム部材の前記ゴム弾性体が、それらブラケット及び取付具に対して一体に加硫接着されていることを特徴とする。
【0023】
請求項9のものは、請求項8において、前記ブラケットの前記ばね受部に形成した挿通孔の周りの部分を除いた全体及び前記取付具の前記支持体への固定部を除いた全体が、前記ゴム弾性体と一体のゴム被膜にて被覆してあることを特徴とする。
【0024】
請求項10のものは、請求項7〜9の何れかにおいて、前記ブラケットは、前記ばね受部から垂下する前記一対の防振ゴム部材に対応した一対の垂下部を有しており、各垂下部に各防振ゴム部材のそれぞれの一端側が固定してあることを特徴とする。
【0025】
請求項11のものは、請求項7〜10の何れかにおいて、前記防振ユニットが前記スターリングエンジン周りに複数組設けてあり、且つ各防振ユニットは水平方向において異なった向きで配置されていることを特徴とする。
【0026】
請求項12のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねとして、前記スターリングエンジンの周りを取り巻くように巻回されたコイルばねが用いられていることを特徴とする。
【0027】
請求項13のものは、請求項12において、前記圧縮コイルばねの周方向に沿った複数個所に前記防振ゴム部材が配置されていることを特徴とする。
【0028】
請求項14のものは、請求項1〜13の何れかにおいて、前記被支持部を、前記スターリングエンジンの外周面から外方に突出した突出部及び上下方向に配向されて下端側が該突出部に固定された吊り棒を有するものとなし、該吊り棒の上端側を前記ブラケットに結合して、前記スターリングエンジンを吊下状態で支持するようになしてあることを特徴とする。
【0029】
請求項15のものは、請求項1〜14の何れかにおいて、前記スターリングエンジンと前記ブラケットとの間には、該スターリングエンジンの荷重を受けて弾性変形する防振ゴムパッドが前記圧縮コイルばねに対し直列接続の関係で介在させてあり、該スターリングエンジンの荷重が該防振ゴムパッド,前記ブラケット及び前記圧縮コイルばねを経て前記支持体の前記支持部に作用するようになしてあることを特徴とする。
【0030】
請求項16のものは、請求項1〜15の何れかにおいて、前記スターリングエンジンの下端部には水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパが設けてあるとともに、該ゴムストッパを水平方向に当接させる当接部が設けてあり、且つ該ゴムストッパのストッパ作用時に該当接部に当る部分が、先端側に向って漸次細くなる断面山形状のリップ部となしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0031】
以上のように請求項1のものは、ばね受部を支持体における支持部の上側に位置させる状態に設けられてスターリングエンジンの被支持部に結合されたブラケットと、そのブラケットのばね受部と支持部とで上下に圧縮状態に挟まれてスターリングエンジンの荷重を弾性支持する金属製の圧縮コイルばねと、圧縮コイルばねとともにブラケットと支持体との間に並列配置されてブラケットと支持体とを弾性接続するゴム弾性体を主要素とした防振ゴム部材と、を含んでスターリングエンジンの防振支持装置を構成したものである。
【0032】
この請求項1の防振支持装置では、圧縮コイルばねに対して防振ゴム部材が並列配置されていて、それら圧縮コイルばねと防振ゴム部材とが協働してスターリングエンジンを防振支持するため、防振ゴム部材の有する減衰作用に基づいてコイルばね(圧縮コイルばね)のサージングの現象を抑制でき、このことによってスターリングエンジンの動作周波数帯及びその近傍周波数帯における振動伝達率を効果的に低く抑制することができる。
【0033】
またこの請求項1の防振支持装置において、ゴム弾性体を主要素とする防振ゴム部材はスターリングエンジンの荷重を支持する役割は担っておらず、従ってこの防振ゴム部材は、上下方向のばね定数を可及的に小さくし、ばね特性を軟らかいものとなすことができる。
それ故、防振ゴム部材をブラケットと支持体との間に介在させ、かかる防振ゴム部材を圧縮コイルばねと並列配置して、全体でスターリングエンジンを防振支持するようになした場合においても、防振支持装置全体のばね特性を軟らかいものとなすことができ、上記サージングの抑制効果と相俟って振動伝達を良好に抑制し得て、目的とする防振領域における振動伝達率を低くすることができる。
【0034】
更に防振ゴム部材の減衰作用に基づいて、エンジン始動時や外部から衝撃が加わったとき等に低周波で発生する共振時の共振倍率、即ち伝達特性曲線のピーク値(共振振幅)を低く抑えることができる。
また防振ゴム部材はスターリングエンジンの荷重を支持しておらず、従って防振ゴム部材に常時発生する歪も小さく抑え得て、その耐久寿命を高めることができ、またコイルばねについても圧縮コイルばねを用いているため、コイルばねに発生する歪も小さく抑え得て耐久寿命を高めることができる。
【0035】
本発明では、上記防振ゴム部材を支持部上で横向きに配置して、軸心方向の一端側をブラケットに、他端側を支持体にそれぞれ固定しておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、防振ゴム部材における上下方向のばね定数を小さくすることができ、スターリングエンジンの上下方向の振動に対する防振性能を高めることができる。
【0036】
特に請求項3に従って防振ゴム部材を、その軸心が水平向きとなるように設けておいた場合、スターリングエンジンの上下振動を防振ゴム部材における剪断弾性変形によって吸収でき、防振ゴム部材の上下方向のばね定数を可及的に小さくし得て、そのことにより振動伝達率を効果的に低くすることができる。
即ち、圧縮コイルばねに防振ゴム部材を付加して防振支持装置を構成した場合においても、防振支持装置の上下方向のばね定数に対する防振ゴム部材の影響を少なくし、防振支持装置のばね定数を防振ゴム部材が高めてしまうといったことを良好に抑制することができる。
【0037】
本発明ではまた、防振ゴム部材をその軸心がブラケットに向けて小角度で斜め上向きに傾斜した状態で設けておくこともできる(請求項4)。
ここで小角度とは水平方向に対し20°以下の角度を意味する。
【0038】
本発明ではまた、防振ゴム部材としてソリッドゴムを用いることができる(請求項5)。
或いはかかる防振ゴム部材として、ゴム弾性体の容器の内部に液体を封入した液封のものを用いることができる(請求項6)。
このように液封の防振ゴム部材を用いた場合、ソリッドゴムの防振ゴム部材を用いた場合に比べて防振ゴム部材における減衰特性を高めることができる。
【0039】
次に請求項7は、圧縮コイルばねを間にして水平方向の両側に一対の防振ゴム部材を平面視において直線状をなすように対向して配置し、それら圧縮コイルばね,ブラケット及び一対の防振ゴム部材が全体として一組の防振ユニットを構成するようになしたもので、この請求項7によれば、スターリングエンジンの水平方向且つ防振ユニットの配向方向(圧縮コイルばねを間にした一対の防振ゴム部材の配置の方向)の揺れに対し大きな抵抗力を付与することができ、スターリングエンジンが同方向に揺れを生ずるのを効果的に抑制することができる。
【0040】
この場合において、上記一対の防振ゴム部材の他端側を取付具を介して支持体に固定し、そして防振ゴム部材のゴム弾性体を、それらブラケット及び取付具に対して一体に加硫接着しておくことができる(請求項8)。
このようにすれば、一対の防振ゴム部材,ブラケット及び取付具の全体を一つの加硫品となすことができ、防振支持装置の所要部品点数を少なくできるとともに、防振支持装置の組付けの工数を低減することができる。
【0041】
更にこの場合において、ブラケットの挿通孔の周りを除いた全体及び取付具の支持体への固定部を除いた全体を、ゴム弾性体と一体のゴム被膜にて被覆しておくことができる(請求項9)。
このようにすれば、ブラケット,取付具を金具で構成した場合において、ゴム被膜による被覆によって防錆を図ることができる。
またゴム弾性体とブラケット,取付具とが接着剥離するのを有効に防止することができる。
【0042】
上記ブラケットには、ばね受部から垂下する一対の垂下部を設けておき、それら垂下部に対し各防振ゴム部材のそれぞれの一旦側を固定しておくことができる(請求項10)。
【0043】
請求項11は、上記の防振ユニットをスターリングエンジン周りに複数組設け、且つ各防振ユニットを水平方向において異なった向きで配置したもので、この請求項11によれば、スターリングエンジンの水平方向における多方向の揺れを、異なった向きで配置した複数の防振ユニットにより良好に抑制することができる。
【0044】
この請求項11では、水平方向において鉛直軸心周りの360度の何れも方向にも防振ユニットによる揺れの抵抗を均等に与えるように、各防振ユニットを配置しておくことができ、このようにすることで、スターリングエンジンの水平方向における何れの方向への揺れも良好に抑制することができる。
【0045】
請求項12は、圧縮コイルばねとしてスターリングエンジンの周りを取り巻くように巻回された大径のコイルばねを用いたものである。
本発明で用いる圧縮コイルばねのばね定数を小さくしようとすると、軸方向の長さを長くしておくことが望ましい。
しかしながらそのようにすると圧縮コイルばねが座屈を起す恐れが生ずる。
【0046】
しかるに請求項12に従って圧縮コイルばねを構成した場合、圧縮コイルばねにおける座屈の問題を解消することができる。
この場合においてその大径のコイルばねの周方向に沿った複数箇所に上記の防振ゴム部材を圧縮コイルばねに対し並列接続状態となるように配置しておくことができる(請求項13)。
【0047】
本発明では、上記被支持部を、スターリングエンジンの外周面から外方に突出した突出部及び上下方向に配向されて下端側が突出部に固定された吊り棒を有するものとなし、その吊り棒の上端側をブラケットに結合して、スターリングエンジンを吊り棒を介し吊下状態で支持するようになしておくことができる(請求項14)。
このようにすることでスターリングエンジンの支持を安定化することができる。
【0048】
次に請求項15は、スターリングエンジンとブラケットとの間に、スターリングエンジンの荷重を受けて弾性変形する防振ゴムパッドを圧縮コイルばねに対し直列接続の関係で介在させ、スターリングエンジンの荷重をこの防振ゴムパッド,上記ブラケット及び圧縮コイルばねを経て上記支持体の支持部に作用させるようになしたものである。
この請求項15によれば、スターリングエンジンから支持体に伝わる高周波(スターリングエンジンの動作周波数よりも高い周波数)の振動を、防振ゴムパッドの防振作用で良好に抑制することができる。
【0049】
請求項16は、スターリングエンジンの下端部に、水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパを設けるとともに、これを水平方向に当接させる当接部を設けたもので、この請求項16によれば、スターリングエンジンにおける下端部の横揺れをも良好に抑制することができる。
【0050】
この請求項16において、ゴムストッパは、水平方向のストッパ作用時に上記当接部に当る部分が先端側に向って漸次細くなる断面山形状のリップ部となしてあり、従ってこのようなゴムストッパを設けたことによって、かかるゴムストッパを介してスターリングエンジンの上下方向の振動が支持体側に伝わってしまうのを抑制ないし防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はスターリングエンジンで、12はその支持体である。支持体12は、ここでは支持フレームを備えたケーシングからなっている。
支持体12には、中央部に挿通孔16を有する円板状の支持プレート(支持部)14が備えられており、この支持プレート14に対してスターリングエンジン10が、その外周面から外方に突出した状態でスターリングエンジン10に固設されたリング(突出部)18,上下方向に延びる吊り棒20及び後述の防振ユニット22を有する防振支持装置を介して吊持状態に取り付けられている。
ここでリング18及び吊り棒20は全体としてスターリングエンジン10の被支持部を成すものである。
図示のようにこの実施形態において、スターリングエンジン10は、その上部が支持プレート14の挿通孔16を図中上向きに挿通して突き出している。
【0052】
図2は、スターリングエンジン10の内部の概略構成を示している。
同図において、24はスターリングエンジン10のハウジングで円筒形状をなしている。
ハウジング24の上部の容器部24Aの内部空間にはヘリウムガスが充填されている。
【0053】
この容器部24Aの内部には、シリンダ26とその内面を上下方向に摺動するディスプレーサピストン28が設けられている。
シリンダ26の外面と容器部24Aの内面との間には環状の隙間が形成されていて、その環状の隙間に再生器30が設けられ、この再生器30にて容器部24Aの内部空間が上側の加熱側作動空間32-1と、下側の冷却側作動空間32-2とに区画されている。
但し再生器30はヘリウムガスが通過可能で、加熱側作動空間32-1と冷却側作動空間32-2とは再生器30を介して連通しており、上側の加熱側作動空間32-1内のヘリウムガスと冷却側作動空間32-2内のヘリウムガスとは再生器30を上下に通過可能である。
【0054】
34は固定プレート36を介してハウジング24に固定されたロッドで、ディスプレーサピストン28は、このロッド34に対して上下に摺動運動する。
尚、固定プレート36には上下の貫通孔38が設けられている。
【0055】
40は加熱側作動空間32-1を加熱する加熱器で、44は冷却側作動空間32-2を冷却する冷却器である。ここで冷却器44はハウジング24に固定状態に設けられており、また一方加熱器40はハウジング24とは切離し状態で上記の支持体12に固定的に設けられている。
従ってスターリングエンジン10は加熱器40に対して相対運動する。
【0056】
加熱器40にはバーナ42が設けられており、このバーナ42により加熱器40の内部空間、更に加熱側作動空間32-1が加熱される。
尚、図2では加熱器40とスターリングエンジン10との間に隙間が生じているが、実際にはその隙間にはシール材が設けられており、加熱器40内の高温の燃焼ガスがその隙間から外部へと漏れることはない。
但しシール材は可撓性を有するもので、従ってスターリングエンジン10は、位置固定に設けられた加熱器40に対し相対運動可能である。
【0057】
詳細な構造及び機能についての図示及び説明は省略するが、この実施形態ではディスプレーサピストン28が、加熱器40による加熱側作動空間32-1の加熱と、冷却器44による冷却側作動空間32-2の冷却に基づいて、シリンダ26内部を上下に周期往復運動する。
ここではディスプレーサピストン28が後述の出力ピストン45と同じ周期(ここでは50Hz)で上下に往復運動するようにその周期が調節されている。
【0058】
このスターリングエンジン10にはまた、上記の冷却側作動空間32-2に面して出力ピストン45が設けられていて、この出力ピストン45からロッド46が下向きに延び出している。
ロッド46にはマグネット48が上下に一体移動する状態で設けられており、また一方ハウジング24側には、対応する位置に鉄芯50とコイル52とが固定状態に設けられている。
ハウジング24の内部にはまた、上下に板ばね等から成るばね54が設けられていて、その中心部がロッド46に、また外周部がハウジング24に固定されている。
【0059】
この実施形態のスターリングエンジン10では、ディスプレーサピストン28の周期的な上下の往復運動によって、容器部24A内部の空間全体の圧力が大小変化する。
そしてその圧力の変化に基づいて、冷却側作動空間32-2に面した出力ピストン45が、ばね54の付勢力との協働作用でディスプレーサピストン28と同じ周期で上下に往復運動する。
そしてこの出力ピストン45の上下運動に基づいて、マグネット48,鉄芯50,コイル52等から成る発電機で交流電力が生じる。
この交流電力の周波数はディスプレーサピストン28,出力ピストン45の上下振動(上下移動)の周波数と同じ周波数で、ここでは50Hzである。
【0060】
図3及び図4に、本実施形態の防振支持装置の要部構成が示してある。
これらの図において、56は支持プレート14の上側に配置された金属製且つ断面逆U字形状を成すブラケットで、上部に水平なばね受部58を有し、そのばね受部58の両端から垂下部60が図中下向きに垂下した形態をなしている。
【0061】
上記吊り棒20は、上端側が支持プレート14の挿通孔62を挿通して上側に突き出し、更にブラケット56の中心部の挿通孔64を通じて上端部が上向きに突き出している。
この吊り棒20の上端部には雄ねじ部66が設けられていて、そこにナット70,71が螺合され、それら雄ねじ部66及びナット70,71にて吊り棒20の上端部がブラケット56に締結(結合)されている。
【0062】
ここでナット70と71とは、吊り棒20の上端部に嵌着されたリング状且つ板状のばねガイド73を、ブラケット56のばね受部58とともに上下両側から挟み込んでおり、このばねガイド73にて、後述の圧縮コイルばね72の上端が水平方向に位置決めされるようになっている。
【0063】
このブラケット56におけるばね受部58と支持プレート14との間には、金属製の圧縮コイルばね72が介装されており、この圧縮コイルばね72が、ばね受部58と支持プレート14とにより上下に圧縮状態に挟まれ、スターリングエンジン10の荷重を弾性支持している。
尚圧縮コイルばね72の下端は、図3の部分拡大図に明らかに示しているようにフランジ状のばね座128付きのばねガイド130及びナット132にて、水平方向に位置決めされるようになっている。
【0064】
ここでばねガイド130は、圧縮コイルばね72への上向きの嵌入部134と、支持プレート14における挿通孔62への下向きの嵌入部136とを有しており、またナット132はばねガイド130に対して内部に上向きに嵌入する嵌入部138と、フランジ部140とを有している。
【0065】
ナット132は、フランジ部140を挿通孔62に内嵌させることによって、吊り棒20の上端側を支持プレート14に対し水平方向に位置決めするとともに、嵌入部138をばねガイド130の内部に嵌入させることによって、同時にばねガイド130を水平方向に位置決めする。
その結果として圧縮コイルばね72の下端位置が水平方向に位置決めされる。
尚ナット142は、ナット132をロックするロックナットとしてのものである。
【0066】
以上のようにして圧縮コイルばね72の上端と下端とが水平方向に位置決めされることで、かかる圧縮コイルばね72が傾きを生じたり、位置ずれしたりするのが防止され、このことによって圧縮コイルばね72の座屈が有効に防止される。
また併せて吊り棒20の上端側が水平方向において予め定めた適正位置に位置決めされることで、スターリングエンジン10自体が傾き防止され、これらによって防振支持装置の耐久性も高められる。
【0067】
圧縮コイルばね72を間にして水平方向両側には一対の防振ゴム部材74が配置され、それら防振ゴム部材74が、ブラケット56と支持プレート14との間に圧縮コイルばね72とともに並列配置され、ブラケット56と支持プレート14とを弾性的に連結している。
【0068】
これら防振ゴム部材74は、円柱形状をなすソリッドゴムからなるゴム弾性体76と、その両端に加硫接着にて一体に固着された各一対の端部金具78,80とを有している。
そして一方の端部金具78において、これに固設されたボルト82及びナット84により、ブラケット56の垂下部60に固定されている。
【0069】
また他方の端部金具80において、同じくこれに固設されたボルト82及びナット84により、L字状をなす取付金具86に固定され、かかる取付金具86を介して支持プレート14に固定されている。
ここで各防振ゴム部材74は、ゴム弾性体76の軸心が水平向きとなる状態に横向きに配置され、またこれら一対の防振ゴム部材74は、互いに180°隔たった位置で同軸状に互いに対向する位置関係で配置されている。
【0070】
従って圧縮コイルばね72,ブラケット56及び一対の防振ゴム部材74全体で構成された防振ユニット22は、平面視において一直線状をなしている(図5参照)。
ここで防振ゴム部材74は、ゴム弾性体76を軸方向(水平方向)に一定量予圧縮(1〜5%程度)した状態で取り付けられている。
【0071】
尚これら防振ゴム部材74は、圧縮コイルばね72にてスターリングエンジン10の荷重を支持した状態の下で、ブラケット56と支持プレート14とを連結する状態に取り付けられており、従って静的状態において防振ゴム部材74のゴム弾性体76には上下方向の荷重は作用していない。
そしてスターリングエンジン10が上下方向に振動を生じたときに、これに伴って防振ゴム部材74のゴム弾性体76が剪断方向に弾性変形し、振動吸収作用をなす。
【0072】
図5(A)に示しているようにこの実施形態では、防振ユニット22と対応する吊り棒20とが、スターリングエンジン10周りに4組設けてあり、それら全体にてスターリングエンジン10を防振支持している。
ここで各防振ユニット22及び吊り棒20は周方向に90°間隔で設けられており、且つそれぞれの向きもまた90°毎異なった向きで支持プレート14上に配置されている。
【0073】
但し図5(A)の例では、各防振ユニット22がスターリングエンジン10の中心を基準として放射方向に配置されているが、図5(B)に示しているように各防振ユニット22を図5(A)とは異なった向き、具体的にはスターリングエンジン10の外周円に対し接線方向と平行方向に配向するように、それらを90°毎隔たって位置に且つ90°毎異なった向きで配置しておくことも可能である。
【0074】
或いは図5(A)において、防振ユニット22を120°の間隔でスターリングエンジン10の周りに3組設けておいたり、又は周方向に等間隔で5組ないしそれ以上設けておくといったことも可能であるなど、他の様々な配置パターンでそれらを設けておくことが可能である。
但し何れの場合においても、スターリングエンジン10に対し横向きの力が加わったときに、その向きが水平方向において何れの向きであっても均等な力で抵抗を及ぼし、水平方向移動を抑制するようになしておくことが望ましい。
【0075】
図3に示しているように、吊り棒20の下端部にはスターリングエンジン10に固設されたリング18の下側において、スターリングエンジン10の荷重を受けて圧縮弾性変形する円筒形状の防振ゴムパッド88が外嵌され、ナット90にて吊り棒20の下端部の雄ねじ部86に固定されている。
即ち防振ゴムパッド88が、スターリングエンジン10とブラケットとの間に、詳しくはここではリング18と吊り棒20との間に介在させられ、かかる防振ゴムパッド88が吊り棒20に対し圧縮コイルばね72と直列接続の関係で取り付けられている。
従ってスターリングエンジン10の荷重はリング18,防振ゴムパッド88,吊り棒20,ブラケット56及び圧縮コイルばね72を経て上記の支持プレート14に作用せしめられる。
尚、雄ねじ部86にはリング18の上側においてナット90が締め込まれている。
【0076】
以上のような本実施形態の防振支持装置では、圧縮コイルばね72に対して防振ゴム部材74が並列配置されていて、それら圧縮コイルばね72と防振ゴム部材74とが協働してスターリングエンジン10を防振支持するため、防振ゴム部材74の有する減衰作用に基づいて、圧縮コイルスプリング72のサージングの現象を良好に抑制することができる。
【0077】
そしてこのことによって、スターリングエンジン10の動作周波数帯及びその近傍周波数帯における振動伝達率を効果的に低く抑制することができる。
加えてこの防振支持装置においては、防振ゴム部材74がスターリングエンジン10の荷重を支持する役割を担っておらず、従ってこの防振ゴム部材74はばね定数を可及的に小さくし、ばね特性を軟らかいものとなしておくことができる。
【0078】
そのためこの実施形態では、防振ゴム部材74、具体的にはゴム弾性体76をその軸心が水平向きとなる状態に横向き配置し、スターリングエンジン10の上下方向の振動時に、ゴム弾性体76を剪断弾性変形させ、その剪断弾性変形による軟らかなばね特性に基づいてスターリングエンジン10の上下振動を吸収し、抑制するようになっている。
【0079】
そしてこの防振ゴム部材74の軟らかなばね特性とサージングの抑制効果とが相俟って、スターリングエンジン10から支持プレート14への振動伝達を良好に抑制し得、目的とする周波数帯(50Hz及びその近傍)において振動伝達率を低く抑制することができる。
【0080】
更にまた、防振ゴム部材74の減衰作用に基づいて、エンジン始動時や外部から衝撃が加わったとき等に、低周波で発生する共振時の共振倍率、即ち伝達特性曲線の共振時のピーク値(共振振幅)を低く抑えることができる。
【0081】
因みに、図6中のAは本実施形態の防振支持装置の振動伝達特性を表したもので、図示のように本実施形態のものでは、スターリングエンジン10の動作時の周波数である50Hzにおいて低い伝達率を達成しており、スターリングエンジン10から支持体12への振動伝達の抑制を実現している。
また数Hzの周波数帯で共振が生じているが、防振ゴム部材74の有する減衰作用に基づいてその共振時のピーク値を低く抑制している。
【0082】
上記のように本実施形態では、防振ゴム部材74はスターリングエンジン10の荷重を支持しておらず、スターリングエンジン10の振動抑制に対してのみ作用を及ぼしている。
従って防振ゴム部材74に常時発生する歪はほとんど無く、その耐久寿命を高くすることができ、またコイルばねについてもこの実施形態では圧縮コイルばね72を用いているため、そこに発生する歪も小さく抑え得、防振支持装置全体の耐久寿命を高めることができる。
【0083】
この実施形態では、圧縮コイルばね72を間にして水平方向の両側に一対の防振ゴム部材74を全体が一直線状となるように対向して配置し、そしてそれらから成る防振ユニット22を、スターリングエンジン10の周りに異なった向きで、具体的には90°毎隔たった位置に且つ互いに90°向きを異ならせた状態で配置しているため(図5(A)の場合)、スターリングエンジン10に対して横方向の力が働いた場合においても、スターリングエンジン10の横揺れに対し各防振ユニット22にて高い抵抗力を働かせることができ、スターリングエンジン10、特にその上部が水平方向に揺れを生じるのを効果的に抑制することができる。
【0084】
尚この効果は、図5(B)に示す配置で各防振ユニット22を配置した場合、その他においてもスターリングエンジン10の360°周りの何れの向きにも均等に抵抗力を及ぼす状態で防振ユニット22を配置した場合においても得られるものである。
【0085】
この実施形態ではまた、吊り棒20の下端部に防振ゴムパッド88を圧縮コイルばね72と直列状態に取り付け、スターリングエンジン10の荷重を防止ゴムパッド88,吊り棒20,ブラケット56及び圧縮コイルばね72を経て支持プレート14に作用させるようになしていることから、スターリングエンジン10からの高周波振動をこの防振ゴムパッド88にて吸収し、その高周波振動が支持プレート14に伝達されるのを抑制することができる。
またこの実施形態では、万一圧縮コイルスプリング72や防振ゴム部材74が破断を生じた場合においても、スターリングエンジン10が支持を失って落下してしまうことがない利点も有している。
【0086】
図7及び図8は本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態は、上記防振部材74に代えて液封の防振ゴム部材92を用いた例である。
ここで防振ゴム部材92は、薄い膜状で高い可撓性を有する可撓部94と、これよりも僅かに厚肉をなす周壁部96と、可撓部94とは反対側の底部98と、可撓部94の中心部に設けられた筒状部100とを有する容器状のゴム弾性体102の内部に液104を封入した形態のもので、軸心を水平向きとする状態で配置されている。そしてその筒状部100にシャフト105が内嵌され、シャフト104の雄ねじ部82とナット84とでブラケット56の垂下部60に固定されている。
また反対側の底部98の側において、取付金具86により支持プレート14に取り付けられている。
【0087】
この実施形態では、防振ゴム部材92におけるゴム弾性体102のばね特性をより一層軟らかくすることができ、一方で内部に封入した液104に基づいて大きな減衰特性を防振ゴム部材92に持たせることができる。
【0088】
図9及び図10は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、スターリングエンジン10の底面の中心部からストッパ取付部106を下向きに突出させ、そしてそこに水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパ110を取り付ける一方、対応する剛性の当接部112を固定状態に設けて、その凹所114内にゴムストッパ110を挿入し、スターリングエンジン10の下端部が水平方向に横揺れを生じようとしたときに、ゴムストッパ110にて横揺れを抑制するようになしたものである。
【0089】
ここで凹所114は平面形状が円形状をなしており、またゴムストッパ110も外周が円形状をなしている。
このゴムストッパ110の外周面には、ゴムストッパ110の当り面となる凹所114の円形の内周面に向って突出し、且つ先端側に向って上下の肉厚が漸次小となるリップ部118が設けられ、それらリップ部118を凹所114の内周面116に対し水平方向に当てるようになしてある。
【0090】
ここでリップ部118は上下に複数段(ここでは3段)に設けられており、且つ各リップ部118は、切欠き120で周方向に複数に分断されている。
また上下の各段のリップ部118は、切欠き120の周方向位置が異ならせてあり、リップ部118の周方向位置が上下の各段で互いに異ならせてある。
【0091】
この実施形態では、スターリングエンジン10に対し、ケーシング等を介し外力が横向きに作用して、スターリングエンジン10の下部が横揺れを生じようとしたとき、ゴムストッパ110が当接部112に当接してストッパ作用をなすことにより、スターリングエンジン10の下部の横揺れが抑制される。
【0092】
一方でこのゴムストッパ110における当接部112への当り部となる部分がリップ部118とされ、且つ通常の状態ではそのリップ部118の先端が、当接部112の当り面となる凹所114の内周面116に実質僅かに接触するか若しくは接触しない程度とされているため、スターリングエンジン10の上下振動が、かかるゴムストッパ110を介して支持体12側に伝達されるのを抑制ないし防止することができる。
【0093】
図11及び図12は、本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、圧縮コイルばねとしてスターリングエンジン10の周りを取り巻くように巻回された大径のコイル径を有する単一の圧縮ばね124を用いた例である。
図12に示しているように、この実施形態ではブラケット56が円環状のプレート部材からなる第1部材122と、L字状をなす第2部材123とで構成され、それらが吊り棒20の雄ねじ部66にねじ込まれた一対のナット70,71にて吊り棒20に固定されている。
【0094】
図12に示しているように、ブラケット56の水平なばね受部58と支持プレート14とには、それぞれ断面コ字形状をなすばね受部材126がそれぞれ下向き,上向きに固定状態に取り付けられていて、それらによって大径をなす単一の圧縮コイルばね124の上端と下端とが水平方向に位置決め状態で受けられている。
そしてこの単一の圧縮コイルばね124の周方向に沿って90°毎異なった4箇所で、防振ゴム部材74がブラケット56の垂下部60に一端側が固定されている。
尚防振ゴム部材74の構成は図3に示したものと同様である。但しかかる防振ゴム部材74に代えて図6及び図7に示す防振ゴム部材92その他のものを用いることも可能である。
【0095】
この実施形態では、圧縮コイルばね124がコイル径の大きなものであり、従って圧縮コイルばね124における座屈の問題を解消し、かかる圧縮コイルばね124と防振ゴム部材74とを含む防振支持装置によるスターリングエンジン10の防振支持を安定したものとなすことができる。
【0096】
図13及び図14は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、挿通孔144を有する円板状の支持プレート(支持部)146を支持体12側に備え、そしてその支持プレート146とリング18との間に防振ユニット22を配して、上記のような吊り棒20を介することなくスターリングエンジン10を直接的に防振支持するようになした例である。
尚防振ユニット22によるスターリングエンジン10の支持構造については第1の実施形態で示したのと基本的に同様である。
但しこの実施形態では、図14に示しているように防振ゴムパッド88がリング18とブラケット56との間に介在させてある。
【0097】
ここで防振ゴムパッド88は、圧縮コイルスプリング72に対し直列接続の関係でリング18とブラケット56との間に介在させてあり、スターリングエンジン10の荷重はこのリング18から防振ゴムパッド88,ブラケット56及び圧縮コイルばね72を経て支持体12側の支持プレート146に作用せしめられる。
【0098】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では防振ゴム部材の一端側を支持部となる支持プレート14に固定しているが、場合によって支持体における上記支持部以外の他の個所にこれを連結するようになすことも可能であるし、また防振ゴム部材を、その軸心が厳密な水平向きでなく、若干の傾斜を持たせて配置しておくことも可能である。
【0099】
図15はその具体例を示している。
この例では、図3の防振ユニット22における一対の防振ゴム部材74における端部金具78,80が省略されて、ゴム弾性体76が直接的にブラケット56及びL字状をなす取付金具86に対し加硫接着にて一体に接着固定されている。
従って図15に示す防振ユニット22は、その全体が一つの加硫品を成している。
【0100】
そしてここでは、各ゴム弾性体76の軸心が水平方向に対して僅かな傾斜角度θで傾斜する状態で、具体的にはブラケット56に向って僅かに上向きに傾斜する状態で、各ゴム弾性体76が配置されている。即ちゴム弾性体76の形状がそれぞれが僅かに傾斜した形状で形成されている。
尚角度θは最大でも20°以下となしておく。
【0101】
このようになした場合においても、各防振ゴム部材74におけるゴム弾性体76は、防振作用時において実質的に上下の剪断方向に弾性変形し、振動減衰作用をなす。
この実施形態では、防振ユニット22が単一の加硫品で構成してあるため、防振支持装置の所要部品点数が少なくて済み、また組付けの工数も少なくすることができる。
尚防振ゴム部材74の取付けは、圧縮コイルばね72にてスターリングエンジン10の荷重を支持した状態で、取付金具86を図3の支持プレート14或いは図14の支持プレート146等に固定することにより行う。
このときゴム弾性体76に対して所定の予圧縮を与える。
【0102】
図3に示しているようにゴム弾性体76の軸心が水平向きとなっている場合、ゴム弾性体76に対して軸方向の予圧縮を与えたとき、ブラケット56側の端部が内部応力を緩和しようとして下向きに逃げ、変位してしまうことが起り得る。そうなるとゴム弾性体76に目的とする所定の予圧縮が付加されない。
【0103】
しかるにこの図15に示す実施形態では、ゴム弾性体76に予圧縮を加えたときにブラケット56側の端部が上向きに変位しようとする。ところがブラケット56にはスターリングエンジン10の荷重が下向きに働いているため、ゴム弾性体76のブラケット56側の端部は上向きに変位することはできず、ゴム弾性体76に対して確実に目的とする所定の予圧縮を付加することができる。
【0104】
図16は更に他の例を示したもので、この例においても防振ユニット22における一対の防振ゴム部材74のそれぞれのゴム弾性体76が、上記と同様の向きで傾斜した形状とされている。
尚図15及び図16は、各防振ゴム部材74を何れもスターリングエンジン10を取り付けた状態で示している。即ち圧縮コイルばね72にてスターリングエンジン10の荷重が支持した状態での形状を示している。
【0105】
図16に示す実施形態では、ブラケット56におけるばね受部58の挿通孔64周りの部分を除いた全体、及びL字状をなす取付金具86の支持体への固定部(図中水平方向に折れ曲った下端部)を除いた全体が、ゴム弾性体76と一体のゴム被膜148にて被覆されている。
またブラケット56及び取付金具86には貫通の連結孔150が形成されており、これら連結孔150においてゴム弾性体76とゴム被膜148とが一体に連結状態とされている。
【0106】
図15の実施形態の場合、ゴム弾性体76のブラケット56又は取付金具86への接着面の外周部位に応力が集中し易く、そこからゴム弾性体76とブラケット56又は取付金具86とが接着剥離を起す恐れがあるが、図16に示す実施形態の場合、ゴム被膜148の存在によってそのような接着剥離の発生を有効に防止することができる利点がある。
またブラケット56及び取付金具86の大部分をゴム被膜148にて被覆してあることによって、それらを防錆することができる。
【0107】
以上の他、本発明では防振ゴム部材として上例以外の他の形態のものを用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態であるスターリングエンジンの防振支持装置を、スターリングエンジンを支持した状態で示した図である。
【図2】スターリングエンジンの内部の概略構成を示した図である。
【図3】同実施形態の防振支持装置の要部を示す断面図である。
【図4】同実施形態の防振支持装置の要部の斜視図である。
【図5】同実施形態における防振ユニットの配置例を示す平面図である。
【図6】同実施形態の防振支持装置の防振特性を従来の防振支持装置との比較で示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図8】同実施形態の要部の斜視図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図10】同実施形態の要部を示す図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図12】同実施形態の要部を示す図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図14】同実施形態の要部を示す図である。
【図15】本発明の更に他の実施形態の要部を示す図である。
【図16】本発明の更に他の実施形態の要部を示す図である。
【図17】従来公知のスターリングエンジンの防振支持装置を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
10 スターリングエンジン
12 支持体
14,146 支持プレート(支持部)
20 吊り棒
22 防振ユニット
56 ブラケット
58 ばね受部
60 垂下部
72,124 圧縮コイルばね
74,92 防振ゴム部材
76 ゴム弾性体
88 防振ゴムパッド
104 液
110 ゴムストッパ
112 当接部
118 リップ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スターリングエンジンと支持体との間に介装されて、該スターリングエンジンを防振支持するスターリングエンジンの防振支持装置であって
(イ)ばね受部を有し、該ばね受部を前記支持体における支持部の上側に位置させる状態に設けられて前記スターリングエンジンの被支持部に結合された剛性のブラケットと
(ロ)該ブラケットの該ばね受部と前記支持部とで上下方向に圧縮状態に挟まれ、前記スターリングエンジンの荷重を弾性支持する金属製の圧縮コイルばねと
(ハ)前記ブラケットと前記支持体との間に前記圧縮コイルばねとともに並列配置され、該圧縮コイルばねにて前記スターリングエンジンの荷重を支持した状態の下で一端側が該ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定状態とされて、該ブラケットと該支持体とを弾性接続するゴム弾性体を主要素とした防振ゴム部材と
を有していることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項2】
請求項1において、前記防振ゴム部材は、前記支持部上で上下方向の縦向きに対して軸心を横向きにして配置され、該軸心方向の一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項3】
請求項2において、前記防振ゴム部材は軸心が水平向きとなる状態で設けられていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項4】
請求項2において、前記防振ゴム部材は、軸心が前記ブラケットに向けて小角度で斜め上向きに傾斜した状態で設けられていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れにおいて、前記防振ゴム部材がソリッドゴムにて構成してあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記防振ゴム部材が、ゴム弾性体の容器の内部に液体を封入した液封のものであることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項7】
請求項2〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねを間にして水平方向の両側に前記防振ゴム部材が平面視において直線状をなすように互いに対向して一対配置されており、該一対の防振ゴム部材の各一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体に固定されており、それら圧縮コイルばね,ブラケット及び一対の防振ゴム部材が全体として1組の防振ユニットを成していることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項8】
請求項7において、前記一対の防振ゴム部材の前記他端側が取付具を介して前記支持体に固定されており、前記防振ゴム部材の前記ゴム弾性体が、それらブラケット及び取付具に対して一体に加硫接着されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項9】
請求項8において、前記ブラケットの前記ばね受部に形成した挿通孔の周りの部分を除いた全体及び前記取付具の前記支持体への固定部を除いた全体が、前記ゴム弾性体と一体のゴム被膜にて被覆してあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項10】
請求項7〜9の何れかにおいて、前記ブラケットは、前記ばね受部から垂下する前記一対の防振ゴム部材に対応した一対の垂下部を有しており、各垂下部に各防振ゴム部材のそれぞれの一端側が固定してあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項11】
請求項7〜10の何れかにおいて、前記防振ユニットが前記スターリングエンジン周りに複数組設けてあり、且つ各防振ユニットは水平方向において異なった向きで配置されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項12】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねとして、前記スターリングエンジンの周りを取り巻くように巻回されたコイルばねが用いられていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項13】
請求項12において、前記圧縮コイルばねの周方向に沿った複数個所に前記防振ゴム部材が配置されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れかにおいて、前記被支持部を、前記スターリングエンジンの外周面から外方に突出した突出部及び上下方向に配向されて下端側が該突出部に固定された吊り棒を有するものとなし、該吊り棒の上端側を前記ブラケットに結合して、前記スターリングエンジンを吊下状態で支持するようになしてあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかにおいて、前記スターリングエンジンと前記ブラケットとの間には、該スターリングエンジンの荷重を受けて弾性変形する防振ゴムパッドが前記圧縮コイルばねに対し直列接続の関係で介在させてあり、該スターリングエンジンの荷重が該防振ゴムパッド,前記ブラケット及び前記圧縮コイルばねを経て前記支持体の前記支持部に作用するようになしてあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項16】
請求項1〜15の何れかにおいて、前記スターリングエンジンの下端部には水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパが設けてあるとともに、該ゴムストッパを水平方向に当接させる当接部が設けてあり、且つ該ゴムストッパのストッパ作用時に該当接部に当る部分が、先端側に向って漸次細くなる断面山形状のリップ部となしてあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項1】
スターリングエンジンと支持体との間に介装されて、該スターリングエンジンを防振支持するスターリングエンジンの防振支持装置であって
(イ)ばね受部を有し、該ばね受部を前記支持体における支持部の上側に位置させる状態に設けられて前記スターリングエンジンの被支持部に結合された剛性のブラケットと
(ロ)該ブラケットの該ばね受部と前記支持部とで上下方向に圧縮状態に挟まれ、前記スターリングエンジンの荷重を弾性支持する金属製の圧縮コイルばねと
(ハ)前記ブラケットと前記支持体との間に前記圧縮コイルばねとともに並列配置され、該圧縮コイルばねにて前記スターリングエンジンの荷重を支持した状態の下で一端側が該ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定状態とされて、該ブラケットと該支持体とを弾性接続するゴム弾性体を主要素とした防振ゴム部材と
を有していることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項2】
請求項1において、前記防振ゴム部材は、前記支持部上で上下方向の縦向きに対して軸心を横向きにして配置され、該軸心方向の一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体にそれぞれ固定されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項3】
請求項2において、前記防振ゴム部材は軸心が水平向きとなる状態で設けられていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項4】
請求項2において、前記防振ゴム部材は、軸心が前記ブラケットに向けて小角度で斜め上向きに傾斜した状態で設けられていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れにおいて、前記防振ゴム部材がソリッドゴムにて構成してあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記防振ゴム部材が、ゴム弾性体の容器の内部に液体を封入した液封のものであることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項7】
請求項2〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねを間にして水平方向の両側に前記防振ゴム部材が平面視において直線状をなすように互いに対向して一対配置されており、該一対の防振ゴム部材の各一端側が前記ブラケットに、他端側が前記支持体に固定されており、それら圧縮コイルばね,ブラケット及び一対の防振ゴム部材が全体として1組の防振ユニットを成していることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項8】
請求項7において、前記一対の防振ゴム部材の前記他端側が取付具を介して前記支持体に固定されており、前記防振ゴム部材の前記ゴム弾性体が、それらブラケット及び取付具に対して一体に加硫接着されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項9】
請求項8において、前記ブラケットの前記ばね受部に形成した挿通孔の周りの部分を除いた全体及び前記取付具の前記支持体への固定部を除いた全体が、前記ゴム弾性体と一体のゴム被膜にて被覆してあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項10】
請求項7〜9の何れかにおいて、前記ブラケットは、前記ばね受部から垂下する前記一対の防振ゴム部材に対応した一対の垂下部を有しており、各垂下部に各防振ゴム部材のそれぞれの一端側が固定してあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項11】
請求項7〜10の何れかにおいて、前記防振ユニットが前記スターリングエンジン周りに複数組設けてあり、且つ各防振ユニットは水平方向において異なった向きで配置されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項12】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧縮コイルばねとして、前記スターリングエンジンの周りを取り巻くように巻回されたコイルばねが用いられていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項13】
請求項12において、前記圧縮コイルばねの周方向に沿った複数個所に前記防振ゴム部材が配置されていることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れかにおいて、前記被支持部を、前記スターリングエンジンの外周面から外方に突出した突出部及び上下方向に配向されて下端側が該突出部に固定された吊り棒を有するものとなし、該吊り棒の上端側を前記ブラケットに結合して、前記スターリングエンジンを吊下状態で支持するようになしてあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかにおいて、前記スターリングエンジンと前記ブラケットとの間には、該スターリングエンジンの荷重を受けて弾性変形する防振ゴムパッドが前記圧縮コイルばねに対し直列接続の関係で介在させてあり、該スターリングエンジンの荷重が該防振ゴムパッド,前記ブラケット及び前記圧縮コイルばねを経て前記支持体の前記支持部に作用するようになしてあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【請求項16】
請求項1〜15の何れかにおいて、前記スターリングエンジンの下端部には水平方向にストッパ作用をなすゴムストッパが設けてあるとともに、該ゴムストッパを水平方向に当接させる当接部が設けてあり、且つ該ゴムストッパのストッパ作用時に該当接部に当る部分が、先端側に向って漸次細くなる断面山形状のリップ部となしてあることを特徴とするスターリングエンジンの防振支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−304051(P2008−304051A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326608(P2007−326608)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】
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